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JP4400967B2 - 異なる容量の貯留ビン群を備えた穀物乾燥貯蔵施設 - Google Patents

異なる容量の貯留ビン群を備えた穀物乾燥貯蔵施設 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特に、多数の穀物貯留ビンを用いて穀物の乾燥処理及び貯留を行う穀物乾燥貯蔵施設に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、個々の生産者からの穀物を集荷して乾燥貯蔵し、籾摺りなどの処理をした後、必要な調整を行い出荷するようにした穀物乾燥貯蔵施設は種々提案されている。この穀物乾燥貯蔵施設は、A型カントリーエレベーター、B型カントリーエレベーター、C型カントリーエレベーターなどと呼ばれ、それぞれ荷受け方式、乾燥方式が異なりながらも火力乾燥を主として施設が建設されてきた。近年になって火力の代わりに除湿機を穀物の乾燥に応用した施設が開発され、折から消費者の良食味志向や安全志向に受け入れられ急速に普及してきた。
【0003】
例えば特開平3−122484号公報には、多数の貯蔵ビン及び籾摺り機などの処理装置を備え、前記乾燥ビンには空調装置で除湿した除湿空気を供給して前記乾燥ビンに搬入した穀物を除湿乾燥するとともに、乾燥した穀物を貯蔵ビンで貯蔵し、必要に応じて貯蔵ビンに貯蔵した穀物を取り出し、籾摺りなどの処理をした後、袋詰めするなどして出荷するようにしたものが提案されている。
【0004】
この乾燥処理設備は、従来の火力乾燥の持つ不都合を解消するものであるが、乾燥中に貯留穀物の上層と下層とに水分差が生じる場合があり、特に、大型の乾燥施設では、乾燥ビンが1ビン当たり50トン容量程度となって、穀物の堆積高さが5m以上になることもあることから、乾燥むらが生じ勝ちとなる。そのために、通常、乾燥ビンとは別に入れ替えビンを設けて、乾燥ビンでの1回の除湿乾燥工程が終了したとき、乾燥ビンの一つから前記入れ替えビンに穀物を入れ替え、空となった乾燥ビンに他の乾燥ビンの穀物を移し、最後に空となった乾燥ビンに入れ替えビンの穀物を移すいわゆるローテーション作業を行い、下層のよく乾燥した穀物と上層の乾きの遅い穀物とを混じり合わせ、その後に、再び除湿乾燥を行うことにより、水分を均一なものとしている。この作業は複数回繰り返され、各乾燥ビンでの穀物の除湿乾燥に乾燥むらが生じないようにしている。
【0005】
しかし、上記のような乾燥貯蔵施設では、多数の乾燥ビンの他に多数の貯蔵ビン及び入れ替えビンを必須とし、それだけ施設費が高くなるばかりでなく、乾燥ビンの多い大型施設では、このローテーション作業が大変な作業量となっている。ローテーション能力は風による排出能力に依存するが、通常の乾燥貯蔵施設のおける排出能力は1時間当たり20〜30トンであり、50トンビンを1つ空にするのに2〜3時間必要となる。例えば1系列10台以上のビンを数系列持つ施設の場合には、このローテーション作業だけで1日を必要とする結果となることもある。
【0006】
その不都合を解消するものとして、図4に示すようなローテーション作業を必要としない穀物乾燥貯蔵施設も提案されている(例えば、特開平7−103648号公報参照)。図において、1は穀物集荷用の荷受けホッパー、2は荷受け昇降機、4は粗選機、5は計量機であり、荷受けされた穀物は、所定量ごと計量された後にビン投入エレベータEからビン投入コンベア11介して、所定のビン(A1〜A7列及びB1〜B7列)に順次等しい厚みで投入される。各ビン列の下方部は除湿空気の供給路(乾燥用空気送風ダクト)Pを形成しており、該供給路Pは空気調和装置20、送風機21に接続していて、除湿空気が供給され、各ビン内の穀物の乾燥に共される。なお、13は、開閉弁付き穀物投入口である。ビン列A1〜A7及びB1〜B7の下方には排出コンベア12が設けてあり、処理済の穀物は該排出コンベア12から、調節タンク6、精選計量設備7、籾摺り調整プラント8、出荷タンク9などからなる穀物搬出部が設けられる。この処理施設において、各ビン(A1〜A7及びB1〜B7)に、収容する穀物を少なくとも上下方向に攪拌することのできる攪拌装置100が取り付けられている点に特徴がある。図において、14は、開閉弁付き穀物取り出し口である。
【0007】
この穀物乾燥貯蔵施設では、各貯留ビン内の穀物は常に攪拌装置100によって少なくとも上下方向の攪拌を受けることとなり、従来の穀物乾燥貯蔵施設におけるようにいわゆるローテーション作業を行わなくとも、除湿空気の供給による乾燥過程においてビン内の穀物に乾燥むらが生じることなく、所望の乾燥処理を終了することができる。また、乾燥処理終了後の穀物をそのままビン内に貯留しておくことが可能であり、遊休ビンもなくすことができ、施設費及び維持費の全体としてのコストダウンとなる。さらにローテーションによる風量ロスを防ぐことができ除湿空気の全量を乾燥に関与させることが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、ローテーション作業を必要とする施設の場合は、ローテーションに時間がかかりすぎる不都合があり、また、乾燥ビンとは別に入れ替えビン(ローテーションビン)の確保が必須であることから、例えば3000トン処理施設では50トンビンが70ビンを越えて設置する必要があった。さらに、荷受けとローテーションを同時にできるようにする場合には、計量が重複するため計量機の数も増やす必要があり、一方、計量機を重複して使用する場合は、荷受け終了後からローテーションを始めなければならず、作業時間が長くかかってしまう不都合もある。
【0009】
また、前記した全ビンに攪拌装置を付設した乾燥貯蔵施設の場合には、ローテーションシステムの施設と比べてビン数は減るものの、施設規模が大型になった昨今は、例えば穀物3000トン処理施設を例にとってみると、品種構成が多品種になった場合、1品種の量が50トン単位になるとは限らないので、穀物貯留ビンの必要数は60ビンを越えることもあり、しかも、全ビンに攪拌装置を設置するとなると制御盤も含めイニシャルコストが高騰する傾向がある。また、通常1台の攪拌装置で3台の電動機を備えており、その動力が一時期に集中して全台稼働するときのランニングコストも侮れないものとなる。また、駆動部が多い分機械的消耗もあり、作業者の保守点検も作業量の多くならざるをえない。
【0010】
本発明は従来の乾燥貯蔵施設が持つ上記のような不都合を解消した新規な穀物乾燥貯蔵施設を提供することにあり、より具体的には、オペレートの煩雑さを増す穀物貯留ビン(例えば、攪拌装置を備えた穀物貯留ビン)を少なくし、保守点検の労を減らしながら、除湿乾燥能力を最大限に引き出すことのできる新たな乾燥貯蔵システムを供給できる穀物乾燥貯蔵施設を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手投】
上記の目的を達成するための本発明による穀物乾燥貯蔵施設は、基本的に、穀物搬入部と、穀物の乾燥及び/又は貯留のための多数の穀物貯留ビンと、穀物貯留ビンに空気を送給する空気供給手段と、処理を終えた穀物を搬出する搬出部とを備えた穀物乾燥貯蔵施設において、前記多数の穀物貯留ビンは、収容する穀物を少なくとも上下方向に攪拌することのできる攪拌装置を備えた第1の穀物貯留ビン群と、前記第1の穀物貯留ビン群で半乾水分まで乾燥した半乾穀物の一時貯留と乾燥穀物の貯留とに用いられる第2の穀物貯留ビン群とから構成されており、前記第2の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンは前記第1の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンよりも大きな容量とされていることを特徴とする。
【0012】
例えば米の場合、荷受けされた収穫米は、初期乾燥として水分を通常24%から17%まで乾燥されて一次貯留され、その後、該一次貯留された半乾穀物が規定水分16〜14.5%以下にまで仕上げ乾燥され、必要に応じて精選、計量後に貯蔵される(なお、この24%は、農林水産省が収穫米の処理計画水分を24%としていることにより、17%は、農林水産省が短期間の1次的貯留を安全に行える基準として無通風にて17%以下で35日間以内の貯留と定めていることによる)。従って、本明細書で「半乾水分」というときは、上記の意味で17%程度となった含水率をいい、「半乾穀物」というときは、上記の意味で17%程度の含水率となった穀物をいい、「仕上げ乾燥」というときは上記の意味で17%程度となった穀物を規定水分16〜14.5%以下にまで乾燥させることをいい、また、「乾燥穀物」というときは、上記の意味で規定水分16〜14.5%以下にまで仕上げ乾燥された状態の穀物をいう。
【0013】
本発明による穀物乾燥貯蔵施設では、穀物生産者から穀物が施設に持ち込まれると、この穀物は、穀物搬入部から第1の穀物貯留ビン群を構成する攪拌装置を備えた穀物貯留ビンに順次投入される。第1の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンは空気を送給する空気供給手段を備えた空気供給路に接続しており、供給される空気により、従来の穀物乾燥貯蔵施設の場合と同様に穀物は乾燥を受ける。本発明において、各穀物貯留ビンには、収容した穀物を少なくとも上下方向に攪拌することのできる攪拌装置が備えられており、該攪拌装置の作用により、乾燥の過程において当該穀物貯留ビン内の穀物は全域にわたって等しく上下方向に攪拌される。そのために従来の穀物乾燥貯蔵施設におけるように、貯留ビン間であるいは乾燥タンクと入れ替えタンクとの間で穀物の入れ替え(ローテーション作業)を行わなくても、当該貯留ビン内に貯留された穀物は貯留ビン内で等しい割合で乾燥された均一な水分のものとなり、同一の貯留ビン内での穀物の除湿乾燥に乾燥むらが生じることはない。
【0014】
また、好ましい態様において、空気供給手段は、除湿機を備えた空気調和装置と送風機と備えており、少なくとも前記攪拌装置が備えられた穀物貯留ビンには前記空気供給手段から除湿空気が送給可能とされている。そのために、搬入された穀物は半乾水分状態まで均一にむらなく乾燥される。
好ましい態様では、前記第1の穀物貯留ビン群には、攪拌装置を備えない穀物貯留ビンがさらに備えられる。これは、後記する半乾穀物の一次貯留及び乾燥穀物の貯蔵という機能に加えて、1日の高水分穀物の荷受け量が設計量以上に持ち込まれたとき、乾燥用としても共することができるようにするためである。
【0015】
以下に、施設設計の一例として、例えば、3日荷受、1日中止日の4日周期で処理を行う場合を例として、本発明による穀物乾燥貯蔵施設を詳細に説明する。この場合には、1日目で荷受けされた穀物は、前記攪拌装置を有する全乾燥貯留ビン数のうちの3分の1のビン数に均等に張り込まれる。2日目に荷受けされた穀物は空いている他の3分の1のビン数に、3日目に荷受けされた穀物は空いている残りの3分の1のビン数に、それぞれ同様に張り込まれる。張り込まれた穀物は、攪拌装置による均等な攪拌と除湿風とにより、緩やかに水分むらが無く乾燥されていく。4日目は荷受け休止日であり、各ビンでは乾燥のみが行われる。
【0016】
5日目には、1日目に投入された穀物が半乾水分状態まで均一に乾燥されており、その半乾穀物は、前記第2の穀物貯留ビン群を構成する穀物貯留ビンに送られる。第2の穀物貯留ビン群ヘ穀物を排出することにより空になったビンに5日目に荷受けされた穀物を再度同じ操作により均等に投入する。以降、この操作を毎日繰り返す。所要日数経過後に、第2の穀物貯留ビン群が満杯になる。その後、もし第1の穀物貯留ビン群に攪拌装置を有しないビンを備える場合には、当該ビンに対しても半乾水分状態となった半乾穀物を満杯になるまで均一に投入する。
【0017】
なお、本発明による穀物乾燥貯蔵施設において、第2の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンは前記第1の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンよりも大きな容量(好ましくは2倍以上)とされているので、第2の穀物貯留ビン群を構成する穀物貯留ビン数を少なくすることができることに加え、第1の穀物貯留ビンと第2の穀物貯留ビンとも平面積を等しくし、ビン高さで容量を決定するようにした場合には、ビン列の並びを合理的に構成することができ、また、ビン群列の平面積が少なくなることから、建築コストの低減かが図れるなどのメリットがある。
【0018】
その後は、前記攪拌装置を有する乾燥貯留ビンに対して、1日目、2日目、3日目と均等に投入を繰り返し、そこで、累積混合攪拌乾燥を行う。累積混合攪拌乾燥も前述のように4日目は乾燥日となる。この繰り返しで施設は設計された穀物荷受け量に対して全量を荷受けすることができ、半乾燥状態まで水分を均一にむらなくゆっくり乾燥することができる。なお、荷受け及び乾燥後期から始まった前記した累積混合攪拌乾燥は、同じビン内で規定の仕上げ乾燥まで乾燥することができるので、操作の簡易性、消責エネルギーを考慮するとそのまま累積混合撹絆乾燥を続行し、仕上げ乾燥まで進むことが望ましい。
【0019】
次に、上記のようにして半乾水分状態とされた穀物の仕上げ乾燥を行う。仕上げ乾燥は、第1の穀物貯留ビン群にそれ用の空の攪拌装置を備えるビンを当初から用意しておき、該ビンに少なくとも攪拌装置を有しない第1の穀物貯留ビン群及び第2の穀物貯留ビン群に貯留されている半乾穀物を順次移し換えて行う。他の方法では、当初から第1の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンの容量を幾分大きめに(例えば、50トンビンの場合に、自然投入で56トン程度まで堆積できるような大きさ)作っておき、累積混合撹絆乾燥を続行することによって仕上げ乾燥までを行った複数本の攪拌装置付きビンのうちの一本のビン内の乾燥穀物を、他の攪拌装置付きビンに分割して一時貯留して一本の空となった攪拌装置付きビンを確保し、該空となったビンに第1の穀物貯留ビン群のうちの攪拌装置を有しないビン及び第2の穀物貯留ビン群に貯留されている半乾穀物を順次移し換えて仕上げ乾燥を行っていく。仕上げ乾燥後に、乾燥穀物は元のビンに戻される。この所作を繰り返すことにより、短期間に半乾状態の貯留穀物は仕上げ乾燥され貯蔵されていく。
【0020】
上記のように、本発明による穀物乾燥貯蔵施設の場合に、仕上げ乾燥は累積混合攪拌乾燥により行うので、施設の操作は殆ど無く監視のみが主な仕事となり人員的にも節約できる。また、第1の穀物貯留ビン群のうちの攪拌装置を有するビンは乾燥ビンと貯蔵ビンとの双方に供することができ、穀物乾燥貯蔵施設全体の運転効率が高く、貯蔵にも無駄が無い、低コストでの運転の可能な施設として提供することができる。
【0021】
また、高含水率穀物の半乾水分までの乾燥及び仕上げ乾燥は、第1の穀物貯留ビン群のうちの攪拌装置を有するビン内で行われる。従って、該攪拌装置を有するビンには、前記空気供給手段から除湿空気が送られることが好ましい。しかし、第1の穀物貯留ビン群のうちの攪拌装置を備えないビン及び第2の穀物貯留ビン群を構成する穀物貯留ビンでは、半乾穀物の一次貯留と乾燥穀物の貯蔵が行われるのみであり、除湿空気を送ることは必ずしも必要ではない。従って、それらのビンには、貯留している穀物の排出に必要な風量の空気が供給可能とされていればよく、施設全体としての省エネルギー化が図られる。
【0022】
本発明において、前記第1の穀物貯留ビン群に、攪拌装置を備えない穀物貯留ビンを備える場合には、前記のように、1日の高水分穀物の荷受け量が設計量以上に持ち込まれたとき、乾燥用としても供できることに加え、穀物搬入部や空気供給路、穀物搬出部などを共通化できるメリットがある。
なお、空気供給路に接続する穀物貯留ビンであって攪拌装置を有する穀物貯留ビンおよび有しない穀物貯留ビンにおいては、乾燥処理の終了後あるいは必要なときにシャッターを閉塞するなどの手段により空気の供給路との接続を絶ち、前記したようにそのまま穀物の貯蔵ビンとして用いうることは、通常の除湿乾燥施設の場合と同様である。
【0023】
好ましくは、前記第1及び第2の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンは多列状に配置されており、該列群の長手方向の一方側には前記穀物の搬入部及び搬出部が配置され、他方側には前記空気供給手段が配置されており、かつ前記列群の上方にはビン投入コンベア及び下方には排出コンベアが配置される。それにより、必要な穀物の搬入、貯留ビンへの投入、貯留ビンからの排出、搬出部への搬入を行うことが可能となり、施設の簡素化を図ることが可能となる。
【0024】
好ましくは、本発明による穀物乾燥貯蔵施設は、断熱壁を擁する建物で覆われており、その中で前記第1の穀物貯留ビン群と第2の穀物貯留ビン群とは並列に配置されており、さらに、一時貯留及び長期貯蔵された穀物を排出する際に各ビンの下方に送り込まれる空気の排風路が前記建築の一部に付設されており、該排風路は他の穀物貯留ビンの排風ファンにより吸引を受けるようにされる。それにより、第2の穀物貯留ビン用として新たな排風ファン及び除塵装置を設置する必要がなく、第1の穀物貯留ビンで使用される排風ファン及び除塵装置を共通で使用することができるなどのメリットがある。
上記の構成であり、本発明による穀物乾燥貯蔵施設はカントリーエレベータを構成する穀物乾燥貯蔵施設として特に好適に用いることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照した実施の形態の説明により本発明をさらに詳細に説明する。図1は本発明による穀物乾燥貯蔵施設を概略フロー図として示すものであり、図2は図1の穀物乾燥貯蔵施設の主要部を示す概略上面図であり、図3は図1の穀物乾燥貯蔵施設の概略正面図である。
この穀物乾燥貯蔵施設には、図1では図示されないが、前記図4において示したと同様、搬入側には、穀物集荷用の荷受けホッパー1、荷受け昇降機2、粗選機4、計量機5などからなる穀物搬入部が設けられ、また、搬出側には、調節タンク6、精選計量設備7、籾摺り調整プラント8、出荷タンク9などからなる穀物搬出部が設けられる(図2参照)。
【0026】
穀物乾燥貯蔵施設は、穀物の乾燥あるいは貯留用のビンとして、図示のものにおいては、A1〜A12、B1〜B12、C1〜C12、及びD1〜D12からなるビン系列が互いに近接して4列に配列しており、後記するように、A列、B列、C列の3系列が本発明でいう「第1の穀物貯留ビン群」を構成し、D系列が「第2の穀物貯留ビン群」を構成する。なお、列数や各列でのビン数は、予定荷受け量に応じて、適宜設定される。
【0027】
第1の穀物貯留ビン群を構成する、A列、B列、C列の各貯留ビンはこの例では50トンビンであり、自然投入状態では最大56トン程度の穀物を収容できる大きさとされている。一方、第2の穀物貯留ビン群を構成するD列の各貯留ビンは、この例では100トンビンであり、図3に示すように、平面積は50トンビンとほぼ同じであるが、高さがほぼ2倍とされている。
【0028】
さらに、第1の穀物貯留ビン群を構成する、A列、B列、C列の各貯留ビンにおいて、各1〜10個の貯留ビンには、槽内の穀物を少なくとも上下方向に攪拌するための攪拌装置100が取り付けられている。この攪拌装置は貯留ビン内の穀物を上下方向に実質的に均一に攪拌できるものであれば任意であるが、本出願人がすでに提案している既に公知の攪拌装置(特開平7−103646号公報、特開平7−155050号公報など参照)は特に有効である。
【0029】
図2、図3に示すように、この穀物乾燥貯蔵施設では、穀物用貯留ビン群の図において右側(以下便宜上、前方側という)近傍には前記した穀物搬入部、搬出部、及び籾の精選計量設備を構成する各部材が配置されており、左側(以下便宜上、後方側という)近傍には前記した空気調和装置20、送風機21とが配置されている。また、A〜Dの各穀物用貯留ビン列の前方側にはビン投入エレベータEがそれぞれ配置されており、さらに、A列、B列及びC列の穀物用貯留ビンの上方位置にはビン投入コンベア11と分散装置付きビン投入移動コンベア11Aとがそれぞれ配置され、D列には100トンビン投入コンベア11Bが配置されている。各A〜D列の穀物用貯留ビンの下方位置には排出コンベア12が設けてあり、その前方端(送り下流端)はビン投入エレベータEの穀物投入口近傍に位置している(図1も参照されたい)。なお、この例では、A列とB列の中間に両列で共用する一本の排出コンベア12、また、C列とD列の中間に両列で共用する一本の排出コンベア12の計2本の排出コンベア12を設けている。
【0030】
さらに、各A〜D各ビン列の下方部は空気の供給路(乾燥用空気送風ダクト)Pを形成しており、A列、B列、C列の供給路Pは、空気調和装置20を備えた送風機21に接続していて、除湿空気が供給され各ビン内の穀物の乾燥に共される。第2の穀物貯留ビン群を構成するD列の貯留ビン下方の供給路Pは送風機21にのみ接続していて、貯留している穀物の排出に必要な風量の空気が供給可能とされている。なお、図2においては、C列とD列の貯留ビンに穀物を投入するビン投入エレベータEへの穀物供給経路は省略されているが、前記した穀物搬入部から同様にして穀物が供給される。
【0031】
上記の穀物乾燥貯蔵施設において、1日目で荷受けされた穀物は、計量機4により所定量(例えば300Kg)毎計量された後に、ビン投入エレベータEからビン投入コンベア11を経てビン投入移動コンベア11Aに投入され、A〜C各列毎に均等に分配される。その際に、各系列の中で1日分を処理する様に設定された攪拌装置100を有する例えば3個の乾燥ビン(1〜3)に均等に分配される。これらの所作は全て荷受けされる穀物の状態(例えば水分含水率、品種、品質等)により全自動にて行われる。
【0032】
2日目に荷受けされた穀物は、空いている他の3分の1の攪拌装置100を有するビン数(4〜6)に、3日目に荷受けされた穀物は空いている残りの3分の1の攪拌装置100を有するビン数(7〜9)に、それぞれ同様に張り込まれる。張り込まれた穀物は、攪拌装置100による均等な攪拌と空気調和装置20を備えた送風機21からの除湿風とにより、緩やかに水分むらが無く乾燥されていく。一日の荷受け量が予定量よりも多くなったときには、10番目のビンにも荷受穀物を収容する。4日目は荷受け休止日であり、各ビン(1〜9)では乾燥のみが行われる。この段階では、当然に、ダンパーを操作して、穀物を収容していないビンには風を送らないようにする。
【0033】
5日目には、1日目に投入された穀物(ビン1〜3に収容されたもの)が半乾水分状態まで均一に乾燥されており、その半乾穀物を、関連する排出コンベア12、ビン投入エレベータE、100トンビン投入コンベア11Bなどを操作して、前記第2の穀物貯留ビン群を構成する穀物貯留ビンD1〜D12に送り込む。第2の穀物貯留ビン群ヘ穀物を排出することにより空になったビン(1〜3)に5日目に荷受けされた穀物を再度同じ操作により均等に投入する。以降、この操作を毎日繰り返すことにより、所要日数経過後には、第2の穀物貯留ビン群D1〜D12が満杯になる。その後は、第1の穀物貯留ビン群のうちの攪拌装置を有しないビン(各列での11番目と12番目のビン)に対しても半乾水分状態となった半乾穀物を満杯になるまで均一に投入する。
【0034】
その状態で、前記攪拌装置を有する乾燥貯留ビン(1〜10)は空となる。そこで、該ビンに対して、1日目、2日目、3日目と均等に投入を繰り返し、そこで、攪拌装置100を作動させながら、累積混合攪拌乾燥を行う。累積混合攪拌乾燥も前述のように4日目は荷受休止日の乾燥日となる。このようにすることにより、設計された穀物荷受け量に対して全量を荷受けし、半乾燥状態まで水分を均一にむらなくゆっくり乾燥することができる。また、前記累積混合攪拌乾燥では、同じビン内で規定の仕上げ乾燥まで乾燥するようにしてもよい。
【0035】
次に、半乾水分状態とされた穀物の仕上げ乾燥を行う。仕上げ乾燥は、第1の穀物貯留ビン群での空の攪拌装置を備えるビン(各10番目のビン)に、攪拌装置を有しない第1の穀物貯留ビン群(11番目及び12番目ビン)及び第2の穀物貯留ビン群(D1〜D12)に貯留されている半乾穀物を順次移し換えて行う。荷受条件によっては、前記攪拌装置を備える各10番目のビンでも累積混合攪拌乾燥が進行している場合が起こりうる。その場合には、累積混合撹絆乾燥を続行することによって仕上げ乾燥までを行った1〜10番目の攪拌装置付きビンのうちの一本のビン内の乾燥穀物を他の攪拌装置付きビンに分割して一時貯留し、一本の空となった攪拌装置付きビンを確保する。そして、該空となったビンを利用して、前記したと同様に半乾穀物を順次移し換えと仕上げ乾燥を行う。仕上げ乾燥後に、乾燥穀物は元のビンに戻される。この所作を繰り返すことにより、短期間に半乾状態の貯留穀物は仕上げ乾燥され貯蔵されていく。
【0036】
本発明による穀物乾燥貯蔵施設において、穀物貯留ビン群の配列や、穀物搬入部、搬出部及び送風機などの空気供給手段の配置に特に制限はないが、図2に示すように、穀物貯留ビン群の長手方向の一方側に穀物の搬入部及び搬出部などを配置し、他方側に空気供給手段を配置するように構成すると、穀物乾燥貯蔵施設全体のコンパクト化が図れる利点がある。
【0037】
また、100トンビンである第2の穀物貯留ビン群(D1〜D12)を、図示の例では、第1の穀物貯留ビン群と並列にしかも並列配置の外側に位置するようにしているが、もちろん中央部に位置させても構わない。その場合は周囲を覆う断熱材が少なくすることができる利点がある。さらに、前記のように、第2の穀物貯留ビン群では、空気は穀物排出用として1ビンの中の穀物を排出できる能力の風量を確保できれば十分であり、従って図示の例では空気調和装置を付設させない、排出専用の送風機21のみを付設しているが、特に図示しないが、A〜C列のビンに除湿空気を送るための空気調和装置を付設した送風機に連結した空気の供給路から、ビン手前で分岐させ第2の穀物貯留ビン群の空気供給路に接続し、ダンバーを付設して第2の穀物貯留ビン群から排出するときのみ必要な風量を分配するようにしてもよい。
【0038】
好ましくは、図2、図3に示すように、穀物乾燥貯蔵施設は、全体が断熱壁を擁する建物で覆われており、その側壁に第1の穀物貯留ビン群の排風ファン40が取り付けられ、該排風ファン40は除塵装置41につながっている。そして、第1の穀物貯留ビン群に送給された除湿空気は前記排風ファン40及び除塵装置41を通過して大気に排出されるようにされる。更に好ましくは、その建築の一部を、第2の穀物貯留ビン群中の穀物を排出させるために使われる送風空気の排風路50として設計し、該排風路50を前記第1の穀物貯留ビン群の排風ファン40によって吸引させるようにされる。この様にすることにより、第2の穀物貯留ビン用として別途排風ファン及び除塵設備を設ける必要がなくなり、穀物乾燥貯蔵施設全体としてのコスト低減が図れる。
【0039】
また、乾燥ビン(第1の穀物貯留ビン群)の2倍以上の容量である穀物貯蔵ビン(第2の穀物貯留ビン群)を設けたことにより、貯蔵用ビン数も少なくすることが可能となり、平面積の縮小、投入用搬送機の数、排出用搬送機の数も最小限度まで少なくすることができ、機械の数が減ることによるコストメリットも大きい。また、4系列の排出コンベアを2ビン系列共用の計2本の排出はコンベアとし、かつ、1系列のビンの中で穀物の投入と排出とを同時にできるようにしていることから、複雑な回路を持たずに完全自動化が実現でき、監視が極めて簡素化され人員不足に悩む所では最少人員によるオベレートが可能になる。
【0040】
【発明の効果】
本発明による穀物乾燥貯蔵施設によれは、従来の攪拌装置のないローテーションを必要とする施設よりローテーション用のビンを多めに確保する必要もなく、また、全ビンに攪拌装置を設置する施設よりビン数も少なく攪拌装置も少なく設置できる。また、容量の大きい穀物貯蔵ビン(第2の穀物貯留ビン)として、容量の小さい穀物貯蔵ビン(第1の穀物貯留ビン)と同じ平面積のものを使用することにより施設全体の設置面積も少なくなることはもとより、ビン数を少なくすることにより、穀物の投入及び排出用の搬送機を少なくすることができる。更に除湿空気の全量を乾燥に関与させることが可能になり、低コスト施設の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による穀物乾燥貯蔵施設を概略フロー図として示す図。
【図2】図1の穀物乾燥貯蔵施設の主要部を示す概略上面図。
【図3】図1の穀物乾燥貯蔵施設の概略正面図。
【図4】従来型による穀物乾燥貯蔵施設を概略フロー図として示す図。
【符号の説明】
A、B、C…第1の穀物貯留ビン群、D…第2の穀物貯留ビン群、P…乾燥用空気送風ダクト、11…ビン投入コンベア、11A…ビン投入移動コンベア、12…排出コンベア、20…空気調和装置、21…送風機、100…攪拌装置

Claims (6)

  1. 穀物搬入部と、穀物の乾燥及び/又は貯留のための多数の穀物貯留ビンと、穀物貯留ビンに空気を送給する空気供給手段と、処理を終えた穀物を搬出する搬出部とを備えた穀物乾燥貯蔵施設において、
    前記多数の穀物貯留ビンは、収容する穀物を少なくとも上下方向に攪拌することのできる攪拌装置を備えた第1の穀物貯留ビン群と、前記第1の穀物貯留ビン群で半乾水分まで乾燥した半乾穀物の一時貯留と乾燥穀物の貯留とに用いられる第2の穀物貯留ビン群とから構成されており、前記第2の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンは前記第1の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンよりも大きな容量とされており、さらに、
    前記穀物乾燥貯蔵施設は建物で覆われており、該建築の一部が前記第2の穀物貯留ビン群中の穀物を排出させるために使われる送風空気の排風路とされており、該排風路は前記第1の穀物貯留ビン群の排風ファンによって吸引させるよう構成されていることを特徴とする穀物乾燥貯蔵施設。
  2. 前記第1の穀物貯留ビン群は、攪拌装置を備えない穀物貯留ビンをさらに備えており、前記攪拌装置を持たない穀物貯留ビンは、主に半乾穀物の一時貯留及び乾燥穀物の貯留に用いられることを特徴とする請求項1記載の穀物乾燥貯蔵施設。
  3. 前記空気供給手段は、除湿機を備えた空気調和装置と送風機と備えており、少なくとも前記第1の穀物貯留ビン群の前記攪拌装置が備えられた穀物貯留ビンには前記空気供給手段から除湿空気が送給可能とされており、かつ、少なくとも第2の穀物貯留ビン群には貯留している穀物の排出に必要な風量の空気が供給可能とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の穀物乾燥貯蔵施設。
  4. 前記第2の穀物貯留ビン群を構成する穀物貯留ビンの容量は前記第1の穀物貯留ビン群を構成する穀物貯留ビンのほぼ2倍の容量であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の穀物乾燥貯蔵施設。
  5. 前記第1及び第2の穀物貯留ビン群を構成する各穀物貯留ビンは多列状に配置されており、該列群の長手方向の一方側には前記穀物の搬入部及び搬出部が配置され、他方側には前記空気供給手段が配置されており、かつ前記列群の上方にはビン投入コンベア及び下方には排出コンベアが配置されていることを特徴とする請求項1ないしいずれか記載の穀物乾燥貯蔵施設。
  6. 前記穀物乾燥貯蔵施設がカントリーエレベータを構成する穀物乾燥貯蔵施設であることを特徴とする請求項1ないしいずれか記載の穀物乾燥貯蔵施設。
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