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JP4387040B2 - 土壌改良材及び/又は有機性肥料並びにその製造方法 - Google Patents

土壌改良材及び/又は有機性肥料並びにその製造方法 Download PDF

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JP4387040B2 JP2000146459A JP2000146459A JP4387040B2 JP 4387040 B2 JP4387040 B2 JP 4387040B2 JP 2000146459 A JP2000146459 A JP 2000146459A JP 2000146459 A JP2000146459 A JP 2000146459A JP 4387040 B2 JP4387040 B2 JP 4387040B2
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sewage sludge
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智則 小梁川
稔 松原
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Nippon Paper Industries Co Ltd
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  • Fertilizers (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主に産業廃棄物扱いされている炉内脱硫方式流動床石炭ボイラー灰と、下水処理で発生する有機性汚泥、および、河川水の浄化処理時に発生する用水処理汚泥とを原料とした、悪臭の発生が少ない有機性肥料及び/又は土壌改良材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石炭は他の化石燃料に比べ埋蔵量が豊富で、長期的には安定供給可能な重要なエネルギー源である。我が国も世界有数の石炭消費国であり、エネルギー資源の多様化対策から今後も石炭エネルギーへの依存度が高まると予想されている。通商産業省資源エネルギー庁の資料によると、石炭火力発電所から発生する石炭灰は、2005年度には約1,370万トンに達すると予想されている。
【0003】
石炭灰の有効利用率は、1996年度で約70%であり、主な分野は、セメント、土木、建築、農林・水産関係である。この中で、セメント原料としての利用が大きなウェイトを占めている。セメント原料としての利用は、セメントの原料の一つである粘土代替えとしての使用であるが、JISフライアッシュ(JIS A 6201)を除き、殆どの場合、産業廃棄物扱いであり、セメント・メーカーへ委託処理費用を支払わなければならず、火力発電所を所有する企業にとって、石炭灰の処理費用の負担は大きい。このため石炭灰の他の利用分野の開発が望まれている。
【0004】
一方、我が国における下水汚泥の発生量は、下水道の普及が進むに従って年々増加しており、今後の下水道の普及や高度処理の推進などによって、発生量は一層増大するものと考えられる。
【0005】
下水汚泥は、その約99%が水分であり、これを処分する場合、水分を除去することによって減量化した後、処分する。その汚泥の発生量は、焼却処分されたものを除いて、1993年度の1年間で約2億m3にも達している。現在、下水汚泥の約50%が埋め立てによって処分されているが、特に大都市を中心として処分地の確保は年々困難になってきている。このため下水汚泥を有効に活用する方法が強く求められている。
【0006】
河川水の浄化処理時に発生する用水処理汚泥は、上水需要の増大と浄水処理場の整備と処理の高度化により、発生量が年々増大している。この用水処理汚泥は有機分としては植物由来の色素成分と有機酸を含有し、場合によっては有機性高分子凝集剤を含んでいる。無機分としては土壌由来の粘土鉱物質や水の浄化の目的に添加されるアルミニウムや鉄を含有しているが、現状、廃棄物として処分されている。特に、浄化した水を大量に使用する紙パルプ業界では、河川水の浄化時に発生する多量の用水処理汚泥の処理に苦慮しているのが現状である。このように用水処理汚泥の利用技術の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、今後年々増加していく石炭灰と下水汚泥および用水処理汚泥という廃棄物を合体させることにより、付加価値の高い製品を衛生的かつ効率的に生産しようとする技術である。
【0008】
石炭灰と下水汚泥および用水処理汚泥から肥料や土壌改良材を製造する技術はまだない。石炭灰と下水汚泥から肥料や土壌改良材を製造する技術としては、特開昭61−186277号公報、特開昭63−185881号公報、特公平1−27036号公報、特開昭59−3089号公報がある。
【0009】
特開昭61−186277号公報では、発酵消化汚泥のケーキに石炭灰を加え悪臭を除く方法が開示されているが、この方法は、汚泥と石炭灰を単に混合するだけであり、悪臭の除去が不十分である。特開昭63−185881号公報では、窒素分を含有する高含水率の有機性廃棄物(畜ふん、下水汚泥、屎尿汚泥、厨芥など)にフライアッシュ粗粉などの吸湿材とpH調整材(硫酸第一鉄、硫酸アルミニウムなどの無機塩類)を加え悪臭を防ぐ方法が開示されているが、この方法も汚泥とフライアッシュを単に混合するだけであり、悪臭の除去が不十分である。尚、このpH調整剤は無機塩類の加水分解により、石炭灰のアルカリを中和するものである。特公平1−27036号公報では、有機性汚泥(下水汚泥、水産汚泥、畜産汚泥など) の脱水前後にフライアッシュ粗粉を加える方法が開示されている。この方法では、悪臭はかなり低減されると考えられるが、フライアッシュを2回に分けて添加するため、作業が繁雑となる欠点がある。特開昭59−3089号公報では、含水率75〜80%の有機性汚泥ケーキ(下水汚泥、屎尿処理汚泥など)に多孔性鉱物(バーミキュライト、パーライトなど)と石炭灰を混合し造粒した有機肥料の製造方法が開示されている。この方法では、焼成により膨張させたバーミキュライトやパーライトの粒状物を使用するため、生産される有機肥料は高価となり、実用的ではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、今後発生量が増加すると予測される廃棄物である石炭灰と下水汚泥及び用水処理汚泥から、悪臭の発生が少なく、しかも、取り扱いやすい土壌改良材及び/又は有機性肥料を製造する技術を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決について種々検討した結果、炉内脱硫方式の流動床石炭ボイラー灰が水と接触すると固化する性質があること、また、この石炭灰と下水汚泥と水があれば簡単に固化造粒物が得られること、また、生成した粒状の有機肥料および土壌改良材は、散布時および散布後の悪臭の発生が少ないことを見出た。この状態でも土壌改良材あるいは有機性肥料として使用することは可能であるが、この造粒物のpHは高く、比較的に強いアルカリ性を示す。従って、造粒物のアルカリ性を中和することが望ましく、pH調整材を種々検討した結果、河川水の浄化時に発生する用水処理汚泥を炉内脱硫方式流動床石炭ボイラー灰と下水汚泥の混合し造粒することで、造粒物のpHが下がることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0013】
本発明の石炭灰は、炉内脱硫方式の流動床石炭ボイラー灰に限定適用される。国内炭、海外炭の区別無く適用される。また、灰の発生箇所の制約はなく、フライアッシュとベッドアッシュの区別なく使用することが出来る。この方式の石炭ボイラーでは、石炭微粉と炭酸カルシウムを燃焼炉へ投入し流動状態で燃焼させる。石炭の燃焼によって生成したイオウ酸化物は、炭酸カルシウムが高温で分解し生成した生石灰に吸収されることで、排煙脱硫が達成される。この生石灰はイオウ酸化物との反応で全て消費されるのではなく、石炭灰中には未反応の生石灰が残留している。本発明では、石炭灰中の生石灰含有率は4%以上が好ましい。4%未満であると、石炭灰と下水汚泥および用水処理汚泥との造粒物が得にくい。
【0014】
本発明の下水汚泥は、人糞、尿の処理施設で発生する汚泥であり、初沈汚泥、活性汚泥、混合汚泥又はこれらの消化汚泥であり、脱水処理型式の制約は特になく、真空脱水濾過装置、加圧濾過装置、遠心脱水装置、ベルトプレス脱水装置、スクリュウプレス脱水装置、多重円盤型脱水装置などから得られる汚泥を使用することが出来る。また、脱水助剤として、高分子凝集剤が入っていても良い。汚泥としては初沈汚泥、活性処理汚泥、混合汚泥およびこれらの消化汚泥などに適用される。発酵助剤としては、ムギワラ、もみがら、おがくず、バーク(樹皮)、木片などの有機物の他にゼオライトなどの無機鉱物が入っても良い。また、野積み法の他にロータリーキルン式、多段式、サイロ式、オーガ式、ビン式などの発酵方式や発酵程度の制約は特になく、本発明を適用できる。また、下水汚泥の含水率の制約もなく、乾燥処理工程を経た低水分の下水汚泥でも良い。
【0015】
本発明の用水処理汚泥は、河川水を沈殿法および又は濾過法で発生する汚泥である。沈殿の型式としては、水平流沈殿池、上向流沈殿池、2階層沈殿池、3階層沈殿池、傾斜板沈殿池、傾斜管沈殿池などの沈殿型式、更に凝集剤を添加する高速凝集沈殿池などの沈殿型式などに適用される。使用する凝集剤は特に限定が無く、無機塩類としては、アルミン酸ナトリウム、アンモニア明礬、塩化コッパラス、塩化第二鉄、カリ明礬、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄を使用できる。有機物としては、アルギン酸ナトリウム、カルボキシセルロース、ポリアクリルアミドなどを使用できる。濾過の型式としては、助剤濾過、直接濾過、粒状濾過(緩速濾過、急速濾過)などに適用される。本発明の用水処理汚泥は、沈殿法や濾過法のみから発生する汚泥でも良く、これらの混合物でも良い。また、この用水処理汚泥の水分量の制限は無い。
【0016】
下水汚泥に用水処理汚泥、石炭灰、更に必要に応じて水を添加した後、混合し、造粒機で造粒する。下水汚泥、用水処理汚泥、石炭灰の添加添加順序は特に制約が無く、順次あるいは同時に添加しても良い。流動床石炭ボイラー灰/下水汚泥(固形分)/用水処理汚泥(固形分)=100/1〜100/1〜100となるようにするのが好ましい。下水汚泥の配合率が1%未満であると造粒物が非常に固く、溶解しにくい状態となり、土壌改良材あるいは肥料としては不適である。100%を超すと造粒物の固さや溶解性は問題ないが、造粒物の粒子径が極めて大きくなり、造粒物の散布作業性が悪化する。一方、用水処理汚泥の配合率が1%未満であると、pH調整剤としての効果が少なく、100%を超すと、それ以上配合しても造粒物のpHはさほど下がらない。下水汚泥、用水処理汚泥、石炭灰から成る造粒物のpHは、11.0未満が植物生育の観点から望ましい。
【0017】
下水汚泥と用水処理汚泥および石炭灰から成る造粒物を製造する造粒機の型式の制約はなく、バイブロニーダー式、逆流混合式などを用いることが出来る。造粒物の粒子径は、有機性肥料としての散布作業性や土壌改良材としての施用作業性の観点から、20mm以下が好ましい。
【0018】
【作用】
炉内脱硫方式の流動床石炭ボイラー灰の主成分は、SiO2、Al2O3、CaO、CaSO4、未燃カーボンなどである。この石炭灰中のCaOと水が接触するとセメントと同様にポゾラン反応が進行し固化する。ポゾラン反応は、カルシウムシリケート相、カルシウムアルミネート相、エトリンガイトの生成反応である。反応式を次に示す。
【0019】
Figure 0004387040
この性質を利用して、下水汚泥固形分と石炭灰と水とで簡単に造粒物を作ることが出来る。造粒することにより、悪臭の発生源である下水汚泥を造粒物中に閉じこめることが出来る。これを有機性肥料および土壌改良材として散布、施用すると、造粒物表面に露出している下水汚泥から、窒素、リン、カリウムなどの肥料成分が溶出する。表面の露出している下水汚泥から臭気は発生するが、下水汚泥そのものを散布するよりは、はるかに臭気発生量が少なくなる。また、造粒物中の未燃カーボンが悪臭を吸収する効果もある。造粒物内部の下水汚泥は土中で徐々に発酵分解され、肥料成分を徐々に放出し、施肥効果の持続期間が長くなる。
【0020】
このままでも土壌改良材あるいは有機性肥料として土壌へ散布使用できるが、この造粒物はpHが高く、比較的に強いアルカリ性を示す。このpHの調整剤として、用水処理汚泥を下水汚泥、石炭灰へ添加混合し、必要に応じて水を添加することでアルカリ性を緩和した造粒物を作ることが出来る。
【0021】
用水処理汚泥は無機物と有機物の混合物である。無機物としては、河川水にコロイド状に懸濁している粘土鉱物や凝集処理時に添加する無機塩類が含まれている。有機物としては、植物由来のコロイド状のフミン質(腐植質)や有機系凝集剤が含まれている。主成分は、粘土鉱物とフミン質である。フミン質はおもにフミン酸という弱い有機酸から成り、この有機酸が石炭灰由来のアルカリを中和することで、造粒物のpHを下げることが出来る。尚、このフミン質(腐植質)は、地力増進法施行令で土壌改良資材と認められている物質である。
【0022】
【実施例】
供試した下水汚泥は、北海道A市の下水処理センターで発生したものであり、活性汚泥処理後の汚泥を、減容のために蒸気ドライヤーで乾燥させたものであり、水分は45%である。
【0023】
供試した炉内脱硫方式の流動床石炭ボイラー灰(フライアッシュ:ベッドアッシュ=85重量%:15重量%)の化学組成を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004387040
【0025】
供試した用水処理汚泥は、日本製紙(株)勇払工場内にある河川水の浄化処理設備で発生した汚泥であり、その組成を次に示す。
有機分(フミン質)/無機分=35.0/65.0(重量%)
無機分の組成 : 粘土鉱物/Al2O3/Fe2O3=83.0/11.9/5.1
炉内脱硫方式流動床石炭ボイラー灰に添加する下水汚泥と用水処理汚泥の混合比率を変え、必要量の水を添加して、逆流式高速造粒機で造粒した。造粒結果を表2に示す。
【0026】
造粒物pHは、スラリー濃度10重量%で測定した。
【0027】
【表2】
Figure 0004387040
【0028】
造粒性、造粒物pH、造粒物固さの観点から、T-5〜T-17が良好であった。この内、T-5〜T-9およびT-12〜T-17の造粒物について臭気濃度を測定した。臭気濃度の測定は、測定サンプル中の下水汚泥固形量が一定になるように試料を採取し、これをビニール袋へ入れ、発生する臭気成分をガスクロマトグラフを用いて測定した。結果を表3に示す。
【0029】
T-5〜T-9およびT12〜T-17の造粒物全てで、臭気濃度が著しく減少していることが解る。
【0030】
【表3】
Figure 0004387040
【0031】
【発明の効果】
実施例から明らかなように、下水汚泥にCaOを含有する炉内脱硫方式流動床石炭ボイラー灰、下水処理汚泥および必要に応じて適量の水を添加することにより、造粒機で造粒物を作ることが出来る。造粒することにより、下水汚泥から発生するアンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素などの悪臭成分の濃度を減少させることができる。
【0032】
この造粒物を有機肥料および土壌改良材として使用した場合、下水汚泥の悪臭の問題を低減することができる。
【0033】
本発明は、従来廃棄物扱いされている炉内脱硫方式流動床石炭ボイラー、下水汚泥および用水処理汚泥から有機肥料および土壌改良材の再生資源を提供するものであり、この技術により、地球規模の環境問題にも貢献する、極めて価値の高い技術である。

Claims (6)

  1. 炉内脱硫方式の流動床石炭ボイラー灰と下水汚泥および用水処理汚泥を混合し、更に必要に応じて水を添加し、造粒してなる土壌改良材及び/又は有機性肥料の製造方法。
  2. 配合比率が、前記流動床石炭ボイラー灰/前記下水汚泥(固形分)/前記用水処理汚泥(固形分)=100/1〜100/1〜100 である請求項1に記載の土壌改良材及び/又は有機性肥料の製造方法。
  3. 炉内脱硫方式の流動床石炭ボイラー灰中の生石灰含有率が4%以上である、請求項1又は2いずれかに記載の土壌改良材及び/又は有機性肥料の製造方法。
  4. 造粒した土壌改良材及び/又は有機性肥料の粒子径が、20mm以下である、請求項1〜3いずれかに記載の土壌改良材及び/又は有機性肥料の製造方法。
  5. 造粒した土壌改良材及び/又は有機性肥料の10重量%スラリーのpHが11.0未満である、請求項1〜4いずれかに記載の土壌改良材及び/又は有機性肥料の製造方法。
  6. 請求項1〜5記載の方法により製造された土壌改良材及び/又は有機性肥料。
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