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JP4381670B2 - 反応装置 - Google Patents

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JP4381670B2 JP2002294711A JP2002294711A JP4381670B2 JP 4381670 B2 JP4381670 B2 JP 4381670B2 JP 2002294711 A JP2002294711 A JP 2002294711A JP 2002294711 A JP2002294711 A JP 2002294711A JP 4381670 B2 JP4381670 B2 JP 4381670B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応装置に係り、特に微細な流路を備えている反応装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の気液混合溶解装置としては、特開2001−129377号公報に示されているように、液体に対する気体の溶解比率が良く、溶解時間が短縮でき、小型化が可能な気液混合溶解装置を提供するために、上方略中央部に形成された流入口、および下方側に形成された吐出口を備えた略円筒形の溶解タンクと、この溶解タンクの流入口から下方に向けて液体および気体が混合された気液混合体を噴出させ、この溶解タンクの内部に乱流泡渦を発生させてこの溶解タンクの内部にて形成される気泡を微細化させ、この溶解タンクの内部に滞留される前記液体の略全体に微細化された微細気泡が発生した状態を形成し、前記気体を前記液体に溶解させる噴出手段とを具備するものがある。前記気液混合体を噴出させる手段としては、液体を加圧して溶解タンクの流入口から噴出させるポンプと、このポンプにて加圧された液体にコンプレッサにて加圧された気体を攪拌混合させて気液混合体を形成し、この気液混合体を溶解タンクの流入口から噴出させるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の気液混合反応装置は、ポンプにて加圧された液体にコンプレッサにて加圧された気体を攪拌混合させて気液混合体を形成し、この気液混合体を溶解タンクに噴出させ、この溶解タンクの内部に乱流泡渦を発生させてこの溶解タンクの内部にて形成される気泡を微細化させるようにしているため、不均一な大きさの気泡が生成されてしまう。これによって、気液混合反応装置における気液混合比率が安定して得られないと共に気液混合速度が遅くなるという課題があった。
【0004】
本発明の目的は、安定した気液混合比率が得られると共に反応速度を速くできる反応装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の反応装置は、液体が導入される液体導入流路と、前記液体導入流路から同じ方向に液体が導入され、各々が並列に設けられた微細な流路断面積を有する複数の液体供給流路と、気体が導入される気体導入流路と、前記複数の液体供給流路の各々に対応して並列に設けられ、前記気体導入流路から同じ方向に気体が導入される微細な流路断面積を有する気体供給流路と、前記複数の液体供給流路の各々に対応して並列に設けられ、前記液体供給流路からの液体と前記気体供給流路からの気体とを合流して流路方向に沿って液体と気体とが交互になる二相流を生成する微細な流路断面積を有する複数の二相流路と、前記複数の二相流路の各々の出口に連通し、前記複数の二相流路からの液体と気体とが反応する反応流路と、前記反応流路で前記気体と反応した液体を排出するための液体排出流路と、前記反応流路で分離された気体を排出する気体排出流路とを備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施例及び参考例を図を用いて説明する。なお、各実施例及び参考例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0010】
本発明の第1実施例の反応装置を図1から図4を用いて説明する。
【0011】
まず、本実施例の反応装置の構成について説明する。
【0012】
反応装置60は装置本体50、ポンプ31〜34及び配管41〜44から構成されている。装置本体50は反応装置60の主要部を構成する。ポンプ31〜34は装置本体50に液体または気体を供給または排出するために設けられる。制御装置(図示せず)によりポンプ31〜34のオンオフ動作及び回転数などが制御される。配管41〜44は装置外部と装置本体50の各連通口とをポンプ31〜34を介して接続するように構成されている。
【0013】
なお、ポンプ32及び配管42は装置外部から装置本体50に液体を加圧して供給するための加圧手段として設けられている。ポンプ33及び配管43は装置外部から装置本体50に気体を加圧して供給するための加圧手段として設けられている。ポンプ31及び配管41は装置本体50から装置外部に気体を排出するための手段として設けられている。ポンプ34及び配管44は装置本体50から装置外部へ液体を排出する手段として設けられている。
【0014】
装置本体50は複数の基板を重ね合わせて接合した複数層の構造体で形成されている。具体的には、この装置本体50はガラス基板51、シリコン基板52及びガラス基板53からなる三層構造体である。このガラス基板51、シリコン基板52及びガラス基板53の流路や流通口などはマイクロマシニング技術を用いて所定形状に加工されている。この装置本体50は横幅15mm×高さ20mm×奥行き1.5mm程度の外法寸法の薄形直方体からなるマイクロカプセルで構成されている。
【0015】
ガラス基板51の下部には、気体排出口21及び液体注入口22が貫通して形成されている。気体排出口21の一側は気体吸引用ポンプ31に連通され、他側は気体排出流路6に連通されている。液体注入口22の一側は液体加圧用ポンプ32に連通され、他側は液体導入流路14に連通されている。ポンプ32は制御装置により所定の圧力に昇圧もしくは所定の流量に調節できるようになっている。
【0016】
シリコン基板52には、マイクロマシニング技術を用いて前後両側から流路が加工されている。シリコン基板52の一側(前側)には、液体導入流路14、液体供給流路1、気体供給流路2、気液二相流路3及び気泡反応流路4が下部から上部に配列されていると共に、これらの側方に気体排出流路6が形成されている。シリコン基板52の他側(後側)には、液体排出流路13及び気体導入流路12が上下に独立して形成されている。液体排出流路13は液体連通流路5を介して気泡反応流路4に連通されている。気体導入流路12は気体連通流路10を介して気体供給流路2に連通されている。このように液体連通流路5及び気体連通流路10は前後の流路を連通する穴として機能する。
【0017】
液体導入流路14の下部は液体注入口22に連通され、上部は液体供給流路1の下部に連通されている。液体供給流路1は液体導入流路14に複数連通されている。各液体供給流路1の上部には気体供給流路2が連通されている。気液二相流路3は液体供給流路1と気体供給流路2の連通部である気液合流部から上方に延びて気泡反応流路4の下部に連通されている。従って、液体供給流路1、気体供給流路2及び気液二相流路3からなる二相流生成部は、液体導入流路14と気泡反応流路4との間に複数並列に設けられる。気泡反応流路4は縦長に形成されている。気泡反応流路4の上部は液体連通流路5及び気体排出流路6に連通されている。液体連通流路5の下端部は気体排出流路6の下端部より下方に位置され、液体連通流路5の上下寸法は気体排出流路6の上下寸法より大きく設定されている。気体排出流路6はシリコン基板52の上部から下部にわたって延びている。
【0018】
液体供給流路1、気体供給流路2及び気液二相流路3は、流路断面積が1×10-72以下の微小流路で形成されている。この流路断面積の下限値は流路を製作することが可能な値である。本実施例では、液体供給流路1と気液二相流路3は同一流路断面積であり、気体供給流路2はこれらより小さい流路断面積にしている。なお、液体供給流路1、気体供給流路2及び気液二相流路3の断面形状は長方形にしてあるが、台形、平行四辺形及び楕円などでもよい。気液二相流路3と液体供給流路1がなす角や、気液二相流路3と気体用流路1がなす角は、後述する動作を満足する角度であれば任意で良い。
【0019】
また、気体供給流路2が液体供給流路1に開口している形状は液体の流れる方向が交叉する方向より長くなっている。この開口形状は製作が容易な長方形にしているが、製作の容易性を考慮する必要がなければ台形、平行四辺形及び楕円などでもよい。
【0020】
液体排出流路13は連通される液体連通流路5より下方に延びてシリコン基板52の中央部に至っている。この液体排出流路13の中央部が液体排出口24に連通されている。気体導入流路12は連通される気体連通流路10よりそれぞれ下方に延びて下部で一つに纏まっている。この気体導入流路12の纏まった部分が気体注入口23に連通されている。
【0021】
ガラス基板5の上下部には液体排出口24及び気体注入口23が貫通して形成されている。液体排出口24の一側はポンプ34に連通され、他側は液体排出流路13に連通されている。気体注入口23の一側はポンプ33に連通され、他側は気体導入流路12に連通されている。ポンプ33は制御装置により所定の圧力に昇圧もしくは所定の流量に調節できるようになっている。
【0022】
次に、上述した反応装置60の動作について説明する。
【0023】
反応装置60により気液反応を行なうには、制御装置を動作させてポンプ31〜34の運転を行なう。これにより、気液反応させるための液体は装置外部から配管42、液体注入口22を介して液体導入流路14に導入され、さらにこの液体導入流路14から複数の液体供給流路1に分流して供給される。また、気液反応させるための気体は装置外部から配管43及び気体注入口23を介して気体導入流路12に導入され、さらに複数に分かれた気体導入流路12から複数の気体連通流路10を通して気体供給流路2に供給される。
【0024】
液体供給流路1に供給された液体と気体供給流路2に供給された気体とは合流され、図4に示すような二相流となって気液二相流路3を流れ、さらには気泡反応流路4に到達する。この気液二相流路3の二相流は微量な液体と微量な気体が交互になった状態である。このような二相流の状態を生成するには、微細な液体供給路1、微細な気体供給路2及び微細な気液二相流路で構成することにより可能である。そして、このような二相流の状態をより確実に生成するには、制御装置によりポンプ32とポンプ33を制御することにより可能である。即ち、液体供給流路1への液体の注入圧力を高くすると気液二相流路3を流れる気体の体積は減少し、逆に気体供給流路2への気体の注入圧力を高くすると気液二相流路3を流れる気体の体積が増大することとなるので、両圧力を制御することにより気液二相流路3を流れる気体の体積の調節及び二相流の生成ができる。なお、圧力の調節だけでなく流量の調節を行なうことでも同様の効果が得られる。また、ポンプ32、33を一定にして、流路1〜3の断面積を実験的に求めて二相流を生成することも可能である。
【0025】
各気体が気液二相流路3を流れる際に気体と液体との反応が開始される。即ち、気体の一部(液体との境界部分の気体)が周囲の液体に反応する。そして、液体供給流路1、気体供給流路2及び気液二相流路3からなる二相流生成部は微細流路で形成されているので、二相流における気体は極めて小さく生成される。これによって気液二相流路3及び気泡反応流路4における気液反応速度が速くなる。マイクロマシニング技術を用いて微細な液体供給流路1、気体供給流路2及び気液二相流路3が均一に形成されているので、気液供給、気液反応及び二相流の形成が安定して行われる。
【0026】
特に、気体供給流路2が液体供給流路1に開口している形状は液体の流れる方向の長さがこれに交叉する方向の長さより実質的に長くなっているので、気体供給流路2から液体供給流路1に流出される気体を小さくできる。即ち、流路2の出口で留まる気泡の表面張力が低下するため、合流部における気体の流入体積をより小さく設定できる。この点からも気液二相流路3及び気泡反応流路4における気液反応速度を速くできる。
【0027】
さらに、液体供給流路1よりも気体供給流路2の流路断面積が小さくなっているので、気体供給流路2から液体供給流路1に流出される気体を小さくできる。この点からも気液二相流路3及び気泡反応流路4における気液反応速度を速くできる。
【0028】
気液二相流路3から気泡反応流路4に流出される気体は気泡反応流路4の液体中に微細気泡となって押出される。この微細気泡は微細流路である気液二相流路3から液体と気体が交互になった二相流の状態で押出されるので、二相流の気体が均一な極めて微細な気泡となって順次押出される。二相流の気体の体積が特に小さくなるように設定されている場合には気液二相流路3から押出される気体が容易に押出され、より微細な気泡が気泡反応流路4に押出されることになる。微細気泡は気泡反応流路4の液体中を上昇し、気泡反応流路4の液体中に滞在している間に液体と反応する。
【0029】
気液二相流路3から押出される気泡が均一でかつ微細であることにより、気泡反応流路4における液体との反応は安定かつ迅速に行なわれる。即ち、大きな気泡の場合には気泡が気泡反応流路4中を直ぐに上昇して液体との接触時間が短くなると共に接触する比表面積が小さくなるために、気泡体積当たりの気液反応速度が遅くなってしまう。これに対し、小さな気泡の場合には気泡が気泡反応流路4中をゆっくり上昇して液体との接触時間が長くなると共に比表面積が大きくなるために、気泡体積当たりの気液反応速度が速くなる。そして、気泡の液体との接触時間が長くなっても、気泡が均一化されているために、安定した気液反応比率が得られる。従って、このようにして気液反応された液体を分析する場合にはその分析精度が格段に向上する。
【0030】
そして、気泡反応流路4に対して複数の二相流生成部が設けられているので、気泡反応流路4における単位体積あたりの気泡の生成数が増加する。これによって気泡反応流路4における気液反応量が増大し、反応装置60の気液反応効率が向上する。また、二相流生成部の気液二相流路3における気液反応量も増大し、この点からも反応装置60の気液反応効率が向上する。
【0031】
また、マイクロマシニング技術を用いて微細な液体供給流路1、気体供給流路2及び気液二相流路3が均一に形成されているので、気液供給、気液反応及び二相流の形成が安定して行われる。
【0032】
なお、直径100μm以下の気泡を生成させる場合には、流路1〜3の断面積は1×10-82以下とすることにより可能であり、さらには0.25×10-82以下とすることにより気泡の直径をその半分以下にできる。このように流路断面積を設定することによって気液二相流路3及び気泡反応流路4における気液反応速度を格段に速くできる。なお、この流路断面積の下限値は流路を製作することが可能な値である。
【0033】
微細気泡は液体と気体溜まりとの界面まで上昇し、気体溜まりと一緒になって液体から分離される。なお、気体溜まりにおける気体も液体と接しているので、両者の反応が行なわれるが、その界面の比表面積が微細気泡と比較して小さいためにこの反応割合は少ない。
【0034】
液体から分離された気体はポンプ31の吸引作用により気体排出流路6を通って下方に導かれ、さらに気体排出口21及び配管41を通って装置外部に排出される。一方、気体と反応した気泡反応流路4の上部の液体はポンプ34の吸引作用により液体連通流路5及び液体排出流路13を通って下方に導かれ、さらに液体排出口24及び配管44を通って装置外部に排出される。
【0035】
気泡反応流路4が縦長に形成され、液体連通流路5の下端部が気体排出流路6の下端部より下方に位置され、液体連通流路5の上下寸法が気体排出流路6の上下寸法より大きく設定されているので、分離された気体及び液体の排出が確実に行われる。即ち、液体及び気体の供給量や反応量などが変化しても、係る構成がこの変化を確実に吸収できる。
【0036】
なお、ポンプ32及びポンプ33の供給作用により気体と液体が自動的に分離されかつ取出される場合には、ポンプ31及びポンプ34を設けることを必要としない。
【0037】
排出された気体及び液体は分析装置などに導かれ、所定の分析が行なわれる。即ち、反応装置60は気体中に含まれる成分を特定の液体に溶け込ませて分析する場合または液体中に含まれる成分を特定の気体に分散させて分析する場合などに使用される。この二つの使用法は、使用する試薬が高価な場合または測定する被検査物質の量が微量の場合に特に有用である。さらには、反応装置60は液体と気体を反応させることで生成する薬品を製造する際などに適用できると共に、液体に含まれる酵素を利用して気体に存在する成分を変化させるときに適用できる。
【0038】
装置本体50は本実施例では縦型として用いられているが、横型として用いることも可能である。横型の装置本体50は据付高さ寸法に制約がある場合に有効である。横型として用いる場合には、気体を供給するための流路及び気体を排出するための流路が液体流路の上側に設けられることが必要である。
【0039】
また、装置本体50の流路は本実施例ではマイクロマシニング技術を用いて加工されているが、半導体の製造技術を用いて加工することも可能である。半導体の製造技術を用いて流路を形成することにより、安価に大量生産することが容易となる。さらには、マイクロマシニング技術を用いて作製したシリコン基板上の流路などを転写した樹脂を用いて装置本体50を製作してもよい。
【0040】
また、装置本体50の流路は本実施例ではシリコン基板52に形成されているが、ガラス基板51及びガラス基板53に流路が形成されていてもよく、さらにはガラス基板51、シリコン基板52及びガラス基板53に分担して流路が形成されていてもよい。
【0041】
次に、本発明の第2実施例の反応装置を図5を用いて説明する。この第2実施例は次に述べる通り第1実施例と相違するものであり、その他の点については第1実施例と基本的には同一である。
【0042】
この第2実施例では気液二相流路3の流路長が気泡反応流路4の流路長より長く形成されている。一般的な気液反応は第1実施例で示すように気液二相流路3の長さを短くして気泡反応流路4を長くする方が効率がよい。しかし、液体の粘度等の物理特性によっては、気液二相流路3内で行われる反応の方が効率のよい場合がある。このような場合にこの第2本実施例は有効である。
【0043】
次に、本発明の第3実施例の反応装置を図6を用いて説明する。この第3実施例は次に述べる通り第1実施例と相違するものであり、その他の点については第1実施例と基本的には同一である。
【0044】
この第3実施例では装置本体50が複数並列に接続されている。具体的には、ポンプ31〜34は各装置本体50に共通であり、各ポンプ31〜34の装置本体50側の配管41〜44が分岐されて装置本体50に接続されている。このように装置本体50が並列に接続されることにより、処理量を複数倍に増大させることができる。従って、同一の装置本体50を用いて処理量の異なる反応装置60を容易に得ることができる。なお、各装置本体50の処理量がばらついて気泡の発生効率が低下する場合には、ポンプ32と各注入口22との間の各配管42に流量調整バルブを設けると共に、ポンプ33と各注入口23との間の各配管43に流量調整バルブを設けることにより、各装置本体50の処理量を調節して気泡の発生効率を向上することが望ましい。
【0045】
次に、本発明の第4実施例の反応装置を図7を用いて説明する。この第4実施例は次に述べる通り第1実施例と相違するものであり、その他の点については第1実施例と基本的には同一である。
【0046】
この第4実施例では複数の装置本体50a、50b、50cが直列に接続されている。具体的には、一番目の装置本体50aに配管42a、43aが接続され、装置本体50aの配管44aが二番目の装置本体50bの配管42bに接続されると共に装置本体50aの配管41aが配管43bに接続されている。これにより一番目の装置本体50aで気液反応が行われた液体及び気体が二番目の装置本体50bに供給される。さらには装置本体50bの配管44bが三番目の装置本体50cの配管42cに接続されると共に装置本体50bの配管41bが装置本体50cの配管43cに接続されている。これにより二番目の装置本体50bで気液反応が行われた液体及び気体が三番目の装置本体50cに供給される。そして、三番目の装置本体50cで気液反応された液体及び気体が配管44c及び配管41cから取出される。
【0047】
このように装置本体50が直列に接続されることにより、気液反応時間が飛躍的に長くなり、気液反応率が飛躍的に高くなる。従って、同一の装置本体50a〜50cを複数用いて気液反応率の異なる反応装置60を容易に得ることができる。
【0048】
次に、本発明の第5実施例の反応装置を図8を用いて説明する。この第5実施例は次に述べる通り第4実施例と相違するものであり、その他の点については第4実施例と同一である。
【0049】
この第5実施例では複数の装置本体50a、50b、50cが直列に接続されているが、液体の流れる方向が第4実施例と逆である。この第5実施例でも第4実施例と同様に高い気液反応率が得られる。第4及び第5実施例を使い分けることにより、液体と気体の配管の配設上の制約を改善することができる。
【0050】
次に、本発明の参考例の混合システムを図9から図13を用いて説明する。
【0051】
まず、この混合システムの全体構成および動作を図9及び図10を参照しながら説明する。混合装置160は、専用のホルダー61に着脱可能に取り付けられている。混合装置160とホルダー61とは少なくとも何れか一方に弾性部を有して係脱可能に取り付けられるようになっており、取り付けた状態が確実に保持されると共に、容易に着脱できる。これによって、混合装置160に不具合が生じたときには簡単に予備品と交換できる。また、異なる構造を持った混合装置(図示せず)が2種類以上用意されており、目的の生成物を得るために必要に応じてマイクロ混合装置が手動もしくは自動で交換されるようになっている。
【0052】
ホルダー61は複数の配管80〜84に接続され、この複数の配管80〜84は入口配管80〜82、出口配管83、84で構成されている。入口配管80の一側は後述する液体注入口125に連通され、入口配管81の一側は後述する液体注入口122に連通され、入口配管82の一側は後述する流体注入口123に連通され、出口配管83の一側は後述する液体排出口124に連通され、出口配管84の一側は後述する流体排出口121に連通されるように設けられている。
【0053】
ここで、混合装置160と専用ホルダー161の接続について、図10を参照しながら説明する。専用ホルダー161はホルダー形成部品201、202、203および弾性体200で組み立てられている。混合装置160は、弾性体200を介してホルダー形成部品202、203によって挟み込まれている。さらに、ホルダー形成部品202、203は弾性体200を介してホルダー形成部品201と接続されている。
【0054】
また、専用ホルダー161内の流路180、181、182、183、184は入口配管80、81、82および出口配管83、84と接続されており、さらに専用ホルダー内部において、それぞれ接続配管280、281、282、283、284に分岐されている。
【0055】
ホルダー形成部品201、202、203および混合装置160は、図中の矢印の方向に力が掛けられる構造となっているため弾性体200が変形するので、専用ホルダー161内の流路は気密構造となるために外部と遮断されている。よって入口配管80、81、82から供給された流体は、専用ホルダー161によって混合装置160に供給され、出口配管83、84を通って、排出されるようになる。
【0056】
また、ここで利用される弾性体の形状は、シート状であっても良いしOリング状であっても良い。
【0057】
入口配管80と入口配管81の他側は複数の容器62、63に接続された配管85、86に流量調節バルブ91を介して接続され、入口配管82の他側は複数の容器62、63に接続された配管85、86に流量調節バルブ92を介して接続されている。入口配管80は入口配管81と並列的に設けられると共に、流量調節バルブ95を中間部に設けている。流量調整バルブ91、92、95は制御装置(図示せず)により開閉および開放量が制御されるようになっている。配管81、配管85、流量調整バルブ91およびポンプ93により二相流生成部に対する第1の加圧手段が構成され、配管82、配管85、流量調整バルブ92およびガスボンベ63により二相流生成部に対する第2の加圧手段が構成されている。
【0058】
流体が収納された複数の容器62、63は、混合に用いられる液体が収納された容器62と、混合に用いられる気体が収納された容器63とから構成されている。容器62は複数で構成され、それぞれに配管85が接続されている。これら配管85は流量調整バルブ91を有して配管81(および配管80)に集中するように接続されていると共に、流量調整バルブ92を有して配管82に集中して接続されている。流量調節バルブ91、92と容器62との間(換言すれば容器62の出口側)には、容器62内の液体を供給するためのポンプ93が設けられている。容器63は複数で構成され、それぞれに配管86が接続されている。これらの容器63はガスボンベで構成され、容器63内に収納された気体は封入されたガスの圧力により流出されるようになっている。
【0059】
また、出口配管83の他側は容器64に接続され、出口配管84の他側は流量調整バルブ94を介して容器65に接続されている。流量調整バルブ94は制御装置により開閉が制御される。
【0060】
制御装置が動作して選択された流量調整バルブ91が開くことにより、この流量調整バルブ91に対応する容器62の液体気体が配管81を通してホルダー61に至り(流量調整バルブ95が開いている場合には、配管80を通してもホルダー61に至り)、更に混合装置160に供給される。また、制御装置が動作して選択された流量調整バルブ92が開くことにより、この流量調整バルブ92に対応する容器62、63の液体または気体(この両方を総称して呼ぶときは流体という)が配管82を通してホルダー61に至り、更に混合装置160に供給される。容器62から液体が供給されるには、対応するポンプ93が同時に運転されることが必要である。このようにして、混合装置160で液体と気体または液体と液体との混合が開始される。
【0061】
この混合による目的生成物が一種類の場合には流量調節バルブ94が閉じられるようになっており、配管83を通じてすべてが容器64に回収されて製品として提供される。また、上記の混合による生成物が2種類の場合には流量調節バルブ94が開かれるようになっており、それぞれが配管83と配管84に別れて流出し、必要な物を回収して目的物を得ることができる。
【0062】
また、混合される液体または気体の種類によっては、流量調整バルブ95を開いて液体注入口125から混合流路104に液体を供給し、連通流路115の出口部に液体の流動を生じさせるようになっている。すなわち、連通流路115から混合流路104に押し出される二相流の流体が液泡または気泡が混合流路104内で停滞してしまう物体である場合に、液体注入口125から液体を供給することにより液泡または気泡が直ぐに混合流路104内で結合してしまうことを防止できる。
【0063】
混合装置160の具体的構成および動作を図11〜図13を参照しながら説明する。
【0064】
混合装置160は主要部を構成する装置本体150を備えている。装置本体150は複数の基板を重ね合わせて接合した複数層の構造体で形成されている。具体的には、この装置本体150はガラス基板151、シリコン基板152及びガラス基板153からなる三層構造体である。このガラス基板151、シリコン基板152及びガラス基板153の流路や流通口などはマイクロマシニング技術を用いて所定形状に加工されている。この装置本体150は横幅15mm×高さ20mm×奥行き1.5mm程度の外法寸法の薄形直方体からなるマイクロカプセルで構成されている。
【0065】
ガラス基板151の下部には、流体排出口121が貫通して形成されている。流体排出口121の一側は配管84に連通され、他側は流体排出流路106に連通されている。ガラス基板153の下部には液体注入口122が形成されている。第1の液体注入口122の一側は配管81に連通され、他側は液体導入流路114に連通されている。なお、上述したポンプ93は制御装置により所定の圧力に昇圧もしくは所定の流量に調節できるようになっている。また、ガラス基板153の中央部には、第2の液体注入口125が貫通して形成されている。この第2の液体注入口125の一側は配管80に連通され、その他側は混合流路104の下部、具体的には二相流路103と混合流路104との連通流路115より下方に連通されている。
【0066】
シリコン基板152には、マイクロマシニング技術を用いて前後両側から流路が加工されている。シリコン基板152の一側(前側)には、液体導入流路114、液体供給流路101、流体供給流路102、二相流路103が下部から上方に配列されていると共に、液体排出流路113が上部に独立して配列されている。シリコン基板152の他側(後側)には、流体導入流路112および混合流路104が上下に独立して形成されている。混合流路104の側方に流体排出流路106が形成されている。液体排出流路113は連通流路105を介して混合流路104に連通されている。流体導入流路112は連通流路110を介して流体供給流路102に連通されている。このように連通流路105及び連通流路110は前後の流路を連通する穴として機能する。
【0067】
液体導入流路114の下部は第1の液体注入口122に連通され、上部は液体供給流路101の下部に連通されている。液体供給流路101は液体導入流路114に複数連通されている。各液体供給流路101の上部には流体供給流路102が連通されている。二相流路103は液体供給流路101と流体供給流路102の連通部である流体合流部から上方に延びて混合流路104の下部に連通されている。従って、液体供給流路101、流体供給流路102及び二相流路103からなる二相流生成部は、液体導入流路114と混合流路104との間に複数並列に設けられる。混合流路104は縦長に形成されている。混合流路104の上部は連通流路105及び流体排出流路106に連通されている。連通流路105の下端部は流体排出流路106の下端部より下方に位置され、連通流路105の上下寸法は流体排出流路106の上下寸法より大きく設定されている。流体排出流路106はシリコン基板152の上部から下部にわたって延びている。
【0068】
液体供給流路101、流体供給流路102及び二相流路103は、流路断面積が1×10−7以下の微小流路で形成されている。この流路断面積の下限値は流路を製作することが可能な値である。本参考例では、液体供給流路101と二相流路103は同一流路断面積であり、流体供給流路102はこれらより小さい流路断面積にしている。
【0069】
また、流体供給流路102が液体供給流路101に開口している形状は液体の流れる方向が交叉する方向より長くなっている。この開口形状は製作が容易な長方形にしている。
【0070】
液体排出流路113は連通される連通流路105より下方に延びてシリコン基板152の中央上部に至っている。この液体排出流路113の中央上部が液体排出口124に連通されている。一方、流体導入流路112は連通される連通流路110よりそれぞれ下方に延びて下部で一つに纏まっている。この流体導入流路112の纏まった部分が流体注入口123に連通されている。
【0071】
シリコン基板151の中央上部には液体排出口124が貫通して形成されている。液体排出口124の一側は配管83に連通され、他側は液体排出流路113に連通されている。シリコン基板153の下部には流体注入口123が貫通して形成されている。流体注入口123の一側は配管82に連通され、他側は流体導入流路112に連通されている。
【0072】
係る混合装置160の動作について説明する。
【0073】
混合装置160により液体と流体との混合を行なうには、制御装置を動作させて混合対象になっている液体または気体が収納されている容器62、63に対応するポンプ93の運転および流量調整バルブ91の開放(流量調整を含む)を行なう。これにより、混合させるための一方の液体は容器62から配管81および第1の液体注入口122を介して液体導入流路114に導入され、さらにこの液体導入流路114から複数の液体供給流路101に分流して供給される。また、混合させるための他方の液体または気体は容器63または容器62から配管82及び流体注入口123を介して複数に分かれた流体導入流路112に導入され、さらにこれらの流体導入流路112から連通流路110を通して流体供給流路102に供給される。
【0074】
液体供給流路101に供給された一方の液体と流体供給流路102に供給された他方の液体または気体とは合流され、二相流となって二相流路103を流れ、さらには混合流路104に到達する。この二相流路103の二相流は微量な一方の液体と微量な他方の液体または気体が交互になった状態である。このような二相流の状態を生成するには、微細な液体供給流路101、微細な流体供給流路102及び微細な二相流路103で構成することにより可能である。そして、このような二相流の状態をより確実に生成するには、制御装置によりポンプ93および流量調整バルブ91、92を制御することにより可能である。即ち、一方の液体の注入圧力を高くまたは注入流量を多くすると二相流路103を流れる他方の液体または気体の体積は減少し、逆に他方の液体または気体の注入圧力を高くまたは注入流量を多くすると二相流路103を流れる他方の液体または気体の体積が増大することとなるので、これらを制御することにより二相流路103を流れる他方の液体または気体の体積の調節及び二相流の生成ができる。
【0075】
他方の液体または気体が二相流路103を流れる際に一方の液体との混合が開始される。この混合は、混合される両方の液体または気体の種類によって、他方の液体または気体が一方の液体に物理的に混合される場合と、他方の液体または気体が一方の液体に反応して混合される場合とが生ずる。後者の場合には、他方の液体または気体の一部が周囲の他方の液体に反応して混合される。
【0076】
そして、液体供給流路101、流体供給流路102及び二相流路103からなる二相流生成部は微細流路で形成されているので、二相流における他方の液体または気体は極めて小さく生成される。これによって二相流路103及び混合流路104における流体間の混合速度が速くなる。また、マイクロマシニング技術を用いて微細な液体供給流路101、流体供給流路102及び二相流路103が均一に形成されているので、流体供給、流体混合及び二相流の形成が安定して行われる。
【0077】
特に、流体供給流路102が液体供給流路101に開口している形状は液体の流れる方向の長さがこれに交叉する方向の長さより実質的に長くなっているので、流体供給流路102から液体供給流路101に流出される他方の液体または気体を小さくできる。即ち、流路2の出口で留まる他方の液体または気泡の表面張力が低下するため、合流部における他方の液体または気体の流入体積をより小さく設定できる。この点からも二相流路103及び混合流路104における流体間の混合速度を速くできる。
【0078】
さらに、液体供給流路101よりも流体供給流路102の流路断面積が小さくなっているので、流体供給流路102から液体供給流路101に合流される他方の液体または気体を小さくできる。この点からも二相流路103及び混合流路104における両流体間の混合速度を速くできる。
【0079】
二相流路103から連通流路115を介して混合流路104に流出される他方の液体または気体は、混合流路104の液体中に微細な液泡または気泡となって押出される。この微細な液泡または気泡は、微細流路である二相流路103から一方の液体と交互になった二相流の状態で押出されるので、均一で極めて微細な状態で順次押出される。二相流における他方の液体または気体の体積が特に小さくなるように設定されている場合には、二相流路103から押出される他方の液体または気体が容易に押出され、さらに微細な液泡または気泡が混合流路104に押出されることになる。この微細な液泡または気泡は、混合流路104の液体中を上昇し、混合流路104の液体中に滞在している間にこの液体と混合する。
【0080】
二相流路103から押出される液泡または気泡が均一でかつ微細であることにより、混合流路104における液体との混合は安定かつ迅速に行なわれる。即ち、大きな液泡または気泡の場合には、液泡または気泡が混合流路104中を直ぐに上昇して液体との接触時間が短くなると共に接触する比表面積が小さくなるために、気泡体積当たりの気液反応速度が遅くなってしまう。これに対し、小さな液泡または気泡の場合には、液泡または気泡が混合流路104中をゆっくり上昇して液体との接触時間が長くなると共に比表面積が大きくなるために、液泡または気泡の体積当たりの混合速度が速くなる。そして、液泡または気泡の液体との接触時間が長くなっても、液泡または気泡が均一化されているために、安定した混合比率が得られる。従って、このようにして混合された液体を分析する場合にはその分析精度が格段に向上する。
【0081】
そして、液体と液体とを混合した後に軽い液体と重い液体とになって取出される場合には、流量調整バルブ95が開いて軽い液体が流体排出口121から取出され、重い液体が液体排出流路113から取出される。また、気体と液体とを混合した後に気体と液体とが取出される場合には、流量調整バルブ95が開いて気体が流体排出口121から取出され、液体が液体排出流路113から取出される。また、液体と液体とが混合して一種類の液体となって取出される場合には、流量調整バルブ95が閉じて液体が液体排出流路113のみから取出される。
【0082】
二相流路103から混合流路104に流出される他方の液体または気体が混合流路104の液体中に微細な液泡または気泡となって押出される際に停滞しやすい種類のものである場合には、上述したように制御装置により流量調整バルブ95も開放されるようになっており、液体導入流路114に供給される液体と同じ液体が液体注入口125から混合流路104に供給され、混合流路104内の液体は液体注入口125から連通流路115の出口部を経由して液体排出口124への流動力が加えられることになる。これによって、混合流路104に押し出される液泡または気泡は停滞することなく液体排出口124側に流動され、これら同士が直ぐ結合してしまうことが抑制される。
【0083】
そして、混合流路104に対して複数の二相流生成部が設けられているので、混合流路104における単位体積あたりの液泡または気泡の生成数が増加する。これによって混合流路104における混合量が増大し、混合装置160の混合効率が向上する。また、二相流生成部の二相流路103における混合量も増大し、この点からも混合装置160の混合効率が向上する。
【0084】
また、マイクロマシニング技術を用いて微細な液体供給流路101、流体供給流路102及び二相流路103が均一に形成されているので、液体または気体の供給、液体と気体、または液体と液体との混合、二相流の形成が安定して行われる。
【0085】
なお、直径100μm以下の液泡または気泡を生成させる場合には、流路1〜3の断面積は1×10-82以下とすることにより可能であり、さらには0.25×10-82以下とすることにより液泡または気泡の直径をその半分以下にできる。このように流路断面積を設定することによって二相流路103及び混合流路104における混合速度を格段に速くできる。なお、この流路断面積の下限値は流路を製作することが可能な値である。
【0086】
微細な液泡または気泡は、液体と流体溜まりとの界面まで上昇し、流体溜まりの液体または気体と一緒になり、流体溜まりの下部の液体とは分離される。
【0087】
流体溜まりの液体または気体は、流体排出流路106を通って下方に導かれ、さらに流体排出口121及び配管84を通って容器65に取出される。ただし、流体溜まりの液体または気体が取出される場合には、上述したように流量調整バルブ94が開放される。
【0088】
一方、液泡または気泡と混合された混合流路104の液体は連通流路105及び液体排出流路113を通って液体排出口124に導かれ、配管83を通って容器64に排出される。
【0089】
混合流路104が縦長に形成され、連通流路105の下端部が流体排出流路106の下端部より下方に位置され、連通流路105の上下寸法が流体排出流路106の上下寸法より大きく設定されているので、分離された液体または気体及び液体の排出が確実に行われる。即ち、液体または気体及び液体の供給量や混合量などが変化しても、係る構成がこの変化を確実に吸収できる。
【0090】
液体排出口124から排出された液体は容器64に導かれると共に、流体排出口121から排出された液体または気体は容器65に導かれ、これらは分析のための混合物や、薬品、化粧品、栄養剤などの混合物や、その他の混合物などとして用いられる。すなわち、混合装置160は気体中に含まれる成分を特定の液体に溶け込ませて分析する場合または液体中に含まれる成分を特定の気体に分散させて分析するために使用される。この二つの使用法は、使用する試薬が高価な場合または測定する被検査物質の量が微量の場合に特に有用である。また、混合装置160は液体と気体を反応させることで生成する薬品を製造する際などに適用できると共に、液体に含まれる酵素を利用して気体に存在する成分を変化させるときに適用できる。さらには、混合装置160は、液体と液体との混合または液体と気体との混合を行なうことによって、化粧品や栄養剤などを製造するために用いられる。
【0091】
装置本体150は本参考例では縦型として用いられているが、横型として用いることも可能である。横型の装置本体150は据付高さ寸法に制約がある場合に有効である。横型として用いる場合には、気体を供給するための流路及び気体を排出するための流路が液体流路の上側に設けられることが必要である。
【0092】
また、装置本体150の流路は本参考例ではマイクロマシニング技術を用いて加工されているが、半導体の製造技術を用いて加工することも可能である。半導体の製造技術を用いて流路を形成することにより、安価に大量生産することが容易となる。さらには、マイクロマシニング技術を用いて作製したシリコン基板上の流路などを転写した樹脂を用いて装置本体150を製作してもよい。
【0093】
また、装置本体150の流路は本参考例ではシリコン基板52に形成されているが、ガラス基板151及びガラス基板153に流路が形成されていてもよく、さらにはガラス基板151、シリコン基板152及びガラス基板153に分担して流路が形成されていてもよい。
【0094】
また、本参考例では混合装置160を1個だけ用いられた例で説明したが、複数の混合装置160を用いて、第3実施例と同様に並列処理もしくは第4実施例または第5実施例と同様に直列処理を行っても良い。さらに、この並列処理と直列処理を複数組合せて、3種類以上の材料を順次混合しても良い。
【0095】
また、本参考例では液体容器62が3個、ガスボンベ63が3個示されているが、本発明ではこの数および組み合わせにこだわる必要はなく、最低必要数は2個であり、その組み合わせは液体容器62が1個とガスボンベ63が1個、もしくは液体容器62が2個のいずれかであればよい。また、ホルダー61に接続されている配管は5系統が図示されているが、本発明ではこの数にこだわる必要はなく、最低必要数が入口配管2系統、出口配管1系統の計3系統であり、この数以上であれば良い。
【0096】
また、専用ホルダー61に接続されている配管に流れる流体は1種類である必要が無く、流量調節バルブ91または92を複数個開き、それぞれの流量を任意の値に調節して混合装置に導いても良い。
【0097】
次に、本発明の第7実施例の反応装置を図14及び図15を用いて説明する。図14は本発明の第7実施例の図1のA−A断面に相当する反応装置本体の断面図である。図15は本発明の第7実施例の図1のB−B断面に相当する反応装置本体の断面図である。
【0098】
第7実施例は、基本的には第1実施例と同様であり、次の点が相違する。第7実施例では、第1実施例の液体排出流路13および液体排出口24が気体排出流路13および気体排出口24であり、第1実施例の気体排出流路6が液体排出流路6である。そして、気泡反応流路4と気体排出流路13との間に配置された液体連通流路5が気体連通路5である。この気体連通路5には、気液分離器54が配置されている。このように、第7実施例は、第1実施例と気体と液体の排出系が逆に形成されている。
【0099】
気液分離器54はシリコンで形成されており表面が撥水膜で覆われているために、気相は通過するが液体の通過を阻害する。このため、気相部分に液滴の含有を効果的に抑制することができる。この気液分離器54として、例えば、気液分離器54の前後の差圧が0.01MPa、使用する液体が水で撥水膜との接触角が100度である場合、20μm以下の細孔が主として形成されている多孔膜を使用する。なお、気液分離器54の前後の差圧がさらに小さい場合、もしくは使用する液体と撥水膜との接触角が大きい場合には、さらに細孔の直径を大きくしても良い。さらに、ここで用いる細孔の形状は円柱である必要はなく、同程度の断面積を有する四角柱でも良い。
【0100】
気液分離器54を通過して液体から分離された気体は、ポンプの吸引作用により気体排出流路13を通って下方に導かれ、さらに気体排出口24を通って装置外部に排出される。一方、気体と反応した気泡反応流路4の上部の液体はポンプの吸引作用により気体排出流路6を通って下方に導かれ、さらに気体排出口を通って装置外部に排出される。
【0101】
また、気液分離器54として、微細幅スリットを用いることができる。この微細幅スリットの断面の長辺は、気泡反応流路4の進行方向と垂直に配置され、長さは、ほぼ気泡反応流路4の流路幅と同等になっている。微細幅スリットの短辺の長さは、例えば、気液分離器54の前後の差圧が0.01MPa、使用する液体が水で撥水膜との接触角が100度である場合、10μm以下とするのが好ましい。なお、気液分離器54の前後の差圧がさらに小さい場合、もしくは使用する液体と撥水膜との接触角が大きい場合には、微細幅スリットの短辺の長さを大きくしても良い。さらに、微細幅スリットを通過する気体の流量が多い場合は、上記の微細幅スリットを並列に配置して単位時間当たりの処理量を増やしても良い。
【0102】
また気液分離器54の撥水膜を上流の気泡反応流路4の一部まで延長することで、液体の気液分離器54との接触頻度が低下するために気液分離性能を向上させることもできる。
【0103】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、安定した気液混合比率が得られると共に反応速度を速くできる反応装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の反応装置を分解的に示す構成図である。
【図2】図1のA−A線に相当する反応装置本体の断面図である。
【図3】図1のB−B線に相当する反応装置本体の断面図である。
【図4】図1のC部拡大図である。
【図5】本発明の第2実施例の反応装置のガラス基板を省略した構成図である。
【図6】本発明の第3実施例の反応装置の構成図である。
【図7】本発明の第4実施例の反応装置の構成図である。
【図8】本発明の第5実施例の反応装置の構成図である。
【図9】参考例の混合システムの構成図である。
【図10】図9の混合システムに用いられるホルダー部の断面拡大図である。
【図11】図9の混合システムに用いられる混合装置の正面構成図である。
【図12】図11のC−C断面図である。
【図13】図11のD−D断面図である。
【図14】図1のA−A断面に相当する本発明の第7実施例の反応装置本体の断面図である。
【図15】図1のB−B断面に相当する本発明の第7実施例の反応装置本体の断面図である。
【符号の説明】
1…液体供給流路、2…気体供給流路、3…気液二相流路、4…気泡反応流路、5…液体連通流路、6…気体排出流路、10…気体連通流路、12…気体導入流路、13…液体排出流路、14…液体導入流路、21…気体排出口、22…液体注入口、23…気体注入口、24…液体排出口、31〜34…ポンプ、41〜44…配管、50…装置本体、51…ガラス基板、52…シリコン基板、53…ガラス基板、60…反応装置、61…ホルダー。

Claims (6)

  1. 液体が導入される液体導入流路と、
    前記液体導入流路から同じ方向に液体が導入され、各々が並列に設けられた複数の微細な流路断面積を有する液体供給流路と、
    気体が導入される気体導入流路と、
    前記複数の液体供給流路の各々に対応して並列に設けられ、前記気体導入流路から同じ方向に気体が導入される微細な流路断面積を有する気体供給流路と、
    前記複数の液体供給流路の各々に対応して並列に設けられ、前記液体供給流路からの液体と前記気体供給流路からの気体とを合流して流路方向に沿って液体と気体とが交互になる二相流を生成する複数の微細な流路断面積を有する二相流路と、
    前記複数の二相流路の各々の出口に連通し、前記複数の二相流路からの液体と気体とが反応する反応流路と、
    前記反応流路で前記気体と反応した液体を排出するための液体排出流路と、
    前記反応流路で分離された気体を排出する気体排出流路とを備えたことを特徴とする反応装置。
  2. 請求項1に記載の反応装置であって、前記気体供給流路の流路断面積は、前記液体供給流路の流路断面積より小さいことを特徴とする反応装置。
  3. 請求項1または2に記載の反応装置であって、
    前記液体供給流路に合流する前記気体供給流路の開口の液体が流れる方向の長さをこれに交叉する方向の長さより実質的に長くしたことを特徴とする反応装置。
  4. 請求項1からの何れかに記載の反応装置であって、前記複数の二相流路の各々の長さは、前記反応流路の長さより長いことを特徴とする反応装置。
  5. 請求項1からの何れかに記載の反応装置であって、前記反応流路と前記液体排出流路との間に気液分離器を設置したことを特徴とする反応装置。
  6. 請求項1からの何れかに記載の反応装置であって、前記複数の液体供給流路、前記複数の気体供給流路及び前記二相流路の各々は、流路断面積が1×10−7以下で形成されたことを特徴とする反応装置。
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