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JP4304510B2 - 難燃性添加剤、並びにエマルション型コーティング剤及び難燃性組成物 - Google Patents

難燃性添加剤、並びにエマルション型コーティング剤及び難燃性組成物 Download PDF

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JP4304510B2 JP2005031622A JP2005031622A JP4304510B2 JP 4304510 B2 JP4304510 B2 JP 4304510B2 JP 2005031622 A JP2005031622 A JP 2005031622A JP 2005031622 A JP2005031622 A JP 2005031622A JP 4304510 B2 JP4304510 B2 JP 4304510B2
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Description

本発明は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、繊維、更にはコーティング剤、シーラントなどに使用される難燃性添加剤及びそれを含有してなるエマルション型コーティング剤、難燃性組成物に関する。詳しくは、ハロゲン系ガスを発生しないリン系の難燃性添加剤及びこれを用いたエマルション型コーティング剤、難燃性組成物に関する。
従来より、樹脂やエラストマーに難燃性を付与する目的で種々の難燃性添加剤が使用されてきた。しかし、最近、難燃技術の主流であったハロゲン含有化合物を単独でもしくは酸化アンチモンなどのアンチモン化合物と組み合わせて難燃剤とし、それを熱可塑性樹脂に配合した難燃性樹脂組成物が、燃焼時又は成形時等にハロゲン系ガスを発生することが問題視されている。また、金属水酸化物は難燃性を発現するために大量に配合する必要があり、そのため、加工性、機械的強度が損なわれるといった問題点があった。
一方、リン化合物が有力な選択肢として期待され、実際広く用いられている。各種リン化合物の中で、ポリリン酸アンモニウムは高いリン含量を有すると同時に、リンと相乗効果を有すると言われている窒素原子を分子内に有するため、各種樹脂組成物に添加した場合、高い難燃性の付与が期待される。
しかしながら、ポリリン酸アンモニウムは耐水性に問題があり、樹脂組成物においては高温多湿の条件下におかれた場合、ブリードを生じる、電気特性が著しく低下する等の問題点を生じる。また、繊維表面に処理する場合、通常エマルジョン液でコーティングするが、吸湿による凝集により不均一に処理されるため、難燃性が発現しにくいといった問題点があった。この問題点を解決するために様々な検討が行われている。
その解決方法の一つに、メラミン系化合物でポリリン酸アンモニウム粉体表面を被覆等の処理をすることによる改善が提案されている(特許文献1〜4:特公昭53−15478号公報、特公昭52−39930号公報、特開昭61−103962号公報、特開平8−183876号公報等)。しかし、これらの方法は、製法が困難で粒子同士の凝集が起こってしまったり、耐水性が依然不十分であったり、ホルムアルデヒドが発生したり、またメラミン系化合物は各種樹脂への分散性に問題があるため、メラミン系化合物被覆ポリリン酸アンモニウムの樹脂への分散性が低下するといった問題点を有している。
ポリリン酸アンモニウムの耐水性や分散性を改善する手段として、シラン系のカップリング剤で処理することによる提案もなされている(特許文献5〜7:特公平6−6655号公報、特公平6−4735号公報、特公平6−18944号公報等)。しかし、これらの方法による処理も、撥水効果が不十分であり、電気特性の低下等の諸問題を解決するのには不十分であった。
更にシリコーンオイルで表面被覆された微粉末シリカで改質したポリリン酸アンモニウムが提案されている(特許文献8:特開平8−134455号公報)。しかし、この方法による処理も撥水効果が不十分であり、電気特性の低下等の諸問題を解決するのには不十分であった。
また、熱可塑性樹脂にシリコーンオイル及び/又はシリコーン樹脂とポリリン酸アンモニウムを別々に添加する方法も提案されている(特許文献9〜11:特開昭64−14277号公報、特開平5−39394号公報、特公平6−43558号公報等)。しかし、これらの方法では、やはりポリリン酸アンモニウムが吸湿され表面に析出し、樹脂の物性を損なう問題があった。
特公昭53−15478号公報 特公昭52−39930号公報 特開昭61−103962号公報 特開平8−183876号公報 特公平6−6655号公報 特公平6−4735号公報 特公平6−18944号公報 特開平8−134455号公報 特開昭64−14277号公報 特開平5−39394号公報 特公平6−43558号公報
本発明は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、繊維、更にコーティング剤、シーラントなどに好適に使用され、耐吸湿性、分散性に優れた、ハロゲン系ガスを発生しないリン系の難燃性添加剤及びこれを用いたエマルション型コーティング剤と難燃性組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)成分としてリン原子と窒素原子との両方を含有する化合物よりなる群の中から選択されたガス発生剤又はリン含有化合物と窒素含有化合物との混合物からなるガス発生剤に、(B)成分として、(i)下記一般式(1)
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b4を満足する正数である。)
で示されるケイ素原子数2〜10のシロキサンオリゴマーと、(ii)下記一般式(2)
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物と、(iv)下記一般式(3)
(R1k(OR23-kSi−Y−Si(R1k(OR23-k (3)
(但し、式中R1及びR2は上記と同様であり、Yは−R−(SiR7 2O)m−SiR7 2−R−基であり、ここでR7は炭素原子数1〜6のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、mは1〜30の整数である。また、kは0又は1である。)
で示されるビス(アルコキシシリル)基含有化合物又はその部分加水分解物とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させたものを含むシリコーン系撥水処理剤を併用することにより、耐吸湿性、分散性に優れたリン系難燃性添加剤を得ることが可能となることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記難燃性添加剤、並びにエマルション型コーティング剤及び難燃性組成物を提供する。
[I](A):リン原子と窒素原子との両方を含有する化合物よりなる群の中から選択されたガス発生剤又はリン含有化合物と窒素含有化合物との混合物からなるガス発生剤80〜99.8質量%と、
(B):(i)下記一般式(1)
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b4を満足する正数である。)
で示されるケイ素原子数2〜10のシロキサンオリゴマー100質量部と、
(ii)下記一般式(2)
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49質量部と、
(iv)下記一般式(3)
(R1k(OR23-kSi−Y−Si(R1k(OR23-k (3)
(但し、式中R1及びR2は上記と同様であり、Yは−R−(SiR7 2O)m−SiR7 2−R−基であり、ここでR7は炭素原子数1〜6のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、mは1〜30の整数である。また、kは0又は1である。)
で示されるビス(アルコキシシリル)基含有化合物又はその部分加水分解物0.1〜20質量部と
を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物
を含むシリコーン系撥水処理剤0.2〜20質量%と
からなる難燃性添加剤。
[II]上記難燃性添加剤を0.1〜50質量%含有するエマルション型コーティング剤。
[III]樹脂又はエラストマーをベースポリマーとし、上記難燃性添加剤を0.1〜30質量%含有する難燃性組成物。
なお、上記難燃性添加剤は、(A)成分の粒子表面を(B)成分のシリコーン系撥水処理剤で被覆した粉体であることが好ましい。
本発明の難燃性添加剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、繊維、更にコーティング剤、シーラントなどに使用した場合に、優れた耐吸湿性、分散性を有するものである。
本発明における(A)成分は、リン原子と窒素原子との両方を含有する化合物よりなる群の中から選択されたガス発生剤又はリン含有化合物と窒素含有化合物との混合物からなるガス発生剤であり、好ましくはガス発生剤はリン原子と窒素原子との両方を含有する化合物、特に無機の化合物である。
そのようなリン原子と窒素原子との両方を含有する化合物の適切なものとしては、一般式(NH4c+2c3c+1(cは2以上の整数、好ましくは20〜1,000)を有するポリリン酸アンモニウム、第一級オルトリン酸アンモニウム(NH42HPO4、第二級オルトリン酸アンモニウム(NH4)H2PO4、第三級オルトリン酸アンモニウム(NH4)H3PO4のようなリン酸アンモニウム、第一級ピロリン酸アンモニウム(NH4)H327、第二級ピロリン酸アンモニウム(NH42227、及びその他の(NH43HP27、(NH4427などのピロリン酸アンモニウム、(NH4)H2PO3、(NH42HPO3などの亜リン酸アンモニウム、(NH42226、(NH42225、(NH43HP26などの次リン酸アンモニウム、(NH4)H2PO2、(NH42HPO2などの次亜リン酸アンモニウム、(NH4)PO3などのメタリン酸、並びに亜リン酸二水素アンモニウム(NH4)H2PO3などがある。
更に、他の金属元素を有する化合物も包含される。例えば、リン酸アンモニウムナトリウムNaNH4HPO4、リン酸マグネシウムアンモニウム(NH4)MgPO4、リンモリブデン酸アンモニウム(NH43PO4・12MoO3、リンタングステン酸アンモニウム(NH43PO4・12WO3、リン酸コバルトアンモニウム(NH4)CoPO4、リン酸マンガンアンモニウム(NH4)MnPO4などがある。
更に、ハロゲン含有化合物、例えば、二フルオロリン酸アンモニウム(NH4)PO22、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NH4)PF6、三塩化ジアミノリンCl3P(NH22、窒化塩化リン三量体(PNCl23など、並びにその他の、例えばホスホアミドOP(NH22、メタホスミン酸P33(OH)6及びそのアンモニウム塩P3363(NH43、トリチオリン酸アンモニウム(NH43POS3などのような化合物も含まれる。上記の化合物の水和塩も包含される。
リン原子と窒素原子との両方を含有するガス発生剤のその他の例は、窒素含有ペンテート塩、メラミンピロホスフェート、ホスフィンオキシドなどである。
好ましくはポリリン酸アンモニウムであり、該ポリリン酸アンモニウムは市販品を使用することもでき、該市販品としては、エキソリット(Exolit)−422(商品名、ヘキスト社製)、エキソリット(Exolit)−700(商品名、ヘキスト社製)、フォスチェク(Phos−chek)−P/30(商品名、モンサント社製)、フォスチェク(Phos−chek)−P/40(商品名、モンサント社製)、スミセーフ−P(商品名、住友化学株式会社製)、テラージュ(TERRAJU)−S10(登録商標、チッソ株式会社製)、テラージュ(TERRAJU)−S20(登録商標、チッソ株式会社製)を挙げることができる。
本発明における(A)成分としては、リン含有化合物と窒素含有化合物との混合物とすることもできる。リン含有化合物としては、リン酸、亜リン酸、メタリン酸、メタ亜リン酸、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、次リン酸、ピロリン酸及び好ましくはそれらの塩が含まれる。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、カドミウム塩、アンモニウム塩などがある。
リン含有化合物を例示すると、リン酸二水素カリウムKH2PO4、亜リン酸水素二カリウムK2HPO3、ピロリン酸カリウムK427、ピロリン酸マグネシウムMg227、メタリン酸カリウム(KPO3n、リン酸水素カリウムナトリウムNaKHPO4・7H2O、ピロリン酸二水素二ナトリウムNa2227、メタリン酸ナトリウム(NaPO36、次リン酸二水素二ナトリウムNa2226、リン酸三ナトリウムNa3PO4・12H2O、亜リン酸水素二ナトリウムNa2HPO3・5H2O、リンモリブデン酸二ナトリウムNa2PO4・12MoO3、リン酸三リチウムLi3PO・1/2H2O、リン酸水素マグネシムMgHPO4・3H2O、リン酸水素二ナトリウムNa2HPO4及びその水和塩Na2HPO4・2H2O、Na2HPO4・7H2O、Na2HPO4・12H2O、リン酸二水素ナトリウムNaH2PO4・H2O、第一級リン酸水素一マグネシウムMgH4(PO42・3H2O、リン酸三マグネシウムMg3(PO42・5H2O、第二級リン酸カルシウムCaHPO4・2H2O、第一級リン酸水素カルシウムCaH4(PO42、亜リン酸カルシウムCaHPO3、第三級リン酸亜鉛Zn3(PO42・4H2O、第二級亜リン酸亜鉛ZnHPO3、ピロリン酸亜鉛Zn227、リン酸アルミニウムAlPO4などがある。
また、窒素含有化合物としては、アンモニウム化合物が好ましい。適したアンモニウム化合物は、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウムである。
もちろん、2種以上のリン含有化合物と2種以上の窒素含有化合物とを混合してもよい。当業者は、ガス発生剤としての効果を得るのに必要なリン含有化合物と窒素含有化合物との相対比を決定することができる。そのような比は、明らかに、使用する個々の化合物に依存して変化する。
かかるリン含有化合物と窒素含有化合物との混合割合としては、リン含有化合物100質量部に対して窒素含有化合物0.1〜200質量部、好ましくは50〜150質量部である。
上記(A)成分は、これを本発明の難燃性添加剤を例えば樹脂やエラストマーに配合した場合、これら樹脂、エラストマーが燃焼する際に上記(A)成分中の窒素分よりアンモニアガスが発生し、これにより上記樹脂、エラストマーの燃焼によって生じる炭化層(char)が発泡するため、熱伝導率を下げ、内部への熱伝導を防止することで、難燃性が向上するものと考えられる。
本発明における(B)成分のシリコーン系撥水処理剤としては、基材に対して良好な撥水性が付与できるもの、特にシロキサンオリゴマーとアミノ基含有の有機ケイ素化合物からなる反応物が好ましいものとして挙げられる。
具体的には、(i)下記一般式(1)
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
で示される有機ケイ素化合物100質量部と、(ii)下記一般式(2)
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49質量部とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物、
又は、
上記(i)、(ii)成分と(iii)無機酸化物微粒子0.1〜10質量部及び/又は(iv)下記一般式(3)
(R1k(OR23-kSi−Y−Si(R1k(OR23-k (3)
(但し、式中R1及びR2は上記と同様であり、Yは2価の有機基、−(OSi(R72mO−基又は−R−(SiR7 2O)m−SiR7 2−R−基であり、ここでR7は炭素原子数1〜6のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、mは1〜30の整数である。また、kは0又は1である。)
で示されるビス(アルコキシシリル)基含有化合物又はその部分加水分解物0.1〜20質量部とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物が好適なものとして使用できる。
これらを用いることにより良好な撥水性が得られる理由としては、上記(ii)成分中のアミノ基が撥水剤成分中にあるため、このアミノ基が(A)成分表面側にまず吸着配向するため、主成分である(i)成分中のアルキル基が表面サイドに向きやすくなり、そのため良好な撥水性が発現するのではないかと推定される。更に、少量の(iii)成分を添加することにより、撥水膜の造膜性が上がったり、微細な凸凹が生成したりして更に撥水性が向上する。また、(iv)成分の添加も撥水性の向上に寄与する。それは両末端が反応性のため連結鎖部分の有機基がより撥水性に効果を与えていると考えられる。
以下、更に各成分(i)〜(iv)について説明する。
本発明の難燃性添加剤を得るための(B)成分中の(i)成分は下記一般式(1)で示される有機ケイ素化合物である。
(R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
上記式(1)のR1は炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
このような式(1)の有機ケイ素化合物の具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
CH3Si(OCH33,CH3Si(OC253,CH3Si(OCH(CH323,CH3CH2Si(OCH33,CH3CH2Si(OC253,CH3CH2Si(OCH(CH323,C37Si(OCH33,C37Si(OC253,C37Si(OCH(CH323,C49Si(OCH33,C49Si(OC253,C49Si(OCH(CH323,C511Si(OCH33,C511Si(OC253,C511Si(OCH(CH323,C613Si(OCH33,C613Si(OC253,C613Si(OCH(CH323
本発明においては、上記の各種シランを単独で使用しても2種類以上の混合物を使用してもよいし、混合シランの部分加水分解物を使用してもよい。
この場合、(i)成分としては、上記シランを部分加水分解縮合したアルコキシ基含有シロキサンを用いることが好ましい。この部分加水分解物(シロキサンオリゴマー)のケイ素原子数は2〜10、特に2〜4であることが好ましい。更に、(i)成分としては、水中で炭素原子数1〜6のアルキルトリクロロシランとメタノール又はエタノールとの反応により得られるものでもよい。この場合も、このシロキサンオリゴマーのケイ素原子数は2〜6、特に2〜4であることが好ましい。上記シロキサンオリゴマーとしては、特に[CH3(OR22Si]2O(但し、R2は上記と同様)で表されるシロキサンダイマーが好ましい。この場合、シロキサントリマーやシロキサンテトラマーを含んでいてもよい。また、毛細管式粘度計による粘度測定法において25℃で300mm2/s以下の粘度を有しているものが好ましく、特に1〜100mm2/sの粘度を有するものが好適である。
次に、(ii)成分は、下記一般式(2)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物である。
34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
(但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18、好ましくは1〜8、より好ましくは3の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
上記式(2)中のR3、R4としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等が挙げられる。R5としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。R6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
このような上記式(2)のアミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、H2N(CH22Si(OCH33,H2N(CH22Si(OCH2CH33,H2N(CH23Si(OCH33,H2N(CH23Si(OCH2CH33,CH3NH(CH23Si(OCH33,CH3NH(CH23Si(OCH2CH33,CH3NH(CH25Si(OCH33,CH3NH(CH25Si(OCH2CH33,H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33,CH3NH(CH22NH(CH23Si(OCH33,CH3NH(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33,C49NH(CH22NH(CH23Si(OCH33,C49NH(CH22NH(CH23Si(OCH2CH33,H2N(CH22Si(CH3)(OCH32,H2N(CH22Si(CH3)(OCH2CH32,H2N(CH23Si(CH3)(OCH32,H2N(CH23Si(CH3)(OCH2CH32,CH3NH(CH23Si(CH3)(OCH32,CH3NH(CH23Si(CH3)(OCH2CH32,CH3NH(CH25Si(CH3)(OCH32,CH3NH(CH25Si(CH3)(OCH2CH32,H2N(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32,H2N(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH2CH32,CH3NH(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32,CH3NH(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH2CH32,C49NH(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32,C49NH(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH2CH32等が挙げられ、これらの部分加水分解物を用いることもできる。
これらの中で、特に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどやこれらの部分加水分解物が好適に用いられる。
また、(iii)成分は、無機酸化物微粒子であり、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウムなどが挙げられる。その平均粒径が1〜200nmのものが好ましい。特に好ましくは5〜100nmのものである。これが200nmを超えると基材が白くなったり、撥水性能が悪くなる場合があり、好ましくない。また1nm未満になると処理剤の安定性が悪化する場合があるため好ましくない。その粒子形状は特に限定はないが、球状であることが好ましい。これら無機酸化物微粒子を使用する場合、水又は溶剤等に分散させたものを使用するのが好ましい。
特にコストの面、使用しやすさの面から、コロイダルシリカが特に好ましい。コロイダルシリカは水又はメタノール、エタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコールにシリカ微粒子を分散させたものである。コロイダルシリカは、微粒子状のシリカ粒子を水又はアルコール溶媒中でコロイド状分散液としたものであり、例えば、スノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスOXS、スノーテックスOS、スノーテックスOL、スノーテックスOUP、メタノールシリカゾル、IPA−ST(以上、日産化学工業(株)製)などが挙げられる。
(iv)成分は、下記一般式(3)
(R1k(OR23-kSi−Y−Si(R1k(OR23-k (3)
(但し、式中R1及びR2は上記と同様であり、Yは2価の有機基、−(OSi(R72mO−基又は−R−(SiR7 2O)m−SiR7 2−R−基であり、ここでR7は炭素原子数1〜6のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、mは1〜30の整数である。また、kは0又は1である。)
で示されるビス(アルコキシシリル)基含有化合物又はその部分加水分解物である。
上記式(3)中のR1、R2は、上記式(1)のR1、R2と同様である。
また、Yはハロゲン原子を含んでもよい炭素原子数1〜20、特に1〜10の有機基(好ましくはアルキレン基又は−(CH2a(CF2b(CH2c−(aは1〜6、bは1〜10、cは1〜6)で示されるフッ素原子含有アルキレン基)、−(OSi(R72mO−基又は−R−(SiR7 2O)m−SiR7 2−R−基(ここで、R7は炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。Rは炭素原子数1〜6、特に2〜3の2価炭化水素基であり、特にアルキレン基が好ましい。mは1〜30、特に5〜20の整数である。)を示し、具体的には下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
−CH2−、
−CH2CH2−、
−CH2CH2CH2−、
−CH2CH2CH2CH2−、
−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、
−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、
−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、
−CH248CH2−、
−CH2612CH2−、
−(OSi(CH322O−、
−(OSi(CH324O−、
−(OSi(CH326O−、
−(OSi(CH328O−、
−CH2CH2Si(CH32OSi(CH32CH2CH2−、
−CH2CH2(Si(CH32O)3Si(CH32CH2CH2−、
−CH2CH2(Si(CH32O)5Si(CH32CH2CH2−、
−CH2CH2(Si(CH32O)7Si(CH32CH2CH2−、
−CH2CH2(Si(CH32O)9Si(CH32CH2CH2−、
−CH2CH2(Si(CH32O)19Si(CH32CH2CH2−、
−CH2CH2(Si(CH32O)39Si(CH32CH2CH2
kとしては0又は1であり、特に撥水性を高めるにはk=0が好ましい。
これらを満たすビス(アルコキシシリル)基含有化合物の具体例としては、下記のものが例示される。
(CH3O)3SiCH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2(OCH33
(CH3O)2(CH3)SiCH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)3SiCH2CH248CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2612CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2816CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH21020CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH248CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2612CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2816CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH21020CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)3Si(OSi(CH32)OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH322OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH324OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH326OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH328OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH3210OSi(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2Si(CH32OSi(CH32CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)3Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)5Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)7Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)9Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
これらの中でも、好ましくは
(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)(OCH32
(CH3O)3SiCH2CH248CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2612CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH326OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH328OSi(OCH33
(CH3O)3Si(OSi(CH3210OSi(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)5Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)7Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)9Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
などが挙げられる。また、これらの部分加水分解物も好適に用いられる。
上記(i)及び(ii)成分のみでシリコーン系撥水処理剤とする場合の使用割合は、(i)成分100質量部に対して(ii)成分0.5〜49質量部、好ましくは5〜30質量部である。(ii)成分が0.5質量部未満であるとシリコーン系撥水処理剤自体の安定性が悪くなる。また、(ii)成分が49質量部を超えると撥水性が悪くなったり、(A)成分に処理したときに黄変が激しくなる。
モル換算としては、(i)成分のSi原子1モルに対し(ii)成分のSi原子が0.01〜0.3モル、特に0.05〜0.2モルとなるように用いることが好ましい。
上記(i)、(ii)と(iii)及び/又は(iv)成分でシリコーン系撥水処理剤とする場合の使用割合は、(i)成分100質量部に対して(ii)成分0.5〜49質量部、好ましくは5〜30質量部である。(ii)成分が0.5質量部未満であるとシリコーン系撥水処理剤自体の安定性が悪くなる。また、(ii)成分が49質量部を超えると撥水性が悪くなったり、(A)成分に処理したときに黄変が激しくなる。
(iii)成分は、(i)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。(iii)成分が0.1質量部未満であると撥水性効果の発現が弱くなる。また、(iii)成分が10質量部を超えるとコスト的に不利になったり、シリコーン系撥水処理剤の安定性が悪くなる。
また、(iv)成分は、(i)成分100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。(iv)成分が0.1質量部未満であると撥水性効果の発現が弱くなる。また、(iv)成分が20質量部を超えるとコスト的に不利になったりする。
モル換算としては、(i)+(iii)((iii)成分がコロイダルシリカの場合のみ加える)+(iv)成分のSi原子1モルに対し(ii)成分のSi原子が0.01〜0.3モル、特に0.05〜0.2モルとなるように用いることが好ましい。
これら(i)と(ii)成分によるシリコーン系撥水処理剤、あるいは(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)成分を用いてシリコーン系撥水処理剤を製造するには、有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解、縮合させればよい。
この場合、最初に(i)成分((iii)及び/又は(iv)成分を加える場合は、この(i)成分と混合させる)を有機酸あるいは無機酸の存在下で加水分解し、この加水分解物と(ii)成分を混合し、有機酸あるいは無機酸の存在下、更に加水分解させることが好ましい。
まず、(i)成分((iii)及び/又は(iv)成分を加える場合は、この(i)成分と混合させる)を加水分解する際に使用される有機酸及び無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられるが、特に好適なものは酢酸、プロピオン酸である。この酸の使用量は、(i)成分100質量部に対して2〜40質量部、特に3〜15質量部が好適である。
加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うのが好ましい。溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、(i)成分((iii)及び/又は(iv)成分を加える場合は、この(i)成分と混合させた総量)100質量部に対して50〜300質量部、特に70〜200質量部が好ましい。溶剤の使用量が50質量部より少ないと、縮合が進んでしまう場合があり、また、300質量部を超えると、加水分解に時間がかかる。
また、(i)成分(及び(iii)及び/又は(iv)成分)を加水分解させるために加える水量は、(i)成分あるいは(i)、(iii)及び/又は(iv)成分の合計1モルに対し0.5〜4モル量、特に1〜3モル量が好適である。加える水量が0.5モル量より少ないとアルコキシ基が多く残存してしまう場合があり、4モル量を超えると縮合が進行しすぎる場合がある。また、(iii)成分として、水中に分散しているコロイダルシリカを用いる場合、その水を加水分解に用いる水としてもよい。(i)成分あるいは(i)、(iii)及び/又は(iv)成分を加水分解させる際の反応条件は、反応温度10〜40℃、特に20〜30℃がよく、反応時間は1〜3時間で加水分解反応させるのがよい。
以上で得られた(i)成分あるいは(i)、(iii)及び/又は(iv)成分の加水分解物と(ii)成分とを反応させる。なお、反応条件は、反応温度60〜100℃、反応時間1〜3時間が好ましい。反応終了後は、溶剤の沸点以上まで温度を上げ、アルコール溶剤等の溶剤を留去させる。この場合、系内の全アルコール(反応溶剤としてのアルコール、副生成物としてのアルコール)等の溶剤の含有量を30質量%以下、特に10質量%以下となるように留去させることが好ましい。
上記方法で製造できるシリコーン系撥水処理剤は、毛細管式粘度計による粘度測定で25℃における粘度が5〜2,000mm2/s、特に50〜500mm2/sであることが好ましい。粘度が高すぎると作業性や保存安定性が低下したり、水への溶解性が低下することがある。また、GPC測定装置により測定したポリスチレン換算による重量平均分子量は500〜5,000、特に800〜2,000の範囲であることが望ましい。
本発明における(B)成分は、単に(A)成分とブレンドするだけでも撥水性は得られるが、より好ましくは(A)成分の表面を被覆することが好ましい。ブレンドあるいは表面被覆方法としては、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレードライング法、液中硬化法などの公知の方法によって処理することにより得ることができる。好ましくは揮発性の溶媒に溶解した(B)成分のシリコーン系撥水処理剤を(A)成分とブレンドし被覆した後、溶媒を除去する方法が好ましい。
なお、(A)成分と(B)成分との使用割合は、(A)、(B)成分の合計量を100質量%とした場合、(A)成分80〜99.8質量%、特に90〜97質量%、(B)成分0.2〜20質量%、特に3〜10質量%である。(B)成分が少なすぎると、耐水性、撥水性が弱くなり、(B)成分が多すぎると、コスト的に不利になる。
本発明の難燃性添加剤の形状は、樹脂、エラストマー、繊維、コーティング剤、シーラント等へ均一に添加する点から粒子状、粉末状が好ましい。更には、難燃性添加剤粉体の平均粒径はレーザー散乱式粒度分布測定装置による測定法でおよそ50μm以下が好ましく、より好ましくは1〜30μmであり、更に最大粒子径が100メッシュパスのもの、特に200メッシュパスのものが好ましい。
本発明の難燃性添加剤は、樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)、エラストマー、繊維、更にコーティング剤、シーラントなどに添加、配合して、難燃性を付与するが、この場合、この添加・配合形態としては、上記難燃性添加剤を0.1〜50質量%、特に5〜30質量%含有するエマルション型コーティング剤、あるいは上記難燃性添加剤を0.1〜30質量%、特に5〜20質量%含有し、樹脂又はエラストマーをベースポリマーとする難燃性組成物とすることができる。
この場合、本発明に係る難燃性添加剤は、これに更にリン含有化合物と窒素含有化合物を併用して加えたり、多価アルコールを加えてもかまわない。また、金属水酸化物等の一般に知られている難燃剤を併用してもかまわない。
多価アルコール類は、複数個のヒドロキシル基が結合している非環式及び環式化合物であり、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ペンチトール類(アドニトール、アラビトールなど)、へキシトール類(ズルシトール、イノシトールなど)、及びサッカリド類(アミロース、キシランなど)、並びにこれらの誘導体(N−メチルグルカミンなど)等がある。
これら多価アルコールの機能は、ガス発生剤に対する付加的な炭素源として働き、その結果炭の形成量を増大させると共に有用な難燃特性を奏功するのに必要なガス発生剤の添加量を低減するものと思われる。
従って、必然的に多価アルコールの使用量はガス発生剤の使用量に比例して選択され、一般に、ガス発生剤対多価アルコールの質量比は約9:1から約5:1までであることが好ましい。多価アルコールを上記の比が約10:1より大きくなる位に少ない量で使用すると炭の形成の改良効果は無視できる程になり、一方、上記の範囲の量より多い量の多価アルコールを使用すると、即ち、上記の比が約4:1より小さくなると、不必要に過剰の多価アルコールを燃料として炎に供給することになるので難燃効果は低下する傾向がある。
本発明の難燃性添加剤を繊維に処理し難燃性を発現する場合は、本発明の添加剤を分散させた上記エマルション型コーティング剤に繊維を浸した後、乾燥させ、繊維の表面に本発明の難燃性添加剤をコーティングして難燃性を得る方法が好ましい。
また、上記本発明の難燃性組成物は、上記難燃性添加剤を例えば建築用シーラント及びLIMSなどのゴム状組成物に添加することによって調製することができ、この場合硬化前の組成物が液状の段階で難燃性添加剤を均一分散させた後、組成物を硬化させ、例えばゴム状組成物の場合であればエラストマーを得る方法が一般的である。
本発明の難燃性組成物は、樹脂あるいはエラストマーに混合して難燃性を発現させる場合、難燃性添加剤の配合量は0.1〜50質量%、特に0.1〜30質量%であることが好ましい。
本発明の難燃性組成物が有用な熱可塑性樹脂、エラストマーには、ブロー、押出及び射出成形が可能な熱可塑性樹脂、エラストマーが包含される。特にこれらの樹脂、エラストマーには、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン系エラストマー、ポリスチレン、ポリスチレン系エラストマー、ABS樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸アミド共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン無水マレイン酸、アイオノマー樹脂等、各種熱可塑性樹脂、エラストマーなどが含まれる。
また、これらは単独でも2種以上の併用でもかまわない。上記に挙げた樹脂、エラストマーの中でも、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のポリオレフィン樹脂は、金属水酸化物及びオルガノポリシロキサンとの難燃性における相乗効果が高い。
本発明のノンハロゲン難燃性組成物には、その特性を阻害しない範囲で、その目的に応じて添加剤を配合することができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、光安定剤、相溶化剤、他種のノンハロゲン難燃剤、滑剤、充填剤、接着助剤、防錆剤等を挙げることができる。
本発明において使用可能な酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチル−メチルフェノール)、4,4−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,5,7,8−テトラメチル−2(4,8,12−トリメチルデシル)クロマン−2−オール、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、テトラキス(メチレン)−3−(ドデシルチオプロピオネート)メタン等が挙げられる。
本発明において使用可能な安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の各種金属せっけん系安定剤、ラウレート系、マレート系やメルカプト系各種有機錫系安定剤、ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の各種鉛系安定剤、エポキシ化植物油等のエポキシ化合物、アルキルアリルホスファイト、トリアルキルホスファイト等のホスファイト化合物、ジベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等のβ−ジケトン化合物、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール等のポリオール、ハイドロタルサイト類やゼオライト類を挙げることができる。
本発明において使用可能な光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本発明において使用可能な相溶化剤としては、アクリルオルガノポリシロキサン共重合体、シリカとオルガノポリシロキサンの部分架橋物、シリコーンパウダー、無水マレイン化グラフト変性ポリオレフィン、カルボン酸化グラフト変性ポリオレフィン、ポリオレフィングラフト変性オルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
また、本発明において使用可能な接着助剤としては、各種アルコキシシラン等を挙げることができる。
本発明において使用可能な、他のノンハロゲン難燃剤としては、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、各種リン系難燃剤、膨脹性黒鉛、シアヌール酸メラミン、スルファミン酸グアニジン、光酸化チタン等を挙げることができる。また、充填剤としては、ケイ酸、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、カオリンクレー、焼成クレー、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、バライト等を挙げることができる。
本発明のノンハロゲン難燃性組成物は、特に、難燃チューブ又は難燃シート成形用材料として優れている。
以下、本発明を合成例及び実施例と比較例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例で粘度は毛細管式粘度計により測定した25℃における値を示し、重量平均分子量はGPC測定装置により測定したポリスチレン換算値を示す。また、下記実施例において、平均粒径はレーザー散乱式粒度分布測定装置により測定した値を示す。
[合成例1]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つロフラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度71mm2/sの薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1,100)。このものの系内のメタノール残存量は5質量%であった(シリコーン系撥水処理剤1)。
[合成例2]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー199g(ダイマー換算で0.88モル)、メタノール120g及び酢酸11.8gを入れ、撹拌しているところに日産化学工業(株)製スノーテックスO(SiO2含有量20%水溶液、平均粒径10〜20nm)19.8g(水0.88モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン38.9g(0.18モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでアルコールを留去し、粘度460mm2/sの薄黄色透明溶液209gを得た(重量平均分子量1,000)。このものの系内のアルコール残存量(メタノール+エタノール)は2質量%であった(シリコーン系撥水処理剤2)。
[合成例3]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つロフラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー199g(ダイマー換算で0.88モル)、(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)9Si(CH32CH2CH2Si(OCH337.5g(0.008モル)、メタノール120g及び酢酸11.8gを入れ、撹拌しているところに水(0.88モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン38.9g(0.18モル)を滴下した。その後、アルコールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでアルコールを留去し、粘度180mm2/sの薄黄色透明溶液206gを得た(重量平均分子量800)。このものの系内のアルコール残存量(メタノール+エタノール)は3質量%であった(シリコーン系撥水処理剤3)。
[合成例4]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つロフラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー199g(ダイマー換算で0.88モル)、(CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)9Si(CH32CH2CH2Si(OCH337.5g(0.008モル)、メタノール120g及び酢酸11.8gを入れ、撹拌しているところに日産化学工業(株)製スノーテックスO(SiO2含有量20%水溶液、平均粒径10〜20nm)19.8g(水0.88モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン38.9g(0.18モル)を滴下した。その後、アルコールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでアルコールを留去し、粘度160mm2/sの薄黄色透明溶液210gを得た(重量平均分子量700)。このものの系内のアルコール残存量(メタノール+エタノール)は2質量%であった(シリコーン系撥水処理剤4)。
参考例1]
ポリリン酸アンモニウム(P含有率20質量%、かさ密度0.7g/cm3、平均粒径6.2μm)100質量部に、上記合成例1のシリコーン系撥水処理剤1を10質量部、エタノールを100質量部加え、これらを30分撹拌した後、減圧下でエタノールを留去し、粉砕器で粉砕して、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
参考例2]
参考例1のシリコーン系撥水処理剤1をシリコーン系撥水処理剤2とし、その量を5質量部使用した以外は参考例1と同様にして、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
[実施例
参考例2のシリコーン系撥水処理剤2をシリコーン系撥水処理剤3にした以外は参考例2と同様にして、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
[実施例
参考例2のシリコーン系撥水処理剤2をシリコーン系撥水処理剤4にした以外は参考例2と同様にして、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
[比較例1]
ポリリン酸アンモニウム(平均粒径6.2μm)100質量部に、直鎖のシリコーンオイル(粘度1万mm2/s)5質量部、トルエン100質量部を30分撹拌した後、減圧下でトルエンを留去し、粉砕器で粉砕して、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
[比較例2]
比較例1の直鎖のシリコーンオイル(粘度1万mm2/s)を粘度5,000Pa・sの直鎖状高粘度シリコーンにした以外は比較例1と同様にして、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
[比較例3]
ポリリン酸アンモニウム(平均粒径6.2μm)100質量部に、へキサメチルジシラザン30質量部、メチルイソブチルケトン25質量部を100℃に加熱し、3時間撹拌した後、減圧下でメチルイソブチルケトンを留去し、粉砕器で粉砕して、平均粒径10μmの淡褐色のシラン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
[比較例4]
ポリリン酸アンモニウム(平均粒径6.2μm)100質量部に、メチルトリメトキシシランのオリゴマー5質量部、エタノール100質量部を30分撹拌した後、減圧下でエタノールを留去し、粉砕器で粉砕して、平均粒径10μmのシリコーン処理ポリリン酸アンモニウムを得た。
上記参考例、実施例と比較例で得られた処理ポリリン酸アンモニウム及び未処理ポリリン酸アンモニウムを水に分散させ、耐水性、指につけた場合のぬめり感並びに疎水化度を評価した。その結果を表1に示す。
<耐水性>
(1)水100gをガラス瓶に入れ、そこにサンプル2gを添加する。
(2)5分間振とうさせたのち、静置する。その時の液外観を観察する。
○:水に溶解せず、不溶のまま水面に浮く。
△:一部溶解するものあり(僅かに濁りあり)。
×:水に溶解し、白濁する。
<ぬめり感>
耐水性の評価で作製した液体サンプルに指先を浸漬し、指先間をこすり合わせた時の液体サンプルのぬめり感を評価する。
<疎水化度の測定方法>
(1)500mlの三角フラスコにサンプル0.2gを秤量する。
(2)イオン交換水50mlを(1)に加え、スターラーにて撹拌する。
(3)撹拌をしたままビュレットよりメタノールを滴下させ、試料の全量がイオン交換水
に懸濁された時の滴下量を読む。
(4)次式より疎水化度を求める。
疎水化度=(メタノール滴下量(ml))×100/(メタノール滴下量(ml)+イオン交換水量(ml))
Figure 0004304510
また、ABS樹脂に上記実施例と比較例で得られたポリリン酸アンモニウム及び未処理ポリリン酸アンモニウム15質量%を加え、200℃にて溶融混練りし、ペレット化後射出成形機にて試験片を作製し、下記基準による外観評価及びUL規格94に基づいた試験法による燃焼性試験を行い、難燃性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0004304510
*外観評価基準 ○:無添加と同等
△:タック感あり
×:不均一

Claims (8)

  1. (A):リン原子と窒素原子との両方を含有する化合物よりなる群の中から選択されたガス発生剤又はリン含有化合物と窒素含有化合物との混合物からなるガス発生剤80〜99.8質量%と、
    (B):(i)下記一般式(1)
    (R1a(OR2bSiO(4-a-b)/2 (1)
    (但し、式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基、R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b4を満足する正数である。)
    で示されるケイ素原子数2〜10のシロキサンオリゴマー100質量部と、
    (ii)下記一般式(2)
    34NR5−SiR6 n(OR23-n (2)
    (但し、式中R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素原子数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素原子数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
    で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49質量部と、
    (iv)下記一般式(3)
    (R1k(OR23-kSi−Y−Si(R1k(OR23-k (3)
    (但し、式中R1及びR2は上記と同様であり、Yは−R−(SiR7 2O)m−SiR7 2−R−基であり、ここでR7は炭素原子数1〜6のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、mは1〜30の整数である。また、kは0又は1である。)
    で示されるビス(アルコキシシリル)基含有化合物又はその部分加水分解物0.1〜20質量部と
    を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物
    を含むシリコーン系撥水処理剤0.2〜20質量%と
    からなる難燃性添加剤。
  2. 上記共加水分解縮合物が、(i)成分100質量部、(ii)成分0.5〜49質量部、(iv)成分0.1〜20質量部に、更に(iii)無機酸化物微粒子0.1〜10質量部を加えたものを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させた共加水分解縮合物である請求項1記載の難燃性添加剤。
  3. (A)成分のリン原子と窒素原子との両方を含有する化合物よりなる群の中から選択されたガス発生剤又はリン含有化合物と窒素含有化合物との混合物からなるガス発生剤が、ポリリン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性添加剤。
  4. (i)成分が、[CH3(OR22Si]2O(但し、R2は上記と同様)で表されるシロキサンダイマーである請求項1乃至3のいずれか1項記載の難燃性添加剤。
  5. (iv)成分のビス(アルコキシシリル)基含有化合物が、
    (CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)5Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
    (CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)7Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
    (CH3O)3SiCH2CH2(Si(CH32O)9Si(CH32CH2CH2Si(OCH33
    から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の難燃性添加剤。
  6. (A)成分の粒子表面を(B)成分のシリコーン系撥水処理剤で被覆した粉体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の難燃性添加剤。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の難燃性添加剤を0.1〜50質量%含有するエマルション型コーティング剤。
  8. 樹脂又はエラストマーをベースポリマーとし、請求項1乃至6のいずれか1項記載の難燃性添加剤を0.1〜30質量%含有する難燃性組成物。
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