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JP4390566B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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本発明はステアリング装置に関し、チルト機構のステアリングコラムのロックを解除した時に、操作レバーに生じる遊びを低減させたものである。
自動車の操舵を行うためのステアリング装置には、ステアリングホィールの高さ位置を調整し、運転者の運転姿勢を最適状態に確保できるように、チルト機構が設けられている。
チルト機構を有する従来のステアリング装置は、特許文献1のように構成されている。即ち、以下のようになっている。ステアリングコラムの上部にコラム側ブラケットが一体的に固定される一方、車体には車体側ブラケットが結合され、コラム側ブラケットの一対のアームに形成された孔と、車体側ブラケットの一対のアームに形成された長孔と、に回転を拘束されたチルトボルトが挿通されている。このチルトボルトには回転を拘束された固定カム部材と回転が可能な可動カム部材と操作レバーとが挿通され、ナットがねじ込まれている。そして、可動カム部材と操作レバーとナットとが一体で回転するように結合されている。
このため、操作レバーをロック方向へ回動させると、ナットと可動カム部材とが同時に回動し、ナットが締め付けられる方向へ回動されると同時に可動カム部材に対して固定カム部材が離れる方向へ移動するため、車体側ブラケットの一対のアームに対して、コラム側ブラケットの一対のアームが押圧されて摩擦抵抗が大きくなりロックされる。次に、操作レバーをロック解除方向へ回動させると、ナットと可動カム部材とが同時に回動し、ナットが弛む方向へ回動させられると同時に可動カム部材に対して固定カム部材が近づく方向へ移動するため、車体側ブラケットの一対のアームに対して、コラム側ブラケットの一対のアームが開放される。このため、ステアリングコラムの上部を上下動させて最適な位置に設定することができ、この位置で操作レバーを再びロック方向へ回動させると、ステアリングコラムの上部をロックすることができる。
特開2000−53001号公報
ところが、カムを用いて軸方向の移動量を大きくしているために、ステアリングコラムのロック解除を行ったときには、固定カム部材に対して可動カム部材および操作レバーを押し付ける力がなくなる。操作レバーおよび可動カム部材の挿通孔とチルトボルトの間にはクリアランスが設けられているため、操作レバーがチルトボルトの軸方向に傾いて大きくガタつき、操作フィーリングが悪いという不具合がある。
そこで本発明は、上記の課題を解決したステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、車体に結合された車体側ブラケットと、ステアリングコラムに結合されたコラム側ブラケットと、前記車体側ブラケットと前記コラム側ブラケットとのうちのいずれか一方に形成された上下方向の長孔と他方に形成された孔とに挿通されて回転を拘束されたチルトボルトと、回転が拘束され前記チルトボルトが挿通孔に挿通された固定カム部材と、前記チルトボルトが挿通孔に挿通され回転可能に前記固定カム部材と係合する可動カム部材と、該可動カム部材に結合された操作レバーと、前記チルトボルトにねじ込まれ前記操作レバーを前記チルトボルトの軸方向で位置決めするナットと、によって構成されたステアリング装置において、前記可動カム部材の前記挿通孔の孔縁に、突起部を軸方向に沿って前記固定カム部材の全長とほぼ対応した長さに形成し、該突起部を前記固定カム部材の前記挿通孔に摺動自在に嵌挿し、前記ナットをレンチのロック孔に嵌め込み、該ロック孔を中心とする円弧に沿って前記レンチに長孔を形成し、該長孔に挿通したボルトを前記操作レバーにねじ込んだことを特徴とする。
このようなステアリング装置では、可動カム部材に形成した突起部を固定カム部材の挿通孔に摺動自在に嵌挿したことから、チルトボルト軸方向での可動カム部材の長さが長くなり、可動カム部材と一体の操作レバーがチルトボルトに対して傾くのを規制することができる。このため、ステアリングコラムのロック解除を行ったときの、操作レバーおよび可動カム部材のガタつきが防止され、操作フィーリングが向上する。また、操作レバーを操作してナットを締め込んだ際に、ナットの円周方向での位置がばらつくが、長孔に対するボルトの位置を変えることで、円周方向でのナットに対する操作レバーの相対的な角度を変えることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のステアリング装置において、前記突起部を円筒形としたことを特徴とする。
このようなステアリング装置では、可動カム部材が固定カム部材に対して相対的に軸方向へ移動する際に、可動カム部材の円筒形の突起部が、固定カム部材の挿通孔の内部で摺動する。そのため、可動カム部材と固定カム部材との軸心位置のずれを従来の半分にできて操作力の安定化が図れる。
本発明に係るステアリング装置によれば、可動カム部材に形成した突起部を固定カム部材の挿通孔に挿入したことから、チルトボルト軸方向での可動カム部材の長さが長くなり、可動カム部材と一体の操作レバーがチルトボルトに対して傾くのを規制することができる。このため、ステアリングコラムのロック解除を行ったときの、操作レバーおよび可動カム部材のガタつきが防止され、操作フィーリングが向上する。また、カム部材の軸心位置が相対的にずれるのが防止され、操作力が安定する。更に、円周方向でのナットに対する操作レバーの相対的な角度を変えることができるので、操作レバーを一定の位置に配置できる。
以下、本発明によるステアリング装置の実施の形態を説明する。
図1,図2に示すように、筒形状のステアリングコラム1の内部に軸受17等を介してステアリングシャフト2が回転自在に支持されている。図2の右端であるステアリングシャフト2の上端には、図示しないステアリングホィールが設けられ、ステアリングシャフト2の左端である下端は、図示しない自在継手を介して、図示しないステアリングギヤボックスに連結されている。そして、ステアリングホィールの高さを調整できるようにするためにチルト機構が設けられている。即ち、以下のように、ステアリングコラム1の上部が上下方向へ移動可能に支持されている。なお、ステアリングコラム1の下部は、車体側に固定された図示しないロアーブラケットを介して上下方向へ揺動可能に支持されている。
車体には車体側ブラケット3が取り付けられている。車体側ブラケット3は、左右方向へ長い取付部3aと、一対のアーム部3cを有する略U字形の支持部3bとを結合して構成されている。取付部3aの両側には、車体側ブラケット3を車体に取りつけるための取付座4が設けられ、取付座4には取付孔4aが形成されている。一方、ステアリングコラム1には略C字形断面形状を有するコラム側ブラケット5の両端部が結合されている。コラム側ブラケット5は車体側ブラケット3の支持部3bの内側に摺動自在に嵌めこまれている。
一対のアーム部3cには、図1の上下方向に沿って長孔6が形成されており、コラム側ブラケット5の両側には円形の孔7が形成されている。長孔6および孔7にはチルトボルト8が挿通されている。チルトボルト8の構成を、図3に示す。チルトボルト8の頭部8aには、長孔6の内部で摺動しかつチルトボルト8の回り止めとして作用するガイド部8bが形成されている。ガイド部8bの幅寸法Wは、長孔6の幅寸法よりも僅かに小さい値に設定されている。
一方、チルトボルト8の頭部8aの反対側のねじ部には、ナット12がねじ込まれており、ナット12の端面と一方のアーム部3cとの間には、ナット12の端面とアーム部3cとの間隔を大きくすることで、車体側ブラケット3とコラム側ブラケット5との間の摩擦係数を大きくしてステアリングコラム1が上下方向へ動かないようにロックするロック手段が設けられている。ロック手段は、以下のように構成されている。チルトボルト8に挿着されて同軸上に配置された固定カム部材9と可動カム部材10とが設けられている。
固定カム部材9と可動カム部材10との構成を図4,図5に示す。図4に示すように、固定カム部材9は略円盤形状であり、その軸心位置には挿通孔9bが形成されている。そして、固定カム部材9の一側面には、前記長孔6に嵌め込むことで固定カム部材9の回転を拘束しかつ長孔6に沿ってスライドできるように、図4(c)に示すように上下一対のガイド部9aが突出成形されている。一方、図4(a)に示すように他側面にはカム面9cが形成されている。カム面9cの形状は、図4(b)のA−A矢視図として図7(a)に示すように、高さの異なるa〜fのパターンが、円周方向に4回繰り返し形成されている。
一方、可動カム部材10は、図5のように円盤形の中央にチルトボルト8を挿通させるための挿通孔10aが形成され、両面に筒部が形成されている。図5(c)に示すように、固定カム部材側の一側面には挿通孔10aの孔縁に軸方向に沿って円筒形のスリーブ(突起部)10bが突出成形されている。このスリーブ10bの長さは前記固定カム部材9の全長とほぼ対応した値に設定されている。スリーブ10bよりも外周側には、カム面10cが形成されている。カム面10cの形状は、図5(c)のB−B矢視図として図7(b)に示すように、突起部を形成するg〜iのパターンが、円周方向に間欠的に4回繰り返し形成されている。可動カム部材10の他側面には外形が四角形の四角筒部10dが、挿通孔10aの孔縁に形成されている。そして、図6に示すように、可動カム部材10のスリーブ10bを、固定カム部材9の挿通孔9bに摺動させて挿入した状態で、カム面9cとカム面10cとが係合している。
操作レバー11に可動カム部材10を取り付けた状態の構成を図8に示す。操作レバー11の基端部には図示しない四角形の挿通孔が形成されており、この挿通孔に図5(a)の可動カム部材10の四角筒部10dが圧入され、可動カム部材10は操作レバー11と一体に回転するようになっている。そして、可動カム部材10および操作レバー11にはチルトボルト8が挿通され、チルトボルト8にはナット12がねじ込まれている。そして、ナット12が弛まないようにするために、レンチ13が設けられている。図9に示すように、レンチ13は両端を夫々反対方向へ折り曲げた形状であり、一方には正六角形のボルト12の頭部を円周方向の12位置で嵌め込めるロック孔13aが形成され、他方にはロック孔13aを中心とする円弧に沿って長孔13bが設けられている。この長孔13bにボルト18が挿入され、該ボルト18は操作レバー11のタップ孔11aにねじ込まれている。これにより、ナット12は操作レバー11と一体に回転し、操作レバー11は可動カム部材10と一体に回転することから、可動カム部材10・操作レバー11・ボルト18の3者は一体になって回転する。ナット12を所定のトルクで締め込んだ際に、ナット12の六角形の位置がばらつくが、長孔13bに対するボルト18の位置を変えることで、円周方向でのナット12に対する操作レバー11の相対的な角度を変えることができ、操作レバー11を一定の位置に配置できる。
チルト機構のステアリングコラム1をロック解除すると、ステアリングホィール等が自重で長孔6に沿って下がるので、ステアリングホィール等を支持するため、ステアリングコラム1の下面には断面形状がコの字形の支持部材14が結合され、支持部材14のばね掛け部14aと、車体側ブラケット3に形成されたばね掛け孔15との間に、吊り上げ用のばね16が設けられている。
次に、ステアリング装置の作用を説明する。チルト機構のステアリングコラムがロックされている状態からステアリングホィールの高さを変えたい場合は、以下の手順で行う。まず、操作レバー11を図2中の反時計方向へ回転させる。すると、操作レバー11と一体的に回転する可動カム部材10およびナット12も反時計方向へ回転し、図7(b)のカム面10cのhの部分が図7(a)のカム面9cのbからdまで下がり、チルトボルト8の先端部とアーム3cとの間の突っ張りが解除される。このため、一対のアーム3cとコラム側ブラケット5との間のロックが解除され、ステアリングコラム1は上下動可能になる。
このあと、ステアリングホィールの高さを変更した状態で、操作レバー11を時計方向へ回転させて締め付ける。この間、ばね16がステアリングホィールの重さを支える。操作レバー11を締め付けると、可動カム部材10およびナット12が時計方向へ一体的に回転し、図7(b)のカム面10cのhの部分が図7(a)のカム面9cのdからbまで上がり、チルトボルト8の先端部とアーム3cとの間で突っ張りが生じる。このため、一対のアーム3cとコラム側ブラケット5がロックされ、従ってステアリングコラム1はロックされて上下動不可能となる。
ステアリングコラム1をロックしたときや、ロック解除したときの操作レバー11の操作力を変更したい場合は、図2のボルト18を弛めた後に、ナット12と共にレンチ13を回動させ、ナット12に対する操作レバー11の相対的な回転角度を変え、その後にボルト18を締めればよい。
なお、本実施の形態では軸方向に沿う突起部として円筒形のスリーブを設けたが、円筒形に限定されるものではなく、円周方向に略等間隔に突起部を形成して円筒の一部を形成するものでもよく、固定カム部材と可動カム部材との半径方向での相対的な位置決めができれば足りる。また、チルトボルトを挿通するための長孔を車体側ブラケットに形成したが、コラム側ブラケットに長孔を形成し、車体側ブラケットには丸孔を形成してもよい。
ステアリング装置を軸方向から見た構成図(実施の形態)。 ステアリング装置を軸と直角な方向から見た構成図(実施の形態)。 チルトボルトに係り、(a)は正面図、(b)は左側面図(実施の形態)。 固定カム部材に係り、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図(実施の形態)。 可動カム部材に係り、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図(実施の形態)。 固定カム部材と可動カム部材とを組み付けた状態を示す構成図(実施の形態)。 固定カム部材のカム面と可動カム部材のカム面との関係を示す構成図(実施の形態)。 操作レバーに係り、(a)は正面図、(b)は右側面図(実施の形態)。 レンチに係り、(a)は正面図、(b)は右側面図(実施の形態)。
符号の説明
1…ステアリングコラム
3…車体側ブラケット
5…コラム側ブラケット
6…長孔
7…孔
8…チルトボルト
9…固定カム部材
9b,10a…挿通孔
10…可動カム部材
10b…スリーブ
11…操作レバー
11a…タップ孔
12…ナット
13…レンチ
13a…ロック孔
13b…長孔
18…ボルト

Claims (2)

  1. 車体に結合された車体側ブラケットと、ステアリングコラムに結合されたコラム側ブラケットと、前記車体側ブラケットと前記コラム側ブラケットとのうちのいずれか一方に形成された上下方向の長孔と他方に形成された孔とに挿通されて回転を拘束されたチルトボルトと、
    回転が拘束され前記チルトボルトが挿通孔に挿通された固定カム部材と、前記チルトボルトが挿通孔に挿通され回転可能に前記固定カム部材と係合する可動カム部材と、該可動カム部材に結合された操作レバーと、前記チルトボルトにねじ込まれ前記操作レバーを前記チルトボルトの軸方向で位置決めするナットと、によって構成されたステアリング装置において、
    前記可動カム部材の前記挿通孔の孔縁に、突起部を軸方向に沿って前記固定カム部材の全長とほぼ対応した長さに形成し、該突起部を前記固定カム部材の前記挿通孔に摺動自在に嵌挿し
    前記ナットをレンチのロック孔に嵌め込み、該ロック孔を中心とする円弧に沿って前記レンチに長孔を形成し、該長孔に挿通したボルトを前記操作レバーにねじ込んだことを特徴とするステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のステアリング装置において、
    前記突起部を円筒形としたことを特徴とするステアリング装置。
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