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JP4469141B2 - 投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置 - Google Patents

投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置 Download PDF

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JP4469141B2
JP4469141B2 JP2003169544A JP2003169544A JP4469141B2 JP 4469141 B2 JP4469141 B2 JP 4469141B2 JP 2003169544 A JP2003169544 A JP 2003169544A JP 2003169544 A JP2003169544 A JP 2003169544A JP 4469141 B2 JP4469141 B2 JP 4469141B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)等の表示素子に表示された原画像をスクリーン等に拡大投射する投射用ズームレンズおよびこの投射用ズームレンズを搭載してなる投射型画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータのモバイル化や通信インフラ構造の整備により、ビジネスの情報化が進む昨今、場所を問わず「情報や画像を視覚的に共有化したプレゼンテーション」が可能なツールとしてフロント投射型のプロジェクタが急速に普及している。
【0003】
なかでも、DMDを表示素子として使用するプロジェクタは、1チップでも高精細な画像を得ることができるため、軽量・コンパクト化を図りやすく、普及率が高まっている。DMDに反射された画像光を拡大して結象させる投射用レンズは、DMDとの間にR(赤)・G(緑)・B(青)の「3原色の照明光」を導入するプリズムを配置するための「長いバックフォーカス」を必要とする。
【0004】
かかる投射用レンズはまた、DMDの反射の全領域からの画像光を「高い効率で取り込み得る」ように、入射瞳を遠方に置いた「縮小側の主光線の角度が光軸と略平行となるテレセントリックな性質」を持つことが好ましい。
【0005】
これらの性質は、液晶パネルを表示素子として使用する投射用レンズについても同様に必要とされる条件であるが、1チップのDMDを使用する投射用レンズでは倍率色収差も十分に補正されていることが重要である。
【0006】
また、フロント投射式のプロジェクタには、その使い勝手の面から、1.3倍程度で表示画像を変倍できること、手軽に持ち運びができるようにコンパクトであること、短い投射距離で大画面を投射できること、明るい画像を投射できること等が要請され、このような要請に応えるため、投射用レンズは「ズーム機能を持ち、嵩張らず、高画角でFナンバが小さい」ものであることが好ましい。
【0007】
R・G・B3原色の光を導入するプリズムをDMDとの間に配置した投射用ズームレンズとして特許文献1記載のものが知られている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−350727号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述要請に応えるべく、長いバックフォーカス・高いテレセントリック性、コンパクト化、諸収差(倍率色収差等)の十分な補正の実現を可能とし、高い像性能を実現できる投射用ズームレンズ、およびこの投射用ズーレンズを搭載した新規な投射型画像表示装置の実現を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の投射用ズームレンズは、縮小側が略テレセントリックであり、広角端から望遠端へ連続変倍する際、3以上のレンズ群が光軸上を独立に移動し、最も拡大側にある第1レンズ群が負の屈折力を持つ。
第1レンズ群は、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを、拡大側から上記順序に配してなる。
上記「縮小側の曲率が大きい正レンズ」と「両面が凹である負レンズ」とは、「貼り合わせられる」か、もしくは「小さな空気間隔を隔てて配列」される(請求項1)。
【0011】
請求項1記載の投射用ズームレンズは、第1レンズ群内の、上記「縮小側の曲率が大きい正レンズ」と上記「両面が凹である負レンズ」の、d線に対する屈折率をそれぞれN、Nとするとき、これらが、条件:
(1) 0.08<N−N<0.25
満足する。
【0012】
請求項1記載の投射用ズームレンズは、第1レンズ群内の「縮小側の曲率が大きい正レンズ」のアッベ数:ν、「両面が凹である負レンズ」のアッベ数:νが、条件:
(2) −30<ν−ν<−15
満足する
【0013】
請求項1記載の投射用ズームレンズはまた、第1レンズ群内の「両面が凹である負レンズ」のアッベ数:νと部分分散比:θgFが、条件:
(3) 0.02<θgF−(0.6438−0.001682ν)<0.06
満足する
【0014】
請求項1記載の投射用ズームレンズは、さらに、広角端における全系の焦点距離:fw、第1レンズ群の焦点距離:f1、拡大側の共役点が無限遠のときのバックフォーカス:Bf、全系の長さ:Lが条件:
(4) 1.0<Bf/fw<1.3
(5) 1.4<|f1|/fw<1.8
(6) 3.7<L/fw<4.5
満足する。
【0015】
請求項1記載の投射用ズームレンズはまた、第1レンズ群から縮小側に向かって順に、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群が配された5群構成で、広角端から望遠端へ連続変倍する際、第1レンズ群と第5レンズ群が固定で、第2レンズ群、第3レンズ群および第4レンズ群が光軸上を拡大側へ移動する構成である。
【0016】
請求項1または2記載の投射用ズームレンズは「広角端から望遠端へ連続変倍する際、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が狭くなり、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔が広くなる」構成とすることができる(請求項3)。
【0017】
上記請求項2記載の投射用ズームレンズは、第4レンズ群内に「少なくとも1面が非球面であるレンズ」が配置された構成であり、第4レンズ群内に配置された非球面を有するレンズをプラスチックレンズとし、その焦点距離:f4p、望遠端における全系の焦点距離:ftが条件:
(7) 0<|ft/f4p|<0.1
満足する(請求項2)。
【0018】
この発明の「投射型画像表示装置」は、上記請求項1〜3の任意の1に記載の投射用ズームレンズを搭載してなる投射型画像表示装置である。
【0019】
この投射型画像表示装置は、前述の「DMDを1チップ使用したフロント投射型のプロジェクタ」として実施することができるほか、「液晶パネルを使用したプロジェクタ」として実施することもできる。
【0020】
投射用ズームレンズは一般に、広い画角と長いバックフォーカスを持たせるため、負の屈折力を持つレンズ群を先頭とした「ネガティブリード」型ズームレンズである。また、高いテレセントリック性も兼ね備えるため、最も縮小側のレンズ群には正の屈折力を持たせる。
【0021】
このタイプの投射用ズームレンズでは、「軸外の光線が両端のレンズ群により同方向へ強く曲げられる」ため歪曲収差・倍率色収差が発生し易い。
【0022】
この発明の投射用ズームレンズは、第1レンズ群内に、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを配し、「縮小側の曲率が大きい正レンズ」と「両面が凹の負レンズ」の2枚を貼り合わせ、あるいは「小さな空気間隔を隔てて配列」した構成としている。
【0023】
第1群をこのように構成することにより、歪曲収差・倍率色収差の良好な補正を可能とした。
【0024】
さらに、縮小側の曲率が大きい正レンズと両面が凹である負レンズのそれぞれの、d線に対する屈折率:N2、N3に条件(1)を課し、上記各レンズの材質のアッベ数:ν2、ν3に条件(2)を課することにより、歪曲収差・倍率色収差を十分に小さいものとする。
【0025】
条件(1)のパラメータ:N2−N3が下限を越えると、上記縮小側の曲率が大きい正レンズと両面が凹である負レンズとの「貼り合わせ面」もしくは「小さな空気間隔を隔てた2面」の曲率が過大となって、貼り合わせ面若しくは近接しあう面の面形成が困難となる。また、上限を超えると、倍率色収差、コマ収差を良好に保つのが困難になる。
【0026】
条件(2)のパラメータ:ν2−ν3が上限・下限の何れを越えても、大きな倍率色収差が発生してしまう。
【0027】
レンズの材料となる光学ガラスの屈折率は光の波長により異なり、短い波長になるほど屈折率は大きくなる。また、波長が短くなるにつれて「屈折率の大きくなる度合い」は各光学ガラスの種類で異なっている。
【0028】
部分分散比:θgFは、
g線(435.83nm)に対する屈折率:ng、
F線(486.13nm)に対する屈折率:nF、
d線(587.56nm)に対する屈折率:nd、
C線(656.27nm)に対する屈折率:nC、
を用いて、
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)
で定義され、「g線とF線との間の屈折率差の度合い」を表す。
【0029】
光学ガラスの種類ごとに「部分分散比:θgFを縦軸、アッベ数:νdを横軸にとった座標系」に各光学ガラスのθgF、νdの値をプロットすると、その多くは直線上に分布し、これらの光学ガラスは「正常分散ガラス」と呼ばれる。
【0030】
正常分散ガラスを代表する2つの光学ガラスの座標点を結んだ1本の直線を標準線としたとき、この標準線から比較的大きく離れた光学ガラスも多少存在し、これらは「異常分散ガラス」と呼ばれている。
【0031】
異常分散ガラスの「標準線から離れる程度」を表す量は「異常分散度」と呼ばれ、条件(3)のパラメータ:θgF−(0.6438−0.001682ν3)がこれにあたる。
【0032】
この発明の投射用ズームレンズは、第1レンズ群内に配された「両面が凹である負レンズ」の材料を、条件(3)を満足するように選ぶことにより、倍率色収差をより良好に補正することを可能としている。
【0033】
この理由を、請求項1に示された5群構成の場合を例として説明する。
図36に、g線の軸外主光線:g−1と、F線の軸外主光線:Fの光路が模式的に描かれている。表示デバイスの軸外の1点から出た軸外主光線:g−1と軸外主光線:Fは、図中左方(拡大側)へ進むが、絞りSTまでは正の屈折力を持つレンズ群の作用が支配的であるため、軸外主光線:Fの上方を「より波長の短い軸外主光線:g−1」が通過する。
【0034】
絞りSTの中心で両主光線:F、g-1はクロスしたのち「g-1」が「F」より下側となり、正の屈折力を持つ第3レンズ群、第2レンズ群を通過する。ここで「g-1」は「F」より大きく上方に曲げられ、「g-1」と「F」が再度クロスし、「g-1」が上側となって第1レンズ群を通過する。
【0035】
第1レンズ群内に配された「両面が凹である負レンズ」と、その拡大側に配置され「縮小側の曲率が大きい正レンズ」との貼り合わせの面、もしくは、小さな空気間隔を隔てた2つの面において、正レンズの屈折率:N2は負レンズの屈折率:N3より大きいので両主光線は「図の上方」に曲げられる。
【0036】
「両面が凹である負レンズ」の材料を、条件(3)を満足する所謂「異常分散ガラス」にすると、短波長の光の「図の上方に曲がる度合い」が正常分散ガラスの場合に比して減少するので、g線の主光線は「g-2」で示す光路をたどり、スクリーン上において「F」とのずれが「g-1」と比して少なくなる。
【0037】
このような理由により「両面が凹である負レンズを異常分散ガラスにする」ことで倍率色収差を良好に補正することが可能となっている。
【0038】
条件(3)のパラメータである「異状分散度」は、それが大きいほど倍率色収差を補正する上で有利であり、条件(3)の下限を超えると、倍率色収差を十分に補正することが難しい。一方、条件(3)の上限を超えるような光学ガラスは現在知られていない。
【0039】
第1レンズ群内に配された「両面が凹である負レンズ」と、その拡大側に配置された正レンズを「貼り合わせ」の構造とすると、レンズの組み上がり偏心を小さく抑えることができる。
【0040】
一方、異常分散ガラスは「温度による体積膨張」が、他の光学ガラスに比して大きいため、高温または低温環境下では、貼り合わせの面が剥離する危険性があり、投射用ズームレンズが、このような高・低温環境に晒される事態が予想される場合は注意を要する。
【0041】
この発明の投射用ズームレンズでは、このような場合「異常分散ガラスを材料とする両面が凹である負レンズ」とその拡大側の正レンズを「小さな空気間隔」を隔てた構成とすることで倍率色収差を良好に補正しながら、温度変動に対しても高い適応性を持たせることが可能である。
【0042】
この発明の投射用ズームレンズでは、上述した倍率色収差の補正を行うためにも、請求項1のように、第1レンズ群から縮小側に向かって、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群を配置した構造とすることが最も好ましい。
【0043】
そして、変倍に際しては、第1レンズ群と第5レンズ群を固定し、第2レンズ群〜第4レンズ群を第1、第5レンズ群間で移動して行うのが良く、この場合、請求項3のように、広角端から望遠端へ変倍する際、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が狭くなり、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔が広くなることで、第1、第5レンズ群間の「少ないスペース」を有効に使い十分な変倍比を得るとともに、変倍による球面収差、コマ収差等の諸収差変動を抑えることができる。
【0044】
条件(4)は、投射用ズームレンズに必要とされる「長いバックフォーカスと大きな画角」を両立させる条件であり、所望の画角を保持しつつ条件(4)の下限を越えるとバックフォーカスが短くなり、照明光を導入するプリズムの配置が困難になる。逆に、条件(4)の上限を越えると、バックフォーカスが長くなりすぎてコンパクト性を損なう。
【0045】
条件(5)は「長いバックフォーカスと良好な光学性能」を両立させるためのものであり、条件(5)の下限を超えると、第1レンズ群の負の屈折力が過大となり、コマ収差、像面湾曲等の軸外収差を良好に保つのが困難になり、上限を超えると、第1レンズ群の負の屈折力が小さくなりすぎ、所望のバックフォーカスを得られなくなる。
【0046】
条件(6)は、投射用ズームレンズの「コンパクト性と像性能のバランス」に関するもので、所望の画角を保持しつつ条件(6)の下限を越えると、各レンズ群の屈折力が過大となり、球面収差、コマ収差、非点収差等の補正が困難となり、また、レンズ群を移動するための領域を十分に確保できず、所望の変倍比を得るのが困難となる。
【0047】
条件(6)の上限を越えると、投射用ズームレンズの全長が長くなってコンパクト性が失われ、さらに「開口絞りから離れた位置に配置されるレンズ」の外径・厚みが大きくなりコストの高いレンズとなってしまう。
【0048】
請求項2記載の投射用ズームレンズのように、第4レンズ群に「少なくとも1面が非球面であるレンズ」を配置することにより、コマ収差を良好に補正できる。非球面レンズは「成型が容易で安価なプラスチックを材料とするプラスチック非球面レンズ」として構成すると低コスト化が可能となるが、プラスチックレンズは光学ガラスレンズに比して「温度による焦点距離の変化」が大きい。
【0049】
投射用ズームレンズは、使用時に高エネルギの光線が通過するため、温度上昇を避け難い。プラスチックレンズの屈折力が大きいと、それを搭載した投射用ズームレンズにおいては「温度による焦点距離、ピント位置の変化」が大きくなり好ましくない。
【0050】
請求項2記載の投射用ズームレンズは、搭載する非球面レンズの材料をプラスチックとして、その屈折力を「条件(7)を満足する」ように選ぶことにより、温度変化による結像性能の変動が極めて少ないレンズを実現可能としている。
【0051】
【発明の実施形態】
以下、具体的な実施の形態として実施例を5例挙げる。
各実施例において、「S」により拡大側から数えた面(レンズ面、絞りの面、照明光を導入するプリズムの面および表示素子のカバーガラスの面)の番号を表し、「R」により各面の曲率半径(非球面にあっては近軸曲率半径)、「D」により光軸上の面間隔を表す。変倍により変化する面間隔は、広角端時と望遠端時の値を「広角端時/望遠端時」のように併記した。
【0052】
「Nd」と「νd」は、各レンズの材質のd線に対する屈折率とアッベ数を表し、「fw」、「ft」はそれぞれ広角端、望遠端時の全系の焦点距離、「f1」は第1レンズ群の焦点距離、「F/No」は広角端時の明るさを表すFナンバを表す。「obd」はスクリーンからレンズ第1面(第1レンズ群の最も拡大側のレンズ面)までの距離、「Bf」は拡大側の共役点が無限遠のときの空気中(プリズム、カバーガラスのない状態)のバックフォーカス、「L」は投射用ズームレンズ全系の長さを表す。長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
【0053】
非球面の形状は、光軸との交点を原点として、光軸に対する高さ:h、光軸方向の変移:Z、近軸曲率:c(上記近軸曲率半径の逆数)、円錐定数:K、高次項の非球面係数:A、B、C、D、Eとして、周知の式:
Z=c・h/[1+√{1−(1+K)・c・h}]+A・h4+B・h6+C・h8+D・h10+E・h12
で表す。
【0054】
【実施例】
実施例1
図1に、実施例1の投射用ズームレンズのレンズ構成を示す。
拡大側(図面左側)から、負の屈折力の第1レンズ群I、正の屈折力の第2レンズ群II、正の屈折力の第3レンズ群III、開口絞りST、負の屈折力の第4レンズ群IV、正の屈折力の第5レンズ群Vを配して構成されている。投射用ズームレンズの縮小側には、照明光を導入するプリズムP、カバーガラスCGが配されている。
【0055】
第1レンズ群Iは、拡大側より順に、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを配してなり、縮小側の2枚は「小さな空気間隔」を隔てて配置されている。
【0056】
Figure 0004469141
Figure 0004469141
【0057】
各条件のパラメータの値
(1)N2−N3=0.216
(2)ν2−ν3=−27.7
(3)θgF−(0.6438−0.001682ν3)=0.037
(4)Bf/fw=1.23
(5)|f1|/fw=1.54
(6)L/fw=4.03
図2、図3は、実施例1の投射用ズームレンズの広角端、望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図で、図4、図5は同様に広角端、望遠端におけるコマ収差を示す図である。
【0058】
各収差図は、550nmの波長を持つ「緑の光」の収差を示すが、球面収差図、コマ収差図には赤、青の光を代表して640nmと440nmの収差も表示している。「ω」は半画角で角度の単位は「度」である。非点収差図におけるSはサジタル像面、Mはメリディオナル像面の収差である。
【0059】
図6、図7は、波長550nmの光に対する640nm、440nmの光の広角端、望遠端における倍率色収差を示す図である。
【0060】
実施例2以下の収差図においても同様である。
【0061】
実施例2
図8に、実施例2の投射用ズームレンズのレンズ構成を図1に倣って示す。
実施例1と同様、第1レンズ群は、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを拡大側から上記順序に配し、縮小側の2枚が「小さな空気間隔」を隔てて配列されている。
【0062】
Figure 0004469141
【0063】
各条件のパラメータの値
(1)N2−N3=0.166
(2)ν2−ν3=−32.2
(3)θgF−(0.6438−0.001682ν3)=0.050
(4)Bf/fw=1.16
(5)|f1|/fw=1.57
(6)L/fw=4.14
図9、図10に、実施例2の投射用ズームレンズの広角端、望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、図11、図12に同様にコマ収差を示す。図13、図14にそれぞれ、広角端、望遠端における倍率色収差を示す。
【0064】
実施例3
図15に、実施例3の投射用ズームレンズのレンズ構成を図1に倣って示す。
第1レンズ群は、拡大側より順に、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを配してなり、縮小側の2枚が「貼り合わされたレンズ」となっている。
【0065】
Figure 0004469141
【0066】
各条件のパラメータの値
(1)N2−N3=0.200
(2)ν2−ν3=−26.1
(3)θgF−(0.6438−0.001682ν3)=0.037
(4)Bf/fw=1.09
(5)|f1|/fw=1.70
(6)L/fw=3.75
図16、図17に実施例3の投射用ズームレンズの広角端、望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、図18、図19に同様にコマ収差を示す。
図20、図21にそれぞれ、広角端、望遠端における倍率色収差を示す。
【0067】
実施例4
図22に実施例4の投射用ズームレンズのレンズ構成を図1に倣って示す。
【0068】
実施例3と同様に、第1レンズ群は、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを拡大側から配してなり、縮小側の2枚が「貼り合わされたレンズ」となっている。
【0069】
Figure 0004469141
【0070】
各条件のパラメータの値
(1)N2−N3=0.092
(2)ν2−ν3=−20.3
(3)θgF−(0.6438−0.001682ν3)=0.037
(4)Bf/fw=1.16
(5)|f1|/fw=1.58
(6)L/fw=4.03
図23、図24に実施例4の投射用ズームレンズの広角端、望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、図25、26は同様にコマ収差を示す。図27、図28にそれぞれ、広角端、望遠端における倍率色収差を示す。
【0071】
実施例5
図29に実施例5の投射用ズームレンズのレンズ構成を図1に倣って示す。
【0072】
実施例1、2と同様、第1レンズ群は、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側に大きな曲率の正レンズ、両面が凹である負レンズを拡大側から配してなり、縮小側の2枚が「小さな空気間隔を隔てて配置」されている。
第4レンズ群の最も縮小側に「プラスチック非球面レンズ」を配置している。
【0073】
Figure 0004469141
Figure 0004469141
【0074】
Figure 0004469141
【0075】
各条件のパラメータの値
(1)N2−N3=0.216
(2)ν2−ν3=−27.7
(3)θgF−(0.6438−0.001682ν3)=0.037
(4)Bf/fw=1.16
(5)|f1|/fw=1.51
(6)L/fw=3.93
(7)|ft/f4p|=0.02 。
【0076】
図30、図31に、実施例5の投射用ズームレンズの広角端、望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、図32、33は同様にコマ収差を示す。
【0077】
図34、35にそれぞれ、広角端、望遠端における倍率色収差を示す。
【0078】
上に挙げた実施例1〜5の投射用ズームレンズは何れも、最も拡大側にある第1レンズ群が負の屈折力を持ち、第1レンズ群が、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを、拡大側から上記順序に配してなり、上記縮小側の曲率が大きい正レンズと両面が凹である負レンズの2枚を、貼り合わせ(実施例3、4)、もしくは、小さな空気間隔を隔てて配置(実施例1、2、5)した構成を有している(請求項1)。
【0079】
第1レンズ群内の、縮小側の曲率が大きい正レンズと両面が凹である負レンズそれぞれの、d線に対する屈折率:N、N、アッベ数:ν、νは、条件:
(1) 0.08<N−N<0.25
(2) −30<ν−ν<−15
を満足している
【0080】
さらに、第1レンズ群内の両面が凹である負レンズの部分分散比:θgFとアッベ数:νが、条件:
(3) 0.02<θgF−(0.6438−0.001682ν)<0.06
を満足している。
【0081】
実施例1〜5の投射用ズームレンズは何れも、広角端における全系の焦点距離:fw、第1レンズ群の焦点距離:f1、拡大側の共役点が無限遠の時のバックフォーカス:Bf、全系の長さ:Lが、条件:
(4) 1.0<Bf/fw<1.3
(5) 1.4<|f1|/fw<1.8
(6) 3.7<L/fw<4.5
満足する
【0082】
実施例1〜5の投射用ズームレンズは、第1レンズ群Iから縮小側に向かって順に、正の屈折力の第2レンズ群II、第3レンズ群III、負の屈折力の第4レンズ群IV、正の屈折力の第5レンズ群Vより構成され、広角端から望遠端へ変倍する際、第1レンズ群I、第5レンズ群Vは固定で、他のレンズ群は拡大側へ移動し、第2レンズ群II、第3レンズ群IIIの間隔は狭くなり、第3レンズ群III、第4レンズ群IVの間隔は広くなるように動く。
【0083】
実施例5の投射用ズームレンズは、第4レンズ群IV内にプラスチックを材料とする非球面レンズが配しており、そのプラスチック非球面レンズの焦点距離:f4pは、望遠端時の全系の焦点距離:ftに対して、条件:
(7) 0<|ft/f4p|<0.1
を満足している。
【0084】
従って、上記実施例1〜5に代表される本発明の投射用ズームレンズを搭載することで、たとえばDMD表示素子を1チップ使用する投射型画像表示装置を、軽量・コンパクトに実施でき、さらには倍率色収差が十分に補正された高い表示画像品質を持つものとして実施できる(請求項4)。
【0085】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、長いバックフォーカスを持ち、高いテレセントリック性を有しながらも、諸収差(倍率色収差等)の十分な補正により高い像性能を実現可能で、コンパクトな投射用ズームレンズおよびこれを搭載した投射型画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のレンズ構成図である。
【図2】実施例1の広角端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図3】実施例1の望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図4】実施例1の広角端におけるコマ収差を示す図である。
【図5】実施例1の望遠端におけるコマ収差を示す図である。
【図6】実施例1の広角端における倍率色収差を示す図である。
【図7】実施例1の望遠端における倍率色収差を示す図である。
【図8】実施例2のレンズ構成図である。
【図9】実施例2の広角端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図10】実施例2の望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図11】実施例2の広角端におけるコマ収差を示す図である。
【図12】実施例2の望遠端におけるコマ収差を示す図である。
【図13】実施例2の広角端における倍率色収差を示す図である。
【図14】実施例2の望遠端における倍率色収差を示す図である。
【図15】実施例3のレンズ構成図である。
【図16】実施例3の広角端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図17】実施例3の望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図18】実施例3の広角端におけるコマ収差を示す図である。
【図19】実施例3の望遠端におけるコマ収差を示す図である。
【図20】実施例3の広角端における倍率色収差を示す図である。
【図21】実施例3の望遠端における倍率色収差を示す図である。
【図22】実施例4のレンズ構成図である。
【図23】実施例4の広角端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図24】実施例4の望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図25】実施例4の広角端におけるコマ収差を示す図である。
【図26】実施例4の望遠端におけるコマ収差を示す図である。
【図27】実施例4の広角端における倍率色収差を示す図である。
【図28】実施例4の望遠端における倍率色収差を示す図である。
【図29】実施例5のレンズ構成図である。
【図30】実施例5の広角端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図31】実施例5の望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【図32】実施例5の広角端におけるコマ収差を示す図である。
【図33】実施例5の望遠端におけるコマ収差を示す図である。
【図34】実施例5の広角端における倍率色収差を示す図である。
【図35】実施例5の望遠端における倍率色収差を示す図である。
【図36】投射用ズームレンズの主光線の光路を示す図である。
【符号の説明】
I 第1レンズ群
II 第2レンズ群
III 第3レンズ群
IV 第4レンズ群
V 第5レンズ群
ST 開口絞り
P 照明光を導入するプリズム
CG カバーガラス

Claims (4)

  1. 縮小側が略テレセントリックであり、
    広角端から望遠端へ連続変倍する際、3以上のレンズ群が光軸上を独立に移動し、最も拡大側にある第1レンズ群が負の屈折力を持ち、
    上記第1レンズ群が、拡大側に凸のメニスカス負レンズ、縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズを、拡大側から上記順序に配してなり、
    上記縮小側の曲率が大きい正レンズ、両面が凹である負レンズが、貼り合わせられ、もしくは、小さな空気間隔を隔てて配列され、
    上記第1レンズ群から縮小側に向かって順に、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群が配され、
    広角端から望遠端へ連続変倍する際、上記第1レンズ群と第5レンズ群が固定で、上記第2レンズ群、第3レンズ群および第4レンズ群が、光軸上を拡大側へ移動し、
    上記第1レンズ群内の、縮小側の曲率が大きい正レンズのd線に対する屈折率:N 、両面が凹である負レンズのd線に対する屈折率:N が、条件:
    (1) 0.08<N −N <0.25
    を満足し、
    上記第1レンズ群内の、縮小側の曲率が大きい正レンズのアッベ数:ν 、両面が凹である負レンズのアッベ数:ν が、条件:
    (2) −30<ν −ν <−15
    を満足し、
    上記アッベ数:ν 、上記両面が凹である負レンズの部分分散比:θ gF が、条件:
    (3) 0.02<θ gF −(0.6438−0.001682ν )<0.06
    を満足するとともに、
    広角端における全系の焦点距離:fw、第1レンズ群の焦点距離:f1、拡大側の共役点が無限遠のときのバックフォーカス:Bf、全系の長さ:Lが条件:
    (4) 1.0<Bf/fw<1.3
    (5) 1.4<|f1|/fw<1.8
    (6) 3.7<L/fw<4.5
    を満足することを特徴とする投射用ズームレンズ。
  2. 請求項1記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第4レンズ群内に、少なくとも1面が非球面であるレンズが配置され、このレンズがプラスチックレンズであって、その焦点距離:f4p、望遠端における全系の焦点距離:ftが条件:
    (7) 0<|ft/f4p|<0.1
    を満足することを特徴とする投射用ズームレンズ。
  3. 請求項1または2記載の投射用ズームレンズにおいて、
    広角端から望遠端へ連続変倍する際、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が狭くなり、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔が広くなることを特徴とする投射用ズームレンズ
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の投射用ズームレンズを搭載してなる投射型画像表示装置
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