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JP4386602B2 - 配電機器モデルを用いた潮流計算方法及び三相不平衡潮流計算方法 - Google Patents

配電機器モデルを用いた潮流計算方法及び三相不平衡潮流計算方法 Download PDF

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JP4386602B2
JP4386602B2 JP2001282942A JP2001282942A JP4386602B2 JP 4386602 B2 JP4386602 B2 JP 4386602B2 JP 2001282942 A JP2001282942 A JP 2001282942A JP 2001282942 A JP2001282942 A JP 2001282942A JP 4386602 B2 JP4386602 B2 JP 4386602B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の配電機器モデルを使用した潮流計算方法及び三相不平衡潮流計算方法に関する。具体的には、配電営業所の制御用コンピュータによって非接地配電系統を対象とした潮流計算を行うに当たり、PV指定ノードモデル、インバータ型分散電源モデル、誘導機モデル、LDC(線路電圧降下補償)装置モデルを定式化して実現、これらの配電機器モデルを用い潮流計算を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
電力自由化の進展に伴い、配電系統に分散電源が多数連系されることが予想される。この連系された分散電源からの逆潮流による電圧上昇や、電源の解列による電圧降下、分散電源の出力変動に伴う電圧変動により、従来の配電系統の管理、運用方法や制御技術では、系統電圧を規定範囲に維持することが困難になることが予想される。
従って、分散電源の並列、解列や様々な負荷状態を想定し、どのような場合に電圧を規定範囲に維持することが困難になるかを解析することは、分散電源の導入検討時に重要な業務となる。
【0003】
配電系統においては、従来から、回路計算を用いた解析が多く行われてきたが、分散電源や各種制御機器動作、及び、近年増加しつつある定電力負荷特性を考慮した場合、潮流計算による電圧計算が必要である。このため、従来から、配電系統向けの高速潮流計算方法やその計算に用いる各種の配電機器モデルが開発されてきた。
ここで、配電系統は、一般に単相負荷が多いことから不平衡性を有しており、系統末端部での不平衡性も十分に検討する必要がある。従って、配電系統の三相不平衡潮流計算の必要性が高まっているが、従来では、非接地系統である我が国の配電系統を対象として、三相不平衡潮流計算に適した各種配電機器モデルは開発されていなかった。
【0004】
そこで本発明は、非接地配電系統を対象としてPV指定ノードモデル、インバータ型分散電源モデル、誘導機モデル、LDC(線路電圧降下補償)装置モデル等の各種配電機器モデルを定式化し、これらのモデルを使用した潮流計算方法及び三相不平衡潮流計算方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、非接地形三相配電系統における配電機器モデルを用いた潮流計算方法において、
前記配電機器モデルは、ノードの有効電力及び電圧が指定値として与えられるPV指定ノードモデルであり、
当該ノードに仮想ノードとインピーダンスのみからなる仮想ブランチとを接続し、仮想ノードの電圧を調整して仮想ブランチを介し当該ノードに流入する無効電力を制御して当該ノードの電圧を指定値に等しくしたときの無効電力を当該ノードにおける仮想的な無効電力の指定値とし、
有効電力の指定値及び仮想的な無効電力の指定値を、当該ノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
非接地形三相配電系統における潮流計算を行うものである。
【0006】
請求項2に記載した発明は、非接地形三相配電系統における配電機器モデルを用いた潮流計算方法において、
前記配電機器モデルは、電圧制御型または電流制御型のインバータ型分散電源モデルであり、
電圧制御型のインバータ型分散電源モデルでは、そのモデルが接続される当該ノードに仮想ノードとインピーダンスのみからなる仮想ブランチとを接続し、仮想ノードの電圧を調整して仮想ブランチを介し当該ノードに流入する無効電力を制御して当該ノードの電圧を指定値に等しくしたときの無効電力を当該ノードにおける仮想的な無効電力の指定値とし、
当該ノードの有効電力の指定値、仮想的な無効電力の指定値、電圧の指定値から電流を求め、その電流が上限値を超えないように、有効電力の指定値、及び、仮想的な無効電力の指定値または再計算された無効電力を、当該ノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込
電流制御型のインバータ型分散電源モデルでは、当該ノードにおける有効電力の指定値、電流の指定値、及び計算された当該ノードの電圧から無効電力を計算し、
有効電力の指定値及び計算された無効電力を、当該ノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
非接地形三相配電系統における潮流計算を行うものである。
【0007】
請求項3に記載した発明は、非接地形三相配電系統における配電機器モデルを用いた潮流計算方法において、
前記配電機器モデルは誘導機モデルであり、
誘導機の三相出力が指定値となるような滑りをニュートン・ラプソン法による収束計算によって求め、
求めた滑りと誘導機定数及び端子電圧を用いて、誘導機の正相有効電力及び正相無効電力、逆相有効電力及び逆相無効電力を求め、
正相有効電力と逆相有効電力とを加算して誘導機の三相有効電力を求めると共に、正相無効電力と逆相無効電力とを加算して誘導機の三相無効電力を求め、
これらの三相有効電力及び三相無効電力を、誘導機モデルが接続されたノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
非接地形三相配電系統における潮流計算を行うものである。
【0008】
請求項4に記載した発明は、非接地形三相配電系統の系統構成、電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データをコンピュータに入力するデータ入力ステップと、
負荷量の初期計算値を各配電線の末端ノードから加算して各配電線の先頭ノードにおける状態変数の初期値を求める初期値計算ステップと、
前記状態変数を用いて各配電線の各ノードにおける状態量を先頭ノードから末端ノード方向へ逐次計算する系統状態量の計算ステップと、
末端ノードにおける状態量を判定基準と比較して収束判定を行う収束判定ステップと、
末端ノードにおける状態量の未収束時に、各配電線の末端ノードにおける誤差分だけ各配電線の先頭ノードの状態変数を修正する状態変数の修正ステップと、
を有する三相不平衡潮流計算方法において、
前記系統状態量の計算ステップでは、請求項1または2または3記載の配電機器モデルを用いた潮流計算方法により求めた有効電力及び無効電力を各ノードにおける負荷量に取り込み、
系統上の電圧一定目標点の電圧を計算し、この電圧値と基準値との偏差が不感帯から逸脱した時にタップ制御を行うことで非接地形三相配電系統における負荷への送出電圧を昇降圧し、配電線路の電圧降下を補償する線路電圧降下補償装置モデルにより制御された電圧を状態量として用いるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、我が国の配電系統のように非接地の三相三線式系統は、諸外国と比較すると特殊な系統であり、配電機器モデルの実現に当たってもこの系統の特性を考慮する必要がある。
【0011】
図1は配電系統モデルの概念図を示しており、系統に直列に接続される直列機器としての配電線、変圧器、SVR(自動電圧調整器)、直列補償装置(直列補償型パワエレクトロニクス機器)等は、上流側ノード(母線や発電機等の電力供給源)と下流側ノードの状態量に関係する。また、系統に並列に接続される並列機器としての分散電源、並列補償装置(並列補償型パワエレクトロニクス機器)及び負荷等はノードの注入電力に関係する。
【0012】
一方、接地系配電系統においては、零相インピーダンスを介した回路構成が存在するものの、三相をそれぞれ独立して考えることができる。
これに対し、非接地系配電系統では、二相が決まれば残りの一相は自動的に決まってしまい、各相を独立させて計算することができない。つまり、各状態量のうち自由に値を変えることができるのは二相分のみとなり、非接地系配電系統用のモデルにおいては、全て二相のみの表現に変換しなければならない。
以上の点を踏まえて、以下、各配電機器モデルを定式化する。
【0013】
1.PV指定ノードモデル
潮流計算においては、ノードに対する計算条件として、ノードの注入電力と電圧に関する要素、すなわち有効電力P、無効電力Q、電圧V、電圧位相角θのうち二つが既知であり、残りの二つが未知であるとして取り扱われる。これらの各要素の組合せのうち、P,Vが既知であり、Q,θが未知であるPV指定ノードに関しては、当該ノードに対して、仮想ブランチ(遮断器、変圧器等の母線間の全設備)と仮想ノードとを接続することによって対処する。
【0014】
図2は、PV指定ノードの扱い方を示す概念図である。
つまり、仮想ブランチをインピーダンスのみとし、仮想ノードの電圧Vficを調整することにより、仮想ブランチを通してPV指定ノードに流れ込む無効電力Qを制御し、PV指定ノードの電圧Vが指定値と等しくなるようにする。このPV指定ノードに流れ込む無効電力QをPV指定ノードにおける仮想的なQ指定値とする。PV指定のPと、この仮想的なQ指定値とを用いて、PV指定値を仮想的なPQ指定値とすることができる。この仮想的なQ指定値は、PV指定ノードの電圧Vと仮想ノードの電圧Vficとを用いて、以下の数式1,2により求める。
【0015】
【数1】
Figure 0004386602
【0016】
【数2】
Figure 0004386602
【0017】
ここで、
spec:仮想的なQ指定値
:PV指定ノードiの反復tの電圧計算値
fic,i :PV指定ノードiの仮想ノードの反復tにおける電圧値
(ここで、反復とは前進計算・修正計算の1回の計算を1反復とした場合の各反復をいう。)
fic,i:PV指定ノードiの仮想ブランチのインピーダンス
である。
また、添字のa,b,cは三相各相を示す。
仮想ブランチのインピーダンスxfic,iは、この方式が収束するように任意に指定する。仮想ノードの電圧は、数式3〜5により更新する。
【0018】
【数3】
Figure 0004386602
【0019】
【数4】
Figure 0004386602
【0020】
【数5】
Figure 0004386602
【0021】
ここで、
spec:PV指定ノードiの仮想的な電圧
である。
【0022】
三相モデルは、接地回路上では上記の計算を各相毎に行うことでモデル化することができる。非接地系の△回路においては二相表現となるため、各相毎に計算したPQ指定値を数式6〜8により二相表現としてPQの注入分を計算する。
【0023】
【数6】
Figure 0004386602
【0024】
【数7】
Figure 0004386602
【0025】
【数8】
Figure 0004386602
【0026】
ここで、
:PV指定ノードの出力電流(二相表現)
(I はIの共役複素数)
:PV指定ノードの出力電力(二相表現)
である。
【0027】
2.インバータ型(電圧制御型,電流制御型)分散電源モデル
太陽光発電装置、あるいは回転機系の同期機や誘導機(風力発電機等)がインバータを介して系統に接続される場合、これらの分散電源をインバータ型分散電源モデルと称する。
このインバータ型分散電源モデルには、制御方法の違いから電圧制御型と電流制御型がある。電圧制御型は系統電圧を基準とした制御を行い、電流制御型は系統への注入電流を基準とした制御を行う。従って、電圧制御型は定電圧源、電流制御型は定電流源と考えることができる。
【0028】
しかし、どちらの制御型でも制約として発電機の容量から系統に注入できる電流最大値があり、この制約を考慮した制御となる。一般的には、電圧制御型が主流であり、現状はほとんど電圧制御型のみである。
なお、実際の機器では三相のうち一相でも制約に達すれば、三相全ての出力を固定する制御が多く用いられており、モデル化に際してもそのようなモデルとする。また、誘導機をそのまま系統に接続した場合は、電圧特性が存在し機器特性は複雑になる。しかし、インバータを介して系統に接続する場合には、系統側から見るとインバータとしてのみ見えるため、この誘導機の特性は考慮する必要がない。
【0029】
電圧制御型モデルはPV指定としてモデル化が可能であり、前述のPV指定ノードと同様の取扱いが可能である。しかし、注入電流の上限があるため、電流が上限値に達した場合は定電流で固定される。このようになった場合は、電流制御型モデルと同様に電流が指定値となる。
分散電源の出力Pと系統への注入電流Iが指定された場合の潮流計算の取り扱いは、以下のように考えられる。
すなわち、計算されたノード電圧値とP値から、数式9により指定のIに合うQを計算する。
【0030】
【数9】
Figure 0004386602
【0031】
ここで、
V:前回の反復における計算されたノード電圧値
I:分散電源の出力電流(系統への注入電流,IはIの共役複素数)
P+jQ:ノード電力
である。
V=e+jfとして数式9を変形し、数式10を得る。なお、P,Q,V,Iは数式11の通りである。
【0032】
【数10】
Figure 0004386602
【0033】
【数11】
Figure 0004386602
【0034】
ここで、Qの正負は、分散電源の力率の指定によりどちらかの解とする。つまり、計算されたノード電圧、分散電源の出力電流の絶対値、及び分散電源の有効電力出力より無効電力出力を計算し、この値を用いたPQ指定として計算を行う。
非接地系の△回路においては二相表現となるため、各相毎に計算したPQ指定値を前述の数式6〜8により二相表現としてPQの注入分を計算する。
【0035】
3.誘導機モデル
(1)誘導機モデル定式化
対称座標表現における誘導機モデルは、図3のように滑りsで表現された等価回路によって表される。
なお、図3における諸量は以下の通りであり、添字の数字1は正相を、2は逆相を表す。
【0036】
=r+jx:一次インピーダンス
=r+jx:すべりsの時の二次インピーダンスの一次換算値
=jb:励磁アドミタンス
V:端子電圧
E:一次の印加電圧
:一次の誘起電圧
:静止時の二次誘起電圧の一次換算値
I:一次電流
:二次電流の一次換算値
:励磁電流
【0037】
このうち、正相等価回路については、例えば特開2001−78358号公報に示されるように単相潮流計算用として定式化し、その正相部分に不平衡を考慮した逆相等価回路の定式化を追加することにより、三相誘導機モデルを作成する。
以下、逆相等価回路の定式化について述べる。
【0038】
まず、数式12を定義して各電流及び各電圧の値を求めると、図3(b)の等価回路を考慮することにより、数式13〜15の関係が得られる。
【0039】
【数12】
Figure 0004386602
【0040】
【数13】
Figure 0004386602
【0041】
【数14】
Figure 0004386602
【0042】
【数15】
Figure 0004386602
【0043】
数式15からE(便宜上、本文表記では・(ドット)を省略する)を求めて数式14に代入すると、数式16を得る。
【0044】
【数16】
Figure 0004386602
【0045】
数式16の右辺のインピーダンス部分の分母を数式17のように表し、更に、数式18とおく。
【0046】
【数17】
Figure 0004386602
【0047】
【数18】
Figure 0004386602
【0048】
また、数式16の右辺のインピーダンス部分の分子を数式19のように表し、更に、数式20とおく。
【0049】
【数19】
Figure 0004386602
【0050】
【数20】
Figure 0004386602
【0051】
よって、数式16は数式21のようになる。
【0052】
【数21】
Figure 0004386602
【0053】
以上より、三相の逆相有効電力P、逆相無効電力Qは、それぞれ数式22,23のようになる。
【0054】
【数22】
Figure 0004386602
【0055】
【数23】
Figure 0004386602
【0056】
また、正相分の有効電力P、無効電力Qは、前述した特開2001−78358号公報に記載された手法と同様に、以下のごとく求める。
すなわち、下記の数式24,25,26は逆相分についての前記数式13,14,15に対応し、数式27は前記数式16に対応する。
【0057】
【数24】
Figure 0004386602
【0058】
【数25】
Figure 0004386602
【0059】
【数26】
Figure 0004386602
【0060】
【数27】
Figure 0004386602
【0061】
また、数式28は前記数式17に対応し、数式29は前記数式19に対応する。
【0062】
【数28】
Figure 0004386602
【0063】
【数29】
Figure 0004386602
【0064】
更に、数式30は前記数式18,20に対応し、この数式30を用いて、数式27は数式31となる。この数式31は、前記数式21に対応する。
【0065】
【数30】
Figure 0004386602
【0066】
【数31】
Figure 0004386602
【0067】
以上から、三相の一次入力の正相有効電力P、正相無効電力Qは、それぞれ数式32,33のようになる。
【0068】
【数32】
Figure 0004386602
【0069】
【数33】
Figure 0004386602
【0070】
誘導機の三相出力は、数式22,23で表される逆相出力と、数式32,33で表される正相出力とを加算した値となるため、以下の数式34,35のようになる。
【0071】
【数34】
Figure 0004386602
【0072】
【数35】
Figure 0004386602
【0073】
(2)単相モデルとの比較
次に、正相回路のみを模擬した単相潮流計算用のモデルと、前述した逆相回路の出力を正相回路の出力に加えた三相潮流計算用のモデルとを比較する。
図4,図5,図6に、滑りを変数とした時の出力のグラフを示す。なお、これらの図において、滑りの正値は電動機動作を示し、負値は発電機動作を示している。また、出力は正値が系統から吸収することを表し、負値は系統に注入することを表している。
【0074】
図4は単相潮流計算用のモデルを対象とし、V=1.0[pu]で計算したケース、図5は三相潮流計算用のモデルを対象とし、V=1.0[pu],V=0.0[pu]で計算したケース、図6は三相潮流計算用のモデルを対象とし、V=0.9[pu],V=0.1[pu]で計算したケースである。
【0075】
図4,図5,図6から、以下のことがいえる。
図5のケースでは正相電圧のみ入力しているため,図4の単相潮流計算用のモデルと同じ結果が出ることになる。これは、図4,図5において出力が同じ値になっていることがわかる。
図6のケースでは逆相電圧を0.1[pu]としており、逆相回路の計算を行うことになる。このとき、逆相インピーダンスによる損失分が増えるため、図5と比べてP,Q出力が減っていることがわかる。
【0076】
また、図7に、滑りを−0.02(発電側)で固定して、VとV(V+V=1.0[pu]で固定)の比率を変えたときのP,Q出力の変化を示す。
ここで、Pは系統に注入する方向を正とし、Qは系統から吸収する方向を正とした。図7より、Pの注入有効電力は不平衡率が大きくなるほど下がっているが、Qの吸収無効電力はV/Vが0.2を超えたあたりから逆に上がり始めていることがわかる。この電圧不平衡による出力の変化は正相回路のみを模擬した単相モデルでは求めることはできず、三相モデルの有効性を確認することができる。
【0077】
(3)滑り計算定式化
三相潮流計算で誘導機を扱うときに、入力として得られる値としては誘導機の機器定数と有効電力出力の三相分の総和である。また、収束計算途中の結果から端子電圧を求めることができる。三相の出力とするためには正相,逆相の電力を求めなければならないが、図3の等価回路に示すように、滑りによって二次抵抗の値が変わるため、まず滑りを求める必要がある。滑りは二次の非線形方程式となるため、通常の計算でこの値を求めるのは非常に困難な作業となる。そこで、ここではニュートン・ラプソン法による収束計算を行って滑りを求める。滑り計算の手順を以下に示す。
【0078】
▲1▼初期値
ニュートン・ラプソン法においては、初期値が収束に大きく関わってくる。不適切な初期値を与えると,収束しないか、解が出ても正しい解が求まらない可能性もある。ここでは、以下の二通りの方法で初期値を与えるものとする。
(a)三相不平衡がほとんどないと仮定して、逆相分は零、V=1.0[pu]として正相回路のPの計算式から、二次方程式を解いて初期滑りを求める。
(b)入力データとして初期値を入れられるようにし、その初期値を用いる。
【0079】
(a)の場合の計算手順(滑り計算)
正相回路のP出力の計算式を図3の等価回路に合わせると、以下の数式36で表される。なお、数式36のa〜dは数式37の通りである。
【0080】
【数36】
Figure 0004386602
【0081】
【数37】
Figure 0004386602
【0082】
数式36において、s以外は入力された固定値となるため、ここでは以下の数式38のように省略して表現する。また、V=1.0[pu]として計算することから、数式36中のVを消去することができる。
【0083】
【数38】
Figure 0004386602
【0084】
数式38の省略表現を用いて数式36を表現すると、数式39のようになる。
【0085】
【数39】
Figure 0004386602
【0086】
数式39をsについて解くと、数式40のように解が得られる。
【0087】
【数40】
Figure 0004386602
【0088】
なお、数式40におけるx,y,zは数式41の通りである。
【0089】
【数41】
Figure 0004386602
【0090】
▲2▼ニュートン・ラプソン法による収束計算
与えられた初期値により正相・逆相分を含めた式から、ニュートン・ラプソン法による収束計算を行って滑りを計算し、PQ出力の計算式に用いる。
このとき、図8に示すように、初期値計算(S1)の後の滑りのための収束計算(S2,S3)は、潮流計算の収束計算(S4,S5)の途中に入ることになる。そのため、潮流計算の収束ループごとに端子電圧が変わることになり、1回の滑り計算ループにおいて収束回数を多くしても真値は求まらないことになる。従って、滑り計算の収束回数を少なく設定して、潮流計算の収束ループを進めていく過程で徐々に滑りの真値に持っていくようにする。
【0091】
(4) 滑り計算結果
▲1▼初期値計算結果
上記で示した初期値の計算式を用いて、実際に滑りの計算を行った。
図5におけるPの出力範囲(−2.2〜2.2[pu])でPを変化させた時の滑りを求めた結果を、図9,図10に示す。なお、図10は図9における滑りを拡大したものである。
【0092】
数式40は二次方程式の解となるため、解は二個求まる。図9から、一方の解は滑りが0.0付近でほとんど動いていないが、もう一方の解は出力変動により大きく変わっていることがわかる。滑りが大きく変わっている方の解については、では以下のことが言える。
・図4〜図6とは違い、Pの出力が0.0の場合でも滑りが0.0にならない。
・滑りが1.0以上及び−1.0以下となる場合がある。
・発電側の−1.0〜0.0の滑り時に,有効電力Pがモータ側(Pが負、すなわち系統から電力を吸収)になっている場所がある。
このことから、滑りが大きく変わっている方の解は、計算上では求めることができる解ではあるが、機器上ではあり得ない解であることがわかる。
【0093】
▲2▼ニュートン・ラプソン法による計算結果
図11に、三相有効電力出力指定値を0.0〜−2.0[pu]まで変化させたときの滑りの計算値を、初期値を0.0とした場合と−0.3とした場合について示す。
図に示すとおり、初期値によって求まる滑りが違うことがわかる。三相有効電力出力指定値が−0.1[pu]を超えた後で滑りの値が初期値の違いにより大幅にずれているが、実際の値とかけ離れている場合は初期値を変更して計算をやり直すことが必要になる。プログラム側で認識できる値であれば計算途中でプログラムの中断等の処理をすることは可能であるが、図11に示すように、Pの指定値が−2.0[pu]の近辺ではどちらも近い値となるため、プログラムでの自動判別は不可能となる。
【0094】
図12に、図5における滑りを拡大した図を示す。
図12に示すように、有効電力が同じ値となる滑りは二点存在するが、そのときの無効電力は大きく異なっており注意が必要である。この場合、実際の機器では、滑りは−0.1〜−0.03程度となるため、滑りの値が実際とかけ離れた値となったときには、初期値を変更して計算をやり直すことになる。
【0095】
また、総出力を−0.02[pu]に固定して、電圧の正相分と逆相分とを変化させたときの有効電力出力(系統へ注入する方向が負)を図13に示す。
図13から、総出力は指定値通りになっており、計算により求めた滑りが出力指定値となる滑りになっていることがわかる。また、正相分は負の値(系統へ注入)となっているのに対し、逆相分は正の値(系統へ吸収)となっている様子が分かる。
【0096】
4.LDC(線路電圧降下補償)装置モデル
配電変電所変圧器やSVRのタップ制御においては、自動的にタップを動かし電圧を制御するLDC機能が付いている。LDC装置を運転する場合に、電圧調整器はその送出電圧と適当な一定点(電圧一定目標点)までの線路降下電圧とのベクトル差の絶対値を図14に示すように電圧調整継電器によって検出し、その値が基準値からある幅(不感帯幅)以上ずれないように、負荷電流に応じて送出電圧に対する降圧・昇圧指令を出力して常に下記の数式42が成立するようにしている。
実際には、図14に示すように、AC相の線間電圧を計器用変圧器PTにより検出し、A相,C相の線路電流を変流器CTにより検出して制御を行っている。
【0097】
【数42】
Figure 0004386602
【0098】
上記の数式42を用いたタップ制御では、不感帯ΔVを設定しておき、現在の計器用変圧器PTの二次側電圧Eac、変流器CTの二次側電流Iac、等価インピーダンスZを用いて数式42によりE(電圧一定目標点の実際の電圧)を計算し、この値Eと基準値との偏差がΔV以内ならば制御は行われない。
タップの制御は全ての相を同時に行い、Eと基準値との偏差がΔVより大きい場合は、その偏差が電圧高め方向に逸脱している場合はタップを1つ下げ、電圧低め方向に逸脱している場合はタップを1つ上げる方法が採られる。
【0099】
5.配電系統モデルを用いた配電系統向け高速三相不平衡潮流計算
(1)配電系統向け高速三相不平衡潮流計算
ここで用いる放射状系統高速潮流計算(Backward-Forward:BF法)の状態方程式について述べる。
まず、各ブランチに流入する電力及びノード電圧を潮流方程式とすることを考える。図15の2ノードによる系統において、ブランチが配電線の場合は数式43〜45が成り立つ(Yは線路充電容量のため、容量性と仮定する)。これらの数式では二相表現となるため、Vk−1,Sk−1,V,S,SLkは2×1のベクトルに、Z,Yは2×2の行列となる。
【0100】
【数43】
Figure 0004386602
【0101】
【数44】
Figure 0004386602
【0102】
【数45】
Figure 0004386602
【0103】
つまり、ノード1のSk−1(=Pk−1+jQk−1),Vk−1を用いて、ノード2のS(=P+jQ),Vを数式43,44のように表すことができる。分岐がある場合は、この方程式に分岐線に流れる潮流分を考慮すれば良い。
【0104】
配電線に図16に示すような△−△変圧器がある場合は、以下の数式46,47が成り立つ。なお、数式46,47における各値は数式48,49のとおりである。
【0105】
【数46】
Figure 0004386602
【0106】
【数47】
Figure 0004386602
【0107】
【数48】
Figure 0004386602
【0108】
【数49】
Figure 0004386602
【0109】
なお、上記数式46〜49において、
:変圧器漏れアドミタンス
α:一次側タップ比(1.0固定)
β:二次側タップ比(一次側を1.0としたときのタップ比)
pp:一次側自己アドミタンス
ps:一次二次相互アドミタンス
sp:二次一次相互アドミタンス
ss:二次側自己アドミタンス
である。
但し、数式46,47は変圧器の結線によってことなり、全ての変圧器に適用することはできない。
【0110】
従来、ループ系統である送電系統を対象として利用されてきたニュートン・ラプソン法やZG法がノード毎の電圧量を状態変数とするのに対して、BF法は、放射状系統を対象にすることを前提として、各分岐線に流れ込む電力量を状態変数とすることにより、全体の状態変数の数を大幅に減少でき、これにより高速解法が可能となることに特徴がある。他の変数については、数式43,44,46,47に示した潮流方程式を用いて電源端から逐次計算すれば良い。
【0111】
図17にBF法の模式図を示す。図の11母線系統において、ニュートン・ラプソン法などの従来法では、(ノード数)×(電圧+位相)×(二相)だけの状態変数が必要であった。しかし、BF法ではフィーダや分岐配電線に流れ込む電力量だけが状態変数になるため、図では太線矢印部分の(分岐配電線数)×(P+jQ)×(二相)になる。従って、状態変数を44から12に減少することができる。
また、各状態変数を用いて、それ以下の状態量については、逐次計算で計算することができる(図中、細線矢印)。例えば、母線番号#001における{Pab000+jQab000,Pbc000+jQbc000}を用いることにより、母線番号#001,#002,……,#00nの状態量を計算可能である。
更に、末端から流出する電力量はないこと(図中、破線矢印)を制約条件として、状態変数の修正を行っていく。
【0112】
図18は、BF法の基本アルゴリズムを示すものである。
まず、系統構成、電源容量、負荷容量、線路データ(線路インピーダンス等)、変圧器データ(定格電圧やタップ数、タップ幅)等をコンピュータに入力する(S11)。
次に、各電圧の初期推定値を用いて負荷量(負荷電力)の初期計算を行い、末端ノードから加算した負荷量の総和を各分岐配電線への流入電力すなわち状態変数の初期値(例えば、{Pab000+jQab000,Pbc000+jQbc000})とする(S12)。
【0113】
次いで、求めた状態変数を用い、各配電機器モデルに応じて系統状態量(有効電力、無効電力、電圧)を計算する(S13)。
末端ノードの電力がある判定基準値より小さくなったかどうかにより収束判定を行い(S14)、収束していなければ、末端ノードからの流出電力はないという条件に基づいて状態変数を修正する(S15)。つまり、末端ノードにおける誤差分だけ各分岐配電線の先頭ノードの流入電力を修正する。分岐配電線への流入電力の修正量は、当該分岐配電線の修正量と当該分岐配電線から分岐する配電線の修正量との総和になる。
【0114】
ここで、上述の前進計算、後進計算の概念を図19に示す。
図19(a)の前進計算において、▲1▼の経路で上流側状態量から下流側状態量を求め、この経路から▲2▼で分岐した経路▲3▼につき同様に下流側状態量を求める。以下、同様にして▲4▼,▲5▼と計算を進める。
図19(b)の後進計算では、▲1▼の経路の末端ノードの電力値に基づいて先頭ノードの状態変数を変化させながら収束計算を行い、経路▲2▼を経て分岐元の経路▲3▼について、同様に末端ノードの電力値に基づいて先頭ノードの状態変数を更新しながら収束計算を行う。以下、同様にして▲4▼,▲5▼と計算を進める。
この方法は、状態変数が大幅に少なくなることから、すべてのノードの状態変数を用いる場合に比べて高速計算が可能になる。
【0115】
(2)各配電機器モデルのBF法への組み込み方法
全ての配電機器モデルは、前述した図18のステップS13:系統状態量の計算(逐次計算による前進計算)において、各ブランチあるいはノードの状態量を計算する際に考慮する。
【0116】
▲1▼PV指定ノードモデル
PV指定ノードは、ノード量の計算において有効電力P(指定値)と電圧V(指定値)とを用いて数式1により無効電力Qを計算し、数式6〜8により各相のPQ値を計算し、このPQ値をノードの注入量として、数式44,45,47,48の負荷量Sに反映させる(取り込む)。
【0117】
▲2▼インバータ型(電圧制御型、電流制御型)分散電源モデル
(a)電圧制御型
電圧制御型のインバータ型分散電源は、ノード量の計算において有効電力P(指定値)と、電圧V(指定値)とを用いて数式1により無効電力Qを計算する。このとき、P,Q,Vから電流値を計算し、注入電流の上限を超えていた場合は数式10により、電流上限値で固定された無効電力Qを再計算する。
以上により求まったPQ値をノードの注入量として、数式44,45,47,48の負荷量Sに反映させる。
【0118】
(b)電流制御型
電流制御型のインバータ型分散電源は、ノード量の計算において有効電力P(指定値)と、電流I(指定値)を用いて数式10により無効電力Qを計算し、このPQ値をノードの注入量として、数式44,45,47,48の負荷量Sに反映させる。
【0119】
▲3▼誘導機モデル
誘導機モデルは、以下のステップにより潮流計算で利用する。
1.BF法の反復に入る前に、数式40により滑りの初期値を求めておく。
2.前進計算によって求まった誘導機の端子電圧から、誘導機の三相出力(指定値)となる滑りをニュートン法により求める。
3.計算された滑りから、数式22,23,32,33を用いて、正相・逆相のPQ値を計算する。
4.正相・逆相のPQ値を三相のa,b,c相に変換し、ノードの注入量として数式44,45,47,48の負荷量Sに反映させる。
【0120】
▲4▼LDCモデル
LDCモデルによる制御を行う配電変電所変圧器やSVRについては、前進計算で得られた変圧器二次側電圧から、数式42を用いて、電圧一定目標点の電圧を計算し、この値と基準値との偏差が不感帯範囲以内ならば制御を行わない。タップの制御は全ての相を同時に行い、上記偏差が不感帯範囲より大きい場合は、偏差が電圧高め方向に逸脱した場合はタップを1つ下げ、電圧低め方向に逸脱した場合はタップを1つ上げる。
【0121】
【発明の実施例】
ここでは、一例として、SVRを含む系統における分散電源としての同期機、誘導機の動作例を示す。
1.系統条件
(1)対象系統
図20に、シミュレーションに用いる簡易モデル系統を示す。
(2)電源
三相電源として、図21に示す平衡電源を使用する。なお、ここでは配電変電所変圧器二次側を基準位相とするため、接地Y−△変圧器の角変位分である30[゜]を加算した値とした。
【0122】
(3)配電線
図20の各ノード間の一相分のインピーダンスを図22に示す。インピーダンス値は一相分とし、各相間の相互結合はないものとした。なお、ここでは線路充電容量は無視した。
【0123】
(4)負荷
各負荷ノード(図20の矢印付きノード3,4,6,7,9,10)の負荷を、図23にまとめる。なお、これらの負荷値は、力率0.9の負荷にランダム値を掛けて不平衡負荷とした値である。
【0124】
(5)配電変圧器
配電変圧器の各定数を、以下にまとめる。なお、タップは結果を細かく見るため1タップ分を細かく設定する。また、動作を確実に行なわせるため、不感帯はハンチングを起こさない最小の値とする。
・電圧一定目標点 :ノード3
・整定値R,X :0.00+j0.00[pu] (配電変圧器二次側直下)
・内部インピーダンス:j0.00689[pu] (0.03[Ω])
・タップ :1(95%)〜51(100%)〜101(105%)
・1タップ :0.1% (約6[V])
・不感帯 :0.1%
なお、制御に用いる電流、電圧は以下の相とした。
電圧:A相−C相線間電圧
電流:A相−C相線間電流
【0125】
(6)SVR
SVRパラメータは、以下の通りである。タップは結果を細かく見るため1タップ分を細かく設定する。また、動作を確実に行なわせるため、不感帯はハンチングを起こさない最小の値とする。なお、ここでの整定値R,Xは、分散電源が無い状態でノード8付近に電圧一定目標点が来るように設定した値である。
・目標電圧 :1.0[pu](6600[V])
・整定値R :4.2[%]
・整定値X :2.0[%]
・内部インピーダンス:j0.0026[pu]
・タップ :1(95%)〜51(100%)〜101(105%)
・1タップ :0.1% (約6[V])
・不感帯 :0.1%
なお、制御に用いる電流、電圧は以下の相とした。
電圧:A相−C相線間電圧
電流:A相−C相線間電流
【0126】
(7)分散電源
連系する分散電源(同期機、誘導機)の定数を、以下に示す。なお、出力有効電力の指定値は、どちらも0.05[pu](500[kW])で同じ値とする。
・同期機
出力(三相分総和) :0.05[pu]
逆相インピーダンス:0.0+j4.4[pu]
運転力率 :1.0
・誘導機
出力(三相分総和) :0.05[pu]
定格出力 :1[MVA]
定格電圧 :0.21[kV]
一次抵抗 :0.0350[pu]
一次漏れリアクタンス:0.0752[pu]
二次抵抗 :0.0180[pu]
二次漏れリアクタンス:0.0800[pu]
励磁リアクタンス :3.1900[pu]
【0127】
2.シミュレーション条件
上述した簡易モデル系統を用いて、分散電源を同期機、誘導機としたときのシミュレーションを行い、複数の機器モデルの動作検証を行う。
【0128】
3.結果検証
シミュレーション結果として、同期機連系時の電圧解を図24に、誘導機連系時の電圧解を図25にまとめる。また、同期機連系時の電圧プロフィールを図26に、誘導機連系時の電圧プロフィールを図27に示す。なお、LDC制御に用いる相はA相とC相であるため、CA相の電圧プロフィールを図28に示す。
これらのシミュレーション結果から、以下のことがわかる。
【0129】
・同期機と比べ誘導機のほうが電圧が下がっており、無効電力を消費するという誘導機の特性が見られる。
・誘導機の方が電圧が落ちるため、配電変圧器及びSVRのタップが多く動いている。
・SVR整定値が示す電圧一定目標点(ノード8)は、同期機ではほぼノード8となっているのに対し、誘導機ではノード8にはなっていない。これは、分散電源を連系しない状態で求めた整定値が、4.2+j2.0[%]とR分の方が多いためであり、無効電力を消費する誘導機を連系することにより無効電力が多く流れ、実際の電圧降下とSVRのLDCの計算で求めた電圧降下分に誤差が生じたためである。
以上より、複数の機器モデルを用いたときの各機器毎への影響を確認することができ、複数の配電機器モデルを利用したシミュレーションにより、分散電源が導入された場合の特性を検討することが可能である。
【0130】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、我が国のような非接地配電系統に適した各種配電機器モデルを実現することができ、これらのモデルを用いた三相不平衡潮流計算により系統の挙動を正確にシミュレーションすることが可能となる。また、三相不平衡配電系統を取り扱うことから、発電機の逆相電流耐量の算出も可能であり、分散電源導入時の検証シミュレーションモデルとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】配電系統モデルの概念図である。
【図2】仮想ノードを用いたPV指定ノードの概念図である。
【図3】誘導機の等価回路図である。
【図4】単相潮流計算用モデルの出力を示す図である。
【図5】三相潮流計算用モデルの出力を示す図である。
【図6】三相潮流計算用モデルの出力を示す図である。
【図7】電圧不平衡による出力の変化を示す図である。
【図8】滑り計算及び潮流計算の流れを示すフローチャートである。
【図9】Pの出力変化と滑り計算値との関係を示す図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】ニュートン・ラプソン法による滑り計算の説明図である。
【図12】図5の部分拡大図である。
【図13】総出力固定時の有効電力の変化を示す図である。
【図14】LDC機能の概念図である。
【図15】2ノード系統(配電線ブランチ)の説明図である。
【図16】配電線に△−△変圧器を有する系統の説明図である。
【図17】BF法の模式図である。
【図18】BF法の基本的なアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図19】前進計算、後進計算の概念図である。
【図20】簡易モデル系統の説明図である。
【図21】各相間の平衡電源の内容を示す図である。
【図22】各ノード間の配電線インピーダンスの説明図である。
【図23】各ノードの負荷の説明図である。
【図24】分散電源としての同期機連系時の電圧解の説明図である。
【図25】分散電源としての誘導機連系時の電圧解の説明図である。
【図26】同期機連系時の電圧プロフィールを示す図である。
【図27】誘導機連系時の電圧プロフィールを示す図である。
【図28】CA相の電圧プロフィールを示す図である。

Claims (4)

  1. 非接地形三相配電系統における配電機器モデルを用いた潮流計算方法において、
    前記配電機器モデルは、ノードの有効電力及び電圧が指定値として与えられるPV指定ノードモデルであり、
    当該ノードに仮想ノードとインピーダンスのみからなる仮想ブランチとを接続し、仮想ノードの電圧を調整して仮想ブランチを介し当該ノードに流入する無効電力を制御して当該ノードの電圧を指定値に等しくしたときの無効電力を当該ノードにおける仮想的な無効電力の指定値とし、
    有効電力の指定値及び仮想的な無効電力の指定値を、当該ノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
    非接地形三相配電系統における潮流計算を行うことを特徴とする配電機器モデルを用いた潮流計算方法。
  2. 非接地形三相配電系統における配電機器モデルを用いた潮流計算方法において、
    前記配電機器モデルは、電圧制御型または電流制御型のインバータ型分散電源モデルであり、
    電圧制御型のインバータ型分散電源モデルでは、そのモデルが接続される当該ノードに仮想ノードとインピーダンスのみからなる仮想ブランチとを接続し、仮想ノードの電圧を調整して仮想ブランチを介し当該ノードに流入する無効電力を制御して当該ノードの電圧を指定値に等しくしたときの無効電力を当該ノードにおける仮想的な無効電力の指定値とし、
    当該ノードの有効電力の指定値、仮想的な無効電力の指定値、電圧の指定値から電流を求め、その電流が上限値を超えないように、有効電力の指定値、及び、仮想的な無効電力の指定値または再計算された無効電力を、当該ノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
    電流制御型のインバータ型分散電源モデルでは、当該ノードにおける有効電力の指定値、電流の指定値、及び計算された当該ノードの電圧から無効電力を計算し、
    有効電力の指定値及び計算された無効電力を、当該ノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
    非接地形三相配電系統における潮流計算を行うことを特徴とする配電機器モデルを用いた潮流計算方法。
  3. 非接地形三相配電系統における配電機器モデルを用いた潮流計算方法において、
    前記配電機器モデルは誘導機モデルであり、
    誘導機の三相出力が指定値となるような滑りをニュートン・ラプソン法による収束計算によって求め、
    求めた滑りと誘導機定数及び端子電圧を用いて、誘導機の正相有効電力及び正相無効電力、逆相有効電力及び逆相無効電力を求め、
    正相有効電力と逆相有効電力とを加算して誘導機の三相有効電力を求めると共に、正相無効電力と逆相無効電力とを加算して誘導機の三相無効電力を求め、
    これらの三相有効電力及び三相無効電力を、誘導機モデルが接続されたノードにおける有効電力及び無効電力の注入量として潮流計算時の負荷量に取り込み、
    非接地形三相配電系統における潮流計算を行うことを特徴とする配電機器モデルを用いた潮流計算方法。
  4. 非接地形三相配電系統の系統構成、電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データをコンピュータに入力するデータ入力ステップと、
    負荷量の初期計算値を各配電線の末端ノードから加算して各配電線の先頭ノードにおける状態変数の初期値を求める初期値計算ステップと、
    前記状態変数を用いて各配電線の各ノードにおける状態量を先頭ノードから末端ノード方向へ逐次計算する系統状態量の計算ステップと、
    末端ノードにおける状態量を判定基準と比較して収束判定を行う収束判定ステップと、
    末端ノードにおける状態量の未収束時に、各配電線の末端ノードにおける誤差分だけ各配電線の先頭ノードの状態変数を修正する状態変数の修正ステップと、
    を有する三相不平衡潮流計算方法において、
    前記系統状態量の計算ステップでは、請求項1または2または3記載の配電機器モデルを用いた潮流計算方法により求めた有効電力及び無効電力を各ノードにおける負荷量に取り込み、
    系統上の電圧一定目標点の電圧を計算し、この電圧値と基準値との偏差が不感帯から逸脱した時にタップ制御を行うことで非接地形三相配電系統における負荷への送出電圧を昇降圧し、配電線路の電圧降下を補償する線路電圧降下補償装置モデルにより制御された電圧を状態量として用いることを特徴とする三相不平衡潮流計算方法。
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