JP4480128B2 - マトリックスメタロプロテアーゼ−9の産生を阻害するための薬剤 - Google Patents
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Description
で示されるレプトマイシンBを有効成分として含有し、マトリックスメタロプロテアーゼ−9関連の皮膚の炎症性疾患(皮膚の腫瘍性疾患を除く。)の予防薬又は治療薬(抗黄色ブドウ球菌剤を除く。)であり、該皮膚の炎症性疾患が、水疱症、血管新生、湿疹皮膚炎、紫外線皮膚炎、又は角化異常症であることを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ−9の産生を阻害するための薬剤を提供するものである。かかる構成とすることにより、MMP−9の産生を、MMP−2と比較して、特異的に阻害でき、さらには、高濃度のカルシウムを添加することによる刺激又はTGF−βを添加することによる刺激などの分化刺激を行う条件下、及びTNF−αを添加することによる刺激又はIL−1αを添加することによる刺激などの炎症惹起刺激を行う条件下においてもMMP−9の産生を阻害することができるという効果を奏するものである。
<ヒト表皮角化細胞の培養>
新生児の包皮を、4℃で、カゼイン分解活性が25.0 caseinolytic units/mlであるディスパーゼで16時間処理した。鉗子を用いて、真皮から表皮をはぎとった後、表皮を0.05%トリプシンで5分間処理した。分離させたヒト包皮角化細胞(HFKs)を、keratinocyte−SFM培地(Invitrogen社製)を有するプレートにて37℃で温置して、3代にわたって継代培養した。次いで、ヒト包皮角化細胞(HFKs)を3代にわたって継代培養して得られた4つのプレートに、培地に対する濃度がそれぞれ0nM、0.4nM、2nM、10nMとなるようにLMBを添加し、さらに37℃で24時間温置した。その後、該4つのプレートからkeratinocyte−SFM培地の4種のならし培地を収集して、以下のゼラチンザイモグラフィー法によるMMP−2及びMMP−9の検出において用いるまで、−30℃で貯蔵しておいた。
<ゼラチンザイモグラフィー法によるMMP−2及びMMP−9の検出>
ゼラチンザイモグラフィー法によるMMP−2及びMMP−9の検出を行うのに先立ち、<ヒト表皮角化細胞の培養>において収集した4種のならし培地を全て35℃で1時間温置した。次いで、Tris−HClを0.05M、CaCl2を5mM、SDS(sodium dodecyl−sulfate)を1%、glycerolを5%それぞれ含有するpH7.4の溶液に前記ならし培地を溶解させて、ゼラチンザイモグラフィー法に用いる試料とした。該試料を、0.5%のゼラチンを含んだポリアクリルアミドゲル7.5%を用いてSDS−PAGE法によりMMP−2及びMMP−9を分離した。SDS−PAGE法による分離の後、分離ゲルをTriton X−100を2.5%含有する溶液で1時間洗浄し、SDSを除去した。分離ゲルにおいて分離されたMMP−2及びMMP−9に分離ゲル中のゼラチンを分解させるために、反応用緩衝液(標準条件 0.05M Tris−HCl(pH7.4)/0.15M NaCl/5mM CaCl2/0.02% NaN3)中において35℃で所定の時間分離ゲルを温置した。分離ゲルの染色は、Amideblack B−10を0.1%含有する染色液を用いて行い、脱色は、酢酸10体積%、及びメタノール30体積%を含有する脱色液を用いて行った。4種のならし培地中のMMP−2及びMMP−9の検出結果を図1(A)に示す。
<ヒト表皮角化細胞の培養>
新生児の包皮を、4℃で、カゼイン分解活性が25.0 caseinolytic units/mlであるディスパーゼで16時間処理した。鉗子を用いて、真皮から表皮をはぎとった後、表皮を0.05%トリプシンで5分間処理した。分離させたヒト包皮角化細胞(HFKs)を、keratinocyte−SFM培地(Invitrogen社製)を有するプレートにて37℃で温置して、3代にわたって継代培養した。次いで、ヒト包皮角化細胞(HFKs)を3代にわたって継代培養して得られた2つのプレートに、培地に対する濃度がそれぞれ0nM、10nMとなるようにLMBを添加し、さらに37℃で24時間温置した。
<RT−PCR法によるヒトMMP−9遺伝子のmRNA及びヒトGAPDH遺伝子のmRNAの検出>
培養したヒト包皮角化細胞(HFKs)からの全RNAの抽出は、Wachiらの方法(Wachi et al.(1995)FEBS Lett.368,215−219)に従って行い、抽出した全RNAは、1μg/mlの濃度の溶液として−80℃で貯蔵した。RT−PCR法は、TaKaRa RNA PCR kit(TaKaRa社製)を用いて行った。ヒトMMP−9に対するcDNAの277塩基対を増幅するために、116〜136塩基対に位置する5’末端に対しては、センスプライマー(配列番号:1)を、372〜392塩基対に位置する3’末端に対してはアンチセンスプライマー(配列番号:2)を用いた。ヒトGAPDHに対するcDNAの478塩基対を増幅するために、547〜566塩基対に位置する5’末端に対しては、センスプライマー(配列番号:3)を、1005〜1024塩基対に位置する3’末端に対してはアンチセンスプライマー(配列番号:4)を用いた。RNAの逆転写は、42℃で1時間温置することにより行った。逆転写して得られたcDNAのPCRにおける温置は、以下の温度プロファイルに従って行った。すなわち、1サイクルごとに、cDNAの変性を94℃で2分間行い、プライマーのアニ−リングを60℃で30秒間行い、DNAポリメラーゼによるDNA鎖の合成を72℃で1分間行った。30サイクル行った後得られた溶液を分取して、臭化エチジウムを含有するアガロースゲルを用いて電気泳動を行い、得られたバンドを紫外線下で観察した。結果を図2に示す。図2中、Sample1が、培地に対するLMB濃度が0nMであった細胞を用いた結果を、Sample2が、培地に対するLMB濃度が10nMであった細胞を用いた結果を示す。
<ヒト表皮角化細胞の培養>
新生児の包皮を、4℃でカゼイン分解活性が25.0 caseinolytic units/mlであるディスパーゼで16時間処理した。鉗子を用いて、真皮から表皮をはぎとった後、表皮を0.05%トリプシンで5分間処理した。分離させたヒト包皮角化細胞(HFKs)を、0.09mMのCa+を含有するkeratinocyte−SFM培地(Life Technologies社製)を有する24wellのプレートにて37℃で温置して、3代にわたって継代培養した。
<ルシフェラーゼアッセイ測定用のベクター調製>
Kobayashiらの方法(Kobayashi et al.(2001)EMBO Rep.2, 604-608)に従って、MMP−9 promoter配列のKRE−M9を含んだ−73から+16までの塩基配列、およびKRE−M9を含まない−56から+16までの塩基配列を、ルシフェラーゼ遺伝子を含有するルシフェラーゼ発現ベクターであるpGL3−basic vector(Promega社製)に、それぞれ挿入し、ベクター1及びベクター2を調製した。なお、KRE−M9を含んだ−73から+16までの塩基配列を含有する塩基配列を、図3(C)に示す。
<遺伝子導入>
ベクター1及びベクター2と遺伝子導入用試薬である Fugene 6 (Roche社製)とを用いて、DNA濃度3μg/1mlのベクター1溶液及びベクター2溶液を調製した。次いで、<ヒト表皮角化細胞の培養>で得られた24wellのプレートのHFKs培養液のうち、12wellのプレートに対してベクター溶液1を、残りの12wellのプレートに対してベクター溶液2を、いずれも37℃で添加して遺伝子導入を行い、さらに、ベクター1溶液を添加して得られた12wellのプレートのうち、6wellのプレートに対してLMB10nM加え、6wellのLMB添加プレート1とし、残りの6wellのプレートに対してはLMBを加えず、6wellのLMB無添加プレート1とし、ベクター2溶液を添加して得られた12wellのプレートのうち、6wellのプレートに対してLMB10nM加え、6wellのLMB添加プレート2とし、残りの6wellのプレートに対してはLMBを加えず、6wellのLMB無添加プレート2とし、次いで3時間静置した。以上のようにルシフェラーゼ遺伝子の遺伝子導入を行うことにより、MMP−9の産生とともにルシフェラーゼが産生することとなり、ルシフェラーゼによる発光反応における発光強度をマイクロプレスカウンターで測定することにより、MMP−9の産生をモニターすることができる。
<ルシフェラーゼアッセイによる転写活性の測定>
ルシフェラーゼアッセイによる転写活性の測定を行った。ルシフェラーゼの活性は、ルシフェラーゼアッセイシステム(Luciferase assay system Promega社製)によって測定した。マイクロプレスカウンターとして、Microbeta(Perkin−Elmer社製)を用いた。測定は、6wellのLMB添加プレート1、6wellのLMB無添加プレート1、6wellのLMB添加プレート2、及び6wellのLMB無添加プレート2について、それぞれ6wellのプレートのうち3wellのプレートを用いて12時間後の総転写活性を測定し、さらに、残りの3wellのプレートを用いて24時間後の総転写活性を測定する測定方法とした。結果を図3(A)及び図3(B)に示す。図3(A)及び図3(B)において、上部の数値がKRE−M9を含むベクター1をHFKsに遺伝子導入した場合の総転写活性を示し、下部の数値がKRE−M9を含まないベクター2をHFKsに遺伝子導入した場合の総転写活性を示し、上部及び下部の数値のうち、上段の数値はLMB10nM添加した場合を示し、下段の数値はLMBを添加しなかった場合を示し、数字はarbitary unitによるものであり、3wellのプレートの平均値を示す。標準偏差をerror barで示す。
Claims (2)
- 下記式(1):
で示されるレプトマイシンBを有効成分として含有し、マトリックスメタロプロテアーゼ−9関連の皮膚の炎症性疾患(皮膚の腫瘍性疾患を除く。)の予防薬又は治療薬(抗黄色ブドウ球菌剤を除く。)であり、該皮膚の炎症性疾患が、水疱症、血管新生、湿疹皮膚炎、紫外線皮膚炎、又は角化異常症であることを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ−9の産生を阻害するための薬剤。 - 前記予防薬又は治療薬が、その投与形態が皮膚外用剤であることを特徴とする請求項1記載の薬剤。
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