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JP4480239B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ装置その他の精密電子機器の電気光学表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶ディスプレイ装置等に用いられるカラーフィルタの製造は、ガラス基板等の透明支持体上へのメタルブラックマトリクスの形成、カラー画素の形成、および透明導電膜の形成という工程で行われるのが通常である。
【0003】
初めに、クロム等の金属によりガラス基板等にメタルブラックマトリクス(遮光膜)を形成する。図1に示したように、メタルブラックマトリクス2は、ガラス基板等の周辺部に額縁状の縁取り21を形成し(以下、メタルブラックマトリクスのその部分を「額縁状周辺部」という。)、その内側には細かな、通常、数十μm幅の格子状パターン22を形成する。額縁状周辺部21は、LCDのセルを形成する場合に対向する基板との貼り合わせに用いられる。ブラックマトリクスとしては、金属を含有せずにカーボンを含有する樹脂等の材料を用いることも提案されているが、工業的生産には加工精度の点で優れるメタルブラックマトリクスが用いられている。
【0004】
ついで、カラー画素(カラーフィルタ層)を形成する。例えば、赤の顔料を分散させた感光性樹脂をスピンコートで全面に塗布し、マスクを介して露光する。露光後に現像を行うと、メタルブラックマトリクス格子状パターンの抜けた部分であって、マスクを通過して露光された部分に赤の画素が得られる。これと同様の工程を緑および青の画素についても行うと、透明支持体上に3色の画素が形成される。メタルブラックマトリクスは、カラー画素形成後においても、各画素間や額縁状周辺部に露出した状態にある。
【0005】
更に、上記のようにして得た一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成されたガラス基板等の透明支持体に透明導電膜を形成する方法としては、その面と同じ側に薄いメタル材料で形成されたマスクパターン(メタルマスク)を重ねてスパッタリング法によりITO(InとSnの酸化物)膜を成膜する方法が最も広範に行われている。メタルマスクは、透明導電膜を形成する部分がくり抜かれており、透明導電膜を形成しない部分は透明支持体を覆い隠すようなパターンを形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体にメタルマスクを重ねてスパッタリング法により透明導電膜パターンを形成する場合には、メタルブラックマトリクスやメタルマスクがプラズマにさらされ帯電することで、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとの間でアーキングが発生することがある。アーキングの発生は、メタルブラックマトリクスに光抜けの欠陥を生じさせる原因となる。
これに対して、アーキングを防止するために、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとの間隔を広げると、透明導電膜を形成しない部分にまで透明導電膜が回り込んでしまうという問題がある。
したがって、本発明は、メタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体にメタルマスクを用いてスパッタリング法により透明導電膜を形成してカラーフィルタを製造する方法であって、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとの間のアーキングの発生を防止し、メタルブラックマトリクスに光抜けの欠陥を生じさせることのないカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体に、その面と同じ側にメタルマスクを重ねてスパッタリングを行うことにより透明導電膜を形成してカラーフィルタを製造する方法であって、
該スパッタリングが、該メタルブラックマトリクスと該メタルマスクとが電気的に接続された状態で行われることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0008】
前記メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが電気的に接続された状態が、該メタルブラックマトリクスと該メタルマスクとが物理的に接触した状態であることが好ましい。
【0009】
前記メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態において、その接触部の全体が、カラーフィルタの非表示部にあることが好ましい。
【0010】
前記メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態において、前記メタルマスクが磁性体であり、かつ、前記透明支持体のスパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石が配置されていることが好ましい。
【0011】
前記メタルマスクと前記磁石との位置関係が、メタルマスクのメタルブラックマトリクスとの接触部と磁石とを透明支持体の表面を含む平面を投影面として投影した場合において、該接触部と該磁石の投影が投影面上で重複部分を有する、または、有しないが最短距離が15mm以内である位置関係であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体は、特に限定されず、通常のカラーフィルタの製造過程で得られるものを用いることができる。
【0014】
初めに、透明支持体の一方の面にメタルブラックマトリクスを形成する。
本発明に用いられる透明支持体は、無色透明の材料に限られず、本発明の目的を損なわない範囲で、着色している材料も用いることができる。例えば、ガラス、プラスチックが挙げられる。
ガラスは、特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスが挙げられる。
プラスチックは、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明に用いられる透明支持体は、第一の透明支持体と中間膜と第二の透明支持体との積層体であってもよい。積層体に用いられる透明支持体としては、上記の単独で用いられる透明支持体を同様に用いることができる。
【0015】
透明支持体の厚さは、特に限定されないが、通常、0.7〜1.0mmである。透明支持体の大きさは、特に限定されない。
【0016】
メタルブラックマトリクスの形成は、金属を用いるものであれば特に限定されない。例えば、クロム、チタン、ニッケル、モリブデン、タングステン等の金属の1種または2種以上を含有する金属薄膜をスパッタリング法等の従来公知の方法により成膜して、透明支持体の一方の面にメタルブラックマトリクスを形成することができる。
メタルブラックマトリクスの厚さは、特に限定されないが、通常、80〜300nm程度である。
また、本発明においては、ブラックマトリクスを2層以上にし、そのうち1層をメタルブラックマトリクスとしたものであってもよい。例えば、カラーフィルタの低反射化を目的として、透明支持体側に酸化物膜を設けておき、更にメタルブラックマトリクスを設けることもできる。
【0017】
つぎに、カラー画素を形成し、一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体を得る。
カラー画素の形成は、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等の従来公知の方法により行うことができる。顔料分散法は、フォトリソ方式およびエッチング方式のいずれも用いることができる。
【0018】
更に、一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体に、その面と同じ側にメタルマスクを重ねてスパッタリングを行うことにより透明導電膜を形成してカラーフィルタを製造する。
メタルマスクに用いられる金属材料は、透明支持体と同程度の熱膨張係数を有する材料であるのが好ましい。透明支持体とメタルマスクの熱膨張係数が同程度であると、スパッタリング中に200℃程度の高温になったときでも、熱歪が生じてカラー画素に傷を付けてしまうことがない。
例えば、透明支持体として、実質的にアルカリ成分を含有しない、いわゆる無アルカリガラス(例えば、熱膨張係数が4.8×10-6/℃のホウケイ酸ガラス)からなるガラス基板を用いる場合には、メタルマスクに用いられる金属材料としては、熱膨張係数が4.6×10-6〜5.0×10-6/℃、特に4.6×10-6〜4.8×10-6/℃である材料が好ましい。具体的には、耐熱性に優れ、熱膨張係数が4.6×10-6〜4.8×10-6/℃である鉄―42%ニッケル合金が好適に例示される。
【0019】
メタルマスクの大きさおよび形状は、特に限定されず、例えば、厚さ0.3mm程度の金属板を所望の透明導電膜のパターン形状にエッチングしたメタルマスクを用いることができる。メタルマスクの厚さが厚すぎると、透明導電膜のパターニングがぼける(精細に行えない)傾向にある。
【0020】
スパッタリングにより透明導電膜を形成する工程は、従来のカラーフィルタの製造と同様の条件で行うことができるが、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、スパッタリングをメタルブラックマトリクスとメタルマスクとが電気的に接続された状態で行うことに特徴がある。
スパッタリングにおいて、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとの間でアーキングが発生するのは、両者がプラズマにさらされ帯電し、その帯電の程度が異なり、電位差が生じるためであると考えられる。本発明においては、スパッタリングを両者が電気的に接続された状態で行うことにより、両者に電位差が生じないようにしているため、従来問題であったアーキングの発生が防止され、メタルブラックマトリクスに光抜けの欠陥が生じない。
【0021】
メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが電気的に接続された状態とは、両者の間に電流が流れうる状態をいい、例えば、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態や、導線等の導電性の電流の経路により両者が連結された状態が挙げられる。
中でも、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態であるのが好ましい。両者が物理的に接触した状態であると、スパッタリングを行っている間、電気的に接続された状態が安定に保たれる。また、両者を物理的に接触させる方法は、導線等を用いる必要がなく、簡便な方法である。
【0022】
メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態においては、メタルマスクの一部がメタルブラックマトリクスと物理的に接触し、非接触部における両者の間隔は、通常、0.05〜0.15mmであることが好ましい。メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触していない場合においても、同様である。
【0023】
ここで、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態において、その接触部の全体が、カラーフィルタの非表示部にあるのが好ましい。本明細書において、非表示部とは、カラーフィルタの外周部にあり、表示に用いられない部分をいう。
スパッタリングを行う間、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとを物理的に接触させておくことにより、メタルブラックマトリクスに多少の傷が発生する場合があるが、それが非表示部であれば、カラーフィルタの機能上、特に問題とならないからである。なお、メタルマスク表面の一部または全部を電導性樹脂で被覆することによって、メタルブラックマトリクスの傷の発生を防止することもできる。
【0024】
一般に、液晶ディスプレイ装置等の組み立て工程において、メタルブラックマトリクスの額縁状周辺部の全部が透明導電膜により被覆されていることは望ましくないので、メタルブラックマトリクスの額縁状周辺部のうち外側の部分には、通常、透明導電膜を形成しない。したがって、このメタルブラックマトリクスの透明導電膜を形成しない部分でメタルマスクと物理的に接触させればよい。
好ましくは、メタルブラックマトリクスとメタルマスクを物理的に接触させるための専用領域をメタルブラックマトリクスのうちの、カラーフィルタの非表示部に相当する額縁状周辺部の外周部分に形成する。
専用領域は、その形状、大きさ、数等は特に限定されず、カラーフィルタを液晶ディスプレイ装置等に組み込む際にメタルブラックマトリクスの額縁状周辺部および透明支持体を切り落とす場合に障害とならないように形成されるのが好ましい。即ち、カラーフィルタを液晶ディスプレイ装置等に組み込む際には、メタルブラックマトリクスの額縁状周辺部の外周部分を透明支持体ごと切り落として用いるが、この際、切り落としにより生じるカラーフィルタの端部において、メタルブラックマトリクスが透明支持体からはく離したりしないようにするのが好ましい。具体的には、メタルブラックマトリクスが切り落としにより切断される長さが長いと、はく離が生じやすいので、切断される長さが短くなるようにするのが好ましい。
専用領域がメタルブラックマトリクスの非表示部に形成されていると、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとの物理的な接触が安定し、かつ、メタルブラックマトリクスの表示部に傷が付くこともないので、好ましい。
【0025】
したがって、一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成されており、その面と同じ側にメタルマスクを重ねてスパッタリングを行うことにより透明導電膜を形成してカラーフィルタを製造するために用いられるカラーフィルタ用透明支持体であって、
該メタルブラックマトリクスが、額縁状周辺部を有し、カラーフィルタの非表示部に相当する該額縁状周辺部の外周部分に該メタルマスクと接触するための専用領域を有することを特徴とするカラーフィルタ用透明支持体を用いれば、歩留まりよくカラーフィルタを製造することができるので、そのようなカラーフィルタ用透明支持体は有用である。
【0026】
また、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態において、メタルマスクが磁性体であり、かつ、透明支持体のスパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石が配置されているのが好ましい。この場合、メタルマスクと磁石との間に働く引きあう力によって、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが互いに押し付けられ、両者が物理的に接触した状態が、安定化される。
即ち、メタルブラックマトリクスとメタルマスクを単に重ねて載せるだけでは、スパッタリング中の加熱や、メタルマスク上に成膜される透明導電膜の応力によりメタルマスクが変形して、両者の物理的接触状態が保てず、両者間の安定な電気的接続が得られない場合があるが、上記のように磁石を用いると、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態をスパッタリングを行っている間、常に保つことができる。
特に、透明支持体を立てた状態(透明支持体の表面が鉛直方向となる状態)で透明導電膜膜を成膜する場合には、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとを押し付ける力が必要であり、磁石を用いて押し付けるのが好ましい。
【0027】
メタルマスクと磁石との位置関係は、メタルマスクと磁石との間に働く引きあう力にもよるが、一般に、メタルマスクのメタルブラックマトリクスとの接触部と磁石とを透明支持体の表面を含む平面を投影面として投影した場合において、該接触部と該磁石の投影が投影面上で重複部分を有する、または、有しないが最短距離が15mm以内である位置関係であることが好ましい。このような位置関係にあると、メタルマスクと磁石が遠くにある場合に比べて、メタルマスクと磁石との間に引きあう力が強く働くので、メタルブラックマトリクスとメタルマスクの物理的な接触が、より安定に保たれる。
【0028】
一方、磁石を透明支持体の表示部に配置すると、スパッタリングを行う際に加熱が均一にならず、形成される透明導電膜に色むらができる場合があるので、磁石は透明支持体の非表示部に配置するのが好ましい。
したがって、磁石とメタルマスクとの位置関係が上記関係にあり、かつ、磁石が透明支持体の非表示部にあるのが、最も好ましい。
【0029】
磁石は、透明支持体に接触させて配置させてもよいが、均熱板等のスペーサーを介して配置するのが、磁石により透明支持体を傷付けることがないので好ましい。スペーサーの大きさは、特に限定されないが、例えば、厚さ約0.5mmとすることができる。
スパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石を配置する方法は、特に限定されないが、例えば、所望の位置に磁石を有するジグをスパッタリングを行う面と反対の面の側に配置する方法を用いることができる。
【0030】
磁石は、200℃程度の高温に耐えることができる耐熱性に優れる強磁性材料が好ましい。例えば、フェライト系、Nd−B(ネオジムボロン)系、Sm−Co(サマリウムコバルト)系の磁石が挙げられる。
磁石の大きさおよび形状は、特に限定されないが、例えば、5〜30mm程度の四角形、円形等の種々の形状のものを用いることができる。
【0031】
なお、本発明においては、透明導電膜の形成の前に、物理化学的保護、表面の整面化、平坦化等を目的として、メタルブラックマトリクスおよびカラー画素の上に保護膜を形成してもよい。
【0032】
上述したように、本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、メタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体にメタルマスクを用いてスパッタリング法により透明導電膜を形成してカラーフィルタを製造する場合に、メタルブラックマトリクスとメタルマスクを電気的に接続して成膜するので、プラズマにさらされても両者間に大きな電位差が発生せず、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとの間のアーキングの発生を防止することができる。したがって、メタルブラックマトリクスに光抜けの欠陥を生じさせないでカラーフィルタを製造することができ、有用である。
【0033】
【実施例】
つぎに、本発明を図面を参照しつつ実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.カラーフィルタの製造
(実施例1)
実施例1について、図2を参照して説明する。
図2は、一方の面にメタルブラックマトリクス2(材質:クロム、厚さ:150nm)およびカラー画素3が形成された透明支持体1(材質:ホウケイ酸ガラス、熱膨張係数:4.8×10-6/℃、厚さ:0.7mm)に、その面と同じ側にメタルマスク4を重ねてスパッタリングを行う際の構成の概略を表す断面図である。
図2においては、メタルブラックマトリクス2とメタルマスク4とが、メタルブラックマトリクス2の額縁状周辺部21のうち、カラーフィルタの非表示部に相当する外側の約0.5mmの領域で、物理的に接触した状態にある。即ち、接触部の全体がカラーフィルタの非表示部にあり、メタルブラックマトリクス2とメタルマスク4とが電気的に接続された状態にある。非接触部における両者の間隔は、0.1mmである。
【0034】
更に、図2においては、メタルマスク4(熱膨張係数:4.6×10-6〜4.8×10-6/℃、厚さ:0.3mm)は磁性体である鉄―42%ニッケル合金で形成されており、かつ、透明支持体1のスパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石5(材質:フェライト系、大きさ:5mm×20mm、厚さ:3mm)が配置されている。メタルマスク4と磁石5との位置関係は、メタルマスク4のメタルブラックマトリクス2との接触部と磁石5とを透明支持体1の表面を含む平面を投影面として投影した場合において、該接触部と該磁石5の投影が投影面上で重複部分を有しないが最短距離が5mmである位置関係にある。
【0035】
図2の構成でスパッタリングを行うことにより、厚さ160nmのITO膜を成膜した。スパッタリングの条件を以下に示す。
スパッタリング装置:インラインスパッタリング装置
ターゲット:矩形状のITOターゲット
スパッタ電力密度:2.5W/cm2
スパッタガス圧:0.5Pa
スパッタガス:1体積%O2 を含有するAr
【0036】
(実施例2)
実施例2について、図3を参照して説明する。なお、各構成部材の材質、大きさ等は、実施例1と同様である。
図3は、一方の面にメタルブラックマトリクス2およびカラー画素3が形成された透明支持体1に、その面と同じ側にメタルマスク4を重ねてスパッタリングを行う際の構成の概略を表す(A)上面図(メタルマスク側から見た図)および(B)断面図である。図3は、本発明のカラーフィルタ用透明支持体の好適な態様の一つを表す。
図3においては、メタルブラックマトリクス2のうち、カラーフィルタの非表示部に相当する額縁状周辺部21の外周部分に、外側に張り出したメタルマスク4との接触用の専用領域23が設けられており、メタルブラックマトリクス2とメタルマスク4とが、この専用領域23で物理的に接触した状態にある。即ち、メタルブラックマトリクス2とメタルマスク4とが電気的に接続された状態にある。非接触部における両者の間隔は、0.1mmである。
【0037】
また、図3においては、メタルマスク4は磁性体である鉄―42%ニッケル合金で形成されており、かつ、透明支持体1のスパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石5が配置されている。メタルマスク4と磁石5との位置関係は、メタルマスク4のメタルブラックマトリクス2との接触部と磁石5とを透明支持体1の表面を含む平面を投影面として投影した場合において、該接触部と該磁石5の投影が投影面上で重複部分を有する位置関係にある(図3(A)参照)。
図3の構成で、スパッタリングを行うことにより、厚さ160nmのITO膜を成膜した。スパッタリングの条件は、実施例1と同様である。
【0038】
比較例1について、図4を参照して説明する。なお、各構成部材の材質、大きさ等は、実施例1と同様である。
図4は、一方の面にメタルブラックマトリクス2およびカラー画素3が形成された透明支持体1に、その面と同じ側にメタルマスク4を重ねてスパッタリングを行う際の構成の概略を表す断面図である。この構成は、従来用いられているものである。
図4においては、メタルブラックマトリクス2とメタルマスク4とは、物理的に接触した状態になく、また、電気的に接続された状態にもない。
また、図4においては、メタルマスク4は磁性体である鉄―42%ニッケル合金で形成されているが、透明支持体1のスパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石は配置されていない。
図4の構成で、スパッタリングを行うことにより、厚さ160nmのITO膜を成膜した。スパッタリングの条件は、実施例1と同様である。
【0039】
2.各カラーフィルタの評価
実施例1、2および比較例1で得られたカラーフィルタについて、アーキングによるメタルブラックマトリクスの光抜け欠陥、および、メタルマスクによるメタルブラックマトリクスの傷欠陥の有無を観察した。
【0040】
結果を第1表に示す。
本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタは、アーキングによるメタルブラックマトリクスの光抜け欠陥が発生しなかったことが分かる(実施例1および2)。また、本発明のカラーフィルタ用透明支持体を用いて、本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタは、メタルブラックマトリクスとメタルマスクを物理的に接触させるための専用領域をメタルブラックマトリクスのうちの、カラーフィルタの非表示部に相当する額縁状周辺部の外周部分に有するので、メタルマスクによるメタルブラックマトリクスの傷欠陥も発生しなかったことが分かる(実施例2)。
これに対して、スパッタリングが、メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが電気的に接続されていない状態で行われた場合(比較例1)は、アーキングによるメタルブラックマトリクスの光抜け欠陥が10%の割合で発生した。
【0041】
【表1】
Figure 0004480239
【0042】
【発明の効果】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、スパッタリングを行う際のアーキングの発生を防止したものであり、この方法によれば、メタルブラックマトリクスに光抜けの欠陥を生じさせないでカラーフィルタを製造することができるので、歩留まりがよい。
また、本発明のカラーフィルタ用透明支持体は、額縁状周辺部を有し、カラーフィルタの非表示部に相当する該額縁状周辺部の外周部分に該メタルマスクと接触するための専用領域を有するので、メタルブラックマトリクスにメタルマスクによる傷欠陥を生じさせないで、カラーフィルタを製造することができるので、更に歩留まりをよくすることができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 メタルブラックマトリクスが形成された透明支持体の概略を表す平面図である。
【図2】 本発明のカラーフィルタの製造方法の実施例の一例を表す断面図である。
【図3】 本発明のカラーフィルタ用透明支持体を用いた本発明のカラーフィルタの製造方法の実施例の一例を表す(A)上面図および(B)断面図である。
【図4】 従来のカラーフィルタの製造方法の一例を表す断面図である。
【符号の説明】
1 透明支持体
2 メタルブラックマトリクス
21 額縁状周辺部
22 格子状パターン
23 専用領域
3 カラー画素
4 メタルマスク
5 磁石

Claims (2)

  1. 一方の面にメタルブラックマトリクスおよびカラー画素が形成された透明支持体に、その面と同じ側にメタルマスクを重ねてスパッタリングを行うことにより透明導電膜を形成してカラーフィルタを製造する方法であって、
    該スパッタリングが、該メタルブラックマトリクスと該メタルマスクとが電気的に接続された状態で行われ、
    前記メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが電気的に接続された状態が、該メタルブラックマトリクスと該メタルマスクとが物理的に接触した状態であり、
    前記メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態において、前記メタルマスクが磁性体であり、かつ、前記透明支持体のスパッタリングを行う面と反対の面の側に磁石が配置されており、
    前記メタルマスクと前記磁石との位置関係が、メタルマスクのメタルブラックマトリクスとの接触部と磁石とを透明支持体の表面を含む平面を投影面として投影した場合において、該接触部と該磁石の投影が投影面上で重複部分を有する、または、有しないが最短距離が15mm以内である位置関係であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 前記メタルブラックマトリクスとメタルマスクとが物理的に接触した状態において、その接触部の全体が、カラーフィルタの非表示部にあることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
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