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JP4455665B1 - 乳化化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 、保湿効果と表皮バリア機能の向上効果を有する乳化化粧料を提供する。
【解決手段】 乳化化粧料において、米醗酵液と、20℃でペースト状を示す抱水性油剤、特にN−ラウロイル−L−グルタミン酸(コレステリル又はフィトステリル・べへニル・オクチルドデシル)、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルから選ばれる一種又は二種以上を含有させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、米発酵液と、20℃でペースト状を示す抱水性油剤を含有する、乳化化粧料に関する。
人の肌は、冬の乾燥や夏の冷房などの影響で、一年中、乾燥環境に晒されている。この様な状況に対応して、皮膚の乾燥状態を改善すべく、皮膚に潤いを与えるスキンケア製剤が開発されている。これまでに、保湿を目的として化粧料に配合される成分としては、アミノ酸やムコ多糖類、有機酸塩類、グリコール類等の水溶性保湿剤や、高い抱水性を持つエステル油剤が一般的に知られている。(例えば、特許文献1、2参照)
一方、米醗酵液は従来より、美容や健康に良いと云われている。特に最近では米発酵エキスはアトピー性皮膚炎に効果があることが大学病院や国立小児病院等の研究で明らかになっている。このような米発酵エキスの特性を利用して最近入浴剤および化粧品への利用が検討されている(特許文献3参照)。
特開2006−083092号公報 特開2007−153754号公報 特開平7−53351号公報
しかしながら、米醗酵液は入浴剤や化粧品に使用した場合、肌の保温効果は認められるが、保湿効果の点で十分とは言えなかった。そのため米醗酵液単独で充分な保湿効果を発揮する量を配合すると、経時で含有成分であるアミノ酸類が析出したり、着色が認められるという問題点があった。
そこで本発明においては、米醗酵液の有する保湿効果を相乗的に向上させ、さらに表皮バリア機能の向上効果を有する乳化化粧料を得ることを目的とした。
本発明者等は、米醗酵液とともに、20℃でペースト状を示す抱水性油剤、特にN−ラウロイル−L−グルタミン酸(コレステリル又はフィトステリル・べへニル・オクチルドデシル)、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルから選ばれる一種又は二種以上を含有する乳化化粧料が、保湿効果と表皮バリア機能向上効果を兼ね備えることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の乳化化粧料は、優れた保湿効果と表皮バリア機能向上効果を発揮する。
実施例1、比較例1、2を塗布した際の水分量の経時変化を示す図である。 実施例1、比較例1、2を塗布した際のTEWLの経時変化を示す図である。
本発明の乳化化粧料は、米醗酵液とともに、20℃でペースト状を示す抱水性油剤を必須成分として含有する。
米醗酵液は、米もしくは米ぬかを、酵素分解または麹による糖化、酒母或いは酵母による醗酵を行うことにより得られるものを用いる。
本発明における米醗酵液の配合量は、特に限定されないが、好ましくは、0.01〜10質量%、より好ましくは、0.1〜5%である。0.01質量%未満の配合では充分な保湿効果を得ることができない。また10質量%を超えて配合すると、経時で含有成分であるアミノ酸類が析出したり、着色が認められる場合がある。
抱水性油剤は、20℃でペースト状を示す油剤であり、皮膚外用剤に配合しうるものであれば特に限定されない。本発明において抱水性とは、以下の抱水力試験により測定される抱水力(%)を指す。抱水力試験方法は、50℃に加熱した試料10gを200mlビーカーに秤り取り、デスパミキサーにて3000rpmで攪拌しながら50℃の水を徐々に、水が試料から排液してくるまで添加し、水が排液しない最大量(質量)を測定し、この数値を試料10gで除し、100倍して抱水力(%)とした。
本発明の抱水性油剤としては、それ自体に水を抱え込むことのできる油剤であればいずれでもよいが、特に抱水力が100%以上であると、自重と等量以上の水を抱水することができるため、好ましい。具体的には、例えば、ラノリン、還元ラノリン、ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ヒドロキシラノリン等のラノリン誘導体及びそれらをポリオキシアルキレンで変性したもの、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、アミノ酸フィトステロール、ヒマシ油、ステアリン酸硬化ヒマシ油、シア脂等の多価アルコール脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル等を挙げることができ、これらを必要に応じて、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、N−ラウロイル−L−グルタミン酸(コレステリル又はフィトステリル・べへニル・オクチルドデシル)、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルが好ましい。本発明において抱水性油剤は1種を単独で、若しくは2種以上を併用して用いる。
本発明における抱水性油剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。0.01質量%未満の配合では表皮バリア機能改善効果が認めらない場合がある。20質量%を超えて配合すると使用感にべたつきが生じる場合がある。
さらに、本発明の乳化化粧料には水の配合が必須であり、その配合量は、化粧料の性状によって異なり、特に限定されないが、好ましくは10〜90%、より好ましくは、30〜80%である。
本発明の乳化化粧料には、上記成分の他に、水性成分、油性成分、界面活性剤、水溶性高分子、粉体成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粉体、香料、防腐剤、着色剤、美容成分、pH調整剤等、通常の化粧料に用いられる成分を本発明の効果を損なわない量的質的範囲において配合することができる。
本発明の乳化化粧料の性状としては、特に限定されるものではなく、例えば液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、スプレー状、固形状等が挙げられる。また、乳化化粧料の剤型としては、水中油型であっても、油中水型であってもよく、さらに多重乳化系でもよい。
本発明の乳化化粧料の用途としては、特に限定されないが、化粧水や乳液、美容液、パック、クリーム、日焼け止め料、クレンジング料、ファンデーション、メークアップ下地、アイシャドウ、マスカラなどが挙げられる。中でも、本発明の優れた効果を実感できるため、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料が好ましい。
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
Figure 0004455665
表1に示した処方を用い、実施例1、比較例1、2にかかる乳化化粧料を定法により調製し、保湿効果並びに表皮バリア機能改善効果の評価を行った。
[保湿効果]
電気伝導率測定機器としてSKICON−200(アイ・ビイ・エス社製)を用い、表皮水分量の測定を行った。測定は塗布前、試料塗布30分、60分後の3回行い、塗布前の水分量を1とした相対値にて表2、図1に示す。
Figure 0004455665
表2、図1に示したとおり、本発明の実施例においては、抱水性油分、米醗酵液をそれぞれ単独で2倍量配合した比較例よりも高い表皮水分量を示していた。すなわち、抱水性油分と米醗酵液を併用することにより表皮水分量が相乗的に向上していることが示された。
[表皮バリア機能改善効果]
表皮バリア機能改善効果の指標として、経皮水分蒸散量(以下TEWLと略す)の測定をTewameter TM210を用いて行った。測定は塗布前、試料塗布30分、60分後の3回行い、塗布前のTEWLを1とした相対値にて表3、図2に示す。なお、表皮バリア機能が高いほど、TEWLの値は低くなる。
Figure 0004455665
表2、図2に示したとおり、本発明の実施例においては、抱水性油分、米醗酵液をそれぞれ単独で2倍量配合した比較例よりも高い表皮バリア機能を示していた。すなわち、抱水性油分と米醗酵液を併用することにより表皮バリア機能が相乗的に向上していることが示された。
本発明のその他の実施例を示す。
Figure 0004455665
表4に示した処方を用い定法により実施例2〜5にかかる乳化化粧料を調製した。これらの化粧料は、保湿効果、表皮バリア機能改善効果に優れたものであった。
[実施例6]乳液
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(3)ステアリン酸硬化ヒマシ油 1.0
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(7)グリセリン 4.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.15
(10)精製水 57.55
(11)米醗酵液 0.8
(12)アルギニン(1質量%水溶液) 20.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、冷却を開始し、(11)と(12)を順次加え、均一に混合する。
実施例6に示した乳液は、保湿効果、表皮バリア機能改善効果に優れたものであった。
[実施例7]クリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)ステアリン酸硬化ヒマシ油 1.0
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)セタノール 3.6
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)グリセリン 10.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)アルギニン(20質量%水溶液) 15.0
(10)精製水 40.2
(11)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 15.0
(12)米醗酵液 1.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、(11)を加え、冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
実施例7に示したクリームは、保湿効果、表皮バリア機能改善効果に優れたものであった。
[実施例8]美容液
(1)精製水 31.45(質量%)
(2)グリセリン 10.0
(3)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(4)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 17.5
(5)アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 15.0
(6)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(8)N−ラウロイル−L−グルタミン酸
ジ(フィトステリル−2−オクチルドデシル) 2.0
(9)硬化パーム油 2.0
(10)スクワラン(オリーブ由来) 1.0
(11)ベヘニルアルコール 0.75
(12)ミツロウ 1.0
(13)ホホバ油 1.0
(14)1,3−ブチレングリコール 10.0
(15)L−アルギニン(10質量%水溶液) 2.0
(16)米醗酵液 1.0
製法:(1)〜(6)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(14)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、50℃にて(15)を加える。さらに40℃まで冷却し、(16)を加え、均一に混合する。
実施例8に示した美容液は、保湿効果、表皮バリア機能改善効果に優れたものであった。
[実施例9]油中水型エモリエントクリーム
(1)流動パラフィン 30.0(質量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ステアリン酸硬化ヒマシ油 5.0
(4)ジグリセリンオレイン酸エステル 5.0
(5)塩化ナトリウム 1.3
(6)塩化カリウム 0.1
(7)プロピレングリコール 3.0
(8)1,3−ブチレングリコール 5.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)米醗酵液 1.0
(11)精製水 47.4
(12)香料 0.1
製法:(5)と(6)を(11)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に加える。これを混合した後、70℃にて加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散する。これに(7)〜(10)を(11)の残部に70℃にて加熱溶解したものを攪拌しながら加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
実施例9に示した油中水型エモリエントクリームは、保湿効果、表皮バリア機能改善効果に優れたものであった。

Claims (1)

  1. 米発酵液と、ステアリン酸硬化ヒマシ油を含有する、表皮バリア機能改善用乳化化粧料。
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