JP4497822B2 - 電気絶縁材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1kV以上の高電圧に耐えられる、ポリ乳酸系樹脂を含む電気絶縁材料に関する。さらに、ポリ乳酸系樹脂を含む電気絶縁材料を含む、電気ケーブル、電気部品、高電圧電源用モールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、送電線等の高電圧用電気ケーブル絶縁材料として用いられている低密度ポリエチレンは、融点が低く、ケーブル通電時に導体発熱すると絶縁体が加熱され、変形を起こすおそれがあるため、これを防ぐために化学架橋させて用いられている。
【0003】
高電圧用の絶縁材料には、絶縁特性に加えて、絶縁破壊が起こりにくいこと(絶縁破壊電圧が高いこと)が要求される。電気ケーブルは今後益々高電圧化することが予想され、現状の架橋ポリエチレンより高い絶縁破壊強度を有することが望まれている。また、ポリエチレンは、絶縁破壊時の電気トリーが長く伸びるため、絶縁破壊の事前検知が困難であるという問題がある。
【0004】
本発明者らはすでに、高い絶縁破壊強度を示す材料として、ポリ乳酸およびその共重合体を含む、高電圧用電気絶縁材料を見出している(特願2002−87762)。ポリ乳酸及びその共重合体は、従来にない高い絶縁破壊特性を示すが、その一方で、材料に硬さがあるため、広く各種電気絶縁材料として使用するには限界があった。ポリ乳酸材料に柔軟性をもたせる技術として可塑剤を添加する方法があるが、一般に低分子量可塑剤は、経時とともに材料からしみだしてくること(ブリード)が知られており、物性の変化、安定性にかけるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、絶縁破壊電圧が高く、柔軟で、可塑剤のブリードがない、高圧用電気絶縁材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ乳酸系樹脂と脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルとの樹脂組成物を電気絶縁材料として用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位を0.05〜20モル%有し、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である脂肪族ポリエステル1〜50重量%と、乳酸単位を70モル%以上有するポリ乳酸系樹脂99〜50重量%と、を混合し、架橋反応を行わせることにより得られる樹脂組成物を含む高電圧用電気絶縁材料、および該材料を少なくとも一部に含む電気ケーブル、電気部品、高電圧用電源用モールドである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0009】
[ポリ乳酸系樹脂]
本発明において、ポリ乳酸系樹脂とは、ポリ乳酸、乳酸と共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー、およびこれらの混合物を包含する。ポリ乳酸系樹脂は、分子中の全繰り返し構造単位を基準として、乳酸単位を少なくとも70モル%以上有するものである。ポリ乳酸系樹脂のTgは、好ましくは30℃以上である。また、混合物の場合、ポリ乳酸および乳酸と共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー以外の成分は30重量%未満である。
【0010】
これらのポリ乳酸系樹脂のうち、繰り返し構造単位が乳酸単位のみから構成されるポリ乳酸(ホモポリマー)、または、乳酸単位以外のくり返し構造単位を30モル%未満、特に好ましくは10モル%未満含む共重合体が好ましい。乳酸系重合体の繰り返し構造単位としての乳酸には、光学異性体(すなわち、L−乳酸に対するD−乳酸、またはD−乳酸に対するL−乳酸)が含まれていてもよい。光学異性体含有量が0〜10モル%のポリL−乳酸またはポリD−乳酸がより好ましい。すなわち、D−乳酸単位を0〜10モル%含むポリL−乳酸、またはL−乳酸単位を0〜10モル%含むポリD−乳酸が特に好ましい。D−乳酸単位を0〜8モル%含むポリL−乳酸がさらに好ましい。
【0011】
ポリ乳酸系樹脂がコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでも良い。さらに、これらは少なくとも一部が、キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネートや、セルロース、アセチルセルロースやエチルセルロース等の多糖類等の架橋剤で架橋されたものでも良く、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星状、三次元網目構造等のいずれの構造をとっていても良く、何ら制限されない。
【0012】
ポリ乳酸系樹脂がコポリマーの場合、乳酸と共重合可能な多官能性化合物としては、例えば、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸、及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類、α−アミノ酸等のアミノカルボン酸等を挙げることができる。これらのうち、グリコール酸、6−ヒドロキシカプロン酸が好ましく用いられ、その含有量(共重合体組成)は、0〜30モル%である。特に好ましくは0〜10モル%である。
【0013】
これらの共重合可能な多官能性化合物は、一種類又は二種類以上の混合物であっても良く、不斉炭素を有する場合、L体、D体、及びその任意の割合の混合物であっても良い。
【0014】
本発明において使用するポリ乳酸系樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開昭59−096123号、特開平7−033861号等に記載されている、乳酸を直接脱水縮合して得る方法、または、米国特許第4,057,357号、Polymer Bulletin,14巻,491−495頁(1985年)、Makromol.Chem.,187巻,1611−1628頁(1986年)等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法等により得ることができる。
【0015】
本発明において使用するポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されるものではないが、1万〜100万が好ましく、3万〜50万がより好ましく、5万〜30万がさらに好ましい。本発明で使用するポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、その製造方法において、原料の種類、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温度、反応時間、反応系の脱水の程度等の反応条件を適宜選択することにより所望のものに制御することができる。
【0016】
本発明で使用するポリ乳酸系樹脂には、本発明の耐絶縁破壊性能を著しく損なわない範囲で、目的に応じて添加剤を加えることができる。添加剤の例としては、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防菌剤、核形成剤、可塑剤、その他等が挙げられる。これらの添加量はポリ乳酸系樹脂全体に対して10重量%未満であることが望ましい。
【0017】
[脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル]
本発明の電気絶縁材料は、ポリ乳酸系樹脂に、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルを混合することにより得ることができ、混合時、または混合した後に、該脂肪族ポリエステルの脂肪族不飽和結合を架橋反応させることにより良好に相溶した樹脂組成物が得られる。
【0018】
脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルは、分子中の全繰り返し単位を基準として、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し単位を0.05〜20モル%有し、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である。ポリ乳酸系樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との架橋を十分に行なわせ、ポリ乳酸系樹脂の改質効果を発揮させるためには、脂肪族ポリエステル中に脂肪族不飽和結合が含まれていることが必要である。一方、脂肪族不飽和結合の含有量が多すぎる場合には、過度の架橋となり、ポリ乳酸系樹脂の物性を著しく損ねることになり好ましくない。かかる点を考慮すると、脂肪族ポリエステル中の脂肪族不飽和結合を有する結合単位の含有量は、0.05〜20モル%である。さらに好ましくは0.1〜10モル%程度である。
【0019】
脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル中の、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位は、好ましくは脂肪族不飽和多塩基酸単位である。例えばフマル酸単位、マレイン酸単位、イタコン酸単位、シトラコン酸単位等を挙げることができる。特に好ましくは、マレイン酸単位またはイタコン酸である。
【0020】
脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル中の、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位以外の繰り返し構造単位は、脂肪族ポリエステルを形成するものであれば特に制限されないが、乳酸単位が含まれることが好ましい。脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル中に乳酸単位が含まれることにより、ポリ乳酸系樹脂との相溶性が向上し、ポリ乳酸系樹脂の柔軟性向上の効果が高い。脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル中の乳酸単位の含有量は、多すぎると該ポリエステルの柔軟性が失われ、ポリ乳酸系樹脂の可塑化効果が低下するため好ましくない。かかる点を考慮すると、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル中の乳酸単位の含有量は、好ましくはおよそ60モル%以下である。
【0021】
脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル中の、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位および乳酸単位以外の繰り返し構造単位は、好ましくは脂肪族飽和多塩基酸単位と脂肪族ジオール単位を含む。好ましい脂肪族飽和多塩基酸単位としては、例えば、シュウ酸単位、マロン酸単位、コハク酸単位、グルタル酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位等が挙げられる。脂肪族ポリエステルの柔軟性の点から、好ましいものはアジピン酸単位である。また、好ましい脂肪族ジオール単位としては、一般式(1)で表されるアルキレングリコールの重合物から構成される単位等が挙げられる。
【0022】
【化2】
【0023】
脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルの分子量が低すぎる場合には、樹脂組成物の成形後に物性の経時変化や該脂肪族ポリエステルのブリードが生じやすく、好ましくない。一方、分子量が高すぎる場合には、溶融粘度が高くなり、ポリ乳酸系樹脂との混合が困難になるため好ましくない。脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルの分子量は一般的には、GPC(例えば、クロロホル溶媒系)による重量平均分子量換算で、1000以上30万以下程度が好ましく、2000以上10万以下程度がより好ましい。
【0024】
脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルの製造方法は特に限定されない。例えばラクトン類、ラクチド、グリコリド、ヒドロキシカルボン酸類の反応、多価アルコール類と多塩基酸との反応等によって製造することができ、好ましくは多価アルコール類と多塩基酸との反応により製造される。反応に使用するラクトン類、ヒドロキシカルボン酸類、多価アルコール類、多塩基酸類の少なくとも一成分として脂肪族不飽和結合を有する、ラクトン類、ヒドロキシカルボン酸、多価アルコール、多塩基酸を共存させることにより脂肪族ポリエステル中に脂肪族不飽和結合を含有させることができる。脂肪族不飽和結合を有する多塩基酸が特に好ましい。
【0025】
本発明において使用する多価アルコール類としては、一般的には二官能アルコールが好ましい。本発明において使用する多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。さらにグリセリン、トリメチロールプロパン等の三官能以上のアルコールを少量含んでいてもよい。これらの中では、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレングリコール重合体類、および/またはポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0026】
本発明において使用する多塩基酸は一般的には二塩基酸が好ましい。多塩基酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびこれらの無水物を挙げることができる。また、例えばブタンテトラカルボン酸等の三官能以上の多塩基酸を少量含んでいてもよい。
【0027】
反応に使用するラクトン類、ヒドロキシカルボン酸類、多価アルコール類、多塩基酸類の少なくとも一成分として共存させる脂肪族不飽和結合を有する化合物は、脂肪族不飽和多塩基酸が好ましい。本発明において使用する脂肪族不飽和多塩基酸の具体例としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸を挙げることができる。
【0028】
本発明において使用する脂肪族不飽和多塩基酸類の使用量は、重合反応に使用する全成分の0.1〜50モル%が好ましく、0.5〜20モル%がより好ましい。1.0〜10モル%が特に好ましい。
【0029】
また、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルが、乳酸単位を含むものである場合、モノマーとして、乳酸、ラクチドを使用して共重合させることにより製造することができる。
【0030】
本発明において、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルは、少量のウレタン結合を含んでいてもよい。ウレタン結合の含有量は分子中の全繰り返し単位を基準として、およそ10モル%未満である。本発明において、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルは、上述の方法によって得られた脂肪族ポリエステルを例えばジイソシアネート化合物のような結合剤で鎖延長したものであってもよい。
【0031】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位を0.05〜20モル%有し、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である脂肪族ポリエステル1〜50重量%と、乳酸単位を70モル%以上有するポリ乳酸系樹脂99〜50重量%と、を混合し、架橋反応を行わせることにより得られる。好ましくは脂肪族ポリエステルを5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%含む。またポリ乳酸系樹脂を好ましくは95〜60重量%、より好ましくは90〜70重量%含む。本樹脂組成物は以下のように架橋反応によってその一部が架橋されていることが相溶性の点で好ましい。
【0032】
[ポリ乳酸系樹脂と脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルとの架橋]架橋反応は主に脂肪族ポリエステルの構造内に含まれる不飽和結合において起こるものである。架橋反応は、脂肪族ポリエステル相互間ばかりでなく、脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂間においても起こるものと考えられる。この架橋反応は、ポリ乳酸系樹脂中に含まれる乳酸単位のメチン水素の引き抜きを伴うものと考えられる。 架橋が脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸系樹脂間で起きると、両成分を併せ持つ共重合体が生成し、この共重合体が樹脂組成物中の両成分の相溶を促進する。
【0033】
一般に異種の高分子どうしは相溶性に乏しく、ごく一部の例外を除いては均一に混ぜ合わせることが困難である。従って単に柔軟性のある、あるいは液状の高分子(例えば脂肪族不飽和結合を有しない脂肪族ポリエステル)を可塑剤としてポリ乳酸系樹脂に混合しても良好な可塑化効果は得られず、不透明化、可塑剤の分離、ブリードが起こる。一方、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルとポリ乳酸系樹脂間の架橋反応を伴った本発明の樹脂組成物は、上記の理由により特に透明性に優れ、可塑剤のブリードもない、柔軟性の向上した成形物を与える。
【0034】
本発明において脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルを架橋する方法は、特に限定されない。架橋反応は主に熱、光、紫外線、電子線によって引き起こされる。ラジカルを発生する開始剤、及び/または増感剤を使用することにより、容易に起こさせることができる。開始剤、増感剤は公知のものを使用することができる。熱架橋反応の場合のラジカル発生開始剤は、公知の過酸化ベンゾイル、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の過酸化物およびアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が用いられる。これらは1種または2種以上混合して使用される。これらのラジカル開始剤は、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で用いられる。熱による架橋反応の場合、架橋反応の温度及び時間は、混合するポリ乳酸系樹脂の量、使用するラジカル開始剤の種類等によって適宜選択される。
【0035】
紫外線等の光によって架橋反応を行う場合、使用する増感剤は特に限定されない。例えば、公知の4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ―2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル―1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4‘−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジシソプロピルチオキサンソン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、カンファーキノン、ジベンソスベロン、2−エチルアンスラキノン、4‘,4“−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4‘−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が用いられる。これらは1種または2種以上混合して使用される。これらの増感剤は、脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で用いられる。さらに上述のラジカル発生開始剤を併用することもできる。ガンマー線による架橋反応ではラジカル開始剤を特に必要としない。
【0036】
[用途]
本発明の樹脂組成物は、絶縁性が高くかつ柔軟性を有するので、電気絶縁材料として広く用いることができる。
【0037】
本発明の樹脂組成物の柔軟性は例えば、フィルムの引張試験等により評価される。例えば単独のポリ乳酸は硬いことで知られているが、ポリ乳酸を加熱プレスして得られるフィルムは、およそ3500MPa程度の引張弾性率を示す。これに対し、本発明の樹脂組成物を同様にプレスフィルムを作成すると、その引張弾性率は3000MPa以下、さらには2500MPa以下を示すことも可能である。
【0038】
本発明の電気絶縁材料の絶縁破壊電圧は500kV/mm以上、好ましくは550kV/mm以上である。
【0039】
本発明の電気絶縁材料は、例えば、電線・ケーブル用被覆材料、民生用・産業用電子機器、複写機・コンピューター・プリンター等のOA機器、計器類などの一般絶縁材料、硬質プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、衛生通信機器用などの高周波回路基板、液晶基板・光メモリー・自動車や航空機のデフロスタ等の面発熱体等の透明導電性フィルムの基材、各種メモリー・トランジスタ・IC・LSI・LED・MCM等の半導体素子及び封止材及び部品、モーター、コンクター、スイッチ、センサー等の電気・電子部品の封止材料、テレビやビデオカメラ等のボディ材料、パラボラアンテナ、フラットアンテナ、レーダードームの構造部材、マルチチップモジュール内部における、配線と配線との間の層間絶縁膜、あるいは絶縁膜、平坦化膜、表面保護膜及びフレキシブル回路用基材等を挙げることができる。
【0040】
本発明のポリ乳酸系樹脂を含む高電圧用電気絶縁材料は、絶縁破壊電圧が高いことから、特に高圧用絶縁材料として好適に使用される。例えば、送電等に用いられる電気ケーブル、高電圧電源用モールド等に用いることができる。
【0041】
高電圧用電気ケーブルとしては、少なくとも導体を、ポリ乳酸系樹脂を含む絶縁層で被覆した電線ケーブルであり、必要に応じて、導体部分を集合線にしたり、導体と絶縁層の間に半導電層を設けることや、絶縁層の外部に難燃性の樹脂層を構成したりすることができる。また、銅製の集合線からなるワイヤーに導電性炭素または金属粉を加えた樹脂組成物を被覆して半導電層とし、その上にポリ乳酸系樹脂を被覆し絶縁層を構成し、更にそのうえに金属シートで被覆または半導電層を設け、最外部に難燃性樹脂や鼠忌避性樹脂を被覆してなるケーブル、銅製の単線に炭素または金属粉を加えた樹脂組成物を被覆して半導電層とし、その上にポリ乳酸系樹脂を被覆し絶縁層を構成し、更にその上に金属フィルム層を設け、かかる銅線被覆体を数本〜数十本組み合わせ最外部に難燃性樹脂や鼠忌避樹脂を被覆してなるケーブル等が挙げられるが、ポリ乳酸系樹脂は高圧の電気に対して特に効果が著しく、大容量ケーブル、直流ケーブルとして好適に使用される。
【0042】
本発明の電気ケーブル用絶縁用材料は、6.6kV以上の電力ケーブル、66kV以上の電力ケーブルに好適に用いられる。該電気ケーブル絶縁材料を使用した本発明の電気ケーブルは公知の方法によって形成される。また、本発明のケーブルの構造としては、導体上に連続被覆にて形成される。また、本発明のケーブルの構造としては、導体上に単独一層で絶縁体を被覆したもの、ジャケット付きのもの、導体上セパレータ付きのもの、導体上、絶縁体上に半導体層を付与したもの等が挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0044】
▲1▼重量平均分子量(Mw)
ポリ乳酸系樹脂および脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステルのMwは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として以下の条件で評価した。
装置 :Shodex GPCsystem−11
カラム:PLgel 5μm MIXED−C(ポリマーラボラトリー社製)
溶媒 :クロロホルム
濃度 :1重量%
注入量:20μL
流速 :1.0mL/min 。
【0045】
▲2▼ガラス転移点(Tg)
示差走査熱量計(DSC−3100、マックサイエンス社製)を用い、−100〜200℃の範囲で測定した。昇温速度:10℃/min。
【0046】
▲3▼引張試験
フィルム試料の引張強度、引張弾性率、伸びは、JIS Z−7127に規定される方法にて測定した。
【0047】
▲4▼ヘイズ
JIS K−7105に従い、東京電色製Haze Meterを使用して測定した。
【0048】
[調製例1]脂肪族ポリエステルA1の製造
攪拌機、ヒーター、温度計及び窒素ラインを備えたセパラブル・フラスコに、トリエチレングリコール151.7g、アジピン酸141.8g、マレイン酸3.5gを仕込んだ。各成分の組成比は、トリエチレングリコール50モル%、アジピン酸47モル%、マレイン酸3モル%であった。チタンテトライソプポキサイド0.07g、ハイドロキノン0.1gを加え、窒素を流しながら150℃で3時間反応させ、次いで2kPaまで系内を減圧にして水を留出させながら、150℃でさらに20時間反応させた。反応溶液をいったん室温まで冷却し、2.5重量%のヘキサメチレンジイソシアネートを加え、100℃、400Paの減圧条件下で2時間鎖延長反応を行った。冷却後、得られた脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は56000であった。ガラス転移点(Tg)は−40℃であった。
【0049】
[調製例2]脂肪族ポリエステルA2の製造
攪拌機、ヒーター、温度計及び窒素ラインを備えたセパラブル・フラスコに、90%L−乳酸750.7g、イタコン酸48.8gを仕込んだ。各成分の組成比は、L−乳酸95.2モル%、イタコン酸4.8モル%であった。窒素を流しながら140℃で2時間反応させ、次いで1時間かけて徐々に6.6kPaまで減圧にし、6.6kPaで2時間、更に160℃まで昇温、1.3kPaまで系内を減圧にして水を留出させながら7時間反応させた。得られたオリゴマー(重量平均分子量2100)246.0gに、トリエチレングリコール525.6g、エチレングリコール10.9g、アジピン酸496.2g、ハイドロキノン0.7g、チタンテトライソプロポキサイド0.07gを加えた。各成分の組成比は、L−乳酸31.0モル%、イタコン酸1.6モル%、トリエチレングリコール34.2モル%、アジピン酸33.3モル%であった。窒素を流しながら160℃で3時間反応、次いで窒素を止め、1.3kPaまで系内を減圧にして水及びエチレングリコールを留出させながら160℃で8時間、180℃で6時間、190℃で17時間、200℃で5時間反応を行なった。冷却後、得られた脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は22000であった。ガラス転移点(Tg)は−40℃であった。
【0050】
[調製例3]脂肪族ポリエステルA3の製造
攪拌機、ヒーター、温度計及び窒素ラインを備えたセパラブル・フラスコに、90%L−乳酸750.7g、イタコン酸24.4gを仕込んだ。各成分の組成比は、L−乳酸97.6モル%、イタコン酸2.4モル%であった。窒素を流しながら140℃で2時間反応させ、次いで1時間かけて徐々に6.6kPaまで減圧にし、6.6kPaで2時間、更に160℃まで昇温、1.3kPaまで系内を減圧にして水を留出させながら12時間反応させた。得られたオリゴマー(重量平均分子量3500)198.8gに、トリエチレングリコール225.3g、エチレングリコール4.7g、アジピン酸212.6g、ハイドロキノン0.3g、チタンテトライソプロポキサイド0.03gを加えた。各成分の組成比は、L−乳酸46.8モル%、イタコン酸1.2モル%、トリエチレングリコール26.4モル%、アジピン酸25.6モル%であった。窒素を流しながら160℃で4時間反応、次いで窒素を止め、200℃、1.3kPaまで系内を減圧にして水及びエチレングリコールを留出させながら18時間反応を行なった。冷却後、得られた脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は22000であった。ガラス転移点(Tg)は−35℃であった。
【0051】
[調製例4]架橋ポリエチレンPEの製造
低密度ポリエチレン(三井化学製、ミラソンSL011)300gに触媒入りポリエチレン(三井化学製、SLMB12)23.1gを混合し、165℃でシート成形した(シート厚0.1mm)。その後シートを80℃の水中に浸漬して一晩放置して架橋反応を行った後、シートを取り出してよく乾燥した。
【0052】
[実施例1]
三井化学製ポリ乳酸(登録商標LACEA グレードH−100、Mw150000)70重量部に、調製例1で得られた脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル(ポリエステルA1)30重量部を加え、二軸混練機型式 (東洋精機製ラボプラストミル80C100)を用いて200℃で2分間混練した。そこへ、ラジカル発生開始剤となる過酸化物として、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂製、商品名:パーヘキサ25B)を樹脂合計量に対して0.3重量%加えて、さらに200℃で3分間混練した。混練中に明らかに温度と粘度の上昇が見られ、架橋反応が進行したことを示した。得られた樹脂組成物を熱プレス機(東洋精機製MP−WCH)により200℃、10MPaでプレスして厚み150μmのフィルムを得た。
【0053】
フィルムのヘイズは11%であり、十分に透明であり、均一性の高いフィルムであることを示していた。フィルム表面を黙視にて観察したところ、ポリエステルA1のブリード(滲み出し)は認められなかった。JIS K−7127に規定される方法により引張試験を行ない、フィルムの弾性率を測定したところ、ポリ乳酸単独のフィルム(比較例2)よりも低い値を示し、明らかに柔軟化されていた。(引張弾性率1100MPa、降伏強度20.1MPa、破断強度19.0MPa、伸び220%)
この成形体試料を2個の3/4インチのSUS球電極にはさみ、波形1.2×50μ秒のインパルス電圧を3kVstepで3回印加して、試料が破壊された時の電圧を測定したところ、602kV/mmであり、通常当該分野で用いられる架橋ポリエチレン(比較例1)より高い値を示した。絶縁破壊時の電気トリー形状も良好であった。
【0054】
[比較例1]
調製例4で得られた架橋ポリエチレンの成形体(0.1mm厚)を、実施例1と同様にインパルス絶縁破壊電圧を測定したところ、483kV/mmであった。絶縁破壊時の電気トリーが長く伸びており、絶縁破壊の事前検知が困難であるという問題があった。
【0055】
[比較例2]
三井化学製ポリ乳酸(登録商標LACEA グレードH−100、Mw150000)のみを用い、プレス成形により厚み150μmのフィルムを得た。フィルムは透明であった(ヘイズ1%)が、硬くてごわごわし、折り曲げると白化した(微小なきずを生じた)。そのため、電線やケーブルに使用するにはやや難があった。フィルムの引張試験を行なったところ、引張弾性率3700MPa、降伏強度53MPa、破断強度60MPa、伸び3%であった。実施例1と同様にインパルス絶縁破壊電圧を測定したところ、702kV/mmであった。絶縁破壊時の電気トリー形状も良好であった。
【0056】
[実施例2]
三井化学製ポリ乳酸(登録商標LACEA グレードH−100、Mw150000)80重量部に、調製例2で得られた脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル(ポリエステルA2)20重量部を加え、実施例1と同様に二軸混練機型式を用いて、混練、およびラジカル架橋を行なった後、得られた樹脂組成物を熱プレス機を用いてプレス成形し、厚み150μmのフィルムを得た。
【0057】
フィルムのヘイズは4%であり、十分に透明であり、均一性の高いフィルムであることを示していた。フィルム表面を黙視にて観察したところ、ポリエステルA2のブリード(滲み出し)は認められなかった。フィルムの弾性率を測定したところ、ポリ乳酸単独のフィルム(比較例2)よりも低い値を示し、明らかに柔軟化されていた。(引張弾性率2511MPa、降伏強度56.9MPa、破断強度73.1MPa、伸び293%)
この成形体試料を実施例1と同様に絶縁破壊試験に供したところ、破壊電圧は573kV/mmであり、通常当該分野で用いられる架橋ポリエチレン(比較例1)より高い値を示した。絶縁破壊時の電気トリー形状も良好であった。
【0058】
[実施例3]
三井化学製ポリ乳酸(登録商標LACEA グレードH−100、Mw150000)80重量部に、調製例3で得られた脂肪族不飽和結合を有する脂肪族ポリエステル(ポリエステルA3)20重量部を加え、実施例1と同様に二軸混練機型式を用いて、混練、およびラジカル架橋を行なった後、得られた樹脂組成物を熱プレス機を用いてプレス成形し、厚み150μmのフィルムを得た。
【0059】
フィルムのヘイズは0.5%であり、非常に透明であり、均一性の高いフィルムであることを示していた。フィルム表面を黙視にて観察したところ、ポリエステルA3のブリード(滲み出し)は認められなかった。フィルムの弾性率を測定したところ、ポリ乳酸単独のフィルム(比較例2)よりも低い値を示し、明らかに柔軟化されていた。(引張弾性率2548MPa、降伏強度55.7MPa、破断強度70.5MPa、伸び286%)
この成形体試料を実施例1と同様に絶縁破壊試験に供したところ、装置の測定上限(700kV/mmを超える電圧をかけても破壊しなかった。破壊電圧は750kV/mm以上であると推測される。
【0060】
【発明の効果】
本発明の高圧用電気絶縁材料は、絶縁破壊電圧が高く、かつ柔軟性に優れる材料であり、絶縁用途等、種々の分野で幅広く使用することができる。
Claims (8)
- 脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位を0.05〜20モル%有し、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である脂肪族ポリエステル1〜50重量%と、
乳酸単位を70モル%以上有するポリ乳酸系樹脂99〜50重量%と、
を混合し、架橋反応を行わせることにより得られる樹脂組成物を含む高電圧用電気絶縁材料。 - 前記ポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸単位および/またはD−乳酸単位から構成され、全繰り返し構造単位中のD−乳酸単位が0〜10モル%または90〜100モル%であり、
前記脂肪族ポリエステルは、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位として脂肪族不飽和多塩基酸単位を含み、脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位以外の繰り返し構造単位として、脂肪族飽和多塩基酸単位と脂肪族ジオール単位とを含む請求項1に記載の高電圧用電気絶縁材料。 - 前記脂肪族不飽和多塩基酸単位が、フマル酸単位、マレイン酸単位、イタコン酸単位、シトラコン酸単位からなる群から選択された少なくとも1種であり、
前記脂肪族飽和多塩基酸単位が、マロン酸単位、コハク酸単位、グルタル酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位を含む群から選択された少なくとも1種であり、
前記脂肪族ジオール単位が、一般式(1)で表されるアルキレングリコール重合物から構成される単位を含む群から選択された少なくとも1種である請求項2に記載の高電圧用電気絶縁材料。
- 前記脂肪族ポリエステルが、
脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位としてマレイン酸単位またはイタコン酸単位を0.05〜20モル%有し、
脂肪族不飽和結合を有する繰り返し構造単位以外の繰り返し構造単位として乳酸単位0〜60モル%、脂肪族飽和多塩基酸単位、及び脂肪族ジオール単位を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高電圧用電気絶縁材料。 - 引張弾性率が3000MPa以下、絶縁破壊電圧が500kV/mm以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高電圧用電気絶縁材料。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高電圧用電気絶縁材料を、少なくとも一部に含む電気ケーブル。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高電圧用電気絶縁材料を、少なくとも一部に含む電気部品。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高電圧用電気絶縁材料を、少なくとも一部に含む高電圧電源用モールド。
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