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JP4457491B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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JP4457491B2 JP2000358982A JP2000358982A JP4457491B2 JP 4457491 B2 JP4457491 B2 JP 4457491B2 JP 2000358982 A JP2000358982 A JP 2000358982A JP 2000358982 A JP2000358982 A JP 2000358982A JP 4457491 B2 JP4457491 B2 JP 4457491B2
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亘 内山
正美 福本
己紀夫 田原
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽内に温風を送風して衣類を乾燥させる行程を有し、洗濯から乾燥までを一貫して実施できる洗濯乾燥機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の洗濯乾燥機は、例えば特開平11ー276761号公報に開示されているように、筐体内に弾性的に吊支した外槽内に、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽を回転自在に支持し、内槽の内底部に回転翼を回転自在に設け、洗い行程、すすぎ行程では、回転翼を回転して内槽内で洗濯物(衣類)を洗い、すすぎするとともに、脱水行程では、内槽を高速回転させて脱水し、脱水行程につづく乾燥行程では、加熱装置により加熱した空気を送風機により内槽内に送風して乾燥するよう構成している。
【0003】
上記構成においてその動作を簡単に説明すると、脱水行程終了後に回転翼を回転速度130r/minで1秒オン、0.5秒オフの周期で右回転と左回転とを交互に繰り返して2〜3往復させる掻き落とし行程を行い、脱水時に内槽の内壁面に遠心力によって張り付いた洗濯物を掻き落とす。
【0004】
つぎに、この掻き落とし行程の後に乾燥行程に入り、まず回転翼を回転速度130r/minで0.5秒オン、0.5秒オフの周期で右回転と左回転とを交互に繰り返して5〜10往復させるほぐし行程を行って、回転翼の上に分散された洗濯物をランダムに入れ替えてほぐした後に、加熱装置により加熱された温風を内槽内に数分間供給して洗濯物を乾燥させる。そして、乾燥度合いを判定し、乾燥していれば乾燥終了して送風に移るが、未乾燥であれば再度上記のほぐし行程と乾燥運転を繰り返すようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の洗濯乾燥機では、乾燥当初から10〜20秒間のほぐし動作と数分間の停止動作を乾燥終了まで繰り返すだけであり、ほぐし行程の比率が低いままで乾燥終了まで進行するので、洗濯物の量が多い場合は十分な入れ換え動作が行われず、温風の当たりやすい上部の洗濯物の乾燥スピードは早くなり、下部の洗濯物の乾燥スピードは遅くなって、乾燥むらが発生しやすいという問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、洗濯物が多い場合でも十分に洗濯物を上下左右に入れ換えて、乾燥むらがなく効率よく乾燥できるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段と、前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードの時間比率の異なる乾燥行程を2つ以上有し、乾燥の進行とともに前記回転翼回転モードの時間比率が高い行程を行うようにした洗濯乾燥機において、制御手段は、最初の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、強い回転を行った後に、この強い回転よりもオン時間を短くするとともにオフ時間を長くする弱い回転を行い、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づき、最後の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、洗濯物量が所定量よりも少ない場合は前記弱い回転を行い、洗濯物量が所定量よりも多い場合は前記弱い回転よりもオン時間を長くするとともにオフ時間を短くして強い回転を行うようにしたものである。
【0008】
これにより、洗濯物が多い場合でも十分に洗濯物を上下左右に入れ換えて、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段と、前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードの時間比率の異なる乾燥行程を2つ以上有し、乾燥の進行とともに前記回転翼回転モードの時間比率が高い行程を行うようにした洗濯乾燥機において、制御手段は、最初の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、強い回転を行った後に、この強い回転よりもオン時間を短くするとともにオフ時間を長くする弱い回転を行い、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づき、最後の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、洗濯物量が所定量よりも少ない場合は前記弱い回転を行い、洗濯物量が所定量よりも多い場合は前記弱い回転よりもオン時間を長くするとともにオフ時間を短くして強い回転を行うようにしたことにより、最初の乾燥行程では、洗濯物の乾燥率は低いので槽回転が主体の乾燥とすることにより布からみに起因するしわの発生を低減することができ、同時に回転翼の回転を強い回転を行うことにより、衣類を上下左右に入れ換えることが可能になり、洗濯物にまんべんなく温風を当てられるので乾燥むらを防止し効率よく乾燥することができ、温風が集中して衣類温度が高くなり過ぎることによるしわや傷みを防止できる。なおかつ回転翼の強い回転の後に回転翼の弱い回転を行うようにしたことにより、洗濯物が強い回転により内槽内でアンバランスになったとしてもほぼ均一にすることができるので、以後の槽回転時に外槽のふれ回りが大きくなって筐体に当たることによる異常音の発生を未然に防ぐことができる。
【0010】
そして、最後の乾燥行程では、衣類の量が多い場合にはオン時間を長くして、衣類を上下左右に入れ換えながら乾燥行程を実行できるので、乾燥むらが発生するという問題はほぼ解消できる。また、衣類の量が少ない場合には、衣類を上下左右に入れ換えなくてもまんべんなく温風があたるので、オン時間を短くすることにより衣類の傷みやからみ、しわを抑える乾燥を実現できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、最後の乾燥行程を回転翼回転モードのみとしたものであり、乾燥の後半では洗濯物の乾燥率は高い状態であるので、回転翼回転モードのみとしても洗濯物がからむことによるしわの進行はなく、洗濯物が多い場合でも上下左右に洗濯物を入れ換えることができ、洗濯物にまんべんなく温風を当てられるので、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができ、また乾燥時間が過度に長くなり過ぎるということはなくなる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段を備え、制御手段は、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づいて、各乾燥行程の時間を変えるようにしたものである。これは、定格容量に合わせて各行程の時間を設定すると、洗濯物が少量の場合には乾燥時間が長くなりすぎて過乾燥になってしまうという問題があり、また少量に合わせて各行程の時間を設定すると、洗濯物が多い場合には未乾燥のままで終わってしまうという問題があり、この課題を解決するために、最後の行程を長くする方法もあるが、そうすれば、乾燥率の低い状態で回転翼回転モードが主体の乾燥時間が過度に長くなり、洗濯物が過度にからみしわの発生を抑えられなくなってしまうという問題がある。そこで、洗濯物の量に応じて各乾燥行程の時間を変えることにより、洗濯物の量に適した乾燥時間で乾燥を終了することができ、また乾燥むらがなく、そしてしわの発生を抑えた乾燥を実現することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施例1)
図1に示すように、筐体1は、内部に、複数のサスペンション2によって外槽3を弾性的に吊支し、運転時の振動をサスペンション2によって吸収する構成としている。外槽3の内部には、回転中心軸を鉛直方向に有し洗濯物および乾燥対象物(以下、衣類という)を収容する内槽4を回転自在に支持し、内槽4の内底部に衣類を撹拌する回転翼5を回転自在に設けている。回転翼5は、外周が傾斜面形状の鍋型に形成している。
【0015】
内槽4の内部周壁には多数の小孔(図示せず)を設け、その上方には流体バランサ6を設けている。そして、外槽3および内槽4の底部中心付近には、中空で二軸構造をしている洗濯・脱水軸7と、洗濯または脱水時により回転力の伝達を洗濯・脱水軸7に切り換えるクラッチ8を設けている。モータ(駆動手段)9は、外槽3に設け、クラッチ8を介して内槽4または回転翼5を駆動するようにしている。
【0016】
外槽3の下部から、伸縮自在の下部蛇腹状ホース10を介して循環ダクト11へと通路を構成し、循環ダクト11の出口は乾燥用送風機(送風手段)12の入口に連結している。乾燥用送風機12の出口は通路11aに連結し、この通路11a内に加熱手段であるヒータ13を設け、通路11aに伸縮自在の上部蛇腹状ホース14を連結している。上部蛇腹状ホース14は、内槽4へ向けて開口しており、内槽4は、内部周壁の小孔を通して外槽3に通じているので、これら通路は循環経路を構成している。
【0017】
内槽4の上部には開閉自在の内蓋15を設けており、内蓋15の近傍には、伸縮自在の上部蛇腹状ホース14からつづく温風噴出孔16を開けている。冷却用送風機(冷却送風手段)17は、筐体1の側面に取り付け、筐体1の内部に外気を導入できるように構成している。排水弁18は外槽3内の水を排水するものであり、切換弁19は循環経路を切り換えるものである。
【0018】
給水弁20は内槽4内に給水するものであり、水位検知手段21は外槽3内の水位を検知するものである。
【0019】
制御装置22は、操作表示部23により設定された設定内容に基づいて、洗い、すすぎ、脱水の各行程を有する洗濯行程とこの洗濯行程につづく乾燥行程とを制御するもので、図2に示すように構成している。
【0020】
制御手段24は、マイクロコンピュータなどで構成し、水位検知手段21の出力を入力し、入力設定手段25により設定された設定内容に基づいて、表示手段26に設定内容を表示するとともに、双方向性サイリスタ、リレーなどで構成した負荷駆動手段27を介して、クラッチ8、乾燥用送風機12、ヒータ13、冷却用送風機17、排水弁18、切換弁19、給水弁20などの動作を制御して洗濯および乾燥行程を制御する。28は商用電源である。
【0021】
また、回転制御手段29は制御手段24の一部でマイクロコンピュータなどで構成され、位置検出手段30からの情報に基づいて駆動回路31を介してインバータ回路32を制御することによりモータ9を回転制御するようにしている。
【0022】
モータ9は直流ブラシレスモータで、図示していないが、3相巻線を有するステータと、リング上に2極の永久磁石を配設しているロータとで構成し、ステータは3相巻線を構成する第1の巻線9a、第2の巻線9b、第3の巻線9cをスロットを設けた鉄心に巻き付けることで構成している。
【0023】
インバータ回路32は、パワートランジスタ(IGBT)と逆導通ダイオードの並列回路からなるスイッチング素子で構成している。第1のスイッチング素子32aと第2のスイッチング素子32bの直列回路と、第3のスイッチング素子32cと第4のスイッチング素子32dの直列回路と、第5のスイッチング素子32eと第6のスイッチング素子32fの直列回路で構成し、各スイッチング素子の直列回路は並列接続されている。
【0024】
ここで、スイッチング素子の直列回路の両端は入力端子で、直流電源を接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子の接続点に、それぞれ出力端子を接続している。出力端子は、3相巻線のU端子、V端子、W端子に接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子のオン・オフの組合せにより、U端子、V端子、W端子をそれぞれ正電圧、零電圧、解放の3状態にする。
【0025】
スイッチング素子のオン・オフは、ホールICからなる3つの位置検出手段30a、30b、30cからの情報に基づいて回転制御手段29により制御される。位置検出手段30a、30b、30cは電気角で120度の間隔でロータが有する永久磁石に対向するように、ステータに配設している。
【0026】
図3に示すように、ロータが1回転する間に、3つの位置検出手段30a、30b、30cは、それぞれ図に示したようなタイミングでパルスを出力する。回転制御手段29は、図に示した矢印のタイミング(3つの位置検出手段のいずれかの信号の状態が変わったとき)を検知して、位置検出手段30a、30b、30cの信号を基に、スイッチング素子32a〜32fのオン・オフ状態を変えていくことで、U端子、V端子、W端子を正電圧、零電圧、解放の3状態にし、ステータの第1の巻線9a、第2の巻線9b、第3の巻線9cに通電して磁界を作り、ロータを回転させるものである。
【0027】
また、スイッチング素子32a、32c、32eはそれぞれパルス幅変調(PWM)制御され、例えば、繰り返し周波数10kHzでハイ、ローの通電比を制御することで、ロータの回転数を制御するようにしてあり、回転制御手段29は、3つの位置検出手段30a、30b、30cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転数を算出して、設定回転数になるようにスイッチング素子32a、32c、32eをPWM制御する。
【0028】
抵抗33は電流を検知するもので、抵抗33の両端電圧でインバータ32の入力電流値を検知する。商用電源28は、ダイオードブリッジ34、チョークコイル35、平滑用コンデンサ36からなる直流電源変換装置を介して、インバータ32に接続している。ただし、これは一例であり、直流ブラシレスモータ9の構成、インバータ32の構成等は、これに限定されるものではない。
【0029】
操作表示部23は、図4に示すように、水位設定スイッチ25a、洗い時間設定スイッチ25b、すすぎ回数設定スイッチ25c、脱水時間設定スイッチ25d、乾燥時間設定スイッチ25e、スタート・一時停止スイッチ25f、コース設定スイッチ25g、電源入/切スイッチ25hなどの入力設定手段25と、水位表示部26a、洗い時間表示部26b、すすぎ回数表示部26c、脱水時間表示部26d、乾燥時間表示部26e、残り時間表示部26f、コース表示部26gなどの表示手段26とで構成している。
【0030】
上記構成において動作を説明する。まず、洗濯行程について、図1を参照しながら説明する。内槽4に衣類37、洗剤などを投入して運転を開始すると、制御装置22により給水弁20を駆動し、水位検知手段21により検知した水位が所定の水位になるまで給水し、モータ9を駆動して内槽4を回転させる。このとき、排水弁18と切換弁19は閉じている。
【0031】
このことにより、内槽4内の水の外周部分は、遠心力により上昇する。これに伴い、内槽4と外槽3の間の水は外槽3の内壁に沿って上昇した後、内槽4の上部から内槽4内に散水され、循環することになる。これにより、内槽4内では洗剤を含んだ水が衣類37を通過することになり洗浄される。
【0032】
その後、排水弁18を開いて排水し、再度給水し洗い行程と同様にして衣類をすすぐすすぎ行程を経て、脱水行程では、衣類37が入った内槽4を高速で回転させることによって生じる遠心力により、衣類37が内槽4の内壁に押しつけられることになり、この遠心力で水分が衣類37から分離されて脱水される。
【0033】
乾燥行程では、切換弁19を開いた状態で、乾燥用送風機12の送風とヒータ13の発熱により、上部蛇腹状ホース14、温風噴出孔16を通して内槽4へ乾いた温風が送り込まれる。
【0034】
このとき、衣類37は、内槽4の回転により内槽4とともに回転したり、または回転翼5の左右回転により跳ね上げられたり、その後落下したりしている状態であり、内槽4へ送り込まれた温風は、これら衣類の動きの隙間を通るときに衣類から水分を奪い、湿った状態で、内槽4から外槽3の内側へと出た後、下部蛇腹状ホース10を通過し、切換弁19を通過して循環ダクト11へ至る。この流れを、図1では、矢線で示している。
【0035】
湿気を含んだ温風が、外槽3の内壁や循環ダクト11内を通過しているとき、冷却用送風機17による外部空気の流入で、外槽3や循環ダクト11の外壁は冷却されることになり、湿った空気の水分はその内壁に結露し、湿った温風は除湿されて、乾燥用送風機12へと戻る。外槽3の内壁に結露した水分は、切換弁19を通過して、循環ダクト11の内壁に結露した水分とともに排水口38より適宜排出される。そして乾燥行程終了後に、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に終了する。
【0036】
つぎに、乾燥行程における制御手段24および回転制御手段29によるモータ9の制御方法を図5を参照しながら説明する。
【0037】
図5は本発明の乾燥行程における各行程の流れを示すフローチャートであり、洗濯行程が終了して乾燥行程に入ると、まずステップ100で、洗濯行程の最後の脱水で衣類が内槽4内に張り付いているので、これをはがし、そして十分にほぐして、衣類の空気との接触面積が大きくなるようにするために布はがし行程を行う。
【0038】
具体的には、回転翼5を1秒オン、2秒オフの時限で、右回転左回転を5往復行う。こうすることにより、脱水時に内槽4内に張り付いていた衣類が内槽4からはがれ、そして、衣類の布かさが増して空気との接触面積が大きくなって、以後の乾燥の進行が早くなるようにする。このとき、乾燥行程であるので、乾燥用送風機12の送風とヒータ13の発熱により、上部蛇腹状ホース14、温風噴出孔16を通して内槽4へ乾いた温風が送り込まれ、また冷却用送風機17も駆動されている。
【0039】
つぎに、ステップ101からステップ103までで、内槽4を回転させながら乾燥させる槽回転モードと回転翼5を回転させながら乾燥させる回転翼回転モードの時間比率の異なる第1の乾燥行程から第3の乾燥行程を行う。各行程の運転時間、槽回転の時間、回転翼回転の時間を(表1)に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004457491
【0041】
各行程の時間は衣類が定格容量の場合に最適な乾燥となるように決めており、第1の乾燥行程は96分で、槽回転の時間15分に対して回転翼回転の時間は60秒であるため、回転翼回転の時間比率は約6%である。第2の乾燥行程は50分で、槽回転の時間4分に対して回転翼回転の時間は60秒であるため、回転翼回転の時間比率は20%であり、第3の乾燥行程は100分で、回転翼回転の時間比率は100%であり、行程の進行とともに回転翼回転の時間比率が高くなるようにしている。
【0042】
発明者らの実験によれば、この種の洗濯乾燥機の場合、回転翼5を回転させながらの乾燥の方が、内槽4を回転させながらもしくは静止した状態での乾燥よりも乾燥時間を短縮できることがわかった。そのために、乾燥初期から回転翼回転が主体の乾燥とする方法が考えられるが、そうすると衣類のからみがひどくなり、しわが発生する原因となる。
【0043】
一方、衣類の乾燥率が90%を越えると、回転翼回転を主体としても衣類のからみやしわが進行しにくいことがわかった。そこで、3つの乾燥行程を上記のように設定することにより、布からみに起因するしわの発生を低減することができ、また、上下左右に衣類を入れ換えることができ、衣類にまんべんなく温風を当てられるので乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【0044】
また、第1の乾燥行程の槽回転の時間比率は約94%である。発明者らの実験によれば、第1の乾燥行程は槽回転が主体であるが、槽回転中は衣類は内槽4と一体となって回転しているだけであり、温風噴出孔16に近い上部の衣類に温風が集中して当たり、衣類温度が高くなり、しわや傷みの原因になる。
【0045】
そこで、本実施例では、周期的(16分)ごとに衣類を上下左右に入れ換えるために、回転翼回転の時限として、1秒オン、2秒オフの強い回転翼の回転を1往復入れるようにしている。しかし、このような衣類を上下左右に入れ換えるためなどの回転翼5の回転時間を第1の乾燥行程で10%以上とすると、衣類がからむことによるしわがひどくなることがわかった。
【0046】
そこで、衣類が上下左右に入れ換えることが可能な強い回転を含む回転翼5の回転時間比率を10%未満、すなわち、槽回転時間比率を90%以上とすることにより、しわの発生を抑え、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができるようになる。
【0047】
また、第1の乾燥行程、第2の乾燥行程とも回転翼5の回転時間は60秒で、1秒オン、2秒オフの強い回転を1往復、0.3秒オン、2.7秒オフの弱い回転を9往復するようにしている。これは上記したように、槽回転が主体であっても周期的に衣類を上下左右に入れ換えるために強い回転を行わなくてはならず、そうすると内槽4内の衣類がアンバランスになる可能性が大きく、その状態で内槽4を回転させようとすれば、ゆれが大きくなり、外槽3が筐体1などにあたり異常音が発生する。
【0048】
そこで、強い回転により衣類がアンバランスになっても、その後に弱い回転を行うことによって内槽4内の衣類が均一になり、以後の槽回転時に外槽3のふれ回りが大きくなって筐体1などに当たることによる異常音の発生を未然に防ぐことができる。
【0049】
そして、ステップ104で、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に、ステップ105で乾燥を終了させる。
【0050】
このように本実施例によれば、乾燥の進行とともに3つの乾燥行程の回転翼回転の時間比率を高くすることにより、布からみに起因するしわの発生を極力抑えて、また、上下左右に衣類を入れ換えることができ、衣類にまんべんなく温風を当てることができるので、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができるようになる。
【0051】
また、第1の乾燥行程の槽回転の時間比率を90%以上とすることにより、しわの発生を抑え、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【0052】
また、第1の乾燥行程、第2の乾燥行程とも回転翼5の回転を、1秒オン、2秒オフの強い回転を1往復行った後に、0.3秒オン、2.7秒オフの弱い回転を9往復するようにすることにより、衣類を上下左右に入れ換えることが可能になり、温風が集中して衣類温度が高くなり過ぎることによるしわや傷みを防止できる。さらに、強い回転により衣類がアンバランスになっても、その後に弱い回転を行うようにすることによって衣類が均一になり、以後の槽回転時に外槽3のふれ回りが大きくなって筐体1などに当たることによる異常音の発生を未然に防ぐことができる。
【0053】
なお、本実施例では、槽回転モードと回転翼回転モードの時間比率の異なる3つの乾燥行程で乾燥運転を制御するようにしたが、これは3行程に限らず、それ以上の行程に分けてきめ細やかに制御すればより一層の効果がある。
【0054】
また、各行程の時間や、各行程における槽回転の時間、回転翼回転の時間、槽回転の回転数、回転翼回転の時限は、本発明における一実施例であり、これらの数値に限定されるものではない。
【0055】
また、回転翼の強い回転と弱い回転を実現する方法として、モータ9のオン時間を変えるようにしたが、これはモータ9の回転数を変えるようにしても同等の効果がある。
【0056】
また、駆動手段として直流ブラシレスモータを使用し、インバータ制御するようにしたが、これはインダクションモータであってもよい。
【0057】
(実施例2)
図6に示すように、洗濯物量検知手段39は、内槽4内の洗濯物の量を検知するもので、制御手段24の一部でマイクロコンピュータなどで構成している。制御手段24は、乾燥行程において、洗濯物量検知手段39で検知した洗濯物量検知結果に基づいて、(表2)に示すように、第1の乾燥行程から第3の乾燥行程の時間を変えるようにしている。他の構成は上記実施例1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
【表2】
Figure 0004457491
【0059】
上記構成において動作を説明する。内槽4内に衣類を入れられた状態で、洗濯乾燥運転をスタートすると、制御手段24は回転翼5を例えば1秒オン、2秒オフの時限で右回転左回転を2往復行う。このとき、洗濯物量検知手段39は、位置検出手段30aからの信号を入力することにより、モータ9をオフしたときのロータの惰性回転量を検知することにより、内槽4内に投入された衣類の量を検知する。制御手段24は、洗濯物量検知手段39で検知した衣類の量に基づき、洗濯行程では水位や洗濯時間、脱水時間等を変えて制御する。
【0060】
つぎに、乾燥行程において、洗濯行程で検知した衣類の量に基づき、(表2)に示すように、第1の乾燥行程から第3の乾燥行程の時間を変える。また、第3の乾燥行程において、衣類の量が1kg以下の場合は、回転翼5の回転時限を0.3秒オン、2.7秒オフとし、1kg以上の場合は、0.5秒オン、2.5秒オフとしている。各行程におけるその他の動作は上記実施例1と同じである。
【0061】
このように本実施例によれば、衣類の量に応じて第1の乾燥行程から第3の乾燥行程の時間を変えることにより、衣類の量に関係なく乾燥率がほぼ90%に達した時点で第3の乾燥行程を行うことが可能になり、乾燥むらがなく、そしてしわの発生を抑えた乾燥を実現することができる。
【0062】
また、衣類の量に応じて回転翼5の回転時限を変えることにより、すなわち衣類の量が多い場合にはオン時間を長くして、衣類を上下左右に入れ換えながら第3の乾燥行程を実行できるので、乾燥むらが発生するという問題はなくなる。また、衣類の量が少ない場合には、衣類を上下左右に入れ換えなくてもまんべんなく温風があたるので、オン時間を短くすることにより衣類の傷みやからみ、しわのない乾燥を実現できる。
【0063】
なお、本実施例では、衣類の量を4段階に分けるようにしたが、これはもっと多段階に区分するようにすれば、より一層の効果がある。
【0064】
また、洗濯物量を検知する手段として回転翼5を回転させたときのモータ9の惰性回転を検知するようにしたが、回転翼5を回転させているときのモータ9の電流を検知する方法としても同等の効果を得ることができる。
【0065】
(実施例3)
図7および図8に示すように、温度検知手段40は、循環風の温度を検知するもので、乾燥用送風機12の出口とヒータ13との間に設け、制御手段24は、最後の行程において少なくとも温度検知手段40からのデータに基づいて乾燥終了検知を行うようにしている。他の構成は上記実施例1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
上記構成において図9および図10を参照しながら動作を説明する。乾燥行程中の温度検知手段40で検知される循環風温度は図9に示すように変化する。
【0067】
すなわち、乾燥行程が始まると、乾燥用送風機12、ヒータ13が作動し、循環経路を温風が循環する。温風噴出孔16から内槽4へ吹き出された温風は、回転翼5によって撹拌される湿った衣類に吹き付けられて、効率的な乾燥を行う。
【0068】
さらに衣類から水分を奪って多湿になった温風は、循環ダクト11を通過するとき、冷却用送風機17によって送られる送風によって、循環ダクト11の壁面を介し熱交換を行う。このとき冷やされて結露点に達した温風は、循環ダクト11の内壁面に結露水を形成する。
【0069】
図9に示す恒率乾燥期の期間は衣類からの蒸発水分量が一定(平衡状態)であり、冷却風による冷却効果は凝縮という状態変化に費やされ、循環ダクト11の壁面温度および温度検知手段40で検知される循環風温度は平衡状態を保ったままとなる。さらに乾燥が進行し減率乾燥期に入って、衣類からの蒸発水分量が徐々に減少し、循環風の温度が上昇していくので、恒率乾燥期に温度検知手段40で検知される温度TaよりΔTだけ上昇すれば乾燥終了検知する。
【0070】
図10は乾燥行程における各行程の流れを示すフローチャートであり、ステップ110からステップ113までとステップ115およびステップ116は、上記実施例1で示した図5のステップ100からステップ105までと同じであるので説明を省略する。
【0071】
ステップ114において、第3の乾燥行程中に上記の乾燥検知が終了かどうかを判定し、終了していなければステップ113に戻り、第3の乾燥行程を行う。ステップ114にて乾燥検知が終了すればステップ115へ進み、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に、ステップ116で乾燥を終了させる。
【0072】
このように本実施例によれば、温度検知手段40を乾燥用送風機12の出口とヒータ13との間に設けて循環風の温度を検知するようにし、恒率乾燥期に温度検知手段40で検知される温度TaよりΔTだけ上昇すれば乾燥終了検知するようにしているので、洗濯物の量や周囲温度に応じた乾燥時間で終了することができ、未乾燥や過乾燥の状態で終了することはなくなる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段と、前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードの時間比率の異なる乾燥行程を2つ以上有し、乾燥の進行とともに前記回転翼回転モードの時間比率が高い行程を行うようにした洗濯乾燥機において、制御手段は、最初の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、強い回転を行った後に、この強い回転よりもオン時間を短くするとともにオフ時間を長くする弱い回転を行い、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づき、最後の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、洗濯物量が所定量よりも少ない場合は前記弱い回転を行い、洗濯物量が所定量よりも多い場合は前記弱い回転よりもオン時間を長くするとともにオフ時間を短くして強い回転を行うようにしたから、最初の乾燥行程では、洗濯物の乾燥率は低いので槽回転が主体の乾燥とすることにより布からみに起因するしわの発生を低減することができ、同時に回転翼の回転を強い回転を行うことにより、衣類を上下左右に入れ換えることが可能になり、洗濯物にまんべんなく温風を当てられるので乾燥むらを防止し効率よく乾燥することができ、温風が集中して衣類温度が高くなり過ぎることによるしわや傷みを防止できる。なおかつ回転翼の強い回転の後に回転翼の弱い回転を行うようにしたことにより、洗濯物が強い回転により内槽内でアンバランスになったとしてもほぼ均一にすることができるので、以後の槽回転時に外槽のふれ回りが大きくなって筐体に当たることによる異常音の発生を未然に防ぐことができる。
【0074】
そして、最後の乾燥行程では、衣類の量が多い場合にはオン時間を長くして、衣類を上下左右に入れ換えながら乾燥行程を実行できるので、乾燥むらが発生するという問題はほぼ解消できる。また、衣類の量が少ない場合には、衣類を上下左右に入れ換えなくてもまんべんなく温風があたるので、オン時間を短くすることにより衣類の傷みやからみ、しわを抑える乾燥を実現できる。
【0075】
また、請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、最後の乾燥行程を回転翼回転モードのみとしたから、乾燥の後半では洗濯物の乾燥率は高い状態であるので、回転翼回転モードのみとしても洗濯物がからむことによるしわの進行はなく、洗濯物が多い場合でも上下左右に洗濯物を入れ換えることができ、洗濯物にまんべんなく温風を当てられるので、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができ、また乾燥時間が過度に長くなり過ぎるということはなくなる。
【0076】
また、請求項3に記載の発明によれば、内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段を備え、制御手段は、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づいて、各乾燥行程の時間を変えるようにしたから、洗濯物の量に適した乾燥時間で乾燥を終了することができ、また乾燥むらがなく、そしてしわの発生を抑えた乾燥を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の洗濯乾燥機の縦断面図
【図2】 同洗濯乾燥機の要部ブロック回路図
【図3】 同洗濯乾燥機のモータの駆動方法を示すタイミングチャート
【図4】 同洗濯乾燥機の操作表示部の正面図
【図5】 同洗濯乾燥機の乾燥行程を示す要部フローチャート
【図6】 本発明の第2の実施例の洗濯乾燥機の要部ブロック回路図
【図7】 本発明の第3の実施例の洗濯乾燥機の縦断面図
【図8】 同洗濯乾燥機の要部ブロック回路図
【図9】 同洗濯乾燥機の循環風に温度変化を示すタイムチャート
【図10】 同洗濯乾燥機の乾燥行程を示す要部フローチャート
【符号の説明】
1 筐体
3 外槽
4 内槽
5 回転翼
9 モータ(駆動手段)
12 乾燥用送風機(送風手段)
13 ヒータ(加熱手段)
17 冷却用送風機(冷却送風手段)
24 制御手段

Claims (3)

  1. 筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段と、前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードの時間比率の異なる乾燥行程を2つ以上有し、乾燥の進行とともに前記回転翼回転モードの時間比率が高い行程を行うようにした洗濯乾燥機において、制御手段は、最初の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、強い回転を行った後に、この強い回転よりもオン時間を短くするとともにオフ時間を長くする弱い回転を行い、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づき、最後の乾燥行程の回転翼回転モードでの回転翼の回転を、洗濯物量が所定量よりも少ない場合は前記弱い回転を行い、洗濯物量が所定量よりも多い場合は前記弱い回転よりもオン時間を長くするとともにオフ時間を短くして強い回転を行うようにした洗濯乾燥機。
  2. 制御手段は、最後の乾燥行程を回転翼回転モードのみとした請求項1記載の洗濯乾燥機。
  3. 内槽内の洗濯物の量を検知する洗濯物量検知手段を備え、制御手段は、前記洗濯物量検知手段で検知した洗濯物量検知結果に基づいて、各乾燥行程の時間を変えるようにした請求項1または2に記載の洗濯乾燥機。
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