JP4447587B2

JP4447587B2 - 構造物支持装置、及び構造物の設置方法

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Publication number: JP4447587B2
Application number: JP2006238089A
Authority: JP
Inventors: 泰大越; 美穂照沼; 義博荒蒔
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Priority date: 2006-09-01
Filing date: 2006-09-01
Publication date: 2010-04-07
Anticipated expiration: 2026-09-01
Also published as: JP2008057279A; US20080053008A1; US7946082B2

Description

本発明は、住宅用太陽光発電システムなどに使用される太陽電池モジュール等の構造物を家屋の屋根等に支持固定するための構造物支持装置及び構造物の設置方法に関する。

周知の様に省エネルギーもしくは太陽エネルギー有効利用のために、太陽電池モジュールを家屋の屋根等に設置し、太陽電池モジュールによる発電電力を住宅に供給するという住宅用太陽光発電システムが提供されている。この様なシステムを利用するには、太陽電池モジュールの屋根等への設置工事が必要であり、その際には、太陽電池モジュールの配線等のために、太陽電池モジュールを屋根の取付け面から間隔を空けて浮かせた状態で取付ける必要がある。また、屋根上では風雨に直接さらされるので、強風で吹飛ばされないように太陽電池モジュールを強固に取付ける必要があり、更に太陽電池モジュールの取付け部分から雨漏りなどが生じないように考慮する必要もある。

特許文献１には、太陽電池モジュールをスレート屋根に設置するための取付け構造に関する先行技術が開示されている。ここでは、太陽電池モジュールを取付けるための支持金具を屋根の野地板に設置して、支持金具の取付け箇所に防水処理を施し、スレート瓦を加工して、支持金具とスレート瓦とが重ならないようにスレート瓦を設置している。この後で、支持金具の上に、太陽電池モジュールを取付けるための縦桟と横桟とを井桁状に組み合わせて載せ、これらの桟の上に太陽電池モジュールを取付けている。

また、特許文献２には、太陽光利用機器を屋根上に設置するための防水構造に関する先行技術が開示されている。ここでは、太陽光利用機器を設置するための固定金具を屋根の野地板に設置し、この固定金具を覆う防水カバーを取付けて、この固定金具のボルトのみを防水カバーを貫通させて突出させ、このボルト上に架台を取付け、この架台上に太陽光利用機器を固定支持している。雨水は、防水カバーの周囲に沿って流れ、固定金具を避けるので、固定金具と野地板間の隙間を通じて雨水が浸入することはない。
特開平８−９３１５９号公報特開２００６−５２５２９号公報

しかしながら、特許文献１では、シーリング材を支持金具周辺の隙間に充填して、防水処理を施しているので、施工に手間を要する。また、その防水性能がシーリング材のみに依存するので、耐久性も劣る。

また、特許文献２では、防水カバーで覆う構造であるから、耐久性の点で優れるものの、固定金具と防止カバーが別体であるので、それぞれを別々に取付ける必要があり、ネジ釘等を含めると、部品点数が多く、設置作業が煩雑である。また、固定金具の強度を向上させるために、固定金具を大型化した場合は、これを覆う防水カバーが非常に大きくなって目立ち、施工後の外観が見苦しいものとなる。

そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、耐久性の点で優れ、少ない部品点数であって、設置作業が容易であり、大型化を抑えつつ、強度向上を図ることが可能な構造物支持装置を提供することを目的とする。

また、本発明は、上記本発明の構造物支持装置を用いて構造物を屋根に支持固定する構造物の設置方法を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明の構造物支持装置は、屋根に構造物を支持固定するための構造物支持装置において、矩形状の湾曲板の中央部を該湾曲板の凹面側から凸面側へと突出させることにより、この湾曲板の中央部に該湾曲板の４辺のいずれからも離間したドーム状凸部を形成し、前記ドーム状凸部の頂部に構造物を支持する支持面を設け、この支持面を貫通するネジ孔を形成し、前記湾曲板の対向する２つの辺が弧を描く様に該湾曲板を湾曲させており、前記湾曲板の凹面側を前記屋根面に向けて、前記ドーム状凸部のネジ孔を通じて、ネジを前記屋根にねじ込んで締着し、この湾曲板を前記屋根面に圧接させて平板状に変形させ、この湾曲板の弾性力により該湾曲板の辺を屋根に密接させている。

更に、前記ドーム状凸部の内側に補強部材が設けられ、前記ネジ孔が前記湾曲板及び該補強部材を貫通している。

また、前記ドーム状凸部の頂部上に相互に離間した２つの支持面を設け、これらの支持面を貫通するそれぞれのネジ孔を形成している。

また、本発明の設置方法は、上記本発明の構造物支持装置を用いて構造物を屋根に支持固定する構造物の設置方法において、前記構造物支持装置の湾曲板の凹面側を前記屋根面に向けて、該屋根上に段葺きされて上下に重なり合う屋根部材間に前記湾曲板の一部を挿入する工程と、前記ドーム状凸部のネジ孔を通じて、ネジを前記屋根にねじ込んで締着し、前記湾曲板を該屋根に圧接固定する工程と、前記ドーム状凸部の頂部に構造物を支持する工程とを含んでいる。

この様な構成の本発明の構造物支持装置によれば、湾曲板の中央部を突出させてドーム状凸部を形成し、ドーム状凸部にネジ孔を設け、ドーム状凸部の頂部に構造物を支持している。ここで、湾曲板の凹面側を屋根面に向けて、湾曲板を屋根上に配置し、ドーム状凸部のネジ孔を通じて、ネジを屋根にねじ込んで締着し、湾曲板を屋根に圧接固定すると、ネジの締着力により湾曲板が屋根に強く圧接され、湾曲板が平板状に変形する。このときの湾曲板の弾性力により該湾曲板の外周辺が屋根に密接して、湾曲板と屋根間が防水される。そして、ドーム状凸部の頂部に構造物を支持するので、雨水が屋根及び湾曲板の表面を流れ、これらの表面よりも高い位置にあるドーム状凸部のネジ孔等が浸水することがない。

また、湾曲板及びドーム状凸部が一体構造であるため、これらの取付け作業が容易であり、強度を向上させながらも、大型化を抑えることが可能である。

例えば、湾曲板が矩形状であり、該矩形の対向する２つの辺が弧を描く様に該湾曲板が湾曲している。この場合は、湾曲板が屋根に圧接固定されて平板状に変形すると、弧を描く２つの辺が直線状に変形し、湾曲板の弾性力により他の２つの辺が屋根に密接して、この他の２つの辺と屋根間が防水される。この場合、防水性能を発揮させるには、屋根の傾斜並びに雨水の流れ方向を考慮して、湾曲板の矩形状の向きを適宜に設定する必要がある。

更に、ドーム状凸部の内側に補強部材が設けられ、ネジ孔が湾曲板及び補強部材を貫通している。この補強部材によりドーム状凸部の強度を向上させることでき、ネジの締着によるドーム状凸部の変形を防止することができ、延いてはネジの締着により湾曲板を屋根に強く圧接固定することが可能となる。

また、ドーム状凸部の頂部が構造物を支持するための支持面を有し、ネジ孔が該支持面に対して鉛直に設けられている。これにより、ネジが該支持面に対して鉛直にねじ込まれることになる。

更に、ドーム状凸部のネジ孔は、複数であって、相互に間隔を開けて設けられている。屋根上に段葺きされて上下に重なり合う屋根部材上に、湾曲板を載せて固定すると、湾曲板が屋根部材の段差に跨ることになる。このため、ドーム状凸部のネジ孔を複数設けて、段差部位の両側にドーム状凸部のそれぞれのネジ孔を位置決めし、段差部位の両側で湾曲板を締着することができるようにしている。これにより、段差部位の両側のいずれか一方で湾曲板が屋根部材から浮くことがなくなり、湾曲板と屋根部材間に大きな隙間が生じることがなくなる。

また、本発明の設置方法によれば、屋根上に段葺きされて上下に重なり合う屋根部材間に湾曲板の一部を挿入している。この場合は、屋根の傾斜上方向に向く該屋根と湾曲板の隙間が屋根部材に覆われることになるので、該隙間からの浸水が防止される。そして、湾曲板の凹面側を屋根面に向けて、湾曲板を屋根上に配置し、ドーム状凸部のネジ孔を通じて、ネジを屋根にねじ込んで締着し、湾曲板を屋根に圧接固定しているので、ネジの締着力により湾曲板が屋根に強く圧接され、湾曲板が平板状に変形する。このときの湾曲板の弾性力により該湾曲板の外周辺が屋根に密接して、湾曲板と屋根間が防水される。更に、ドーム状凸部の頂部に構造物を支持するので、雨水が屋根及び湾曲板の表面を流れ、これらの表面よりも高い位置にあるドーム状凸部のネジ孔に浸水することがない。

以下、本発明の一実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。

図１（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）は、本発明の構造物支持装置の一実施形態を示す平面図、正面図、及び側面図である。また、図２（ａ）、（ｂ）は、図１（ａ）におけるＡ−Ａ及びＢ−Ｂに沿うそれぞれの断面図である。

本実施形態の構造物支持装置１は、矩形状の金属板を湾曲させた湾曲板２と、この湾曲板２の中央部を該湾曲板２の凹面側から凸面側へと突出させたドーム状凸部３と、このドーム状凸部３内側に配置された２個の補強部材４、５とを有している。また、各補強部材４、５底面に防水用のブチルゴムシート７を貼り付け、ブチルゴムシート７に離型紙（図示せず）を付けている。

尚、ドーム状凸部３と各補強部材４、５間にも防水用のブチルゴムシートを介在させても構わない。

湾曲板２及びドーム状凸部３は、矩形状の金属板を金型により成型した一体構造のものである。湾曲板２は、該矩形の相互に対向する２つの辺２ａが弧を描く様に湾曲し、該矩形の対向する他の２つの辺２ｂがより緩やかな弧を描くかもしくは直線状である。湾曲板２の弧を描く２つの辺２ａは、他の２つの辺２ｂを結ぶ直線Ｋに対して最大１０ｍｍ程度離間する様な曲率を有する。

ここでは、意図的に湾曲板２を湾曲させているが、金型により湾曲板２及びドーム状凸部３を一体的に成型する場合は、湾曲板２を平坦に成型する方が困難であり、この意図的な湾曲の付与により構造物支持装置１の形状が安定するという利点がある。

ドーム状凸部３頂部には、後で述べる様なスライダー基部を固定支持するための２つの支持面３ａ、３ｂが形成されている。これらの支持面３ａ、３ｂに当接されるスライダー基部のそれぞれの底面が同一平面上になくて相互にずれているので、スライダー基部の各底面に合致する様にドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂも同一平面上になくて相互にずれている。

各支持面３ａ、３ｂは、それぞれの補強部材４、５により補強支持されている。一方の補強部材４及びドーム状凸部３には、該補強部材４及びドーム状凸部３を貫通する２つのネジ孔８が形成され、同様に他方の補強部材５及びドーム状凸部３には、該補強部材５及びドーム状凸部３を貫通する２つのネジ孔９が形成されている。従って、ドーム状凸部３及び各補強部材４、５には、４つのネジ孔８、９が形成されている。

一方の補強部材４側の各ネジ孔８は、ドーム状凸部３の支持面３ａに対して鉛直に形成されている。同様に、他方の補強部材５側の各ネジ孔９は、ドーム状凸部３の支持面３ｂに対して鉛直に形成されている。

各補強部材４、５も、金属板を金型により成型したものであり、それらの底面が開放されて、それらの底面に防水用のブチルゴムシート７が貼り付けられ、それらの底面近くに水抜き孔４ａ、５ａが設けられている。

各補強部材４、５底面は、ドーム状凸部３下端よりも上方に僅かに引っ込んだ位置にある。また、ブチルゴムシート７底面は、ドーム状凸部３下端よりも下方に僅かに突出した位置にある。

金型によるドーム状凸部３の成型に際しては、図２（ａ）、（ｂ）に示す様な各ネジ孔８、９を打ち抜き成型し、これらのネジ孔８、９下側にかえり（バリ）を生じさせる。そして、ドーム状凸部３の各ネジ孔８、９下側のかえりを各補強部材４、５の孔８ａ、９ａに挿入し、各ネジ孔８、９下側のかえりを押し潰して、カシメ加工を施し、各補強部材４、５をドーム状凸部３内側に支持固定している。

湾曲板２、ドーム状凸部３、及び各補強部材４、５の材質は、メッキ鋼板である。また、湾曲板２及びドーム状凸部３の表面には、合成樹脂の塗装が施されている。

次に、図３（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）を参照して、構造物支持装置１のドーム状凸部３頂部に固定支持されるスライダー基部を説明する。図３（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）は、スライダー基部を示す平面図、正面図、及び側面図である。

このスライダー基部１１は、金属板を金型により成型した一体構造であり、平面視すると略長方形状の底壁１１ａと、底壁１１ａ両辺で折り曲げられた２つの側壁１１ｂと、各側壁１１ｂ上辺で折り曲げられた２つの上壁１１ｃと、各上壁１１ｃ内側辺で下方に折り曲げられた２つの縁部１１ｄと、底壁１１ａよりも下方に突出する様に成型された２つの凸部１１ｅ、１１ｆとを有している。各凸部１１ｅ、１１ｆには、それぞれのネジ孔１１ｇ、１１ｈが２つずつ形成されている。また、各凸部１１ｅ、１１ｆ底面には、防水用のブチルゴムシート１２が貼り付けられ、ブチルゴムシート１２に離型紙（図示せず）が付けられている。更に、各側壁１１ｂには、スライダーのストッパー１１ｉが形成されている。

スライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面を構造物支持装置１のドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂに載せることができ、この状態では、スライダー基部１１の凸部１１ｅの各ネジ孔１１ｇがドーム状凸部３の支持面３ａの各ネジ孔８に重なって挿通し、かつスライダー基部１１の凸部１１ｆの各ネジ孔１１ｈがドーム状凸部３の支持面３ｂの各ネジ孔９に重なって挿通する。

図４（ａ）に示す様な屋根部材２１上に構造物支持装置１を配置し、スライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面を構造物支持装置１のドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂに載せ、２本のネジ２２をスライダー基部１１の凸部１１ｅの各ネジ孔１１ｇ及びドーム状凸部３の各ネジ孔８に通してネジ込み、かつ２本のネジ２３をスライダー基部１１の凸部１１ｆの各ネジ孔１１ｈ及びドーム状凸部３の各ネジ孔９に通してネジ込む。これにより、構造物支持装置１が屋根上に固定支持され、これと同時にスライダー基部１１が構造物支持装置１のドーム状凸部３上に支持される。

尚、構造物支持装置１、スライダー基部１１等を屋根上に取り付けるための施工手順は後で詳述する。

図５に示す様にスライダー基部１１は、単独であっても、屋根上に固定支持して用いることができる。この場合は、２つの屋根部材２１間の段差を跨ぐようにしてスライダー基部１１を配置し、スライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面をそれぞれの屋根部材２１表面に当接させて、２本のネジをスライダー基部１１の凸部１１ｅの各ネジ孔１１ｇを通じてねじ込み、かつ２本のネジをスライダー基部１１の凸部１１ｆの各ネジ孔１１ｈを通じてねじ込む。これにより、各屋根部材２１間の段差両側のいずれでもスライダー基部１１の端部が浮き上がることなく、スライダー基部１１が屋根上に固定支持される。

このときの各屋根部材２１表面の高さと傾きを考慮して、各屋根部材２１表面に当接する様にスライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面を予め設定している。このため、先に述べた様にスライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面が同一平面上になくて相互にずれており、これらの底面に合致するドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂも同一平面上になくて相互にずれている。

この様なスライダー基部１１は、スライダーを該スライダー基部１１の長手方向に移動可能に支持する。

次に、図４（ａ）、（ｂ）及び図６を参照して、スライダー基部１１により支持されるスライダーを説明する。図４（ａ）、（ｂ）は該スライダーをスライダー基部１１に取り付けた状態を示す側面図及び断面図であり、図６はスライダーを示す斜視図である。

このスライダー３１は、内スライダー３２を外スライダー３３側方から該外スライダー３３内に挿入して、内スライダー３２及び外スライダー３３を組み合わせたものである。この組み合わせた状態で、内スライダー３２がスライダー基部１１内側に移動可能に挿入され、外スライダー３３がスライダー基部１１外側に移動可能に支持される。

内スライダー３２は、図７に示す様にベース部３２ａと、ベース部３２ａ中央のネジ孔３２ｂと、ベース部３２ａ両側の側ガイド部３２ｃと、ベース部３２ａ前後の上ガイド部３２ｄと、ベース部３２ａ四隅の下ガイド部３２ｅとを有している。前後の上ガイド部３２ｄと四隅の下ガイド部３２ｅ間には、上下方向の隙間が設けられている。

外スライダー３３は、図８に示す様にベース部３３ａと、ベース部３３ａ中央のネジ孔３３ｂと、ベース部３３ａ両側のＬ字型ガイド部３３ｃと、ベース部３３ａ前後に突設された位置決め片３３ｄとを有している。

図４（ａ）、（ｂ）に示す様に内スライダー３２と外スライダー３３を組み合わせてスライダー基部１１に装着した状態では、内スライダー３２両側の側ガイド部３２ｃがスライダー基部１１の各側壁１１ｂ内面に対峙し、内スライダー３２前後の上ガイド部３２ｄと四隅の下ガイド部３２ｅ間にスライダー基部１１の各上壁１１ｃが挿通し、四隅の下ガイド部３２ｅ内側にスライダー基部１１の各縁部１１ｄが位置する。また、外スライダー３３のベース部３３ａ及び両側のＬ字型ガイド部３３ｃ内側にスライダー基部１１が抱え込まれる。これにより、内スライダー３２がスライダー基部１１内側に移動可能に支持され、かつ外スライダー３３がスライダー基部１１外側に移動可能に支持される。

この状態で、各スライダー３２、３３をスライダー基部１１の長手方向に沿って移動させて適宜の位置に配置し、図６に示す様にドックワッシャー３４を外スライダー３３上側に重ねて配置する。そして、図９に示す様にボルト３５をドックワッシャー３４のネジ孔３４ａ及び外スライダー３３のネジ孔３３ｂに通して内スライダー３のネジ孔３２ｂの雌ネジにねじ込んで締め付けると、各スライダー３２、３３が相互に固定され、同時に各スライダー３２、３３間にスライダー基部１１が挟み込まれて、各スライダー３２、３３が位置決め固定される。

実際には、各スライダー３２、３３を位置決め固定するためのボルト３５は、該各スライダー３２、３３に載せられる構造物もしくはその支持部材等を固定するためにも用いられる。

この様に内スライダー３２と外スライダー３３を組み合わせて用いると、各スライダー３２、３３のいずれか一方を用いたときよりも、スライダー全体の強度が向上し、また各スライダー３２、３３によりスライダー基部１１が補強されて、スライダー３１及びスライダー基部１１が共に変形し難くなる。

仮に、内スライダー３２のみを用いた場合は、内スライダー３２を持ち上げる様な大きな力が作用すると、内スライダー３２とスライダー基部１１間に大きな力が作用して、両者が共に変形し、内スライダー３２がスライダー基部１１の各上壁１１ｃ間から抜けて外れる可能性がある。

次に、構造物支持装置１、スライダー基部１１、各スライダー３２、３３、及びドックワッシャー３４を用いて、構造物である太陽電池パネルを屋根上に固定支持するための施工手順を説明する。

図１０（ａ）、（ｂ）に示す様に屋根４１では、屋根４１の傾斜方向と直交する方向に複数の垂木４２を一定間隔で並べて、屋根４１の傾斜方向に沿って垂木４２を配置し、各垂木４２上に野地板４３を隙間なく配置して固定し、野地板４３上に防水シート４４を重ねて張り付け、防水シート４４上に複数の屋根部材２１を段葺きにしている。屋根部材２１は、屋根４１の傾斜方向と直交する方向に長い厚さ５ｍｍ程度の帯状のアスファルトシングルであり、複数の帯状のアスファルトシングルが相互に部分的に重ね合わせられて段葺き状に配置されている。

この屋根４１において、まず、各屋根部材２１上に垂木４２の中心を通る墨だし線Ｐを印し、構造物である太陽電池パネルの縁の位置を示す墨だし線Ｑを印す。

そして、各墨だし線Ｐ、Ｑを基準にして、規定サイズの矩形状切り欠きＳを屋根部材２１に形成する。この矩形状切り欠きＳは、墨だし線Ｑよりも屋根４１の傾斜上方向に位置し、その中心が墨だし線Ｐに重なる。

次に、図１１（ａ）、（ｂ）に示す様に構造物支持装置１の湾曲板２裏面の点線領域２ｃ及び湾曲板２表面の点線領域２ｅにシリコーン樹脂を塗布し、構造物支持装置１の各補強部材４、５のブチルゴムシート７の離型紙を剥がしてから、湾曲板２の凹面側を屋根部材２１に向けた状態で、矩形状切り欠きＳが形成された屋根部材２１とその下に重なる屋根部材２１の隙間に湾曲板２の略半分を挿入する。このとき、湾曲板２の各辺の中心を示すそれぞれの刻印２ｄを各墨だし線Ｐ、Ｑに重ね合わせて、湾曲板２を位置決めする。

引き続いて、図４（ａ）に示す様にスライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面のブチルゴムシート１２の離型紙を剥がし、ブチルゴムシート１２を介在させて、スライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面を構造物支持装置１のドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂに載せ、２本のネジ２２をスライダー基部１１の凸部１１ｅの各ネジ孔１１ｇ及びドーム状凸部３の支持面３ａの各ネジ孔８に通して垂木４２にネジ込み、かつ２本のネジ２３をスライダー基部１１の凸部１１ｆの各ネジ孔１１ｈ及びドーム状凸部３の支持面３ｂの各ネジ孔９に通して垂木４２にネジ込む。先に述べた様にドーム状凸部３の各ネジ孔８、９が該ドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂに対して鉛直に形成されているので、各ネジ２２、２３が各支持面３ａ、３ｂに対して鉛直にねじ込まれ、各ネジ２２、２３の締着力が各支持面３ａ、３ｂに対して鉛直に作用する。これにより、構造物支持装置１が屋根４１上に安定的に固定支持され、これと同時にスライダー基部１１が構造物支持装置１のドーム状凸部３上に支持される。

また、湾曲板２が屋根部材２１に圧接されて平板状に変形し、湾曲板２裏面の点線領域２ｃ及び湾曲板２表面の点線領域２ｅのシリコーン樹脂が上下の屋根部材２１に密着する。これにより、屋根４１の傾斜上方向に向く湾曲板２と屋根部材２１間の隙間が封止されて、この隙間からの浸水が確実に防止される。

更に、湾曲板２が屋根部材２１に圧接されて平板状に変形すると、湾曲板２の弧を描く２つの辺２ａが直線状に変形し、湾曲板２の弾性力により他の２つの辺２ｂが屋根部材２１に強く圧接されて、この他の２つの辺２ｂと屋根部材２１間が防水される。

また、先に述べた様に構造物支持装置１では、各補強部材４、５底面がドーム状凸部３下端よりも僅かに引っ込んだ位置にある。このため、湾曲板２が屋根部材２１に圧接されて平板状に変形したときに、各補強部材４、５底面が屋根部材２１から僅かに浮いて、各補強部材４、５底面が湾曲板２よりも先に該屋根部材２１に当接することはなく、湾曲板２が屋根部材２１に確実に圧接される。

更に、先に述べた様に各補強部材４、５のブチルゴムシート７底面がドーム状凸部３下端よりも下方に僅かに突出した位置にある。このため、各補強部材４、５のブチルゴムシート７底面が湾曲板２よりも先に該屋根部材２１に当接することになり、各補強部材４、５と屋根部材２１間にブチルゴムシート７が挟み込まれて、各補強部材４、５と屋根部材２１間が確実に防水される。

また、電動工具等により各ネジ２２、２３が強く締め付けられたときには、各補強部材４、５がブチルゴムシート７を介して屋根部材２１に圧接されるので、各ネジ２２、２３のねじ込み量が制限され、湾曲板２の過度な変形が防止される。

更に、構造物支持装置１のドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂとスライダー基部１１の各凸部１１ｅ、１１ｆ底面間にブチルゴムシート１２を介在させているので、両者間が防水される。このブチルゴムシート１２による防水にもかかわらず、ドーム状凸部３の各支持面３ａ、３ｂの各ネジ孔８、９から各補強部材３、５内側へと雨水が浸入して来た場合は、雨水が各補強部材４、５の水抜き孔４ａ、５ａを通じて屋根４１の傾斜下方向へと抜かれるので、屋根４１からの雨漏りが防止される。

こうして構造物支持装置１及びスライダー基部１１を設置した後、図１２（ａ）、（ｂ）に示す様にスライダー３１をスライダー基部１１に装着し、スライダー３１をスライダー基部１１の長手方向に沿って移動させて適宜の位置に配置し、Ｌ字型横桟４５を外スライダー３３の各位置決め片３３ｄ間に配置して、Ｌ字型横桟４５上にドックワッシャー３４を重ね、ボルト３５をドックワッシャー３４のネジ孔３４ａ、Ｌ字型横桟４５の孔、及び外スライダー３３のネジ孔３３ｂに通して内スライダー３２のネジ孔３２ｂの雌ネジにねじ込んで締め付ける。これにより、各スライダー３２、３３が相互に固定され、同時に各スライダー３２、３３間にスライダー基部１１が挟み込まれて、各スライダー３２、３３が位置決め固定される。また、Ｌ字型横桟４５がドックワッシャー３４と外スライダー３３間に挟み込まれて固定される。

この様な構造物支持装置１の設置を屋根４１の４箇所で行い、２本のＬ字型横桟４５を屋根４１上で支持する。図１３に示す様に屋根４１上の棟側で該屋根４１の傾斜方向と直交する方向に一対の構造物支持装置１を並べて設置し、これらの構造物支持装置１によりＬ字型横桟４５を支持し、また屋根４１上の軒先側で該直交する方向に一対の構造物支持装置１を並べて設置し、これらの構造物支持装置１により他のＬ字型横桟４５を支持する。これにより、２本のＬ字型横桟４５が相互に平行に間隔を開けて並設される。

そして、各Ｌ字型横桟４５間に太陽電池パネル４６を配置して、太陽電池パネル４６の上下辺を各Ｌ字型横桟４５にそれぞれ載せて係合させ、太陽電池パネル４６を固定支持する。

この様に本実施形態の構造物支持装置１では、湾曲板２の凹面側を屋根４１面に向けて、湾曲板２を屋根４１上に配置し、湾曲板２のドーム状凸部３の各ネジ孔８、９を通じて、ネジを屋根４１の垂木４２にねじ込んで締着し、湾曲板２を屋根部材２１に圧接固定しているので、ネジの締着力により湾曲板２が屋根部材２１に強く圧接され、湾曲板２が平板状に変形する。このときの湾曲板２の弾性力により該湾曲板２の２つの辺２ｂが屋根部材２１に強く圧接されて、この２つの辺２ｂと屋根部材２１間が防水される。

更に、湾曲板２の各辺２ｂが屋根４１の傾斜方向に沿う様に該湾曲板２を配置しているので、雨水が湾曲板２の各辺２ｂに沿って流れることになり、これによっても該各辺２ｂからの浸水が発生し難くなっている。

また、上下に重なる屋根部材２１の隙間に湾曲板２の略半分を挿入するので、屋根４１の傾斜上方向に向く湾曲板２と屋根部材２１の隙間からの浸水が発生し難い。更に、湾曲板２裏面の点線領域２ｃ及び湾曲板２表面の点線領域２ｅにシリコーン樹脂を塗布しているから、浸水がより効果的に防止される。

また、屋根４１の傾斜下方向に向く湾曲板２と屋根部材２１の隙間は、十分に狭くて、雨水が吹き込み難いので、格別な防水処理を施さなくても構わない。この隙間にシリコーン樹脂を充填して、防水性を向上させることも可能である。

また、構造物支持装置１のドーム状凸部３頂部に太陽電池パネル４６を支持するための各ネジ孔８、９を設けているので、雨水が屋根部材２１及び湾曲板２の表面を流れ、これらの表面よりも高い位置にあるドーム状凸部３頂部の各ネジ孔８、９が浸水することはない。

また、湾曲板２及びドーム状凸部３が構造物支持装置１として一体化されているため、構造物支持装置１の取付け作業が容易であり、構造物支持装置１全体の強度が高い。更に、より強度を高めるために、構造物支持装置１となる金属板を厚くしたとしても、著しい大型化を招くことがない。

尚、本発明の構造物支持装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、湾曲板の湾曲形状を変更しても構わない。金属板の成型加工の複雑化が許容されるのであれば、湾曲板の周縁全体が屋根面に圧接される様な該湾曲板の形状を採用しても良い。また、ドーム状凸部の形状、ネジ孔の個数等を任意に変更することができる。あるいは、１枚の湾曲板に複数のドーム状凸部を形成しても構わない。

また、本発明の構造物支持装置は、太陽電池パネルだけではなく、他の構造物を支持するために用いることができる。他の構造物としては、太陽熱の集熱装置、看板等の装飾装置、アンテナなどがある。

（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）は、本発明の構造物支持装置の一実施形態を示す平面図、正面図、及び側面図である。（ａ）、（ｂ）は、図１（ａ）におけるＡ−Ａ及びＢ−Ｂに沿うそれぞれの断面図である。（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）は、図１の構造物支持装置のドーム状凸部頂部に固定支持されるスライダー基部を示す平面図、正面図、及び側面図である。（ａ）、（ｂ）は、スライダー基部にスライダーを挿入した状態を示す側面図及び断面図である。図３のスライダー基部を単独で屋根上に配置した状態を示す側面図である。図３のスライダー基部に装着されるスライダー及びドックワッシャーを示す斜視図である。図６のスライダーにおける内スライダーを示す斜視図である。図６のスライダーにおける外スライダーを示す斜視図である。スライダー基部にスライダーを固定した状態を示す断面図である。（ａ）、（ｂ）は、図１の構造物支持装置が設置される屋根を例示する平面図及び側面図である。（ａ）、（ｂ）は、図１の構造物支持装置を屋根上に配置した状態を示す平面図及び側面図である。（ａ）、（ｂ）は、構造物支持装置、スライダー基部、及びスライダー等を屋根上に設置して示す平面図及び側面図である。屋根上に太陽電池パネルを固定支持した状態を示す斜視図である。

符号の説明

１構造物支持装置
２湾曲板
２ａ、２ｂ辺
２ｄ刻印
３ドーム状凸部
４、５補強部材
７、１２ブチルゴムシート
８、９ネジ孔
１１スライダー基部
２１屋根部材
２２、２３ネジ
３１スライダー
３２内スライダー
３３外スライダー
３４ドックワッシャー
３５ボルト
４１屋根
４２垂木
４３野地板
４４防水シート
４５Ｌ字型横桟
４６太陽電池パネル

Claims

屋根に構造物を支持固定するための構造物支持装置において、
矩形状の湾曲板の中央部を該湾曲板の凹面側から凸面側へと突出させることにより、この湾曲板の中央部に該湾曲板の４辺のいずれからも離間したドーム状凸部を形成し、前記ドーム状凸部の頂部に構造物を支持する支持面を設け、この支持面を貫通するネジ孔を形成し、前記湾曲板の対向する２つの辺が弧を描く様に該湾曲板を湾曲させており、
前記湾曲板の凹面側を前記屋根面に向けて、前記ドーム状凸部のネジ孔を通じて、ネジを前記屋根にねじ込んで締着し、この湾曲板を前記屋根面に圧接させて平板状に変形させ、この湾曲板の弾性力により該湾曲板の辺を屋根に密接させることを特徴とする構造物支持装置。
前記ドーム状凸部の内側に補強部材が設けられ、前記ネジ孔が前記湾曲板及び該補強部材を貫通することを特徴とする請求項１に記載の構造物支持装置。
前記ドーム状凸部の頂部上に相互に離間した２つの支持面を設け、これらの支持面を貫通するそれぞれのネジ孔を形成したことを特徴とする請求項１に記載の構造物支持装置。
請求項１に記載の構造物支持装置を用いて構造物を屋根に支持固定する構造物の設置方法において、
前記構造物支持装置の湾曲板の凹面側を前記屋根面に向けて、該屋根上に段葺きされて上下に重なり合う屋根部材間に前記湾曲板の一部を挿入する工程と、
前記ドーム状凸部のネジ孔を通じて、ネジを前記屋根にねじ込んで締着し、前記湾曲板を該屋根に圧接固定する工程と、
前記ドーム状凸部の頂部に構造物を支持する工程とを含むことを特徴とする構造物の設置方法。