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JP4325976B2 - 受信機 - Google Patents

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JP4325976B2
JP4325976B2 JP2002314642A JP2002314642A JP4325976B2 JP 4325976 B2 JP4325976 B2 JP 4325976B2 JP 2002314642 A JP2002314642 A JP 2002314642A JP 2002314642 A JP2002314642 A JP 2002314642A JP 4325976 B2 JP4325976 B2 JP 4325976B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の受信帯域内の信号を受信する受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジオ放送においては、放送局からAM変調あるいはFM変調等の変調方式を用いて音声信号を変調した信号が送出される。ラジオ受信機は、受信した信号をその変調方式に対応した方式で復調することにより、元の音声信号を出力している。このような受信機の組立完了時には、この受信機が正常に受信動作を行っているか否かを調べる動作試験が実施される。この動作試験は、例えば、試験対象となる受信機に動作試験用の計測システムを接続することにより行われる(例えば、特許文献1の背景技術の欄を参照。)。この計測システムは、信号発生器、低周波アナライザ、パーソナルコンピュータ等を含んで構成されており、パーソナルコンピュータからラジオ受信機および信号発生器に搬送波周波数や変調方式等の計測条件データが送信されて、受信機に対する動作試験が実施される。
【0003】
また、動作試験を行うために必要な信号発生部等を内蔵することにより、自己診断を可能にした無線受信機が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。この無線受信機は、疑似符号発生器、疑似符号照合器、発振/変調器等を備えており、無線受信機単体で動作試験を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第WO00/14912号パンフレット(第1−2頁、図7)
【特許文献2】
特開平7−131429号公報(第2−5頁、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1に開示されている計測システムでは、受信機の外部に信号発生器等の他の装置を接続しなければならないため、動作試験のための接続が煩雑になり、動作試験に時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、上述した特許文献2に開示された無線受信機では自己診断が行われるため、このような接続の煩雑さはないが、受信機内部に信号発生用の発振/変調器が必要になり、構成が複雑化するという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、動作試験のための複雑な接続が不要であって試験時間の短縮が可能であり、装置構成を簡略化することができる受信機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の受信機は、放送波の受信動作に必要な信号を生成する水晶発振器と、水晶発振器の出力信号を用いて、動作試験の試験信号を生成する信号生成手段と、試験信号を動作試験時にアンテナ入力部に入力するスイッチと、試験信号に対して受信動作を行ったときに生成される被測定信号に基づいて、受信動作の良否を判定する判定手段とを備えている。動作試験に必要な試験信号の生成を行う構成と試験結果の良否判定を行う構成とを受信機内に含んでいるため、動作試験に際して外部の計測装置等との間で複雑な接続を行う必要がなく、動作試験に要する時間を短縮することができる。また、試験信号の生成は水晶発振器の出力信号を用いて行われるため、試験信号の生成に必要な構成を別に備える場合に比べて受信機の装置構成を簡略化することができる。
【0008】
また、上述した水晶発振器は、局部発振信号を生成する周波数シンセサイザに入力する基準信号の生成に用いられることが望ましい。最近では、操作性向上や商品性向上等の観点から周波数シンセサイザを備える受信機が多くなっている。このような受信機では、水晶発振器は必須の構成要素であり、この水晶発振器を試験信号生成用に用いることにより、部品の共用化による装置構成の簡略化が可能になる。
【0009】
また、上述した水晶発振器は、ロジック回路の動作に必要なクロック信号の生成に用いられることが望ましい。上述した周波数シンセサイザの場合と同様に、最近では、多機能化や商品性向上等の観点からCPU等のロジック回路を備える受信機が多くなっている。このような受信機では、ロジック回路の動作に必要なクロック信号を生成する水晶発振器は必須の構成要素であり、この水晶発振器を試験信号生成用に用いることにより、部品の共用化による装置構成の簡略化が可能になる。
【0010】
また、上述した信号生成手段は、水晶発振器の出力信号を分周することにより、放送波の受信帯域に含まれる周波数を有する試験信号を生成する分周器であることが望ましい。水晶発振器の出力信号を分周するだけで、周波数精度の高い試験信号を生成することが可能であり、装置構成のさらなる簡略化が可能になる。
【0011】
また、上述した信号生成手段は、水晶発振器の出力信号を基準信号として用いることにより、放送波の受信帯域に含まれる周波数を有する試験信号を生成するPLL回路と発振器であることが望ましい。あるいは、上述した信号生成手段は、水晶発振器の出力信号を基準信号として用いることにより、放送波の受信帯域に含まれる周波数を有する試験信号を生成する周波数シンセサイザであることが望ましい。これにより、周波数精度の高い試験信号を生成するために、専用の水晶発振器を備える場合に比べて装置構成の簡略化が可能になる。
【0012】
また、上述した信号生成手段は、水晶発振器の出力信号を逓倍することにより、放送波の受信帯域に含まれる周波数を有する試験信号を生成する逓倍器であることが望ましい。水晶発振器の出力信号を逓倍するだけで、周波数精度の高い試験信号を生成することが可能であり、装置構成のさらなる簡略化が可能になる。
【0013】
また、上述した被測定信号は、試験信号と局部発振信号とを混合することにより生成される中間周波信号であり、判定手段は、中間周波信号のレベル検出を行うことが望ましい。これにより、所定周波数の搬送波に相当する単一周波数の試験信号が入力されたときに、受信機の受信動作の良否判定を行うことが可能になり、動作試験に必要な装置構成の簡略化が可能になる。
【0014】
また、上述した被測定信号は、中間周波信号に対して検波処理を行った後の信号であり、判定手段は、検波処理が行われた信号のレベル検出を行うことが望ましい。検波後の信号には、搬送波の振幅に応じた直流成分が重畳するため、この直流成分のレベル検出を行うことにより、受信機の受信動作の良否判定を行うことが可能になり、動作試験に必要な装置構成の簡略化が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態のAM受信機について、図面を参照しながら説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態のAM受信機の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態のAM受信機は、高周波増幅回路11、混合回路12、局部発振器13、中間周波フィルタ14、16、中間周波増幅回路15、AM検波回路17、PLL回路20、発振器21、水晶振動子22、分周器23、24、スイッチ25、レベル検出部30、電圧比較器31、CPU32、メモリ33、LCD(液晶表示装置)34を含んで構成されている。
【0016】
アンテナ10によって受信したAM変調波信号を高周波増幅回路11によって増幅した後、局部発振器13から出力される局部発振信号を混合することにより高周波信号から中間周波信号への変換を行う。高周波増幅回路11から出力される増幅後のAM変調波信号の周波数をf1、局部発振器13から出力される局部発振信号の周波数をf2とすると、混合回路12からはf1±f2の周波数を有する中間周波信号が出力される。例えば、450kHzの中間周波信号に変換される。
【0017】
中間周波フィルタ14、16は、中間周波増幅回路15の前段および後段に設けられており、入力される中間周波信号から変調波信号の占有周波数帯域に含まれる周波数成分を抽出する。中間周波増幅回路15は、中間周波信号を増幅する。AM検波回路17は、中間周波増幅回路15によって増幅された後の中間周波信号に対してAM検波処理を行う。
【0018】
発振器21は、水晶振動子22を共振回路の一部として用いており、この水晶振動子22の固有振動周波数f0(実際にはこれより若干高い共振周波数fr)で発振動作を行う。例えば、発振器21は、17.1MHzで発振動作を行う。
PLL回路20は、局部発振器13とともに周波数シンセサイザを構成しており、発振器21から出力された信号を分周器23で分周して生成した基準信号のN倍の周波数で局部発振器13を発振させる制御を行う。このNの値は、CPU32によって任意に変更可能であり、Nの値を切り替えることにより局部発振器13の発振周波数の切り替えが行われる。
【0019】
分周器24は、発振器21から出力される17.1MHzの信号を分周して、AM放送の受信帯域に含まれる所定周波数の試験信号を生成する。例えば、分周器24の分周比が「18」に設定されており、950kHz(=17.1MHz/18)の試験信号が出力される。
【0020】
スイッチ25は、AM受信機の動作試験を行うときにオン状態に制御される。このスイッチ25を介して、分周器24の出力端と高周波増幅回路11の入力端(アンテナ入力部)とが接続されており、スイッチ25がオン状態のときに分周器24によって生成される950kHzの信号が高周波増幅回路11に入力される。
【0021】
レベル検出部30は、動作試験時に中間周波フィルタ16の出力信号のレベルを検出する。例えば、中間周波フィルタ16の出力信号に対してピークホールドを行うことにより、この出力信号のレベル検出が行われる。電圧比較器31は、プラス側入力端子にレベル検出部30の出力信号が、マイナス側入力端子に所定の基準電圧Vrefがそれぞれ入力されており、レベル検出部30の出力信号のレベルが基準電圧Vrefを越えたときにハイレベルの信号を出力する。
【0022】
CPU32は、AM受信機全体の受信動作を制御するとともに、動作試験に必要な切り替えや結果表示等の制御を行う。具体的には、CPU32は、動作試験時にスイッチ25をオン状態に切り替えるとともに電圧比較器31の出力信号を取り込んで、動作試験結果の良否を判定する。メモリ33は、CPU32の動作プログラムや動作試験の結果を格納する。LCD34は、CPU32によって表示内容が制御されており、受信中の放送波の内容を表示したり、動作試験の結果を表示するために用いられる。
【0023】
上述した発振器21と水晶振動子22が水晶発振器に、分周器24が信号生成手段に、レベル検出部30、電圧比較器31、CPU32が判定手段にそれぞれ対応する。
本実施形態のAM受信機はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0024】
通常の受信動作時には、CPU32によってスイッチ25がオフ状態に制御されており、分周器24の出力信号が高周波増幅回路11の入力端に入力されないようになっている。この状態では、アンテナ10によって受信されたAM変調波信号が高周波増幅回路11に入力されており、CPU32によってPLL回路20内の分周器の分周比Nを設定することにより、所望の放送波を受信することが可能になる。
【0025】
上述した通常の受信動作に先立って、例えば、AM受信機の組立完了時に、AM受信機が正常に動作しているか否かを確認する動作試験が行われる。図2は、動作試験時におけるAM受信機の動作手順を示す流れ図であり、主にCPU32による制御動作の手順が示されている。
【0026】
まず、CPU32は、スイッチ25をオン状態に切り替える(ステップ100)。これにより、分周器24から出力される950kHzの試験信号がの出力信号がスイッチ25を介して高周波増幅回路11の入力端に入力される。
次に、CPU32は、受信周波数をこの試験信号の周波数(950kHz)に設定する(ステップ101)。例えば、PLL回路20内の分周器の分周比がこの試験信号の周波数に対応した値に設定され、局部発振器13から出力される局部発振信号の周波数が所定値に設定される。なお、実際には、高周波増幅回路11内のアンテナ同調回路やRF同調回路の同調周波数も試験信号の周波数に一致するように設定される。このようにして試験信号の入力と受信周波数の設定が終了すると、この試験信号に対応する中間周波信号が混合回路12から出力され、中間周波フィルタ14、中間周波増幅回路15、中間周波フィルタ16を介してレベル検出部30に入力される。
【0027】
次に、CPU32は、電圧比較器31の出力を取り込んだ後に(ステップ102)、この取り込んだ内容に基づいて動作試験結果の良否を判定する(ステップ103)。試験信号に対して正常な受信動作が行われた場合には、中間周波フィルタ16からこの試験信号に対応した中間周波信号が出力されるため、レベル検出部30の出力信号が所定レベルになる。したがって、電圧比較器31からはハイレベルの信号が出力される。CPU32は、電圧比較器31の出力信号がハイレベルのときに、動作試験結果が良好であると判定する。反対に、CPU32は、電圧比較器31の出力信号がローレベルのときに、動作試験結果が不良である判定する。次に、CPU32は、動作試験結果の良否判定の内容をLCD34を用いて表示する(ステップ104)。
【0028】
このように、本実施形態のAM受信機では、動作試験を行うために必要な試験信号を発生する構成と試験結果の良否を判定する構成を内蔵しており、外部の測定装置等を用いることなく動作状態を自己診断することが可能であり、外部の測定装置等の接続が不要であって、この接続に要する時間を省略することによる試験時間の短縮が可能となる。
【0029】
また、本実施形態のAM受信機では、PLL回路20に入力する基準信号を生成するために用いられる発振器21の出力信号を分周器24で分周することにより、動作試験に必要な試験信号を生成しているため、この試験信号を発生させるためだけに用いられる発振器が不要になり、構成の簡略化が可能になる。特に、発振器21の出力信号を分周するだけで、周波数精度の高い試験信号を生成することが可能であり、装置構成のさらなる簡略化が可能になる。
【0030】
また、本実施形態のAM受信機のように周波数シンセサイザが備わっている場合には、発振器21と水晶振動子22からなる水晶発振器が必須の構成要素であり、この水晶発振器を試験信号生成用に用いることにより、部品の共用化による装置構成の簡略化が可能になる。
【0031】
また、本実施形態のAM受信機では、中間周波フィルタ116から出力される中間周波信号を被測定信号としてこの信号のレベル検出を行っている。これにより、所定周波数の搬送波に相当する単一周波数の試験信号がスイッチ25を介して高周波増幅回路11に入力されたときに、AM受信機の受信動作の良否判定を確実に行うことができる。
【0032】
図3は、本実施形態のAM受信機の変形例を示す部分的な構成図である。図1に示したAM受信機では、水晶振動子22を用いて発振動作を行う発振器21とスイッチ25との間に、発振器21の出力信号を分周する信号生成手段としての分周器24を備えたが、図3に示すように、この信号生成手段としての分周器24を発振器26とPLL回路27に置き換えるようにしてもよい。PLL回路27は、発振器21の出力信号を基準信号として用いることにより、この基準信号に同期し、この基準信号の周波数の1/M(Mは整数)倍の周波数を有する信号を生成するように発振器26の発振動作を制御する。例えば、発振器21の出力信号の周波数が17.1MHzの場合にはMの値が18に設定され、発振器26において950kHzの発振動作が行われる。
【0033】
このように、発振器26とPLL回路27を組み合わせて用いることによっても、外部の測定装置等を用いることなく動作状態を自己診断することが可能になるため、外部の測定装置等の接続が不要であって、この接続に要する時間を省略することによる試験時間の短縮が可能となる。また、局部発振器13に接続されたPLL回路20に入力する基準信号を生成するために用いられる発振器21の出力信号を用いて試験信号を生成しているため、試験信号生成用に水晶振動子を用いた発振器を別に備える場合に比べて構成の簡略化が可能になる。
【0034】
なお、図3に示した構成では、発振器26とPLL回路27とを組み合わせて試験信号を生成したが、図4に示すように、これらの代わりに周波数シンセサイザ28を用い、CPU32からの周波数設定指示に応じて所定周波数の試験信号を生成するようにしてもよい。また、図3に示した発振器26や図4に示した周波数シンセサイザ28の前段あるいは後段に分周器を挿入して用いるようにしてもよい。
【0035】
〔第2の実施形態〕
上述した実施形態では、AM受信機において動作試験を行うための構成について説明したが、構成を若干変更することにより、FM受信機に本発明を適用することもできる。
【0036】
図5は、第2の実施形態のFM受信機の構成を示す図である。図5に示すように、本実施形態のFM受信機は、高周波増幅回路111、混合回路112、局部発振器113、中間周波フィルタ114、116、中間周波増幅回路115、FM検波回路117、PLL回路120、発振器21、水晶振動子22、分周器123、逓倍器124、スイッチ125、レベル検出器30、電圧比較器31、CPU32、メモリ33、LCD34を含んで構成されている。図5に示したFM受信機は、図1に示したAM受信機と類似した構成を有しており、主にその違いに着目して説明を行うものとする。また、図1に示したAM受信機と同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0037】
アンテナ110によって受信したFM変調波信号を高周波増幅回路111によって増幅した後、局部発振器113から出力される局部発振信号を混合することにより高周波信号から中間周波信号への変換を行う。例えば、10.7MHzの中間周波信号に変換される。
【0038】
中間周波フィルタ114、116は、中間周波増幅回路115の前段および後段に設けられており、入力される中間周波信号から変調波信号の占有周波数帯域に含まれる周波数成分を抽出する。中間周波増幅回路115は、中間周波信号を増幅する。FM検波回路117は、中間周波増幅回路115によって増幅された後の中間周波信号に対してFM検波処理を行う。
【0039】
逓倍器124は、発振器21から出力される17.1MHzの信号を逓倍して、FM放送の受信帯域に含まれる所定周波数の試験信号を生成する。例えば、17.1MHzの信号を5逓倍することにより、85.5MHz(=17.1MHz×5)の試験信号が出力される。
【0040】
本実施形態のFM受信機はこのような構成を有しており、第1の実施形態のAM受信機と同様にして動作試験が実施される。すなわち、動作試験時にはCPU32によってスイッチ125がオン状態に制御され、逓倍器124から出力される85.5MHzの試験信号が高周波増幅回路111の入力端に入力される。この試験信号は、混合回路112によって所定周波数の中間周波信号に変換された後、中間周波フィルタ114、中間周波増幅回路115を介した中間周波フィルタ116から出力され、レベル検出器30によって検出される。したがって、電圧比較器31の出力がハイレベルになり、CPU32は、この電圧比較器31の出力信号に基づいて動作試験結果の良否を判定し、判定結果をLCD34に表示する。
【0041】
このように、本実施形態のFM受信機では、動作試験を行うために必要な試験信号を発生する構成と試験結果の良否を判定する構成を内蔵しており、外部の測定装置等を用いることなく動作状態を自己診断することが可能であり、外部の測定装置等の接続が不要であって、この接続に要する時間を省略することによる試験時間の短縮が可能となる。
【0042】
また、本実施形態のFM受信機では、PLL回路120に入力する基準信号を生成するために用いられる発振器21の出力信号を逓倍器124で逓倍することにより、動作試験に必要な試験信号を生成しているため、この試験信号を発生させるためだけに用いられる発振器が不要になり、構成の簡略化が可能になる。特に、発振器21の出力信号を逓倍するだけで、周波数精度の高い試験信号を生成することが可能であり、装置構成のさらなる簡略化が可能になる。
【0043】
〔第3の実施形態〕
上述した各実施形態では、AM受信機あるいはFM受信機に本発明を適用した場合を説明したが、AM受信機とFM受信機の両方の機能を備える受信機について本発明を適用するようにしてもよい。
【0044】
図6は、第3の実施形態の受信機の構成を示す図である。図6に示すように、本実施形態の受信機は、AM回路1、FM回路2、切替スイッチ3、発振器21、水晶振動子22、信号発生部24A、124A、スイッチ25、125、レベル検出部30、電圧比較器31、CPU32、メモリ33、LCD34を含んで構成されている。
【0045】
AM回路1は、図1に示した高周波増幅回路11、混合回路12、局部発振器13、中間周波フィルタ14、16、中間周波増幅回路15、PLL回路20、分周器23に対応しており、アンテナ10によって受信されたAM変調波信号やスイッチ25を介して入力される試験信号が入力され、これらのAM変調波信号や試験信号に対応する中間周波信号を出力する。
【0046】
また、FM回路2は、図5に示した高周波増幅回路111、混合回路112、局部発振器113、中間周波フィルタ114、116、中間周波増幅回路115、PLL回路120、分周器123に対応しており、アンテナ110によって受信されたFM変調波信号やスイッチ125を介して入力される試験信号が入力され、これらのFM変調波信号や試験信号に対応する中間周波信号を出力する。
【0047】
切替スイッチ3は、動作試験時にAM回路1およびFM回路2のいずれか一方から出力される中間周波信号を選択してレベル検出部30に入力する。レベル検出部30、電圧比較器31、CPU32、メモリ33、LCD34は、図1あるいは図5に示したものと同じであり、AM回路1とFM回路2に対して共通する一組の構成が備わっている。
【0048】
信号発生部24Aは、水晶振動子22が接続された発振器21から出力される信号に基づいて、AM回路1を用いた動作試験に必要な試験信号を生成する。図1に示した分周器24、図3に示した発振器26およびPLL回路27、図4に示した周波数シンセサイザ28が信号生成手段としての信号発生部24Aに対応している。また、信号発生部124Aは、水晶振動子22が接続された発振器21から出力される信号に基づいて、FM回路2を用いた動作試験に必要な試験信号を生成する。図5に示した逓倍器124が信号生成手段としての信号発生部124Aに対応している。
【0049】
本実施形態の受信機はこのような構成を有しており、AM回路1およびFM回路2のそれぞれに対して順番に動作試験が実施される。まず、CPU32によってAM回路1に対応する一方のスイッチ25のみがオン状態に制御され、信号発生部24Aから出力される所定周波数(例えば950kHz)の試験信号がAM回路1に入力される。AM回路1が正常に動作している場合には、この試験信号が中間周波信号に変換されてAM回路1から出力される。また、このとき切替スイッチ3がCPU32の制御によってAM回路1側に切り替えられており、AM回路1から出力される中間周波信号は、切替スイッチ3を介してレベル検出部30に入力され、レベル検出部30によるレベル検出が行われる。レベル検出部30の出力信号は電圧比較器31に入力されており、CPU32は、電圧比較器31の出力信号に基づいてAM回路1に対する動作試験結果の良否を判定し、判定結果をLCD34に表示する。
【0050】
次に、CPU32によってFM回路2に対応する他方のスイッチ125のみがオン状態に制御され、信号発生部124Aから出力される所定周波数(例えば85.5MHz)の試験信号がFM回路2に入力される。FM回路2が正常に動作している場合には、この試験信号が中間周波信号に変換されてFM回路2から出力される。また、このとき切替スイッチ3がCPU32の制御によってFM回路2側に切り替えられており、FM回路2から出力される中間周波信号は、切替スイッチ3を介してレベル検出部30に入力され、レベル検出部30によるレベル検出が行われる。レベル検出部30の出力信号は電圧比較器31に入力されており、CPU32は、電圧比較器31の出力信号に基づいてFM回路2に対する動作試験結果の良否を判定し、判定結果をLCD34に表示する。
【0051】
このように、本実施形態の受信機では、AM回路1とFM回路2のそれぞれに対して動作試験を行うために必要な試験信号を発生する構成(信号発生部24A、124A)と試験結果の良否を判定する構成を内蔵しており、外部の測定装置等を用いることなく動作状態を自己診断することが可能であり、外部の測定装置等の接続が不要であって、この接続に要する時間を省略することによる試験時間の短縮が可能となる。
【0052】
また、本実施形態の受信機では、AM回路1あるいはFM回路2内で局部発振信号を生成するために必要な発振器21の出力信号を用いて信号発生部24A、124Aによって試験信号を生成しているため、この試験信号を発生させるためだけに用いられる発振器が不要になり、構成の簡略化が可能になる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、LCD34に動作試験の結果を表示するようにしたが、試験結果をメモリ33に格納し、後に外部の読み取り装置(例えばパーソナルコンピュータ)によってこのメモリ33から試験結果を読み取るようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、中間周波信号のレベルをレベル検出部30によって検出して動作試験を行うようにしたが、信号の歪率を検出する等の他の方法を用いて動作試験を実施するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、半導体基板上に形成する範囲については説明していないが、アンテナ10、110、水晶振動子22、LCD34を除くすべての構成を半導体基板上に形成してこれらの部品の1チップ化を実現することにより、製造工程の簡略化、部品点数の低減等によるコストダウンが可能になる。
【0055】
また、上述した実施形態では、PLL回路20に入力する基準信号を生成するために用いられる発振器21の出力信号に基づいて試験信号を生成するようにしたが、受信機内に水晶振動子を用いた別の水晶発振器が備わっている場合、例えば、CPU32等のロジック回路の動作に必要なクロック信号を生成する水晶発振器が備わっている場合には、この水晶発振器の出力信号に基づいて試験信号を生成するようにしてもよい。特に最近では、多機能化や商品性向上等の観点からCPU32等のロジック回路を備える受信機が多くなっている。このような受信機では、ロジック回路の動作に必要なクロック信号を生成する水晶発振器は必須の構成要素であり、この水晶発振器を試験信号生成用に用いることにより、部品の共用化による装置構成の簡略化が可能になる。
【0056】
また、CPU32を用いて試験結果の良否を判定したが、CPU32に代えて簡単なロジック回路を用いて試験結果の良否判定を行うようにしてもよい。例えば。最も簡単な場合を考えると、電圧比較器31の出力端にLED(発光ダイオード)を接続し、電圧比較器31の出力信号がハイレベルのときにこのLEDを点灯させるようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、中間周波フィルタ16、116の出力をレベル検出部30に入力するようにしたが、AM検波回路17やFM検波回路117の出力をレベル検出部30に入力するようにしてもよい。例えば、AM検波回路17の出力には搬送波の振幅に応じた直流成分が重畳しており、レベル検出部30によってこの直流成分のレベル検出を行うようにしてもよい。これにより、動作試験に必要な装置構成の簡略化が可能になる。
【0058】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、動作試験に必要な試験信号の生成を行う構成と試験結果の良否判定を行う構成とを受信機内に含んでいるため、動作試験に際して外部の計測装置等との間で複雑な接続を行う必要がなく、動作試験に要する時間を短縮することができる。また、試験信号の生成は水晶発振器の出力信号を用いて行われるため、試験信号の生成に必要な構成を別に備える場合に比べて受信機の装置構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のAM受信機の構成を示す図である。
【図2】動作試験時におけるAM受信機の動作手順を示す流れ図である。
【図3】本実施形態のAM受信機の変形例を示す部分的な構成図である。
【図4】本実施形態のAM受信機の変形例を示す部分的な構成図である。
【図5】第2の実施形態のFM受信機の構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態の受信機の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 AM回路
2 FM回路
3 切替スイッチ
10、110 アンテナ
11、111 高周波増幅回路
12、112 混合回路
13、113 局部発振器
14、16、114、116 中間周波フィルタ
15、115 中間周波増幅回路
17 AM検波回路
20、27、120 PLL回路
21、26 発振器
22 水晶振動子
23、24、123 分周器
25、125 スイッチ
28 周波数シンセサイザ
30 レベル検出部
31 電圧比較器
32 CPU
33 メモリ
34 LCD
117 FM検波回路
124 逓倍器

Claims (6)

  1. 放送波の受信動作に必要な信号を生成する水晶発振器と、
    前記水晶発振器の出力信号を用いて、動作試験の試験信号を生成する信号生成手段と、
    前記試験信号を動作試験時にアンテナ入力部に入力するスイッチと、
    前記試験信号に対して受信動作を行ったときに生成される被測定信号に基づいて、受信動作の良否を判定する判定手段と、
    を備え、前記信号生成手段は、前記水晶発振器の出力信号を分周することにより、放送波の受信帯域に含まれる周波数を有する前記試験信号を生成する分周器であることを特徴とする受信機。
  2. 放送波の受信動作に必要な信号を生成する水晶発振器と、
    前記水晶発振器の出力信号を用いて、動作試験の試験信号を生成する信号生成手段と、
    前記試験信号を動作試験時にアンテナ入力部に入力するスイッチと、
    前記試験信号に対して受信動作を行ったときに生成される被測定信号に基づいて、受信動作の良否を判定する判定手段と、
    を備え、前記信号生成手段は、前記水晶発振器の出力信号を逓倍することにより、放送波の受信帯域に含まれる周波数を有する前記試験信号を生成する逓倍器であることを特徴とする受信機。
  3. 請求項1または2において、
    前記水晶発振器は、局部発振信号を生成する周波数シンセサイザに入力する基準信号の生成に用いられることを特徴とする受信機。
  4. 請求項1または2において、
    前記水晶発振器は、ロジック回路の動作に必要なクロック信号の生成に用いられることを特徴とする受信機。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記被測定信号は、前記試験信号と局部発振信号とを混合することにより生成される中間周波信号であり、
    前記判定手段は、前記中間周波信号のレベル検出を行うことを特徴とする受信機。
  6. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記被測定信号は、中間周波信号に対して検波処理を行った後の信号であり、
    前記判定手段は、前記検波処理が行われた信号のレベル検出を行うことを特徴とする受信機。
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