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JP4458797B2 - 真空バルブ用接合材料 - Google Patents

真空バルブ用接合材料 Download PDF

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JP4458797B2 JP2003308310A JP2003308310A JP4458797B2 JP 4458797 B2 JP4458797 B2 JP 4458797B2 JP 2003308310 A JP2003308310 A JP 2003308310A JP 2003308310 A JP2003308310 A JP 2003308310A JP 4458797 B2 JP4458797 B2 JP 4458797B2
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Description

本発明は、真空バルブ用接合材料に関わり、特に接点材料と電極材料との接合、シールドとサポートとの接合などの真空バルブの部分組立てに用いる接合材料に関する。
通常の真空バルブは図1に示す様に構成されている。図1において、1は絶縁容器で、セラミックス等の絶縁材料を円筒状に形成したものであり、この両端開口部の端面を固定側封着金具2aと可動側封着金具2bとで気密に封止して内部圧力を1×10-2Pa以下とした真空容器3を形成する。この真空容器3の内部に一方の電路となる固定側通電軸4aと、その端部に固着した固定側接点5aと、他方の電路となる可動側通電軸4bとその端部に固着した可動側接点5bとが設けられ、前記固定側接点5aと可動側接点5bとが接離自在となるように配設した構成をしている。前記固定側接点5aと可動側接点5bの背後には、コイル電極6aとコイル電極6bがそれぞれ設けられている。また可動側通電軸4bは、一方の端部を可動側封着金具2bに固着したベローズ7の他方の端部に固着され、真空容器3の真空度を維持しながら軸方向への移動を可能にしている。さらに、真空容器3の内部には、固定側接点5aと可動側接点5bの開閉時に両接点から発生する金属蒸気が絶縁容器1の内壁に付着して絶縁抵抗が低下するのを防止する為、固定側接点5aと可動側接点5bを囲むようにした金属シールド8が、サポート9との接合体を絶縁容器1の内部の突起部に引っ掛けることで、設けられている。
さらに、接点5bと電極6bは、図2に拡大して示すように、導電軸4bにロウ付け部10bによって固定されるか、または、かしめによって圧着接続されている。接点5bは、電極6bにろう付け部11bで固着されている。
この真空バルブの組立ては、通常、接点と電極の接合体やシールドとサポートの接合体を製造する部分組立て工程と、絶縁容器と封着金具を接合する全体封着工程の2段ろう付け工程で製造している。最初の部分組立て工程で使用するろう材の溶融温度は、最後の全体封着工程で使用するろう材の溶融温度よりも高く、前者には通常パラジウムろう(Ag−Cu−Pd)が使用され、その場合、後者には通常共晶銀ろう(Ag−28wt%Cu)が使用される。
即ち、部分組立て工程で接合されるろう付け部11に使用されるろう材は、通常パラジウムろう(例えば、特許文献1参照。)である。パラジウムろうの内のBPd−2は、固相線温度が825℃で液相線温度が850℃であり、部分組立てを890℃,全体封着を820℃で真空バルブを製造する際には非常に適したろう材である。しかしながら、このろう材は構成元素に高価なPdを含有している為に、高コストであり、さらにPdの価格変動により安定価格での購入が困難であった。
一方、真空バルブには、耐溶着特性、耐電圧特性、遮断特性、裁断特性、耐消耗性、接触抵抗特性、温度上昇特性などを維持向上させる事が要求される。その上、過酷な機械的衝撃、電気的衝撃、熱的衝撃が単独又は複合されながら、しかも長期間に亘り繰り返し与えられる。この様な過酷な各種衝撃ストレスが単独もしくは同時に加わる事によって、例えば、接点と電極との接続部、電極と通電軸との接合部などでは脱落や剥離(接合特性に関係する)が観察される。
これら接続部近傍の顕微鏡的観察によれば、いずれにも接合界面にずれの生成や微細亀裂の生成が見られている。真空バルブの信頼性を確保する為、上記界面ずれや亀裂生成を
抑制する接合技術が要求される。
しかしながら、上記真空バルブに於いて各構成部材に与えられる衝撃ストレスは、電流遮断や電流開閉の頻度、電流、電圧の大きさや各構成部材が配置されている場所、材質、大きさなどによって一定でない為、亀裂生成や脱落の程度とそこに至るまでの時期を予測する事は困難とされている。そこで、Ag−Cu、Cu−Mn、Ag−Cu−Mnなど実績のある標準的な接合材料の選択によって、上述要求特性を極力満足しようとしている。
ところが,特に大電流を遮断、開閉した時の電気的衝撃、機械的衝撃による亀裂生成や脱落の要因に加えて、遮断により発生したアークが接点電極上のアーク電圧の低い部分に移動しそこに停滞、集中し過熱を招いたり、逆にシールド、ベローズ、ベローズカバ−の表面,絶縁円筒面に点弧した時のアークによる熱的衝撃によって、これら各部材の局部を異常に過加熱させ、その結果前記接合部分をも間接的に過加熱したりし、接合部の亀裂生成や脱落(接合は所定値以上の接合強度を有する事)の要因となる。また、アークが接点や電極やシ−ルドに移動しそこに停滞、集中する事によって起こる金属粒子や金属蒸気の異常放出したり、ろう付け部分をも過加熱しろう材成分の接点や電極やシ−ルドに付着したりする現象が見られる。これらは、真空バルブの耐電圧特性、遮断特性の著しい低下を招く要因ともなっている。すなわち前記接合部の長期間に亘る安定化が極めて重要である事を示唆している。
従来より、真空バルブの構成部材を接合する技術としては、前述した高価なパラジウムろう(例えば、特許文献1参照)を使用する以外にも、特許文献2には、Ag−Cu−Snろう材を介在させて接合するに於いて、接合部材の表面にSn層を被覆する接合技術などが開示されている。
特許文献3には、一般的な接合技術として、15〜35%Mn、0.5〜15%Zn、0.05〜0.25%Ti、残部Cuからなるろう材による接合技術などが開示されている。
特許文献4には、SUS用の接合技術として、1〜10%Sn、2.5〜10%Cuと残部Agからなるろう材、1〜10%Sn、2.5〜10%Cuと、6%以下のMnと、残部Agからなるろう材による接合技術などが開示されている。
特許文献5には、1〜15%Mn、5〜15Sn、残部がAgCuから成るX領域と、0.05〜10%Mn、1〜10%Sn、残部がAgCuから成るY領域との2領域で構成されたろう材による接合技術が開示されている。
特公昭64−8412号公報(第2〜3頁) 特開昭59−175521号公報(第3〜4頁) 特公昭52−29692号公報(第1頁、第7図) 特開2002−361478号公報(第3〜4頁) 特開2001−357760号公報(第6頁)
真空バルブの構成部材の接合に係る前記した開示技術では、長期間繰り返し与えられる
大電流遮断時に真空バルブが受ける過酷な機械的衝撃、電気的衝撃、熱的衝撃から接合部の亀裂の生成や脱落などを完全に回避するには至らなかった。また、前記一般的な接合技術でも、同様に接合部の亀裂の生成や脱落を完全に回避するには至らなかった。これらを回避し、真空バルブの耐電圧特性等の電気的諸特性を向上させる事が課題である。
また、特許文献2の接合技術では、Sn層を付与する工程を必要とする。
特許文献3の接合技術は、Mn、Znによる被接合物や炉内部を汚染する欠点を持っている。
特許文献4と特許文献5の接合技術も、Mnによって被接合物や炉内部が汚染されるという欠点を持っている。
このように、真空バルブの構成部材の接合に係る前記した従来の開示技術では、長期間繰り返し与えられる大電流遮断時に真空バルブが受ける過酷な機械的衝撃、電気的衝撃、熱的衝撃から接合部の亀裂の生成や脱落など、また炉内の汚染などを完全に回避するには至らなかった。
本発明は、これらを回避し、Ag以外の貴金属元素を使用せずに、真空バルブの耐電圧特性等の電気的諸特性を向上させる事が可能な真空バルブ用接合材料を提供することを目的とする。
本発明に係る真空バルブ用接合材料は、真空バルブの部分組立てに用いる真空バルブ用接合材料であって、構成元素にAg以外の貴金属元素を含まないとともに、成分がCu−10〜55wt%Agであり、かつ熱力学データと平衡状態図曲線から求めた固相率が温度820℃で20%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、Ag以外の貴金属元素を使用せずに、真空バルブの耐電圧特性等の電気的諸特性を向上させる事ができる。すなわち、例えば接点材料と電極材料との接合、シールドとサポートとの接合などの真空バルブの部分組立てに本発明に係る真空バルブ用接合材料を用いれば、真空バルブを製造する際の2回目の熱処理時に、接点が電極から脱落したり、シールドとサポートの接合部が解離したりすることがなく、真空バルブの耐電圧特性等の電気的諸特性を向上させる事ができる。
前述したように、真空バルブを製造する際の2回目の熱処理時に、接点が電極から脱落しないことや、シールドとサポートの接合部が解離しないことが必要である。そのためには、「820℃でろう材の固相率が20%以上であること」を満足することが必要である。
この場合、ろう材は固液共存状態であり、固相率がある程度以上あれば接点は脱落しない。
ここでいう固相率とは、ろう材のある温度での固相の割合を示し、例えば固相率が0%の場合は完全な液相状態を、固相率が100%の場合は完全な固相状態を、固相率が0%より大きくて100%より小さい場合は固液共存状態を表す。その固相率の算出方法は、熱力学データと平衡状態図曲線より、凝固シミュレーションにより求めることが出来、さらに確認のために、求めた温度で長時間保持したあとに急冷した組織観察をした。
本発明により、接点の電極からの脱落や、シールドとサポートの解離を防止することができ、耐電圧性能等を安定化させることを可能とした。
本発明による真空バルブ用接合材を用いた真空バルブの製造方法と試験結果について、図3を基にして述べる。試験結果で、接合性(シールド/サポートまたは接点/電極の接合性)は、真空バルブ製造後にX線で真空バルブ内を観察して3段階に分けて表し(図3の欄外参照)、耐電圧特性は目標値を1として相対値で表した。
(比較例1〜2,実施例1〜3)
比較例1では、ろう材として貴金属元素であるPdを10wt%含有したBPd−2(Ag−31.5Cu−10Pd)を使用した結果、シールド/サポートは脱落せず、接合されており耐電圧特性も目標値の1.2倍であった。
比較例2では、ろう材としてCu−60Agを使用したところ、820℃での固相率はシムレーションによると15%であり、真空バルブを製造してX線により内部観察をしたところシールドが脱落していた。
実施例1〜3では、ろう材としてCu−55Ag,Cu−40Ag,Cu−10Agをそれぞれ使用したところ、820℃での固相率は20%,50%,98%であり、試験結果はシールド/サポートは脱落せずに接合されており、耐電圧特性も目標値の1.1倍であった。
以上の様に、部分組立てで接合したシールド/サポートが脱落しないためには、固相率が20%以上を満足すればよいことが分かった。
(実施例4〜5)
実施例4ではろう材としてCu−39Ag−1Snを、実施例5ではAg−39Cu−5Niを、それぞれ使用したところ、試験結果はシールド/サポートは脱落せず、接合されており耐電圧特性も目標値の1.1倍であった。
実施例4と5では添加元素としてSnとNiについて述べたが、InやTiを加えた4種類の元素を2個以上添加しても同様の効果は期待できる。特に添加元素の合計量が10wt%以下ならば、ろう材自体の強度低下が抑制できるので、さらにその効果は大きいと期待できる。
(実施例6〜8)
前記比較例1と実施例1〜5では、接合雰囲気が真空中の事例について記載したが本発明の主旨はこれに限るものではない。
実施例6〜8では、接合雰囲気としてそれぞれ、水素雰囲気,アルゴン雰囲気,窒素雰囲気という不活性雰囲気で実施したところ、接合性と耐電圧特性共に満足する結果を得られた。さらにろう材部の外観も良く、金属光沢を示していた。
(実施例9〜14)
前記比較例1と実施例1〜8では、シールド/サポートの接合というステンレス同士の接合の事例について記載したが本発明の主旨はこれに限るものではない。
実施例9では、Cu−50Cr接点とCu電極を接合した結果、接合性と耐電圧特性共に満足する結果を得られた。
実施例10〜13では、接点をそれぞれCu−Bi,Cu−Te−Se,Cu−W,Ag−WCとして、Cu電極と接合した結果、接合性と耐電圧特性共に満足する結果を得られた。
実施例14では、Cu−25Cr接点とCu−2Cr電極を接合した結果、接合性と耐電圧特性共に満足する結果を得られた。
以上の結果が示すように、本発明によって、安価でかつ接合性信頼性に富み、耐電圧特性に優れた真空バルブの提供が可能となる。
本発明によれば、接合性と耐電圧特性を向上させた真空バルブ用接合材料を提供することが出来る。
本発明に係る真空バルブ用接合材料が適用される真空バルブの構成例を示す断面図。 図1に示す真空バルブの接点と電極部の拡大断面図。 本発明に係る真空バルブ用接合材料の実施例及び比較例の条件及び試験結果を示す表図。
符号の説明
1…絶縁容器
2a、2b…封着金具
3…真空容器
4a、4b…通電軸
5a、5b…接点
6a、6b…電極
7…ベローズ
8…シールド
9…サポート
10b、11b…ろう付部

Claims (2)

  1. 真空バルブの部分組立てに用いる真空バルブ用接合材料であって、構成元素にAg以外の貴金属元素を含まないとともに、成分がCu−10〜55wt%Agであり、かつ熱力学データと平衡状態図曲線から求めた固相率が温度820℃で20%以上であることを特徴とする真空バルブ用接合材料。
  2. 添加元素として、Sn、Ni、In、Tiの内の少なくとも1種類を含有するとともに、前記添加元素の含有率の合計量が10wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ用接合材料。
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