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JP4382229B2 - 組合せオイルリング - Google Patents

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    • F16J9/06Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction using separate springs or elastic elements expanding the rings; Springs therefor ; Expansion by wedging
    • F16J9/061Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction using separate springs or elastic elements expanding the rings; Springs therefor ; Expansion by wedging using metallic coiled or blade springs
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関やコンプレッサなどのピストンに装着され、オイルコントロールを行う組合せオイルリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
オイルリングの内周側にエキスパンダを配置して、オイルリング摺動面の面圧を高め、オイル掻き能力の向上を図る技術として、従来、下記の2ピース形の組合せオイルリングが知られている。
(1)オイルリング1Aの内周面に溝13Aを設け、鋼線をコイル状に巻いて環状に形成したコイルエキスパンダ2Aを前記溝に配置した組合せオイルリング(図4参照)。このタイプの組合せオイルリングが2ピース形の組合せオイルリングとして一般的に用いられている。
(2)オイルリングの内周面に溝を設け、U字形断面のエキスパンダを前記溝に配置し、U字形断面の足部でオイルリングの溝を押接する組合せオイルリング(特公昭62−8673号参照)。
(3)オイルリングの内周面に溝を設け、く字形、U字形又は半円形の断面のエキスパンダを前記溝に配置し、エキスパンダ断面において外方に突出した部分でオイルリングの溝を押接する組合せオイルリング(実公昭47−31927号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近の自動車用エンジンにおいては、低フリクション化や潤滑油消費量の低減等の高性能化のために、ピストンの軽量化、ピストンリングの薄幅化が求められている。特に、オイルリングについては、シリンダボアへの張り出し力(張力)を充分に確保するため、オイルリングの内周側にエキスパンダを配置しているので、コンプレッションリングに比べて軸方向幅が通常3.0〜4.0mmと大きめになり、薄幅化の必要性が大きい。
【0004】
しかしながら、従来のコイルエキスパンダやU字形断面等のエキスパンダを配置した2ピース形の組合せオイルリングでは、エキスパンダの軸方向幅を薄幅にすることは難しく、また、薄幅にした場合、充分な張力を出すことが困難である。これらのエキスパンダを用いたオイルリングの軸方向幅は、コイルエキスパンダ付きが約2.0mm、U字形等の断面を有しているエキスパンダ付きは約2.5mmが限界である。
【0005】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、オイル掻き能力の優れた薄幅の2ピース形組合せオイルリングを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、オイルリングと、このオイルリングの内周面に形成された溝に配置し、オイルリングを半径方向外方に押圧付勢するエキスパンダとからなる2ピース形の組合せオイルリングにおいて、
前記エキスパンダが軸方向波形の環状板材からなるとともに、前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部を押接し、前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部における角部の曲率半径よりも、この角部に対向配置するエキスパンダの角部の曲率半径の方が大きいことを特徴とする。
【0007】
エキスパンダは、軸方向波形の環状板材からなっており、軸方向幅を薄くした場合でも、充分なバネ性を得ることができ、高い張力を出すことが可能である。オイルリングの薄幅化は、ピストンの高さを縮小でき、軽量コンパクト化に有効である。また、薄幅にすることにより、リングの柔軟性が増し、シリンダボアへの追従性がよくなり、潤滑油消費量の低減に効果がある。また、薄幅にした場合でも、軸方向波形エキスパンダは高い張力を出すことが可能なため、更に潤滑油消費量の低減が可能である。そして、エキスパンダはオイルリングの溝に配置されているので、エキスパンダのバタツキが抑制され、折損が防止される。
【0008】
前記オイルリングの内周面に形成される溝の断面は、特に限定されないが、例えば、矩形断面や台形断面などに形成される。前記エキスパンダは、オイルリングの溝の底部を押接するのが、ばらつきのない安定した張力を得る上で好ましい。
【0009】
前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部における角部の曲率半径よりも、この角部に対向配置する前記エキスパンダの角部の曲率半径の方が大きいことが、エキスパンダがオイルリングの溝の底部を安定して押接する上で好ましい。
【0010】
前記オイルリングの軸方向幅は1.0〜3.0mm、より好ましくは、1.0〜2.0mmであるのが、薄幅化の点で好ましい。
【0011】
前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部における角部の曲率半径と、これに対向配置する前記エキスパンダの角部の曲率半径はそれぞれ0.1〜1.0mmであるのが、オイルリングを薄幅化する上で好ましい。
【0012】
前記オイルリングの溝の断面が例えば矩形断面の場合、溝の上下面は水平面に形成され、これに対向配置するエキスパンダの上下面部分も水平面に形成されるのが好ましい。前記オイルリングの溝の断面が例えば台形断面の場合、溝の上下面は内周に向かって拡開するテーパ面に形成され、これに対向配置するエキスパンダの上下面部分も内周に向かって拡開するテーパ面に形成されるのが好ましい。このように上下面をテーパ面に形成すると、オイルリングにおける溝の上部部分及び下部部分の強度向上が図られる。
【0013】
前記オイルリングは、外周摺動面を形成する1又は2つのレール部を有しているものが通常使用される。
【0014】
前記オイルリングは、窒化処理が施されている、或いは窒化処理後の外周摺動面にPVD皮膜が形成されているのが好ましい。また、前記エキスパンダは窒化処理、無電解ニッケルめっき、又はクロムめっきが施されているのが好ましい。上記表面処理により、耐摩耗性が向上し、潤滑油消費等の性能の良い状態を長時間維持できる。また、窒化処理等の高温処理を施すと、運転中の温度上昇による張力の減退を防止できる。
【0015】
前記エキスパンダの合い口方向と合い口直角方向の直径差(真円度)が5mm以下であることが好ましい。上記真円度により、前記オイルリングの溝にエキスパンダが密着することができ、ピストンへの装着時及びシリンダへの嵌入時に、エキスパンダのはみ出しによるひっかかりや脱落等の不具合を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態1を図1により説明する。
【0017】
組合せオイルリングは、鋼製オイルリング1と、軸方向波形エキスパンダ2とからなる2ピース形のリングである。
【0018】
オイルリング1は、断面略I字形をなし、上下のレール3,4と、これらを連結する薄肉の真直ぐなウェブ5とからなり、合い口を有している。ウェブ5にオイル逃がし孔は形成されていない。上下のレール3,4において外周側に突出する外側レール部6,7の外周面はシリンダ壁面と接触する摺動面8,9を形成する。また、上下の外側レール部6,7の間の空間部10は上下の外側レール部6,7でシリンダ壁面から掻き取った潤滑油の受容部を構成する。オイルリング1の材質は鋼(例えばステンレス鋼や低クロム鋼等)が使用され、表面処理(例えば窒化処理あるいは窒化処理後の外周摺動面にPVD皮膜)が施されている。オイルリング1の軸方向幅は1.5mmである。
【0019】
上下のレール3,4において内周側に突出する内側レール部11,12とウェブ5とでエキスパンダ収容溝13が形成される。エキスパンダ収容溝13は断面が矩形形状をなし、水平な上下面14,15と垂直な底面16とで形成されている。このエキスパンダ収容溝13にエキスパンダ2が嵌装される。
【0020】
エキスパンダ2は、軸方向波形の環状板材で、合い口を有しており、軸方向に離間して円周方向に交互に配置している水平な上片17及び下片18と、これらの上片17と下片18の隣接する端部同士を連結する連結片19とで形成されている。このエキスパンダ2は、矩形断面の板材を板厚方向に波状に成形し、更にそれを環状に成形することにより形成される。従って、オイルリング1のエキスパンダ収容溝13に配置するエキスパンダ2の上下面20,21は水平面をなし、オイルリング2のエキスパンダ収容溝13の底面16を押接する外周面22は垂直面をなしている。エキスパンダ2の材質は鋼(例えば炭素工具鋼、バネ鋼、ステンレス鋼、クロム鋼等)が用いられ、表面処理(例えば窒化処理、無電解ニッケルめっき、又はクロムめっき)が施されている。なお、表面処理は無処理でも使用可能である。
【0021】
オイルリング1のエキスパンダ収容溝13の上下面14,15と底面16とで形成される角部の曲率半径は0.2mm、これに対向配置するエキスパンダ2の角部すなわちエキスパンダ2の上下面20,21と外周面22とで形成される角部の曲率半径は0.3mmである。エキスパンダ2の角部の曲率半径は線材を形成する過程で形成するか、あるいは機械加工で形成可能である。
【0022】
従って、オイルリング1のエキスパンダ収容溝13に配置されたエキスパンダ2は、円周方向に圧縮されることによって半径方向外方の拡張力を発生し、エキスパンダ2の外周面22がエキスパンダ収容溝13の底面16を押圧することにより、オイルリング1の摺動面8,9がシリンダ壁面に押接される。
【0023】
この際、エキスパンダ2は、軸方向波形の環状板材からなっており、軸方向幅を薄くした場合でも、充分なバネ性を得ることができ、高い張力を出すことが可能である。また、薄幅にすることにより、リングの柔軟性が増し、シリンダボアへの追従性がよくなり、潤滑油消費量の低減に効果がある。また、薄幅にした場合でも、軸方向波形エキスパンダ2は高い張力を出すことが可能なため、更に潤滑油消費量の低減が可能である。そして、エキスパンダ2はオイルリング1のエキスパンダ収容溝13に配置されているので、エキスパンダ2のバタツキが抑制され、折損が防止される。また、エキスパンダ2はエキスパンダ収容溝13の底面16を押接するので、ばらつきのない安定した張力を得ることができる。
【0024】
図2は本発明の別の実施形態2を示す。本実施形態2は、オイルリングに形成されるエキスパンダ収容溝の断面形状と、エキスパンダを形成している板材の断面形状とが、上記実施形態1と相違しており、他の構成は上記実施形態1と同じである。以下、相違点のみ説明する。
【0025】
即ち、本実施形態2においては、オイルリング1の内周面に形成されているエキスパンダ収容溝13は、断面が台形形状をなしており、内周に向かって拡開するテーパ面に形成されている上下面14,15と、垂直面をなしている底面16とで形成されている。
【0026】
一方、エキスパンダ2を形成している板材は略ひし形断面を有している。この略ひし形断面は、横方向に細長いひし形の左右両端が横方向対角線に対して垂直に切断されて垂直な平面とされている断面形状である。本実施形態2のエキスパンダ2も、上記実施形態1と同じように、略ひし形断面の板材を板厚方向に波状に成形し、更にそれを環状に成形することにより形成されているので、エキスパンダ2の上下面20,21は外周端から内周に向かって拡開するテーパ面20a,21aと、その内周端から内周に向かって縮小するテーパ面20b,21bで形成され、オイルリング2のエキスパンダ収容溝13の底面16を押接する外周面22は垂直な平面をなしている。上下面20,21の中で、内周に向かって拡開するテーパ面20a,21aのテーパ角度は、エキスパンダ収容溝13の上下面14,15のテーパ角度と同一又は少し小さい角度に形成すればよい。例えば、エキスパンダ収容溝13の上下面14,15の水平面に対する各テーパ角度は10°とし、対向配置するエキスパンダ2の上下面20,21における各テーパ面20a,21aのテーパ角度も同じく10°とする。オイルリング1のエキスパンダ収容溝13の上下面14,15と底面16とで形成される角部の曲率半径は0.2mm、これに対向配置するエキスパンダ2の角部すなわちエキスパンダ2の上下面20,21と外周面22とで形成される角部の曲率半径は0.3mmである。
【0027】
従って、上記実施形態1と同じように、オイルリング1のエキスパンダ収容溝13に配置されたエキスパンダ2は、円周方向に圧縮されることによって半径方向外方の拡張力を発生し、エキスパンダ2の外周面22がエキスパンダ収容溝13の底面16を押圧することにより、オイルリング1の摺動面8,9がシリンダ壁面に押接される。そして、この場合、エキスパンダ2の上下面20,21の中で内周に向かって拡開するテーパ面20a,21aがオイルリング1のエキスパンダ収容溝13に配置し、外周面22がエキスパンダ収容溝13の底面16を押接する。上記のようにオイルリング1のエキスパンダ収容溝13の上下面14,15と、これに対向配置するエキスパンダ2の上下面20,21部分(テーパ面20a,21a)をテーパ形状にすると、オイルリング1の内周側に突出する内側レール部11,12の根元部の強度向上が図られる。
【0028】
なお、上記実施形態1,2は、オイルリング1のウェブ5にオイル逃がし孔を形成しない例を示したが、ウェブ5にオイル逃がし孔を形成することも勿論ある。ウェブ5にオイル逃がし孔を形成するかどうかは、リングの軸方向幅等を考慮して決定すればよい。
【0029】
以下、1.5リッターのディーゼルエンジンを使用して、潤滑油消費量を測定した試験を説明する。
【0030】
試験に使用した組合せオイルリングは次の通りである。
・比較例1
リング軸方向幅 :3.0mm
エキスパンダ :コイルエキスパンダ
エキスパンダ張力:12N
・比較例2
リング軸方向幅 :2.0mm
エキスパンダ :コイルエキスパンダ
エキスパンダ張力:12N
・実施例1
リング軸方向幅 :2.0mm
エキスパンダ :前記実施形態1で説明した軸方向波形エキスパンダ
エキスパンダ張力:15N
・実施例2
リング軸方向幅 :1.5mm
エキスパンダ :前記実施形態1で説明した軸方向波形エキスパンダ
エキスパンダ張力:12N
【0031】
試験結果は図3に示す通りである。
比較例1に比べると、比較例2では薄幅化の効果で、潤滑油消費量の低減が見られる。ただし、従来のコイルエキスパンダ付きの組合せオイルリングでは、薄幅化、張力アップは限界にある。従って、これ以上の潤滑油消費性能の向上は望めない。これに対して、本発明の組合せオイルリングにあっては、実施例1に見られるように、リングの軸方向幅が2.0mmで張力アップが可能なため、潤滑油消費量の低減が見られる。更に、実施例2においては、リングの軸方向幅を1.5mmと薄幅にすることで、張力アップをせずに、潤滑油消費量の低減を図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、オイル掻き能力の優れた薄幅の2ピース形組合せオイルリングを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、(a)はエキスパンダの一部分を示す斜視図、(b)は組合せオイルリングの縦断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態を示す組合せオイルリングの縦断面図である。
【図3】潤滑油消費量の試験結果を示すグラフである。
【図4】(a)及び(b)はそれぞれ従来の組合せオイルリングを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・オイルリング、2・・エキスパンダ、3,4・・レール、5・・ウェブ、6,7・・外側レール部、8,9・・摺動面、10・・空間部、11,12・・内側レール部、13・・エキスパンダ収容溝、14・・上面、15・・下面、16・・底面、17・・上片、18・・下片、19・・連結片、20・・上面、21・・下面、20a,21a・・テーパ面、22・・外周面。

Claims (8)

  1. オイルリングと、このオイルリングの内周面に形成された溝に配置し、オイルリングを半径方向外方に押圧付勢するエキスパンダとからなる2ピース形の組合せオイルリングにおいて、
    前記エキスパンダが軸方向波形の環状板材からなるとともに、前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部を押接し、前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部における角部の曲率半径よりも、この角部に対向配置するエキスパンダの角部の曲率半径の方が大きいことを特徴とする組合せオイルリング。
  2. 前記オイルリングの軸方向幅が1.0〜3.0mmであることを特徴とする請求項1記載の組合せオイルリング。
  3. 前記オイルリングの内周面に形成されている溝の底部における角部の曲率半径と、この角部に対向配置する前記エキスパンダの角部の曲率半径がそれぞれ0.1〜1.0mmであることを特徴とする請求項記載の組合せオイルリング。
  4. 前記オイルリングの内周面に形成されている溝の上下面が水平面に形成されており、これに対向配置する前記エキスパンダの上下面部分が水平面に形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の組合せオイルリング。
  5. 前記オイルリングの内周面に形成されている溝の上下面が内周に向かって拡開するテーパ面に形成されており、これに対向配置する前記エキスパンダの上下面部分が内周に向かって拡開するテーパ面に形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の組合せオイルリング。
  6. 前記オイルリングが、外周摺動面を形成する1又は2つのレール部を有していることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の組合せオイルリング。
  7. 前記オイルリングに窒化処理が施されている、或いは窒化処理後の外周摺動面にPVD皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の組合せオイルリング。
  8. 前記エキスパンダに窒化処理、無電解ニッケルめっき、又はクロムめっきが施されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の組合せオイルリング。
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