JP4462741B2 - 管継手部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道管等の流体輸送管同士を連通接続したり、或いは、流体輸送管と管継手とを連通接続する場合などに用いられる管継手部で、特に、流体輸送管や管継手等に形成されている受口管部に対して、他の流体輸送管や管継手等に形成されている挿入管部を管軸芯方向から密封状態で挿入接続してある管継手部の回転防止技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の管継手部としては、例えば、図5に示すように、受口管部1の内周面に形成した三つの周溝1a,1b,1cのうち、最奥側に位置する第1周溝1a内に、地震や不同沈下等に起因して受口管部1と挿入管部2とに引抜き方向の外力が作用したとき、挿入管部2の外周面の先端部に一体形成した突起2aに管軸芯X方向から接当して、受口管部1と挿入管部2との離脱を阻止する拡径側に弾性変形可能な抜止めリング3を装着するとともに、管軸芯X方向の中央に位置する第2周溝1b内には、挿入管部2の外周面との間を密封する弾性シール材4を装着し、更に、開口側に位置する第3周溝1c内には、セットボルト5による半径方向内方への押込み操作によって受口管部1と挿入管部2との屈曲を阻止する屈曲防止リング6を装着したものが存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この管継手部による場合では、受口管部1の第1周溝1a内に装着された抜止めリング3と挿入管部2の先端突起2aとの管軸芯X方向からの接当によって、受口管部1と挿入管部2との離脱移動を強力に阻止することができるものの、受口管部1と挿入管部2との管軸芯X周りでの相対回転は、主として、圧縮状態にある弾性シール材4との間での摩擦力によって抑制されているだけであるため、前記受口管部1又は挿入管部2が、消火栓や空気弁等の機器の一部を構成する場合又は機器に接続された管継手の一部である場合では、地震や不同沈下等に起因したモーメント等の外力によって、機器の取付け姿勢が変化し易く、機器の取扱いが不便になるばかりでなく、機器としての機能が損なわれる可能性がある。
【0004】
そこで、上述のような問題を解決する方法として、図5の仮想線で示すように、受口管部1の受口側端部の周方向複数箇所で、かつ、管軸芯X方向に沿って一体的に延長した固定操作部50に、挿入管部2の外周面を径方向外方から強圧して、受口管部1と挿入管部2との管軸芯X周りでの相対回転を阻止する固定ボルト51を螺合することが考えられる。
しかし、施工条件によっては、受口管部1と挿入管部2との管軸芯X周りでの相対回転を阻止する必要が無く、寧ろ、受口管部1と挿入管部2とを管軸芯X周りで相対回転可能に構成する方が好ましい場合もあり、その結果、固定ボルト51を螺合するための固定操作部50を備えた受口管部1と、固定操作部50を有していない通常の受口管部1との二種類を製作する必要があり、製造コストの高騰化を招来し易い。しかも、既設の管継手部を改修する場合では、固定操作部50を備えた受口管部1に取替える必要があるため、工事が大掛かりになり、工事費が高騰化する問題がある。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、地震や不同沈下等に起因したモーメント等の外力が作用した場合でも、受口管部と挿入管部との管軸芯周りでの相対回転を阻止することのできる状態への改造工事を、施工コスト面及び工期面で有利に実施することのできる管継手部を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
管継手部において、受口管部とこれに密封状態で挿入接続された挿入管部とに亘って外套可能で、かつ、外套状態で周方向に沿って脱着自在に固定連結される複数の分割連結体からなる連結輪に、前記受口管部の外周面に管軸芯周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定可能な第1締着具と、挿入管部の外周面に管軸芯周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定可能な第2締着具とを設けてある。
【0007】
上記構成によれば、受口管部と挿入管部とに亘って、連結輪を構成する複数の分割連結体を外套状態で周方向に沿って固定連結したのち、この連結輪に設けられている第1締着具及び第2締着具をそれぞれ締付け固定操作することにより、受口管部と挿入管部との管軸芯周りでの相対回転を阻止することができる。
【0008】
従って、受口管部又は挿入管部が、消火栓や空気弁等の機器の一部を構成したり、或いは、機器に接続された管継手の一部を構成している場合であって、機器の所期の取付け姿勢を維持する必要がある場合にのみ、第1締着具及び第2締着具を備えた連結輪を装着すればよいから、受口管部と挿入管部との管軸芯周りでの相対回転を阻止することのできる状態への改造工事を、施工コスト面及び工期面で有利に実施することができる。
【0009】
管継手部において、前記分割連結体の周方向で隣接する端部に、管軸芯方向からのみ嵌合連結自在で、かつ、嵌合連結状態では分割連結体の径方向外方への分離移動を阻止する嵌合凸部と嵌合凹部とが形成されている。
【0010】
上記構成によれば、前記受口管部と挿入管部とに亘って連結輪を外套状態で装着する際、分割連結体の周方向で隣接する端部に形成された嵌合凸部と嵌合凹部とを介して、周方向で隣接する分割連結体同士を管軸芯方向から嵌合連結することができ、しかも、嵌合連結状態では分割連結体の径方向外方への分離移動が阻止されているから、分割連結体同士を締付け連結するボルト・ナット等の締結具が不要で、連結輪の装着作業を能率良く容易に行なうことができる。
【0011】
管継手部において、前記嵌合凸部と嵌合凹部が、管軸芯方向の一側方からのみ嵌合連結可能に構成されているとともに、前記嵌合凸部と嵌合凹部との相対向する部位に、所定嵌合長さに到達したときに管軸芯方向から互いに接当するストッパー面が形成されている。
【0012】
上記構成によれば、前記受口管部と挿入管部とに亘って連結輪を外套状態で装着する際、分割連結体の周方向で隣接する端部に形成された嵌合凸部と嵌合凹部とを、それらの相対向する部位に形成されたストッパー面同士が接当する位置にまで嵌合操作するだけでよく、連結輪の装着作業の能率化、容易化を促進することができる。
【0013】
本発明の請求項1による管継手部の特徴構成は、受口管部に密封状態で挿入接続された挿入管部の外周面に、前記受口管部の受口側端面に管軸芯方向から接当して、当該受口管部に対する挿入管部の挿入長さを設定挿入長さに規制する挿入規制用突起と、管軸芯方向に沿って帯板状に補強する補強部とを、周方向に交互に位置する状態で一体形成するとともに、前記受口管部と挿入管部とに亘って、周方向に沿って脱着自在に固定連結される複数の分割連結体からなる連結輪を外套し、この連結輪には、前記受口管部の外周面に対して管軸芯周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定するボルトを備えた第1締着具と、前記挿入管部の外周面における前記挿入規制用突起と補強部との隣接間部位に対して管軸芯周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定するボルトを備えた第2締着具とを設けた点にある。
本発明の請求項2による管継手部の特徴構成は、前記受口管部の内周面に形成した周溝には、セットボルトによる径方向内方への押込み操作によって受口管部と挿入管部との屈曲を阻止する屈曲防止リングが装着されているとともに、前記補強部が、前記セットボルトと径方向で相対向する部位に形成されている点にある。
本発明の請求項3による管継手部の特徴構成は、前記分割連結体の周方向で隣接する端部には、管軸芯方向からのみ嵌合連結自在で、かつ、嵌合連結状態では分割連結体の径方向外方への分離移動を阻止する嵌合凸部と嵌合凹部とが形成され、前記嵌合凸部と嵌合凹部が、管軸芯方向の一側方からのみ嵌合連結可能に構成されているとともに、前記嵌合凸部と嵌合凹部との相対向する部位には、所定嵌合長さに到達したときに管軸芯方向から互いに接当するストッパー面が形成されている点にある。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、水道管等の流体輸送管同士を連通接続したり、或いは、流体輸送管と管継手とを連通接続する場合などに用いられる管継手部の一例で、消火栓等の機器が連結されている鋳鉄製のT字型管継手の一端に一体形成された受口管部1と、水道管等の鋳鉄製の流体輸送管の一端側に一体形成された挿入管部2とを密封状態で接続してある管継手部を示し、受口管部1の内周面に形成した三つの周溝1a,1b,1cのうち、最奥側に位置する第1周溝1a内に、地震や不同沈下等に起因して受口管部1と挿入管部2とに引抜き方向の外力が作用したとき、挿入管部2の外周面の先端部に一体形成した環状突起2aに管軸芯X方向から接当して、受口管部と挿入管部との離脱を阻止する拡径側に弾性変形可能な抜止めリング3を装着するとともに、管軸芯X方向の中央に位置する第2周溝1b内には、挿入管部2の外周面との間を密封する弾性シール材4を装着し、更に、開口側に位置する第3周溝1c内には、4本のセットボルト5による半径方向内方への押込み操作によって受口管部1と挿入管部2との屈曲を阻止する屈曲防止リング6を装着してある。
【0019】
また、前記挿入管部2の外周面には、受口管部1の受口側端面に管軸芯X方向から接当して、該受口管部1に対する挿入管部2の挿入長さを設定挿入長さに規制する4つの挿入規制用突起2bと、前記セットボルト5に径方向で相対向する部位を管軸芯X方向に沿って帯板状に補強する補強部2cとが、周方向に交互に位置する状態で、かつ、周方向に等ピッチを隔てて一体形成されているとともに、前記受口管部1の外周面のうち、セットボルト5及び弾性シール材4の取付け箇所に相当する先端側の環状膨出部分1dと、前記抜止めリング3の取付け箇所に相当する奥側の環状膨出部分1eとの間には環状溝部1gが形成されている。
【0020】
前記抜止めリング3の外周面側には、抜止め解除状態までの拡径側に弾性変形を許容する芯出し用の弾性体10が配設されている。
【0021】
そして、上述の如く構成された管継手部に用いられる回転防止金具は、図1〜図4に示すように、受口管部1とこれに密封状態で挿入接続された挿入管部2とに亘って外套可能で、かつ、外套状態で周方向に沿って脱着自在に固定連結される半円弧状の一対の分割連結体7A,7Bからなる鋳鉄製の連結輪Aに、前記受口管部1の外周面に対して管軸芯X周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定するボルト8Bを備えた第1締着具8と、挿入管部2の外周面における前記挿入規制用突起2bと補強部2cとの隣接間部位に対してに管軸芯X周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定するボルト9Bを備えた第2締着具9とが設けられている。
【0022】
前記分割連結体7A,7Bの周方向両端から半径方向外方に向かって突出形成された連結端部7aのうち、径方向で相対向する隣接連結端部7aには、管軸芯X方向からのみ摺接状態で嵌合連結自在で、かつ、嵌合連結状態では分割連結体7A,7Bの径方向外方への分離移動を阻止する嵌合凸部7bと嵌合凹部7cとが形成されているとともに、前記嵌合凸部7bと嵌合凹部7cとが、管軸芯方向の一側方からのみ嵌合連結可能に構成され、更に、前記嵌合凸部7bと嵌合凹部7cとの管軸芯X方向で相対向する部位には、所定嵌合長さに到達したときに管軸芯X方向から互いに接当するストッパー面7dが形成されている。
【0023】
前記嵌合凸部7bと嵌合凹部7cが、第1締着具8及び第2締着具9の締付け固定操作に連れて結合力が増大する、つまり、第1締着具8及び第2締着具9の締付け固定操作に伴う両分割連結体7A,7Bの半径方向外方への相対離間移動に連れて結合力が増大するアリ継ぎ形状に形成されているとともに、各分割連結体7A,7Bの両連結端部7aに嵌合凸部7bと嵌合凹部7cとを振分け形成して、前記各分割連結体7A,7Bが同一形状に形成されている。
【0024】
前記第1締着具8が、各分割連結体7A,7Bの周方向中央位置に形成されたネジ孔8Aと、該ネジ孔8Aに対して径方向外方から螺合されるボルト8Bとから構成されているとともに、前記第2締着具9が、各分割連結体7A,7Bの周方向中央位置に一体形成されたネジ筒9Aと、該ネジ筒9Aのネジ孔に対して径方向外方から螺合されるボルト9Bとから構成され、更に、各ボルト8B,9Bの先端部が先鋭な環状突起8a,9aに形成されている。
【0025】
〔その他の実施形態〕
(1) 上述の第1実施形態では、前記連結輪Aを、周方向で二分割された分割連結体7A,7Bから構成したが、周方向で三つ以上に分割された分割連結体から構成してもよい。
(2) 前記嵌合凸部7b及び嵌合凹部7cとしては、管軸芯X方向からのみ嵌合連結自在で、かつ、嵌合連結状態では分割連結体7A,7Bの径方向外方への分離移動を阻止することのできるものであれば、如何なる嵌合構造を採用してもよい。
(3) 上述の第1実施形態では、前記嵌合凸部7bと嵌合凹部7cとを管軸芯X方向の一側方からのみ嵌合連結可能に構成したが、管軸芯X方向の両側方から選択的に嵌合連結可能に構成してもよい。
(4) 上述の第1実施形態では、第1締着具8及び第2締着具9を、連結輪Aの周方向二個所に配設したが、周方向の三箇所以上に配設してもよい。
(5) 上述の第1実施形態では、前記嵌合凸部7bと嵌合凹部7cを、第1締着具8及び第2締着具9の締付け固定操作に連れて結合力が増大するアリ継ぎ形状に形成したが、前記嵌合凸部7bと嵌合凹部7cとの摺接面の一部に、第1締着具8及び第2締着具9の締付け固定操作に連れて結合力が増大するような楔状のテーパー面を備えたものであればよく、所謂、アリ継ぎ形状に類似又は近い形状に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す一部切欠き断面正面図
【図2】 図1におけるII-II線断面図
【図3】 図1におけるIII-III線断面図
【図4】 図1におけるIV−IV線断面図
【図5】 従来の管継手部の一例を示す要部の断面側面図
【符号の説明】
A 連結輪
1 受口管部
1f 環状段部
2 挿入管部
2b 挿入規制用突起
2c 補強部
7A 分割連結体
7B 分割連結体
7b 嵌合凸部
7c 嵌合凹部
7d ストッパー面
8 第1締着具
8B ボルト
9 第2締着具
9B 分割連結体
Claims (3)
- 受口管部に密封状態で挿入接続された挿入管部の外周面に、前記受口管部の受口側端面に管軸芯方向から接当して、当該受口管部に対する挿入管部の挿入長さを設定挿入長さに規制する挿入規制用突起と、管軸芯方向に沿って帯板状に補強する補強部とを、周方向に交互に位置する状態で一体形成するとともに、前記受口管部と挿入管部とに亘って、周方向に沿って脱着自在に固定連結される複数の分割連結体からなる連結輪を外套し、この連結輪には、前記受口管部の外周面に対して管軸芯周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定するボルトを備えた第1締着具と、前記挿入管部の外周面における前記挿入規制用突起と補強部との隣接間部位に対して管軸芯周りでの相対回転を阻止する状態で締付け固定するボルトを備えた第2締着具とを設けてある管継手部。
- 前記受口管部の内周面に形成した周溝には、セットボルトによる径方向内方への押込み操作によって受口管部と挿入管部との屈曲を阻止する屈曲防止リングが装着されているとともに、前記補強部が、前記セットボルトと径方向で相対向する部位に形成されている請求項1記載の管継手部。
- 前記分割連結体の周方向で隣接する端部には、管軸芯方向からのみ嵌合連結自在で、かつ、嵌合連結状態では分割連結体の径方向外方への分離移動を阻止する嵌合凸部と嵌合凹部とが形成され、前記嵌合凸部と嵌合凹部が、管軸芯方向の一側方からのみ嵌合連結可能に構成されているとともに、前記嵌合凸部と嵌合凹部との相対向する部位には、所定嵌合長さに到達したときに管軸芯方向から互いに接当するストッパー面が形成されている請求項1又は2記載の管継手部。
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