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JP4464670B2 - 複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質基材上に複数の材料が混在した複合層が形成された複合材料の製造方法と該方法に適用される複合層形成方法に関する。
多孔質基材表面上に薄膜(表層)を形成する方法として、多くの方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。このうちスラリーコーティング及びゾルゲル法は、最も一般的に行われている方法である。これらの他に、CVD、電子ビーム塗布、スパッタリング等が広く知られている。また、緻密な基材表面上にパルスレーザアブレーション堆積法(PLD)によって、超伝導体又は半導体の緻密で平滑な薄膜を製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献2〜7、特許文献1及び2参照)。
このようにして形成された薄膜の表面又は細孔内に、薄膜を構成するマトリックス(母材)以外の第二材料、例えば触媒を導入する手段としては、一般的にディッピングが知られている。ディッピングは、薄膜を触媒その他の第二材料を含む分散液又は溶液中に浸漬し、次いで熱処理によって溶媒を蒸発させる。これにより、薄膜に触媒等の第二材料を担持させることができる。
特開2003−147514号公報 特表2002−514119号公報
A.J.バーグラフ(A.J.Burggraaf)及びK.ケイザー(K.Keizer)、「無機膜;合成、特性、及び応用(InorganicMembranes ;Synthesis,Characteristics andApplications)」、R.R.バーブ(R.R.Bhave)編集、バン.ノストランド.レインホールド(VanNostrand Reinhold)出版、ニューヨーク(NY)、1991年 T.ベンケイトサン(T.Venkatesan)ら、「パルスレーザ堆積法(PulsedLaser Deposition)」、MRS会報(MRSBulletin)、1992年2月17日 リー.M(Li.M)ら、シン・ソリッド・フィルムス(ThinSolid Films)第323版、「エピタキシャルLa0.5Sr0.5CoO3薄膜の特性における基材と基材温度の影響(Influencesof substratesand substratetemperatues on characteristics of epitaxialLa0.5Sr0.5CoO3 thin films)」、1998年、第304〜308頁 H.ユガミ(H.Yugami)、H.ナイトウ(H.Naito)、H.アラシ(H.Arashi)、M.イシガメ(M.Isigame)、ソリッド・ステイト・イオニックス(SolidState Ionics)、「エキシマレーザ堆積によるプロトン導電性SrCeO3の加工(Fabricationof protonconductor SrCeO3 thin films byexcimer laser)」、第86〜88巻、1996年、第1307〜1310頁 デイビッド.ウォラー(David.Waller)、ルイジ.G.コッカイア(Luigi.G.Coccia)、ジョン.A.キルナー(John.A.Kilner)、イアン.W.ボイド(Ian.W.Boyd)、ソリッド・ステイト・イオニックス(SolidState Ionics)、「レーザ蒸発によるLa0.7Sr0.3CoO3−δ及びLa0.7Sr0.3Co0.2Fe0.8O3−δフィルムにおけるパルス時間と酸素部分圧の影響(Theeffect ofpulse durationand oxygenpartial pressureon La0.7Sr0.3CoO3−δand La0.7Sr0.3Co0.2Fe0.8O3−δfilms preparedby laserablation)」、第134巻、2000年、第119〜125頁 チュンーシュ.ホウ(Chun−Shu.Hou)、チェンーチャイア.チョウ(Chen−Chia.Chou)、シュー‐ホング.チェン(Hsiu‐Fung.Cheng)、アプライド・サーフェイス・サイエンス(AppliedSurface Science)、「パルスレーザにより堆積させたLa0.5Sr0.5CoO3薄膜の構造における加工パラメータの影響(Effectof processingparameters on structure of pulsedlaser depositedLa0.5Sr0.5CoO3 thin films)」、第113/114巻、1997年、第207〜211頁 エドワード.A.F.スパン(EdwardA.F.Span)、フランク.J.G.ロスイス(Frank.J.G.Roesthuis)、デイブ.H.A.ブランク(Dave.H.A.Blank)、ホースト.ロガラ(HorstRogalla)、アプライド・サーフェイス・サイエンス(Applied Surface Science)、「La0.5Sr0.5CoO3のパルスレーザ堆積(Pulsedlaser ablationof La0.5Sr0.5CoO3)」、第150巻、1999年、第171〜177頁
しかしながら、ディッピングによって触媒材料その他の第二材料を多孔質基材上の薄膜に均一に分散・配置させることは困難であった。即ち、触媒材料その他の第二材料の粒子は、特に乾燥時に集塊する傾向にあり、また、細孔内に分散させる場合には浸透が不充分であったりして、細孔を詰まらせたり、或いは分散が不均一となってしまうといった問題があった。
本発明はかかる従来の課題を解決すべく開発されたものであり、多孔質基材表面上に複数の材料(典型的には、膜の母材を構成する第一(主)材料及び触媒等の第二材料)がほぼ均一に分散された複合層を形成可能な複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
ここで開示される好ましい複合材料の製造方法は、無機多孔質基材上に複数の材料からなる複合層(典型的には膜状複合層)を備えた複合材料の製造方法であって、前記多孔質基材と同じ材料から成る母材形成用無機材と、触媒として機能する材料とを含むターゲットを用意する工程と、該ターゲットにパルスレーザを照射して、多孔質基材の表面に前記無機材からなる母材中に前記触媒材料が分散した複合層を堆積させる工程とを含む。
この製造方法では、パルスレーザのターゲットとして、複数の材料を含むものを用意している。このため、該ターゲットにパルスレーザを照射することにより、順次複数の材料からそれぞれ材料蒸気{パルスレーザ照射によりターゲットから発生した分子、原子、イオン、ナノ又はミクロンサイズの微小粒子(クラスター)等をいう。以下同じ。}を発生させ、多孔質基材の表面にそれら複数の材料を混在させつつ堆積させることができる。
この製造方法において、好ましくは、前記ターゲットを移動させながら、該ターゲットにパルスレーザを照射する。このことにより、前記複数の材料蒸気を生じさせる。この方法では、ターゲットの位置を移動させることによって、パルスレーザを照射するターゲットの部位を容易に変化させることができる。従って、ターゲットの各部位に存在する各材料からその移動に伴い材料蒸気を生じさせることができる。
この方法において、好ましくは、パルスレーザ照射時における雰囲気圧は1×10−6〜1×10Paの範囲である。雰囲気圧がこのような低圧であることにより、先に堆積した他の材料間(典型的には複合層の母材を構成する第一材料の細孔内)に次に生じた材料蒸気(典型的には触媒その他の第二材料)が浸透することができる。このため、より均一に複数の材料を分散させることができる。
前記複数の材料には、触媒として機能する材料が含まれる。複合層中に触媒を均一に分散させることによって、触媒の表面積を増大させ、触媒活性を向上させることができる。このため、これら製造方法は、特に触媒を他の材料(典型的には母材)中に均一に分散させる用途に好適である。
このうち、特に、前記触媒材料は、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、銀、錫、鉄、及び銅並びにこれらの合金、Ln1−xSrMnO(式中、Lnはランタノイドのうちのいずれかの元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である)、及びLn1−xSrCoO(式中、Lnはランタノイドのうちのいずれかの元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である)並びにこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これら触媒材料は、触媒として有用であり得るとともに、ここで開示される方法によって、容易に複合層中に均一に分散させることができる。
特に、これら製造方法には、前記複合層の表面上に、さらに緻密膜を形成する工程を含むことができる。多孔質基材上に複合層を形成したものに、さらに緻密膜を形成することにより、さらに多機能な材料を提供することができる。
好ましくは、パルスレーザアブレーション堆積法(PLD)により、前記緻密膜を形成する。パルスレーザアブレーション堆積法(PLD)で緻密膜を形成することにより、均一な薄膜を広範囲にわたって形成することができる。
特に、前記緻密膜はイオン導電性材料から構成されることが好ましい。緻密膜がイオン導電性材料から構成されることにより、膜の厚み方向にイオンを選択的に通過させることができる。このため、種々のセンサーや電気化学デバイス、燃料電池(例えば、空気極材料)等の分野において好適に利用することができる複合材料を提供することができる。
また、本発明は、ここで開示される方法に、或いはパルスレーザアブレーション堆積法(PLD)に好適に使用し得るターゲットを提供する。このターゲットは、複数の材料により構成されている。これにより、一枚のターゲットであっても、PLDにより複数の材料蒸気を生じさせることができ、前記製造方法により簡易に複合層を形成することが可能となる。
ここで開示されるターゲットとして好ましいものは、触媒として機能する材料と、無機材とから構成されている。この構成により、一枚のターゲットを使用して行うPLDにより、無機材を母材として触媒材料が均一に分散された複合層を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、ターゲットの材料及びその形態等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係る製造方法では、複数の材料を有するターゲットを用いて、パルスレーザにより該複数の材料からそれぞれ蒸気を発生させて多孔質基材表面上に均一に分散・堆積させることができればよく、種々の材料及び構成をその目的のために適用することができる。
本発明の実施に用いられるターゲットは、複数の材料を含む。例えば、ターゲットは、一枚であって、所定の部位に所定の割合で複数の材料が配置されている。ターゲット中におけるその材料の位置及び形状は特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、図1に模式的に示すターゲット100のように、相互に材料の異なる二つの部位101,102が同心円状に分割されていてもよい。または、図2に模式的に示すターゲット110のように、相互に材料の異なる二つの部位111,112のうち、一方の部位112が所定角度の扇状に分割されていてもよい。或いは図3に模式的に示すターゲット120のように、一つの材料で構成された母材部分121中に異なる材料から構成される部位122が分散したものであってもよい。さらには、図4に模式的に示すターゲット130のように、一つの材料から構成された母材部分131中に部分的に異なる材料部分132が不定形に入り込んでいるものであってもよい。一枚のターゲットに複数の材料を含むことにより、複数の材料からなる複合層を一工程のパルスレーザ照射によって製造することができる。
また、選択する材料の数は最もシンプルな場合は無機材(母材用材料)一種と第二材料(典型的には触媒材料)一種との通常二種類であるが、これに限定されず、三種又は四種以上の材料を選択することができる。また、一枚のターゲットを用いる場合には、各材料部分の占有割合(構成比率)は、特に限定されないが、基材上に堆積させる材料の割合(質量比)に応じて適宜決定することが好ましい。
ターゲットに含まれる第二材料としては、パルスレーザにより材料蒸気を発生可能であって、母材用材料と組み合わされて複合層を構成する材料であれば特に限定されず、種々の材料を特に制限なく適用することができる。特に、この材料としては、触媒として機能する材料が挙げられる。
触媒として機能する材料としては、従来公知のいずれの触媒材料を用いてもよい。特に、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、銀、錫、鉄、及び銅からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属触媒材料が挙げられる。また、これらのうちのいずれかの組み合わせの合金及び混合物(即ち、2種以上の材料)であってもよい。このうち、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、及び/又はルテニウムが好ましく、特にパラジウム及び/又は白金が好ましい。或いは、Ln1−xSrMnO{式中、Lnはランタノイドのうちのいずれかの元素(好ましくはLa)を表し、xは0≦x<1を満たす数である}、及びLn1−xSrCoO{式中、Lnはランタノイドのうちのいずれかの元素(好ましくはLa)を表し、xは0≦x<1を満たす数である}からなる群から選ばれる少なくとも一種の複合酸化物触媒材料が挙げられる。さらに、これらのうちのいずれかの組み合わせの混合物(即ち、2種以上の材料)であってもよい。
一方、第一材料、特に前記触媒材料を分散させる母材を構成するのに使用する無機材としては、ジルコニア{好ましくは安定化ジルコニア、特にイットリア(例えば8モル%)含有安定化ジルコニア}、シリカ、アルミナ、チタニア、セリア、及びマグネシア等の無機酸化物が挙げられる。或いは、ムライト、ゼオライト、ガーネット等の複合酸化物が挙げられる。又は、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、白金、ルテニウム、シリコン等の単体又はそれら単体の合金若しくは混合物が挙げられる。或いは、Si、SiC、ZrC、HfC等の非酸化物が挙げられる。また、ガラス質の材料も用いることができる。さらに、これらのうちのいずれか二種以上の混合物であってもよい。このうち、ジルコニア,シリカ、アルミナ、チタニアが好ましく、特に、ジルコニア及び/又はシリカが好ましい。これらのセラミック材は、特に触媒その他の第二材料を分散させる母材として有用である。
これら触媒材料及び母材形成用無機材とから構成されるターゲットを用いることにより、当該無機材に触媒材料が均一に分散した複合層を容易に製造することができる。
尚、ターゲットの大きさは、特に制限されないが、一般的なPLD装置に好適に使用されるためには、直径が1〜50mm程度、特に30〜40mmで、厚さが0.5〜10mm、特に2〜4mm程度であることが好ましい。
次に、本製造方法において用いられる多孔質基材としては、従来公知のいずれのものから特に制限なく、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、アルミナ(例えば、α−アルミナ又はγ−アルミナ)、ジルコニア{好ましくは安定化ジルコニア、特にイットリア(例えば3モル%)含有安定化ジルコニア}、シリカ、チタニア、マグネシア等の無機酸化物が挙げられる。或いは、ムライト、ゼオライト等の複合酸化物が挙げられる。又は、鉄、アルニミウム、ニッケル、コバルト、シリコン等の単体又は合金若しくは混合物が挙げられる。或いは、Si、SiC、ZrC、HfC等の非酸化物が挙げられる。また、ガラス質の材料も用いることができる。さらに、これらのうちのいずれか二種以上の混合物であってもよい。このうち、アルミナ、ジルコニア、シリカ及び/又はチタニアが好ましく、特に、アルミナ及び/又はジルコニアが好ましい。本発明によって得られる複合材料を燃料電池用材料(例えば空気極材料)に用いる場合、前記いずれかのセラミック多孔質基材が好ましい。
多孔質基材と複合層を形成する複数の材料のうちのいずれか1種又は2種以上は、同じであっても異なっていてもよいが、特に、多孔質基材と複合層を形成する複数の材料のうちの1種(典型的には母材形成用無機材)が同じ材料であることが好ましい。この場合には、材料間の特性が類似しているために、多孔質基材と複合層との密着性に優れる。
使用する多孔質基材の平均細孔径は、得られた複合材料の用途に応じて異なるため特に限定されないが、燃料電池材料{例えば固体電解質型燃料電池(SOFC)等の空気極材料)として用いる場合は、好ましくは1〜1×10nm、より好ましくは1〜5000nm、さらに好ましくは10〜2000nmである。このような平均細孔径の大きい基材であっても、本製造方法によれば、複合層をその表面上及び表面に存在する細孔内面に均一に形成することができる。従って、本製造方法によれば、多孔質基材の多孔率及び/又は細孔のサイズ、或いはPLD工程の条件(雰囲気圧の高低等)に応じて、その表面に形成される複合層は多孔質であり得る。即ち、本製造方法では、多孔質基材外面のみならず、細孔内にも薄く均一に複合層を形成し得るが、細孔内を完全に埋めきらない複合層は、巨視的に見れば、多孔質複合層としてとらえることができる。
多孔質基材の表面粗さ(Ra値)は、好ましくは1×10μm以下であり、本発明の方法では、1×10−3〜1×10μm程度、より好ましくは1×10−3〜50μm程度、特に1×10−3〜10μm程度のRaの基材を好適に使用することができる。また、表面粗さの最大値(Rmax値)は、好ましくは1×10−1〜1×10μm、より好ましくは1×10−1〜30μm、特に1×10−1〜10μmである。この範囲の表面粗さを有するものであっても、均一な厚さの複合層をその表面上及び基材細孔内にに形成することができる。
本製造方法で使用可能なパルスレーザとしては、ターゲットに照射してターゲットから材料蒸気(典型的にはターゲット材料の微小クラスター)を発生可能なパワーを有するレーザであれば、特に制限なくその用途に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、CWレーザ、ナノ秒パルスレーザ、フェムト秒パルスレーザ等が挙げられる。特に、ナノ秒パルスレーザが好ましく、このうち、エキシマレーザ、YAGレーザ及びルビー(Ruby)レーザが好ましく、より好ましくはエキシマレーザ又はYAGレーザである。特に、エキシマレーザのうち、KrFレーザ、ArFレーザ、XeClレーザ、例えば248nmの波長で30nsパルス幅のKrFレーザが好適である。
パルスレーザをターゲットの複数の材料に照射する手段としては、パルスレーザが照射されるターゲットの位置を変化させ、複数の材料にそれぞれパルスレーザが照射されればよい。好ましくは、パルスレーザを所定位置に固定した状態で、ターゲットを移動させる。例えば、一枚のターゲットを用いる場合には、移動方法としては、ターゲットの振動、回転、又は所定方向への往復運動{例えば、略Z方向(ターゲットの幅広面に対して鉛直方向)、上下、左右運動}であってもよい。一方、複数のターゲットを用いる場合には、複数のターゲットの位置を適宜交代させて、順番に各ターゲットにパルスレーザ照射が行われるようにするとよい。
或いは、ターゲットを固定した状態で、パルスレーザが放射される方向を変化(例えば、パルスレーザ源を移動)させてもよい。または、パルスレーザの照射方向及びターゲットの両方を移動させて、互いの相対位置を変化させてもよい。
このように、パルスレーザを照射するターゲットの位置を変化させることにより、その位置に存在する各材料から材料蒸気をそれぞれ発生させ、ターゲット近傍に置かれた多孔質基材上に複数の材料を順次堆積することができる。従って、パルスレーザが各材料を照射する時間、移動速度及びその順番等を制御することによって、即ち、ターゲットにおける各材料の位置及び占有面積、さらに照射される位置及び照射時間、相対移動速度、パルス周波数等を適宜選択することにより、所望の割合に各材料を所望の部位に容易に堆積させることができる。この結果、例えば、複合層を形成する母材中に所望の割合に制御された触媒材料を均一に分散・配置させることができる。尚、レーザ照射する材料の順番は、特に制限されない。例えば、ターゲットが触媒材料と母材用無機材とを含む場合には、無機材が先であっても触媒材料が先であってもよい。
ターゲットから複数の材料を堆積させる際の多孔質基材の温度は、多孔質基材の機械的強度が保持し得る温度であれば特に限定されない。例えば、室温であってもよい。又は液体窒素で冷却して100K以下(例えば78K)であってもよい。或いは、基材ホルダーの軟化点よりも低い温度、例えば約1200K程度であってもよい。従って、その温度は、例えば100〜1200K、好ましくは100〜1000K、特に300〜950Kの範囲であってもよい。
複合層の形成された多孔質基材を室温以上の温度に加熱する場合には、その昇温速度は、特に制限されないが、例えば、1〜30℃/分、好ましくは3〜20℃/分、特に5〜15℃/分である。一方、冷却速度は、50℃/分以下、特に20℃/分以下に制御することが好ましい。冷却速度がこの範囲よりも速いと、形成された複合層にクラックが発生する虞がある。
また、照射雰囲気圧は、特に限定されない。例えば、最低圧は物理的に減圧可能な範囲であって、一方最高圧はターゲットが溶融しない範囲であることができる。通常、1×10−6〜1×10Pa(例えば、5×10−7〜1Torr)、好ましくは1×10−4〜1×10Pa、より好ましくは1×10−3〜50Pa、特に2×10−3〜30Pa(例えば、0.02mTorr〜0.2Torr)である。
特に、複数のターゲットを用いる場合には、ターゲット毎に雰囲気圧を変化させることができる。例えば、ターゲットが、母材形成用無機材を含むターゲットと、触媒材料を含むターゲットを有する場合には、該無機材を含むターゲットを照射する雰囲気圧を10〜100Pa、特に20〜50Pa、触媒材料を含むターゲットを照射する雰囲気圧を1〜10Pa、特に2〜5Paとすることができる。このように、触媒材料を含むターゲットを照射する雰囲気圧をより低くすることにより、先に堆積した母材形成用無機材の細孔内に触媒材料を均一に分散させることができる。
さらに、照射雰囲気ガスは、特に限定されないが、例えば、窒素ガス等の不活性ガス、酸素ガス等の酸化性ガス、又は通常の大気であってもよい。或いは、照射する材料毎に雰囲気ガスを選択して変更してもよい。
照射時間は、所望の複合層の厚さやその層を構成する材料の混在割合、又はパルスレーザのエネルギーや周波数等によって適宜選択することができる。例えば、全体では、1〜1×10秒、好ましくは10〜5×10秒、より好ましくは1×10〜5×10秒、特に3×10〜3×10秒である。特に、母材形成用無機材に触媒その他の第二材料を分散させる場合には、無機材と触媒その他の第二材料とを交互に(順番に)照射する。この場合の無機材の合計照射時間は10〜1×10秒、好ましくは10〜5×10秒、より好ましくは100〜5×10秒、特に300〜3×10秒である。また、第二材料の合計照射時間は1〜1×10秒、好ましくは1〜1×10秒、より好ましくは1〜50秒である。これらの照射を繰り返す回数は、例えば、1〜30回、好ましくは1〜20回、より好ましくは1〜10回、特に1〜8回である。このような範囲の照射時間及び回数であることにより、特に無機材に触媒その他の第二材料を均一に分散させた複合層を得ることができる。
パルスエネルギーは、特に限定されないが、一般的なレーザパルスアブレーション堆積法(PLD)において用いられている範囲であることが好適である。例えば、100〜650mJ/パルス、好ましくは200〜500mJ/パルス、特に300〜450mJ/パルスである。しかしながら、より高いエネルギーを使用可能な装置であれば、さらに高いエネルギーを用いることができる。
パルス周波数は、例えば1Hz以上、好ましくは1〜100Hz、より好ましくは1〜50Hzである。しかしながら、パルス周波数は特に限定されず、より高いパルス周波数を使用可能な装置であれば、さらに高いパルス周波数を用いることができる。
堆積された複合層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは100μm以下(例えば、10nm〜100μm、さらに50nm〜50μm、特に100nm〜30μm)である。本製造方法によれば、複数の材料を均一に分散された複合層をこのような範囲の薄層に容易に形成することができる。
本製造方法によれば、このようにして形成された複合層を有する複合材料を得ることができる。本発明は、このような複合材料を提供する。
好ましい形態において、このようにして触媒材料が均一に分散された複合層が形成された複合材料を提供することができる。
このうち特に好適には、無機材から構成される多孔質層の細孔中及び/又はその表面に触媒材料が均一に分散した状態の複合層が形成された複合材料を提供することができる。
さらに、得られた複合層は、熱処理又は他のいずれの後処理を行うことができる。例えば、100〜2000℃、好ましくは500〜1500℃、特に800〜1300℃の熱処理を行うことができる。熱処理によって、複合層の成形性及び機械的強度を向上することができる。また、他の処理、例えば、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、マイクロウェーブ処理等を行うこともできる。
また、ここに開示される製造方法の好ましい形態として、形成した複合層の上に、さらに緻密層を形成する方法が挙げられる。緻密層としては、所望の目的に応じて特に制限なく、種々の材料で形成することができる。例えば、燃料電池用材料としてSOFC等に用いられる空気極材料が本発明によって提供される。したがって、本発明の一側面として、ここで開示される方法にイオン伝導性材料を主体とする緻密層(膜)を形成する工程をさらに包含する燃料電池用複合材料(例えば、空気極材料)の製造方法が提供される。ここで使用されるイオン伝導性材料としては、従来公知のいずれのイオン伝導性材料を用いることができ、例えば、以下のものが挙げられるが、これに限定されない。。
(1)BaCe1−x(但し、Mは、Nd、Y、Yb、In、Sc、Sm、及びGdのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを示す)、
(2)SrCe1−x(但し、Mは、Nd、Y、Yb、In、及びScのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを示す)、
(3)BaZr1−x(但し、Mは、Nd、Y、Yb、In、及びScのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを示す)、
(4)SrZr1−x(但し、Mは、Nd、Y、Yb、In、及びScのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを示す)、
(5)CaZr1−x(但し、Mは、Nd、Y、Yb、In、及びScのうちのいずれか1種又は2種以上の組み合わせを示す)、
(6)SrTi1−xSc
(7)LaSc1−xMg
(8)SrY0.5Ta0.5
(9)SrY0.52Ta0.48
(10)LaZr2−xYxO
(11)SmZr1.80.2
(12)SrTi1−xIn
(13)SrTi2−xIn
(14)La5.8WO11.7
(15)La1−xSrMnO
(16)(La1−x,Sr)(Ga1−y,Fe)O
(17)(La1−x,Sr)(Ti1−y,Fe)O
(18)安定化剤としてY(イットリウム)、Ca(カルシウム)、Sc(スカンジウム)、Ce(セリウム)を2〜15モル%含む安定化ジルコニア。
尚、前記式中、xは、0≦x<1を満足する数であり、yは、0≦y<1を満足する数である。また、本明細書に記載されているいくつかの式中、酸素原子数は3、4又は7であるように表示されているが、実際には酸素原子の数は示されている3、4又は7以下(典型的には3、4又は7未満)である。ただし、この酸素原子数はペロブスカイト構造の一部を置換する原子の種類および置換割合その他の条件により変動するため、正確に表示することは困難である。そこで、本明細書中においてペロブスカイト型材料を示す一般式では酸素原子の数を便宜的に3、4又は7として表示するが、ここで教示する発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。したがって、この酸素原子の数を例えば3−α、4−αまたは7−αと書くこともできる。ここでαは、典型的には1を超えない正の数(0<α<1)である。
緻密層は、いずれの公知の膜形成手段によって形成することができる。例えば、スラリーコーティング、ゾルーゲル法、スピンコーティング等を用いることができる。特に好ましくは、パルスレーザアブレーション堆積法(PLD)により形成する。パルスレーザアブレーション堆積法によって、特に緻密で均一に薄い緻密層(膜)を広範囲に亘って形成することができる。
パルスレーザアブレーション法によって緻密層を形成する場合には、好適には、前記ターゲットの一部が、緻密層を形成する材料により構成されている。例えば、一枚のターゲットに複数の材料が含まれている場合には、この一部に緻密層を構成する材料を含ませることができる。或いは、複数の材料に対応して複数のターゲットを用意した場合には、そのうちの一枚を緻密層を形成する材料により構成されるターゲットとする。このようなターゲットを用意することによって、連続的に複合層上に緻密層を容易に形成することができる。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。尚、各参考例および実施例において用いた多孔質基材、その表面粗さ(Ra値:μm)及び最大値(Rmax値:μm)、気孔率(%)、平均細孔径(nm)、さらにターゲット材料、照射雰囲気圧、並びに照射時間を表1にまとめた。尚、表1中、雰囲気圧は、1mTorr≒0.13Paで換算される。
(参考例1)
(1)複合層を有する複合材料の製造
多孔質基材として、アルミナ多孔質基材、並びにパルスレーザアブレーション堆積法(PLD)用のターゲット7として、複合層(膜)の母材形成のためのジルコニア、及び該母材中に分散させる第二材料たる触媒材料としてパラジウムを含むものを用いた。まず、図5に示すように、パラジウムターゲット部17となる円板プレートを中心とし、その周りに同心円状にジルコニアターゲット部15を作製した。ジルコニアターゲット部17は、周知のセラミック製造手段に従い製造した。即ち、8モル%のイットリアを含むジルコニア粉末をパラジウムターゲット部17となるプレートの周りにドーナツ状に配置してペレット状にプレスし、1350℃にて焼結した。得られたペレットの大きさは4mmの厚さを有し、ジルコニアターゲット部15の表面粗さ(Ra値)は0.22μm、及びその最大値(Rmax値)は2.06μmであった。
次に、レーザパルスアブレーション堆積法(PLD)により、アルミナ基材表面上にジルコニア及びパラジウムを堆積させた。PLD用の装置1は、図6にその構成の概略を模式的に示すように、図示しない真空ポンプPにより減圧可能な堆積室3内に、基材5とターゲット7が互いに対向して配置されている。ターゲット7を保持するターゲット保持手段8は、ターゲット7を所定方向に移動(例えば、回転や振動等)可能に構成されている。堆積室3には、反応ガスを供給するための手段として、ガス供給管9が備えられている。また、堆積室3の側面には、レンズ11と、レンズ11よりも外側には、ターゲット7を照射するためのレーザエネルギー源(図示せず)が備えられており、レンズ11を通して図6において矢印方向に入射されたレーザの焦点をターゲット7に合わせている。
ここで、レーザは、248nmの波長で30nsパルス幅のKrFレーザを用いた。また、レーザのパルスエネルギーは、300mJ/パルス、及びその周波数は1Hzであった。また、雰囲気ガスとしては、酸素ガスを用い、その圧は、約27Pa(200mTorr)とした。
図7を参照して、レーザを照射する方法を説明する。前記により得られたジルコニアターゲット部15とパラジウムターゲット部17とを含むターゲット7に対して、レーザエネルギー源からレーザを照射する(例えば、図7において細線矢印方向)。ここで、ターゲット保持手段8によりターゲット7を所定方向(例えば、図7において太線矢印方向)にランダムに振動させることにより、レーザが照射するターゲット7の位置を変化させる。すると、ターゲット7からは、レーザ照射されたジルコニアターゲット部15及びパラジウムターゲット部17からそれぞれジルコニア及びパラジウムの蒸気が、照射された順番で照射された時間だけ、順次発生し(例えば、図7において、点線矢印方向)、アルミナ基材5に堆積する。尚、ここでは、照射時間を全体で2000秒とした。
(2)断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察
前記のようにして得られたパラジウム触媒が分散したジルコニア層(複合層)の断面のSEM写真(倍率:10000倍)を図8に示す。図8から明らかなように、多孔質に形成されたジルコニア層の細孔内にパラジウムが均一に分散されていることが判る。また、得られた複合層の厚さは、約20μmであった。
(3)ガス透過性試験
得られた複合材料を用いて、ガス透過性試験を行った。試験ガスとして、窒素ガスを用い、室温にて行った。また、窒素ガスの圧力は、100KPaであった。この結果、窒素ガスの透過速度は、5.8×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例2)
(1)複合層を有する複合材料の製造
多孔質基材として、前記参考例1と同様なアルミナ多孔質基材を用いた。
パルスレーザアブレーション堆積法(PLD)用のターゲットとして、複合層の母材(マトリックス)形成用のジルコニアターゲットを用いた。同時に、触媒分散用としてパラジウムターゲットを用いた。まず、ジルコニアターゲットは、周知のセラミック製造手段に従い製造した。即ち、8モル%のイットリアを含むジルコニア粉末をペレット状にプレスし、1350℃にて焼結した。得られたペレットの大きさは、直径38mmで厚さ4mmであった。また、その表面粗さ(Ra値)は0.22μm、及びその最大値(Rmax値)は2.06μmであった。一方、パラジウムターゲットとしては、同形状の金属パラジウムプレートをそのまま用いた。
次に、パルスレーザアブレーション堆積法(PLD)により、参考例1と同様のレーザ源、レーザパルスエネルギー、周波数、及び基材温度にてアルミナ基材表面上にジルコニア及びパラジウムを堆積させた。
図9を参照して、本参考例におけるレーザ照射方法を説明する。前記により得られたジルコニアターゲット21とパラジウムターゲット23に対して、レーザエネルギー源からレーザを照射する(例えば、図9において細線矢印方向)。ここで、ジルコニアターゲット21を所定時間(ここでは1000秒)照射した後に、ターゲット保持手段によりターゲットの位置を交代させて(例えば、図9において太線矢印方向)、パラジウムターゲット23を所定時間(ここでは10秒)照射する。すると、まずジルコニアターゲット21からジルコニアの蒸気が生じてアルミナ基板5上に堆積し、次いで、パラジウムターゲット23からパラジウムの蒸気が生じて、前に堆積されたジルコニアマトリックスの表面及び細孔(即ち、多孔質基材の細孔内に形成されたジルコニアマトリックス。以下同じ)内に分散して堆積する(例えば、図9において点線矢印方向)。尚、ターゲットがジルコニアであるときには、雰囲気圧を約27Pa(200mTorr)とし、ターゲットがパラジウムに代えたときには、雰囲気圧を約2.7Pa(20mTorr)とした。
(2)断面のSEM(走査型電子顕微鏡)及びEDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)による観察
前記のようにして得られたパラジウム触媒が分散したジルコニア層の断面のSEM写真(倍率:20000倍)を図10に示す。図10から明らかなように、アルミナ多孔質基材上にジルコニアとパラジウムが分散した複合層が形成されていることが判る。また、得られた複合層の厚さは、約20μmであった。さらに、複合層の断面のEDXマッピングを図11に示す。図11から明らかなように、ジルコニアとパラジウムは、良好に分散・混在していることが判る。即ち、パラジウムは、ジルコニアの表面に過度に堆積せずに、ジルコニアマトリックスの細孔内に良好に分散していることが判る。
(3)ガス透過性試験
得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、5.0×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例3)
触媒材料として、パラジウムターゲットの代わりに、白金ターゲットを用いたこと以外は、前記参考例2と同様にしてアルミナ多孔質基材上に複合層を形成した。
得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、5.1×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例4)
多孔質基材として、γ−アルミナが塗布されたα−アルミナを用いた。ターゲットとして、参考例2と同様のジルコニアターゲットと、パラジウムターゲットとを用意した。レーザ照射は、ジルコニアターゲットと、パラジウムターゲットとを交互に多段階に行った。即ち、ジルコニアターゲットを100秒照射した後に、パラジウムターゲットを10秒照射し、これを5回繰り返して、積層構造を得た。尚、雰囲気圧は、いずれも27Pa(200mTorr)とした。
得られた積層構造のSEM写真(倍率:20000倍)を図12に示す。また、複合層をさらに拡大した写真(倍率:40000倍)を図13に示す。さらに、図14には、パラジウムとジルコニアのEDXラインマッピングの結果を示す。これらの結果から明らかなように、ジルコニアとパラジウムは、良好に分散していることが判る。また、図13を観察すると、積層されていることが確認される。また、得られた複合層の厚さは、約10μmであった。
また、得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、3.3×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例5)
ジルコニアの堆積後に、堆積室内の雰囲気ガスを酸素から窒素ガスに変更し、その後パラジウムを堆積したこと以外は、参考例2と同様に複合層を形成した。
得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、4.9×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例6)
パラジウムの堆積(レーザ照射)を100秒間行ったこと以外は、参考例2と同様にして複合材料を製造した。
得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、4.8×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例7)
パラジウムの堆積を2.7×10−3Pa(0.02Torr)という超低圧下に行ったこと以外は、参考例2と同様にして複合材料を製造した。パラジウムを極めて良好にジルコニア細孔内に分散させることができた。
得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、5.2×10−6モル/m.秒.Paであった。
(参考例8)
用いたセラミックターゲットをジルコニアの代わりにシリカとし、アルミナ多孔質基材を室温に保持したこと以外は、参考例2と同様に複合材料を製造した。シリカを先ずアルミナ基材上に堆積させ、次いで、パラジウムをシリカの細孔内に堆積させた。
得られた複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、1.1×10−9モル/m.秒.Paであった。
(参考例9)
用いたアルミナ多孔質基材が異なる以外は、参考例2と同様に複合材料を得た。次いで、この複合材料を支持体とし、その複合層上にシリカ膜を塗布した。即ち、ターゲットとしてシリカを用い、10秒間レーザ照射して、複合層を中間層としてその表面上にシリカ薄膜を形成した。クラックのない約1μmのシリカ薄膜を形成することができた。、
得られたシリカ膜付複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、2×10−8モル/m.秒.Paであった。
(実施例10)
多孔質基材として、アルミナの代わりにジルコニアを用い、PLD手順において以下のように変更したこと以外は、参考例2と同様にして複合材料を得た。即ち、始めにジルコニアを塗布し、次いで、取り出して1400℃にて熱処理した。得られたジルコニア膜のSEM写真(倍率:18000倍)を図15に示す。
この熱処理されたジルコニア層の表面上に、PLDによってパラジウムを分散堆積させた。良好な薄いパラジウム層をジルコニア層の表面上に得ることができた。
(参考例11)
用いた多孔質基材が、参考例4と同様なγ−アルミナ多孔質基材であって、ジルコニア及びパラジウムの堆積時間が異なること以外は、参考例2と同様にして、複合材料を得た。即ち、ジルコニアに対するレーザの照射時間を66秒、パラジウムを3秒とした。
得られた複合層の断面のSEM写真及びジルコニアとアルミナのEDXラインマッピングを図16に示す。図16から明らかなように、数百(約200)nmの範囲の厚さのパラジウム分散層が形成されていることが判る。
(参考例12)
参考例2で得られた複合材料の複合層上に、イオン伝導性薄膜を形成した。即ち、ターゲットとしてSrZr0.950.05Oを用い、100秒間レーザ照射して、複合層上にSrZr0.950.05O薄膜を形成した。クラックのない約20μmのSrZr0.950.05O薄膜を形成することができた。、
得られたSrZr0.950.05O薄膜のSEM写真を図17に示す。薄膜が均一に形成されていることが判る。
また、得られたSrZr0.950.05O膜付複合材料を用いて、参考例1と同様にガス透過性試験を行った。この結果、窒素ガスの透過速度は、4×10−9モル/m.秒.Paであった。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。例えば、多孔質基材、及び複合層を形成する複数の材料は、前記実施例のものに限られず、種々の材料を適宜組み合わせて用いることができる。特に、特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本発明により製造された複合材料は、複合材料として用途に特に制限なく適用することができる。特に、触媒材料を分散させて使用するいずれの用途にも好適に用いることができる。また、緻密膜、例えば、イオン導電性膜を形成したものは、他の用途、例えば、センサーや電気化学デバイス、燃料電池(例えば、空気極)等に好適に利用することができる。
一実施形態に係るターゲットの形態を模式的に示す説明図。 他の一実施形態に係るターゲットの形態を模式的に示す説明図。 他の一実施形態に係るターゲットの形態を模式的に示す説明図。 他の一実施形態に係るターゲットの形態を模式的に示す説明図。 一例において用いたターゲットの形態を具体的に示す説明図。 一例においてパルスレーザアブレーション堆積法に用いた装置を模式的に示す説明図。 一例においてターゲットをレーザが照射する方法を示す説明図。 参考例において得られた複合層の断面を示すSEM写真。 参考例においてターゲットをレーザが照射する方法を示す説明図。 他の参考例において得られた複合層の断面を示すSEM写真。 図10に示したものと同じ複合層のEDXマッピング図。 他の参考例において得られた複合層の断面を示すSEM写真。 図12に示した複合層断面の拡大SEM写真。 図12に示した複合層断面のEDXマッピング図。 実施例において得られたジルコニア層の表面を示すSEM写真。 他の参考例において得られた複合層の断面を示すSEM写真。 他の参考例において得られた複合層上に形成された緻密層の断面を示すSEM写真。
符号の説明
1……PLD用装置
3……堆積室
5……基材
7,100,110,120,130……ターゲット
15…ジルコニアターゲット部
17…パラジウムターゲット部
21…ジルコニアターゲット
23…パラジウムターゲット

Claims (8)

  1. 無機多孔質基材上に複数の材料からなる複合層を備えた複合材料の製造方法であって、
    前記多孔質基材と同じ材料から成る母材形成用無機材と、触媒として機能する材料とを含むターゲットを用意する工程、及び
    該ターゲットにパルスレーザを照射して、多孔質基材の表面に前記無機材からなる母材中に前記触媒材料が分散した複合層を堆積させる工程を含む、方法。
  2. 前記ターゲットを移動させながら、該ターゲットにパルスレーザを照射する、請求項1記載の方法。
  3. パルスレーザ照射時における雰囲気圧が1×10 −6 〜1×10 Paの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記触媒として機能する材料として、
    パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、銀、錫、鉄及び銅からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属触媒材料、または、
    Ln 1−x Sr MnO (式中のLnはランタノイドのうちのいずれかの元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である)及びLn 1−x Sr CoO (式中のLnはランタノイドのうちのいずれかの元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である)からなる群から選ばれる少なくとも一種の複合酸化物触媒材料、
    が用いられる、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の方法。
  5. 前記触媒材料を分散させる母材形成用無機材として、ジルコニア、シリカ、アルミナ、チタニア、セリア、又はマグネシアが用いられる、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の方法。
  6. 前記複合層の表面上に、さらに緻密膜を形成する工程を含む、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の方法。
  7. パルスレーザアブレーション堆積法(PLD)により、前記緻密膜を形成する、請求項6記載の方法。
  8. 前記緻密膜はイオン導電性材料から構成される、請求項6又は7記載の製造方法。
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