JP4444794B2 - ゴルフパターヘッド及びこれを備えたゴルフパター - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、トウ・ヒール方向に貫通する中央開口を有する後方質量部により重心をフェース部から後方に移動させるとともに、フェース面にポリウレタン等のフェースインサートを設けたゴルフパターヘッドが開示されている(特許文献1参照)。
なお、ヘッドの左右方向における慣性モーメントとは、ヘッドを所定のライ角及びロフト角(リアルロフト角)で水平面上に載置した基準状態(以下、単に基準状態ともいう)において、ヘッド重心を通る鉛直方向の軸回りの慣性モーメントのことであり、以下、単に慣性モーメントともいう。ただし、ヘッドに所定のライ角又はロフト角が明示されていない場合には、パターヘッドの通常のライ角(70度〜72度)およびロフト角(0度〜6度)を所定のライ角やロフト角としうる。
今回、本発明者は、単にヘッド重量を重くしたり、単に慣性モーメントを大きくしたりする技術思想ではなく、従来技術とは全く異なる技術思想に基づいて、ヘッドの振動を効果的に吸収しうることを見いだし、本発明に至った。
この場合、ヘッド後方部と本体後方部との境界部において、ヘッド後方部は本体後方部に対してトウ・ヒール方向及び/又は上下方向に張り出した状態となる。ヘッド本体とは比重及び素材が異なり、振動特性もヘッド本体とは相違する張り出し部がヘッド後方部に設けられているので、衝撃吸収性を効果的に高めることができる。また、(S2/S1)を上記範囲としたのは、(S2/S1)が1.1未満の場合は充分な振動吸収効果が得られにくくなり、(S2/S1)が2.0を超えるとヘッド後方部の重量あるいはヘッド総重量が重くなりやすく、振りにくくなったり、ヘッドのバランスが悪くなりストロークが不安定になったりする場合があるからである。さらに、比較的高比重とされたヘッド後方部の存在により慣性モーメントを大きくすることができる。
この場合、前記境界部において、ヘッド後方部はトウ・ヒール方向に張り出した状態となるので、振動吸収効果を高めることができる。また、特にトウ・ヒール方向に打点がズレた場合に発生するヘッドの振動を効果的に吸収することができる。
また、(L2/L1)を1.1以上としたのは、(L2/L1)が1.1未満の場合は充分な振動吸収効果が得られにくくなるからであり、よって1.2以上がより好ましく、1.3以上が更に好ましい。また、(L2/L1)を2.0以下としたのは、(L2/L1)が2.0を超えるとヘッド後方部の重量あるいはヘッド総重量が重くなりやすく、振りにくくなったり、ヘッドのバランスが悪くなりストロークが不安定になったりする場合があるからであり、よって1.9以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.7以下が特に好ましい。
この場合、前記境界部において、ヘッド後方部は上下方向に張り出した状態となるので、振動吸収効果を高めることができる。また、特に上下方向に打点がズレた場合に発生するヘッドの振動を効果的に吸収することができる。
また、(H2/H1)を1.1以上としたのは、(H2/H1)が1.1未満の場合は充分な振動吸収効果が得られにくくなるからであり、よって(H2/H1)は1.2以上がより好ましく、1.3以上が更に好ましい。(H2/H1)を2.0以下としたのは、(H2/H1)が2.0を超えるとヘッド後方部の重量あるいはヘッド総重量が重くなりやすく、振りにくくなったり、ヘッドのバランスが悪くなりストロークが不安定になったりする場合があるからであり、よって(H2/H1)は1.9以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.7以下が特に好ましい。
図1及び図7は、本発明の一実施形態であるゴルフパターヘッド(以下、単にヘッドともいう)1の図であり、図1(a)はヘッドの上方向から見た平面図、図1(b)はヘッドのヒール側から見た側面図、図1(c)はヘッドのバック側から見た図、図7は斜視図である。
このヘッド1は、打球時にボールと接触するフェース面2と、このフェース面2の上縁からヘッドのバック側に延びヘッドの上面を構成するクラウン面3と、フェース面2の下縁からヘッドのバック側に延びヘッドの下面を構成するソール面4と、を有している。
ヘッド1は、比重の異なる2つの素材からなる。具体的には、フェース面2を有するヘッド本体5と、このヘッド本体5のバック側に取り付けられ当該ヘッド本体5よりも比重が大きいヘッド後方部6と、からなる。また、ヘッド本体5のヒール側には、シャフト11(図7参照)を挿入接着するためのシャフト穴12が設けられている。なおヘッド本体5とヘッド後方部6との接合は、圧入、かしめ、接着、溶接等の公知の手法によりなされている。
また、本体前方部5aの下面全面は平面であり、本体後方部5bの下面の一部も本体前方部5aの下面全面と同一平面を構成し、この同一平面がソール面4を構成している。ただし、本体後方部5bの下面は全面が平面ではなく、そのフェース・バック方向中間位置からバック側にいくにつれて上方に上がる傾斜面5b1を有している(図1(b)参照)。この傾斜面5b1は、本体後方部5bのバック側端部まで至っている。
このように、フェース面2に平行な断面における断面積が本体前方部5aよりも小さい本体後方部5bをヘッド本体5に設けることで、ヘッド重量を過度に重くすることなくフェース面2とヘッド後方部6とのフェース・バック方向距離が長くされている。よって、このヘッド後方部6のバック側端部に装着されたヘッド後方部6と相まって、慣性モーメント及び重心深度の増大が図られている。
具体的には、境界部Kにおいて、ヘッド後方部6は、本体後方部5bのバック側端部に対してトウ・ヒール方向及び/又は上下方向に張り出した張り出し部を有している。さらに具体的には、ヘッド後方部6は、本体後方部5bのバック側端部に対してトウ・ヒール方向に張り出したトウ張り出し部6t及びヒール張り出し部6h(図1(a)参照)と、本体後方部5bのバック側端部に対して上下方向下側に張り出した下方張り出し部6s(図1(b)参照)と、を有している。
この場合、領域R1の面積S1は、フェース面2に平行な断面による本体後方部5bのバック側端部における断面積に等しい。また、領域R2の面積S2は、フェース面2に平行な断面によるヘッド後方部6(バック側の曲面部分を除く部分)の断面積に等しい。
そして、(S2/S1)の値は1.1以上2.0以下とされている。
なお、上述した図1(c)及び後述する図2(c)、図3(c)、図4(c)は、いずれもヘッドをバック側から見た図であるが、上述した領域R1及びR2を透視的に示している。
また、この張り出し面積は、15cm2以下が好ましく、10cm2以下が更に好ましく、4cm2以下が特に好ましい。この張り出し面積が大きすぎると、ヘッド後方部6が大きくなりすぎてヘッドのバランスが悪くなり、ストロークが不安定となる場合があるからである。本実施形態では、上記フェース側面6aとフェース面2とがほぼ平行であるから、張り出し面積は上述した面積S2から面積S1を引いた値にほぼ等しくなっている。
つまり、このフェース側面6aが本体後方部5bとヘッド後方部6との境界面(以下、単に境界面ともいう)となっている。ヘッド1では、ヘッド後方部6のフェース側面6a(即ち境界面)とフェース面2とは、略平行であるものの完全に平行ではない。
即ちヘッド1には4度程度のリアルロフトがあるためフェース面2とシャフト穴の軸線とは平行ではない一方で、ヘッド後方部6のフェース側面6aはシャフト穴の軸線に平行とされているため、本体後方部5bとヘッド後方部6との境界面はフェース面2に対して僅かに傾斜していることになる。また、このような場合とは別に、本体後方部5bとヘッド後方部6との境界部分に凹凸嵌合部等がある場合も、本体後方部5bとヘッド後方部6との境界面がフェース面2と平行にならない。以上のような場合、フェース面2に平行な断面と境界面とが一致しないが、このような場合、境界部Kにおけるフェース面2に平行な断面の断面積S1,S2は、以下のように定めうる。
また、断面積S2は、フェース面2と平行な面によるヘッド後方部6の断面のうち、本体後方部5bの断面を含まず且つ本体後方部5bとヘッド後方部6との境界面に最も近い位置(フェース・バック方向位置)における断面(以下、ヘッド後方部6の境界近傍断面ともいう)の断面積としうる。
そして、上述した長さL1及び長さH1は、上記のように定めた本体後方部5bの境界近傍断面における長さとすることができ、長さL2及び長さH2は、上記のように定めたヘッド後方部6の境界近傍断面における長さとすることができる。
更に、境界部Kにおける本体後方部5bの上下方向長さをH1とし、境界部Kにおけるヘッド後方部6の上下方向長さをH2としたとき、(H2/H1)の値は1.1以上2.0以下とされている。
ヘッド本体5とは比重及び素材が異なり、振動特性もヘッド本体5とは異なる各張り出し部6t、6h、6sを設けたので、衝撃吸収性を効果的に高めることができる。また、トウ張り出し部6t及びヒール張り出し部6hを設けたので、特にトウ・ヒール方向に打点がズレた場合に発生するヘッドの振動を効果的に吸収することができる。また、下方張り出し部6sを設けたので、特に上下方向に打点がズレた場合に発生するヘッドの振動を効果的に吸収することができる。
また、ヘッド後方部6とは別に、ヘッド本体5よりも比重の大きな重量物をヘッド1のトウ側やヒール側に設けても良い。この場合は、慣性モーメントを更に高めることができる。
実施例及び比較例のパタークラブを作製して評価することにより、本発明の効果を検証した。
まず、各例のヘッド構成について図面を参照しつつ説明する。
そして、実施例3及び実施例4についても、ヘッド後方部6のトウ・ヒール方向長さ及び上下方向長さを変更した以外は実施例1及び実施例2と同じ仕様のヘッドとしており、実施例3では、長さH1と長さH2を共に15mmとした。
各例の仕様及び評価結果を纏めたのが表1である。
S1,S2,L1,L2,H1,H2,W2の各意味については上述の通りである。
「慣性モーメント」とは、上述した左右方向の慣性モーメントを意味する。
「手にくる衝撃」とは、ハンディキャップが5〜15で且つ年齢が30〜52歳のテスター10名による官能評価の結果である。各テスターが各テストクラブで10球ずつ打球し、手に感じる振動を4段階(◎:ほとんどない、○:すこしある、△:ある、×:かなりある)し、10名で最も多かった評価をそのテストクラブの評価とした。
「ストロークしやすさ」とは、上記10名のテスターが各テストクラブで5球ずつ打球して得られた官能評価である。バックスイングからインパクト直前までにおけるストロークしやすさを各テスターが5点法(最高点が5点、最低点が1点であり、ストロークしやすいものほど点数が高い)により評価し、10名の平均点を四捨五入してそのテストクラブの評価とした。
「ボールのバラツキ」とは、上記10名のテスターが各テストクラブで5ヤード離れたターゲットに10球ずつ打球して得られた官能評価である。ターゲットに対する左右方向及び前後方向のバラツキを総合して5点法(最高点が5点、最低点が1点であり、バラツキが小さいと感じるものほど点数が高い)により評価し、10名の平均点を四捨五入してそのテストクラブの評価とした。
これら3つの評価項目において、実施例は比較例よりも良好な結果が得られた。
2 フェース面
5 ヘッド本体
6 ヘッド後方部
R1 面積S1の領域
R2 面積S2の領域
K 境界部
Claims (4)
- フェース面を有するヘッド本体と、このヘッド本体のバック側に取り付けられ当該ヘット本体よりも比重が大きいヘッド後方部と、を備え、
前記ヘッド本体は、前記フェース面を含むトウ・ヒール方向に長い本体前方部と、この本体前方部のバック側面のトウ・ヒール方向中央位置からバック方向に一体に延びる、フェース・バック方向に長い本体後方部とからなり、
前記本体後方部のバック側の端部に比重が大きい前記ヘッド後方部が取り付けられ、
前記本体後方部と前記ヘッド後方部との境界部におけるフェース面に平行な断面による本体後方部の断面積をS1とし、前記境界部におけるフェース面に平行な断面によるヘッド後方部の断面積をS2としたとき、(S2/S1)の値は1.1以上2.0以下であることを特徴とするパターヘッド。 - フェース面を有するヘッド本体と、このヘッド本体のバック側に取り付けられ当該ヘット本体よりも比重が大きいヘッド後方部と、を備え、
前記ヘッド本体は、前記フェース面を含むトウ・ヒール方向に長い本体前方部と、この本体前方部のバック側面のトウ・ヒール方向中央位置からバック方向に一体に延びる、フェース・バック方向に長い本体後方部とからなり、
前記本体後方部のバック側の端部に比重が大きい前記ヘッド後方部が取り付けられ、
前記本体後方部と前記ヘッド後方部との境界部における本体後方部のトウ・ヒール方向長さをL1とし、前記境界部におけるヘッド後方部のトウ・ヒール方向長さをL2としたとき、(L2/L1)の値は1.1以上2.0以下であることを特徴とするゴルフパターヘッド。 - フェース面を有するヘッド本体と、このヘッド本体のバック側に取り付けられ当該ヘット本体よりも比重が大きいヘッド後方部と、を備え、
前記ヘッド本体は、前記フェース面を含むトウ・ヒール方向に長い本体前方部と、この本体前方部のバック側面のトウ・ヒール方向中央位置からバック方向に一体に延びる、フェース・バック方向に長い本体後方部とからなり、
前記本体後方部のバック側の端部に比重が大きい前記ヘッド後方部が取り付けられ、
前記本体後方部と前記ヘッド後方部との境界部における本体後方部の上下方向長さをH1とし、前記境界部におけるヘッド後方部の上下方向長さをH2としたとき、(H2/H1)の値は1.1以上2.0以下であることを特徴とするゴルフパターヘッド。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフパターヘッドを備えたゴルフパター。
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