JP4452845B2 - 商品適合情報の提供システム - Google Patents
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Description
この発明は、身体に適した商品を選定するシステムに関するものである。また、ネットワークを用いた商品の販売に関するものである。
〔技術背景〕
これまで、利用者が自分にあった商品を選択するときは、何らかのサイズを目安としている。例えば、靴を選ぶときは足のサイズである。しかし、商品が利用者の身体に適合しているか否かは、利用者が実際に試着してみなくては分からなかった。それは、同じ足のサイズであっても足の幅や足の甲の高さなど、様々な相違点があり、単に足のサイズが合っていても、必ずその商品が自分にあっているとはいえないからである。
また、従来は靴の修正を依頼するときも、「もう少しここを膨らませて」というように、感覚的に相違点を伝えていた。そのため、修正の程度を十分に伝えられない場合があった。
また、近年はインターネットを用いた商品の販売が行われている。しかし、商品とのフィット感が重視される靴やメガネ、衣服、ヘルメット等の販売は盛んに行われていない。これは、靴や衣服のサイズだけでは、自分にあっているかの判断ができないからである。
一方、3次元形態を変形させる方法としては、FFD法がある。(T.W.Sederberg:Free Form Deformation of Solid Geometric Models,proceedings of ACM SINGGRAPH’86 in Computer & Graphics,20−4,151−160(1986))。このFFD法は、以下の方法で対象となる形態を変形させる。
・対象となる形態の周囲の空間を格子状に区切る・この格子の交点に制御格子点22を設定する。
・この制御格子点22を移動させて、空間を歪ませる・この空間の歪に合わせて、形態を変形させる
そして、このFFD法に関する発明としては、特開平H8−115353、特開平10−240964がある。しかし、これらの発明は、学術的に利用されるだけであり、商品の販売に利用している例はない。
そこで、この発明は、商品と身体の適否を判断を容易にしようとするものである。また、より適切な修正依頼を可能にするものである。また、フィット感が求められる商品についてもインターネット等のネットワークを用いて安心して購入できるようにするものである。
〔発明の開示(望ましい実施の形態)〕
(参考実施態様1a)
この参考実施態様は、商品が利用者の身体に適合しているか否かの情報を提供するシステムであって、以下の手段を含むことを特徴とする。
・商品データ(木型を含む)と身体データを対比する手段・対比結果を利用者に提供する手段 ここで、「商品」とは利用者が購入を希望するものであって、利用者の身体とのフィット感が求められるものをいう。この商品としては、ヘルメット、帽子、メガネ、マスク(防塵マスク、ガスマスク等含む)、衣服、下着、オムツ、手袋、補装具、靴等が挙げられる。
「利用者」は、このシステムにより利益を受けるものをいう。この利用者には、商品を購入する一般顧客の他、商品と顧客との適合を調査する製造業や販売業を営む者なども含まれる。
この発明における「システム」とは、利用者に情報を提供するための各種装置の集合体をいい、そのシステムは全体が一つに集まっていても、また、通信回線などを利用して分散していてもよい。例えば、利用者の身体を測定する装置と商品データを有する装置とを分離させる形態等である。
そして、このシステムの構成としては、主としてコンピュータが用いられ、具体的に利用者の身体の測定部、身体データや商品データの記憶部、各データの制御部、対比結果を提供するための表示部やデータの出力部などが挙げられる。
次に、この参考実施態様では商品の形態として商品データを用いる。ここで「商品データ」とは、商品の3次元形態のデータをいうが、商品の外形のデータではなく、身体と接する部分のデータをいう。従って、靴の商品データといえば、靴の内側の形態をいい、ヘルメットであればそのヘルメットの内側の形態をいう。
また、靴に中敷を入れた場合を考えると、商品と足が接するは、中敷を考慮した靴の形態である。よって、係る場合は中敷を含めた形態が靴の商品データとなる。
更に、この商品データには、実際に販売される商品の形態に関するものだけでなく、木型のデータも含まれる。ここで、「木型」とは商品を作成するために用いられる部材をいい、商品が用いられる部位の一部を型どったものである。例えば、商品が靴の場合は足の形をした木型であり、また、商品が手袋の場合は手の形をした木型である。ここで、木型も商品データに含ませるのは、以下の理由による。
・木型を用いた方が3次元からなるデータの測定が正確、且つ、容易だから
・木型のデータを加工することで、商品の製作・修正を容易に行えるから
また、この商品データは、アナログデータであってもデジタルデータであっても良い。しかし、通信回線を利用して送受信することを考えると、デジタルデータが適している。また、データ量を少なくする観点からは、この商品データは座標データの集合が望ましい。
商品データの測定方法としては、従来と同様に、自動計測、手動計測のどちらでもよい。例えば、磁気方式の3次元位置センサーを用いて1点ずつ入力する方法である。また、株式会社アイウェアラボラトリーと田中電工株式会社と株式会社立花商会の西暦2000年4月7日の共同出願である「形状計測方法及び装置」に記載された装置を用いると身体の三次元形態のデータが正確、迅速かつ容易に測定できる利点がある。
商品データのデータ数に制限はない。しかし、少ないデータ数で商品の形態を把握するためには、後述する身体の解剖学的特徴点に対応する位置のデータとするのが望ましい。
次に、この参考実施態様では身体データを用いる。ここで「身体データ」とは、身体全体及び身体部位の3次元形態のデータをいう。例えば、商品が靴の場合は、利用者の足の3次元形態のデータをいう。ヘルメットであれば、利用者の頭部の3次元形態データをいう。
また、この身体データは、商品と接する部分の形態データを意味するものであり、必ず身体の部分限定されるものでもない。例えば、足に包帯を巻いて靴を履く場合を考えると、この場合は足に包帯を巻いた状態で測定された形態が、身体データとなる。なお、この身体データも商品データと同様に、アナログデータかデジタルデータかの別は問わない。
身体データの測定方法も、商品データと同様の方法で行える。また、身体データのデータ数も制限はない。しかし、商品データと同様に、少ないデータ数で身体の形態を把握するためには、身体の解剖学的特徴点に対応する位置のデータを含むことが望ましい。 例えば、商品が靴の場合、Fig.1a、Fig.1b、Fig.1cに示す、脛側中足点91、腓側中足点92、踵点93、第1指先端点94、第2指先端点95、甲峰点96などである。ここで、足の幅の形態を重視する場合、この身体データは、少なくとも脛側中足点91、腓側中足点92を含むのが望ましい。また、足の長さの形態を重視すると、少なくとも踵点93、第1指先端点94、第2指先端点95を含むのが望ましい。
また、上記身体データは、足の形態を効率的に把握するために、Fig.1に示す以下の項目が明確になるものが望ましい。
・足の長さ方向:第一指足長101、第二指足長102、内不踏長103、外不 踏長104、甲峰長105(この甲峰長とは、第一指足長10 1の1/2の長さをいう。)
・幅方向 :足幅201、踵幅202、外半足幅203
・高さ方向 :第一指高301、楔状骨点高(甲峰高)302、踵点高303 、内果端高304、外果端高305
・周囲寸法 :足囲ボール401、足囲インステップ402
・角度 :第一指ボール角度501、第一指角度502、第五指角度50 3、内側角度504、外側角度505
・形 :足囲ボール断面図、足囲インステップ断面図
この参考実施態様は、商品の購入する者の身体と商品とが適合するか否かを判断するために用いられるものである。しかし、後述するネットワークを用いた態様などでは、商品を製造、販売する者が、自社の木型と他社の木型との適合程度を判断することにも利用できる。よって、この「身体データ」には、商品との適宜の判断を求める商品の形態データや木型の形態データも含まれる。
なお、この参考実施態様における「商品データ」と「身体データ」とは、その形態を表すデータを意味するが、長さや高さ幅といった、一次元量としてのデータも含むものである。
この参考実施態様は、上記「商品データ」と「身体データ」を対比して、その対比結果を利用者に提供するものである。そして、この商品が自分にあっているのか否かの判断を容易にさせるものである。
上記「商品データ」と「身体データ」は、それぞれの形態を的確に把握するデータであれば、特に制限はない。しかし、この両データには、FFD法に基づく制御格子点22を設けることが望ましい。それは、以下の理由による。
・比較すべき商品データと後述する利用者の身体データとの形態の相違を対比するにあたり、制御格子点22の移動量として把握できること。
・また、制御格子点22の移動パターンを認識することで、適切な修正依頼ができること
そこで、足の身体データにFFD法に基づく制御格子点22を設けたものをFig.2に示す。Fig.2aは、測定される足の形である。Fig.2b、Fig.2cは、FFD法により制御格子点22を設けられた身体データである。この図中において、足の形を表している線の交点は身体データのデータ点21を表している。一方、格子線の交点は、制御格子点22を表している。
この制御格子点22の設定条件は、その商品形態や身体形態に合わせて適宜にすればよい。しかし、データ数に対して制御格子点22の数があまりに多くては計算ができなくなる。そこで、制御格子点22の数は、データ数に比べて1.0〜1.5倍の範囲内で実施が可能であり、1.3倍程度が望ましい。
また、制御格子点22を設ける領域の設定も、商品と身体より大きな領域であればよい。しかし、商品等に比べあまりに大きくては不要な制御格子点22が生じてしまう。そこで、制御格子点22を設ける領域は商品と身体に対して、X座標、Y座標、Z座標それぞれ1.0〜1.3倍程度で実施が可能であり、1.1倍程度が望ましい。なお、制御格子点22を配するときの空間の微妙な歪みを防ぐためには、3次のB−Spline関数を利用するのが望ましい(Hsu,W.H.Hughes,J.F.,Kaufman,H.:Direct Manipulation of Free−Form Deformation,Computer Graphics,26(2),177−184(1992))
そして、この参考実施態様では上記「商品データ」と「身体データ」を対比する。対比する態様は、対比結果を見る利用者が、商品と身体の形態の相違を把握することができる態様であればよい。よって、その対比の態様は、商品と身体の特徴にあわせて適宜に決めれば足りる。対比の態様としては以下のものが挙げられる。
・両データを重ねて表示する対比する
・両データを並べて表示する対比する
・両データを時間をずらして順番に表示する
ここで、両データを重ねて対比する態様の場合、何らかの基準(基準点、基準線)を用いるのが望ましい。そして、商品が靴の場合、このセンターラインとしては、踵点93と第1指先端点94を結んだ線601、もしくは踵点93と第2指先端点95を結んだ線602がセンターラインとして考えられる。また、足幅201や、踵幅202等のように、足幅方向の線をセンターラインとして用いてもよい。
ここで、踵点93を基準に両データを対比した場合、つま先側の隙間を利用者は容易に認識することができる。一方、つま先側の点や、足幅201を基準にして対比した場合、利用者は踵側の隙間を認識することができる。
更に、重ねて表示する態様の場合、商品データと身体データをそれぞれ異なる色彩で表示する態様が望ましい。利用者が形態の違いを把握しやすいからである。同様に、商品データと身体データが重ならない領域を変色、点滅させる態様も望ましい。
なお、この参考実施態様の実施においては、一回比較を行った身体データや商品データはデータベースに記憶しておき、再度の依頼の際には、このデータベースから読み出す態様であってもよい。
(参考実施態様1b)
また、「商品データ」と「身体データ」とにそれぞれ、FFD法に基づく制御格子点22を設けたデータを用いた場合、商品と身体の形態の相違を制御格子点22の移動量として把握することができる。すなわち、形態の相違を制御格子点22の移動量として定量化することができる。
この制御格子点22の移動量は、次のようにして求める。まず、身体データの中から身体特徴点23を選ぶ。この身体特徴点23は、身体データの任意の点でよい。しかし、身体の形態の特徴を示さない点を選んだのでは、いたずらにデータ量のみが増えることとなり適切ではない。そこで、この身体特徴点23も前記解剖学的特徴点とするのが望ましい。
次に、この身体特徴点23に対応した商品データの点を特定する。この特定された点を商品特徴点とする。この身体特徴点に対応した点とは、試着したときにこの身体特徴点23が接する商品の点をいう。
そして、この身体特徴点23が商品特徴点に重なるように身体データの制御格子点22を移動させる。そして、この制御格子点22の個移動量を記憶する。一つの点につき個移動量を求めたら、次の点についての個移動量を測定する。これを繰り返し、個移動量の総和を求めて、これを制御格子点22の移動量とする。
ここで移動量を求める場合、全ての身体データを身体特徴点23とし計算しても良いし、希望するいくつかの身体データのみを身体特徴点として計算しても良い。
なお、制御格子点22を移動させた図面をFig.3a、Fig.3bに示す。この図中、移動させた制御格子点を24をして表す。このFig.3に示すように、FFD法では、この制御格子点22を移動させることで、格子の形を歪ませ、これによってその空間にある形態を変形させるものである。
この制御格子点22を移動させる技術及び、変形による平均形態を求める技術に関しては、参考文献として以下のものがある。
(1)T.W.Sederberg:Free Form Deformation of Solid Geometric Models,proceedings of ACM SINGGRAPH’86 in Computer & Gtaphics,20−4,151−160(1986)
(2) 日本国特許出願 特開平10−240964
(3) 日本国特許出願 特開平 8−115353
そして、この出願はこれらの参考文献と合体する(incorporated by reference)。
これにより、この移動量が小さな場合、商品は身体に適しているといえる。一方、この移動量が大きな場合、商品は身体にあっていなと判断できる。また、この移動量の大小により、利用者は商品が適しているか否かといった判断だけでなく、どの程度合っていないのかの判断もできる。
そして、この対比結果を利用者に提供する。提供の態様としては特に制限はなく、表示装置を用いて画面上に表示する態様や、紙に印刷して利用者に提供する態様であってもよい。また、通信回路を利用して対比結果を送信する態様であってもよい。
従来、商品との適合を判断するためには、実際にその商品を試着しなければならなかった。しかし、この対比結果を利用すると、利用者は実際に試着しなくとも、商品の適否の判断ができる。また、どの程度の形態の差異があるのかを認識できる。更に、試着した後であっても、感覚としてその相違を把握するだけでなく、視覚的に把握できる。
また、この参考実施態様は、商品と身体との相違を3次元的形態として表示する。そのため、単に数値を述べられよりも形態の相違が理解しやすい。
更に、FFD法による制御格子点22を設けたデータを用いることで、商品と利用者との形態の相違を定量化することができ、適否の判断が容易になるだけでなく、その相違の程度の情報も提供することができる。
(参考実施態様1c)
商品の形態とそれを使用する身体の形態は、一般に近似している。しかし、商品によっては、一致しないものがある。これは、ある程度の締付けやフィット感を得るために、商品の形態を意識して小さく作ったり、また、ゆとり感を得るために意識して大きく作ったりするからである。また、木型の表面は、通常、平滑に作られる。そのため、前記解剖学的特徴点の把握が困難な場合もある。
このように、商品や木型の形態と身体の形態が大きく異なっている場合、また、木型から解剖学的特徴点を把握できない場合等は、商品データと身体データを直接対比することはできない。これは、身体特徴点に対応した商品特徴点を適切に設定できないからである。
そこで、このような場合、商品データの代わりに、理想データを用いる態様が望ましい。この理想データとは、ある商品を使用するのに最も適した身体のデータをいう。この理想データは、前記商品特徴点を設定できるものであればよく、その内容に特に制限はない。よって、理想データは、商品ごとに独自の方法で設定することができる。また、一つの商品に対しても、販売業者や製造業者ごとに設定することも可能である。
例えば、理想データは次のように作られる
・ある商品を多数の人間に試着させる。
・この試着者の中で、この商品が自分に合っていると思った人を選びだす。
・この選ばれた人の身体データを求める。
・この身体データを平均化する。
このように、商品と身体との形態が大きく異なる場合であっても、この理想データを用いることでこの参考実施態様の実施は可能となる。
なお、この身体データを平均化する技術にも、前記日本国特許出願 特開平10−240964を用いることが可能である。
(参考実施態様2)
次に、この参考実施態様は、複数の商品の中から、利用者に最適な商品を選定するシステムであって、以下の手段を含むことを特徴とする。
・FFD法に基づく制御格子点22を設けた商品データとFFD法に基づく制御格子点22を設けた利用者の身体データを対比する手段
・制御格子点22の移動量を求める手段
・この制御格子点22の移動量に基づき、最適な商品を選定する手段
この参考実施態様において、「複数の商品」とは利用者が実際に選択した複数の商品を意味するのみならず、以下のものも含まれる。
・一商品に対する、複数の木型・一つのデザインの商品に対する、サイズが異なる複数の商品 (グレーディングされた商品)
・一商品に対する、サイズが異なる複数の木型(グレーディングされた木型)
そして、この参考実施態様では、商品データと身体データを対比し、制御格子点22の移動量を求める。この制御格子点22の移動量は参考実施態様1bで述べた方法により求める。そして、一つの商品について移動量を求めたら、次の商品の移動量を求める。これを繰り返し、複数の商品すべてについて移動量を求める。なお、この移動量を求める場合、商品特徴点を身体特徴点に一致させるように移動させる態様であってもよい。また、商品データの代わりに理想データを用いてもよい。
そして、この参考実施態様は、この制御格子点22の移動量に基づき、最適な商品を選定する。その商品の選定の基準は、各商品の特性を考慮して決める。例えば、できるだけ身体と商品とがフィットしたものが望ましければ、最も移動量の少ない商品を選定する。一方、適宜なゆとりが必要とされる商品であれば、ある範囲の移動量の商品を選ぶ。よって、必ずしも最少の移動量の商品を選定する必要はない。
更に、制御格子点22の移動に正負を設けてもよい。例えば、商品が靴の場合、身体特徴点が身体の中心から離れる方向を正とし、中心に向かう方向を負とする。これにより、負の移動量の商品を選ぶことで適宜に締め付ける商品を選定することができる。
これまで、商品のサイズの適否は利用者の主観に頼っていた。そのため、利用者は様々な商品を試着し、商品の選定を行わなければならなかった。しかし、この参考実施態様は、制御格子点22の移動量に基づいて商品を選定するため、以下の効果がある。
・利用者の主観に基づかず、体系的な商品選定ができる。よって、これまで商品の選定を誤ってきた利用者は、より適切な商品を入手することができる。
・利用者は商品の試着することなく、最適な商品を選ぶことができる。
・全ての商品の試着をすることなく、最適と選定された2,3の商品のみを試着すれば足りるようになる。
(参考実施態様3a)
この参考実施態様は、商品の形態の修正を依頼するシステムであって、以下の手段を含むことを特徴とする。
・FFD法に基づく制御格子点22を設けた商品データと、FFD法に基づく制御格子点22を設けた身体データを対比する手段
・制御格子点22の移動パターンを求める手段
・この移動パターンに基づいた修正を依頼する手段
商品データと身体データを対比する手段は、これまで述べたとおりである。次に、制御格子点22の移動パターンを求める。この「移動パターン」とは、前記身体特徴点を商品特徴点に一致させるために制御格子点22を動かすパターンのことをいう。なお、この移動パターンを求める場合、商品特徴点を身体特徴点に一致させるように移動させる態様であってもよい。
そして、この移動パターンに基づいた修正を依頼する。この依頼の仕方としては以下の形態が挙げられる
・制御格子点22の移動パターンをそのまま修正依頼とする。
・一部分の移動パターンのみをもって修正依頼とする(例えば、踵部のみ修正依頼する、小指部分のみ修正依頼する)。
・移動パターンの程度を指定する(例えば、移動パターンの半分の修正を依頼する)。
・部分と程度を指定して依頼する。などである
これにより、これまで「もう少し広く」や「ここを狭く」といった修正依頼しかできなかったのに対し、修正する部分とその程度を明確に、または、定量化して依頼することが可能となる。
(参考実施態様3b)
また、商品データの代わりに理想データを用いても実施可能である。この場合は、まず、理想データと身体データとの間の制御格子点22の移動パターンを求める。次に、この移動パターンに基づき商品もしくは木型に対して修正を依頼する。これにより、商品と身体が大きく異なる場合であっても、適切な修正依頼をすることが可能となる
(実施態様3c)
この発明は、「理想データ」を用いて以下の態様で実施が可能である。
複数の商品(木型を含む)の中から、利用者に最適な商品を選定するシステムであって、以下の手段を含む。
・複数の商品から代表商品を選ぶ手段
・この代表商品の理想データを求める手段
・FFD法に基づく制御格子点22を設けた理想データとFFD法に基づく制御格子点22を設けた利用者の身体データを対比する手段
・制御格子点22の移動パターンを求める手段
・この制御格子点22の移動パターンに基づき、代表商品を変形する手段
・変形された代表商品と複数の商品とを比べ、最適な商品を選定する手段
この実施態様では、まず、複数の商品から代表商品を選ぶ。「複数の商品」の意味は参考実施態様2で説明したものと同様である。代表商品の選ぶ方法も、特に制限はなく。中間的な形状の商品を選ぶほか、利用者や第三者が任意に選んでもよい。
そして、理想データの求め方、理想データと身体データの対比、制御格子点22の移動パターンの求め方、この制御格子点22の移動パターンに基づき代表商品を変形する手段は、これまで説明した通りである。
そして、この変形された代表商品と複数の商品とを比べ、最適な商品を選定する。最適な商品の選定方法は、各商品の特性や利用者の希望を考慮して決める。
この実施態様により、商品(木型)と身体との形態の相違が大きく、FFDを用いた対比ができない場合であっても、複数の商品(木型)から最適な商品(木型)を選択することが可能になる。
また、理想データから最適な商品の選定までのシステムに変更を与えなくても、代表商品の選び方を変更することで、様々な商品の選定が可能となる。
これは、選定した商品が利用者に満足してもらえなかった場合、代表商品の選び方を変更するだけで選定される商品の変更ができるものである。また、販売業者等が独自の観点から代表商品を決定することで、お店ごとの特色を主張しやすくなるものである。
すなわち、理想データの設定や最適商品の選択プログラムなどを変更しなくても、選択される商品の変更が可能となる。上述したように、理想データとはその商品ごとにテストを行って決められるものなので、顧客ごとにその内容を変更すべきものではない。また、プログラムの変更は、様々なエラーを伴うため、その変更及び実行確認には多大な時間と費用が必要である。しかし、代表商品とは、複数の商品の一つであって既にそのデータは記憶されているものである。また、その選択は顧客が任意に行うこともできるものであり、その変更に特に問題は生じない。よって、この実施態様3cは、最終的に選択される商品を変更する場合、前記プログラムの変更に伴う問題点は生じないという利点がある。
このように、この実施態様では、利用者自身が好みの代表商品を選ぶことや、販売業者が利用者好みの代表商品を選んであげることで、個人の要求に合った商品の選定が可能になるものである。
(実施態様4a)
この発明は、利用者がネットワークを介して請求項1から請求項8に記載したシステムを利用できるようにしたことを特徴とする。
この「ネットワーク」とは、通信設備を利用してデータの送受信が可能な環境をいい、インターネットのほか、LAN、WAN、2点間ダイヤルアップ接続、専用線等が該当する。
ネットワークを利用する態様の一例をFig.4に示す。Fig.4aは、実施態様の構成を示したものである。図に示す通り、この実施態様4aは、利用者端末1と製造者端末2とホストコンピュータ3をネットワーク4でつなげたものである。Fig−4bは、この実施態様のフローチャートを示すものである。そこで、このFig.4を用いて実施態様4aを説明する。
(1) 利用者は、利用者端末1から製造者端末2へアクセスし、商品に関する様々なデータを受信する(商品データ受信手段41)。
(2) 利用者は、気に入った商品を特定するための情報をホストコンピュータ3に送信する(商品情報送信手段42)。
(3) ホストコンピュータ3では、情報にある商品の商品データを求める(商品データ入手手段43)。
この商品データは、製造者端末2から送信してもらう。また、予めデータベース5に記憶しておき、このデータベース5から商品データを読み出す態様であってもよい。
(4) ホストコンピュータ3では、利用者の身体データを求める(身体データ入手手段44)。
この身体データは、利用者端末1から送信してもらう。また、予めデータベース5に記憶しておき、このデータベース5から身体データを読み出す態様であってもよい。
(5) ホストコンピュータ3で、商品データと身体データとを対比する(データ対比手段45)。
ここで、対比する手段は前記実施態様1,2,3として説明した通りである。
(6)実施態様1の場合 対比結果を利用者端末1へ送信する(対比結果送信手段46)。利用者は、この対比結果から商品を購入するかを検討する。
(7)実施態様2の場合 選定された商品に関する情報を利用者端末1へ送信する(選定商品情報送信手段47)。利用者は、この選定された商品を購入するかを検討する。
(8)実施態様3の場合
移動パターンに基づく修正を製造者端末2へ送信する(修正依頼手段48)。この移動パターンに基づき製造者は商品の修正を行う。
ここで、この修正依頼は直接製造者端末2に送信されてもよいし、利用者端末1を経由して製造者端末2へ送信されてもよい。
(実施態様4b)
ホストコンピュータ3に、商品データと身体データがデータベース5として記録されている場合、以下のように実施することもできる。そこで、この実施態様4bをFig.5に示すフローチャートを参照し説明する。
(1) 利用者は、自分を特定する情報と希望する商品(複数であっても良い)をホストコンピュータ3に送る(利用データ送信手段51)。
(2) ホストコンピュータ3では、商品データと身体データを読み出す(データ読み出し手段52)。
(3) 商品データと身体データを対比する(データ対比手段53)。
(4) 上記実施態様に合わせ,対比結果、選定された商品、移動パターンに基づく情報を利用者端末1へ送信する(結果送信手段54)。
(5) 利用者が商品を購入するのであれば、その旨を製造者端末2へ送信する(購入依頼手段55)。また、移動パターンに基づく修正依頼を製造者端末2へ送信する(修正依頼手段56)。
(実施態様4c)
一利用者端末1と複数の製造者端末2とホストコンピュータ5を結んだネットワーク4においては、以下のように実施することもできる。そこで、この実施態様をFig.6に示すフローチャートを参照し以下説明する。
(1) 利用者は、希望する商品の情報をホストコンピュータ3に送信する(希望商品送信手段61)。
(2) ホストコンピュータ3より、複数の販売者端末2へこの情報を送信する(希望商品依頼手段62)。
(3) 各販売業者は、その条件に見合った自社製品の商品データをホストコンピュータ3へ送信する(自社商品データ送信手段63)。
(4) ホストコンピュータ3は、利用者の身体データをデータベース5から読み出す、もしくは利用者端末1から送信してもらう(身体データ入手手段64)。
(5) ホストコンピュータ3で、複数の商品データと身体データを対比する(複数データ対比手段65)。
(6) 上記実施態様に合わせ,対比結果、選定された商品、移動パターンに基づく情報を利用者端末1へ送信する(結果送信手段66)。
(7) 利用者が商品を購入するのであれば、その旨をホストコンピュータ3もしくは販売者端末2に送信する(購入依頼手段67)。または、移動パターンに基づく修正依頼を販売業者に連絡する(修正依頼手段68)。
このように、ネットワークを利用することで、利用者は、実際にお店に行かなくとも、商品と身体の適合の程度を判断することができる。そして、ネットワークで販売される商品であっても、身体との適合に関し、安心して購入することが可能となる。その結果、インターネットなどのネットワーク上における商品の販売が盛んになる。
また、利用者は、複数のお店に行かなくとも、複数の販売業者から商品の提示を受け、その上で、自分に最も適した商品を選択することが可能となる。
この発明は、自己の身体データを利用者が保管し、必要に応じてホストコンピュータへ送信する態様であってもよい。また、ホストコンピュータが利用者の身体データのデータベースを有する態様であってもよい。
ホストコンピュータがデータベースを有する場合、利用者はこのシステムを利用するとき、自分を特定する情報をホストコンピュータに送るだけでよく、身体データを測定する必要がなくなる。また、自己の身体データを紛失すこともなくなる。
(実施態様4d)
このネットワーク4を利用した実施態様のホストコンピュータ5は、次の特徴を有する。ネットワーク4に接続されたコンピュータであって、身体と商品との適合依頼を受信し、商品データと身体データの対比を行い、その対比に関する情報を送信する。
ここで、「身体と商品との適合依頼」とは、これまで述べてきた利用者からの依頼である。この依頼には、少なくとも利用者と商品を特定する情報が含まれていなければならない。しかし、この二つの情報は同時に送られる必要はなく、利用者端末1から利用者を特定する情報が、販売者端末2から商品を特定する情報が送られてきてもよい。
「商品データと身体データとの対比」は、これまで述べた通りである。また、この実施態様における「商品データ」には、前記「理想データ」も含まれる。
「その対比に関する情報を送信する。」、この対比に関する情報は、利用者の要求に応じて適宜に定めればよく、対比結果のほか、最適な商品、修正依頼情報などが含まれる。また、この対比に関する情報は、必ず利用者端末1に送信する必要はなく、利用者の要求に応じて販売者端末2に送信されてもよい。
そして、このネットワーク4に用いられるコンピュータは、単体のコンピュータであっても、各処理を複数のコンピュータに分担させるコンピュータ群であってもよい。例えば、ネットワーク4がインターネットである場合、このコンピュータ5の構成は、利用者端末1や製造者端末2に商品の案内情報や対比結果等を送るWWWサーバーと各データの比較を行うアプリケーションサーバーを独立させる形態である。また、身体データならびに商品データを記憶するデーターベースサーバー5と各データの比較を行うアプリケーションサーバーを独立させる形態であってもよい。更に、WWWサーバーとアプリケーションサーバーとデータベースサーバーをそれぞれ独立させる形態であってもよい。
また、前記身体データと商品データを別々のデーターベースサーバーに記憶させ、必要に応じて読み出す形態であってもよい。このように機能に応じてサーバーを分けることにより、各サーバーの負担が減少しネットワーク全体の安全性が高まることとなる。
また、複数の利用者端末1に対してホストコンピュータ3は一つである必要はなく、複数の利用者端末1に対して複数のホストコンピュータ3が接続されている形態であってもよい。この形態では、利用者は希望するホストコンピュータ3にアクセスすることで求めるサービスを受けられる。
以上説明したこのコンピュータにより、実施態様4に説明された、この発明のシステムの活用が図られる。
〔産業上の利用可能性〕
この発明は、商品と身体の適否を判断を容易にしようとするものである。また、より適切な修正依頼を可能にするものである。また、フィット感が求められる商品についてもインターネット等のネットワークを用いて安心して購入できるようにするものである。
【図面の簡単な説明】
Fig.1a、Fig.1b、Fig.1c 足の解剖学的特徴点の説明図
Fig.2a 足の形態図
Fig.2b、Fig.2c 足の身体データとFFD法に基づく制御格子点の図
Fig.3a、Fig.3b 変形させた制御格子点の図
Fig.4a 実施態様4aの構成図
Fig.4b 実施態様4aのフローチャート
Fig.5 実施態様4bのフローチャート
Fig.6 実施態様4cのフローチャート
〔符号の説明〕
22. 制御格子点
Claims (1)
- 複数の商品の中から、利用者に最適な商品を選定するシステムであって、以下の手段を含むことを特徴とする。
・複数の商品から代表商品を選ぶ手段
・この代表商品の理想データを求める手段
・FFD法に基づく制御格子点22を設けた理想データとFFD法に基づく制御格子点22を設けた利用者の身体データを対比する手段
・前記理想データから身体データへの制御格子点22の移動量としての移動パターンを求める手段
・この制御格子点22の移動パターンの一部又は全部に基づき、代表商品を変形する手段
・変形された代表商品と複数の商品とを比べ、最適な商品を選定する手段
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