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JP4334691B2 - 内視鏡 - Google Patents

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JP4334691B2
JP4334691B2 JP22856599A JP22856599A JP4334691B2 JP 4334691 B2 JP4334691 B2 JP 4334691B2 JP 22856599 A JP22856599 A JP 22856599A JP 22856599 A JP22856599 A JP 22856599A JP 4334691 B2 JP4334691 B2 JP 4334691B2
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崇 大田原
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湾曲用芯材の外周にブレードが被嵌されて成る湾曲管部を挿入部に有する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内視鏡は操作部と長尺な挿入部とを有して成り、挿入部は、操作部側から順次、可撓管部と、湾曲管部と、先端部とが連結されて構成されている。前記湾曲管部は、湾曲用芯材の外周に筒状のブレード(網管)を被嵌し、ブレードの外周に外皮を被嵌して構成されている。この湾曲管部は、例えば、前記操作部に設けられた操作ノブによる操作で操作ワイヤを押し引きすることにより、湾曲されるようになっている。
【0003】
例えば特開平4−357921号公報に開示された技術において、前記ブレードは、その両端部に設けられる固定部とともにブレード部組を構成し、前記固定部を用いて湾曲用芯材や接続管等の固定側部材の外周に着脱自在に固定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平4−357921号公報に開示された技術おいては、湾曲管部よりも先端側にある例えば先端カバー等の外径が、ブレード部組の固定部が固定される固定側部材の外径すなわちブレード部組の固定部の内径よりも大きい場合には、ブレード部組を交換するためにブレード部組を内視鏡の先端側から前記固定側部材に対して被装しようとしても、ブレード部組が先端カバー等の大径部材を通過することができない。すなわち、ブレード部組を固定側部材に組付けることができない。そのため、ブレード部組を交換するためには、内視鏡挿入部を分解するか、あるいは、先端カバーなどの部品を外さなければならない。しかし、先端カバーはレンズ等と接着されているため、先端カバーを外そうとすると、レンズを破損させる虞がある。
【0005】
また、先端カバーなどの部品を外すことなくブレード部組を交換できるように、ブレード部組が固定される固定側部材の外径を先端カバー等の外径よりも大きく設定すると、湾曲管部の外径が非常に太くなり、被検査部位への内視鏡の挿入が困難になったり、患者に苦痛を与えたりする可能性がある。
【0006】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、挿入部の外径を太くすることなく、また、先端カバーを外すことなく、ブレード部組を簡単に交換することができる内視鏡を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、挿入部に湾曲管部を有し、この湾曲管部は、湾曲用芯材と、この湾曲用芯材の外周に被嵌されるブレードを有するブレード部組とを備えてなり、前記ブレード部組の端部の固定部が挿入部の固定側部材に対して着脱自在に固定される内視鏡において、前記ブレード部組の前記固定部にその内径寸法を変化させる手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1〜図8は本発明の第1の実施形態を示している。図1は本実施形態に係る内視鏡とその周辺装置の構成を概略的に示している。図中、1はビデオ式の内視鏡、2は光源装置、3はビデオプロセッサ、4はモニタ、5はVTRデッキ、6はビデオプリンタ、7はビデオディスクである。
【0010】
内視鏡1は体腔内に挿入可能な細長で可撓性を有する挿入部8と、この挿入部8の基端に連接された操作部9と、この操作部9の側面に連接されたユニバーサルコード14とを有する。ユニバーサルコード14の延出先端にはコネクタ装置16が設けられている。挿入部8は基端側から可撓管部11と湾曲管部12と先端部13とが順次配置されて成り、先端部13には後述するノズル56(図6参照)、照明レンズ、撮像ユニット等が配設されている。
【0011】
コネクタ装置16は、光源装置2のコネクタ受け15に接続されるとともに、ケーブル17を介してビデオプロセッサ3に接続される。そして、コネクタ装置16を介して内視鏡1の後述する固体撮像素子の出力信号がビデオプロセッサ3に供給されるとともに、ビデオプロセッサ3で処理された画像がモニタ4に出力され或いはVTRデッキ5に記録され或いはビデオプリンタ6に出力されるようになっている。また、光源装置2の内部に設けられる光源ランプ18からの照明光は、レンズ19を介して、ユニバーサルコード14と操作部12と挿入部11とにわたって延設されたライトガイド(図示せず)に導入され、先端部13に設けられた照明レンズ(図示せず)を介して体腔内の被観察部位へ向けて照射される。
【0012】
また、操作部9には、後述する鉗子チャンネル36(図2参照)に連通する鉗子挿入口部22と、後述する操作ワイヤ46(図2参照)を介して湾曲管部12を遠隔的に湾曲操作するためのアングルノブ21とが設けられている。アングルノブ21にて湾曲管部12を湾曲させることにより、挿入部8の先端部13を被観察部位へ指向させることができる。
【0013】
また、操作部9の手元側端部の前面部分には、送気送水切換え弁の操作ボタン23と吸引切換え弁の操作ボタン24とが並んで設けられている。そして、各操作ボタン23,24を選択的に押圧する操作を行なうことにより、送気、送水または吸引の動作を制御することができる。
【0014】
また、操作部9の手元側端には、裁頭角錐様の略立方体形状に形成されたスイッチボックス25が設けられている。このスイッチボックス25の3つの側面と上(頂)面で形成する取付け面には1個づつ押ボタンが配設されている。各取付け面にそれぞれ個別に設けられた押ボタンを選択的に押圧操作することにより、フリーズ操作、アイリス調整、画像強調、コントラスト調整等の内視鏡観察画像を調整する動作が行なわれる。
【0015】
図2は、先端部13および湾曲管部12の構造を示している。図示のように、挿入部8の長手軸方向に沿って並べた複数の湾曲用駒41を軸ピン45を介して順次枢着することによって、全体として上下左右に湾曲する湾曲用芯材42が構成されている。この湾曲用芯材42の外周には、多数の金属素線(ステンレス鋼線など)を編成して円筒状に構成した伸縮性のブレード43が被嵌されている。ブレード43の外周には外皮44が被覆されている。外皮44の先端は、挿入部8の先端部13を形成する先端部本体31に糸48によって固定されている。また、この固定部位には接着剤49が塗布されている。また、先端部本体31の先端は絶縁性の先端カバー35によって被覆されている。
【0016】
図3に詳しく示されるように、ブレード43の両端には、固定部として例えば金属製の短管からなるリング51,52が接着または半田等の手段で固着されている。そして、このブレード43とリング51,52とによってブレード部組53が構成されている。先端に位置するリング51の外方端部はブレード43の先端から露出しており、この露出部分にはビス等の固定ねじ54が挿入される固定用孔が少なくとも1つ以上設けられている。
【0017】
図2に示すように、ブレード部組53の先端側のリング51は、固定側部材である先端部本体31の基端部の固定位置82の外周に密に被嵌され、その固定用孔に通される固定ねじ54が先端部本体31にねじ込まれることにより先端部本体31に固着される。また、ブレード部組53の基端側のリング52も、例えば湾曲用芯材42の手元側端部外周に同様にして固着される。
【0018】
また、挿入部8内には、湾曲管部12を湾曲操作するための複数の操作ワイヤ46が配設されている。各操作ワイヤ46は、可撓管部11の内部においては密巻きコイルからなるワイヤガイドによって案内され、湾曲管部12内においては湾曲用駒41の内面に設けられたワイヤガイド47によって案内される。各操作ワイヤ46の先端は、最先端の湾曲用駒41aにろう付け固定されている。
【0019】
また、先端部13を形成する先端部本体31には、レンズ枠33によって保持された対物レンズ32、固体撮像素子を有する撮像ユニット部34、鉗子チャンネル36等が設けられている。鉗子チャンネル36はチャンネルチューブ39によって構成されており、チャンネルチューブ39の先端は先端部本体31に固着された接続パイプ37に接続されている。なお、接続パイプ37は、先端部本体31に形成された貫通孔38内に嵌入されている。
【0020】
図2に示されるように、ブレード部組53の先端側のリング51が固定される先端部本体31の固定位置82における外径はdに設定されている。また、固定位置82よりも先端側の最大径すなわち先端カバー35の外径はD(>d)に設定されている。また、ブレード部組53の手元側のリング52が固定される湾曲用芯材42の手元側端部の外径もdに設定されている。また、湾曲用芯材42の外径は、先端部本体31に固定される一端部およびリング52が接続される他端部を除いて、d以下に設定されている。
【0021】
図3に示されるように、ブレード部組53のリング51,52は、その円周方向の一部が切り離されている。すなわち、リング51,52には、その軸方向の全長にわたって延びるスリット62が形成されている。
【0022】
リング51,52は、ブレード43に固着されていない単体の状態では、図4の(a)に示すように、その内径がd1(=d)となる。また、リング51,52は、図4の(b)に示されるようにその内径が広げられた状態で、ブレード43と組み合わされる。すなわち、リング51,52にブレード43を固着させる場合には、まず、外径がd2(>D>d)の芯棒を用意し、この芯棒の外周にリング51、52を広げて被せる。次に、このように内径がd2まで広げられた状態のリング51,52の上からブレード43を被せる。そして、最後に、周方向の所定の範囲Aすなわちスリット62の両側に位置するリング51,52の両端部を除いて、リング51,52とブレード43とを半田等で固着させる。
【0023】
また、ブレード43が固着されたリング51,52(ブレード部組53)は、図4の(c)に示されるようにその内径がd2からd3(=d1)まで縮小された状態で、内視鏡1に組付け固定される。具体的には、リング51は、これが固定される先端部本体31の固定位置82における外径dに合わせて内径がd2からd3(=d1=d)まで縮小され、その縮小状態で先端部本体31の固定位置82にネジ54により固定される。なお、この固定に際し、リング51は、スリット62が形成された部位を含む範囲Aが固着されていないため、容易にその内径を縮小することができる。無論、リング51の径が縮小すると、ブレード43は図4の(c)に示されるようにスリット62が形成された部位で弛んだ状態となる。また、基端側のリング52もリング51と同様にして取り付けられる
図2に示されるように、最先端の湾曲駒41aは、先端部本体31の嵌合部81に嵌合された状態で図示しないネジにより固定される。この場合、湾曲駒41(41a)の外径は、ブレード部組53のリング51が固定される先端部本体31の固定位置82の外径dと略同一に設定されるが、湾曲駒41は、バイプ材を加工して成形するため、嵌合部81に嵌合される部位の内径の寸法公差とバイプ材の肉厚の寸法公差とが積算されることにより、外径の最大と最小の差が大きくなってしまう。そのため、嵌合部81に被嵌された湾曲駒41aの外周にリング51をネジ54によって固定しようとすると、リング51と湾曲駒41aとの間にクリアランス83が生じる可能性があり、リング51が歪んで取付く場合がある。また、このようにリング51が歪んで取付くと、リング51の先端までブレード43が被覆されていないため、薄肉の金属であるリング51の先端がエッジとなって弾性ゴム等からなる外皮44の内面を傷付けてしまう虞もある。そこで、本実施形態では、こうした問題を回避するため、先端部本体31の固定位置82すなわち湾曲駒41aから先端側にずれた位置(外径寸法精度を高くできる位置)でリング51が固定されている。
【0024】
図6は先端部13のノズル取り付け部を示している。図示のように、ノズル56は金属パイプを曲げ加工して形成されている。また、曲げ加工を行なう前に、金属パイプの内面にフッ素樹脂含有無電解ニッケルメッキが施してある。フッ素樹脂を含有しているため、撥水性が高く、汚物や水滴が付きにくく、また、ノズル56の詰まりを防ぐことができる。
【0025】
先端部本体31と先端カバー35の前面にはそれぞれノズル用孔63,64が設けられ、これらの孔63,64にはノズル56が嵌装されている。また、先端部本体31と先端カバー35の側面にはそれぞれネジ穴65と貫通孔66とが設けられている。貫通孔66はネジ穴65に連通し、ネジ穴65はノズル用孔63に連通している。
【0026】
ノズル56は、その先端が洗浄対象である対物レンズ32に向けられるようにノズル用孔63,64内に嵌入されるとともに、ネジ穴65にねじ込まれたネジ57の先端によってその基端部周面が押し付けられて変形されることにより固定される。したがって、ノズル56は、ネジ57によって軸方向の移動および回転が規制される。
【0027】
なお、ネジ穴65および貫通孔66には、ネジ57の抜けを防止するために、接着剤58が充填される。また、先端部13の先端面におけるノズル56の周囲には、汚物等が溜まる隙間を設けないように、接着剤67が充填される。。
【0028】
図7は,内視鏡1の鉗子挿入口部22とこれに装着した鉗子栓112とを示している。また、図8は、鉗子栓112にコイルシースの鉗子121を挿通した状態を示している。
【0029】
図7に示されるように、鉗子栓112の本体113の側部には側部口114が形成されており、この側部口114には口金115が取り付けられている。口金115の接続端部118はルアー形状に形成されており、接続端部118に例えばシリンジ119を接続することができるようになっている。鉗子栓112の蓋部116にはスリット117が設けられており、蓋部116の手前側には、挿入部8の鉗子チャンネル36内に挿通される鉗子121を被覆するためのチューブ120(薄肉のシリコン等からなる)が一体に設けられている。
【0030】
なお、鉗子121をチューブ120内に挿通する時には、その挿通を容易にするために、チューブ120を図7に示されるように弛ませてその全長を縮小させる。また、シリンジ119を介して挿入部8内に水を供給する送水時には、鉗子121からの水漏れを防止するために、図8に示されるようにチューブ120を伸ばして鉗子121に密着させる。図8に示されるように、鉗子121を鉗子栓112の本体113に挿通してシリンジ119により送水を行なう場合、鉗子121がコイルシースから構成されていると、コイルの隙間から内部に浸入した水がコイルシースを管路として逆流する場合がある。こうした場合に何ら対策を講じていないと、コイルシースを曲げた際に、鉗子挿入口部22よりも手前側で、コイルの隙間から逆流した水がこぼれて患者やベッドなどの周囲を濡らしてしまうことがある。しかし、本実施形態の構成では、チューブ120が鉗子121に密着されてあるため、鉗子121を曲げた時に生じる隙間からの水漏れはない。
【0031】
シリンジ119を口金115に取り付ける際の力によって鉗子栓112の本体113が鉗子挿入口部22から外れないように、鉗子栓112の本体113には、図8に示されるように、輪状の保持部材122が設けられている。この保持部材122は、その輪の内側に挿入部8および操作部9を挿通させることにより、鉗子栓112の本体113を鉗子挿入口部22に保持する。
【0032】
次に、ブレード部組53を内視鏡1に組み付ける場合について説明する。
【0033】
まず、図5の(a)に示されるように、スリット62によって切り離されたリング51,52の両端部の少なくとも一方の角部61の内面に瞬間接着剤や半田などを点付けし、湾曲用芯材42にブレード部組53を予め仮固定した部組を作る。次に、この部組の内側に、処置具挿通用チャンネル36、撮像ユニット部34に接続されたケーブル(図示せず)、ライトガイドファイバー(図示せず)、送気送水用チューブ(図示せず)などの内蔵物を通して組立てる。続いて、リング51,52のスリット62に工具を差し込んで仮固定を外し、リング51,52を固定側部材である先端部本体31および湾曲用芯材42の基端部にネジ54により固定する。この場合、リング51,52は、前述したようにスリット62によって切り離された両端部同士が突き当たるまでその内径を縮めることができる(d1,d3よりも小さい内径まで縮めることができる)ため、固定側部材に対して容易に取り付く。
【0034】
このような組立手順(言い換えれば、湾曲管部とブレードとに同時に内蔵物を通して組立て可能なこと)は、ブレード交換ができない湾曲管部を備えた内視鏡も含めて全て統一されることが望ましい。本構成では、仮固定およびその取り外しが容易に行なえるため、ブレード交換ができない湾曲管部を備えた従来の内視鏡と同様の組立てが行なえる。
【0035】
なお、前記仮固定は、角部61を用いて行なわなくても良い。すなわち、図5の(b)に示されるように、リング51に凸部68を設け、この凸部68の内面に瞬間接着剤や半田等を点付けして行なっても良い。この場合、リング51と湾曲駒41aとの間の固着されていない隙間69に工具を差し込めば、仮固定を容易に取り外すことができる。
【0036】
一方、内視鏡の修理時に外皮44を外した際、ブレード43が損傷していた場合には、ネジ54を取り外してブレード部組53を交換する必要がある。本実施形態の場合、リング51,52の内径を先端カバー35の外径D以上まで(最大d2まで)広げることができるとともに、リング51,52間に位置するブレード43の内径をd2以上に広げることができるため、ブレード部組53の交換作業は非常に容易である。すなわち、リング51,52の内径を先端カバー35を乗り越えられるD以上まで広げて、ブレード部組53を先端側に抜き取れば良い。
【0037】
また、新しいブレード部組53を取り付ける場合にも、同様にして、リング51,52の内径をD以上に広げて、リング51,52を先端カバー35に通し、ブレード部組53を湾曲用芯材42に被せてネジ54にて取り付ければ良い。なお、このような交換作業は、リング51,52の内径をd2に保持し得る工具を使用することにより、さらに容易となる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡1は、ブレード部組53の固定部であるリング51,52にその内径寸法を変化させる手段が設けられている。すなわち、リング51,52にスリット62が設けられ、リング51,52とブレード43は、その一部に、互いに固着されていない部分Aを有する。したがって、リング51,52の内径を容易に拡縮することができるため、挿入部8の外径を太くすることなく、また、先端カバー35を外すことなく、ブレード部組53を簡単に交換することができる。
【0039】
図9〜図13は本発明の第2の実施形態を示している。なお、本実施形態において第1の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図9は挿入部8の先端部13付近の断面構造を示している。また、図10は本実施形態に係るブレード部組71を示している。図10に示されるように、ブレード部組71は、弾性を有する樹脂製のリング72,73が樹脂製のブレード70の両端に弾性接着剤等によって固着されることにより構成されている。第1の実施形態と同様、リング72,73にはその円周方向の一部を切り離すようにスリット62が形成されている。
【0041】
図9に示されるように、ブレード部組71の先端側のリング72が固定される先端部本体31の固定位置における外径はd’(<d)に設定されている。また、この固定位置よりも先端側の最大径すなわち先端カバー35の外径はD(>d’)に設定されている。また、先端部本体31の前記固定位置に嵌着される湾曲駒41aの内径もd’に設定されている。また、ブレード部組71の手元側のリング73が固定される湾曲用芯材42の手元側端部の外径はdに設定されている。また、湾曲用芯材42の外径は、先端部本体31に固定される一端部およびリング73が接続される他端部を除いて、d以下に設定されている。
【0042】
リング72,73は、ブレード70に固着されていない単体の状態では、図11の(a)に示すように、その内径がd1’(=d’)となる。また、リング72,73は、図11の(b)に示されるようにその内径が広げられた状態で、ブレード70と組み合わされる。すなわち、リング72,73にブレード70を固着させる場合には、まず、外径がd2’(>D>d’)の芯棒を用意し、この芯棒の外周にリング72、73を広げて被せる。次に、このように内径がd2’まで広げられた状態のリング72,73の上からブレード70を被せる。そして、最後に、周方向の所定の範囲Bすなわちスリット62の両側に位置するリング72,73の両端部を除いて、リング72,73とブレード70とを半田等で固着させる。この状態で、芯棒を抜くと、図11の(c)に示されるように、リング72,73はその弾性によって内径が元のd1’(=d3’)に戻る(無論、この場合、ブレード70はスリット62が形成された部位で弛んだ状態となる)。この内径d1’は湾曲用芯材42(湾曲駒41a)の内径d’と同一である。したがって、ブレード部組71を内視鏡1に組付ける場合、リング72は、湾曲用芯材42に被せられず、図9に示されるように湾曲駒41aよりも先端側の位置で固定される。この場合、リング72の軸方向の移動は、湾曲駒41aの先端と先端部本体31の段差74とによって規制される。また、リング72の径方向の移動は外皮44の被着によって規制される。
【0043】
なお、リング72,73とブレード70は、型により一体的に成形したものでも良い。一体的に成形すれば、半田や接着などの作業が不要になり、安価に作ることができる。
【0044】
図12は先端部13のノズル取り付け部を示している。図示のように、ノズル56の直線部の外周には樹脂製の絶縁リング75が被嵌されている。ノズル56は、その先端が洗浄対象である対物レンズ32に向けられるようにノズル用孔63,64内に嵌入されるとともに、ネジ穴65にねじ込まれたネジ57の先端によって絶縁リング75が押し付けられて(ネジ57が食い込んで)変形されることにより固定される。したがって、ノズル56は、ネジ57によって軸方向の移動および回転が規制される。
【0045】
図13は、内視鏡1の鉗子挿入口部22とこれに装着される鉗子口分岐アダプタ124とを示している。図示のように、鉗子口分岐アダプタ124のアダプタ本体126には、アダプタ本体126内で合流する2つの鉗子挿入孔127,128が別々に形成されている。アダプタ本体126は鉗子挿入口部22に止めネジ125で固定されている。これにより、二つの鉗子挿入孔127,128が鉗子チャンネル36に連通される。なお、鉗子口分岐アダプタ124は、鉗子挿入口部22に着脱できるため、新しい内視鏡を購入せずに従来の内視鏡に使用することも可能である。
【0046】
2つの鉗子挿入孔127,128に連通するアダプタ本体126の手元側の各口部にはそれぞれ鉗子栓129,130が装着されている。したがって、2つの鉗子栓129,130から鉗子や高周波処置具などを同時に挿入して複雑な処置を行なうことができる。また、鉗子栓130の蓋部131には筒部132が設けられ、筒部132の側部には側部口133が形成されている。また、側部口133には口金134が取り付けられている。また、筒部132は、側部口133より手元側で曲がっている。口金134にはチューブ135が取付けられ、チューブ135の他端は漏れ出した水を回収する回収部としての吸引器(図示せず)に接続されている。なお、回収部は、吸引器でなく、回収用の容器や風船状の袋などであっても良い。
【0047】
図13に示されるように、鉗子121を蓋部131に挿通して、シリンジ119などを用いて鉗子栓129から送水を行なう場合、鉗子121がコイルシースから構成されていると、コイルの隙間から内部に浸入した水がコイルシースを管路として逆流する場合がある。こうした場合に何ら対策を講じていないと、コイルシースを曲げた際に、鉗子挿入口部22よりも手前側で、コイルの隙間から逆流した水がこぼれて患者やベッドなどの周囲を濡らしてしまうことがある。しかし、本実施形態の構成では、チューブ135に接続された吸引器よって水が吸引されるため、鉗子121を曲げた時に生じる隙間からの水漏れはない。
【0048】
以上説明した本実施形態において、ブレード部組71は、リング72,73の内径を弾性的に拡縮することにより、第1の実施形態と同様にして内視鏡1に対して着脱される。この場合、リング72,73の内径は最大d2’まで広がることができ、また、所定の範囲Bでは固着されていないブレード70が弛むことができ、また、リング72,73は、スリット62によって切り離された両端部同士が突き当たるまでその内径を縮めることができる(d1’,d3’よりも小さい内径まで縮めることができる)。第1の実施形態と異なる本実施形態の有利な点は、ネジ54などの固定用部材が不要である点と、リング72を湾曲用芯材42に被嵌して固定しないため、挿入部8の外径を細くできる点である。
【0049】
図14および図15は本発明の第3の実施形態を示している。なお、本実施形態において第1の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図14は本実施形態に係るブレード部組85を示している。このブレード部組85は、金属製のブレード86の両端部に半田を付着(固着)させることにより形成される。具体的には、半田が固着しにくい材質からなり且つ先端カバー35の外径Dよりも大きい外径に設定された芯金(例えばアルミニウム製)を用意するとともに、この芯金の外周に金属製のブレード86を被せる。そして、ブレード86の先端側と基端側とに半田を固着させて固定部87を形成する。この場合、半田付けは、図14に示されるように、周方向のFの範囲を除く長手方向の長さEにわたって行なわれる。
【0051】
このような構成のブレード部組85の固定部87は、その内径がD以上まで広がることができる。また、ブレード86は固着されていないFの範囲で弛むことができる。したがって、固定部87は、固着した部分が突き当たるまでその径を縮めることができる。
【0052】
内視鏡の修理時において外皮44を外した時に、ブレード86が損傷している場合には、ブレード部組85の内径をD以上まで広げ、先端カバー35を外すことなくブレード部組85を先端側に抜き取れば良い。また、新しいブレード部組85を取り付ける時には、ブレード部組85の内径をD以上に広げて、先端カバー35を通し、ブレード部組85を湾曲用芯材42に被せて固定すれば良い。第1および第2の実施形態と異なる本実施形態の有利な点は、リングをブレードにを被嵌して固定する必要がないため、挿入部8の外径をより細くでき、また、安価に製造できる点である。
【0053】
図15は本実施形態における内視鏡1の鉗子挿入口部22を示している。図示のように、鉗子挿入口部22および外装部材138の側部にはそれぞれ側部口139,140が設けられており、これらの側部口139,140には口金141が取り付けられている。この取付け状態において、口金141は鉗子チャンネル36に連通される。口金141が嵌合される側部口139の内面部位には溝142が形成されており、この溝142にはOリング143が配設されている。したがって、口金141における水密が確保される。
【0054】
側部口140と口金141は対応したねじ部を有しており、ねじ部に接着剤を塗布して螺合することにより両者が水密的に固定される。口金141の外端はルアー形状に形成されており、例えばシリンジ119を接続することができるようになっている。また、鉗子挿入口部22には鉗子栓145が取り付けられ、鉗子栓145の蓋部146には第1の実施形態と同様にチューブ120が一体に取り付けられている。また、口金141にシリンジ119などを接続しない時には、図示しないキャップが口金141に取り付けられる。これにより、水の逆流が防止される。
【0055】
なお、以上説明してきた技術内容によれば、以下に示すような各種の構成が得られる。
【0056】
1.挿入部に湾曲管部を有し、この湾曲管部は、湾曲用芯材と、この湾曲用芯材の外周に被嵌するブレード部組とを備えてなり、上記ブレード部組は、ブレードの端部を上記湾曲用芯材に対して着脱自在に固定するようにした内視鏡において、
上記ブレード部組の固定部に内径方向寸法を変化させる手段を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0057】
2.上記ブレード部組の固定部の内径寸法は、ブレード部組を固定する固定位置の外径と略同径から、湾曲管部より先端側の最大外径以上まで変化することを特徴とする第1項に記載の内視鏡。
3.上記内径方向寸法を変化させる手段は、上記ブレード部組の固定部とブレードとがその円周方向の少なくとも一部で固着されていないことによって達成されることを特徴とする第1項または第2項に記載の内視鏡。
【0058】
4.上記ブレード部組の固定部が、円周方向の少なくとも一部が切り離された取り付け用部材にブレードを取り付けて形成したことを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の内視鏡。
5.挿入部の処置具挿通用チャンネル(鉗子チャンネル)の挿入側口部に対して着脱自在に取り付けられる内視鏡用鉗子栓と、処置具を挿通した状態で上記処置具挿通用チャンネルへ送水を行なう送水手段とを備えた内視鏡において、
上記鉗子栓の逆流防止部材よりも手元側に、処置具のシース部を被嵌する部材を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0059】
6.上記被嵌する部材が伸縮性のチューブであることを特徴とする第5項に記載の内視鏡。
【0060】
7.上記被嵌する部材の側部に開口部を設けたことを特徴とする第5項に記載の内視鏡。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内視鏡によれば、挿入部の外径を太くすることなく、また、先端カバーを外すことなく、ブレード部組を簡単に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡を備えたシステムの概略構成図である。
【図2】図1に示された内視鏡の先端側の断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るブレード部組の斜視図である。
【図4】(a)はブレード部組を構成するリングの断面図、(b)は(a)のリングにブレードが固着されたブレード部組の断面図、(c)は(b)のブレード部組を内視鏡の固定側部材に取り付ける際の形状を示す断面図である。
【図5】ブレード部組と湾曲用芯材とからなる部組の斜視図である。
【図6】図1の内視鏡の先端部のノズル取付け部の断面図である。
【図7】図1の内視鏡の操作部に設けられた鉗子挿入口部の断面図である。
【図8】図7の鉗子挿入口部の側面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る内視鏡の先端側の断面図である。
【図10】第2の実施形態に係るブレード部組の斜視図である。
【図11】(a)はブレード部組を構成するリングの断面図、(b)は(a)のリングにブレードを固着する際のブレード部組の断面図、(c)はブレード部組の断面図である。
【図12】図9の内視鏡の先端部のノズル取付け部の断面図である。
【図13】図9の内視鏡の操作部に設けられた鉗子挿入口部の断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るブレード部組の斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る内視鏡の操作部に設けられた鉗子挿入口部の断面図である。
【符号の説明】
1…内視鏡
8…挿入部
12…湾曲管部
31…先端部本体(固定側部材)
51,52,72,73…リング(固定部)
53,71,85…ブレード部組
62…スリット
87…固定部

Claims (1)

  1. 挿入部に湾曲管部を有し、この湾曲管部は、湾曲用芯材と、この湾曲用芯材の外周に被嵌されるブレードを有するブレード部組とを備えてなり、前記ブレード部組の端部の固定部が挿入部の固定側部材に対して着脱自在に固定される内視鏡において、
    前記ブレード部組の前記固定部にその内径寸法を変化させる手段が設けられていることを特徴とする内視鏡。
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