JP4382943B2 - Manufacturing method of vacuum container type display substrate - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイ用基板の製造方法、特に基板中に可動イオンの表面への熱拡散を防止する可動イオン拡散防止膜が表面に形成された真空容器型ディスプレイ用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子線励起ディスプレイ(FED)やプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いるディスプレイ用基板は、該基板からのアルカリイオン(可動イオン)の熱拡散による素子の動作異常を防止するために、デバイス側基板表面に基板中のアルカリイオンの素子形成側基板表面への熱拡散を防止するアルカリパッシベーション膜(可動イオン拡散防止膜)を備えている。
【0003】
このようなパッシベーション膜の成膜方法としては、液晶表示素子の透明電極用のディスプレイ用基板の場合等は、大面積基板の大量処理が可能な塗布焼成法(ゾルゲル法)が採用されている。このゾルゲル法は、出発原料として有機金属化合物を溶解した有機溶液にガラス基板を浸漬した後等速引き上げにより該有機溶液をガラス基板に塗布し、400〜500℃のオーブン中で加熱処理し、SiO2膜を得るものであり、公知技術として、特開昭57−79914号、特開昭57−112715号、特開昭62−158136号の各公報に記載された技術がある。
【0004】
また、これら公知技術のディスプレイ用基板に形成されたパッシベーション膜には、基板中のアルカリイオンの熱拡散の防止効果を向上させるために、リンがドープされたSiO2膜(PSG(Phosphor Silicate Glass)膜)が用いられている。この場合、基板中のアルカリイオンの熱拡散の防止効果はリンの含有量が高いほど向上するので、上記PSG膜におけるリンの含有量は比較的高い値に設定され、例えば、 特開昭57−79914号の基板ではP2O5ベースで0.1〜2wt%、特開昭57−112715号の基板では同1wt%程度、特開昭62−158136号の基板では同0.5〜20wt%である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パッシベーション膜をゾルゲル法により形成する場合は、加水分解・重縮合反応した有機成分を熱処理により完全に分解するのが困難なため、ゾルゲル法により形成されたパッシベーション膜は緻密性が低く、所定のアルカリイオン拡散防止性能を発揮させるためには、パッシベーション膜の膜厚を厚くしなければならず、ディスプレイの製造コストが増大する。
【0006】
特に、このパッシベーション膜が形成されたディスプレイ用基板を電子線励起ディスプレイ(FED)やプラズマディスプレイパネル(PDP)のような真空容器型ディスプレイに用いる場合には、これらのディスプレイは、製造時に、周辺部に塗布されたペースト状ガラスフリットにより貼り合わされた一対の板ガラスを溶着するために、高温のプロセス、例えば500℃での焼成プロセスを必要とし、上記焼成プロセスが実行されても基板のアルカリイオン拡散防止性能を維持するためには、パッシベーション膜を200nmを越える比較的厚い膜厚にしなければならない。
【0007】
また、上記真空容器型ディスプレイでは、基板のパッシベーション膜中にリンを多く含むと、リンの高吸湿性によりパッシベーション膜中のリンに吸着された水分が真空容器型ディスプレイ内に放出されてディスプレイ内の真空度合を所要度合に維持することができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、パッシベーション膜の膜厚を薄くしてディスプレイの製造コストを低減することができる真空容器型ディスプレイ用基板の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、基板中の可動イオンの表面への熱拡散を防止する可動イオン拡散防止膜が表面に形成された真空容器型ディスプレイ用基板の製造方法であって、シリコンの酸化物、シリコンの窒化物及びシリコンの酸窒化物から成る群から選択された化合物であって、リンを含む化合物をMFスパッタ法により前記基板の表面にコーティングすることにより前記可動イオン拡散防止膜を形成し、前記化合物は、リンを、前記化合物のシリコンに対するリンの比で40ppm以上、4000ppm以下の濃度で含み、前記可動イオン拡散防止膜の膜厚は200nm以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の真空容器型ディスプレイ用基板の製造方法によれば、シリコンの酸化物、シリコンの窒化物及びシリコンの酸窒化物から成る群から選択された化合物であって、リンを含む化合物をMF(Mid Frequency)スパッタ法により基板の表面にコーティングすることにより可動イオン拡散防止膜を形成するので、可動イオン拡散防止膜のディスプレイ用基板上への形成の際にスパッタリングを異常放電が生じることなく安定して実行することができ、その結果可動イオン拡散防止膜の緻密性が高まる。
また、緻密性が高まることにより、真空容器型ディスプレイ用基板であるにもかかわらず、可動イオン拡散防止膜の膜厚を200nm以下まで薄くすることができるとともに、MFスパッタ法を用いることにより成膜レートの向上を図ることができるため、真空容器型ディスプレイの製造コストを低減することができる。
さらに、化合物は、リンを、化合物のシリコンに対するリンの比で40ppm以上、4000ppm以下の濃度で含むので、基板上の可動イオン拡散防止膜に含まれる吸湿性に富むリンの含有量を低減することができ、もって、可動イオン拡散防止膜から真空容器型ディスプレイ内に放出される水分の量を低減させて真空容器型ディスプレイ内の真空度合を所要度合に維持することができる。
【0018】
請求項2記載の真空容器型ディスプレイ用基板の製造方法は、請求項1記載の真空容器型ディスプレイ用基板の製造方法において、前記真空容器型ディスプレイは、電子線励起ディスプレイ又はプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、ディスプレイ用基板の表面に形成される可動イオン拡散防止膜の形成をスパッタ法により行うことにより、形成された可動イオン拡散防止膜が十分な緻密性を有することに着目し、前記可動イオン拡散防止膜を、シリコンの酸化物、シリコンの窒化物及びシリコンの酸窒化物から成る群から選択された化合物であって、リン及びボロンの少なくとも一方を含む化合物をスパッタ法により前記基板の表面にコーティングすることにより形成すると、可動イオン拡散防止膜のディスプレイ用基板上への形成の際にスパッタリングを異常放電が生じることなく安定して実行することができ、その結果可動イオン拡散防止膜の緻密性が高まると共に、可動イオン拡散防止膜の膜厚を薄くしてディスプレイの製造コスト低減を可能にすること、MFスパッタ法によれば、直流スパッタ法と比べてスパッタリングを安定して行うことができると共に、高周波スパッタ法と比べて成膜レートの向上を図り、もって製造コスト低減を可能にすること、及び化合物のシリコンに対するリンの比を4000ppm以下にすることにより、可動イオン拡散防止膜から真空容器型ディスプレイ内に放出される水分の量が低減して真空容器型ディスプレイ内の真空度合を所要度合に維持することができることを見い出した。
【0020】
MFスパッタ法は、2つのターゲットを陰極と陽極との間で交互に極性を反転させながら同一ガス雰囲気中で同時に放電させてスパッタリングを行うものであり、これにより、互いのターゲット表面における電荷が反転電位及び反転電流で中和されて該表面を除電するので異常放電が生じるのとを防止し、さらに、プラズマが互いのターゲット表面をスパッタリングによりクリーニングしながら成膜を実施するので、互いのターゲット表面に堆積する絶縁性膜による放電不能化の発生を防止することができ、その結果、より高い電力の印加を可能として成膜レートを向上させることができる。
【0021】
MFスパッタ法におけるターゲットの極性の反転周波数は100Hz〜1MHz程度が好ましく、さらに1〜100KHzがより好ましい。この下限は、除電作用の程度で決まり、上限は電源の駆動安定性などで決まる。また、このときの反転波形は正弦波や方形パルス波、時間非対称波など、長い時間軸に対し両ターゲット表面の電荷が中和されるように正負のバランスのとれた印加電圧波形であればよい。
【0022】
このMFスパッタ法のターゲットとして電気抵抗率の高い金属シリコンを用いると、ターゲット表面で通電性不足により帯電現象が発生しプラズマ放電が不安定となって異常放電が生じ易くなるが、この不具合は、金属シリコンにリン及びボロンの少なくとも一方をドープしてターゲットの導電性を増加することにより解消することができ、もってリン及びボロンの少なくとも一方を含む化合物の基板表面へのコーティングによる形成をより高い成膜レートで行うことができる。
【0023】
このように、MF法によれば、直流スパッタ法における問題、即ち、スパッタリング時に成膜される絶縁膜がターゲット表面にも堆積し、これにより、ターゲット表面の導電性が損なわれ、異常放電が発生し易くなるという問題、また、高周波スパッタ法における問題、即ち、成膜レートが遅く、もって製造コストの増大を招くという問題を解消することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係るディスプレイ用基板を備える電子線励起素子の構成を図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るディスプレイ用基板を備える電子線励起素子の断面図である。
【0025】
図1において、ガラス基板10の素子形成側表面には、基板10の表面の帯電を防止すべくMFスパッタ法によりアルカリイオンパッシベーション膜11が形成されている。基板10はソーダライムガラスから成り、その厚さは、例えば3mmである。
【0026】
パッシベーション膜11上には、導電性材料から成る一対の素子電極12,13が形成されている。これらの素子電極12,13は、例えばCVD等の成膜技術とフォトリソグラフィー、エッチング等のパターニング技術を組み合わせて形成することができるが、印刷技術によって形成してもよい。素子電極12,13の形状は、当該電子線励起素子の用途に合わせて適宜設計される。
【0027】
素子電極12,13の間には、フォトリソグラフィー、エッチング等により導電性薄膜14が形成されている。導電性薄膜14は、素子電極12,13と電気的に良好に接続されるのが望ましいため、互いに部分的に重なりあっている。導電性薄膜14の一部には、導電性薄膜14よりも電気的に高抵抗な電子放出部15が通電フォーミング処理により形成されている。
【0028】
電子放出部15及びその近傍は薄膜16によって被覆されており、この薄膜16は、炭素又は炭素化合物から成り、上記電子放出部15の形成後に通電活性化処理により形成される。
【0029】
パッシベーション膜11は、シリコンの酸化物(SiO2)、シリコンの酸窒化物(SiON)及びシリコンの窒化物(Si3N4)から成る群から選択された化合物であって、リン及びボロンの少なくとも一方を含む化合物を含む少なくとも1層のアルカリイオンパッシベーション膜(可動イオン拡散防止膜)から成る。このパッシベーション膜11により、例えばNaイオンのようなアルカリイオンの熱拡散による素子の動作異常を防止することができる。
【0030】
パッシベーション膜11は、シリコンの酸化物、シリコンの窒化物及びシリコンの酸窒化物から成る群から選択された化合物であって、リン及びボロンの少なくとも一方を含む化合物をMFスパッタ法により基板10の表面にコーティングすることにより形成される。具体的には、シリコンの酸化物、シリコンの窒化物及びシリコンの酸窒化物から成る群から選択された化合物を電極として用いると共に、金属シリコンにリン及びボロンの少なくとも一方をドープしたものをターゲットとして用いてMFスパッタ法によりパッシベーション膜11を形成する。これにより、ターゲットの導電性が増加するので、パッシベーション膜11のディスプレイ用基板上への形成の際にスパッタリングを異常放電が生じることなく安定して実行することができ、その結果パッシベーション膜11の緻密性が高まると共に、パッシベーション膜11の膜厚を薄くしてディスプレイ用基板の製造コストを低減することができる。MFスパッタ法によれば、直流スパッタ法や高周波スパッタ法によることなくパッシベーション膜11を形成することにより、スパッタリング時の異常放電発生の防止やディスプレイ用基板の製造コストの低減を図ることができる。
【0031】
上記化合物のシリコンに対するリンの比を4000ppm以下にするのが好ましい。これにより、パッシベーション膜11から真空容器型ディスプレイ内に放出される水分の量を低減させて真空容器型ディスプレイ内の真空度合を所要度合に維持することができる。
【0032】
上記パッシベーション膜11の膜厚は200nm以下であるのが好ましい。200nmを越えると、ディスプレイ用基板の製造コストが増大する。
【0033】
【実施例】
本発明の上記知見を確認するために以下のような実験を行った。
【0034】
まず、上記のような基板10を、膜厚3mmのソーダライムガラス材料(主として、SiO272重量%、Na2O13重量%、CaO8重量%、MgO4重量%、Al2O31.8重量%、K2O0.9重量%を含む)で作製し、この基板10の表面上に表1に示すターゲット及び混合ガス雰囲気でMFスパッタ法又はゾルゲル法により実施例1〜6及び比較例1に係るパッシベーション膜11を形成した。
【0035】
【表1】
即ち、表1において、実施例1〜3は、Pドープ量が800ppmのP(リン)ドープSiターゲット(P−Siターゲット)を用いた場合、実施例4〜6は、Bドープ量が800ppmのB(ボロン)ドープSiターゲット(B−Siターゲット)を用いた場合を示し、実施例1及び4は、アルゴン−酸素の混合ガス雰囲気でMFスパッタ法によりSiO2膜を形成した場合、実施例2及び5は、アルゴン−酸素−窒素の混合ガス雰囲気でMFスパッタ法によりSiON膜を形成した場合、実施例3及び6は、アルゴン−窒素の混合ガス雰囲気でNMSスパッタ法によりSi3N4膜を形成した場合を示す。
【0036】
また、比較例1は、ゾルゲル法によりSiO2膜を形成した場合を示す。
【0037】
上記ターゲットの作製方法をP−Siターゲットの場合を例にとって説明する。B−Siターゲットもこれに準ずる。
【0038】
まず、高純度ポリシリコンブロックの端材を、高純度Siを内張りしたポットミル中に装填してミルを回転させ、ポリシリコンブロックの端材同士の衝突、又は端材と内張りしたSiとの衝突等によって端材を粉砕し、平均粒径が5μmであるSi粉末を調製した。このSi粉末にP微粉末を所定量混合し、P−Si混合粉末を調製した。
【0039】
次に、離型剤を塗布した黒鉛製成形型を有するホットプレス装置の成形型に上記調製した混合粉末を充填すると共に、雰囲気の真空度合を10-4Torr(1.33×10-2Pa)に調整した後、温度1320℃で4時間加熱処理を実施し付着酸素及び不純物を揮散させた後に、加圧力250kg/cm2を作用させると同時に、温度1320℃で4時間Si粉末を焼成し、P−Si焼結体ターゲットを形成した。
【0040】
実施例1〜3におけるMFスパッタ法によるパッシベーション膜11は下記の製膜方法で形成した。
【0041】
まず、実施例1では、Pドープ量800ppmのP−Siターゲットを予備排気室とスパッタ室からなるインライン式スパッタリング装置にセットし、スパッタ室をロータリーポンプ及びクライオポンプで5.0×10-4Pa以下まで排気した。次いで、洗浄した厚さ3mmの基板10を予備排気室に入れて0.3Pa以下に排気した。そして、基板10をスパッタ室に移し、スパッタ室にアルゴンガス30cm3/分(標準状態下)(以下「SCCM)という)及び酸素ガス20SCCMを導入し、圧力を0.3Paに調節した。1対のP−Siターゲットが備えられたカソードに30KHzの反転周波数で電力を印加して放電を起こし、P−Siターゲットの上を基板10を通過させることにより、基板10の表面にSiO2膜から成る膜厚20nmのパッシベーション膜11を形成した。
【0042】
同様にして、実施例1について、パッシベーション膜11として膜厚30nm、40nm、80nm、200nmのSiO2膜を基板10上に形成した。
【0043】
実施例2では、実施例1と同様にして、Pドープ量800ppmのP−Siターゲットを用いてMFスパッタ法でパッシベーション膜11を基板10に形成するに際して、スパッタ室にアルゴンガス30SCCM、酸素ガス10SCCM、窒素ガス10SCCMを導入し、P−Siターゲットが備えられたカソードに30KHzの反転周波数で電力を印加して放電を起こし、P−Siターゲットの上を基板10を通過させることにより、基板10の表面にSiON膜から成る20nmの厚さのパッシベーション膜11を形成した。
【0044】
同様にして、実施例2について、パッシベーション膜11として膜厚30nm、40nm、80nm、200nmのSiON膜を基板10上に形成した。
【0045】
実施例3では、実施例1と同様にして、Pドープ量800ppmのP−Siターゲットを用いてスパッタ法でパッシベーション膜11を基板10に形成するに際して、スパッタ室にアルゴンガス30SCCM、窒素ガス20SCCMを導入し、1対のP−Siターゲットが備えられたカソードに30KHzの反転周波数で電力を印加して放電を起こし、P−Siターゲットの上を、基板10を通過させることにより、基板10の表面にSi3N4膜から成る20nmの厚さのパッシベーション膜11を形成した。
【0046】
同様にして、実施例3について、パッシベーション膜11として膜厚30nm、40nm、80nm、200nmのSiON膜を基板10上に形成した。
【0047】
以上のようにパッシベーション膜11が形成された各基板10を、500℃、2時間の熱処理を行った後、パッシベーション膜11のNa拡散防止性能(ppm)を後述の測定方法により測定した。
【0048】
また、パッシベーション膜11のNa拡散防止性能(ppm)は、基板中(実質的には基板表面)におけるNaイオン数N0に対する膜中におけるNaイオン数N(実質的には最低値)の比(N/N0)をppmで表して評価した。ppm値が低い程Naイオン拡散防止性能が高い。このようなNaイオン数N0,Nは、後述する2次イオン質量分離スペクトル分析法(以下、「SIMS法」という)を用いてパッシベーション膜11又は基板10中のNaイオン濃度をパッシベーション膜11又は基板10の深さ方向にそって分析することにより取得することができる。
【0049】
上記SIMS法による測定結果を表1に示す。実施例1〜3では、パッシベーション膜11のNaイオン拡散防止性能は、例えば、膜厚40nmの場合、夫々、675ppm、338ppm、135ppmであった。
【0050】
上記SIMS法による分析は、次のような手順で行った。
【0051】
先ず、準備された試料を500℃で2時間熱処理を行い、この熱処理された試料をパッシベーション膜11側からアルゴンのスパッタリング照射により切削しつつ各試料のNaイオン数をカウントすることにより成分分析を行った。代表的なものとして、ドープ量800ppmのBドープSiターゲットを用いて基板上にパッシベーション膜11を形成した資料の分析結果を図3に示す。
【0052】
図3は、2次イオン質量分離スペクトル分析法によるスパッタ時間とイオン数(個/秒)の関係を示すグラフである。
【0053】
図3において、パッシベーション膜11の表面からアルゴンのスパッタリング照射による切削が始まり、分析開始後約20分までは、パッシベーション膜11中のNaイオン数を示しているが、約20分以後は基板10中のNaイオン数を示している。
【0054】
Naイオン数のプロファイルは、パッシベーション膜11中においては、約1.0×107個/秒であるが、基板10中においては、約1.0×1010個/秒と大きくなる。また、膜表面でのNaイオン数のプロファイルが大きくなっているのはコンタミネーションに起因するものである。
【0055】
次に、実施例4〜6並びに比較例1の場合におけるパッシベーション膜11は下記の成膜方法で形成した。
【0056】
実施例4〜6は、ターゲットとしてB−Siターゲットを使用するものであり、Bドープ量800ppmのB−Siターゲットを用いた上で上記実施例1〜3と同様にMFスパッタ法によりパッシベーション膜11を基板10上に形成した後、パッシベーション膜11が形成された基板10を、500℃、2時間の熱処理を行った後、上実施例1〜3と同様に、パッシベーション膜11のNaイオンの拡散防止性能を評価した。結果を表1に示す。実施例4〜6では、Naイオン拡散防止性能は、例えば膜厚40nmの場合、夫々、1125ppm、563ppm、225ppmであった。
【0057】
比較例1では、出発原料として、テトラエトキシシランを用いる公知のゾルゲル法によりパッシベーション膜11を基板10上に形成した後、パッシベーション膜11が形成された基板10を、500℃、2時間の熱処理を行った後、パッシベーション膜11のNaイオンの拡散防止性能を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
次に、実施例1〜6について、表1の結果を横軸に膜厚(nm)、縦軸にNaイオン拡散防止性能(ppm)をとったグラフにプロットしたものを図4に示す。図4は、膜厚(nm)を変えた場合のNaイオン拡散防止性能(ppm)を示すグラフであり、(a)は実施例1及び4の場合、(b)は実施例2及び5の場合、(c)は実施例3及び6の場合を示す。
【0059】
図4から、パッシベーション膜11の膜厚が40nm以上のときは、B−Siターゲットを用いる場合も、P−Siターゲットを用いる場合もNa拡散防止性能(ppm)が約1130ppm以下であり、その結果、これらの基板10から作製された電子線励起素子は、加速試験での素子劣化・破壊までの時間を長くすることができる。
【0060】
また、図4によれば、膜厚が40nm未満のときは、B−Siターゲットを用いる場合とP−Siターゲットを用いる場合とで、アルカリイオンの拡散防止性能はさほど変わらないが、40nm以上になると、後者の方が、その性能が顕著に現れ、膜厚が増すにつれて、性能差が顕著に現れる。
【0061】
次に、実施例1について、ターゲットのPドープ量を800ppm以外に、0ppm、40ppm、4000ppm、5000ppmと変えた場合についてNaの信号強度の最低値で示される膜中濃度とその下のガラス基板表面近傍中のNaイオン濃度を計測することによりNaイオンの拡散防止性能を評価した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
また、このように作製したパッシベーション膜11が形成されたガラス基板10を用いて図5に示す幅50mm×奥行き50mm×高さ5mmの真空容器供試体20を作製した。図5は、パッシベーション膜11が形成されたガラス基板10を備える真空容器供試体20の断面図である。
【0063】
真空容器供試体20は、パッシベーション膜11が形成されたガラス基板10の一対を、高さ5mm、厚さ3mmのガラス支持体21を介して、ガラスフリット22を用いて500℃、2時間の熱処理により溶着することにより真空容器供試体20を作製した。これらの供試体20に真空ポンプ及び真空計を接続し、真空ポンプを用いて1.33×10-5Paまで減圧した。さらに、これらの供試体20を、24時間放置後、真空計を用いて真空度を計測した。結果を表2に示す。
【0064】
表2において、ターゲットのPドープ量が、4000ppm以下のときは、真空度が1.07×10-3Pa以下であって、実用上問題の無い範囲であったが、4000ppmを越えると、真空度が急激に低下している。
【0065】
一方、ターゲットのPドープが無い場合は、素子表面のNaイオンの量が4500ppmとなり、Naイオン拡散防止性能が低下している。
【0066】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載のディスプレイ用基板によれば、可動イオン拡散防止膜は、シリコンの酸化物、シリコンの窒化物及びシリコンの酸窒化物から成る群から選択された化合物であって、リン及びボロンの少なくとも一方を含む化合物をスパッタ法により前記基板の表面にコーティングすることにより形成して成るので、可動イオン拡散防止膜のディスプレイ用基板上への形成の際にスパッタリングを異常放電が生じることなく安定して実行することができ、その結果可動イオン拡散防止膜の緻密性が高まると共に、可動イオン拡散防止膜の膜厚を薄くしてディスプレイの製造コストを低減することができる。
【0067】
請求項2記載のディスプレイ用基板によれば、ディスプレイ用基板の表面に形成されるリン及びボロンの少なくとも一方を含む化合物の形成をMFスパッタ法によって行うことにより、可動イオン拡散防止膜のディスプレイ用基板上への形成の際にスパッタリングをより安定して行うことに加えて、成膜レートの向上を図ることができる。
【0068】
請求項3記載のディスプレイ用基板によれば、可動イオン拡散防止膜の膜厚が200nm以下であるので、パッシベーション膜の膜厚が薄いことによりディスプレイの製造コストを低減することができる。
【0069】
請求項5記載のディスプレイ用基板によれば、化合物は、リンを、前記化合物のシリコンに対するリンの比で4000ppm以下の濃度で含むので、基板上の可動イオン拡散防止膜に含まれる吸湿性に富むリンの含有量が低減することにより、可動イオン拡散防止膜から真空容器型ディスプレイ内に放出される水分の量を低減させて真空容器型ディスプレイ内の真空度合を所要度合に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスプレイ用基板を備える平面型の表面伝導型放出素子の断面図である。
【図2】パッシベーション膜11の説明図である。
【図3】2次イオン質量分離スペクトル分析法によるスパッタ時間とイオン数の関係を示すグラフである。
【図4】膜厚(nm)を変えた場合のNaイオン拡散防止性能(ppm)を示すグラフであり、(a)は実施例1及び4の場合、(b)は実施例2及び5の場合、(c)は実施例3及び6の場合を示す。
【図5】パッシベーション膜11が形成されたガラス基板10を備える真空容器20の断面図である。
【符号の説明】
10 基板
11 パッシベーション膜
12,13 素子電極
14 導電性薄膜
15 電子放出部
16 薄膜
20 真空容器供試体[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a display substrate. Manufacturing method In particular, a mobile ion diffusion prevention film for preventing thermal diffusion of mobile ions to the surface of the substrate was formed on the surface. Vacuum container type Display substrate Manufacturing method About.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a display substrate used for an electron beam excitation display (FED) or a plasma display panel (PDP) is a device side substrate in order to prevent abnormal operation of an element due to thermal diffusion of alkali ions (movable ions) from the substrate. An alkali passivation film (movable ion diffusion preventing film) for preventing thermal diffusion of alkali ions in the substrate to the element forming side substrate surface is provided on the surface.
[0003]
As a method for forming such a passivation film, in the case of a display substrate for a transparent electrode of a liquid crystal display element, a coating baking method (sol-gel method) capable of mass processing of a large area substrate is employed. In this sol-gel method, after immersing a glass substrate in an organic solution in which an organometallic compound is dissolved as a starting material, the organic solution is applied to the glass substrate by pulling up at a constant speed, heat-treated in an oven at 400 to 500 ° C., and SiO 2 2 As a known technique, there are techniques described in JP-A-57-79914, JP-A-57-112715, and JP-A-62-158136.
[0004]
In addition, the passivation film formed on the display substrate of these known technologies includes SiO doped with phosphorus in order to improve the effect of preventing the thermal diffusion of alkali ions in the substrate. 2 A film (PSG (Phosphor Silicate Glass) film) is used. In this case, the effect of preventing the thermal diffusion of alkali ions in the substrate increases as the phosphorus content increases, so the phosphorus content in the PSG film is set to a relatively high value. P on the 79914 board 2 O Five The base is 0.1 to 2 wt%, about 1 wt% for the substrate of JP-A-57-112715, and about 0.5 to 20 wt% for the substrate of JP-A-62-158136.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, when the passivation film is formed by the sol-gel method, it is difficult to completely decompose the organic component that has undergone hydrolysis and polycondensation reaction by heat treatment. Therefore, the passivation film formed by the sol-gel method has a low density and a predetermined density. In order to exhibit the alkali ion diffusion prevention performance, the thickness of the passivation film must be increased, and the manufacturing cost of the display increases.
[0006]
In particular, when the display substrate on which the passivation film is formed is used for a vacuum container type display such as an electron beam excitation display (FED) or a plasma display panel (PDP), these displays are not In order to weld a pair of plate glasses bonded by a paste-like glass frit applied to the substrate, a high-temperature process, for example, a baking process at 500 ° C. is required, and even if the baking process is performed, alkali ion diffusion prevention of the substrate is prevented. In order to maintain the performance, the passivation film must have a relatively thick film thickness exceeding 200 nm.
[0007]
In addition, in the above vacuum container type display, if the passivation film of the substrate contains a large amount of phosphorus, moisture adsorbed by phosphorus in the passivation film is released into the vacuum container type display due to the high hygroscopicity of phosphorus, The degree of vacuum cannot be maintained at the required level.
[0008]
The object of the present invention is to reduce the manufacturing cost of the display by reducing the thickness of the passivation film. Vacuum container type Display substrate Manufacturing method Is to provide.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, there is provided a method for manufacturing a substrate for a vacuum container type display having a movable ion diffusion prevention film formed on the surface thereof, which prevents thermal diffusion of the movable ions in the substrate to the surface, and comprising a silicon oxide The movable ion diffusion prevention film is formed by coating the surface of the substrate with a compound selected from the group consisting of silicon nitride and silicon oxynitride and containing phosphorus by MF sputtering. The compound is phosphorus in a ratio of phosphorus to silicon of the compound. 40ppm or more, Including the concentration of 4000 ppm or less, the thickness of the movable ion diffusion preventing film is 200 nm or less.
[0010]
According to the method for manufacturing a substrate for a vacuum vessel type display according to
In addition, due to the increased density, the movable ion diffusion prevention film can be thinned to 200 nm or less in spite of being a vacuum container type display substrate, and the film is formed by using the MF sputtering method. Since the rate can be improved, the manufacturing cost of the vacuum container type display can be reduced.
In addition, the compound can contain phosphorus in a ratio of phosphorus to silicon of the compound. 40ppm or more, Since it is contained at a concentration of 4000 ppm or less, it is possible to reduce the content of phosphorus that is rich in hygroscopicity contained in the movable ion diffusion preventing film on the substrate, and is released from the movable ion diffusion preventing film into the vacuum container type display. It is possible to maintain the required degree of vacuum in the vacuum container display by reducing the amount of moisture to be produced.
[0018]
Claim 2 Described Vacuum container type Display substrate
[0019]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As a result of intensive studies to achieve the above object, the present inventor has formed a movable ion diffusion prevention film formed on the surface of a display substrate by a sputtering method. In particular, the movable ion diffusion preventing film is a compound selected from the group consisting of silicon oxide, silicon nitride, and silicon oxynitride, and includes phosphorus and boron. When a compound containing at least one of the above is formed by coating the surface of the substrate by sputtering, the sputtering is stably performed without causing abnormal discharge when the movable ion diffusion prevention film is formed on the display substrate. As a result, the density of the mobile ion diffusion prevention film is increased and the thickness of the mobile ion diffusion prevention film is reduced. It is possible to reduce the manufacturing cost of the display, and according to the MF sputtering method, the sputtering can be stably performed as compared with the direct current sputtering method, and the film formation rate can be improved as compared with the high frequency sputtering method. By enabling the production cost to be reduced and the ratio of phosphorus to silicon of the compound is 4000 ppm or less, the amount of moisture released from the movable ion diffusion prevention film into the vacuum vessel type display is reduced, and the vacuum vessel type is reduced. It has been found that the degree of vacuum in the display can be maintained at the required level.
[0020]
In the MF sputtering method, sputtering is performed by simultaneously discharging two targets in the same gas atmosphere while reversing the polarity between the cathode and the anode. Since the surface is neutralized by the electric potential and the reversal current and the surface is neutralized, the occurrence of abnormal discharge is prevented, and the film is formed while the plasma cleans each other's target surface by sputtering. Occurrence of disabling discharge due to the insulating film deposited on the substrate can be prevented, and as a result, higher power can be applied and the film formation rate can be improved.
[0021]
The inversion frequency of the target polarity in the MF sputtering method is 100 Hz to 1 M About Hz is preferable, and 1 to 100 KHz is more preferable. This lower limit is determined by the degree of neutralization, and the upper limit is determined by the driving stability of the power source. In addition, the inverted waveform at this time may be an applied voltage waveform that is balanced between positive and negative so that the charges on both target surfaces are neutralized with respect to a long time axis, such as a sine wave, a square pulse wave, or a time asymmetric wave. .
[0022]
When metal silicon having a high electrical resistivity is used as a target for this MF sputtering method, a charging phenomenon occurs due to insufficient conductivity on the surface of the target and plasma discharge becomes unstable, and abnormal discharge is likely to occur. It can be eliminated by doping metal silicon with at least one of phosphorus and boron to increase the conductivity of the target, so that the formation of a compound containing at least one of phosphorus and boron by coating on the substrate surface is improved. It can be performed at a membrane rate.
[0023]
As described above, according to the MF method, a problem in the DC sputtering method, that is, the insulating film formed at the time of sputtering is deposited on the target surface, thereby impairing the conductivity of the target surface and causing abnormal discharge. It is possible to solve the problem that it is easy to perform, and the problem in the high-frequency sputtering method, that is, the problem that the film forming rate is slow and the manufacturing cost is increased.
[0024]
Hereinafter, the configuration of an electron beam excitation device including a display substrate according to an embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. FIG. 1 is a cross-sectional view of an electron beam excitation device including a display substrate according to an embodiment of the present invention.
[0025]
In FIG. 1, an alkali
[0026]
On the
[0027]
A conductive
[0028]
The
[0029]
The
[0030]
The
[0031]
The phosphorus ratio of the above compound to silicon is preferably 4000 ppm or less. Thereby, the quantity of the water | moisture content discharge | released in the vacuum vessel type display from the
[0032]
The thickness of the
[0033]
【Example】
In order to confirm the above knowledge of the present invention, the following experiment was conducted.
[0034]
First, a
[0035]
[Table 1]
That is, in Table 1, when Examples 1 to 3 use a P (phosphorus) -doped Si target (P-Si target) having a P doping amount of 800 ppm, Examples 4 to 6 have a B doping amount of 800 ppm. A case where a B (boron) -doped Si target (B-Si target) is used is shown. Examples 1 and 4 are SiO 2 by an MF sputtering method in an argon-oxygen mixed gas atmosphere. 2 In the case where the film is formed, in Examples 2 and 5, the SiON film is formed by MF sputtering in an argon-oxygen-nitrogen mixed gas atmosphere, and in the examples 3 and 6, NMS is performed in the argon-nitrogen mixed gas atmosphere. The case where a Si3N4 film is formed by sputtering is shown.
[0036]
Comparative Example 1 is SiO 2 by sol-gel method. 2 The case where a film is formed is shown.
[0037]
The method for producing the target will be described by taking a P-Si target as an example. This applies to the B-Si target.
[0038]
First, the end material of the high purity polysilicon block is loaded into a pot mill lined with high purity Si, the mill is rotated, the collision between the end materials of the polysilicon block, or the collision between the end material and the lined Si, etc. The end material was pulverized to prepare Si powder having an average particle size of 5 μm. A predetermined amount of P fine powder was mixed with this Si powder to prepare a P-Si mixed powder.
[0039]
Next, the mixed powder prepared above is filled into a mold of a hot press apparatus having a graphite mold coated with a release agent, and the degree of vacuum of the atmosphere is set to 10 -Four Torr (1.33 × 10 -2 After adjusting to Pa), heat treatment was performed at a temperature of 1320 ° C. for 4 hours to volatilize the attached oxygen and impurities, and then the applied pressure was 250 kg / cm 2 At the same time, the Si powder was baked at a temperature of 1320 ° C. for 4 hours to form a P—Si sintered body target.
[0040]
The
[0041]
First, in Example 1, a P-Si target having a P doping amount of 800 ppm was set in an in-line type sputtering apparatus including a preliminary exhaust chamber and a sputtering chamber, and the sputtering chamber was set to 5.0 × 10 using a rotary pump and a cryopump. -Four Exhaust to Pa or less. Next, the cleaned
[0042]
Similarly, with respect to Example 1, the
[0043]
In Example 2, as in Example 1, when forming the
[0044]
Similarly, for Example 2, a SiON film having a thickness of 30 nm, 40 nm, 80 nm, and 200 nm was formed on the
[0045]
In Example 3, when the
[0046]
Similarly, for Example 3, a SiON film having a thickness of 30 nm, 40 nm, 80 nm, and 200 nm was formed on the
[0047]
Each
[0048]
Further, the Na diffusion prevention performance (ppm) of the
[0049]
The measurement results by the SIMS method are shown in Table 1. In Examples 1 to 3, the Na ion diffusion preventing performance of the
[0050]
The analysis by the SIMS method was performed according to the following procedure.
[0051]
First, the prepared samples were heat-treated at 500 ° C. for 2 hours, and component analysis was performed by counting the number of Na ions in each sample while cutting the heat-treated samples from the side of the
[0052]
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the sputtering time and the number of ions (pieces / second) obtained by secondary ion mass separation spectroscopy.
[0053]
In FIG. 3, cutting by the argon sputtering irradiation starts from the surface of the
[0054]
The profile of the number of Na ions is about 1.0 × 10 6 in the
[0055]
Next, the
[0056]
Examples 4-6 use a B-Si target as a target, and after using a B-Si target with a B doping amount of 800 ppm, the
[0057]
In Comparative Example 1, after forming the
[0058]
Next, for Examples 1 to 6, the results of Table 1 are plotted in a graph in which the horizontal axis indicates the film thickness (nm) and the vertical axis indicates the Na ion diffusion prevention performance (ppm) is shown in FIG. FIG. 4 is a graph showing Na ion diffusion prevention performance (ppm) when the film thickness (nm) is changed. FIG. 4A shows the case of Examples 1 and 4, and FIG. 4B shows the case of Examples 2 and 5. Case (c) shows the cases of Examples 3 and 6.
[0059]
From FIG. 4, when the thickness of the
[0060]
Further, according to FIG. 4, when the film thickness is less than 40 nm, the alkali ion diffusion preventing performance is not so different between the case of using the B-Si target and the case of using the P-Si target, but it is 40 nm or more. Then, the performance of the latter is more noticeable, and the performance difference is more noticeable as the film thickness is increased.
[0061]
Next, in Example 1, when the target P-doping amount is changed to 0 ppm, 40 ppm, 4000 ppm, and 5000 ppm in addition to 800 ppm, the concentration in the film indicated by the minimum value of the Na signal intensity and the glass substrate surface therebelow The Na ion diffusion prevention performance was evaluated by measuring the Na ion concentration in the vicinity. The results are shown in Table 2.
[0062]
[Table 2]
Further, a
[0063]
The
[0064]
In Table 2, when the target P-doping amount is 4000 ppm or less, the degree of vacuum is 1.07 × 10 6. -3 Although it was Pa or less and was in a range where there was no problem in practical use, when it exceeded 4000 ppm, the degree of vacuum rapidly decreased.
[0065]
On the other hand, when there is no target P-doping, the amount of Na ions on the element surface is 4500 ppm, and the Na ion diffusion preventing performance is lowered.
[0066]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the display substrate of
[0067]
According to the display substrate of claim 2, by forming the compound containing at least one of phosphorus and boron formed on the surface of the display substrate by MF sputtering, the display substrate of the movable ion diffusion preventing film is formed. In addition to performing sputtering more stably when forming the upper layer, the film formation rate can be improved.
[0068]
According to the display substrate of the third aspect, since the thickness of the movable ion diffusion preventing film is 200 nm or less, the manufacturing cost of the display can be reduced due to the thin thickness of the passivation film.
[0069]
According to the display substrate of claim 5, since the compound contains phosphorus at a concentration of 4000 ppm or less in the ratio of phosphorus to silicon of the compound, the compound has high hygroscopicity contained in the movable ion diffusion preventing film on the substrate. By reducing the phosphorus content, the amount of moisture released from the movable ion diffusion preventing film into the vacuum container display can be reduced, and the degree of vacuum in the vacuum container display can be maintained at a required level.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a planar surface conduction electron-emitting device including a display substrate according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an explanatory diagram of a
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the sputtering time and the number of ions by secondary ion mass separation spectrum analysis.
FIG. 4 is a graph showing Na ion diffusion prevention performance (ppm) when the film thickness (nm) is changed, where (a) is for Examples 1 and 4 and (b) is for Examples 2 and 5. Case (c) shows the cases of Examples 3 and 6.
FIG. 5 is a cross-sectional view of a
[Explanation of symbols]
10 Substrate
11 Passivation film
12, 13 Device electrode
14 Conductive thin film
15 Electron emission part
16 Thin film
20 Vacuum container specimen
Claims (2)
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