上述した第1および第2の従来技術については、共に、以下のような問題がある。
補機バッテリ充電用のDC−DCコンバータは、高電圧バッテリに接続されるため、スイッチング素子の耐電圧が高いものが必要となる。一般にスイッチング素子の抵抗成分は耐電圧に比例して大きくなるため、DC−DCコンバータにおける損失が大きくなり効率低下を招く。また、その損失による発熱量も大きくなるため、冷却系統も大型になる。また、これらのような高電圧系と低電圧系の電気系統が混在する電気自動車システムにおいては、低電圧系で使用される機器の過電圧レベルを超えないようにするためや感電の危険性を最小限にする必要があるため、高電圧系と低電圧系は電気的に絶縁する必要がある。従って、従来の電気自動車システムにおけるDC−DCコンバータは上記目的を達成するために、サイズ、重量が大きな高周波トランスによって、高電圧系と低電圧系とを絶縁している。このため、高電圧バッテリの高電圧直流源から直接低電圧直流源に変換できず、その間に一端高周波電圧源に変換する必要があるため、その段階における変換損失も存在する。
以上のように、第1および第2の従来技術で述べた電気自動車システムにおいては、絶縁型のDC−DCコンバータが必要となるため、損失が大きくなり、装置全体としてサイズ、重量が大きくなるだけでなく、価格も高価になる。電気自動車は搭載スペースが限られるだけでなく、コストダウン要求が非常に強いため、このような絶縁型DC−DCコンバータの搭載は不利となる。
本発明は、それぞれが絶縁された2つ以上の異なる電圧により、電動機および発電機として機能する発電電動機を使用することにより、補機バッテリを充電するための上記のような絶縁型DC−DCコンバータを小型、軽量、安価な非絶縁型AC−DCコンバータとすることにより、上記問題を解決する電気自動車システムを提供することを目的としている。
前記課題を解決するために、本発明の電気自動車システムは、絶縁された2つ以上の異なる電圧により、電動機および発電機として機能する発電電動機と、前記発電電動機に接続され、動力を伝達する動力伝達機構と、前記発電電動機の第1の端子に接続され、前記発電電動機を電動機として機能させる場合は第1の端子に交流電圧を印加するインバータ、発電機として機能させる場合は第1の端子から発電された電力を整流するコンバータとして動作する第1の電力変換装置と、前記発電電動機の第2の端子に接続され、前記発電電動機を電動機として機能させる場合は第2の端子に交流電圧を印加するインバータ、発電機として機能させる場合は第2の端子から発電された電力を整流するコンバータとして動作する第2の電力変換装置と、前記第1の電力変換装置に接続され、電力を発生させることができる電力発生装置と、前記電力発生装置と前記第1の電力変換装置の間に接続される第3の電力変換装置と、前記第3の電力変換装置に接続される第1の蓄電装置と、前記第2の電力変換装置に接続される第2の蓄電装置と、前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置の蓄電量に基づいて前記動力伝達機構と前記第1の電力変換装置と前記第2の電力変換装置と前記第3の電力変換装置を制御する制御部とを備える。
また、本発明の電気自動車システムは、絶縁された2つ以上の異なる電圧により、電動機および発電機として機能する発電電動機と、前記発電電動機に接続され、動力を伝達する動力伝達機構と、前記発電電動機の第1の端子に接続され、前記発電電動機を電動機として機能させる場合は第1の端子に交流電圧を印加するインバータ、発電機として機能させる場合は第1の端子から発電された電力を整流するコンバータとして動作する第1の電力変換装置と、前記発電電動機の第2の端子に接続され、前記発電電動機を発電機として機能させる場合は第2の端子から発電された電力を整流するコンバータとしてのみ動作する第2の電力変換装置と、前記第1の電力変換装置に接続され、電力を発生させることができる電力発生装置と、前記電力発生装置と前記第1の電力変換装置の間に接続される第3の電力変換装置と、前記第3の電力変換装置に接続される第1の蓄電装置と、前記第2の電力変換装置に接続される第2の蓄電装置と、前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置の蓄電量に基づいて前記動力伝達機構と前記第1の電力変換装置と前記第3の電力変換装置を制御する制御部とを備える。
本発明の電気自動車システムにおいて、前記制御部は、前記第1の蓄電装置の蓄電量が第1の所定の蓄電量以上の場合、前記第1の電力変換装置は前記第1の蓄電装置の直流電圧を交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記第1の電力変換装置を制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が第1の所定の蓄電量以上の場合、前記第2の電力変換装置は前記第2の蓄電装置の直流電圧を交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記第2の電力変換装置を制御する。
また、前記制御部は、前記第1と第2の蓄電装置の蓄電量がともに第1の所定の蓄電量以上の場合、前記第1と第2の電力変換装置は前記第1と第2の蓄電装置の直流電圧をそれぞれ交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記第1と第2の電力変換装置を制御する。
また、前記制御部は、前記電力発生装置において発生した直流電圧を、前記第1の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記電力発生装置を制御する。
また、前記制御部は、前記電力発生装置において発生した直流電圧を、前記第1の電力変換装置に入力するとともに、前記第1の蓄電装置の直流電圧を前記第3の電力変換装置により調節し前記第1の電力変換装置に入力し、双方からの入力を第1の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記電力発生装置または前記第1の電力変換装置または前記第3の電力変換装置またはそれら全てを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記電力発生装置において発生した直流電圧を、前記第1の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記第2の蓄電装置の直流電圧を前記第2の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記電力発生装置または前記第2の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記電力発生装置において発生した直流電圧を、前記第1の電力変換装置に入力するとともに、前記第1の蓄電装置の直流電圧を前記第3の電力変換装置により調節し前記第1の電力変換装置に入力し、双方からの入力を前記第1の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記第2の蓄電装置の直流電圧を前記第2の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記動力伝達機構を介して車両の駆動力とするように前記電力発生装置または前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が第1の所定の蓄電量以下の場合、前記第1の電力変換装置により前記第1の蓄電装置の直流電圧を交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記第2の端子から発電される電力が前記第2の電力変換装置により直流に変換され、前記第2の蓄電装置を充電するように前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置または前記動力伝達機構またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置の蓄電量が第1の所定の蓄電量以下の場合、前記第2の電力変換装置により前記第2の蓄電装置の直流電圧を交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、第1の端子から発電される電力が前記第1の電力変換装置により直流に変換され、第1の蓄電装置を充電するように前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置または前記動力伝達機構またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置の蓄電量が第1の所定の蓄電量以下の場合、前記電力発生装置により電力を発生させ、前記第3の電力変換装置に入力し、前記第1の蓄電装置を充電するように前記電力発生装置または前記第3の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が第1の所定の蓄電量以下の場合、前記電力発生装置により電力を発生させ、前記第1の電力変換装置により交流電圧に変換し、前記発電電動機を駆動し、前記第2の端子から発電される電力が前記第2の電力変換装置により直流に変換され、前記第2の蓄電装置を充電するように前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置または前記動力伝達機構またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、減速時には、前記動力伝達機構を介して前記発電電動機に駆動力が伝達され、前記発電電動機により前記第1の端子もしくは前記第2の端子もしくはその両方の端子から電力を発電し、前記第1の電力変換装置もしくは前記第2の電力変換装置もしくはその両方の電力変換装置によりそれぞれ直流に変換し、前記第1の蓄電装置もしくは前記第2の蓄電装置もしくはその両方の蓄電装置に充電するように前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置または前記動力伝達機構またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第1の蓄電装置への充電量を減少させるように前記動力伝達機構を制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第2の蓄電装置への充電量を減少させるように前記動力伝達機構を制御する。前記制御部は、前記第1の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第1の蓄電装置への充電量を減少させるように前記第1の電力変換装置を制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第1の蓄電装置への充電量を減少させるように前記第1の電力変換装置または前記第3の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第2の蓄電装置への充電量を減少させるように前記第2の電力変換装置を制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置の蓄電量が前記第1の所定の蓄電量以上で、かつ前記第2の所定の蓄電量以下である場合には、前記第1の蓄電装置への充電量が、前記蓄電量が小さいときほど多く、大きいときほど小さくするように前記動力伝達機構の伝達量を制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が前記第1の所定の蓄電量以上で、かつ前記第2の所定の蓄電量以下である場合には、前記第2の蓄電装置への充電量が、前記蓄電量が小さいときほど多く、大きいときほど小さくするように前記動力伝達機構の伝達量を制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置の蓄電量が前記第1の所定の蓄電量以上で、かつ前記第2の所定の蓄電量以下である場合には、前記第1の蓄電装置への充電量が、前記蓄電量が小さいときほど多く、大きいときほど小さくするように前記第1の電力変換装置または前記第3の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第1の蓄電装置への充電量を減少させるように前記電力発生装置の出力または前記第3の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第2の蓄電装置への充電量を減少させるように前記電力発生装置の出力または前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第2の蓄電装置装置の蓄電量が第2の所定の蓄電量以上と判定した場合、前記第2の蓄電装置への充電量を減少させるように前記電力発生装置の出力または前記第1の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、前記制御部は、前記第1の蓄電装置の蓄電量が前記第1の所定の蓄電量以上で、かつ前記第2の所定の蓄電量以下である場合には、前記第1の蓄電装置への充電量が、前記蓄電量が小さいときほど多く、大きいときほど小さくするように前記電力発生装置の出力または前記第3の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、本発明の電気自動車システムにおける前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が前記第1の所定の蓄電量以上で、かつ前記第2の所定の蓄電量以下である場合には、前記第2の蓄電装置への充電量が、前記蓄電量が小さいときほど多く、大きいときほど小さくするように前記電力発生装置の出力または前記第1の電力変換装置または前記第2の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
また、本発明の電気自動車システムにおける前記制御部は、前記第2の蓄電装置の蓄電量が前記第1の所定の蓄電量以上で、かつ前記第2の所定の蓄電量以下である場合には、前記第2の蓄電装置への充電量が、前記蓄電量が小さいときほど多く、大きいときほど小さくするように前記電力発生装置の出力または前記第1の電力変換装置またはそれらを協調して制御する。
本発明に係る発電電動機は、絶縁された2つ以上の異なる電圧により、電動機および発電機として機能することができるため、例えば前記電圧が車両駆動用の高電圧と車両の補機駆動用の12Vの低電圧の2電圧とした場合、この発電電動機1つで補機バッテリを充電するためのオルタネータとして機能することができるので、オルタネータの搭載が不要となり、電気自動車の限られたスペースを有効に利用できる。
また、従来技術では車両駆動用の高電圧と車両の補機駆動用の12Vの低電圧が混在する電気自動車であれば、それぞれの電圧系統を絶縁するためにサイズ、重量が大きく、価格も高価な絶縁型のDC−DCコンバータを搭載する必要があったが、本発明の発電電動機は高電圧と低電圧の2つの電圧を絶縁処理して入出力できるため、その搭載が不要となり、ハイブリッド自動車の限られたスペースを有効に利用できる。
また、本発明の発電電動機の入出力電圧が前述のような高電圧と低電圧の2電圧とすると、低電圧側は前述したように発電電動機内で絶縁処理されるため、この端子に接続される電力変換装置はサイズ、重量が小さく、価格も安価な非絶縁型のAC−DCコンバータが使用できる。そのため、それに使用されるスイッチング素子の耐電圧も小さなものを使用できるため、電力損失を低く抑えることができ、それに伴う発熱も抑えることができるため、冷却系統の小型化も可能であり、全体としてのサイズ、重量を小さくできる。
本発明(請求項3)に係る電気自動車システムによれば、従来、補機バッテリ充電用に必要であったオルタネータや絶縁型のDC−DCコンバータを小型、軽量、安価な非絶縁型のAC−DCコンバータ(第2の電力変換装置)にできるため、電気自動車システムの簡略化、小型軽量化、低コスト化が実現できる。また、電力発生装置(燃料電池など)と第1の蓄電装置とを併用するこのような電源システムにおいては、それぞれの電力を適切に使い分けるため、両者の相対的な電圧差を制御する必要があり、これらの間に第3の電力変換装置が必要となる。このような電源システムでは、主として電力発生装置から電力を供給するのが通常であり、第1の蓄電装置は、要求電力に対する電力発生装置の出力応答遅れを補償するのに用いられる。従って、使用頻度の高い電力発生装置側に第3の電力変換装置を設けるのではなく、電力量が比較的小さい第1の蓄電装置側に設けることにより第3の電力変換装置の小型化、ひいては電源システム全体の小型化および高効率化を図ることができる。
本発明(請求項4)に係る電気自動車システムによれば、従来、補機バッテリ充電用に必要であったオルタネータや絶縁型のDC−DCコンバータを小型、軽量、安価な非絶縁型のAC−DCコンバータ(第2の電力変換装置)にできるため、電気自動車システムの簡略化、小型軽量化、低コスト化が実現できる。また、前記第2の電力変換装置は、複雑な制御を必要とせず、非常に簡単な回路となるため、電気自動車システムの簡略化、小型軽量化、低コスト化が実現できる。また、電力発生装置(燃料電池など)と第1の蓄電装置とを併用するこのような電源システムにおいては、それぞれの電力を適切に使い分けるため、両者の相対的な電圧差を制御する必要があり、これらの間に第3の電力変換装置が必要となる。このような電源システムでは、主として電力発生装置から電力を供給するのが通常であり、第1の蓄電装置は、要求電力に対する電力発生装置の出力応答遅れを補償するのに用いられる。従って、使用頻度の高い電力発生装置側に第3の電力変換装置を設けるのではなく、電力量が比較的小さい第1の蓄電装置側に設けることにより第3の電力変換装置の小型化、ひいては電源システム全体の小型化および高効率化を図ることができる。
本発明(請求項5)によれば、故障等で電力発生装置からの電力が得られない場合でも、第1の電力発生装置に蓄電されている電力で走行できる。
本発明(請求項6)によれば、故障等で電力発生装置からの電力が得られない場合でも、第2の蓄電装置に蓄電されている電力で走行できる。
本発明(請求項7)によれば、故障等で電力発生装置からの電力が得られない場合でも、第1の蓄電装置および第2の蓄電装置に蓄電されている電力で走行できる。この時、両蓄電装置に蓄電されている電力が使用できるため、片方の蓄電装置のみを使用した場合よりも大きな駆動力が得られる。
本発明(請求項8)によれば、第1の蓄電装置および第2の蓄電装置に蓄電されている電力を車両の駆動用として使用しないため、両蓄電装置に接続されている負荷への安定した電力供給が可能となる。
本発明(請求項9)によれば、始動時や加速時等の大きな駆動力が必要な場合、電力発生装置の発電電力を第1の蓄電装置でアシストすることが可能となり、駆動力の急増に対応することができる。
本発明(請求項10)によれば、始動時や加速時等の大きな駆動力が必要な場合、電力発生装置の発電電力を第2の蓄電装置でアシストすることが可能となり、駆動力の急増に対応することができる。
本発明(請求項11)によれば、始動時や加速時等の大きな駆動力が必要な場合、電力発生装置の発電電力を第1の蓄電装置および第2の蓄電装置でアシストすることが可能となり、駆動力の急増に対応することができる。この時、両蓄電装置に蓄電されている電力により電力発生装置の発電電力をアシストできるため、片方の蓄電装置のみを使用した場合よりも大きな駆動力が得られる。
本発明(請求項12)によれば、第2の蓄電装置の蓄電量が常に所定の範囲に維持されるため、各種ランプ、オーディオ等の補機類を駆動するために必要な電力を常に確保することができる。
本発明(請求項13、請求項14)によれば、第1の蓄電装置の蓄電量が常に所定の範囲に維持されるため、始動時等の発電電動機のトルクアシストに必要な電力を常に確保することができる。
本発明(請求項15)によれば、第2の蓄電装置の蓄電量が常に所定の範囲に維持されるため、各種ランプ、オーディオ等の補機類を駆動するために必要な電力を常に確保することができる。
本発明(請求項16)によれば、減速時の運動エネルギーを電気エネルギーとして第1または第2またはその両方の蓄電装置に回収できるため、車両全体のエネルギー効率を高めることができる。
本発明(請求項17)によれば、第1の蓄電装置の過充電を防止することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項18)によれば、第2の蓄電装置の過充電を防止することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項20)によれば、第1の蓄電装置の過充電を防止することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項21)によれば、第2の蓄電装置の過充電を防止することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項22)によれば、第1の蓄電装置において、過充電・放電することなく所定範囲の蓄電状態を維持することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項23)によれば、第2の蓄電装置において、過充電・放電することなく所定範囲の蓄電状態を維持することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項25)によれば、第1の蓄電装置において、過充電・放電することなく所定範囲の蓄電状態を維持することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項27)によれば、第1の蓄電装置の過充電を防止することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項28、請求項29)によれば、第2の蓄電装置の過充電を防止することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項30)によれば、第1の蓄電装置において、過充電・放電することなく所定範囲の蓄電状態を維持することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
本発明(請求項31、請求項32)によれば、第2の蓄電装置において、過充電・放電することなく所定範囲の蓄電状態を維持することができるため、蓄電装置の劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における、電気自動車システムの構成を示すブロック図である。図1において、1は動力伝達機構、2は発電電動機、3は第1の電力変換装置、4は第2の電力変換装置、5は第1の蓄電装置(以下、高電圧バッテリと称す)、6は第2の蓄電装置(以下、補機バッテリと称す)、7は制御部である。尚、例えば第1の蓄電装置5には電動エアコンや電動パワーステアリング等、第2の蓄電装置6にはオーディオ、各種ランプ等の負荷(図示しない)が接続されてもよい。
発電電動機2は、高電圧系統に接続される高電圧端子と低電圧系統に接続される低電圧端子を有しており、それぞれの系統は内部で電気的に絶縁されている。従って、それぞれの端子(単独または両方)に交流電圧を印加すると、発電電動機2は電動機として機能し、その軸が回転し駆動力を発生させる。逆に、発電電動機2の軸を動力伝達機構1からの動力により回転させると、発電機として機能し、それぞれの端子(単独または両方)に電力を発生させる。また、高電圧端子に交流電圧を印加し発電電動機2を駆動し、低電圧端子に電力を発生させることも可能であり、その逆も可能である。
第1の電力変換装置3は、発電電動機2の高電圧端子に接続され、この高電圧端子により発電電動機2を電動機として機能させる場合は、高電圧バッテリ5の直流電圧を交流電圧に変換し高電圧端子に印加する。逆に、この高電圧端子により発電電動機2を発電機として機能させた場合は、高電圧端子に発生する交流電圧を直流電圧に変換し高電圧バッテリ5を充電する。
第2の電力変換装置4は、発電電動機2の低電圧端子に接続され、この低電圧端子により発電電動機2を電動機として機能させる場合は、補機バッテリ6の直流電圧を交流電圧に変換し低電圧端子に印加する。逆に、この低電圧端子により発電電動機2を発電機として機能させた場合は、低電圧端子に発生する交流電圧を直流電圧に変換し補機バッテリ6を充電する。
動力伝達機構1は、発電電動機2の軸と車軸が接続され、発電電動機2の動力を車軸に伝達したり、車軸からの動力を発電電動機2の軸に伝達する機能を有する。その伝達量は0から100%まで調整可能である。
図2は、高電圧バッテリ5と補機バッテリ6の蓄電状態について所望の値を示した図である。図2において、SOC1は望ましい蓄電状態の最小値であり、SOC2は望ましい蓄電状態の最大値である。従って、蓄電状態がSOC1とSOC2の間にあれば、所望の蓄電状態、SOC1以下であれば蓄電量が不足した状態、SOC2以上であれば満充電状態と判定される。
以下、動力伝達機構1と第1の電力変換装置3と第2の電力変換装置4の動作を決める制御部7の動作について説明する。
まず、車両の始動時における動作について説明する。制御部7は高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であると判別した場合、走行可能であると判断し、動力伝達機構1は車軸と発電電動機2の軸を連結し、高電圧バッテリ5の直流電圧を第1の電力変換装置3により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を始動させる。また、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上であれば、補機バッテリ6の直流電圧を第2の電力変換装置4により交流電圧に変換し、発電電動機2の低電圧端子に印加することによっても発電電動機2を電動機として機能させ、車両を始動させることもできる。また、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6両方の蓄電状態がSOC1以上であれば、それぞれの直流電圧を第1の電力変換装置3および第2の電力変換装置4により交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子および低電圧端子にそれぞれ印加することによりさらに大きな始動力が得られる。すなわち、始動時のような大きな駆動力が必要な場合、高電圧バッテリ5または補機バッテリ6またはその両方のバッテリからの電力により発電電動機2を駆動することができる。発電電動機2の駆動力はそれぞれの蓄電状態により、第1の電力変換装置3および第2の電力変換装置4が高電圧端子および低電圧端子に印加する交流電圧を制御することにより調整することができる。
次に、車両の走行時における動作について説明する。制御部7は高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であると判別した場合、走行可能であると判断し、動力伝達機構1は車軸と発電電動機2の軸を連結し、高電圧バッテリ5の直流電圧を第1の電力変換装置3により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を走行させる。また、加速時等でさらに駆動力が必要な場合、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上であれば、補機バッテリ6の直流電圧を第2の電力変換装置4により交流電圧に変換し、発電電動機2の低電圧端子に印加することによっても発電電動機2に駆動力を与えることができる。すなわち、加速時のような大きな駆動力が必要な場合、補機バッテリ6からの電力により高電圧バッテリ5による発電電動機2の駆動力をアシストすることができる。発電電動機2の駆動力はそれぞれの蓄電状態により、第1の電力変換装置3および第2の電力変換装置4が高電圧端子および低電圧端子に印加する交流電圧を制御することにより調整する。
次に、車両の停止時における動作について説明する。高電圧バッテリ5と補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上で車両が停止している場合、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6に接続されているエアコン、オーディオ、各種ランプ、各種コントロール装置等の負荷(図示しない)は、高電圧バッテリ5と補機バッテリ7に蓄電されている電力で駆動するため、それぞれのバッテリの蓄電量は徐々に減少していく。
ここでまず、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上かつ、補機バッテリ6がSOC1を下回ったとする。このような場合、本発明の電気自動車システムでは、動力伝達機構1によって車軸と発電電動機2の軸を切り離し、第1の電力変換装置3により高電圧バッテリ5の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電する。すなわち、高電圧バッテリ5の電力を発電電動機2を介して補機バッテリ6に送電することができる。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方は、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
逆に、補機バッテリ6がSOC1以上かつ、高電圧バッテリ5がSOC1を下回った場合、第2の電力変換装置4により補機バッテリ6の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の低電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、高電圧端子に発生する交流電圧を第1の電力変換装置3により直流電圧に変換し高電圧バッテリ5に充電することもできる。すなわち、補機バッテリ6の電力を発電電動機2を介して高電圧バッテリ5に送電することもできる。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方は、高電圧バッテリ5への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、高電圧バッテリ5に蓄電されていた電力により車両が走行しているとする。この時、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以下となった場合、本発明の電気自動車システムでは、この時、発電電動機2の低電圧端子に発生している交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し、補機バッテリ6に充電することもできる。すなわち、この時、高電圧バッテリ5の電力は発電電動機2を電動機として機能させ、車両の駆動力とする電力と、補機バッテリ6の充電に使用される電力に使用されていることになる。この時、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはそれら全てを協調して制御することにより、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。または、蓄電状態に関係なく一定の充電量で充電することも可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはそれら全てを協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、車両の減速時の動作を説明する。減速時において、制御部7が高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、高電圧端子に発生する交流電圧を第1の電力変換装置3により直流電圧に変換し、高電圧バッテリ5に充電することにより運動エネルギーを電気として回収する。この時、動力伝達機構1は、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置3が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置4が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。
また、この時、制御部7が補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し、補機バッテリ6に充電することにより運動エネルギーを電気として回収する。この時、動力伝達機構1は、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第2の電力変換装置4が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第2の電力変換装置4が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。
また、この時、制御部7が両バッテリともにSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、高電圧端子および低電圧端子に発生する交流電圧をそれぞれ第1の電力変換装置3および第2の電力変換装置4によりそれぞれ直流電圧に変換し、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれに充電することにより運動エネルギーを電気として回収することもできる。この時、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれの蓄電状態がSOC1に近いほどそれぞれの充電量が大きくなるよう、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはそれら全てを制御する。また、それぞれのバッテリの蓄電状態がSOC2に達した場合は、動力伝達機構1、第1の電力変換装置3、第2の電力変換装置4によりそれぞれの充電量を減少させるように制御する。
尚、本実施形態では、上記複数の電圧を車両駆動用の高電圧と補機類駆動用の低電圧の2つの電圧により電動機および発電機として機能できるとしたが、いうまでもなく2つ以上の電圧系統にも適用可能であり、例えば車両駆動用の高電圧と、重負荷用の42Vと補機類駆動用の14Vといった複数の電圧系統にも適用できる。
また、第1の蓄電装置5は電気2重層キャパシタのような大容量のコンデンサであってもよい。
また、第1の電力変換装置3には、発電電動機2および高電圧バッテリ5とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。
また、第2の電力変換装置4には、発電電動機2および補機バッテリ6とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における、電気自動車システムの構成を示すブロック図である。図3において、動力伝達機構1、発電電動機2、第1の電力変換装置3、第1の蓄電装置5(以下、高電圧バッテリと称す)、第2の蓄電装置6(以下、補機バッテリと称す)、制御部7は実施の形態1と同様である。第2の電力変換装置8がダイオード整流回路で構成され、電力の流れが発電電動機2から補機バッテリ6への単方向である点が実施の形態1と異なる。尚、例えば第1の蓄電装置5には電動エアコンや電動パワーステアリング等、第2の蓄電装置6にはオーディオ、各種ランプ等の負荷(図示しない)が接続されてもよい。
第2の電力変換装置8は、発電電動機2の低電圧端子に接続され、この低電圧端子に発生する交流電圧を直流電圧に変換し補機バッテリ6を充電する。
以下、動力伝達機構1と第1の電力変換装置3の動作を決める制御部7の動作について説明する。
まず、車両の始動時における動作について説明する。制御部7は高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であると判別した場合、走行可能であると判断し、動力伝達機構1は車軸と発電電動機2の軸を連結し、高電圧バッテリ5の直流電圧を第1の電力変換装置3により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を始動させる。発電電動機2の駆動力は高電圧バッテリ5の蓄電状態により、第1の電力変換装置3が高電圧端子に印加する交流電圧を制御することにより調整することができる。
次に、車両の走行時における動作について説明する。制御部7は高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であると判別した場合、走行可能であると判断し、動力伝達機構1は車軸と発電電動機2の軸を連結し、高電圧バッテリ5の直流電圧を第1の電力変換装置3により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を走行させる。発電電動機2の駆動力は高電圧バッテリ5の蓄電状態により、第1の電力変換装置3が高電圧端子に印加する交流電圧を制御することにより調整することができる。
次に、車両の停止時における動作について説明する。高電圧バッテリ5と補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上で車両が停止している場合、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6に接続されているエアコン、オーディオ、各種ランプ、各種コントロール装置等の負荷(図示しない)は、高電圧バッテリ5と補機バッテリ7に蓄電されている電力で駆動するため、それぞれのバッテリの蓄電量は徐々に減少していく。
ここでまず、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上かつ、補機バッテリ6がSOC1を下回ったとする。このような場合、本発明の電気自動車システムでは、動力伝達機構1によって車軸と発電電動機2の軸を切り離し、第1の電力変換装置3により高電圧バッテリ5の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電する。すなわち、高電圧バッテリ5の電力を発電電動機2を介して補機バッテリ6に送電することができる。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方は、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、高電圧バッテリ5に蓄電されていた電力により車両が走行しているとする。この時、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以下となった場合、本発明の電気自動車システムでは、この時、発電電動機2の低電圧端子に発生している交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し、補機バッテリ6に充電することもできる。すなわち、この時、高電圧バッテリ5の電力は発電電動機2を電動機として機能させ、車両の駆動力とする電力と、補機バッテリ6の充電に使用される電力に使用されていることになる。この時、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3またはそれらを協調して制御することにより、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。または、蓄電状態に関係なく一定の充電量で充電することも可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3またはそれらを協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。また、第2の電力変換装置4により、過充電にならないよう充電量を低減させる。
次に、車両の減速時の動作を説明する。減速時において、制御部7が高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、高電圧端子に発生する交流電圧を第1の電力変換装置3により直流電圧に変換し、高電圧バッテリ5に充電することにより運動エネルギーを電気として回収する。この時、動力伝達機構1は、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置3が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置4が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。
また、この時、制御部7が補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し、補機バッテリ6に充電することにより運動エネルギーを電気として回収する。この時、動力伝達機構1は、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。
また、この時、制御部7が両バッテリともにSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、高電圧端子および低電圧端子に発生する交流電圧をそれぞれ第1の電力変換装置3および第2の電力変換装置4によりそれぞれ直流電圧に変換し、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれに充電することにより運動エネルギーを電気として回収することもできる。この時、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれの蓄電状態がSOC1に近いほどそれぞれの充電量が大きくなるよう、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3またはその両方を制御する。また、それぞれのバッテリの蓄電状態がSOC2に達した場合は、動力伝達機構1、第1の電力変換装置3によりそれぞれの充電量を減少させるように制御する。
尚、本実施形態では、上記複数の電圧を車両駆動用の高電圧と補機類駆動用の低電圧の2つの電圧により電動機および発電機として機能できるとしたが、いうまでもなく2つ以上の電圧系統にも適用可能であり、例えば車両駆動用の高電圧と、重負荷用の42Vと補機類駆動用の14Vといった複数の電圧系統にも適用できる。
また、第1の蓄電装置5は電気2重層キャパシタのような大容量のコンデンサであってもよい。
また、第1の電力変換装置3には、発電電動機2および高電圧バッテリ5とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。
また、第2の電力変換装置4には、発電電動機2および補機バッテリ6とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。この時、それらを制御する信号は制御部7から第2の電力変換装置4へ送られる。
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3における、電気自動車システムの構成を示すブロック図である。図4において、動力伝達機構1、発電電動機2、第1の電力変換装置3、第2の電力変換装置4、第1の蓄電装置5(以下、高電圧バッテリと称す)、第2の蓄電装置6(以下、補機バッテリと称す)、制御部7は実施の形態1と同様である。第3の電力変換装置9、電力発生装置10(以下、燃料電池と称す)が新たに備わった点が実施の形態1と異なる。尚、例えば第1の蓄電装置5には電動エアコンや電動パワーステアリング等、第2の蓄電装置6にはオーディオ、各種ランプ等の負荷(図示しない)が接続されてもよい。
燃料電池10は、燃料として最終的に供給される水素の酸化により発電を行なう装置である。燃料電池10から排出されるのは、水蒸気であり、有害な成分が含まれないため環境性に非常に優れるという利点がある。しかし、燃料電池10は、燃料の酸化反応によって発電するため、発電を開始してから、実際に所望の電力が得られるまでに時間遅れが生じるという短所がある。そこで図4のように、燃料電池10と並列に高電圧バッテリ5を接続することにより燃料電池から所望の電力が得られるまでの過渡期においては、高電圧バッテリ5によって電力の不足分を補償することができる。
図4に示すように、並列に接続された高電圧バッテリ5と燃料電池10の電力を適切に使い分けるためには、両者の相対的な電圧差を制御する必要がある。本実施形態では、この目的から、高電圧バッテリ5と第1の電力変換装置3との間に第3の電力変換装置9が設けられている。第3の電力変換装置9は直流の電圧変換器である。第3の電力変換装置9は、高電圧バッテリ5から入力された直流電圧を調整して第1の電力変換装置3側に出力する機能、燃料電池10または第1の電力変換装置3から入力された直流電圧を調整して高電圧バッテリ5に出力し充電する機能を有する。この第3の電力変換装置9の機能により、高電圧バッテリ5の充放電が実現される。
すなわち、高電圧バッテリ5の充電時には、燃料電池10側を入力、高電圧バッテリ5側を出力とし、かつ、高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧となるよう第3の電力変換装置9の出力電圧を制御する。このような制御を行なうことにより、高電圧バッテリ5の充電を行なうことができる。ここで、高電圧バッテリ5に印加される電圧は、制御部7が満充電と判断するまで一定値でもよいし、充電時の電力に応じて変動させてもよい。
逆に、高電圧バッテリ5の放電時には、燃料電池10側が出力、高電圧バッテリ5側が入力となり、かつ、高電圧バッテリ5の電圧を燃料電池10の出力電圧と同等の電圧値となるように第3の電力変換装置9の出力電圧を制御する。このような制御をおこなうことにより、要求電力に対する燃料電池10の出力応答遅れを高電圧バッテリ5で補償し、安定して電力を出力することが可能となる。
以下、動力伝達機構1と第1の電力変換装置3と第2の電力変換装置4と第3の電力変換装置9と燃料電池10の動作を決める制御部7の動作について説明する。
まず、車両の始動時における動作について説明する。制御部7は高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であると判別した場合、走行可能であると判断し、動力伝達機構1は車軸と発電電動機2の軸を連結するとともに、車両の始動・走行に必要な電力要求が燃料電池10に送られ発電量を増加させる。しかし、前述したように燃料電池10は、発電を開始してから、実際に所望の電力が得られるまでに時間遅れが生じる。この過渡期においては、高電圧バッテリ5の直流電圧を第3の電力変換装置9を介して第1の電力変換装置3に入力し、第1の電力変換装置により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を始動させる。このとき、燃料電池10の発電電力が増加するにつれて、要求される車両の駆動電力を満たしつつ高電圧バッテリ5の放電量を減少させるよう第3の電力変換装置9を制御する。やがて、燃料電池10の発電電力が要求電力に達すると高電圧バッテリ5の放電(車両駆動用に使用されるもの)を停止させるよう第3の電力変換装置9を制御する。
また、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上であれば、補機バッテリ6の直流電圧を第2の電力変換装置4により交流電圧に変換し、発電電動機2の低電圧端子に印加することによっても発電電動機2を電動機として機能させ、車両を始動させることもできる。このとき、燃料電池10の発電電力が増加するにつれて、要求される車両の駆動電力を満たしつつ補機バッテリ6の放電量を減少させるよう第2の電力変換装置4を制御する。やがて、燃料電池10の発電電力が要求電力に達すると補機バッテリ6の放電(車両駆動用に使用されるもの)を停止させるよう第2の電力変換装置4を制御する。
また、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6両方の蓄電状態がSOC1以上であれば、それぞれの直流電圧を第1の電力変換装置3および第2の電力変換装置4により交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子および低電圧端子にそれぞれ印加することによりさらに大きな始動力が得られる。このとき、燃料電池10の発電電力が増加するにつれて、要求される車両の駆動電力を満たしつつ高電圧バッテリ5の放電量を減少させるよう第3の電力変換装置9を制御し、補機バッテリ6の放電量を減少させるよう第2の電力変換装置4を制御する。やがて、燃料電池10の発電電力が要求電力に達すると高電圧バッテリ5および補機バッテリ6の放電(車両駆動用に使用されるもの)を停止させるよう第3の電力変換装置9および第2の電力変換装置を制御する。
すなわち、始動時のような大きな駆動力が必要であり、燃料電池10からの電力が要求電力に達していない過渡期において、高電圧バッテリ5または補機バッテリ6またはその両方のバッテリからの電力により発電電動機2を駆動し、燃料電池10の出力電力をアシストすることができる。
次に、車両の走行時における動作について説明する。車両が始動し、燃料電池10の発電電力が要求された電力に達した場合、燃料電池10の直流電圧を第1の第1の電力変換装置3により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を走行させる。
また、加速時等でさらに駆動力が必要な場合、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であれば、高電圧バッテリ5の直流電圧を第3の電力変換装置9により所望の直流電圧に調整し、第1の電力変換装置3に入力することにより、燃料電池10の出力電力をアシストし、駆動力の急増に対応することができる。
この時、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上であれば、補機バッテリ6の直流電圧を第2の電力変換装置4により交流電圧に変換し、発電電動機2の低電圧端子に印加することによっても発電電動機2に駆動力を与えることができ、駆動力の急増に対応することができる。
また、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上であれば、前述のように高電圧バッテリ5により燃料電池10の出力をアシストし、前述のように補機バッテリ6により発電電動機2に駆動力を与えることができ、駆動力の急増に対応することができる。
すなわち、加速時等の大きな駆動力が必要な場合、燃料電池10の発電電力による駆動力を高電圧バッテリ5または補機バッテリ6またはその両方でアシストすることができる。
また、燃料電池10の故障等で発電電力が得られない場合は、高電圧バッテリ5または補機バッテリ6またはその両方に蓄電されている電力で走行可能であることは言うまでもない。
次に、車両の停止時における動作について説明する。高電圧バッテリ5と補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上で車両が停止している場合、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6に接続されているエアコン、オーディオ、各種ランプ、各種コントロール装置等の負荷(図示しない)は、高電圧バッテリ5と補機バッテリ7に蓄電されている電力で駆動するため、それぞれのバッテリの蓄電量は徐々に減少していく。
ここでまず、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上かつ、補機バッテリ6がSOC1を下回ったとする。このような場合、本発明の電気自動車システムでは、第1の電力変換装置3により高電圧バッテリ5の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電する。すなわち、高電圧バッテリ5の電力を発電電動機2を介して補機バッテリ6に送電することができる。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方は、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
逆に、補機バッテリ6がSOC1以上かつ、高電圧バッテリ5がSOC1を下回った場合、第2の電力変換装置4により補機バッテリ6の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の低電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、高電圧端子に発生する交流電圧を第1の電力変換装置3により直流電圧に変換し高電圧バッテリ5に充電することもできる。すなわち、補機バッテリ6の電力を発電電動機2を介して高電圧バッテリ5に送電することもできる。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方は、高電圧バッテリ5への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
また、前述した、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上かつ、補機バッテリ6がSOC1を下回った場合のもう一つの充電方法として、第3の電力変換装置9により燃料電池10が発電する電力を高電圧バッテリ5に充電することも可能である。この時、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方は、高電圧バッテリ5への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
また、前述した、補機バッテリ6がSOC1以上かつ、高電圧バッテリ5がSOC1を下回った場合のもう一つの充電方法として、燃料電池10が発電する電力を逆電流防止回路10を介して第1の電力変換装置3に入力し、交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電することも可能である。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4または燃料電池10またはそれらを協調して制御することにより、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4または燃料電池10またはそれらを協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、走行中における高電圧バッテリ5および補機バッテリ6の充電について説明する。燃料電池10の発電電力のみによって車両が走行しているとする。この状態で高電圧バッテリ5に接続されている負荷(電動コンプレッサ、電動ステアリング等)により、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以下となったとする。このような場合、制御部7は車両の要求電力に加え高電圧バッテリ5を充電するための電力を発電するよう燃料電池10を制御する。第3の電力変換装置9は燃料電池10の直流電圧を高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧に調整することにより、高電圧バッテリ5を充電する。この時、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方を協調して制御することにより、高電圧バッテリ5への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方を協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、補機バッテリ6に接続されている負荷(オーディオ、各種ランプ、各種制御装置等)により、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以下となったとする。このような場合、制御部7は車両の要求電力に加え補機バッテリ6を充電するための電力を発電するよう燃料電池10を制御する。第1の電力変換装置3により燃料電池10の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電する。すなわち、燃料電池10により補機バッテリ6を充電するための電力が発電され、その電力を発電電動機2を介して補機バッテリ6に送電することができる。この時、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4または燃料電池10またはそれら全てを協調して制御することにより、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4または燃料電池10またはそれら全てを協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。
また、高電圧バッテリ5と補機バッテリ6両方の蓄電状態がSOC1以下となった場合は、燃料電池10の発電電力を車両の要求電力に加え両バッテリを充電するための電力を発電するよう制御し、上記手順により、双方のバッテリに充電することが可能である。
次に、車両の減速時の動作を説明する。減速時において、制御部7が高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、高電圧端子に発生する交流電圧を第1の電力変換装置3により直流電圧に変換し、第3の電力変換装置9により高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧に調整し、高電圧バッテリ5に充電することにより運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。この時、第3の電力変換装置9は第1の電力変換装置3と高電圧バッテリ5をバイパスする機能を有し、第1の電力変換装置3により高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧に調整し、高電圧バッテリ5に充電するよう制御することも可能である。この時、動力伝達機構1は、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置3または第3の電力変換装置9またはその両方よっても行なうことが可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置3または第3の電力変換装置9またはその両方によっても行なうことが可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。
次に、減速時において、制御部7が補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し、補機バッテリ6に充電することにより運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することもできる。この時、動力伝達機構1は、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第2の電力変換装置4が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第2の電力変換装置4が行なうことも可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。
また、減速時において、制御部7が両バッテリともにSOC2以下と判定した場合、上記手順により高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれに充電することにより運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することもできる。この時、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれの蓄電状態がSOC1に近いほどそれぞれの充電量が大きくなるよう、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3または第2の電力変換装置4または第3の電力変換装置9またはそれら全てを協調して制御する。また、それぞれのバッテリの蓄電状態がSOC2に達した場合は、動力伝達機構1、第1の電力変換装置3、第2の電力変換装置4、第3の電力変換装置9によりそれぞれの充電量を減少させるように制御する。
尚、本実施形態では、上記複数の電圧を車両駆動用の高電圧と補機類駆動用の低電圧の2つの電圧により電動機および発電機として機能できるとしたが、言うまでもなく2つ以上の電圧系統にも適用可能であり、例えば車両駆動用の高電圧と、重負荷用の42Vと補機類駆動用の14Vといった複数の電圧系統にも適用できる。
また、第1の蓄電装置5は電気2重層キャパシタのような大容量のコンデンサであってもよく、この時には、第3の電力変換装置9は不要としてもよい。
また、第1の電力変換装置3には、発電電動機2および高電圧バッテリ5とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。
また、第2の電力変換装置4には、発電電動機2および補機バッテリ6とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。
また、第3の電力変換装置9には、第1の電力変換装置3および高電圧バッテリ5とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有してもよく、また、バイパスする機能が備わっていてもよい。
また、本実施形態では、電力発生装置10は燃料電池としたが、その他の発電手段であってもよい。
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態3における、電気自動車システムの構成を示すブロック図である。図5において、動力伝達機構1、発電電動機2、第1の電力変換装置3、第2の電力変換装置4、第1の蓄電装置5(以下、高電圧バッテリと称す)、第2の蓄電装置6(以下、補機バッテリと称す)、制御部7、第3の電力変換装置9、電力発生装置10(以下、燃料電池と称す)は実施の形態3と同様である。第2の電力変換装置8がダイオード整流回路で構成され、電力の流れが発電電動機2から補機バッテリ6への単方向である点が実施の形態3と異なる。尚、例えば第1の蓄電装置5には電動エアコンや電動パワーステアリング等、第2の蓄電装置6にはオーディオ、各種ランプ等の負荷(図示しない)が接続されてもよい。
第2の電力変換装置8は、発電電動機2の低電圧端子に接続され、この低電圧端子に発生する交流電圧を直流電圧に変換し補機バッテリ6を充電する。
以下、動力伝達機構1と第1の電力変換装置3と第3の電力変換装置9と燃料電池10の動作を決める制御部7の動作について説明する。
まず、車両の始動時における動作について説明する。制御部7は高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であると判別した場合、走行可能であると判断し、動力伝達機構1は車軸と発電電動機2の軸を連結するとともに、車両の始動・走行に必要な電力要求が燃料電池10に送られ発電量を増加させる。しかし、前述したように燃料電池10は、発電を開始してから、実際に所望の電力が得られるまでに時間遅れが生じる。この過渡期においては、高電圧バッテリ5の直流電圧を第3の電力変換装置9を介して第1の電力変換装置3に入力し、第1の電力変換装置により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を始動させる。このとき、燃料電池10の発電電力が増加するにつれて、要求される車両の駆動電力を満たしつつ高電圧バッテリ5の放電量を減少させるよう第3の電力変換装置9を制御する。やがて、燃料電池10の発電電力が要求電力に達すると高電圧バッテリ5の放電(車両駆動用に使用されるもの)を停止させるよう第3の電力変換装置9を制御する。
すなわち、始動時のような大きな駆動力が必要であり、燃料電池10からの電力が要求電力に達していない過渡期において、高電圧バッテリ5からの電力により発電電動機2を駆動し、燃料電池10の出力電力をアシストすることができる。
次に、車両の走行時における動作について説明する。車両が始動し、燃料電池10の発電電力が要求された電力に達した場合、燃料電池10の直流電圧を第1の第1の電力変換装置3により交流電圧に変換し発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を電動機として機能させ、車両を走行させる。
また、加速時等でさらに駆動力が必要な場合、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上であれば、高電圧バッテリ5の直流電圧を第3の電力変換装置9により所望の直流電圧に調整し、第1の電力変換装置3に入力することにより、燃料電池10の出力電力をアシストし、駆動力の急増に対応することができる。
すなわち、加速時等の大きな駆動力が必要な場合、燃料電池10の発電電力を高電圧バッテリ5に蓄電された電力でアシストすることができ、駆動力の急増に対応することができる。
また、燃料電池10の故障等で発電電力が得られない場合は、高電圧バッテリ5に蓄電されている電力で走行可能であることは言うまでもない。
次に、車両の停止時における動作について説明する。高電圧バッテリ5と補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以上で車両が停止している場合、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6に接続されているエアコン、オーディオ、各種ランプ、各種コントロール装置等の負荷(図示しない)は、高電圧バッテリ5と補機バッテリ7に蓄電されている電力で駆動するため、それぞれのバッテリの蓄電量は徐々に減少していく。
ここでまず、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上かつ、補機バッテリ6がSOC1を下回ったとする。このような場合、本発明の電気自動車システムでは、第1の電力変換装置3により高電圧バッテリ5の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電する。すなわち、高電圧バッテリ5の電力を発電電動機2を介して補機バッテリ6に送電することができる。この時、第1の電力変換装置3は、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3により、過充電にならないよう充電量を制御する。
また、前述した、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以上かつ、補機バッテリ6がSOC1を下回った場合のもう一つの充電方法として、第3の電力変換装置9により燃料電池10が発電する電力を高電圧バッテリ5に充電することも可能である。この時、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方は、高電圧バッテリ5への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方により、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、走行中における高電圧バッテリ5および補機バッテリ6の充電について説明する。燃料電池10の発電電力のみによって車両が走行しているとする。この状態で高電圧バッテリ5に接続されている負荷(電動コンプレッサ、電動ステアリング等)により、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1以下となったとする。このような場合、制御部7は車両の要求電力に加え高電圧バッテリ5を充電するための電力を発電するよう燃料電池10を制御する。第3の電力変換装置9は燃料電池10の直流電圧を高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧に調整することにより、高電圧バッテリ5を充電する。この時、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方を協調して制御することにより、高電圧バッテリ5への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第3の電力変換装置9または燃料電池10またはその両方を協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。
次に、補機バッテリ6に接続されている負荷(オーディオ、各種ランプ、各種制御装置等)により、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1以下となったとする。このような場合、制御部7は車両の要求電力に加え補機バッテリ6を充電するための電力を発電するよう燃料電池10を制御する。第1の電力変換装置3により燃料電池10の直流電圧を交流電圧に変換し、発電電動機2の高電圧端子に印加することにより発電電動機2を駆動し、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し補機バッテリ6に充電する。すなわち、燃料電池10により補機バッテリ6を充電するための電力が発電され、その電力を発電電動機2を介して補機バッテリ6に送電することができる。この時、第1の電力変換装置3または燃料電池10またはそれらを協調して制御することにより、補機バッテリ6への充電量を蓄電状態がSOC1に近いほど大きくするよう制御する。蓄電状態にかかわらず一定の充電量によっても充電可能である。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると、制御部7は満充電と判断するとともに、第1の電力変換装置3または燃料電池10またはそれらを協調して制御することにより、過充電にならないよう充電量を制御する。
また、高電圧バッテリ5と補機バッテリ6両方の蓄電状態がSOC1以下となった場合は、燃料電池10の発電電力を車両の要求電力に加え両バッテリを充電するための電力を発電するよう制御し、上記手順により、双方のバッテリに充電することが可能である。
次に、車両の減速時の動作を説明する。減速時において、制御部7が高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、高電圧端子に発生する交流電圧を第1の電力変換装置3により直流電圧に変換し、第3の電力変換装置9により高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧に調整し、高電圧バッテリ5に充電することにより運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。この時、第3の電力変換装置9は第1の電力変換装置3と高電圧バッテリ5をバイパスする機能を有し、第1の電力変換装置3により高電圧バッテリ5を充電可能な所定の電圧に調整し、高電圧バッテリ5に充電するよう制御することも可能である。この時、動力伝達機構1は、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置3または第3の電力変換装置9またはその両方よっても行なうことが可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。やがて、高電圧バッテリ5の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。また、そのような充電量の制御は第1の電力変換装置3または第3の電力変換装置9またはその両方によっても行なうことが可能であり、動力伝達機構1と協調して行なうことも可能である。
次に、減速時において、制御部7が補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2以下と判定した場合、動力伝達機構1を介して車軸からの動力が発電電動機2に伝達され、低電圧端子に発生する交流電圧を第2の電力変換装置4により直流電圧に変換し、補機バッテリ6に充電することにより運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することもできる。この時、動力伝達機構1は、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC1に近いほど車軸から発電電動機2の軸への動力の伝達量が大きくなるよう制御し、充電量を制御する。やがて、補機バッテリ6の蓄電状態がSOC2に達すると制御部7は満充電と判断するとともに、動力伝達機構1による動力の伝達量を減少させ過充電にならないよう充電量を制御する。
また、減速時において、制御部7が両バッテリともにSOC2以下と判定した場合、上記手順により高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれに充電することにより運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することもできる。この時、高電圧バッテリ5および補機バッテリ6それぞれの蓄電状態がSOC1に近いほどそれぞれの充電量が大きくなるよう、動力伝達機構1または第1の電力変換装置3または第3の電力変換装置9またはそれら全てを協調して制御する。また、それぞれのバッテリの蓄電状態がSOC2に達した場合は、動力伝達機構1、第1の電力変換装置3、第3の電力変換装置9によりそれぞれの充電量を減少させるように制御する。
尚、本実施形態では、上記複数の電圧を車両駆動用の高電圧と補機類駆動用の低電圧の2つの電圧により電動機および発電機として機能できるとしたが、2つ以上の電圧系統にも適用可能であり、例えば車両駆動用の高電圧と、重負荷用の42Vと補機類駆動用の14Vといった複数の電圧系統にも適用できることは言うまでもない。
また、第1の蓄電装置5は電気2重層キャパシタのような大容量のコンデンサであってもよく、この時には、第3の電力変換装置9は不要としてもよい。
また、第1の電力変換装置3には、発電電動機2および高電圧バッテリ5とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。
また、第2の電力変換装置4には、発電電動機2および補機バッテリ6とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有していてもよい。この時、それらを制御する信号は制御部7から第2の電力変換装置4へ送られる。
また、第3の電力変換装置9には、第1の電力変換装置3および高電圧バッテリ5とを接続・切断するためのリレーが備わっていて、充電量や発電量により適宜接続・切断できるような機能を有してもよく、また、バイパスする機能が備わっていてもよい。
また、本実施形態では、電力発生装置10は燃料電池としたが、その他の発電手段であってもよい。