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JP4327341B2 - Z軸昇降機構を備えた卓上型ロボット - Google Patents

Z軸昇降機構を備えた卓上型ロボット Download PDF

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勝明 野沢
一郎 曽我石
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバ,ドリル,シリンジ等の種々のツールをツール固定板に装着し、該ツールを上下方向に移動させる昇降手段を有する卓上型ロボットにおいて、ツールにかかるトルクによるツール固定板の撓み変形を防止することができるZ軸昇降機構を備えた卓上型ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生産設備として、小型の卓上型ロボットが多く使用されている。該卓上型ロボットは、ツール固定板にドライバ,ドリル等の種々のツールが装着され、該ツール固定板とワークとが相対的にX・Y・Z方向に移動し、孔明け加工,螺子締め等の作業を行うものである。特に、ツールをZ軸方向,即ち上下方向に昇降動作を行わせる機構は、Z軸ユニットに装着されている。
【0003】
前記Z軸ユニットにおいて、図7(a),(b)に示すように、ツールのZ方向移動手段即ち昇降手段の構造は、種々のツールを装着するツール固定板dに2本のガイド軸c,cが適宜の間隔をおいて、平行に固着され、該ガイド軸c,cが前記Z軸ユニット内に装着されたボール軸受b,bに挿通され、ツール固定板dがモータ制御により適宜に昇降する。その2本のガイド軸c,cとツール固定板dとによる構造体は、全体的に剛性が不足し、ツール固定板dは捩じれ易い状態となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
Z軸ユニットは、前記のような構造であるためにツール固定板dが最下点に達したとき、即ち2本のガイド軸c,cのボール軸受b,bからの突出量が最も大きくなったときに、ツールのトルク反力がツール固定板dにかかると、前記2本のガイド軸c,cが捩じれやすくなり、したがって該ツール固定板dにも撓みが生じやすくなる。特に、前後方向の捩じり方向の撓みが大きい〔図7(b)参照〕。
【0005】
これに、よってワークに対する工作精度が劣化することになるし、工作時の騒音も大きくなりやすかった。また、ボール軸受ユニットb,bは、比較的,場所を取り易く、そのためにZ軸ユニットのサイズは、大きなものになりがちであった。本発明は、主に前述したZ軸ユニットにおける全体的な剛性の不足,及びそのために生じる工作精度の劣化を防止することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで発明者は、前記課題を解決することを目的とし、鋭意,研究を重ねた結果、その発明を、作業用テーブルに支柱が装着され、該支柱の上方に水平状アームが装着され、該水平状アームに装着され、水平方向なるY方向に移動可能なY方向移動体に装着された垂直方向なるZ軸方向に昇降可能なZ軸昇降機構を備えた卓上型ロボットにおいて、前記Y方向移動体に不動に固定された固定ベースと、該固定ベースに左右方向で且つ上下方向に対称的に配置された複数のガイドプーリと、該ガイドプーリによりガイドされる昇降ベースの幅方向両側に2本のガイド軸が平行に固着された昇降体とからなり、該昇降体の両ガイド軸は前記ガイドプーリに案内支持され、前記昇降体の一方側のガイド軸を案内支持する前記固定ベースに配置された上下方向のガイドプーリは、水平方向の位置調整を可能とし、前記昇降体の昇降ベースは、一方側の上下方向の前記ガイドプーリの水平方向位置の調整による両ガイド軸への押圧にて前記昇降ベースは弾性変形してなることを特徴とするZ軸昇降機構を備えた卓上型ロボットとしたことにより、昇降ベースと該昇降ベースに固着されたガイド軸とからなる昇降体は、略剛性体となり、変形しにくいものとし、動作中のツールによりツール固定板にトルク反力がかかっても、ツール固定板の撓みを抑え、ツール固定板の適正な位置が変移したり、それゆえに工作精度を劣化する等の不都合を防止することができる。
【0007】
また、前記昇降体の一方側のガイド軸を案内支持するガイドプーリは、水平方向の位置調整を可能としたことにより、ガイド軸とガイドプーリとの間にガタが生じた場合にガイドプーリを水平方向に移動させて位置を調整し、ガタを消滅することができる。また、前記昇降ベースは、前記ガイドプーリの水平方向位置の調整による両ガイド軸への押圧にて前記昇降ベースは弾性変形してなることにより、弾性変形した昇降ベースはその復元力により、前記ガイドプーリとガイド軸との間に常時適正な予圧がかかり、ガタのない状態を維持し、且つ昇降体の昇降をスムーズにすることができる。
【0008】
また、前記昇降体の昇降ベースは、断面略コ字形状とし、幅方向に弾性を備えた剛体構造としたことにより、昇降ベースは、単純な形状でありながら断面係数の大きな部材とすることができ、且つZ軸ユニット内に組み込む場合にそのスペースを有効に利用することができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明において、まず卓上型ロボットは、主に作業用テーブル15と,支柱16と,水平状アーム17と,Y方向移動体18から構成され、前記作業用テーブル15に支柱16が装着され、該支柱16の上方に水平状アーム17が装着されている。該水平状アーム17には、水平方向なるY方向に移動可能なY方向移動体18が装着され、図示しないY方向駆動手段にてY方向移動体18が前記水平状アーム17をY方向に移動することができる。前記作業用テーブル15上には、ワーク取付部19が装着されている。該ワーク取付部19は、X方向を移動するスライドテーブル19aが装着され、スライドテーブル19a上に載置されたワークをX方向に移動させるものである。
【0010】
Z軸ユニットは、前記Y方向移動体18の内部に装着されており、主に固定ベース1、ガイドプーリ2,2,…及び昇降体Aとから構成される。該昇降体Aは、垂直方向なるZ軸方向に移動する部位である。即ち、昇降体Aは、該昇降体Aに装着された種々のツールを昇降させる役目をなす。その昇降体Aは、主にガイド軸7,7及び昇降ベース8とから構成される。前記固定ベース1は、前記Y方向移動体18に対してZ軸方向に不動に固定され、その形状は板状をなしている〔図1(b)参照〕。該固定ベース1には、複数のガイドプーリ2,2,…が装着される。具体的には、4個のガイドプーリ2,2,…が上下,左右に装着されている〔図2(b)参照〕。該ガイドプーリ2は、外周にレール溝2aが形成され、該レール溝2aに後述するガイド軸7が入り込むようになっている〔図4(a),(b)参照〕。
【0011】
ガイドプーリ2は、軸支部材3を介して回動自在に固定ベース1に装着されている。前記軸支部材3は、軸部3aとロックナット3bから構成され、前記軸部3aがガイドプーリ2の回動中心軸となり、ロックナット3bによりガイドプーリ2は軸部3aに回動自在に固定される。また、ガイドプーリ2と軸部3aとの間には玉軸受6が装着され、ガイドプーリ2が滑らかに回動するようになっている。
【0012】
また、左右方向のいずれか一方側の上下に配列されたガイドプーリ2,2は、その位置を水平方向(左右方向)に調整可能とした実施例が存在する。この実施例では、ガイドプーリ2をガイド軸7に押圧し、その接触圧を適宜に調整することができる。この実施例におけるガイドプーリ2の支持構造においては、まず前記軸支部材3の軸部3aがスライド部4に固着されている〔図4(a)参照〕。一方、前記固定ベース1の表面側(前記ガイドプーリ2,2,…が装着されている側)には、長溝部1aが形成されている〔図4(b)参照〕。該長溝部1a内に前記スライド部4が挿入され、該スライド溝部4が前記長溝部1aの長手方向に沿って水平方向(左右方向)に移動することができるようになっている。
【0013】
また、前記固定ベース1の裏面側には、前記長溝部1aと連通する貫通孔1b,1bが2つ形成されている。該貫通孔1b,1bには、ボルト等の固着具5,5が挿入され、該固着具5,5の締付けにて前記スライド部4が長溝部1a内に固定される。その貫通孔1bは、固着具5の軸径よりも大きめに形成され、固着具5が貫通孔1b内を内径の範囲で移動可能とし、これによって前記スライド部4が長溝部1aに収納された状態で移動することができる。前記ガイドプーリ2は、前記スライド部4の位置を長溝部1a内で調整することにより、ガイドプーリ2が左右方向の適宜の位置に設定することができる。
【0014】
次に、昇降体Aについて述べる。まず、昇降ベース8は、断面略コ字形状をなし、正面部8aの幅方向両端から側面部8b,8bが形成されている。さらに、該側面部8b,8bの他端側(前記正面部8aと側面部8bとの折曲箇所と反対側)から前記正面部8aの幅方向外方に向かって屈曲端縁8c,8cが形成されている。両屈曲端縁8c,8cには、それぞれガイド軸7,7が固着される。該ガイド軸7は、断面円形状であり、その長さは前記昇降ベース8の長手方向の長さと略同一としている〔図2(a)参照〕。また、前記昇降ベース8には、前記屈曲端縁8c,8cが形成されず、両ガイド軸7,7が両側面部8b,8bの端部に固着される実施例も存在する(図5参照)。
【0015】
前記昇降ベース8は、略剛性体とした構造物である。ここで略剛性体とは、曲げ,捩じれ等を生じさせようとする外力に対する変形を極めて小さくなるようにした、即ち剛性率の大きなものである。また、昇降ベース8は、弾性を有しており、具体的には開放部の幅方向にバネ性(弾性)を備え、長手方向を剛体構造とし、所定の範囲の外力により僅かに弾性変形を生じることができる。昇降ベース8の断面形状は、前記コ字形状以外に長方形状とした実施例も存在する〔図6(a)参照〕。
【0016】
その昇降ベース8の下端箇所には、ツール固定板10が設けられている。該ツール固定板10は、種々のツールを装着するための役目をなすものである。前記昇降ベース8とツール固定板10とは、接続部材11を介して固着される。該接続部材11は、ブロック状をなし、昇降ベース8の正面部8aにボルト等の固着具12により固着され、さらに前記ツール固定板10は、前記接続部材11にボルト等の固着具13により固着される〔図3(c)参照〕。
【0017】
前記昇降体Aは、そのガイド軸7, 7が前記固定ベース1に上下,左右に装着された複数のガイドプーリ2,2,…によって、案内支持され、図示されない昇降手段により昇降動作を行うものである。ここで前記固定ベース1に上下左右に配置されたガイドプーリ2,2,…は、前記両ガイド軸7,7の外方側から案内支持される構造とすることが好適であるが、必ずしもこれに限定されるものではなく前記両ガイド軸7,7の内方側が案内支持される構造としてもよい〔図6(b)参照〕。
【0018】
また、前述したように、左右いずれかの側のガイドプーリ2,2,…には水平方向に位置調整が行われることにより、前記昇降体Aの両ガイド軸7,7を所定の圧力で押圧し、これによって昇降ベース8に、弾性変形を与える。該昇降ベース8には、その弾性変形に対する復元力が生じ、ガイドプーリ2,2,…とガイド軸7,7との間に常時予圧を有することとなり、昇降体Aとガイドプーリ2,2,…との間にガタのないスムーズな摺動動作とすることができる。以下に、本発明によるツール固定板10の変形量と従来との比較が表示されている。なお、条件は、1kg(9.8N)の荷重が作用したときのツール固定板10の変形量である。
【表1】
Figure 0004327341
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、以上説明したように、Z軸ユニットの昇降体Aにおいて、2本のガイド軸7,7は、略剛性体とした昇降ベース8の幅方向両側に固着されたものであり、ガイド軸7,7と昇降ベース8とが一体的となって、高い剛性を得ることができ、ガイド軸7,7にツールのトルク反力による捩じれ,撓み等の変形を防止することができ、高い工作精度を得ることができる。また、工作時の騒音を小さくし、且つZ軸ユニットをコンパクトにすることができ、ひいては低価格なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明を装着した卓上型ロボットの斜視図
(b)はZ軸ユニットの斜視図
【図2】(a)は昇降体の斜視図
(b)はベース及び該ベースに装着されたガイドプーリの斜視図
【図3】(a)は昇降体の要部正面図
(b)はQ1 −Q1 矢視断面図
(c)はQ2 −Q2 矢視断面図
【図4】(a)は水平方向に位置微調整可能なガイドプーリ箇所の拡大断面図
(b)は(a)の一部断面にした要部拡大平面図
【図5】昇降体の別の実施例の断面図
【図6】(a)は昇降ベースの断面形状を長方形状とした実施例の断面図
(b)は両ガイド軸の内方側をガイドプーリにて案内支持した断面図
【図7】(a)は従来タイプのZ軸ユニットの構造を示す正面図
(b)は(a)の主要構造を示す略示斜視図
【符号の説明】
A…昇降体
1…固定ベース
2…ガイドプーリ
7…ガイド軸
8…昇降ベース

Claims (2)

  1. 作業用テーブルに支柱が装着され、該支柱の上方に水平状アームが装着され、該水平状アームに装着され、水平方向なるY方向に移動可能なY方向移動体に装着された垂直方向なるZ軸方向に昇降可能なZ軸昇降機構を備えた卓上型ロボットにおいて、
    前記Y方向移動体に不動に固定された固定ベースと、該固定ベースに左右方向で且つ上下方向に対称的に配置された複数のガイドプーリと、該ガイドプーリによりガイドされる昇降ベースの幅方向両側に2本のガイド軸が平行に固着された昇降体とからなり、該昇降体の両ガイド軸は前記ガイドプーリに案内支持され、前記昇降体の一方側のガイド軸を案内支持する前記固定ベースに配置された上下方向のガイドプーリは、水平方向の位置調整を可能とし、前記昇降体の昇降ベースは、一方側の上下方向の前記ガイドプーリの水平方向位置の調整による両ガイド軸への押圧にて前記昇降ベースは弾性変形してなることを特徴とするZ軸昇降機構を備えた卓上型ロボット。
  2. 前記昇降体の昇降ベースは、前記両ガイド軸に直交する方向において断面コ字形状とし、幅方向に弾性を備えて常時与圧を与えるとともに長手方向を剛体構造としてなることを特徴とする請求項1記載のZ軸昇降機構を備えた卓上型ロボット。
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