JP4321916B2 - モータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はモータ駆動ドラムブレーキに係り、特に、電動モータのブレーキ用回転に基づいて一対のブレーキシューを拡開させるアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動モータにより一対のブレーキシューを両側へ拡開させ、車輪と共に回転するブレーキドラムに押圧してブレーキ力を発生させるモータ駆動ドラムブレーキが、自動車や電車等の車両用ブレーキとして知られている。特公平6−100239号公報に記載されている装置はその一例で、電動モータによりねじ軸を回転駆動してナット部材を直線移動させることにより、そのナット部材に連結されたレバーを回動させ、そのレバーに係合させられた一対のブレーキシューを互いに離間させてブレーキドラムに押圧するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のモータ駆動ドラムブレーキは、ナット部材の直線移動をレバーの回動に変換してブレーキを作動させるようになっているため、構造が複雑で部品点数が多く、大きな取付けペースが必要であるとともに、ねじ軸やレバーを別々にバッキングプレートに組み付ける必要があり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、構造や組付作業が簡単で安価に構成されるとともに、コンパクトで取付けスペースが小さいモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、電動モータにより一対のブレーキシューを両側へ拡開させ、車輪と共に回転するブレーキドラムに押圧してブレーキ力を発生させるモータ駆動ドラムブレーキにおいて、前記電動モータのブレーキ用回転に基づいて前記一対のブレーキシューを拡開させるアクチュエータであって、(a) 前記一対のブレーキシューを拡開させる方向の一直線上に、その一直線方向の移動可能に配設されるとともに、前記電動モータのブレーキ用回転に伴ってその一直線まわりに回転駆動される回転スライド部材と、(b) その回転スライド部材の前記一直線方向の両端部の少なくとも一方にその一直線まわりの相対回転可能に嵌合され、その回転スライド部材と共に前記一対のブレーキシューの間に介在させられるとともに、その一直線まわりの回転が阻止されている突出部材と、(c) その突出部材と前記回転スライド部材との嵌合部分に設けられ、その回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ用回転に伴って前記一直線まわりに回転駆動されることにより、前記突出部材との相対回転に伴うねじの作用でその突出部材をその回転スライド部材から突き出す方向へ相対移動させるねじ機構と、を有し、且つ、(d) 前記電動モータと前記回転スライド部材との間の動力伝達経路には、動力を伝達、遮断することができるとともに伝達トルクを連続的に変化させることが可能なクラッチ装置が設けられているとともに、(e) 前記一対のブレーキシューは、リターンスプリングによって互いに接近する方向へ付勢されるようになっており、(f) 前記ねじ機構は、ブレーキ解除時に前記クラッチ装置によって前記電動モータと前記回転スライド部材との間の動力伝達が遮断されることにより、前記リターンスプリングの付勢力でその回転スライド部材が逆回転して前記一対のブレーキシューが互いに接近することを許容するように、ねじの諸元が定められていることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータにおいて、(a) 前記回転スライド部材の前記一直線方向の両端部には、捩れが反対の一対のねじ機構を介してその一直線まわりの相対回転可能に一対の突出部材が螺合されているとともに、その一対の突出部材は、それぞれその一直線まわりの回転が阻止された状態で前記一対のブレーキシューに係合させられ、その回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ用回転に伴ってその一直線まわりに回転駆動されることにより、それぞれそのねじ機構のねじの作用でその回転スライド部材から突き出す方向へ移動させられるようになっており、(b) 前記回転スライド部材は、軸方向の移動可能且つ軸心まわりの回転可能に保持ケースに保持されているとともに、その回転スライド部材の両端に螺合されている前記一対の突出部材は、それぞれその保持ケースに形成された開口から両側へ突き出していて、それ等の回転スライド部材および突出部材は、その保持ケースを介して前記モータ駆動ドラムブレーキのバッキングプレートに組み付けられるようになっており、(c) 前記回転スライド部材の外周面には、軸方向の相対移動可能且つ軸心まわりの相対回転不能に入力歯車が取り付けられているとともに、その入力歯車は前記保持ケースによって軸方向の移動が阻止されており、前記電動モータからその入力歯車を介してその回転スライド部材に前記ブレーキ用回転が伝達されるようになっていることを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第1発明または第2発明のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータにおいて、前記ねじ機構は多条ねじで構成されていることを特徴とする。
【0008】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかのモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータにおいて、前記クラッチ装置は、電磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させることができる電磁クラッチであることを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
第1発明のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータにおいては、電動モータのブレーキ用回転に伴って回転スライド部材が回転駆動されると、その回転スライド部材の端部に配設された突出部材がねじ機構のねじの作用で回転スライド部材から突き出され、一対のブレーキシューが拡開させられてブレーキドラムに押圧されることによりブレーキ力が発生させられる。その場合に、回転スライド部材は一直線方向の移動可能に配設されているため、寸法誤差や摩耗などに拘らず一対のブレーキシューが確実にブレーキドラムに押圧されるとともに、回転スライド部材を保持している保持ケース等に無理な力が生じる恐れがなく、リーディング・トレーリング式やデュオサーボ式のドラムブレーキなどに好適に適用される。
【0010】
ここで、本発明では回転スライド部材が回転駆動されることにより、少なくとも一方の端部に嵌合された突出部材が回転スライド部材から突き出されて、一対のブレーキシューを拡開させるため、構造が簡単で安価に構成されるとともに、コンパクトで取付けスペースが小さくなり、設計の自由度が高くなる。また、油圧により一対のピストンを両側へ突き出させて一対のブレーキシューを拡開させる従来の油圧式ホイールシリンダと同様の作用が得られるため、その油圧式ホイールシリンダの代わりに用いて、同様の使い方をすることが可能である。
また、ブレーキ解除時にクラッチ装置によって電動モータと回転スライド部材との間の動力伝達が遮断されることにより、リターンスプリングの付勢力で回転スライド部材が逆回転して一対のブレーキシューが互いに接近することを許容するようになっているため、電動モータを逆回転駆動してブレーキを解除する必要がない。
【0011】
第2発明では、回転スライド部材の両端部にねじ機構が設けられて一対の突出部材がそれぞれ突き出すようになっているため、リーディング・トレーリング式ドラムブレーキの場合、ブレーキ毎の回転スライド部材の軸方向(一直線方向)の移動が少なくなり、作動が安定するとともに耐久性が向上する。また、それ等の回転スライド部材および一対の突出部材は保持ケースに保持され、保持ケースを介してバッキングプレートに組み付けられるようになっているため、取扱いや組付作業が一層容易になる。また、回転スライド部材には入力歯車を介してブレーキ用回転が伝達されるが、その入力歯車と回転スライド部材との間で軸方向の相対移動が許容され、入力歯車自体は保持ケースによって軸方向の移動が阻止されているため、電動モータから入力歯車までの歯車列などで軸方向の相対移動を生じることがなく、歯車の歯面の偏摩耗などで耐久性が損なわれる恐れがない。
【0012】
第1発明では、ブレーキ解除時にクラッチ装置によって電動モータと回転スライド部材との間の動力伝達が遮断されることにより、リターンスプリングの付勢力で回転スライド部材が逆回転して一対のブレーキシューが互いに接近することを許容するようになっているため、ねじ機構のねじのリード角が比較的大きくなるが、第3発明では、ねじ機構が多条ねじで構成されているため、ブレーキ時にねじ機構を介して十分な大きさのブレーキ力を発生させることができる。
【0013】
第4発明では、電磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させることができる電磁クラッチがクラッチ装置として用いられているため、その伝達トルク制御と前記リターンスプリングの付勢力とで、ABS(アンチスキッドブレーキシステム)コントロールに従ってブレーキ力を高い応答性で極め細かく制御することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータは、リーディング・トレーリング式やデュオサーボ式のドラムブレーキに好適に適用され、従来の油圧式ホイールシリンダの代わりに用いることができる。常用ブレーキ用として設けることもできるが、パーキングブレーキ用として設けることも可能である。パーキングブレーキとして用いる場合、例えばクラッチ装置を接続したままにして、電動モータ等の回転抵抗によりリターンスプリングの付勢力などで回転スライド部材が逆回転しないように、ねじ機構のねじのリード角等の諸元を設定すれば良いが、前記特公平6−100239号公報に記載のように電動モータ等の逆回転を阻止するブレーキ維持機構を設けるようにしても良い。また、本発明のアクチュエータとは別に、ブレーキシューを拡開してパーキングブレーキを作用させる専用のパーキングブレーキ機構を設けるようにしても良い。
【0015】
ねじ機構は、例えば回転スライド部材の軸心に設けられたねじ穴(雌ねじ)、および突出部材に立設されたねじ軸(雄ねじ)によって構成されるが、回転スライド部材に雄ねじを設けて突出部材に雌ねじを設けるようにしても良い。突出部材は、例えばブレーキシューとの係合によって一直線まわりの回転が阻止されるが、保持ケースやバッキングプレートなど他の部材との係合で一直線まわりの回転が阻止されるようになっていても良い。
【0016】
第2発明では、回転スライド部材の両端部にねじ機構を介して一対の突出部材が設けられるが、他の発明の実施に際しては、回転スライド部材の一端部に単一の突出部材を設けるだけでも良く、その場合は、例えば回転スライド部材の他端部を直接ブレーキシューに一直線まわりの相対回転可能に係合させるようにしたり、回転スライド部材の他端部にねじ機構を介することなく一直線まわりの回転自在に連結部材を設けて、その連結部材をブレーキシューに係合させるようにしたりすれば良い。第2発明における一対のねじ機構は、捩れが反対であるが、ねじのリードや径寸法などは同じであっても違っていても良い。
【0017】
また、第2発明では回転スライド部材および一対の突出部材が保持ケースに配設されるようになっているが、それ等をドラムブレーキのバッキングプレートに直接組み付けることも可能である。第2発明の保持ケースには開口が設けられて突出部材が突き出しているが、この開口を、回転スライド部材が通過可能な大きさとすれば、その回転スライド部材の組付や交換などの作業を容易且つ迅速に行うことができる。第2発明の入力歯車は、例えば回止めキーやスプライン、セレーションなどを介して、軸方向(一直線方向)の相対移動可能に回転スライド部材に嵌合される。
【0018】
第3発明では多条ねじが採用されているが、他の発明の実施に際してはリードがピッチと等しい1条ねじを採用することもできる。
【0019】
クラッチ装置としては、第4発明の電磁クラッチや油圧式クラッチのように摩擦力で動力を伝達するとともに、その摩擦力すなわち伝達トルクを連続的に変化させることができる摩擦クラッチが好適に用いられる。第4発明では電磁クラッチによる伝達トルクの制御でブレーキ力を制御できるようになっているが、クラッチ装置を接続して動力伝達状態に維持したまま、電動モータのトルク制御や正逆回転制御でブレーキ力を制御することも可能である。
【0020】
第4発明の電磁クラッチは、例えばスプリング等の付勢手段により摩擦材を押圧して常には接続状態に保持するとともに、電磁力で付勢手段の付勢力に抗して摩擦力を低下させるように構成されるが、電磁力で摩擦力を発生させて接続状態にするものなど、伝達トルクを連続的に変化させることができる種々の電磁クラッチを採用できる。
【0021】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明がリーディング・トレーリング式のモータ駆動ドラムブレーキ10に適用された場合の一例で、その要部、すなわちアクチュエータ12が組み付けられた上端部分を示す正面図であり、図2は、図1におけるII−II断面図である。このモータ駆動ドラムブレーキ10は、車体に固設されるバッキングプレート14と、そのバッキングプレート14に略左右対称に配設された一対のブレーキシュー16、18と、その一対のブレーキシュー16、18の上端部間においてバッキングプレート14に位置固定に配設されたアクチュエータ12と、一対のブレーキシュー16、18の下端部間においてバッキングプレート14に位置固定に配設された図示しないアンカと、一対のブレーキシュー16、18に跨がって配設されて互いに接近する方向へ付勢するリターンスプリング20と、一対のブレーキシュー16、18の接近位置を規定するストラット22とを備えている。そして、常にはリターンスプリング20の付勢力に従って一対のブレーキシュー16、18は図1に示すようにストラット22に当接する接近位置(非ブレーキ状態)に保持されるが、アクチュエータ12により一対のブレーキシュー16、18の上端部が左右両側へ拡開させられると、車輪側に配設されたブレーキドラム24に押圧されてブレーキ力を発生する。
【0022】
アクチュエータ12は、保持ケース30内に一対のベアリングおよびスプラインなどを介して軸方向の移動可能且つ軸心まわりの回転可能に保持されている円筒形状の回転スライド部材32と、その回転スライド部材32の両端にそれぞれねじ機構34、36を介して同軸まわりの相対回転可能に螺合されている一対の突出部材38、40とを備えており、保持ケース30は、回転スライド部材32の軸心が一対のブレーキシュー16、18の拡開方向である一直線方向(図1の左右方向)と一致する姿勢で、溶接やかしめ、リベットなどの固設手段によりバッキングプレート14に一体的に固設されている。ねじ機構34、36は、回転スライド部材32の軸心上に設けられたねじ穴(雌ねじ)32R、32Lと、突出部材38、40に一体に設けられたねじ軸(雄ねじ)38s、40sとによって構成されているが、それ等のねじ機構34、36のねじの捩れは反対、すなわち一方は右ねじで他方は左ねじで、リードや径寸法等のその他の諸元は同じであり、回転スライド部材32に対して同じ方向へ相対回転させられると、対称的に回転スライド部材32から突き出しまたは引き込まれる。また、一対の突出部材38、40は、それぞれ保持ケース30の左右両側に設けられた開口から外部に突き出しており、頭部38h、40hに形成された切欠溝38a、40aがブレーキシュー16、18のシューウェブと係合させられることにより、軸心まわりの回転が阻止されているとともに、それ等の突出部材38、40の頭部38h、40hと保持ケース30との間はダストブーツ42、44で防塵されている。保持ケース30の両端開口は、回転スライド部材32よりも小径であるが、保持ケース30は複数の部材から構成されており、内部にベアリングや回転スライド部材32などを組み付けることができるようになっている。
【0023】
上記回転スライド部材32の外周面には、回止めキー46により軸方向の相対移動可能且つ軸心まわりの相対回転不能に入力歯車48が取り付けられている。入力歯車48は保持ケース30によって軸方向の移動が阻止されているとともに、ギヤケース50内に配設された減速ギヤ列52と噛み合わされており、電動モータ54によって回転駆動されるようになっている。電動モータ54は、クラッチ装置として電磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させることができる電磁クラッチ56を内蔵しており、その電磁クラッチ56により減速ギヤ列52との間の動力伝達が接続、遮断されるとともに、接続時には必要に応じてABS(アンチスキッドブレーキシステム)コントロールにより伝達トルクが制御されてブレーキ力が制御されるようになっている。電動モータ54と回転スライド部材32との間の減速ギヤ列52等が動力伝達経路である。ギヤケース50は、バッキングプレート14の裏側(車体側)へ突き出す状態で、溶接やかしめ、リベットなどの固設手段によりそのバッキングプレート14に一体的に固設されており、電動モータ54はそのギヤケース50に一体的に固設されている。
【0024】
そして、運転者のブレーキ操作に従って電動モータ54が作動させられ、そのブレーキ用回転が接続状態の電磁クラッチ56から減速ギヤ列52、入力歯車48を介して回転スライド部材32へ伝達されると、軸心まわりの回転が阻止されている一対の突出部材38、40はそれぞれねじ機構34、36のねじの作用で回転スライド部材32から突き出す方向へ移動させられ、これにより一対のブレーキシュー16、18が両側へ拡開させられてブレーキドラム24に押圧される。その場合に、回転スライド部材32は軸心方向(一直線方向)の移動可能に配設されているため、寸法誤差や摩耗に拘らず両ブレーキシュー16、18が均等にブレーキドラム24に押圧されるとともに、回転スライド部材32を保持している保持ケース30等に無理な力が生じる恐れがない。また、必要に応じてABSコントロールにより電磁クラッチ56の伝達トルクが制御されると、その伝達トルク制御とリターンスプリング20の付勢力とで、ブレーキ力が高い応答性で極め細かく制御される。
【0025】
一方、一対のブレーキシュー16、18が両側へ拡開させられた状態で、電動モータ54のブレーキ回転の作動が停止させられるとともに、電磁クラッチ56によって電動モータ54と回転スライド部材32との間の動力伝達が遮断されると、リターンスプリング20の付勢力で回転スライド部材32が逆回転させられ、一対のブレーキシュー16、18が互いに接近してストラット22に当接する接近位置まで戻される。前記ねじ機構34、36のねじのリード角等の諸元は、このように電磁クラッチ56によって電動モータ54と回転スライド部材32との間が遮断されると、リターンスプリング20の付勢力で回転スライド部材32が逆回転させられるように定められている。このようなことからリード角は比較的大きめに設定されるが、電動モータ54のモータトルクによって実用上十分なブレーキ力が得られるように、リードがピッチの2倍以上の多条ねじにて構成されている。なお、図1、図2では、一対の突出部材38、40の頭部38h、40hが共に保持ケース30に当接しているが、実際の使用状態ではブレーキシュー16、18の接近位置はストラット22によって規定され、頭部38h、40hが共に保持ケース30に当接することはない。
【0026】
このように、本実施例では回転スライド部材32が回転駆動されることにより、一対の突出部材38、40が回転スライド部材32から突き出されて一対のブレーキシュー16、18を拡開させるようになっているため、従来装置のようなレバーが不要であり、構造が簡単で安価に構成されるとともに、コンパクトで取付けスペースが小さくなり、設計の自由度が高くなる。また、油圧により一対のピストンを両側へ突き出させて一対のブレーキシュー16、18を拡開させる従来の油圧式ホイールシリンダと同様の作用が得られるため、その油圧式ホイールシリンダの代わりに、ブレーキ操作を電気信号で検出して常用ブレーキとして使用することができる。ブレーキの強弱は、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材の操作位置や操作力で検出することが可能であり、電動モータ54のトルク制御や電磁クラッチ56の伝達トルク制御でブレーキ力を制御すれば良い。
【0027】
また、本実施例では、回転スライド部材32の両端部にねじ機構34、36が設けられて一対の突出部材38、40がそれぞれ突き出すようになっているため、ブレーキ毎の回転スライド部材32の軸方向(一直線方向)の移動が少なく、作動が安定するとともに耐久性が向上する。また、それ等の回転スライド部材32および一対の突出部材38、40は保持ケース30に保持され、保持ケース30を介してバッキングプレート14に組み付けられるようになっているため、取扱いや組付作業が一層容易になる。減速ギヤ列52もギヤケース50内に配設されてバッキングプレート14に取り付けられるようになっているため、その取扱いや組付作業が容易である。
【0028】
また、回転スライド部材32には入力歯車48を介してブレーキ用回転が伝達されるが、その入力歯車48と回転スライド部材32との間で軸方向の相対移動が許容され、入力歯車48自体は保持ケース30によって軸方向の移動が阻止されているため、電動モータ54から入力歯車48までの減速ギヤ列52で軸方向の相対移動を生じることがなく、歯車の歯面の偏摩耗などで耐久性が損なわれる恐れがない。
【0029】
また、電動モータ54のブレーキ用回転の作動が停止させられるとともに、電磁クラッチ56によって電動モータ54と回転スライド部材32との間の動力伝達が遮断されると、リターンスプリング20の付勢力で回転スライド部材32が逆回転して一対のブレーキシュー16、18が互いに接近することを許容するようになっているため、電動モータ54を逆回転駆動してブレーキを解除する必要がない。また、ねじ機構34、36のねじのリード角は比較的大きくなるが、多条ねじで構成されているため、ブレーキ時にねじ機構34、36を介して十分な大きさのブレーキ力を発生させることができる。
【0030】
また、電磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させることができる電磁クラッチ56がクラッチ装置として用いられているため、その伝達トルク制御とリターンスプリング20の付勢力とで、ABSコントロールに従ってブレーキ力を高い応答性で極め細かく制御することができる。
【0031】
なお、上記実施例のアクチュエータ12は、保持ケース30の両端開口が回転スライド部材32よりも小径であったが、図3に示すように回転スライド部材32よりも大径の開口60a、60bが設けられた保持ケース60を採用することも可能である。その場合は、回転スライド部材32の組付や交換などの作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0032】
また、図4に示すアクチュエータ70は、入力歯車48を保持ケース60の軸方向の中心位置から一端側すなわち出力部材40側へずらした位置に配設した場合で、他端側へ延び出すようにギヤケース50に取り付けられる電動モータ54を含めた装置全体の軸方向長さ(図4における左右方向の寸法)が低減され、コンパクトに構成される。アクチュエータ70はまた、保持ケース60およびギヤケース50が、共通の一対のケース部材72、74にて構成されており、部品点数が少なくて安価になる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたモータ駆動ドラムブレーキの要部を示す図で、一部を切り欠いた正面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】本発明の別の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の更に別の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10:モータ駆動ドラムブレーキ 12、70:アクチュエータ 16、18:ブレーキシュー 20:リターンスプリング 30、60:保持ケース 32:回転スライド部材 34、36:ねじ機構 38、40:突出部材 48:入力歯車 54:電動モータ 56:電磁クラッチ(クラッチ装置)
Claims (4)
- 電動モータにより一対のブレーキシューを両側へ拡開させ、車輪と共に回転するブレーキドラムに押圧してブレーキ力を発生させるモータ駆動ドラムブレーキにおいて、前記電動モータのブレーキ用回転に基づいて前記一対のブレーキシューを拡開させるアクチュエータであって、
前記一対のブレーキシューを拡開させる方向の一直線上に、該一直線方向の移動可能に配設されるとともに、前記電動モータのブレーキ用回転に伴って該一直線まわりに回転駆動される回転スライド部材と、
該回転スライド部材の前記一直線方向の両端部の少なくとも一方に該一直線まわりの相対回転可能に嵌合され、該回転スライド部材と共に前記一対のブレーキシューの間に介在させられるとともに、該一直線まわりの回転が阻止されている突出部材と、
該突出部材と前記回転スライド部材との嵌合部分に設けられ、該回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ用回転に伴って前記一直線まわりに回転駆動されることにより、前記突出部材との相対回転に伴うねじの作用で該突出部材を該回転スライド部材から突き出す方向へ相対移動させるねじ機構と、
を有し、且つ、
前記電動モータと前記回転スライド部材との間の動力伝達経路には、動力を伝達、遮断することができるとともに伝達トルクを連続的に変化させることが可能なクラッチ装置が設けられているとともに、
前記一対のブレーキシューは、リターンスプリングによって互いに接近する方向へ付勢されるようになっており、
前記ねじ機構は、ブレーキ解除時に前記クラッチ装置によって前記電動モータと前記回転スライド部材との間の動力伝達が遮断されることにより、前記リターンスプリングの付勢力で該回転スライド部材が逆回転して前記一対のブレーキシューが互いに接近することを許容するように、ねじの諸元が定められている
ことを特徴とするモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータ。 - 前記回転スライド部材の前記一直線方向の両端部には、捩れが反対の一対のねじ機構を介して該一直線まわりの相対回転可能に一対の突出部材が螺合されているとともに、該一対の突出部材は、それぞれ該一直線まわりの回転が阻止された状態で前記一対のブレーキシューに係合させられ、該回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ用回転に伴って該一直線まわりに回転駆動されることにより、それぞれ該ねじ機構のねじの作用で該回転スライド部材から突き出す方向へ移動させられるようになっており、
前記回転スライド部材は、軸方向の移動可能且つ軸心まわりの回転可能に保持ケースに保持されているとともに、該回転スライド部材の両端に螺合されている前記一対の突出部材は、それぞれ該保持ケースに形成された開口から両側へ突き出していて、該回転スライド部材および該突出部材は、該保持ケースを介して前記モータ駆動ドラムブレーキのバッキングプレートに組み付けられるようになっており、
前記回転スライド部材の外周面には、軸方向の相対移動可能且つ軸心まわりの相対回転不能に入力歯車が取り付けられているとともに、該入力歯車は前記保持ケースによって軸方向の移動が阻止されており、前記電動モータから該入力歯車を介して該回転スライド部材に前記ブレーキ用回転が伝達されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータ。 - 前記ねじ機構は多条ねじで構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータ。 - 前記クラッチ装置は、電磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させることができる電磁クラッチである
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のモータ駆動ドラムブレーキ用アクチュエータ。
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