JP4487050B2 - 体内用医療装置 - Google Patents
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Description
そこで、例えば特許文献1のように、患者体内の組織における病変部を治療する際、病変部及びその周辺を不必要に傷つけてしまうのを防ぐために、吸引により病変部を保持する保持部材が提案されている。
なお、治療を行う対象部位と切開具との相対位置が定まらないことによって切除作業が困難となるのは、前記内視鏡による治療の場合のみならず、開腹による手術の場合においても同様である。さらに、治療のみならず、動いている臓器の一部についてセンサを用いて診断を行う場合においても、センサと対象部位との相対位置が定まらないと、正確な診断が困難となる。
これにより、機能エレメントが体内で移動しても検出手段によって、当該機能エレメントの組織上での位置を検出することが可能となる。また、診断のための機能を有する機能エレメントの場合、移動しながら当該機能エレメントによって診断を行えば、組織の面に沿った診断が行え、面状の診断結果(診断マップ)を得ることができる。
これによれば、関節部に曲がり運動を生じさせることで、前記組織に凹凸があっても機能エレメントを適切に組織に装着させること可能となる。
これにより、固定手段の吸引部を組織に対して吸引により固定させることで、機能エレメントを当該組織に対してしっかりと装着させることができ、また、固定手段が組織に対して傷を負わせるのを抑制することができる。さらに、吸引部における吸引を解除すれば固定解除が行われ、固定手段の構成が簡素化される。
この場合、固定手段は膜部材を介して組織と接触し、空間部が吸引されて当該組織に吸着されるため、固定手段が組織側からの体液を吸引によって吸い込むことを防止できる。
また、この場合、前記機能エレメント及び前記固定手段は前記挿入補助器具から取り外し可能とされているのが好ましい。これにより、機能エレメント及び固定手段を体内に残すことができる。
図1はこの発明の体内用医療装置の実施の一形態を示す概略図である。この体内用医療装置は、診断と治療のうちの少なくとも一方のための機能エレメント1を、患者の胸腔内や腹腔内といった体腔内など、体壁から内側の生体組織に対して装着させ、当該機能エレメント1を機能させるものである。例えば、この体内用医療装置は臓器の外面や内面側に装着されることで、当該臓器に対して診断や治療を行うことができるものである。
機能エレメント1は、患者の体壁から内側の組織に対して診断と治療のうちの少なくとも一方を行うことができるものであり、例えば、組織の状態を診断するためのセンサとすることができる。具体的に説明すると、このセンサは、組織に対する触診や挙動診断のためのピエゾ抵抗型センサ、血液診断のための光センサ、血液や組織の温度診断のための温度センサ、組織の状態の診断のためのマイクロ波センサや超音波センサ、及び、生体電位計測のための電極センサなどが挙げられる。
また、機能エレメント1は組織に対して治療を行う医術デバイス(オペレータ)とすることができる。具体的に説明すると、凝固療法のためのマイクロ波プローブ、薬液投与や体液採取のためのノズルやポンプ、組織サンプリングのための針、及び、生体電気刺激のための電極などが挙げられる。なお、機能エレメント1は前記のセンサ及び医術デバイスをそれぞれ有するものであってもよい。また、これらのうちの複数種類のものを有する場合であってもよい。
図2と図3において、固定手段2は、気体(空気)の吸引により組織に固定させる吸引部7を有している。吸引部7は、組織に接触させる側の面である接触面2aに形成されている。そして、この吸引部7は配管26の一端部側と接続されており、この配管26の他端部側は図外のポンプと接続されている。これにより、配管26を通じて空気の吸引を行うことで、組織に接触させた吸引部7の空間に負圧を生じさせ、固定手段2は組織に吸着する。この固定手段2では組織との接触面2aが円形とされており、接触面2aの中心部に一つの吸引部7が設けられている。なお、機能エレメント1は省略して図示している。
また、図示しないが、固定手段2の接触面2aを接着タンパクによる面として形成し、固定手段2を組織に対して接着により固定させてもよい。さらに、接触面2aに粘着層を形成し、粘着により固定手段2を固定させてもよい。また、吸着、粘着及び接着などを複数組み合わせた方法によって、固定手段2を固定させてもよい。
そして、これら実施形態における体内用医療装置は、固定手段2の本体部22に機能エレメント1を取り込んで、固定手段2と機能エレメント1とが一体とされている構成である。
これにより、図8(b)に示しているように、吸引部7により固定手段2を組織50に吸着固定させ、空間部28を膨張させることにより、機能エレメント1を組織50側へ押圧させることができる。したがって、組織50の表面に凸凹が存在していたり、または、組織50の表面が平面であったり凹形に窪んでいても、機能エレメント1を組織に密接状として装着させることが可能となる。特に、機能エレメント1が接触式のセンサとされている場合、当該センサを組織50に密着させる必要があるが、この空間部28の働きによればこれが可能となる。さらに、図8(b)に示しているように、この組織50の対象部位が外側へ膨らむ曲面である場合、図7と同様に、固定手段2の弾性復元力がさらに作用して機能エレメント1を組織50に密着させて装着できる。
図9(a)に示しているように、固定手段2が自然状態では機能エレメント1の針の先端部は接触面2aから突出した状態とされており、図9(b)に示しているように、吸引部7によって固定手段2を組織50に吸着させることで、前記針の先端部が組織50内に挿し入れられる。また、吸引部7の吸引による固定手段2の弾性変形によって、前記針の先端部はより確実に組織内へ挿し入れられる。なお、機能エレメント1は組織サンプリングのための針であってもよい。
これにより、図10(b)に示しているように、吸引部7により固定手段2を組織50に吸着固定させ、空間部28を膨張させることにより、機能エレメント1を組織50側へ押圧させることができ、機能エレメント1の針を組織50内に挿し入れることが可能となる。したがって、組織50の表面に凸凹が存在していたり、または、組織50の表面が平面であったり凹形に窪んでいても、前記針を組織50内に挿し入れることが可能となる。つまり、この実施形態では、前記針の先端が接触面2aよりも凹部31の奥側に退避された状態であり、固定手段2が組織50に固定されていない状態で、針は組織に接触しない。しかし、固定手段2が組織50に固定され、空間部28を膨張させることによって、針は組織50内に挿し入れられる。つまり、空間部28における膨張動作を制御することによって、針を機能させたり、その機能を制限させたりすることができる。
この実施形態における体内用医療装置では、前記実施形態で示したように機能エレメント1を固定手段2の本体部22(例えば図1参照)に取り込ませて相互を一体としたものとしてもよい。
または、機能エレメント1を前記可動手段3や前記連結部材17a,17bに取り付けてもよい。つまり、この場合は、固定手段2と機能エレメント1とが別の部材(可動手段3や連結部材17a,17b)を介して相互連結されることによって、当該固定手段2と当該機能エレメント1とが一体とされている。
伸縮アクチュエータ4を金属製とした場合、その周囲を生体適応性の良い素材でコーティングするのが良い。または、伸縮アクチュエータ4自身をを生体適応性の良い樹脂製としてもよい。
図13(a)ではすべての固定手段2が組織に対して吸着固定されている。(b)では第1固定手段2aの固定が解除され、第1伸縮アクチュエータ4aが寸法fだけ伸張する。(c)では第1固定手段2aにおいて固定され、第3固定手段2cで固定が解除され、第2伸縮アクチュエータ4bが寸法fだけ伸張する。(d)では第2固定手段2bの固定が解除され、第1伸縮アクチュエータ2aが寸法fだけ短縮する。(e)では第2固定手段2bが固定され、第4固定手段2dの固定が解除され、第2伸縮アクチュエータ4bが寸法fだけ短縮する。(f)では第4固定手段2dが固定される。以上の1サイクルの動作を行うことにより、この体内用医療装置は第1固定手段2aと第3固定手段2cを前として寸法fだけ前進することとなる。このサイクルを繰り返し行うことで、体内用医療装置は移動することができ、機能エレメント1の移動が可能となる。そして、すべての固定手段2が固定された状態で機能エレメント1を機能させ、その後、移動させる動作を行い、これを繰り返すことによって、組織を面に沿って診断・治療することができる。
まず、図14において、この体内用医療装置は本体10を備えており、この本体10を中心として4方向へ伸縮アクチュエータ4が延伸するように取り付けられている。そして各伸縮アクチュエータ4a,4b,4c,4dの先端にそれぞれ固定手段2a,2b,2c,2dが取り付けられている。つまり、一つの本体10と各固定手段2とがそれぞれ伸縮アクチュエータ4によって繋がれている。
また、患者の体外において機能エレメント1の位置を検出させるための別の検出手段としては、MRIによって検出される目標部材とすることもできる。この場合、患者はMRI診断機によって診断を行いながらこの体内用医療装置によって診断・治療を行う。これにより、MRI診断機によって体内用医療装置の位置を検出することができる。
また、本発明の体内用医療装置は、機能エレメント1が機能することで得られる情報を、外部に設けた受信器に送信するための通信手段(図示せず)を備えている。この通信手段は無線式または有線式とされており、例えば図14(a)に示している本体10の内部に設けられている。そして、この通信手段から送信される信号を体外に設けた通信機によって受信することで、この体内用医療装置が体内に残された場合であっても、この機能エレメント1による診断情報や治療情報を外部で検出することができ、また、外部の受信器側のオペレータによる機能エレメント1を機能させるための処置情報や機能エレメント1を移動させるための移動指示情報を、当該機能エレメント1側へ送信することができる。
そして、機能エレメント1が移動しながら機能することによって診断・治療を行えば、組織の面に沿った診断・治療が行える。さらに、体内を移動する機能エレメント1が組織の診断情報や治療情報を取得し、(機能エレメント1または外部の処理手段において)これら情報とこの情報を得た際の機能エレメント1の位置とを対応付けることによってマッピングを行い、面状の診断・治療結果、つまり診断マップや治療マップを得ることができる。
このバルーンアクチュエータ15a,15b,15cでは、第1膜体11が、第2膜体12よりも薄く柔らかい(剛性が低い)ため、同じ圧力下でも、第1膜体11は第2膜体12よりも大きく膨張することができる。換言すると、第2膜体12は第1膜体11よりも厚い(剛性が高い)ため、同じ圧力下では第1膜体11よりも小さく膨張することしかできない。
第2バルーンアクチュエータ5bについて注目すると、引っ張り応力Ft、Fbは、当該バルーンアクチュエータ5bの両側にある基部14a,14bを近づける方向の力となる。図17の状態では、第1膜体11に発生する引っ張り応力の方が第2膜体12に発生する引っ張り応力よりも大きくなっている(Ft>Fb)。このため、バルーンアクチュエータ15bは、より大きな引っ張り応力Ftによって、基部14bが基部14aに対して上方に移動する曲がり運動を行う。すなわち、図17の状態では、第1膜体11の膨張方向と同じ方向への曲がり運動が生じる。
そして、第2バルーンアクチュエータ15bと同様の曲がり運動が、他のバルーンアクチュエータ15a,15bについても生じ、関節部6全体が下方への曲がり運動を行う。
また、固定手段2の接触面2aにカーボンナノチューブなどの微細な毛状物(繊毛)を多数形成することによって固定手段2を構成した場合(図6参照)、毛状物1本の密着力は小さいために接触面2aをその端部から剥がすと、この毛状物を有する接触面2aは簡単に組織から離間する。したがって、前記バルーンアクチュエータ15の先端部に固定手段2を取り付け、固定手段2の接触面2aがその端部から順に剥がされるようにバルーンアクチュエータ15を動作させる構成とすることによって、組織から簡単に固定手段2を離間させることができる。
また、他の形態としては、図14(a)を参考にして説明すると、中央の本体10と、その外側で相互が離れて複数(4つ)設けられた固定手段2とを備えており、本体10内に機能エレメント1が設けられている。そして、アクチュエータを適宜動作させることで本体10を移動させ、固定手段2と機能エレメント1との相対位置を変化させることができる。
これらによれば、体内用医療装置を組織に対して固定させた状態で、組織に対する機能エレメントの位置を変更させることができ、組織の面に沿って複数箇所の診断・治療が行える。
また、体内に残された機能エレメント1は、体壁の外部における有線または無線での操作によって機能、移動することができ、また、機能エレメント1からの情報(例えば機能エレメント1の位置)が有線または無線によって体壁の外部側に送信される。
また、図示しないが、一体とされている機能エレメント1及び固定手段2を診断・治療のためのマイクロ体内ロボットに備えさせることもできる。
また、固定手段2による固定を空気の吸引によるものとし、機能エレメント1を組織に押圧するための空間部28の膨張を空気の供給によるものとし、可動手段3における伸縮アクチュエータ4及び関節部6の動作を空気の給排によるものとすれば、すべての機構が空気によって動作する構成とできるため、制御が容易となり、空気の使用により安全である。
また、固定手段2が吸引部7を有している場合において、図5に示したように、吸引部7が、組織に接触させる膜部材20と、この膜部材20との間で空間部21を形成している本体部22とを有し、空間部21が吸引されて膜部材20を介して組織に吸着するように構成したが、この膜部材20を介在させる構成は、固定手段2が一つの吸引部7を有する場合のみならず、例えば、図1に示した複数の吸引部7を有する場合であっても適用することができ、各吸引部7において膜部材20を介して吸着する構成とすることができる。
2 固定手段
3 可動手段
4 伸縮アクチュエータ
6 関節部
7 吸引部
8 挿入補助器具
8a 先端部
20 膜部材
21 空間部
22 本体部
50 組織
Claims (9)
- 診断と治療の少なくとも一方のための機能エレメントと、
この機能エレメントと一体とされ、体壁から内側の組織に対して固定させて当該機能エレメントを当該組織に装着させかつ当該組織に対して固定解除させて当該機能エレメントを当該組織に装着解除させる複数の固定手段と、
前記複数の固定手段を繋いでいると共に伸縮動作することで当該複数の固定手段同士の相対位置を変化させる可動手段と、を備え、
前記可動手段は、前記複数の固定手段のうちの一部を前記組織に対して固定し、かつ、当該複数の固定手段のうちの残りを前記組織に対して固定解除した状態で、伸縮動作することにより、固定解除した前記固定手段の位置を前記機能エレメントと共に変化させることによって前記組織に対する当該機能エレメントの位置を変更する伸縮アクチュエータを有しており、
前記機能エレメントは、柔軟性のある弾性素材からなる本体部内に設けられており、前記本体部のうち、前記機能エレメントを挟んで前記組織側と反対側の部分に、気体が供給されることで膨張する空間部が形成されていることを特徴とする体内用医療装置。 - 前記機能エレメントの前記組織上での位置を検出させるための検出手段をさらに備えている請求項1に記載の体内用医療装置。
- 前記機能エレメントと前記固定手段との相対角度を変更させるために曲がり運動が生じる関節部を有している請求項1又は2に記載の体内用医療装置。
- 前記固定手段は吸引により前記組織に固定させる吸引部を有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の体内用医療装置。
- 前記吸引部は、前記組織に接触させる膜部材と、この膜部材との間で空間部を形成している本体部とを有し、前記吸引部は、前記空間部が吸引されて前記膜部材を介して前記組織に吸着する請求項4に記載の体内用医療装置。
- 前記機能エレメント及び前記固定手段が先端部に取り付けられているとともに体外から体内へ挿入させる挿入補助器具をさらに備えている請求項1〜5のいずれか一項に記載の体内用医療装置。
- 前記機能エレメント及び前記固定手段は前記挿入補助器具から取り外し可能とされている請求項6に記載の体内用医療装置。
- 前記機能エレメントは前記組織の状態を診断するセンサを有している請求項1〜7のいずれか一項に記載の体内用医療装置。
- 前記機能エレメントは前記組織に対して治療を行う医術デバイスを有している請求項1〜8のいずれか一項に記載の体内用医療装置。
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