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JP4320850B2 - 光・電気配線基板及び実装基板並びにこれらの製造方法 - Google Patents

光・電気配線基板及び実装基板並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光配線と電気配線とが混在する光・電気配線基板、並びにその基板上に光部品と電気部品を実装する実装基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
より速く演算処理が行えるコンピュータを作るために、CPUのクロック周波数は益々増大する傾向にあり、現在では1GHz程度のものが出現するに至っている。この結果、コンピュータの中のプリント基板上の銅による電気配線には高周波信号が流れる部分が存在することになるので、ノイズの発生により誤動作が生じたり、また、電磁波が発生して周囲の電子機器に影響を与えることにもなる。
【0003】
このような問題を解決するために、プリント基板上の銅による電気配線の一部を光ファイバ又は光導波路による光配線に置き換え、電気信号の代わりに光信号を利用することが行われている。というのは、光信号の場合は、ノイズ及び電磁波の発生を抑えられるからである。
【0004】
高密度実装又は小型化の観点からは、電気配線と光配線とが同一の基板上で積層されている光・電気配線基板を作製することが望ましいが、従来の光・電気配線基板は、レーザ発光素子や受光素子などの光部品を実装するとき、光部品の光軸と光配線用部材の光軸とを光学的に一致させることが難しく、一般に熟練労働者に頼らなければ一致させられなかった。従って、リフロー炉などで自動的にハンダ付けできる電気部品と比較して、光部品を光・電気配線基板に実装することは、非常に高価なものになるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、係る従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、高密度実装又は小型化が可能で、しかも光部品の実装が電気部品の実装と同じ方法で行える光・電気配線基板の構造を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記課題を達成するために、まず請求項1記載の発明は、
電気配線が埋設された電気配線基板に、光信号伝搬用の光導波路が埋設された光基板を積層する光・電気配線基板において、貫通孔が形成された前記光基板と、前記電気配線基板から前記貫通孔を貫通し、前記光基板表面から突き出る複数の支柱と、を有することを特徴とする光・電気配線基板である。
【0007】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の光・電気配線基板において、前記支柱が導電性金属からなり、前記電気配線基板と導通していることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、
請求項1又は請求項2記載の光・電気配線基板において、前記支柱の径が50〜500ミクロンで、基板表面からの高さが20〜200ミクロンであることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光・電気配線基板の光・電気配線基板上に形成した支柱を、光部品又は/及び電気部品側に設けた凹部に挿入して光部品又は/及び電気部品を実装したことを特徴とする実装基板である。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光・電気配線基板の光・電気配線基板上に形成した支柱を、光部品又は/及び電気部品側に設けた凹部に挿入して光部品又は/及び電気部品を実装したことを特徴とする実装基板である。
また請求項5記載の発明は、電気配線基板に金属配線及び導電性の金属支柱を形成する工程と、光信号伝搬用の光導波路が埋設された光基板に貫通孔を形成し、該貫通孔に前記導電性の金属支柱が貫通して突き出るように積層する工程と、を有することを特徴とする光・電気配線基板の製造方法である。
また請求項6の発明は、請求項5に記載の光・電気配線基板の製造方法において、前記導電性の金属支柱を、光部品又は/及び電気部品側に設けた凹部に挿入して光部品又は/及び電気部品を実装することを特徴とする実装基板の製造方法である。
【0011】
本発明の光・電気配線板は電気配線10、11、12、13を備えた基板8上に、光基板9が積層されている構造をとる。この基板8は単層の絶縁基板でも、電気配線と絶縁層が交互に積層された多層配線基板でも良い。また、構成材料として、ガラス布に樹脂を含浸させた絶縁基板でも、ポリイミドフィルムでも、セラミック基板でも良い。
【0012】
光基板9には、光信号を伝搬される光配線としてコアパターン2が、コア材料より低い屈折率を有するクラッド層1に埋設されている。このコアパターンはフォトリソグラフィ技術で形成されるため、その位置は支持基板上に形成したアライメントマーク(図示せず)によって決めることができる。
【0013】
光基板9には光信号であるレーザ光を反射させ90°に伝搬方向を変えるミラー3が形成される。このミラーは、本発明の光・電気配線板上に搭載したレーザ発光素子から基板に向かって垂直方向に発した光信号を、基板面と並行に配置した光配線へ挿入したり、逆に、光配線を伝搬してきた光信号を、本発明の光・電気配線基板上に設置した受光素子へ向かって、垂直に光信号の伝搬方向を変える役割を果たし、光配線の一部に、基板に対し45°をなす面を形成する。このミラーは光基板上にフォトリソグラフィ技術により形成したメタルマスクをもとにエッチング法を用いた穿孔による加工、またはレーザによる穿孔による加工により形成できるので、その位置は基板8上に形成したアライメントマーク(図示せず)によって決めることができる。
【0014】
ミラー3の周辺部には、レーザ発光素子や受光素子などの光部品と電気接続を取るための支柱4、5、6、7が光基板を貫通するか、もしくは光基板上に形成されることで光基板表面から見て一定の高さまで突き出ている。これらの支柱は銅等の金属が好ましく、この場合基板9に形成された電気配線10、11、12、13と導通することが出来るが、必ずしも導通している必要はない。単なる支柱でも構わない。
【0015】
光基板上部から突き出た支柱4、5、6、7は光部品側に設けられた凹部に無理なく収容されて、支柱頂部と光部品凹部周辺とハンダ付けされる。光部品凹部の形と支柱の形状を相似にして、くい込むようにすると光部品の移動できる範囲は限定される。従って、発光レーザーの光軸と幅が数ミクロンのミラー(光導波路)3の光軸とを精度良く一致させ、且つ強固に固定でき、必要であれば電気配線と電気的に導通することが可能である。また、光部品凹部はバンプ形成等定法によりメッキにて精度良く形成できる。
【0016】
柱状頂部にはNi/Auメッキ等の表面処理を施すのが望ましい形態である。一方、IC等の電気部品も同様に基板8上の電気配線と導電性の金属支柱を介して電気接続される。支柱はフォトリソグラフィ技術とメッキ技術にて形成するので、その位置は基板8上に形成したアライメントマーク(図示せず)によって決めることができる。
【0017】
2.光・電気配線基板の製造方法
本発明になる光・電気配線基板の構成を図面を用いて詳しく説明する。
(1) 光基板の製造方法
フィルム状の光基板を以下の手順で形成した(図2参照)。シリコンウエハー30上に樹脂31(光を導波する光基板の支持媒体でクラッド層の役割を果たすもので、フッ素化ポリイミド系樹脂の前駆体であるフッ素化ポリアミック酸またはフッ素化エポキシ系樹脂等から選択する)を厚さ20〜100ミクロン程度塗布する(工程(a) )。ポリアッミク酸溶液の場合であればイミド化するために350度で1〜2時間焼成する。エポキシ系樹脂であればUV硬化もしくは100〜200度でポリマー化する。
【0018】
次いで、光導波路となる樹脂32、例えばフッ素系ポリアミック酸溶液あるいはポリメチルメタクリレート樹脂溶液など導波すべき波長に好適な屈折率を有する樹脂を選択して適切な方法で均一に8ミクロン塗布する(工程(b) )。感光性があれば定法のフォトリソ法でパタニングして光導波路33を形成し、その後材料に応じた硬化反応を行う。感光性がなければ硬化させた後に所定パタンの金属マスクを形成してRIEドライエッチングにより導波路パタンを形成する(工程(c) )。さらに、先に形成したクラッド層と同じ材料を同様に厚さ20〜100ミクロン程度塗布する。
【0019】
次いで、光基板の所望の位置に貫通孔34を形成した(工程(d) )。所定のパターンを有するマスクを介し、エキシマレーザを照射して孔を形成する。次に、シリコンウエハーからフィルムを剥離すると貫通孔を含むフィルム状の光基板35を形成で出来る(工程(e) )。この方法では完全な貫通孔が形成できカスは全く残らなかった。
【0020】
(2) 電気配線基板の製造方法
次いで、電気配線基板の製造方法について述べる(図3参照)。ガラスエポキシ基板等適切な絶縁基板上40にメッキ法あるいはスパッタあるいは蒸着法等により20ミクロン程度の銅薄膜を形成する。定法のフォトリソ法により所望の金属配線41を形成する。複数の支柱を形成するため、金属薄膜42をスパッタにて形成し(工程(f) )、その上からドライフィルムレジスト43を張り付け、定法の露光現像を行い開口部44を形成する(工程(g) )。次に、金属薄膜42を陰極として銅メッキを行い開口部内部を出来るだけ銅で埋設する(工程(h) )。レジストを剥離し(工程(i) )、金属薄膜をエッチング除去すると銅支柱45が金属配線上に形成できる(工程(j) )。支柱の形状は円支柱型、4角支柱型等光部品の端子開口部に見合った形状のマスクを用いる。高さはレジストの膜厚あるいはメッキにかける時間で制御する。概ね径は30〜200ミクロン、高さも100〜200ミクロン程度が望ましい。
【0021】
(3) 光・電気配線基板の製造方法
電気基板上の複数の支柱45を光基板35と電気基板40をアライメントをとって積層するためのガイドをして使う(図4参照)。即ち、光基板フィルムに形成した貫通孔を導電性の金属等からなる支柱が貫通して突き出るように積層する(工程(k) )。光基板の電気基板と接触する側に接着剤14を塗布して、光基板と電気基板を完全に接着固定するのが望ましい形態である。
【0022】
さらに、積層した基板の表面に金属薄膜46をスパッタにて形成し(工程(l))、フォトレジスト47を塗布する。露光・現像処理を行い、ミラー形成のためのフォトレジスト開口部48を形成する(工程(m) )。
【0023】
エッチングにより金属薄膜46に開口部49を形成し、ミラー形成のためのメタルマスクを形成する。さらに、基板を45°に傾斜させ、RIEドライエッチングによりミラー50を形成し(工程(n) )、メタルマスクを溶解除去することにより本発明の光・電気配線基板を完成させた(工程(o) )。
【0024】
光・電気配線基板の別の製法として、ビルドアップ工法がある。これは光基板と電気基板を別々に製造してから積層するのではなく、電気基板の上に直接に光基板素材をパタニングしながら積層する。支柱は光基板をビルドアップする前に電気基板に形成してもよいし、光基板を積層してからビアホール形成、メッキ埋め込みをして形成してもよい。
【0025】
3.実装基板の製造方法
図5に、一例として発光用レーザを内包する光部品(レーザ、フォトダイオード)22の導通用端子側凹部24に光基板上から突き出た金属支柱を収容してハンダ付けした様子を模式的に示した。凹部24に薄くハンダ付けをした後、金属支柱5、7を光部品の端子凹部に軽く差し込んだ。凹部の形状は半径80ミクロンの円形で深さは50ミクロンとした。金属支柱の数は4ヶで形状は半径75ミクロンの円形であった。電気部品(CPU、メモリ)用の端子は薄くハンダ付けされた金属パッド上に置いた。
【0026】
温度250度のリフロー炉に10秒静置した後冷却すると、光部品の端子は凹部の形状と溶融ハンダの表面張力で決まる平衡位置に固定され、レーザーの光軸はミラーの中心位置±3ミクロンに収まっていることが確認された。電気部品と同じように凹部がない平坦な金属端子と導通用支柱間でハンダを介して接着した場合は、光部品の固定位置が安定せず±50ミクロン程度の誤差が生じた。凹部は電気的導通と光配線用のミラーとの精度の高いアライメントを確保するだけでなく、支柱頂部が直接パッドとしてハンダにより光部品側の金属端子と導通しているので接続の信頼性も向上した。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、次のような効果を奏する。
第1に、電気配線を有する基板の上に光配線層を設けるので、高密度実装又は小型化が可能である。
【0028】
第2に、光基板のミラーを含むコアパターンと光部品搭載用の支柱の相互の位置関係が意図されたものに極めて高精度で一致する。
【0029】
第3に、光部品の端子が光基板上の凹部に精度良く収容されるので、光部品の光軸と光配線の光軸とを光学的に一致させることが容易であり、それゆえ光部品と電気部品とを同時に自動的実装できる。
【0030】
第4に、光部品、あるいは、電気部品をハンダ付けする際、めっきで形成された導電性支柱に直に接続すれば、ハンダ溶融熱の影響を受けず、接続の信頼性が向上する。同時に、基板上の電気配線との接続の信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係わる光・電気配線基板における光部品を実装する部分の平面図。
(b)本発明に係わる光・電気配線基板における光部品を実装する部分において、光導波路に平行に切断した場合の断面図。
【図2】本発明に係る光基板の製造プロセスの一例を示す説明図。
【図3】本発明に係る電気配線基板の製造プロセスの一例を示す説明図。
【図4】本発明に係わる光基板と電気配線基板を支柱を使って積層する一例を示す説明図。
【図5】本発明に係わる光・電気配線基板に一例としてレーザ発光素子を実装した場合のレーザ光の伝搬を説明する説明図。
【符号の説明】
1 クラッド層
2 光導波路(コア層)
3 ミラー
4 支柱
4aパッド
5 支柱
5aパッド
6 支柱
6aパッド
7 支柱
7aパッド
8 基板
9 光基板
10 電気配線
11 電気配線
12 電気配線
13 電気配線
14 接着剤
21 レーザ光
22 レーザ発光素子
23 レーザ発光面
24 導通用端子凹部
25 ハンダ
30 シリコン基板
31 クラッド層
32 コア層
33 導波路
34 貫通孔
35 光基板
40 絶縁基板
41 電気配線
42 金属薄膜
43 フォトレジスト
44 フォトレジスト開口部
45 支柱
46 金属薄膜
47 フォトレジスト
48 フォトレジスト開口部
49 金属薄膜開口部
50 ミラー

Claims (6)

  1. 電気配線が埋設された電気配線基板に、光信号伝搬用の光導波路が埋設された光基板を積層する光・電気配線基板において、
    貫通孔が形成された前記光基板と、
    前記電気配線基板から前記貫通孔を貫通し、前記光基板表面から突き出る複数の支柱と、
    を有することを特徴とする光・電気配線基板。
  2. 前記支柱が導電性金属からなり、前記電気配線基板と導通していることを特徴とする請求項1記載の光・電気配線基板。
  3. 前記支柱の径が50〜500ミクロンで、基板表面からの高さが20〜200ミクロンであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光・電気配線基板。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光・電気配線基板の前記支柱を、光部品又は/及び電気部品側に設けた凹部に挿入して光部品又は/及び電気部品を実装したことを特徴とする実装基板。
  5. 電気配線基板に金属配線及び導電性の金属支柱を形成する工程と、
    光信号伝搬用の光導波路が埋設された光基板に貫通孔を形成し、該貫通孔に前記導電性の金属支柱が貫通して突き出るように積層する工程と、
    を有することを特徴とする光・電気配線基板の製造方法。
  6. 請求項5に記載の光・電気配線基板の製造方法において、前記導電性の金属支柱を、光部品又は/及び電気部品側に設けた凹部に挿入して光部品又は/及び電気部品を実装することを特徴とする実装基板の製造方法。
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