JP4386341B2 - カルボン酸の回収方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いて製造された、一般式(1)
また、本発明の方法により回収されたカルボン酸あるいはこれから得られたカルボン酸無水物などのアシル化剤を用いることにより着色度の低いアシルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩を得ることができる。
なお、本発明において用いられるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩は、該ヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩における前記一般式(2)のパラ体の含有割合が70質量%以上、好ましくは80質量%以上のものである。
カルボン酸誘導体としては、一般式(3)
R2−COX (5)
(式中、R2は前記と同じであり、Xは弗素、塩素、臭素及びヨウ素から選ばれるハロゲン原子を示す。)で表されるカルボン酸ハライドなどを用いることができる。
カルボン酸無水物としては、前記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
一般式(3)で表されるカルボン酸無水物としては、R2が炭素数1〜17、好ましくは5〜17のものであり、その具体例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、3,5,5−トリメチルカプロン酸、2−メチルカプリル酸、2−メチルカプリン酸、3,7−ジメチルカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸などの各種カルボン酸の酸無水物などが挙げられる。
用いられるカルボン酸ハライドとしては、前記一般式(5)で表される化合物を用いることができる。一般式(5)で表されるカルボン酸ハライドの具体例としては、前述の一般式(3)で表される無水カルボン酸の説明において例示したカルボン酸のクロライド、ブロマイド等が挙げられる。
R3−COOH (6)
(式中、R3は炭素数5~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表されるカルボン酸とエステル交換反応を行うことにより、前記一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造することもできる。
また、前記一般式(6)で表されるカルボン酸の具体例としては、前述の一般式(3)で表されるカルボン酸無水物の説明において例示した各種カルボン酸が挙げられる。
一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩とカルボン酸誘導体を反応させる方法のうち、本発明においては、カルボン酸誘導体として、特に一般式(3)で表される無水カルボン酸を用いる方法が好ましい。
なお、本発明において得られるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩は、該アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩における前記一般式(1)のパラ体の含有割合が70質量%以上、好ましくは80質量%以上のものである。
R2COOH (4)
(式中、R2は炭素数1~17、好ましくは5〜17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表されるカルボン酸を含むカルボン酸を回収する方法に関し、上記反応生成物を固液分離してこれに含まれる一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩を得るとともに、液相部から上記カルボン酸を回収するものである。
本発明においては、このような液相部から例えば共沸脱水、蒸留等により、カルボン酸や溶媒等を回収するが、その際、共沸脱水、蒸留等の前に上記液相部に含まれるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の加水分解を行う。加水分解は、好ましくは、反応を効率よく行う等の点から硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下で行い、例えば60〜100℃の範囲の温度で、1〜8時間反応させることにより行うことができる。
本発明においては、上記加水分解後に、必要に応じ、更に水を添加するなどして上記液相部を水層と油層に分離し、該油層について共沸脱水、蒸留等を行いカルボン酸等を回収する。共沸脱水や蒸留の方法には特に制限はなく、公知の方法をいずれも使用することができ、例えば、150〜250℃の温度で、常圧下あるいは0.1〜10kPaの減圧下で行うことができる。
本発明のカルボン酸の回収方法は、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の製造時に得られる濾液に適用することが好ましいが、そのほかにも、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩及び炭素数1〜17のカルボン酸を含む混合物、また、必要に応じこれらにトルエン等の有機溶媒及び/又は水を含有する混合物であれば、その他種々の用途において得られ、あるいは使用する混合物からカルボン酸等を回収する際にも適用することができる。
このような回収カルボン酸は、前述した方法により一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の製造に用いることができ、例えば、そのような製造方法においてアシル化剤であるカルボン酸無水物やカルボン酸ハライドの原料として、あるいはそのままアシル化剤として用いることができる。
本発明の方法により回収されたカルボン酸を用いて得られる上記カルボン酸無水物あるいはカルボン酸ハライドはいずれも着色度が低いものであり、また、このようなアシル化剤を用いることにより着色度が低いアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を得ることができる。
実施例1
攪拌機付きの5Lの四つ口フラスコ中に、フェノールスルホン酸ナトリウムと無水ラウリン酸を反応させて得られたエステル化反応終了品を晶析、濾過して得られた濾液(組成:水6質量%、トルエン37質量%、ラウリン酸44質量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム9質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム4質量%)4000gと硫酸40gを加え、80℃で4時間攪拌した。その後、水600gを加え、水層と油層を分離した。油層については蒸留を行い、130℃でトルエン留分を得た後、200℃、1.3kPaでラウリン酸留分を得た。その結果、トルエン留分1440g、ラウリン酸留分1840gが得られた。得られたトルエンは純度99.9質量%、回収率97%、色相はAPHA標準液と比較することによって測定した結果、APHAで5未満であった。また得られたラウリン酸は純度99.9質量%以上(ラウリン酸フェニル:0.1質量%未満)、その回収率はラウリン酸およびラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを基準として94質量%、色相はAPHAで5であり、またほとんど臭いのないものであった。
一方、攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコにフェノールを400g(4.25モル)加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら50℃に昇温した。その後、98質量%硫酸446g(純度約98質量%、4.46モル)を50〜100℃で滴下し、100℃で1時間撹拌した。液体クロマトグラフィー分析により得られたフェノールスルホン酸のパラ体の収率は88%(パラ体の純度は80%)であった。
さらに80℃まで冷却後、硫酸2.3g(0.023モル)を加え、上記の無水ラウリン酸225g(純度78質量%、0.46モル)を滴下し、80℃で8時間攪拌し、エステル化反応終了品を得た。液体クロマトグラフィー分析により得られたラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムのパラ体の収率は88%であった。得られた反応生成物に、2−プロパノール:水=8:2の溶液を加えて溶解させ、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム濃度が5質量%の溶液を作り、溶液の色をAPHA標準液と比較することによって色相を測定した結果、APHAで50であった。
実施例1と同様にして得られた、水6質量%、トルエン37質量%、ラウリン酸44質量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム9質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム4質量%からなる濾液3100gの蒸留を行い、130℃でトルエン留分を得た後、200℃、1.3kPaでラウリン酸留分を得た。その結果、トルエン留分1090g、ラウリン酸留分1210g得られた。得られたトルエンは純度99.9質量%以上、回収率は95%、色相はAPHA標準液と比較することによって測定した結果、APHAで5未満であった。また得られたラウリン酸は、純度93.2質量%(ラウリン酸フェニル:6.8質量%)、回収率はラウリン酸を基準として89質量%、色相はAPHAで80であった。
一方、攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコにフェノールを400g(4.25モル)加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら50℃に昇温した。その後、98質量%硫酸429g(純度約98質量%、4.46モル)を50〜100℃で滴下し、100℃で1時間撹拌した。液体クロマトグラフィー分析により得られたフェノールスルホン酸のパラ体の収率は88%(パラ体の純度は80%)であった。
さらに攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコに得られたフェノールスルホン酸100g(パラ体:0.46モル)と水155.6gを加え、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液44.9gを40〜60℃で滴下し、30質量%のフェノールスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。その後、100〜120℃で水を留去し、フェノールスルホン酸ナトリウム水溶液を約半分の質量にした後、トルエン270gを加え110℃で共沸脱水を行い、水分含量を0.2質量%未満にした。
反応物の分析はNMRおよび液体クロマトグラフィーを用いて行った。液体クロマトグラフィーについては、以下のカラム、溶離液及び検出器を用いて行った。
カラム:GL Science Inc. Inertsil ODS-3V(5μm)、150mm×4.6mmφ
溶離液:水/メタノール=600mL/2400mL中にテトラブチルアンモニウムブロミド 17.3g, 酢酸 5mL含有
検出器:RI
p−フェノールスルホン酸ナトリウムの定量:
カラム:関東化学株式会社製リクロスファー100 PR−18(5μm)、250mm×4mmφ
溶離液:以下のA液、B液を用いるグラジェント法
A液:0.1モル/リットル NaClO4 含有 CH3CN/水質量比=15/85溶液
B液:CH3CN 100%
検出器:UV 260nm
攪拌機付きの5Lの四つ口フラスコ中に、水6質量%、トルエン37質量%、ラウリン酸44質量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム9質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム4質量%からなる混合物を入れ、これを実施例1と同様にして水層と油層を分離した後に、蒸留によりトルエン留分、ラウリン酸留分を回収した。
得られたラウリン酸についても、実施例1と同様の結果が得られた。すなわち、高い純度、高い回収率が得られ、着色、臭いについても良好であった。
Claims (6)
- カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いて製造された、一般式(1)
R 2 COOH (4)
(R 2 は炭素数1〜17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表されるカルボン酸を含むカルボン酸を回収するカルボン酸の回収方法。 - 前記加水分解を酸触媒の存在下で行う請求項1記載の回収方法。
- 反応生成物を固液分離して得られた液相部が、反応生成物を少なくとも晶析及び濾過して得られた濾液である請求項1〜3のいずれかに記載の回収方法。
- 回収されたカルボン酸のAPHAが15以下である請求項1〜4のいずれかに記載の回収方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された方法によりカルボン酸を回収し、回収したカルボン酸をカルボン酸無水物に誘導し、次いで、一般式(2)
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