JP4302376B2 - 液処理方法及び液処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液処理方法及び液処理装置に関するもので、更に詳細には、例えば半導体ウエハやLCD用ガラス基板等の被処理体に処理液例えば薬液等を供給して洗浄等の処理をする液処理方法及び液処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体デバイスの製造工程やLCD製造工程においては、半導体ウエハやLCD用ガラス等の被処理体に付着したレジストやドライ処理後の残渣(ポリマ等)を除去するために、処理液等を用いる液処理方法(装置)が広く採用されている。
【0003】
従来のこの種の液処理方法(装置)において、高価な薬液等の処理液を有効に利用するために、処理に供する処理液をリサイクル液として再利用する洗浄処理方法が知られている。
【0004】
このリサイクル液を用いる液処理装置は、図13に示すように、タンク10内に貯留された処理液Lを所定の温度に加熱する加熱手段であるヒータ1と、タンク10内の処理液Lが設定温度を超えた際に処理液Lを冷却する冷却媒体例えば冷却水を流通する冷却手段2と、タンク10内の処理液をタンク外に待機循環させる待機循環路4とを有する処理液待機部5と、処理室6内に収容された被処理体例えばウエハWに処理液を供給する処理液供給手段であるノズル7と、ノズル7へ処理液を供給する供給路8aと、処理に供された処理液を処理室6から排出する排出路8bとを有するウエハ処理部9と、処理液待機部5の待機循環路4と処理部9の供給路8a及び排出路8bとを連通・遮断する切換手段としての第1の切換弁V1及び第2の切換弁V2と、冷却手段2の冷却水の流通路2aの冷却水供給源2A側に介設されるフローメータFMとで主に構成されている。
【0005】
この場合、タンク10内の処理液Lの温度を検出する液温センサSと、ヒータ1の温度を検出する温度センサTからの検出信号が制御手段例えば中央演算処理装置30(以下にCPU30という)に伝達され、CPU30からの制御信号に基づくPID温調器Rによってヒータ1が所定の温度に制御{PID制御:比例動作、積分動作、微分動作制御}されて、処理液Lが、処理の許容温度例えば70±1℃の温度監視幅となるように設定されている。なお、待機循環路4には、ポンプPが介設されると共に、このポンプPの吐出側(二次側)にフィルタFが介設されている。
【0006】
上記のように構成される液処理装置は、処理液Lの待機循環ラインと、ウエハ処理循環ラインの2つの配管ルートを具備しており、準備中と処理中で第1及び第2の切換弁V1,V2を切換制御を行い、配管ルートを切り換えて処理を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種の液処理装置(方法)においては、処理液待機循環ラインとウエハ処理循環ラインとの放熱量(温度交換率)が異なるために、循環ラインの切換時に、PID制御(ヒータ加熱又は系からの放熱)が追従できずに、処理液の温度が希望する温度から外れる状態が発生する。すなわち、図14に示すように、第1の切換弁V1と第2の切換弁V2とを切り換えて待機循環路4と供給路8a及び排出路8bとを連通したときには、処理液の温度が許容温度(監視温度幅)より約2℃低くなる。これは、ほぼ大気温度(25℃付近)に近い処理室6及びウエハWへ、高温の処理液を投入したときに、処理液の熱がかなり奪われてタンクに戻り、このとき、熱を奪われた処理液がタンク10内の処理液Lの温度を下げるためである。この温度低下が許容温度に達するまでに約2分30秒程要し、この間、処理が不十分となり例えばポリマの除去能力が低下するという問題が生じ、処理効率やスループットの低下を招いていた。また、処理完了後に、第1の切換弁V1と第2の切換弁V2を切り換えて、供給路8a及び排出路8bと待機循環路4とを連通したときには、処理液の温度が許容温度(監視温度幅)より約2℃高くなる現象が生る。これは、処理液が処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱の状態に急激に変化するためである。この温度上昇が許容温度に達するまでに約12分も要し、その間、次の処理を行うことができず、スループットが低下するという問題があった。また、処理液Lの温度が許容温度範囲より高くなると、処理液Lの劣化をきたすと共に、処理液Lの寿命の低下をきたすという問題もある。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、処理前又は処理後の待機循環中の処理液の温度及び処理中の処理液の温度を許容温度範囲内に制御して、処理効率の向上やスループットの向上を図れるようにすると共に、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図れるようにした液処理方法及び液処理装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の液処理方法は、タンク内に貯留される処理液を加熱手段及び冷却手段により、加熱及び冷却可能にすると供に、待機循環させておき、この待機循環中の処理液を処理室内に収容された被処理体に供給して処理を施し、上記被処理体に供給した処理液を上記タンク内に戻す液処理方法において、上記待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行い、処理液を処理室内に収容された被処理体に供給する処理時には冷却手段による冷却を停止し、加熱手段による加熱により、処理液を処理温度に調整することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
この発明の液処理方法において、上記処理を終了した後の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行って処理液を処理温度に調整する方が好ましい(請求項2)。この場合、上記処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始することができる(請求項9)。
【0011】
また、上記処理を開始する前の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整する方が好ましい(請求項3)。この場合、上記待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止することができる(請求項7)。
【0012】
また、上記処理を開始する前の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整し、上記処理を終了した後の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行って処理液を処理温度に調整する方が好ましい(請求項4)。この場合、上記待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止し、上記処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始するようにしてもよい(請求項7,9)。
【0013】
また、請求項3又は4記載の液処理方法において、上記処理を開始する前の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整する際に、処理を開始する直前に、更に加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させて、処理液を処理温度に調整する方が好ましい(請求項5)。この場合、処理を開始する直前に、更に加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させる際の冷却により処理液から放出される熱量と、処理開始時に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行う方が好ましい(請求項10)。
【0014】
また、この発明の液処理方法において、上記処理を開始する前の待機循環中に、待機循環中の冷却により処理液から放出される熱量と、処理中に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行う方が好ましい(請求項6)。
【0015】
また、上記処理を終了した後の待機循環中に、待機循環中の冷却により処理液から放出される熱量と、処理中に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行う方が好ましい(請求項8)。
【0016】
この発明の液処理装置は、この発明の液処理装置を具現化するもので、タンク内に貯留された処理液を所定の温度に加熱する加熱手段と、上記タンク内の処理液を冷却する冷却媒体を流通する冷却手段と、上記タンク内の処理液をタンク外に待機循環させる待機循環ラインと、処理室内に収容された被処理体に処理液を供給する処理液供給手段と、上記処理液供給手段へ処理液を供給する供給路と、処理に供された処理液を上記処理室から排出する排出路と、上記供給路と供給手段と排出路とを有する処理循環ラインと、上記待機循環ラインと処理循環ラインを流れる処理液の流れを切り換える切換手段と、上記冷却媒体の連通路に介設される開閉手段と、上記切換手段により、上記待機循環ラインに処理液を待機循環させる際に、上記加熱手段により加熱すると共に、上記開閉手段を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させ、上記切換手段により、処理液の流れを上記待機循環ラインから上記処理循環ラインに切り換えるのと同時に、上記開閉手段を閉じて上記冷却媒体の上記タンク内への流通を停止させるように制御する制御手段と、を具備することを特徴とする(請求項11)。
【0017】
この発明の液処理装置において、上記制御手段を、上記切換手段により、処理液の流れを上記処理循環ラインから上記待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、上記開閉手段を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御可能に形成することができる(請求項12)。
【0019】
また、上記開閉手段を、流量可変可能な流量制御弁にて形成し、上記制御手段を、処理液の流れを上記処理循環ラインから上記待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、上記流量制御弁を少量に開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御し、処理液の流れを上記待機循環ラインから上記処理循環ラインに切り換える前に、上記流量制御弁を大流量に開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御可能に形成してもよい(請求項13)。
【0020】
また、上記開閉手段を、冷却媒体の流通路に並列して介設される第1及び第2の開閉弁で構成し、上記制御手段を、処理液の流れを上記処理循環ラインから上記待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、上記第1の開閉弁を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御し、処理液の流れを上記待機循環ラインから上記処理循環ラインに切り換える前に、上記第1及び第2の開閉弁を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御可能に形成してもよい(請求項14)。
【0021】
請求項1記載の発明によれば、タンク内の処理液を同時に加熱及び冷却可能にすることにより、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。したがって、処理効率の向上、スループットの向上を図ることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、処理を終了した後の待機循環中に、タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行うことにより、処理液が処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱状態に急激に変化するのを抑制することができる。したがって、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。この場合、処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始することにより、処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れる(請求項9)。
【0023】
請求項1,3記載の発明によれば、処理を開始する前の待機循環中に、タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整し、処理液の加熱量を冷却しない場合に処理温度に調整する加熱量より高くするので、処理時に処理部で熱を奪われた処理液の温度低下を抑制することができる。また、処理時には冷却手段による冷却を停止し、加熱手段による加熱により、処理液を処理温度に調整することにより、処理に供される処理液の温度を処理温度の許容範囲にすることができる。したがって、処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる。この場合、待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止することにより、更に処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる(請求項7)。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、処理前及び処理後の待機循環中に、タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整し、処理液の加熱量を冷却しない場合に処理温度に調整する加熱量より高くするので、処理時に処理部で熱を奪われた処理液の温度低下を抑制することができる。また、処理時には冷却手段による冷却を停止し、加熱手段による加熱により、処理液を処理温度に調整することにより、処理に供される処理液の温度を処理温度の許容範囲にすることができる。したがって、処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる。この場合、待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止し、処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始することにより、更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れ、処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる(請求項7,9)。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、処理を開始する直前に、更に加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させることにより、処理開始時に急激に熱を奪われることによる温度低下を抑制することができ、処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる。この場合、加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させる際の冷却により処理液から放出される熱量と、処理開始時に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うことにより、更に処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる(請求項10)。
【0026】
請求項6,8記載の発明によれば、処理を開始する前あるいは処理を終了した後の待機循環中に、待機循環中の冷却により処理液から放出される熱量と、処理中に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うことにより、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。したがって、処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れると共に、スループットの向上を図ることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0027】
請求項11記載の発明によれば、待機循環ラインと処理循環ラインとそれらを切り換える切換手段を具備すると共に、加熱手段と冷却手段とを具備することにより、待機循環ラインに処理液を待機循環させる際に、タンク内の処理液を同時に加熱及び冷却することができる。これにより、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。したがって、処理効率の向上、スループットの向上を図ることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。また、制御手段を、切換手段により、処理液の流れを待機循環ラインから処理循環ラインに切り換えるのと同時に、開閉手段を閉じて冷却媒体のタンク内への流通を停止させるように制御可能に形成することにより、更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れ、処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる。この場合、制御手段を、切換手段により、処理液の流れを処理循環ラインから待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、開閉手段を開放して冷却媒体をタンク内に流通させるように制御可能に形成することにより、更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れ、処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる(請求項12)。
【0028】
請求項13,14記載の発明によれば、開閉手段を、流量可変可能な流量制御弁にて形成するか、あるいは、冷却媒体の流通路に並列して介設される第1及び第2の開閉弁で構成することにより、冷却媒体の流量を調節することができるので、処理液が処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱状態に急激に変化するのを抑制することができる。したがって、処理液の待機期間の短縮、処理間隔の短縮及びスループットの向上を図ることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、この発明に係る液処理装置を半導体ウエハの洗浄・乾燥処理装置に適用した場合について説明する。また、従来の液処理装置と同じ部分には同一の符号を付して説明する。
【0030】
◎第一実施形態
図1は、この発明に係る液処理装置の第一実施形態を示す概略構成図である。第一実施形態は、処理後の処理液の温度上昇を抑制して、処理液の温度を許容温度(監視温度幅)範囲内に維持して待機循環期間の短縮によるスループットの向上を図れるようにした場合である。
【0031】
第一実施形態の液処理装置は、処理液である薬液Lを貯留するタンク10と、このタンク10内に貯留された薬液Lを所定の温度に加熱する加熱手段であるヒータ1と、タンク10内の薬液Lを冷却する冷却媒体例えば冷却水を流通する冷却手段2と、タンク10内の処理液をタンク外に待機循環させる待機循環路4を有する待機循環ライン5と、処理室6内に収容された被処理体例えばウエハWに処理液を供給する処理液供給手段であるノズル7と、ノズル7へ処理液を供給する供給路8aと、処理に供された処理液を処理室6から排出する排出路8bとを有するウエハ処理部9と、待機循環ライン5の待機循環路4と処理部9の供給路8a及び排出路8bとを連通・遮断する切換手段としての第1の切換弁V1及び第2の切換弁V2と、冷却手段2の冷却水の流通路2aの冷却水供給源2A側に介設される開閉手段である開閉弁Vaと、第1及び第2の切換弁V2と開閉弁Vaの切換・開閉制御とヒータ1の温度制御を行う制御手段例えば中央演算処理装置30A(以下にCPU30Aという)とで主に構成されている。また、タンク10から第1の切換弁V1までの管路4a−供給路8a−ウエハ処理部9−排出路8b−第2の切換弁V2からタンク10までの管路4bとで処理循環ラインが構成されている。
【0032】
この場合、冷却手段2は、一端が冷却温調用の冷却媒体である冷却水の供給源2Aに接続される供給側流通路2aの他端に連なってタンク10内に例えばコイル状に配設される冷却部2bを具備している。なお、冷却手段2の冷却部2bにはタンク10の外部の排出部(図示せず)に開口する排出側流通路2cが接続されている。なお、供給側流通路2aにおける開閉弁Vaの吐出側(二次側)にはフィルタFaが介設されている。ここでは、冷却手段2の冷却部2bがタンク10内に配設される場合について説明したが、冷却部2bをタンク10の外側に配設してもよい。
【0033】
待機循環ライン5を構成する待機循環路4は、一端の吸入側がタンク10の底部付近に配設され、他端の吐出側がタンク10の上方側に配設された例えばPFA等のフッ素樹脂製配管にて形成されている。そして、この待機循環路4には、吸入側から順に、ポンプP、フィルタF、第1の切換弁V1及び第2の切換弁V2が介設されている。この場合、第1の切換弁V1は、待機循環路4とウエハ処理部9の供給路8aとを連通・遮断する3ポート2位置切換弁にて形成されている。また、第2の切換弁V2は、待機循環路4とウエハ処理部9の排出路とを連通・遮断する3ポート2位置切換弁にて形成されている。なお、ここでは、第1及び第2の切換弁V1,V2によって切換手段を形成する場合について説明したが、必ずしも切換手段を第1及び第2の切換弁V1,V2によって形成する必要はなく、例えば待機循環路と供給路8a及び排出路8bを選択的に切り換える三方切換弁にて切換手段を形成してもよい。
【0034】
上記CPU30Aは、タンク10内の薬液Lの温度を検出する液温センサSと、ヒータ1の温度を検出する温度センサTからの検出信号を受けて、その検出信号と予め記憶されたデータとに基づく制御信号をPID温調器Rに伝達して、ヒータ1を所定の許容温度例えば70±1℃の温度監視幅に制御(PID制御)するように形成されている。また、CPU30Aは、予めプログラミングされたデータに基づいて第1の切換弁V1、第2の切換弁V2及び開閉弁Vaの切換動作と開閉動作等のタイミング、すなわち、第1及び第2の切換弁V1,V2を切り換えて、待機循環ライン5から処理循環ラインへの切換と同時に、開閉弁Vaを閉じて薬液Lへの冷却を停止させるか、あるいは、処理循環ラインから待機循環ライン5への切換と同時に、開閉弁Vaを開放して薬液Lへの冷却を開始させるように設定されている。
【0035】
なお、タンク10は、薬液開閉弁3aを介設する薬液管路3bを介して処理液供給源である薬液供給源3に接続されており、タンク10内の薬液の量が少なくなった際に、薬液供給源3から補充されるようになっている。
【0036】
次に、上記のように構成される液処理装置の動作態様について、図2に示すグラフを参照して説明する。
【0037】
まず、起動時にヒータ1を動作させると共に、ポンプPを動作させて、タンク10内の薬液Lの温度を処理温度(温度監視幅)まで上昇させると共に、待機循環路4中を循環させて、待機させる(待機循環)。
【0038】
次に、第1の切換弁V1を切り換えて待機循環路4(管路4a)と供給路8aとを連通させると共に、第2の切換弁V2を切り換えて待機循環路4(管路4b)と排出路8bとを連通して、処理を開始すると共に、薬液Lを循環させる(処理循環)。この処理において、薬液Lはヒータ1によって所定の処理温度に温調されており、処理室6内に収容された複数枚例えば50枚の垂直状態に整列されたウエハWに向かってノズル7から薬液Lがシャワー状に噴射(供給)されて、ウエハWの洗浄処理が行われる。
【0039】
処理が終了した後、ヒータ1による加熱を行いながら第1の切換弁V1を切り換えて待機循環管路4(管路4a)と供給路8aとを遮断すると共に、第2の切換弁V2を切り換えて待機循環路4(管路4b)と排出路8bとを遮断して、処理循環ラインから待機循環ライン5へ切り換える。これと同時に、開閉弁Vaを開放させて冷却水を冷却手段2の流通路2a及び冷却部2bに流通させる。これにより、タンク10内の薬液Lと冷却水とが熱交換されて冷却され、薬液Lが処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱の状態に急激に変化するのを抑制することができる。このとき、処理循環ラインから待機循環ライン5への切換の前後で、処理循環ラインでの薬液Lの放熱量と、待機循環ライン5での冷却による薬液Lから放出される熱量とが略同一となるように冷却を行う。
【0040】
したがって、図14に示す従来のような処理完了直後の温度監視幅を越える急激な温度上昇(オーバーシュート)を抑制でき、薬液Lの温度を処理温度の許容温度範囲内(70±1℃)にして次の待機循環に備えることができるので、薬液Lの待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れると共に、スループットの向上が図れる。また、薬液Lの温度上昇を抑制することができるので、薬液Lの劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0041】
◎第二実施形態
図3は、この発明に係る液処理装置の第二実施形態の概略構成図である。第二実施形態は、処理に供された処理液の温度及び処理前の薬液Lの温度を処理温度の許容温度(監視温度幅)範囲内に抑制して、処理効率の向上と待機循環期間の短縮によるスループットの向上を図れるようにした場合である。
【0042】
すなわち、第二実施形態の液処理装置は、図3に示すように、第一実施形態における開閉弁Vaに代えて冷却水流通路2aに並列に第1及び第2の開閉手段である第1及び第2の開閉弁Vb,Vcを介設し、これら第1及び第2の開閉弁Vb,Vcの開閉制御をCPU30Aによって行えるようにした場合である。この場合、第1の開閉弁Vbは、通過する冷却水の量を少なくする少量用弁にて形成され、第2の開閉弁Vcは、第1の開閉弁Vbに比べて約4〜5倍の流量が通過可能な大量用弁にて形成されている。
【0043】
なお、第二実施形態において、その他の部分は第一実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0044】
次に、第二実施形態の液処理装置の動作態様について、図4に示すグラフを参照して説明する。
【0045】
まず、起動時にヒータ1を動作させると共に、第1の開閉弁Vbを開放して、少量の冷却水を冷却手段2に供給させ、更に、ポンプPを動作させて、タンク10内の薬液Lの温度を処理温度(温度監視幅)まで上昇させると共に、待機循環路4中を循環させて、待機させる(温度上昇−待機循環)。これによって、薬液Lが処理許容温度(温度監視幅)に達した状態で、第2の開閉弁Vcを開放して、少量の冷却水と共に大容量の冷却水を冷却手段2に供給して、タンク10内の薬液Lと冷却水とを熱交換させる。すると、タンク10内の薬液Lの温度は一時的に処理許容温度(温度監視幅)より低くなるが、液温センサSからの検出信号に基づいてCPU30AからPID温調器Rに制御信号が伝達され、PID温調器Rの制御によってヒータ1の加熱量が冷却を行わない場合に処理温度に調整する加熱量より高くなり、薬液Lの温度は処理許容温度(温度監視幅)範囲内に上昇される(ヒータ加熱準備動作)。このヒータ加熱準備動作は、次のロットの処理の待ち時間である処理開始の10分前に行われる。
【0046】
次に、待機循環中の薬液Lを処理に供するのであるが、この際、第1及び第2の開閉弁Vb,Vcを閉じて、冷却水の供給を停止する一方、第1の切換弁V1を切り換えて待機循環路4(管路4a)と供給路8aとを連通させると共に、第2の切換弁V2を切り換えて待機循環路4(管路4b)と排出路8bとを連通させて、処理循環ラインに薬液Lを流通する。このように、冷却水の供給を停止させ、処理室6とタンク10とを連通することで、主に冷却水に吸収されていた、つまり薬液Lから放出されていた、熱量が処理循環ラインの主な放熱体であるウエハ処理部9に吸収される熱量に切り換わることで、図14に示す従来の処理開始直後の温度監視を下回る温度低下(アンダーシュート)を抑制できる。この処理において、処理室6内に収容された複数枚例えば50枚の垂直状態に整列されたウエハWに向かってノズル7から薬液Lがシャワー状に噴射(供給)されて、ウエハWの洗浄処理が行われる。
【0047】
処理が終了した後、ヒータ1による加熱を行いながら第1の切換弁V1を切り換えて待機循環管路4(管路4a)と供給路8aとを遮断すると共に、第2の切換弁V2を切り換えて待機循環路4(管路4b)と排出路8bとを遮断して、処理循環ラインから待機循環ライン5へ切り換える。これと同時に、第1の開閉弁Vbを開放させて少量の冷却水を冷却手段2の流通路2a及び冷却部2bに流通させる。これにより、タンク10内の薬液Lと冷却水とが熱交換されて冷却され、薬液Lが処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱の状態に急激に変化するのを抑制することができる。このとき、待機循環ライン5から処理循環ラインへの切換の前後で、待機循環ライン5での冷却により薬液Lから放出される熱量と、処理循環ラインでの薬液Lの放熱量とが略同一となるように冷却を行う。また、処理循環ラインから待機循環ライン5への切換の前後で、処理循環ラインでの薬液Lの放熱量と、待機循環ライン5での冷却による薬液Lから放出される熱量とが略同一となるように冷却を行う。
【0048】
したがって、第二実施形態の液処理装置を用いることにより、処理に供される薬液Lの温度を処理温度の許容温度範囲(監視温度幅)内にすることができるので、処理効率の向上を図ることができる。また、薬液Lの温度を処理温度の許容温度範囲内(70±1℃)にして次の待機循環に備えることができるので、薬液Lの待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れると共に、スループットの向上が図れる。また、薬液Lの温度上昇を抑制することができるので、薬液Lの劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0049】
なお、上記説明では、第1の開閉弁Vbと第2の開閉弁Vcの流量を変えて、処理開始前ではウエハ処理部9で薬液Lが大量放熱されるため第1の開閉弁Vbと第2の開閉弁Vcを開放して大量の冷却水を流し、また、処理終了後は、薬液Lの放熱量が少ないため、少量用の第1の開閉弁Vbのみを開放させる場合について説明したが、必ずしも第1の開閉弁Vbと第2の開閉弁Vcの流量を変える必要はなく、同流量の開閉弁を選択的に開閉するようにしてもよい。
【0050】
◎第三実施形態
図5は、この発明に係る液処理装置の第三実施形態を示す概略構成図である。第三実施形態は、第二実施形態と同様に、処理に供された処理液の温度及び処理前の薬液Lの温度を処理温度の許容温度(監視温度幅)範囲内に抑制して、処理効率の向上と待機循環期間の短縮によるスループットの向上を図れるようにした場合である。
【0051】
すなわち、第三実施形態の液処理装置は、図5に示すように、第二実施形態における第1及び第2の開閉手段である第1及び第2の開閉弁Vb,Vcに代えて冷却水流通路2aに、流量制御手段である流量調整可能な流量制御弁CVを介設し、この流量制御弁CVの流量制御をCPU30Aによって行えるようにした場合である。
【0052】
なお、第三実施形態において、その他の部分は第一及び第二実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0053】
次に、第三実施形態の液処理装置の動作態様について説明する。
【0054】
まず、起動時にヒータ1を動作させると共に、流量制御弁CVの通路を絞って、少量の冷却水を冷却手段2に供給させ、更に、ポンプPを動作させて、タンク10内の薬液Lの温度を処理温度(温度監視幅)まで上昇させると共に、待機循環路4中を循環させて、待機させる(温度上昇−待機循環)。これによって、薬液Lが処理許容温度(温度監視幅)に達した状態で、流量制御弁CVの通路を全開にして、大容量の冷却水を冷却手段2に供給して、タンク10内の薬液Lと冷却水とを熱交換させる。すると、タンク10内の薬液Lの温度は一時的に処理許容温度(温度監視幅)より低くなるが、液温センサSからの検出信号に基づいてCPU30AからPID温調器Rに制御信号が伝達され、PID温調器Rの制御によってヒータ1の加熱量が冷却を行わない場合に処理温度に調整する加熱量より高くなり、薬液Lの温度は処理許容温度(温度監視幅)範囲内に上昇される(ヒータ加熱準備動作)。このヒータ加熱準備動作は、次のロットの処理の待ち時間である処理開始の10分前に行われる。
【0055】
次に、待機循環中の薬液Lを処理に供するのであるが、この際、流量制御弁CVを閉じて、冷却水の供給を停止する一方、第1の切換弁V1を切り換えて待機循環路4(管路4a)と供給路8aとを連通させると共に、第2の切換弁V2を切り換えて待機循環路4(管路4b)と排出路8bとを連通させて、処理循環ラインに薬液Lを流通する。この処理において、処理室6内に収容された複数枚例えば50枚の垂直状態に整列されたウエハWに向かってノズル7から薬液Lがシャワー状に噴射(供給)されて、ウエハWの洗浄処理が行われる。
【0056】
処理が終了した後、ヒータ1による加熱を行いながら第1の切換弁V1を切り換えて待機循環管路4(管路4a)と供給路8aとを遮断すると共に、第2の切換弁V2を切り換えて待機循環路4(管路4b)と排出路8bとを遮断して、処理循環ラインから待機循環ライン5へ切り換える。これと同時に、流量制御弁CVの通路を絞って少量の冷却水を冷却手段2の流通路2a及び冷却部2bに流通させる。これにより、タンク10内の薬液Lと冷却水とが熱交換されて冷却され、薬液Lが処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱の状態に急激に変化するのを抑制することができる。
【0057】
したがって、第三実施形態の液処理装置を用いることにより、第二実施形態の液処理装置を用いた場合と同様に、処理に供される薬液Lの温度を処理温度の許容温度範囲(監視温度幅)内にすることができるので、処理効率の向上を図ることができる。また、薬液Lの温度を処理温度の許容温度範囲内(70±1℃)にして次の待機循環に備えることができるので、薬液Lの待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れると共に、スループットの向上が図れる。また、薬液Lの温度上昇を抑制することができるので、薬液Lの劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0058】
上記第一ないし第三実施形態の液処理装置は単独の装置として用いられる他、以下に説明する洗浄・乾燥処理システムに組み込まれて使用される。
【0059】
次に、洗浄・乾燥処理システムの一例について、図6ないし図11を参照して説明する。
【0060】
上記洗浄・乾燥処理システムは、図6及び図7に示すように、ウエハWを収納可能な容器例えばキャリア100の搬入及び搬出が行われる容器搬入・搬出部110と、ウエハWに対して洗浄処理及び乾燥処理等を施すこの発明に係る液処理装置を組み込んだ洗浄処理ユニット120と、容器搬入・搬出部110と洗浄処理ユニット120との間に配設され、洗浄処理ユニット120に対してキャリア100の搬入出を行うためのステージ部130と、キャリア100を洗浄するキャリア洗浄ユニット140と、複数のキャリア100をストックするキャリアストック150と、電源ユニット160及びケミカルタンクボックス170を具備している。
【0061】
容器搬入・搬出部110は、4個のキャリア100を載置可能な載置台180と、キャリア100の配列方向に沿って形成された搬送路190を移動可能に設けられるキャリア搬送機構200とを具備しており、キャリア搬送機構200によって載置台180のキャリア100をステージ部130に搬送すると共に、ステージ部130のキャリア100を載置台180を搬送し得るように構成されている。この場合、キャリア100内には例えば25枚のウエハWは収納可能となっており、キャリア100はウエハWの面が鉛直に配列されるように配置されている。
【0062】
ステージ部130は、キャリア100を載置するステージ131を具備しており、容器搬入・搬出部110からこのステージに載置されたキャリア100がシリンダを用いたキャリア搬送機構200により洗浄処理ユニット120内に搬入され、洗浄処理ユニット120内のキャリア100がこのキャリア搬送機構200によりステージに搬出されるように構成されている。
【0063】
ステージ部130と洗浄処理ユニット120との間には、仕切壁210が設けられており、仕切壁210には、搬入出用の開口部220が形成されている。この開口部220はシャッタ230によって開閉可能になっており、処理中にはシャッタ230が閉じられ、キャリア100の搬入出時にはシャッタ230が開けられるようになっている。
【0064】
キャリア洗浄ユニット140は、キャリア洗浄槽240を有しており、洗浄処理ユニット120においてウエハWが取り出されて空になったキャリア100が洗浄されるようになっている。
【0065】
キャリアストック150は、洗浄前のウエハWが取り出された空になったキャリア100を一時的に待機させるためや、洗浄後のウエハWを収納するための空のキャリア100を予め待機させるためのものであり、上下方向に複数のキャリア100がストック可能となっており、その中の所定のキャリア100を載置台180に載置したり、その中の所定の位置にキャリア100をストックしたりするためのキャリア移動機構を具備している。
【0066】
一方、上記洗浄処理ユニット120は、図8に示すように、上記ウエハ処理部に相当する洗浄処理部20と、洗浄処理部20の直下にキャリア100を待機させるためキャリア待機部250と、キャリア待機部250に待機されたキャリア100内の複数のウエハWを押し上げて洗浄処理部20に移動させると共に、洗浄処理部20の複数のウエハWを保持してキャリア待機部250のキャリア100に収納させるためのウエハ移動機構260とが設けられている。この場合、ウエハ移動機構260は、図8に示すように、ウエハWを保持するウエハ保持部材261と、鉛直に配置されたウエハ保持部材261を支持する支持部材262と、支持部材262を介してウエハ保持部材261を昇降する昇降駆動部263とで構成されている。
【0067】
洗浄処理部20は、ウエハWのエッチング処理後にレジストマスク、エッチング残渣であるポリマー層等を除去するものであり、二重チャンバ式液処理装置にて構成されている。以下に、二重チャンバ式液処理装置について説明する。
【0068】
上記二重チャンバ式液処理装置20は、図9に示すように、被処理体であるウエハWを保持する回転可能な保持手段例えばロータ21と、このロータ21を水平軸を中心として回転駆動する駆動手段であるモータ22と、ロータ21にて保持されたウエハWを包囲する複数例えば2つの処理部{具体的には第1の処理室,第2の処理室}の内チャンバ23,外チャンバ24と、これら内チャンバ23又は外チャンバ24内に収容されたウエハWに対して処理液例えばレジスト剥離液,ポリマ除去液等の薬液の供給手段50、この薬液の溶剤例えばイソプロピルアルコール(IPA)の供給手段60、リンス液例えば純水等の供給手段(リンス液供給手段)70又は例えば窒素(N2)等の不活性ガスや清浄空気等の乾燥気体(乾燥流体)の供給手段80{図9では薬液供給手段50と乾燥流体供給手段80を示す。}と、内チャンバ23を構成する内筒体25と外チャンバ24を構成する外筒体26をそれぞれウエハWの包囲位置とウエハWの包囲位置から離れた待機位置に切り換え移動する移動手段例えば第1,第2のシリンダ27,28及びウエハWを図示しないウエハ搬送チャックから受け取ってロータ21に受け渡すと共に、ロータ21から受け取ってウエハ搬送チャックに受け渡す被処理体受渡手段例えばウエハ受渡ハンド29とで主要部が構成されている。
【0069】
上記のように構成される液処理装置20におけるモータ22、処理流体の各供給手段50,60,70,80{図9では薬液供給手段50と乾燥流体供給手段80を示す。}の供給部、ウエハ移動機構250等は制御手段例えば中央演算処理装置30B(以下にCPU30Bという)によって制御されている。
【0070】
また、上記ロータ21は、水平に配設されるモータ22の駆動軸22aに片持ち状に連結されて、ウエハWの処理面が鉛直になるように保持し、水平軸を中心として回転可能に形成されている。この場合、ロータ21は、モータ22の駆動軸22aにカップリング(図示せず)を介して連結される回転軸(図示せず)を有する第1の回転板21aと、この第1の回転板21aと対峙する第2の回転板21bと、第1及び第2の回転板21a,21b間に架設される複数例えば4本の固定保持棒31と、これら固定保持棒31に列設された保持溝(図示せず)によって保持されたウエハWの上部を押さえる図示しないロック手段及びロック解除手段によって押え位置と非押え位置とに切換移動する一対の押え棒32とで構成されている。この場合、モータ22は、予めCPU30Bに記憶されたプログラムに基づいて所定の高速回転と低速回転を選択的に繰り返し行い得るように制御されている。なお、モータ22は冷却手段37によって過熱が抑制されるようになっている。この場合、冷却手段37は、冷却パイプ37aと、冷却水供給パイプ37bと、熱交換器37cとを具備してなる(図9参照)。
【0071】
一方、処理部例えば内チャンバ23(第1の処理室)は、第1の固定壁34と、この第1の固定壁34と対峙する第2の固定壁38と、これら第1の固定壁34及び第2の固定壁38との間にそれぞれ第1及び第2のシール部材40a,40bを介して係合する内筒体25とで形成されている。すなわち、内筒体25は、移動手段である第1のシリンダ27の伸張動作によってロータ21と共にウエハWを包囲する位置まで移動されて、第1の固定壁34との間に第1のシール部材40aを介してシールされると共に、第2の固定壁38との間に第2のシール部材40bを介してシールされた状態で内チャンバ23(第1の処理室)を形成する。また、第1のシリンダ27の収縮動作によって固定筒体36の外周側位置(待機位置)に移動されるように構成されている。この場合、内筒体25の先端開口部は第1の固定壁34との間に第1のシール部材40aを介してシールされ、内筒体25の基端部は固定筒体36の中間部に周設された第3のシール部材40cを介してシールされて、内チャンバ23内に残存する薬液の雰囲気が外部に漏洩するのを防止している。
【0072】
また、外チャンバ24(第2の処理室)は、待機位置に移動された内筒体25との間にシール部材40bを介在する第1の固定壁34と、第2の固定壁38と、第2の固定壁38と内筒体25との間にそれぞれ第4及び第5のシール部材40d,40eを介して係合する外筒体26とで形成されている。すなわち、外筒体26は、移動手段である第2のシリンダ28の伸張動作によってロータ21と共にウエハWを包囲する位置まで移動されて、第2の固定壁38との間に第4のシール部材40dを介してシールされると共に、内筒体25の先端部外方に位置する第5のシール部材40eを介してシールされた状態で、外チャンバ24(第2の処理室)を形成する。また、第2のシリンダ28の収縮動作によって固定筒体36の外周側位置(待機位置)に移動されるように構成されている。この場合、外筒体26と内筒体25の基端部間には第5のシール部材40eが介在されて、シールされている。したがって、内チャンバ23の内側雰囲気と、外チャンバ24の内側雰囲気とは、互いに気水密な状態に離隔されるので、両チャンバ23,24内の雰囲気が混じることなく、異なる処理流体が反応して生じるクロスコンタミネーションを防止することができる。
【0073】
上記のように構成される内筒体25と外筒体26は共に先端に向かって拡開するテーパ状に形成されている。このように内筒体25及び外筒体26を、一端に向かって拡開するテーパ状に形成することにより、処理時に内筒体25又は外筒体26内でロータ21が回転されたときに発生する気流が拡開側へ渦巻き状に流れ、内部の薬液等が拡開側へ排出し易くすることができる。また、内筒体25と外筒体26とを同一軸線上に重合する構造とすることにより、内筒体25と外筒体26及び内チャンバ23及び外チャンバ24の設置スペースを少なくすることができると共に、装置の小型化が図れる。
【0074】
一方、上記処理液供給手段のうち、薬液例えばポリマ除去液の供給手段50は、図10に示すように、処理部すなわち内筒体25内に取り付けられる薬液供給ノズル51(処理液供給手段)と、薬液供給部52と、これら薬液供給ノズル51と薬液供給部52とを接続する薬液供給管路53を具備してなる。
【0075】
上記薬液供給部52は、図11に示すように、薬液供給源3Aと、この薬液供給源3Aから供給される新規の薬液を貯留すると共に、処理に供された薬液を貯留するタンク10とで主要部が構成されている。
【0076】
上記タンク10は、薬液開閉弁3aを介設する薬液管路3bを介して薬液供給源3Aに接続する新液を貯留する内側タンク10aと、この内側タンク10aを内方に収容する外側タンク10bとからなる二重槽構造に構成されている。この場合、内側タンク10a及び外側タンク10bは、それぞれは有底円筒状のステンレス製容器にて形成されている。また、外側タンク10bの外周面には、外側タンク10bを囲繞するように加熱手段であるヒータ1Aが配設されている。
【0077】
この場合、内側タンク10aの上端部には、この内側タンク10aからオーバーフローする薬液を外側タンク10b内に供給するオーバーフロー管10cが配設されている(図12参照)。したがって、薬液供給源3Aから内側タンク10a内に供給される新規の薬液が内側タンク10a内に充満された後、オーバーフロー管10cを介して外側タンク10b内に供給される。なお、外側タンク10bの開口部における内側タンク10aとの隙間を狭く形成する方が好ましい。その理由は、内側タンク10aと外側タンク10bの隙間が狭い程、外側タンク10b内に貯留される薬液の液面の外気と接触する面積を少なくすることができるので、薬液の空気との接触による化学反応や劣化を抑制することができ、薬液の品質や性能の維持を図ることができるからである。
【0078】
なお、内側タンク10a及び外側タンク10bの開口部には、パージガス供給管路10dとガス抜き管路10eが接続されており、両タンク10a,10b内に貯留される薬液が外気に晒されて雰囲気が変化するのを防止するために、図示しない不活性ガス例えばN2ガス等のパージガス供給源に接続するパージガス供給管路10dからパージガス例えばN2ガスが供給されるようになっている。なお、外側タンク10bの外方近接部にはそれぞれ静電容量型の上限センサSa,秤量センサSb,ヒータオフ下限センサSc及び下限センサSdが配設されており、これらセンサSa〜Sdは制御部30B(CPU)に接続されている。この場合、センサSa〜Sdは必ずしも静電容量型である必要はなく、液面を検出できるものであればその他の形式のセンサであってもよい。これらセンサSa〜Sdのうち、上限センサSaと下限センサSdは、外側タンク10b内に貯留される薬液の上限液面と下限液面を検出し、秤量センサSbは、外側タンク10b内に実際に貯留されている薬液の量を検出し、また、ヒータオフ下限センサScは、ヒータ4による加熱可能な薬液量を検出し得るようになっている。なお、内側タンク10aの上端部には、薬液満杯センサ(図示せず)が配設されており、この薬液満杯センサによって内側タンク10a内から外側タンク10b内に流れる薬液の状態を監視することができるようになっている。すなわち、薬液満杯センサと上記秤量センサSbからの検出信号に基づいて制御部30B(CPU)からの制御信号を薬液開閉弁3aに伝達することで、内側タンク10a及び外側タンク10b内の薬液の液量を管理することができる。
【0079】
また、内側タンク10a内に貯留される薬液と、外側タンク10b内に貯留される薬液は、外側タンク10bの外方近接部に配設される1つのヒータ1Aによって加熱・保温されるようになっている。この場合、内側タンク10a内の薬液の温度は、内側タンク薬液温度センサTaによって検出され、外側タンク10b内の薬液の温度は、外側タンク薬液温度センサTbによって検出され、また、ヒータ1の温度は、コントロール温度センサTcと、オーバーヒート温度センサTdによって検出されるようになっている。これら温度センサTa〜Tdのうち、外側タンク薬液温度センサTb、コントロール温度センサTc及びオーバーヒート温度センサTdの検出信号をCPU30Bに伝達し、CPU30Bからの制御信号に基づいてPID温調器(図示せず)にて制御して、外側タンク10b内の薬液温度、ヒータ1の加熱温度を所定温度(例えば80℃以上、150℃以下)に設定できるようになっている。
【0080】
また、外側タンク10b内には、上記冷却手段2の冷却部2bが配設されており、冷却水供給源(図示せず)から供給される冷却水が冷却部2bを流通して外側タンク10b内の薬液を熱交換することで、薬液が冷却されるようになっている。
【0081】
一方、処理部すなわち内筒体25内に取り付けられる薬液供給ノズル51と、薬液供給部52とを接続する薬液供給管路53は、図9及び図11に示すように、内側タンク10a内の薬液を処理部側に供給する第1の供給管路14aと、外側タンク10b内の薬液を処理部側に供給する第2の供給管路14bと、これら第1及び第2の供給管路14a,14bを連結して共通化する主供給管路14cとで主に構成されている。この場合、第1の供給管路14aには第1の切換開閉弁15aが介設され、第2の供給管路14bには第2の切換開閉弁15bが介設されている。また、主供給管路14cには例えばダイアフラム式の供給ポンプ16が介設されると共に、この供給ポンプ16の吐出側に順次、第3の切換開閉弁15c、フィルタ17、第4の切換開閉弁15dが介設されている。
【0082】
また、主供給管路14cにおける供給ポンプ16の吐出側と外側タンク10bとは、第5の切換開閉弁15eを介設した上記待機循環路4に相当する循環管路18が接続されており、外側タンク10b内から供給される薬液を循環し得るように構成されている。
【0083】
また、主供給管路14cにおける供給ポンプ16の吐出側{具体的には供給ポンプ16と第3の切換開閉弁15cとの間}と、第3の第3の切換開閉弁15cの吐出側と循環管路18の接続部との間には、主供給管路14cから分岐され再び主供給管路14cに連結するバイパス管路19が接続されている。このバイパス管路19には、第6の切換開閉弁15f、フィルタ19a及び第7の切換開閉弁15gが順次介設されている。また、外側タンク10bの開口部2bと処理部には、上記排出路8bに相当する薬液の戻り管路56が接続されており、処理部で処理に供された薬液が外側タンク10b内に貯留されて、リサイクルに供されるようになっている。
【0084】
上記のようにして薬液供給管路53を形成することにより、外側タンク10b内に貯留された薬液を第2の供給管路14b、主供給管路14c、バイパス管路19及び主供給管路14cを介して処理部側に供給することができる。また、内側タンク10a内に貯留された薬液(新液)を第1の供給管路14aと主供給管路14cを介して処理部側に供給することができる。また、ウエハWの処理の待機時には、外側タンク10b内に貯留された薬液を循環管路18を介して循環することができる。この際、上記第二又は第三実施形態で説明したように、上記冷却手段2の第1及び第2の開閉弁Vb,Vcを開放するか、あるいは、流量制御弁CVを全開して、冷却水をタンク10A内の薬液に接触させることにより、ヒータ1Aの加熱量を処理温度より高くして薬液の温度を処理許容温度(温度監視幅)範囲内に抑制することができる。なお、この場合、薬液の循環は、上記第一ないし第三実施形態と異なり、ウエハ処理部すなわち内筒体25から待機循環ライン5に連通させずに、直接外側タンク10b内に戻している。
【0085】
なお、外側タンク10bの底部には排液開閉弁57を介設した排液管路58が接続されている(図11及び図12参照)。
【0086】
一方、薬液の溶剤例えばIPAの供給手段60は、図10に示すように、内筒体25内に取り付けられる上記薬液供給ノズルを兼用する供給ノズル51(以下に薬液供給ノズル51で代表する)と、溶剤供給部61と、この供給ノズル51と薬液供給部52とを接続するIPA供給管路62に介設されるポンプ54、フィルタ55、IPA供給弁63を具備してなる。この場合、溶剤供給部61は、溶剤例えばIPAの供給源64と、このIPA供給源64から供給される新規のIPAを貯留するIPA供給タンク61aと、処理に供されたIPAを貯留する循環供給タンク61bとで構成されており、両IPA供給タンク61a,61bには、上記内チャンバ23の拡開側部位の下部に設けられた第1の排液ポート41に接続する第1の排液管42に図示しない切換弁(切換手段)を介して循環管路90が接続されている。図面では、IPA供給タンク61a,61bを別個に配置する場合について説明したが、上記内側タンク10aと外側タンク10bと同様に、IPA供給タンク61a,61bを二重槽構造とする方が望ましい。
【0087】
一方、リンス液例えば純水の供給手段70は、図10に示すように、第2の固定壁38に取り付けられる純水供給ノズル71と、純水供給源72と、純水供給ノズル71と純水供給源72とを接続する純水供給管路73に介設される供給ポンプ74、純水供給弁75とを具備してなる。この場合、純水供給ノズル71は、内チャンバ23の外側に位置すると共に、外チャンバ24の内側に位置し得るように配設されており、内筒体25が待機位置に後退し、外筒体26がロータ21とウエハWを包囲する位置に移動して外チャンバ24を形成した際に、外チャンバ24内に位置して、ウエハWに対して純水を供給し得るように構成されている。なお、純水供給ノズル71は、外チャンバ24に取り付けられるものであってもよい。
【0088】
また、外チャンバ24の拡開側部位の下部には、第2の排液ポート45が設けられており、この第2の排液ポート45には、図示しない開閉弁を介設した第2の排液管46が接続されている。なお、第2の排液管46には、純水の比抵抗値を検出する比抵抗計47が介設されており、この比抵抗計47によってリンス処理に供された純水の比抵抗値を検出し、その信号を上記CPU30Bに伝達するように構成されている。したがって、この比抵抗計47でリンス処理の状況を監視し、適正なリンス処理が行われた後、リンス処理を終了することができる。
【0089】
なお、上記外チャンバ24の拡開側部位の上部には、第2の排気ポート48が設けられており、この第2の排気ポート48には、図示しない開閉弁を介設した第2の排気管49が接続されている。
【0090】
また、乾燥流体供給手段80は、図9及び図10に示すように、第2の固定壁38に取り付けられる乾燥流体供給ノズル81と、乾燥流体例えば窒素(N2)供給源82と、乾燥流体供給ノズル81とN2供給源82とを接続する乾燥流体供給管路83に介設される開閉弁84、フィルタ85、N2温度調整器86とを具備してなり、かつ乾燥流体供給管路83におけるN2温度調整器86の二次側に切換弁87を介して上記IPA供給管路62から分岐される分岐管路88を接続してなる。この場合、乾燥流体供給ノズル81は、上記純水供給ノズル71と同様に内チャンバ23の外側に位置すると共に、外チャンバ24の内側に位置し得るように配設されており、内筒体25が待機位置に後退し、外筒体26がロータ21とウエハWを包囲する位置に移動して外チャンバ24を形成した際に、外チャンバ24内に位置して、ウエハWに対してN2ガスとIPAの混合流体を霧状に供給し得るように構成されている。この場合、N2ガスとIPAの混合流体で乾燥した後に、更にN2ガスのみで乾燥する。なお、ここでは、乾燥流体がN2ガスとIPAの混合流体である場合について説明したが、この混合流体に代えてN2ガスのみを供給するようにしてもよい。
【0091】
なお、上記薬液供給手段50、IPA供給手段60、純水供給手段70及び乾燥流体供給手段80における供給ポンプ16,54、薬液供給部52の第1〜第7の切換開閉弁15a〜15g、温度調整器56,N2温度調整器86、IPA供給弁63及び切換弁87は、CPU30Bによって制御されている(図9参照)。
【0092】
次に、上記のように構成される洗浄・乾燥処理装置の動作態様について説明する。まず、容器搬入・搬出部110側からキャリア搬送機構200によってキャリア100を洗浄処理部20の直下のキャリア待機部250に搬送する。すると、ウエハ移動機構260が上昇し、キャリア待機部250に待機されたキャリア100内の複数のウエハWを押し上げて洗浄処理部20に移動させ、ロータ21にセットする。
【0093】
上記のようにしてロータ21にウエハWがセットされると、内筒体25及び外筒体26がロータ21及びウエハWを包囲する位置まで移動して、内チャンバ23内にウエハWを収容する。この状態において、まず、ウエハWに薬液を供給して薬液処理を行う。この薬液処理は、ロータ21及びウエハWを低速回転例えば1〜500rpmで回転させた状態で所定時間例えば数十秒間薬液を供給した後、薬液の供給を停止し、その後、ロータ21及びウエハWを数秒間高速回転例えば100〜3000rpmで回転させてウエハW表面に付着する薬液を振り切って除去する。この薬液供給工程と薬液振り切り工程を数回から数千回繰り返して薬液処理を完了する。
【0094】
上記薬液処理工程において、内側タンク10a及び外側タンク10b内に薬液が貯留された状態の通常の処理では、最初に供給される薬液は、外側タンク10b内に貯留された薬液が使用される。すなわち、第2,第6,第7及び第4の切換開閉弁15b,15f,15g,15dが開いた状態で供給ポンプ16が作動することにより、外側タンク10b内の薬液は、第2の供給管路14b、主供給管路14c、バイパス管路19及び主供給管路14cを流れて処理部側に供給される。この際、供給ポンプ16を通過した薬液はフィルタ19aによって濾過され、薬液中に混入する不純物や夾雑物等が除去される。ある一定時間内最初に使用された薬液は第1の排液管42から廃棄される。それ以外の薬液は一定時間処理に供された後、外側タンク10b内に戻されて、以後循環供給される。
【0095】
所定時間薬液を循環供給して処理を行った後、内側タンク10a内の新規薬液が処理部側に供給されて薬液処理が終了する。内側タンク10a内の新規薬液を処理部側へ供給する場合には、上記第2,第6及び第7の切換開閉弁15b,15f,15gが閉じ、第1,第3及び第4の切換開閉弁15a,15c,15dが開く。この状態で供給ポンプ16が作動することにより、内側タンク10a内の新規薬液は、第1の供給管14a及び主供給管14cを流れて処理部側に供給される。この際、供給ポンプ16を通過した新規薬液はフィルタ17によって濾過され、薬液中に混入する不純物や夾雑物等が除去される。また、前回の処理時に供給され、主供給管路14cに残留した新規薬液は、次回の新規薬液と共にフィルタ17によって濾過される。なお、処理に供された新規薬液は戻り管路56を介して外側タンク10b内に貯留される。この際、上記第一ないし第三実施形態で説明したように、冷却手段2の開閉弁Vaを開放するか、第1の開閉弁Vbを開放するか、あるいは、流量制御弁CVを絞って冷却水を冷却手段2の冷却部2bに流通して、タンク10A内の薬液と接触させて冷却することで、薬液が処理状態の大量放熱の状態から待機状態に急激に変化するのを抑制することができる。したがって、薬液の温度を処理温度の許容範囲内(70±1℃)にして次の待機循環に備えることができる。
【0096】
薬液処理及びリンス処理が終了した後、内筒体25が待機位置に後退して、ロータ21及びウエハWが外筒体26によって包囲、すなわち外チャンバ24内にウエハWが収容される。したがって、内チャンバ23内で処理されたウエハWから液がしたたり落ちても外チャンバ24で受け止めることができる。この状態において、まず、リンス液供給手段の純水供給ノズル71から回転するウエハWに対してリンス液例えば純水が供給されてリンス処理される。このリンス処理に供された純水と除去されたIPAは第2の排液ポート45を介して第2の排液管46から排出される。また、外チャンバ24内に発生するガスは第2の排気ポート48を介して第2の排気管49から外部に排出される。
【0097】
このようにしてリンス処理を所定時間行った後、外チャンバ24内にウエハWを収容したままの状態で、乾燥流体供給手段80のN2ガス供給源82及びIPA供給源64からN2ガスとIPAの混合流体を回転するウエハWに供給して、ウエハ表面に付着する純水を除去することで、ウエハWと外チャンバ24内の乾燥を行うことができる。また、N2ガスとIPAの混合流体によって乾燥処理した後、N2ガスのみをウエハWに供給することで、ウエハWの乾燥と外チャンバ24内の乾燥をより一層効率よく行うことができる。
【0098】
上記のようにして、ウエハWの薬液処理、薬液除去処理、リンス処理及び乾燥処理が終了した後、外筒体26が内筒体25の外周側の待機位置に後退する一方、図示しないロック解除手段が動作してウエハ押え棒32をウエハWの押え位置から後退する。すると、ウエハ移動機構260が上昇してロータ21の固定保持棒31にて保持されたウエハWを受け取って処理装置20の下方へ移動する。処理装置の下方へ移動されたウエハWはキャリア待機部250に待機されたキャリア100内に収容された後、キャリア搬送機構200によって容器搬入・搬出部110に搬送された後、装置外部に搬送される。
【0099】
なお、上記実施形態では、この発明に係る液処理方法及び液処理装置を半導体ウエハの洗浄・乾燥処理装置に適用した場合について説明したが、半導体ウエハ以外のLCD用ガラス基板等にも適用できることは勿論であり、また、洗浄・乾燥処理装置以外の薬液等の処理液を用いた液処理装置にも適用できることは勿論である。
【0100】
また、上記実施形態では、処理液での適用について説明したが、この発明は、処理液での適用だけでなく、超臨界流体にも適用できる。
【0101】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0102】
1)請求項1記載の発明によれば、タンク内の処理液を同時に加熱及び冷却可能にすることにより、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができるので、処理効率の向上、スループットの向上を図ることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。
【0103】
2)請求項2記載の発明によれば、処理を終了した後の待機循環中に、タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行うことにより、処理液が処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱状態に急激に変化するのを抑制することができるので、上記1)に加えて更に待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。この場合、処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始することにより、処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れる(請求項9)。
【0104】
3)請求項1,3記載の発明によれば、処理を開始する前の待機循環中に、タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整し、処理液の加熱量を冷却しない場合に処理温度に調整する加熱量より高くするので、処理時に処理部で熱を奪われた処理液の温度低下を抑制することができる。また、処理時には冷却手段による冷却を停止し、加熱手段による加熱により、処理液を処理温度に調整するので、処理に供される処理液の温度を処理温度の許容範囲にすることができる。したがって、上記1)に加えて更に処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる。この場合、待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止することにより、更に処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる(請求項7)。
【0105】
4)請求項4記載の発明によれば、処理前及び処理後の待機循環中に、タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整し、処理液の加熱量を冷却しない場合に処理温度に調整する加熱量より高くするので、処理時に処理部で熱を奪われた処理液の温度低下を抑制することができる。また、処理時には冷却手段による冷却を停止し、加熱手段による加熱により、処理液を処理温度に調整することにより、処理に供される処理液の温度を処理温度の許容範囲にすることができる。したがって、上記1)に加えて更に処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる。この場合、待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止し、処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始することにより、更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れ、処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる(請求項7,9)。
【0106】
5)請求項5記載の発明によれば、処理を開始する直前に、更に加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させるので、上記3),4)に加えて更に処理開始時に急激に熱を奪われることによる温度低下を抑制することができ、処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる。この場合、加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させる際の冷却により処理液から放出される熱量と、処理開始時に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うことにより、更に処理効率の向上を図ることができると共に、スループットの向上を図ることができる(請求項10)。
【0107】
6)請求項6,8記載の発明によれば、処理を開始する前あるいは処理を終了した後の待機循環中に、待機循環中の冷却により処理液から放出される熱量と、処理中に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うので、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。したがって、上記2)〜5)に加えて更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れると共に、スループットの向上を図ることができる。
【0108】
7)請求項11記載の発明によれば、待機循環ラインと処理循環ラインとそれらを切り換える切換手段を具備すると共に、加熱手段と冷却手段とを具備することにより、待機循環ラインに処理液を待機循環させる際に、タンク内の処理液を同時に加熱及び冷却することができるので、待機循環中の処理液の温度の温度監視幅を超える急激な温度上昇を抑制でき、処理液の温度を処理温度の許容温度範囲内にして、次の処理に備えることができる。したがって、処理効率の向上、スループットの向上を図ることができる。また、処理液の温度上昇を抑制することができるので、処理液の劣化防止及び寿命の増大を図ることができる。また、制御手段を、切換手段により、処理液の流れを待機循環ラインから処理循環ラインに切り換えるのと同時に、開閉手段を閉じて冷却媒体のタンク内への流通を停止させるように制御可能に形成することにより、更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れ、処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる。この場合、制御手段を、切換手段により、処理液の流れを処理循環ラインから待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、開閉手段を開放して冷却媒体をタンク内に流通させるように制御可能に形成することにより、更に処理液の待機期間の短縮及び処理間隔の短縮が図れ、処理効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる(請求項12)。
【0109】
8)請求項13,14記載の発明によれば、開閉手段を、流量可変可能な流量制御弁にて形成するか、あるいは、冷却媒体の流通路に並列して介設される第1及び第2の開閉弁で構成することにより、冷却媒体の流量を調節することができるので、処理液が処理状態の大量放熱の状態から待機状態の少量放熱状態に急激に変化するのを抑制することができる。したがって、上記7)に加えて更に処理液の待機期間の短縮、処理間隔の短縮及びスループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る液処理装置の第一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第一実施形態の液処理装置の処理前、処理時及び待機循環の状態における温度と時間の関係を示すグラフである。
【図3】この発明に係る液処理装置の第二実施形態を示す概略構成図である。
【図4】第二実施形態の液処理装置の処理前、処理時及び待機循環の状態における温度と時間の関係を示すグラフである。
【図5】この発明に係る液処理装置の第三実施形態を示す概略構成図である。
【図6】この発明に係る液処理装置を組み込んだ洗浄・乾燥処理システムを示す斜視図である。
【図7】上記洗浄・乾燥処理システムの概略平面図である。
【図8】この発明に係る液処理装置を適用した二重チャンバ式液処理装置を示す概略断面図である。
【図9】上記二重チャンバ式液処理装置の概略構成図である。
【図10】上記二重チャンバ式液処理装置における処理液の配管系統を示す概略配管図である。
【図11】上記二重チャンバ式液処理装置の薬液供給部を示す概略構成図である。
【図12】上記二重チャンバ式液処理装置のタンクを示す断面図である。
【図13】従来の液処理装置を示す概略構成図である。
【図14】従来の液処理装置の処理前、処理時及び待機循環の状態における温度と時間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,1A ヒータ(加熱手段)
2 冷却手段
4 待機循環路
5 待機循環ライン
6 処理室
7 ノズル
8a 供給路
8b 排出路
9 処理部
10,10A タンク
30A,30B CPU
W ウエハ(被処理体)
V1 第1の切換弁
V2 第2の切換弁
Va 開閉弁
Vb 第1の開閉弁
Vc 第2の切換弁
CV 流量制御弁
Claims (14)
- タンク内に貯留される処理液を加熱手段及び冷却手段により、加熱及び冷却可能にすると供に、待機循環させておき、この待機循環中の処理液を処理室内に収容された被処理体に供給して処理を施し、上記被処理体に供給した処理液を上記タンク内に戻す液処理方法において、
上記待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行い、処理液を処理室内に収容された被処理体に供給する処理時には冷却手段による冷却を停止し、加熱手段による加熱により、処理液を処理温度に調整することを特徴とする液処理方法。 - 請求項1記載の液処理方法において、
上記処理を終了した後の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行って処理液を処理温度に調整することを特徴とする液処理方法。 - 請求項1記載の液処理方法において、
上記処理を開始する前の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整することを特徴とする液処理方法。 - 請求項1記載の液処理方法において、
上記処理を開始する前の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整し、
上記処理を終了した後の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行って処理液を処理温度に調整することを特徴とする液処理方法。 - 請求項3又は4記載の液処理方法において、
上記処理を開始する前の待機循環中に、上記タンク内の処理液に対して加熱及び冷却を同時に行いながら処理液を処理温度に調整する際に、処理を開始する直前に、更に加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させて、処理液を処理温度に調整することを特徴とする液処理方法。 - 請求項3ないし5のいずれかに記載の液処理方法において、
上記処理を開始する前の待機循環中に、待機循環中の冷却により処理液から放出される熱量と、処理中に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うことを特徴とする液処理方法。 - 請求項3ないし5のいずれかに記載の液処理方法において、
上記待機循環から処理開始への切換と同時に冷却を停止することを特徴とする液処理方法。 - 請求項2又は4記載の液処理方法において、
上記処理を終了した後の待機循環中に、待機循環中の冷却により処理液から放出される熱量と、処理中に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うことを特徴とする液処理方法。 - 請求項2又は4記載の液処理方法において、
上記処理を終了した後の待機循環への切換と同時に冷却を開始することを特徴とする液処理方法。 - 請求項5記載の液処理方法において、
処理を開始する直前に、更に加熱手段及び冷却手段による加熱量及び冷却量を増加させる際の冷却により処理液から放出される熱量と、処理開始時に処理液から放出される熱量が略同一となるように冷却を行うことを特徴とする液処理方法。 - タンク内に貯留された処理液を所定の温度に加熱する加熱手段と、
上記タンク内の処理液を冷却する冷却媒体を流通する冷却手段と、
上記タンク内の処理液をタンク外に待機循環させる待機循環ラインと、
処理室内に収容された被処理体に処理液を供給する処理液供給手段と、
上記処理液供給手段へ処理液を供給する供給路と、
処理に供された処理液を上記処理室から排出する排出路と、
上記供給路と供給手段と排出路とを有する処理循環ラインと、
上記待機循環ラインと処理循環ラインを流れる処理液の流れを切り換える切換手段と、
上記冷却媒体の連通路に介設される開閉手段と、
上記切換手段により、上記待機循環ラインに処理液を待機循環させる際に、上記加熱手段により加熱すると共に、上記開閉手段を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させ、上記切換手段により、処理液の流れを上記待機循環ラインから上記処理循環ラインに切り換えるのと同時に、上記開閉手段を閉じて上記冷却媒体の上記タンク内への流通を停止させるように制御する制御手段と、を具備することを特徴とする液処理装置。 - 請求項11記載の液処理装置において、
上記制御手段は、上記切換手段により、処理液の流れを上記処理循環ラインから上記待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、上記開閉手段を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御可能に形成されることを特徴とする液処理装置。 - 請求項11記載の液処理装置において、
上記開閉手段は、流量可変可能な流量制御弁であり、
上記制御手段は、処理液の流れを上記処理循環ラインから上記待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、上記流量制御弁を少量に開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御し、
処理液の流れを上記待機循環ラインから上記処理循環ラインに切り換える前に、上記流量制御弁を大流量に開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御可能に形成されることを特徴とする液処理装置。 - 請求項11記載の液処理装置において、
上記開閉手段は、冷却媒体の流通路に並列して介設される第1及び第2の開閉弁で構成され、
上記制御手段は、処理液の流れを上記処理循環ラインから上記待機循環ラインに切り換えるのと同時に、加熱手段により加熱すると共に、上記第1の開閉弁を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御し、
処理液の流れを上記待機循環ラインから上記処理循環ラインに切り換える前に、上記第1及び第2の開閉弁を開放して上記冷却媒体を上記タンク内に流通させるように制御可能に形成されることを特徴とする液処理装置。
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