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JP4495319B2 - カーカスプライ形成用の生プライ、及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

カーカスプライ形成用の生プライ、及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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JP4495319B2 JP2000255892A JP2000255892A JP4495319B2 JP 4495319 B2 JP4495319 B2 JP 4495319B2 JP 2000255892 A JP2000255892 A JP 2000255892A JP 2000255892 A JP2000255892 A JP 2000255892A JP 4495319 B2 JP4495319 B2 JP 4495319B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ構成部材間に発生しやすい空気溜まりを効果的に分散でき、加硫後のタイヤの耐久性やユニフォミティーを向上しうるカーカスプライ形成用の生プライ、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
空気入りタイヤは、例えばインナーライナゴム、カーカスプライ、クリンチエーペックスゴム、ビードエーペックスゴム、サイドウォールゴム、ベルトブレーカプライ、トレッドゴムなどの各種のタイヤ構成部材を重ね合わせて貼着することによって形成している。従って、内外に重なるタイヤ構成部材間には、空気溜まりが発生しやすい。
【0003】
特に、図5に示すように、カーカスのプライ本体部a1とプライ折返し部a2とビードエーペックスゴムbとの交わり部分j1、及びプライ折返し部a2とサイドウォールゴムcとクリンチエーペックスゴムdとの交わり部分j2等では、空気溜まりh(斜線模様で示す)が発生しやすく、完成タイヤの耐久性やユニフォミティーを低下させる原因となっている。
【0004】
そこで本発明は、カーカスプライ形成用の生プライの両面に、ビード部間を連続してのびるリブ状又は溝状の条部を、所定の間隔で形成することを基本として、残留空気が集中することなくこの条部を通って広く分散させることができ、耐久性やユニフォミティーを向上しうるカーカスプライ形成用の生プライ、及びそれを用いた空気入りタイヤの提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、タイヤのカーカスプライ形成用の生プライであって、
カーカスコードが平行に引き揃えられたコード配列体をトッピングゴムにより被覆したプライ基体の両面に、リブ状又は溝状をなしビード部間を連続してのびる残留空気分散用の条部を、タイヤ周方向の20cmの基準長さL1当たり1〜10本形成したことを特徴としている。
【0006】
また請求項2の発明では、前記カーカスコードは、基準のカーカスコードと、この基準のカーカスコードより小径又は大径な補助のカーカスコードとを含み、前記トッピングゴムのカーカスコードへの被覆厚さを略一定とすることにより、この補助のカーカスコードの位置に、前記条部が形成されたことを特徴としている。
【0007】
また請求項3の発明では、前記補助のカーカスコードの直径は、基準のカーカスコードの直径の30〜80%、又は130〜180%であることを特徴としている。
【0008】
また請求項4の発明は、空気入りタイヤであって、前記請求項1〜3の何れかのカーカスプライ形成用の生プライを用いて少なくとも1枚のカーカスプライを形成したことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明に係わるカーカスプライ形成用の生プライを用いて形成した空気入りタイヤの子午断面を示している。
【0010】
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびるサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具えている。また前記ビード部4、4間にはカーカス6が架け渡されるとともに、トレッド部2の内方かつカーカス6の外側には強靱なベルト層7が周方向に巻装される。
【0011】
前記ベルト層7は、高弾性のベルトコードをタイヤ周方向に対して10゜〜35゜の角度で傾斜配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される場合を例示する。各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように向きを違えて配され、これによるコードのトライアングル構造によってベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して補強する。ベルトコードとしては、スチールコード或いは、スチールに近い強度を有する例えば芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の高弾性の有機繊維コードが好適に使用される。
【0012】
又前記カーカス6は、カーカスコード12をタイヤ周方向に対して、例えば75゜〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される場合を例示している。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが好適に使用されるが、スチールコード等も要求により使用できる、
【0013】
このカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りで内側から外側に折り返されて係止されるプライ折返し部6bを有する。そして、該プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビードエーペックスゴム8が配される。
【0014】
ここで、本例では、前記プライ折返し部6bの半径方向外端のビードベースラインBLからの高さH1を、前記ビードエーペックスゴム8の外端8Eの高さH2よりも大とした所謂ハイターンアップ構造をなし、前記ビードエーペックスゴム8と協同してビード部4を補強しかつタイヤ横剛性を高めている。なお前記プライ折返し部6bは、前記ビードエーペックスゴム8の外端8Eよりも半径方向外方では、プライ本体部6aと隣接してのびる隣接領域Yを形成する。
【0015】
従って、本例では、プライ本体部6aとプライ折返し部6bとビードエーペックスゴム8との交わり部分J1、即ち前記外端8Eの近傍部分に、空気溜まりが発生しやすい構造となっている。
【0016】
又前記カーカスプライ6Aには、その外側に、タイヤ外皮をなすクリンチエーペックスゴム10及びサイドウォールゴム11が隣接する。
【0017】
なお前記クリンチエーペックスゴム10は、耐摩耗性に優れるリムズレ防止用の硬質のゴムからなり、ビードヒール部分4hからリムフランジに沿って立上がるとともに、その半径方向外縁線Kで前記サイドウォールゴム11と接合する。この外縁線Kは、本例では、ビードエーペックスゴム8の前記外端8Eよりも低所(半径方向内側)の位置で、プライ折返し部6bと交差する場合を例示している。前記サイドウォールゴム11は、柔軟な軟質のゴムからなり、プライ折返し部6b及びプライ本体部6aに順次接しながら、前記外縁線Kからトレッド部2に至り延在する。
【0018】
従って、前記プライ折返し部6bとサイドウォールゴム11とクリンチエーペックスゴム10との交わり部分J2、即ち前記外縁線Kとプライ折返し部6bとの交点近傍にも空気溜まりが発生しやすい構造となっている。
【0019】
そして、本実施態様の空気入りタイヤ1では、前記カーカスプライ6Aを、図2(A)、(B)に例示する如き断面形状の生プライ13を用いて形成している。そして、これによって前記交わり部分J1、J2等で空気溜まりが発生する場合にも、その残留空気をビード部4、4間で広範囲に分散でき、空気溜まりの大きさを低く抑え、完成タイヤに及ぼす耐久性やユニフォミティー等への悪影響を回避させるのである。
【0020】
詳しくは、前記生プライ13は、カーカスコード12が平行に引き揃えられたコード配列体14をトッピングゴム15により被覆したシート状のプライ基体16を具える。又このプライ基体16の両面には、リブ状又は溝状をなしビード部4、4間を連続してのびる残留空気分散用の複数本の条部17を、タイヤ周方向の20cmの基準長さL1(図3に示す)当たり1〜10本の割合で形成している。
【0021】
なお図2(A)には、前記カーカスコード12が、基準のカーカスコード12Aと、この基準のカーカスコード12Aよりも小径な補助のカーカスコード12Bとを含み、前記トッピングゴム15のカーカスコード12への被覆厚さTを略一定とすることにより、この補助のカーカスコード12Bの位置に、前記条部17が、溝状体17Bとして形成される場合を例示している。
【0022】
又図2(B)には、カーカスコード12が、基準のカーカスコード12Aと、この基準のカーカスコード12Aよりも大径な補助のカーカスコード12Cとを含み、前記トッピングゴム15の被覆厚さTを略一定とすることにより、この補助のカーカスコード12Cの位置に、前記条部17が、リブ状体17Cとして形成される場合を例示している。何れの場合にも、前記条部17は、前記補助のカーカスコード12B又は12C上を、この補助のカーカスコード12B又は12Cに沿って形成されている。
【0023】
このような生プライ13を用いて形成した生タイヤは、その内部に空気溜まりが生じた場合にも、前記条部17を伝わって残留空気を逃がすなどビード部4、4間で広く分散させることができ、大きな空気溜まりの発生を効果的に抑制し、完成タイヤに及ぼす耐久性やユニフォミティー等への悪影響を回避できる。
【0024】
ここで、前記補助のカーカスコード12B、12Cの直径DB、DCは、夫々前記基準のカーカスコード12Aの直径DAの30〜80%、又は130〜180%とすることが好ましい。これは、前記条部17とプライ基体16表面との間の段差Gが、本例では、前記基準のカーカスコード12Aの直径DAと、前記補助のカーカスコード12B、12Cの直径DB、DCとの差に基づいて形成されるためであり、これによって前記段差Gを、好適な値でかつ安定して得ることができる。
【0025】
すなわち、溝状体17Bの場合には、約0、1×DA〜0.35×DAの範囲の凹み深さG1を安定して確保でき、リブ状体17Cの場合には、約0、15×DA〜0.40×DAの範囲の突出高さG2を安定して確保できるのである。なお前記「約」とは、トッピングゴム15の前記被覆厚さTのバラツキを考慮したものであり±0.1mmの誤差を意味する。
【0026】
前記直径DBが0.8×DAより大、又は直径DCが1.3×DAより小の時、前記段差Gが過小となって、空気分散効果を充分に発揮することができなくなる。逆に前記直径DBが0.3×DAより小、又は直径DCが1.8×DAより大の時、前記段差Gが過大となって、条部17に空気が残る傾向となるなど、条部17自体が空気溜まりの発生原因となる危険性が生じる。
【0027】
そのために、直径DB、DCは、夫々前記直径DAの50〜65%、及び150〜165%とするのがさらに好ましい。
【0028】
又条部17の形成本数Nが、前記基準長さL1(20cm)当たり1本未満では、条部17、17間に大きな空気溜まりが残存する確率が高くなり、又10本をこえると、条部17自体が空気溜まりの発生原因となる危険性が生じる。従って前記形成本数Nは、3〜6本が好ましい。
【0029】
ここで、本例では、前記条部17を安定して得るため、その断面形状を矩形状或いは台形状とした好ましい場合を例示しており、また同じ目的で、その巾Wを前記段差Gの2〜7倍で形成している。
【0030】
なお前記生プライ13におけるカーカスコード12の打ち込み密度、及び基準のカーカスコード12Aの直径DAは、要求するカーカス6の性能に応じて適宜設定しうるなど本願では特に規制されないが、従来的な生プライの場合と同様、打ち込み密度では20〜70(本/5cm)の範囲が、又直径DAでは0.45〜1.50mmの範囲が一般に採用できる。又前記被覆厚さT自体も、従来的生プライと同様、0.1〜1.5mmの範囲が採用できる。
【0031】
又前記生プライ13では、カーカスプライ6Aと、このカーカスプライ6Aに隣接する他のタイヤ構成部材(例えばビードエーペックスゴム8、サイドウォールゴム11、クリンチエーペックスゴム10等)との間、及びプライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間が、条部17によって凹凸状に噛み合って接合する。その結果、この接合面における剪断方向の接合強度が増し、層間剥離などを抑制する等耐久性の向上にも期待できる。
【0032】
次に、図4(A)、(B)に、生プライ13の他の実施例を示す。
図4(A)において、生プライ13は、プライ基体16の両面に、溝状体17Bとリブ状体17Cとの双方を混在して形成した場合を例示している。なお溝状体17Bとリブ状体17Cとは、交互に或いは特定の順序で配列させることができる。係る場合にも、溝状体17B下及びリブ状体17C下には、補助のカーカスコード12B及び12Cが通っている。
【0033】
又図4(B)では、カーカスコード12が基準のカーカスコード12Aのみからなり、トッピングゴム15による被覆厚さTを部分的に違えることによって、条部17(図にはリブ状体17C)を形成している。係る場合には、条部17の形状安定性に劣るものの空気分散効果を発揮することは可能である。
【0034】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、例えばバイアスタイヤのカーカスプライ用として生プライを形成しうる等、種々の態様に変形して実施しうる。
【0035】
【実施例】
表1の仕様の生プライを用いて、図1に示す構造の空気入りタイヤを加硫成形して製造するとともに、製造後のタイヤの空気溜りによる不良率を従来タイヤと比較した。
【0036】
(1)不良率
空気溜りによる膨れ発生の有無を目視テストによって確認した。
【0037】
【表1】
Figure 0004495319
【0038】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、タイヤ構成部材間に発生しやすい空気溜まりを効果的に分散でき、加硫後のタイヤの耐久性やユニフォミティーを向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤの断面図である。
【図2】(A)、(B)は、それに用いる生プライの断面図である。
【図3】基準長さを説明する生プライの略平面図である。
【図4】(A)、(B)は、生プライの他の例を示す断面図である。
【図5】従来タイヤの問題点を説明する断面図である。
【符号の説明】
4 ビード部
6A カーカスプライ
12 カーカスコード
12A 基準のカーカスコード
12B、12C 補助のカーカスコード
13 生プライ
14 コード配列体
15 トッピングゴム
16 プライ基体
17 条部
T 被覆厚さ

Claims (4)

  1. タイヤのカーカスプライ形成用の生プライであって、
    カーカスコードが平行に引き揃えられたコード配列体をトッピングゴムにより被覆したプライ基体の両面に、リブ状又は溝状をなしビード部間を連続してのびる残留空気分散用の条部を、タイヤ周方向の20cmの基準長さL1当たり1〜10本形成してなるカーカスプライ形成用の生プライ。
  2. 前記カーカスコードは、基準のカーカスコードと、この基準のカーカスコードより小径又は大径な補助のカーカスコードとを含み、前記トッピングゴムのカーカスコードへの被覆厚さを略一定とすることにより、この補助のカーカスコードの位置に、前記条部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のカーカスプライ形成用の生プライ。
  3. 前記補助のカーカスコードの直径は、基準のカーカスコードの直径の30〜80%、又は130〜180%であることを特徴とする請求項2記載のカーカスプライ形成用の生プライ。
  4. 請求項1〜3の何れかのカーカスプライ形成用の生プライを用いて少なくとも1枚のカーカスプライを形成してなる空気入りタイヤ。
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