JP4305230B2 - 柱と梁の接合構造 - Google Patents
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Description
本発明の柱と梁の接合構造は、上記のように構成されているので、接合構造が極めて簡単であるうえに、接合金物のリブ部材が塑性変形することによって地震時におけるエネルギーを十分に吸収することができるとともに、アングル部材によって柱と梁を接合することにより梁の柱軸まわりの回転を防止することができる。
したがって、本発明の接合金物を使用することにより、短い工期でかつ低コストで耐震性に富む柱と梁の接合を施工することができる。
リブ部材はアングル部材のコーナ部との間に空間部を設けることによって、地震時、梁及び柱から伝達される軸力によってエネルギーを吸収できるようにする。そしてさらに、リブ部材を梁ウェブと同一鉛直面内に位置するように設置することにより、リブ部材のエネルギー吸収を効率よく行わせることが可能となる。
リブ部材は、辺の長さが最も長くなる外側縁端部が座屈により波打ち現象を生じやすい。このような座屈を防ぐために、補剛材等を用いて座屈補剛するものである。
本発明の柱1と梁2の接合構造は、接合部の上側及び下側のいずれか一方を第1の接合金物3によりピン接合とし、他方をアングル部材41とリブ部材42とからなる第2の接合金物4を介して接合するものである。まず、これらの接合金物について詳しく説明する。
図3には、本発明における第2の接合金物4(梁端ダンパーとも呼ぶ)の3つの例が示されている。第2の接合金物すなわち梁端ダンパー4は、梁1の変形によるエネルギー吸収を目的とする接合部材である。梁端ダンパー4のリブ部材42が主にエネルギー吸収機能(制振ダンパー機能)を有する。同図(a)から(c)はいずれも梁端ダンパー4の正面図である。また、各梁端ダンパー4の取付部は全て同じであるので、(d)、(e)に(a)のA−A及びB−Bからみた取付部の上面図及び側面図を示してある。これらの梁端ダンパー4は、構成部材であるアングル部材41の形態が異なるだけである。
リブ部材42は、柱取付部41aと梁取付部41bとを溶接で連結されたプレート(斜材)であり、円弧コーナ部41cとの間は接続されていない空間部43を有する構成である。
ピン接合とは、梁の回転を許容する接合方法であり、その一つの例が図1、図2に示されている。これらの図に示す第1の接合金物3は、柱側壁1aに複数の高力ボルト5で締結されるプレート31と、このプレート31及び他方の梁上フランジ2aの両方に溶接32で固着される突起部33とからなっている。
また、図4(a)から(c)に第1の接合金物3によるその他のピン接合の例を示している。同図(a)は、第1の接合金物3をアングル部材またはL形部材で構成したものであり、同図(b)はT形部材、同図(c)はヒンジ結合部材で、それぞれ第1の接合金物3を構成したものである。これらの部材はいずれも高力ボルト5で柱1及び梁2に緊結される。同図(d)は、第1の接合金物3を用いないピン接合の例で、H形鋼梁上部フランジ部分を直接、柱材に溶接したものである。梁ウェブと柱1とは、ある隙間を持って取り付けられている。なお、図1、図2、図4において、7は第1及び第2の接合金物と、H形鋼梁上部フランジ部分の取付部において、H形鋼からなる柱1のフランジ間に水平に溶接で取り付けられた補強板である。柱が閉鎖断面の角形鋼管の場合には内部にダイヤフラムが溶接で取り付けられる。
柱1は、鉄骨柱であり、ここではH形鋼で示されているが閉鎖断面の鋼管柱でもよい。鋼管柱の場合、内部にコンクリートや鉄筋コンクリートが充填されていてもよい。本発明の接合構造を適用できるものであれば柱1の断面形状は問われない。
梁2は、H形鋼で示されているがI形鋼でもよい。また、第1の接合金物3と第2の接合金物4とは図示とは上下逆に取り付けられていてもよい。すなわち、第1の接合金物3を梁下フランジ2bに、第2の接合金物4を梁上フランジ2aと接合するように取り付けてもよい。なお、図1、図2とも、柱1と梁2は、ある隙間を持って取り付けている。
したがって、本実施形態の接合構造によれば、地震時等における柱と梁の接合部でのエネルギー吸収と梁の柱軸まわりの回転防止を極めて簡単な構造で効率よく行うことができる。しかも、第1、第2の接合金物は構成が簡単で部品点数も少ないものであるため、工期の短縮、工事費の低コスト化に貢献する。また、地震による被害が第1、第2の接合金物の破損程度にとどまりやすいため復旧工事が容易かつ短い期間で実施できる。
また、リブ部材42の座屈を防止するために、図5に示すような溝形鋼等からなる座屈補剛材44をリブ部材42に取り付けるようにしてもよい。同図(a)は座屈補剛材44の取付前、(b)は取付後の状態を示す。座屈補剛材44は、リブ外側縁端部に沿った方向に滑ることができるように、針金45等を複数巻きにすることで、リブ部材42に取り付ければよい。また、リブ部材42の断面をT形やL形にして外側縁端部を厚くしてもよい。
リブ部材42は、辺の長さが最も長い外側縁端において座屈を生じやすいので、この部分を座屈補剛材44等で座屈補剛するものである。
試験方法は、図7に示すように、片持ち梁の自由端に上下方向の交番載荷を次の変位対スパンの条件で各2回ずつ行った。
変位対スパン:1/1000,1/800,1/400,1/200,1/100,1/66,1/50,1/25
試験体No.5は、第2の接合金物に対応する接合部材がリブ部材が無くアングル部材のみであるため、図9の履歴曲線から明らかなように、エネルギーの吸収はほとんど全く不可能である。
一方、試験体No.1とNo.7は、本発明の梁端ダンパーを用いたものであるため、図8、図10の履歴曲線に見られるようにループ面積が大きく、リブ部材によるエネルギー吸収が十分に行われていることがわかる。ただ、図8、図10の履歴曲線を比べると、前者のループ面積がやや小さくなっている。これは、No.1のR寸法がNo.7に比べてかなり小さいことが原因であると考えられる。
1a 柱側壁
2 梁
2a 梁上フランジ
2b 梁下フランジ
2c 梁ウェブ
3 第1の接合金物
31 プレート
33 突起部
4 第2の接合金物
41 アングル部材
42 リブ部材
43 空間部
44 座屈補剛材
Claims (4)
- 柱と梁の接合部の上側及び下側のいずれか一方をピン接合とし、他方をアングル部材とリブ部材とからなる接合金物を介して接合することを特徴とする柱と梁の接合構造。
- 前記接合金物は、前記リブ部材と前記アングル部材のコーナ部との間に空間部を有し、該リブ部材が梁ウェブと同一鉛直面内に位置するように設置することを特徴とする請求項1記載の柱と梁の接合構造。
- 前記リブ部材の外側縁端部が座屈補剛されていることを特徴とする請求項1または2記載の柱と梁の接合構造。
- 前記リブ部材は低降伏点鋼からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の柱と梁の接合構造。
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