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JP4378829B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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JP4378829B2 JP2000083207A JP2000083207A JP4378829B2 JP 4378829 B2 JP4378829 B2 JP 4378829B2 JP 2000083207 A JP2000083207 A JP 2000083207A JP 2000083207 A JP2000083207 A JP 2000083207A JP 4378829 B2 JP4378829 B2 JP 4378829B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排ガスを浄化する触媒を備えた内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の一般的なガソリンエンジン車は、排気管に三元触媒を設置して、排ガス中のHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)等を浄化するようにしている。しかし、始動直後の冷機時には、三元触媒が活性温度まで昇温しておらず、未活性状態であるため、三元触媒で排ガスを十分に浄化することができず、排気エミッションが悪くなる。
【0003】
この対策として、近年、冷間始動時に点火遅角制御等の触媒早期暖機制御を実行して排ガスの温度を高めることで、触媒を早期に活性温度にまで暖機することが知られているが、最近、触媒暖機性能を更に高めるために、触媒上流側の排気管に外気を二次空気として導入する二次空気導入装置を設け、触媒内で排ガス中のHC,CO等のリッチ成分を二次空気の酸素と反応させ、その反応熱で触媒を暖機するようにしたものがある。
【0004】
更に、二次空気導入装置に加え、触媒上流側の排気管に着火装置を設け、排ガス中のリッチ成分を二次空気(酸素)と混合して着火装置で着火して排気管内で後燃えを発生させ、その燃焼熱で触媒を暖機するようにしたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前者では、触媒内でリッチ成分と二次空気の酸素とを反応させて触媒を暖機するようにしているが、触媒温度がある程度上昇しないと、触媒内でリッチ成分と酸素との反応が促進されないため、その分、触媒早期暖機が遅れて、近年、益々厳しくなる排ガス規制に十分に対応することができない。
【0006】
これに対し、後者では、排気管内で着火装置により後燃えを発生させて触媒を暖機するため、始動直後から触媒を早期に暖機できる利点があるが、排気管に着火装置を設ける必要があるため、システム構成が複雑化して、コスト高になるという欠点がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、比較的簡単な構成で、触媒上流側で後燃えを発生させて触媒を早期に暖機でき、触媒早期暖機性能向上と構成簡単化・低コスト化とを両立させることができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の制御装置は、排ガス昇温制御手段によって排ガス中のリッチ成分が触媒上流側の排ガス通路内で後燃え可能な排ガス温度となるように内燃機関の燃焼を制御すると共に、二次空気導入制御手段によって二次空気導入装置を作動させて触媒上流側の排ガス通路内に後燃えを発生させるための二次空気を導入するように構成され、且つ、排ガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力に基づいて排ガスの空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段を備えた構成となっています。更に、請求項1に係る発明は、二次空気を導入する際に、触媒の暖機要求時は、二次空気導入位置よりも上流側の排ガスの空燃比を前記触媒の浄化ウインドである理論空燃比付近に制御することを第1の特徴とし、二次空気を導入する際に、車両走行時は、二次空気導入位置よりも上流側の排ガスの空燃比をリッチに制御することで、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近に制御することを第2の特徴としています。
【0009】
請求項に係る発明では、内燃機関から排出される排ガスは、触媒上流側の排ガス通路内で燃焼可能な温度に昇温されるため、この高温の排ガス中のHC,CO等のリッチ成分が、触媒上流側の排ガス通路内に導入された二次空気の酸素と混合されると、触媒上流側の排ガス通路内で後燃えが発生し、その燃焼熱で触媒を早期に暖機することができる。しかも、後燃えによって内燃機関から排出されるHCが燃焼されるため、触媒活性前でも、大気中に排出されるHC量を低減することができる。更に、排ガスに着火する着火装置が不要となるため、システム構成を簡単化することができ、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0010】
ところで、冷間始動時には触媒が未活性状態であることは言うまでもないが、触媒が一旦暖機した後でも、運転状態によっては触媒温度が低下して触媒が未活性状態になることがあるため、請求項のように、始動時、触媒暖機後を問わず、触媒の暖機要求が発生したときに二次空気を導入するようにすると良い。このようにすれば、活性状態の触媒が温度低下して未活性状態となると、触媒の暖機要求が発生して、直ちに二次空気を導入して後燃えを発生させることができ、冷間始動時に限らず、触媒が一旦暖機した後でも、触媒が未活性状態に温度低下すれば、それを後燃えにより早期に活性状態に回復させることができる。
【0011】
また、請求項のように、触媒に流入する炭化水素の低減要求が発生したとき又は触媒から流出する窒素酸化物の低減要求が発生したときに二次空気を導入するようにしても良い。内燃機関から排出されるHC量が増加して触媒に流入するHCの低減要求が発生したときに、二次空気を導入して後燃えを発生させれば、内燃機関から排出されるHCを燃焼させて、触媒に流入するHC量を低減して大気中に排出されるHC量を低減することができる。また、内燃機関から排出される排ガスの空燃比がリッチになっている時でも、二次空気を導入すれば、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近(触媒の浄化ウインド)に調整することができ、触媒でのNOx浄化率を向上させて大気中に排出されるNOx量を低減することができる。
【0012】
この場合、請求項のように、後燃え可能な排ガス温度のときに二次空気を導入するようにすると良い。このようにすれば、二次空気導入直後から後燃えを確実に発生させることができる。
【0013】
また、始動時は、請求項のように、気筒内で最初の爆発が発生した後に、二次空気を導入するようにしても良い。気筒内で最初の爆発が発生すれば、排ガス温度が上昇し始めるので、最初の爆発が発生した後に、二次空気の導入を開始すれば、排ガスが後燃え可能な温度に昇温した瞬間から後燃えを発生させて触媒の暖機を開始することができる。
【0014】
また、始動時に、二次空気の導入タイミングを早くし過ぎると、排ガス温度が十分に上昇する前に二次空気が導入されてしまい、後燃えが発生しないため、二次空気の導入が排ガス温度を低下させる結果となってしまい、後燃えの発生時期が遅れる原因となる。
【0015】
そこで、請求項のように、始動から所定期間が経過するまで、二次空気の導入を禁止するようにしても良い。このようにすれば、始動時に排ガス温度が十分に上昇してから二次空気を導入することができ、二次空気導入直後から後燃えを確実に発生させることができる。
【0016】
また、請求項のように、排ガス温度の低下要求が発生したときに二次空気の導入を禁止するようにしても良い。つまり、後燃えにより触媒が過熱状態になると、排ガス温度の低下要求が発生し、二次空気の導入が禁止される。これにより、排ガス温度を低下させて触媒温度を低下させることができ、後燃えによる触媒の過熱劣化を防止することができる。
【0017】
二次空気の導入開始時は、排ガス温度が多量の後燃えを発生するまでには上昇していないため、二次空気の導入開始当初から多量の二次空気を導入すると、二次空気の導入による排ガス温度の低下で後燃えが発生しなくなるおそれがあり、却って後燃えの発生が遅くなるおそれがある。
【0018】
そこで、請求項のように、始動からの経過時間又は触媒の暖機要求時からの経過時間又は排ガス温度の低下時からの経過時間に応じて二次空気の導入流量を制御するようにしても良い。例えば、二次空気導入開始当初は、二次空気の導入流量を少なくし、その後、徐々に増加させていけば、二次空気の導入による排ガス温度の低下を抑えながら、効率良く後燃え発生させて排ガス温度を上昇させていくことができる。また、二次空気導入後期では、二次空気の導入流量を後燃えで消費される量よりも多くすれば、二次空気の酸素を触媒内にも供給して触媒内でのHCの反応を促進し、後燃えと反応熱との相乗効果によって触媒を効率良く暖機することができる。
【0019】
また、請求項に係る発明は、排ガスの空燃比を検出する空燃比センサを設け、空燃比フィードバック制御手段によって空燃比センサの出力に基づいて排ガスの空燃比を目標空燃比にフィードバック制御するようにしている。このようにすれば、触媒上流側の排ガス通路に二次空気を導入しても、空燃比センサの出力から触媒流入ガスの空燃比を検出又は推定して、触媒流入ガスの空燃比を目標空燃比に制御することができる。尚、空燃比センサは、触媒よりも先に活性化するため、触媒活性前であっても、空燃比センサの活性後は、フィードバック制御を実施することができる。
【0020】
この場合、二次空気を導入する際に、触媒の暖機要求時は、請求項のように、二次空気導入位置よりも上流側の排ガスの空燃比を理論空燃比付近に制御すれば良い。このようにすれば、触媒流入ガスの空燃比をリーンに制御できるため、活性前の触媒に流入するHC量を少なくすることができ、大気中に排出されるHC量を低減することができる。
【0021】
また、二次空気を導入する際に、車両走行時は、請求項のように、二次空気導入位置よりも上流側の排ガスの空燃比をリッチに制御することで、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近に制御すれば良い。車両走行時は、内燃機関からのNOx排出量が増加すると共に、触媒温度がある程度上昇しているため、触媒流入ガスの空燃比(二次空気導入位置よりも下流側の排ガスの空燃比)を理論空燃比付近(触媒の浄化ウインド)に制御すれば、触媒でのNOx浄化率を向上させることができ、大気中に排出されるNOx量を低減することができる。
【0022】
空燃比フィードバック制御を行う場合、請求項のように、二次空気導入位置よりも下流側に空燃比センサを設置しても良い。このようにすれば、触媒流入ガスの空燃比を空燃比センサで直接検出して、触媒流入ガスの空燃比を精度良くフィードバック制御することができる。
【0024】
また、請求項10のように、排ガス通路に接続された二次空気導入通路に二次空気を圧送するエアポンプと、二次空気導入通路を開閉する開閉弁と逆止弁とを一体化したコンビネーションバルブと、開閉弁の駆動圧力を切り換える切換弁とから二次空気導入装置を構成し、二次空気導入制御手段で切換弁を制御して駆動圧力を切り換えて開閉弁を開閉することで二次空気の導入/導入停止を制御するようにしても良い。このようにすれば、切換弁の制御によって二次空気の導入タイミングを任意に設定することができると共に、逆止弁によって排ガスがエアポンプ側に逆流することを防止できる。
【0025】
また、請求項11のように、触媒上流側の排ガス通路の複数箇所に二次空気を導入するようにしても良い。このようにすれば、排ガス通路の上流側に導入した二次空気で後燃えを発生させて排ガス温度を上昇させながら、その下流側に導入した二次空気によっても後燃えを発生させて排ガス温度を更に上昇させることができる。これにより、触媒の早期暖機効果及びHC排出量の低減効果を向上させることができると共に、下流側に導入した二次空気を触媒内に供給して触媒内でのHCの反応を促進させ、その反応熱によって触媒の早期暖機効果を更に向上させることができる。
【0026】
また、請求項12のように、触媒上流側の排ガス通路のうちの排ガス温度が後燃え可能な温度範囲となる位置に二次空気を導入すると良い。この場合、二次空気導入位置は、定位置に固定しても良いが、後燃え可能な温度範囲が排ガス温度の上昇と共に排ガス通路の下流側に広がっていくのに対応して、二次空気の導入位置を排ガス通路の下流側に順番に切り換えるようにしても良い。このようにすれば、排ガス温度の上昇に伴って、後燃え発生位置を触媒に近付けていくことができ、後燃えによる触媒の早期暖機効果を更に向上させることができる。
【0027】
一方、請求項13のように、機関冷間時に内燃機関の点火時期を暖機後よりも遅角側に制御するようにすると良い。このようにすれば、筒内の混合気の燃焼を遅らせて、通常よりも高温の排ガスを排ガス通路に排出することができ、排ガス通路内の排ガス温度を後燃え可能な温度に昇温させることができる。
【0028】
この場合、請求項14のように、筒内混合気の空燃比を理論空燃比付近又は弱リッチに制御すると良い。これにより、後燃えを発生させるのに適量のリッチ成分を排ガス通路に供給することができると共に、触媒流入ガスの空燃比を弱リーンに制御することができ、活性前の触媒に流入するHC量を少なくすることができ、大気中に排出されるHC量を低減することができる。
【0029】
更に、請求項15のように、点火遅角制御中の点火時期遅角量に基づいて排ガスの目標空燃比を設定したり、或は、請求項16のように、点火遅角制御中の点火時期遅角量が大きいほど、排ガスの目標空燃比を理論空燃比に近づけて設定しても良い。つまり、その時々の点火時期遅角量に対応させて排ガスの目標空燃比を設定すれば、点火遅角量に応じて燃料噴射量(筒内の混合気の空燃比)が制御され、燃焼状態を安定させながら、排ガス温度を後燃え可能な温度に昇温させることができる。
【0030】
また、本発明を可変バルブタイミング機構付きの内燃機関に適用する場合は、請求項17のように、吸気弁と排気弁のバルブオーバーラップ量を制御することで排ガス温度を後燃え可能な温度範囲に制御するようにしても良い。つまり、吸気弁と排気弁のバルブオーバーラップ量を増やすと、内部EGRが増加して、筒内の燃焼速度が低下するため、筒内温度のピークを遅らせることができる。これにより、通常よりも高温の排ガスを排ガス通路に排出することができ、排ガス通路内の排ガス温度を後燃え可能な温度に昇温させることができる。
【0031】
或は、請求項18のように、排気弁の開弁タイミングを進角側に制御することで排ガス温度を後燃え可能な温度範囲に制御するようにしても良い。つまり、排気弁の開弁タイミングを進角させれば、筒内温度のピーク付近で排ガスを排ガス通路に排出することができ、排ガス通路内の排ガス温度を後燃え可能な温度に昇温させることができる。
【0032】
また、請求項19のように、機関運転状態に基づいて排ガス昇温制御を実施するか否かを判定するようにしても良い。このようにすれば、排ガス昇温制御が必要な運転状態でのみ、排ガス昇温制御を実施することができるので、必要以上に排ガス温度を上昇させることがなくなり、触媒や空燃比センサ等の過熱劣化を防止することができる。
【0033】
更に、請求項20のように、冷間始動時に機関回転速度が暖機後のアイドル回転速度よりも高い始動時回転速度に制御されているときに排ガス昇温制御を実施するようにしても良い。つまり、機関回転速度が暖機後のアイドル回転速度よりも高い始動時回転速度に制御されているときは、暖機後のアイドル時と比較して点火から排気までの時間が短くなり且つ燃焼間隔も短くなると共に、排ガス流量が多くなるため、排ガス温度の昇温効果をより一層高めることができる。
【0034】
また、請求項21のように、始動から所定時間が経過した後は、排ガス昇温制御を禁止するようにしても良い。このようにすれば、排ガス昇温制御(点火遅角制御等)が必要以上に長引くことを防止でき、触媒や空燃比センサ等の過熱劣化を防止することができる。
【0035】
また、請求項22のように、排ガス昇温制御中にトルク変動を抑制するトルク変動抑制制御を実施するようにしても良い。つまり、排ガス昇温制御を実施する際に、トルク変動が発生する可能性があるため、このトルク変動をトルク変動抑制制御によって抑制することで、ドライバビリティ悪化を防ぐことができる。尚、トルク変動抑制制御は、例えば、1回の燃焼行程につき複数回の点火動作を行ったり、複数箇所で点火動作を行わせることが考えられる。この際、その時々の燃焼条件に合わせて点火間隔又は点火回数を変化させるようにしても良い。
【0036】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図8に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ(図示せず)が設けられ、このエアクリーナの下流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ13が設けられている。このエアフローメータ13の下流側には、スロットルバルブ14とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ15とが設けられている。
【0037】
更に、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド16の吸気ポートの近傍には、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁17が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ18が取り付けられ、各点火プラグ18の火花放電によって筒内の混合気に点火される。
【0038】
エンジン11の吸気弁19と排気弁20は、それぞれカム軸21,22によって駆動され、吸気側のカム軸21には、吸気弁19の開閉タイミングを可変する油圧式の可変バルブタイミング機構23が設けられ、一方、排気側のカム軸22には、排気弁20の開閉タイミングを可変する油圧式の可変バルブタイミング機構24が設けられている。各可変バルブタイミング機構23,24を駆動する油圧は、それぞれ油圧制御弁(図示せず)によって制御される。
【0039】
吸気側のカム軸21には、該カム軸21の回転位置(進角量)を検出する吸気側カム位置センサ25が設けられ、排気側のカム軸22には、該カム軸22の回転位置(進角量)を検出する排気側カム位置センサ26が設けられている。また、基準位置センサ27は、720℃A毎に気筒判別用のパルス信号を出力し、回転角センサ28は、より細かなクランク角毎(例えば30℃A毎)にパルス信号を出力する。これら各センサ27,28のパルス信号に基づいて基準クランク位置及びエンジン回転速度が検出される。エンジン11のシリンダブロックには、エンジン冷却水温を検出する水温センサ29が取り付けられている。
【0040】
一方、エンジン11の排気管30(排ガス通路)には、排ガス中のHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)を浄化する三元触媒等の触媒31が設けられている。この触媒31の上流側には、排ガスの空燃比に応じたリニアな空燃比信号を出力する空燃比センサ32(又は酸素センサ)が設けられている。本実施形態(1)では、この空燃比センサ32の上流側に後述する二次空気導入装置34の二次空気導入位置が設定されるため、触媒31に流入する排ガス(二次空気を含む排ガス)の空燃比を空燃比センサ32で直接検出してフィードバック制御することができる。触媒31の下流側には、排ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかによって出力電圧が反転する酸素センサ33が設けられている。
【0041】
次に、排気管30に外気を二次空気として導入する二次空気導入装置34の構成を説明する。排気管30のうちの空燃比センサ32の上流側には、二次空気を導入するための二次空気導入管35(二次空気導入通路)が接続されている。この二次空気導入管35の接続位置、すなわち、二次空気導入位置は、排気管30内の排ガス温度が、排ガス中のリッチ成分が燃焼する後燃え可能な温度(例えば700℃)以上となる範囲内(図2参照)に設定されている。
【0042】
二次空気導入管35の最上流部には、エアフィルタ36が設けられ、このエアフィルタ36の下流側に、二次空気を圧送するエアポンプ37が設けられている。このエアポンプ37の下流側には、コンビネーションバルブ38が設けられている。このコンビネーションバルブ38は、二次空気導入管35を開閉する圧力駆動型の開閉弁39の下流側に逆止弁40を一体化して構成されている。コンビネーションバルブ38の開閉弁39は、吸気圧導入管41を介して吸気管12に接続され、この吸気圧導入管41の途中に設けられた電磁駆動型の切換弁42によって開閉弁39の駆動圧力を大気圧と吸気圧との間で切り換えるようになっている。
【0043】
二次空気を導入する場合は、電磁駆動型の切換弁42をオン(吸気圧導入位置)に切り換えて圧力駆動型の開閉弁39に吸気圧を導入することで開閉弁39を開弁する。これにより、エアポンプ37から吐出された二次空気が開閉弁39を通過して逆止弁40側に流れ、その圧力で逆止弁40が開弁されて、二次空気が排気管30に導入される。
【0044】
一方、二次空気の導入を停止する場合は、切換弁42をオフ(大気圧導入位置)に切り換えて開閉弁39に大気圧を導入することで開閉弁39を閉弁する。これにより、排気管30への二次空気の導入が停止されると共に、逆止弁40に二次空気の圧力が作用しなくなって排気管30側の圧力が高くなるため、逆止弁40が自動的に閉弁して、排気管30内の排ガスがエアポンプ37側に逆流することが防止される。
【0045】
上述した各種のセンサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)43に入力される。ECU43は、CPU44、ROM45、RAM46、バックアップRAM47等からなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROM45に記憶された各ルーチンを実行することで、燃料噴射弁17、点火プラグ18、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構23,24、二次空気導入装置34等を制御する。
【0046】
ところで、冷間始動時には、触媒31が未活性の状態であるため、エンジン11から排出されるHC,CO,NOx等を十分に浄化することができない。そこで、ECU43は、図4の点火時期制御ルーチンを実行することで、点火プラグ18の点火時期を遅角制御すると共に、図5のVVT制御ルーチンを実行することで、可変バルブタイミング機構23,24を制御して排気弁20の開弁タイミングを進角させ且つ吸気弁19と排気弁20のバルブオーバーラップ量を増加させて、排ガス中のリッチ成分(HC,CO)が排気管30内で燃焼可能な排ガス温度に昇温させる。
【0047】
更に、ECU43は、図6及び図7の二次空気制御用のルーチンを実行することで、二次空気導入装置34を制御して排気管30内に後燃えを発生させるための外気を二次空気として導入する。これにより、エンジン11から排出される高温の排ガス中のリッチ成分を、二次空気導入装置34によって導入される二次空気の酸素と混合させて、触媒31上流側の排気管30内で後燃えを自然に発生させ、その燃焼熱で触媒31を早期に暖機する。また、ECU43は、図3の燃料噴射制御ルーチンを実行することで、冷間始動時に、触媒31に流入する排ガスの空燃比を弱リーン(筒内混合気はほぼ理論空燃比又は弱リッチ)に制御し、触媒31に流入するHC量を低減する。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
【0048】
[燃料噴射制御]
図3の燃料噴射制御ルーチンは、例えば各気筒の燃料噴射毎(6気筒エンジンでは120℃A毎)に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101〜103で、触媒暖機制御のための弱リーン空燃比制御を実施するか否かを次のようにして判定する。まず、ステップ101で、始動完了から所定時間(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。始動完了は、例えば、エンジン回転速度Neが始動判定値を越えたか否かにより判定する。始動完了から所定時間が経過していれば、ステップ102に進み、エンジン冷却水温Twが所定温度(例えば60℃)未満であるか否かを判定し、エンジン冷却水温Twが所定温度よりも高ければ、エンジン11を高温の状態で再始動する高温再始動時ではないと判断して、ステップ103に進み、触媒暖機制御を継続するか否かを判定する。具体的には、スタータオン(クランキング開始)から20秒が経過したか否か、或は、非アイドル状態になったか否かを判定し、スタータオンから20秒が経過していれば、或は、非アイドル状態になっていれば、触媒暖機制御を継続しないと判定する。
【0049】
上記ステップ101〜103のいずれか1つでも「No」と判定された場合は、触媒暖機制御が不要と判断して、ステップ104に進み、通常の燃料噴射制御を実施する。この通常の燃料噴射制御では、エンジン始動当初には、エンジン冷却水温Twに応じた暖機増量補正などの始動時燃料噴射制御を実施する。また、エンジン暖機完了後は、空燃比フィードバック制御を実施して、空燃比センサ32の検出値と目標空燃比とが一致するように、エンジン運転状態に応じた基本噴射量に対して補正を実施する。
【0050】
一方、上記ステップ101〜103で全て「Yes」と判定された場合は、触媒暖機制御が必要と判断して、ステップ105に進み、弱リーン空燃比制御を実施して、触媒31に流入する排ガス(触媒流入ガス)の空燃比が弱リーン(例えばA/F=16)となるように燃料噴射弁17の燃料噴射量を制御する。二次空気の導入中は、筒内混合気の空燃比を理論空燃比付近又弱リッチに制御すれば、二次空気の導入によって触媒流入ガスの空燃比が弱リーンとなり、触媒31に流入するHC量を少なくして大気中に排出されるHC量を低減することができる。また、筒内混合気の空燃比を理論空燃比付近又弱リッチに制御することで、後燃えに必要なリッチ成分を排気管30に供給することができる。
【0051】
この場合、空燃比センサ32の活性前は、触媒流入ガスの目標空燃比を弱リーン(例えばA/F=16)に設定して燃料噴射量をオープンループ制御すれば良いが、空燃比センサ32は、触媒31よりも先に活性化するため、触媒31活性前であっても、空燃比センサ32の活性後は、空燃比フィードバック制御を実施することができる。
【0052】
[点火時期制御]
図4の点火時期制御ルーチンは、例えば各気筒の燃料噴射毎に実行され、特許請求の範囲でいう排ガス昇温制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201〜203で、触媒暖機制御のための点火時期遅角制御(排ガス昇温制御)を実施するか否かを判定する。このステップ201〜203の処理は上記図3のステップ101〜103の処理と同じである。
【0053】
上記ステップ201〜203のいずれか1つでも「No」と判定された場合は、ステップ204に進み、触媒暖機制御が不要と判断して、通常の点火時期制御を実施する。この通常の点火時期制御では、エンジン始動当初には、点火時期を例えば圧縮TDC前(BTDC)5℃Aに固定する。また、エンジン暖機完了後には、エンジン運転状態に応じた基本進角度に対してアイドル安定化補正やノック進角補正等を行い、最適な進角値により点火時期を制御する。
【0054】
一方、上記ステップ201〜203で全て「Yes」と判定された場合は、触媒暖機制御が必要と判断して、ステップ205に進み、点火時期遅角制御を実施して、点火プラグ18の点火時期を例えば圧縮TDC後(ATDC)10℃Aに遅角する。これにより、筒内の混合気の燃焼を遅らせて排気管30内に排出する排ガスの温度を高温にする。
【0055】
[VVT制御]
図5のVVT制御ルーチンは、所定周期(例えば64ms周期)で実行され、特許請求の範囲でいう排ガス昇温制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301〜303で、触媒暖機制御のための吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミング制御(排ガス昇温制御)を実施するか否かの判定を行う。このステップ301〜303の処理は前記図3のステップ101〜103の処理と同じである。
【0056】
上記ステップ301〜303のいずれか1つでも「No」と判定された場合は、ステップ304に進み、触媒暖機制御が不要と判断して、通常のVVT制御を実施する。通常のVVT制御では、エンジン始動当初には、吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミングを最遅角位置で制御する。また、エンジン暖機完了後には、VVTフィードバック制御を実施して、エンジン運転状態に応じて吸気弁19のバルブタイミングの目標進角量を設定し、その目標進角量と吸気側カム位置センサ25の検出値とが一致するように吸気側可変バルブタイミング機構23をフィードバック制御する。
【0057】
一方、上記ステップ301〜303で全て「Yes」と判定された場合は、触媒暖機制御が必要と判断して、ステップ305に進み、排気弁20の開弁タイミングを15℃A進角させ、且つ、吸気弁11と排気弁20のバルブオーバーラップ量を30℃Aに増加させる。このように、バルブオーバーラップ量を増加させると、内部EGRが増加して筒内での燃焼速度が低下するため、筒内温度のピークが遅くなる。更に、排気弁20の開弁タイミングを進角させると、筒内温度のピーク付近で排ガスが排気管30内に排出され、排ガス温度を高温にすることができる。
【0058】
[二次空気導入制御]
図6の二次空気導入制御ルーチンは、所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、後述する図7の二次空気導入判定ルーチンを実行して二次空気導入フラグFABを、二次空気導入の許可を意味する「オン」又は二次空気導入の禁止を意味する「オフ」に設定する。
【0059】
この後、ステップ402に進み、二次空気導入フラグFABがオンか否かを判定し、二次空気導入フラグFABがオンであれば、切換弁42をオン(吸気圧導入位置)に切り換えて開閉弁39を開弁すると共に、エアポンプ37を作動させて(ステップ403,404)、二次空気を排気管30に導入する。
【0060】
一方、二次空気導入フラグFABがオフであれば、切換弁42をオフ(大気圧導入位置)に切り換えて開閉弁39を閉弁すると共に、エアポンプ37を停止させて(ステップ405,406)、二次空気の導入を停止する。
【0061】
以上説明した図6の二次空気導入制御ルーチンは、後述する図7の二次空気導入判定ルーチンと共に特許請求の範囲でいう二次空気導入制御手段としての役割を果たす。
【0062】
[二次空気導入判定]
次に、上記ステップ401で実行される図7の二次空気導入判定ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、始動が完了したか否かを、エンジン回転速度Neが始動判定値を越えたか否かにより判定し、始動完了前であれば、ステップ502に進み、気筒内で最初の爆発が発生したか否かを判定する。まだ、最初の爆発が発生していなければ、ステップ504に進み、二次空気導入フラグFABをオフにセットして、本ルーチンを終了する。その後、最初の爆発が発生したときに、ステップ505に進み、二次空気導入フラグFABをオンにセットして(図8参照)、本ルーチンを終了する。
【0063】
一方、ステップ501で、始動完了と判定された場合は、ステップ503に進み、二次空気導入条件が成立しているか否かを判定する。この二次空気導入条件は、例えば、次の▲1▼〜▲3▼である。
▲1▼排ガス温度が後燃え可能な温度(例えば700℃)以上であること
▲2▼触媒温度が所定温度より低いこと
▲3▼エンジン11のHC排出量が比較的多くなる運転状態であること
【0064】
上記▲3▼の条件は、例えば、エンジン回転数Ne、吸気管圧力PM、吸入空気量Ga等の変動が所定値以上であること、燃焼の不安定度を表すラフネス値が所定値以上であること、エンジン回転数Neが所定値以上で点火時期の遅角量が所定値以上であること等であり、要は、筒内の燃焼状態がある程度不安定であることである。このような場合、エンジン11から未燃HCが排出されるため、後燃えに必要なHCを排気管30内に供給できると共に、後燃えにより触媒31に流入するHC量(大気中へのHC排出量)を低減することもできる。
【0065】
また、上記▲1▼の条件を満たしていれば、二次空気導入直後から後燃えを確実に発生させることができる。排ガスの温度は、冷却水温等から推定したり、或は、排ガス通路に温度センサを設置して検出しても良い。
【0066】
また、上記▲2▼における所定温度は、例えば触媒31の活性温度範囲の下限値又はそれよりも少し高い温度に設定されている。従って、触媒温度が所定温度よりも低いときは、触媒31を暖機する必要があるため、二次空気を導入して後燃えにより触媒31の暖機を促進する。一方、触媒温度が所定温度以上であるときは、触媒31が活性状態であり、触媒31を暖機する必要がないため、二次空気の導入を禁止して、後燃えによる触媒31の過熱を防止する。尚、触媒31の温度は、排ガス温度等から推定したり、或は、触媒31に温度センサを設置して検出しても良い。
【0067】
以上説明した▲1▼と▲2▼の条件が満たされたとき、又は、▲1▼と▲3▼の条件が満たされたときに、二次空気導入条件が成立し、ステップ505に進み、二次空気導入フラグFABをオンにセットして、本ルーチンを終了する。一方、二次空気導入条件が不成立の場合は、ステップ504に進み、二次空気導入フラグFABをオフにセットして、本ルーチンを終了する。
【0068】
尚、二次空気導入条件の判定方法は、種々変更可能であり、例えば、▲2▼の条件(触媒温度<所定温度)が満たされたときに、二次空気導入条件が成立するようにしたり、或は、▲3▼の条件(エンジン11のHC排出量増加)が満たされたときに、二次空気導入条件が成立するようにしても良い。
【0069】
以上説明した実施形態(1)によれば、触媒暖機制御中(排ガス昇温制御中)に、点火時期を遅角制御すると共に、排気弁20の開弁タイミングを進角させ且つ吸気弁19と排気弁20のバルブオーバーラップ量を増加させるようにしたので、これらの制御の相乗効果によって排気管30内の排ガス温度を速やかに後燃え可能な温度に昇温させることができる。そして、図8に示すように、始動時に気筒内で最初の爆発発生直後から二次空気導入装置34によって二次空気を排気管30に導入し、エンジン11から排出される排ガス中のリッチ成分を二次空気の酸素と混合させて、排ガスが後燃え可能な温度に昇温した瞬間から後燃えを発生させ、その燃焼熱で触媒31を暖機する。これにより、触媒31を早期に暖機することができると共に、後燃えによってエンジン11から排出されるHCが燃焼されるため、触媒活性前でも、大気中に排出されるHC量を低減することができる。しかも、排ガスに着火する着火装置を設ける必要がないため、構成簡単化・低コスト化の要求も満たすことができる。
【0070】
また、始動時に、二次空気の導入タイミングを早くし過ぎると、排ガス温度が十分に上昇する前に二次空気が導入されてしまい、後燃えが発生しないため、二次空気の導入が排ガス温度を低下させる結果となってしまい、後燃えの発生時期が遅れる原因となるが、本実施形態(1)では、二次空気の導入開始タイミングを最初の爆発発生後に設定することで、それまでの期間は二次空気の導入を禁止するようにしているので、始動時に排ガス温度が上昇し始めてから二次空気を導入することができ、排気管31内の排ガス温度の低下を防止して後燃え発生の遅れを防止することができる。尚、始動から所定時間、二次空気の導入を禁止するようにしても良い。
【0071】
ところで、冷間始動時には触媒31が未活性状態であることは言うまでもないが、活性後の触媒31でも、運転状態によっては触媒温度が低下して未活性状態になることがある。その点、本実施形態(1)では、始動完了後、触媒温度が所定温度未満となったとき(触媒31の暖機要求があるとき)、二次空気を導入するようにしているので、冷間始動時に限らず、触媒31が一旦暖機した後でも、触媒31が未活性状態に温度低下すれば、それを後燃えにより早期に活性状態に回復させることができる。
【0072】
また、本実施形態(1)では、エンジン11のHC排出量が多い運転状態のとき(触媒31に流入するHCの低減要求があるとき)にも、二次空気を導入するようにしているので、エンジン11から排出されるHCを後燃えさせて、大気中に排出されるHC量を低減することができる。
【0073】
更に、本実施形態(1)では、エンジン冷却水温Twやスタータオンからの経過時間に基づいて排ガス昇温制御(点火遅角制御、バルブタイミング制御)を実施するか否かを判定するようにしているので、排ガス昇温制御の必要なときのみ排ガス昇温制御を実施することができて、必要以上に排ガス温度を上昇させることがなくなり、触媒31や空燃比センサ17等の過熱劣化を防止することができる。
【0074】
尚、本実施形態(1)では、排ガス昇温制御を行う際に、▲1▼点火時期の遅角制御、▲2▼排気弁20の開弁タイミングの進角制御、▲3▼バルブオーバーラップ量の増加を組み合わせて実施して、これらの制御の相乗効果によって排ガス昇温効果を高めるようにしたが、▲1▼〜▲3▼のうちの1つ又は2つを実施して排ガス温度を後燃え可能な温度に昇温するようにしても良い。
【0075】
《実施形態(2)》
次に、図9及び図10を用いて本発明の実施形態(2)を説明する。本実施形態(2)で実行される図9の二次空気導入制御ルーチンは、図6のステップ404の処理を、ステップ404aとステップ404bの処理に変更したものであり、これ以外の各ステップの処理は図6と同じである。尚、本実施形態(2)のシステム構成は、前記実施形態(1)と同じである。
【0076】
図9の二次空気導入制御ルーチンでは、二次空気導入フラグFABがオンと判定されると、切換弁42をオンして開閉弁39を開弁した後(ステップ401〜403)、ステップ404aに進み、始動(スタータオン又は始動完了)からの経過時間をパラメータとするエアポンプ37のデューティ比Dutyのマップを検索して、始動からの経過時間に応じたエアポンプ37のデューティ比Dutyを算出する。このデューティ比Dutyのマップ特性は、始動から所定時間が経過するまでは始動からの経過時間に応じてデューティ比Dutyが増加し、その後は、デューティ比Dutyがほぼ一定値となるように設定されている。
【0077】
この後、ステップ404bに進み、エアポンプ37の作動電圧Vpをエアポンプ37の最大作動電圧Vmにデューティ比Dutyを乗算して求め(Vp=Vm×Duty)、この作動電圧Vpでエアポンプ37を作動させる。
【0078】
本実施形態(2)では、図10に示すように、始動時に気筒内で最初の爆発が発生すると、二次空気導入装置34による二次空気導入が開始され、エアポンプ37で送られるエア流量、つまり、二次空気の導入流量APQは、二次空気導入開始当初は、少なく、その後、徐々に増加した後、ほぼ一定流量となる。これにより、二次空気の導入による温度低下を抑えながら、効率良く後燃え発生させて排気管31内の排ガス温度を上昇させていくことができる。また、二次空気導入後期では、二次空気の導入流量APQが後燃えで消費される量よりも多くなるため、二次空気の酸素を触媒31内にも供給して触媒31内でのHCの反応を促進でき、後燃えと反応熱との相乗効果によって触媒31を速やかに暖機することができる。
【0079】
尚、上記実施形態(2)では、始動からの経過時間に応じて二次空気の導入流量(エアポンプ37のデューティ比Duty)を設定したが、始動後の触媒31の暖機要求時に二次空気を導入する場合には、排ガス温度の低下時や排ガス温度の昇温要求時からの経過時間に応じて二次空気の導入流量を設定すれば良い。
【0080】
《実施形態(3)》
次に、図11乃至図13を用いて本発明の実施形態(3)を説明する。本実施形態(3)では、図11に示すように、二次空気導入管48の下流部が、導入位置切換弁49を介して3本の導入部48a、48b、48cに分岐され、各導入部48a、48b、48cが、それぞれ空燃比センサ32上流側の排気管30の上流部、中流部、下流部に接続されている。本実施形態(3)では、排気管30の排ガス温度が下流に向かうほど放熱により低下することを考慮し、エンジン11の暖機後の状態の時に、排気熱によって排ガス温度が後燃え可能な温度となる範囲が上流部と中流部の導入部48a,48bの接続位置までとなるように、各導入部48a、48b、48cの接続位置が設定されている。従って、エンジン11の暖機前の状態では、排気熱によって排ガス温度が後燃え可能な温度となる範囲が上流部の導入部48aの接続位置までである。
【0081】
この場合、導入位置切換弁49を3箇所導入位置に切り換えると、エアポンプ37からの二次空気を3箇所の導入部48a,48b,48cに流す流路が全て開放されて、二次空気が3箇所の導入部48a,48b,48cから排気管30内に導入される。また、導入位置切換弁49を2箇所導入位置に切り換えると、上流部の導入部48aへの流路が閉鎖され、中流部と下流部の2箇所の導入部48b,48cから二次空気が排気管30内に導入される。その他のシステム構成は、前記実施形態(1)と同じである。
【0082】
また、本実施形態(3)で実行される図12の二次空気導入制御ルーチンは、図6のステップ402とステップ403の間に、ステップ411〜413の処理を追加したものであり、これ以外の各ステップの処理は図6と同じである。
【0083】
本ルーチンでは、二次空気導入フラグFABがオンと判定されると(ステップ401,402)、ステップ411に進み、冷却水温Twが所定温度よりも高いか否かを判定し、冷却水温Twが所定温度以下であれば、エンジン11の暖機前であるため、排気熱によって排ガス温度が後燃え可能な温度となる範囲が上流部の導入部48aの接続位置までと判断して、ステップ412に進み、導入位置切換弁49を3箇所導入位置に切り換える。そして、切換弁42をオンして開閉弁39を開弁すると共に、エアポンプ37を作動させて(ステップ403,404)、3箇所の導入部48a,48b,48cから二次空気を排気管30内に導入する。
【0084】
エンジン11の暖機前は、排気熱によって排ガス温度が後燃え可能な温度となる範囲が上流部の導入部48aの接続位置までであるが、上流部の導入部48aから導入した二次空気によって後燃えが発生して、その下流側の排ガス温度が上昇し、中流部の導入部48bの接続位置までも後燃え可能な温度となるため、中流部の導入部48から導入した二次空気によっても後燃えが発生して、その下流側の排ガス温度が上昇する。これにより、下流部の導入部48cの接続位置までも後燃え可能な温度となるため、下流部の導入部48cから導入した二次空気によっても後燃えが発生して、その下流側の触媒31付近の排ガス温度が上昇し、触媒31が暖機される。
【0085】
その後、ステップ411で、冷却水温Twが所定温度よりも高いと判定された場合は、エンジン11の暖機が完了しているため、排気熱によって排ガス温度が後燃え可能な温度となる範囲が中流部の導入部48bの接続位置まで広がっていると判断して、ステップ413に進み、導入位置切換弁49を2箇所導入位置に切り換え、中流部と下流部の2箇所の導入部48b,48cのみから二次空気を排気管30内に導入する。
【0086】
この場合、中流部の導入部48bから導入した二次空気で後燃えを発生させて排ガス温度を上昇させることで、後燃え可能な温度となる範囲が下流部の導入部48cの接続位置まで広がるため、下流部の導入部48cから導入した二次空気によっても後燃えが発生する。しかも、上流部の導入部48aへの流路が閉鎖されるため、その分、中流部と下流部の導入部48b,48cからの二次空気の導入流量が増加する(図13参照)。これにより、触媒31の近くでより多くの後燃えを発生させることができ、触媒31の暖機効果を高めることができる。
【0087】
以上説明した実施形態(3)によれば、排気管30の複数箇所から二次空気を導入して複数箇所で後燃えを発生させるようにしたので、後燃えを効率良く発生させることができると共に、下流部に導入した二次空気(酸素)を触媒31内に供給して触媒31内でのHCの反応を促進させ、その反応熱によっても触媒暖機効果を高めることができる。
【0088】
また、本実施形態(3)では、エンジン11の暖機状態に応じて後燃え可能な温度となる範囲が排気管30の下流側に広がっていくことに着目して、エンジン11の暖機後は、上流部の導入部48aへの流路を閉鎖して、その分、中流部と下流部の導入部48b,48cからの二次空気の導入流量を増加せるようにしたので、触媒31の近くでより多くの後燃えを発生させることができ、後燃えによる触媒31の早期暖機効果を更に向上させることができる。
【0089】
尚、本実施形態(3)では、3本の導入部48a、48b、48cの分岐部に設けた導入位置切換弁49によって二次空気の導入位置を切り換えるようにしたが、図14の例のように、導入位置切換弁49の代わりに、上流部の導入部48aの途中に開閉弁50を設け、この開閉弁50の開閉によって、3箇所導入と2箇所導入とを切り換えるようにしても良い。
【0090】
或は、図15の例のように、3本の導入部48a、48b、48cの途中にそれぞれ開閉弁50を設け、各導入部48a、48b、48cの開閉弁50を個別に開閉して、3箇所導入と2箇所導入を切り換えるようにしても良い。
尚、二次空気の導入位置は3箇所に限定されず、2箇所又は4箇所以上であっても良く、また、二次空気の導入位置の切換パターンも適宜変更しても良い。
【0091】
《実施形態(4)》
図16及び図17に示す本発明の実施形態(4)では、始動完了後、二次空気の導入を開始し、車両走行前(アイドル運転中)は、空燃比センサ32の検出値、つまり、触媒31に流入する排ガス(触媒流入ガス)の空燃比がリーン(例えばA/F=16〜17.6)となるように燃料噴射弁17の燃料噴射量をフィードバック制御する。但し、空燃比センサ32の活性前は、燃料噴射量をオープンループ制御する。その後、車両走行時は、空燃比センサ32の検出値、つまり、触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比付近(例えばA/F=14.6)となるように燃料噴射量をフィードバック制御し、始動完了から所定時間が経過した時点で、二次空気の導入を停止する。
【0092】
本実施形態(4)では、車両走行前の触媒31の暖機中は、二次空気の導入による後燃えによって触媒31を早期に暖機できると共に、触媒流入ガスの空燃比をリーンに制御するので、触媒31に流入するHC量を少なくして大気中に排出されるHC量を低減することができる。また、車両走行時は、エンジン11からのNOx排出量が増加することを考慮し、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近(触媒31の浄化ウインド)に制御して、触媒31でNOxを浄化する。つまり、車両走行時は、それまでに触媒31がある程度活性化されるので、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近に制御すれば、触媒31でのNOx浄化率を向上させることができ、大気中に排出されるNOx量を低減することができる。
【0093】
《実施形態(5)》
空燃比センサ32は、必ずしも二次空気導入位置の下流側に配置する必要はなく、図1に点線で示すように、二次空気導入位置よりも上流側に空燃比センサ32を配置しても良い。この場合は、図18に示す本発明の実施形態(5)のように、車両走行前の触媒31の暖機中は、空燃比センサ32の検出値、つまり、エンジン11から排出される排ガスの空燃比が理論空燃比付近(例えばA/F=14.6)となるように燃料噴射量をフィードバック制御することで、触媒流入ガスの空燃比がリーンとなるように制御する。その後、車両走行時は、空燃比センサ32の検出値、つまり、エンジン11から排出される排ガスの空燃比がリッチ(例えばA/F=12.6〜13.2)となるように燃料噴射量をフィードバック制御することで、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近に制御する。更に、二次空気の導入停止後は、エンジン11から排出される排ガスの空燃比が理論空燃比付近となるように燃料噴射量をフィードバック制御して、触媒流入ガスの空燃比を理論空燃比付近に制御する。
【0094】
以上説明した実施形態(5)でも、前記実施形態(4)と同様の効果を得ることができる。
【0095】
《実施形態(6)》
次に、図19乃至図27を用いて本発明の実施形態(6)を説明する。図19は、本実施形態(6)におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。但し、前記実施形態(1)の図1と実質的に同じ部分には同一符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。図19の構成では、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構23,24が省かれている。また、スロットル弁14をバイパスするバイパス通路51が設けられ、このバイパス通路51にアイドルスピードコントロール弁(ISC弁)52が設けられている。冷間始動時には、ISC弁52が所定開度に調整されて、スロットル弁14をバイパスする空気量が増量され、エンジン回転速度Neが暖機後のアイドル回転速度(例えば700rpm)よりも高い始動時回転速度(例えば1200rpm)に制御される。また、吸気管12には、エアフローメータ13に代えて、吸気管圧力PMを検出する吸気圧センサ53が設けられ、更に、吸気温Taを検出する吸気温センサ54も設けられている。
【0096】
本実施形態(6)では、前記各実施形態と同じ方法で二次空気導入制御を行うと共に、図20の触媒暖機制御条件判定ルーチン、図21の点火時期制御ルーチン、図22及び図23の燃料噴射制御ルーチンを実行する。図20の触媒暖機制御実行条件判定ルーチンでは、触媒暖機制御実行フラグXCATを「1」又は「0」に設定する。XCAT=1は触媒暖機制御実行条件の成立を意味し、XCAT=0は触媒暖機制御実行条件の不成立を意味する。図21の点火時期制御ルーチンでは、触媒暖機制御実行条件が成立したときに、点火時期の遅角補正値θREを算出し、この遅角補正値θREだけ基本点火時θBASEを遅角側に制御して排ガス温度を昇温すると共に、多重点火を実施してトルク変動を抑制する。また、図22及び図23の燃料噴射制御ルーチンでは、触媒暖機制御実行条件が成立したときに、点火時期の遅角補正値θREに応じて目標空燃比AFtgを設定し、排ガスの空燃比が目標空燃比AFtgとなるように燃料噴射量を制御する。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
【0097】
[触媒暖機制御実行条件判定]
図20の触媒暖機制御実行条件判定ルーチンは、所定時間毎(例えば10ms毎)に実行され、まず、ステップ601〜605で、以下の触媒暖機制御実行条件が成立しているか否かを判定する。
【0098】
▲1▼エンジン回転速度Neが所定範囲、例えば400〜2000rpmの範囲内であること(ステップ601)
▲2▼エンジン冷却水温Twが所定範囲、例えば0〜60℃の範囲内であること(ステップ602)
▲3▼オートマチックトランスミッションの変速位置がPレンジ又はNレンジ(マニュアルトランスミッションの場合はニュートラル位置)にあること(ステップ603)
▲5▼始動から所定時間以内、例えば15秒以内であること(ステップ604)
▲6▼各種フェイルが発生していないこと(ステップ605)
【0099】
これら▲1▼〜▲6▼の条件が全て満たされたとき(つまりステップ601〜605の判定が全て「Yes」となったとき)、触媒暖機制御実行条件が成立して、ステップ606に進み、触媒暖機制御実行フラグXCATに「1」をセットする。
【0100】
一方、上記ステップ601〜605の条件のうちいずれか1つでも「No」と判定される条件があれば、触媒暖機制御実行条件が不成立となり、ステップ607に進み、触媒暖機制御実行フラグXCATを「0」にリセットする。
【0101】
[点火時期制御]
図21の点火時期制御ルーチンは、所定時間毎(例えば10ms毎)に実行され、まず、ステップ701で、エンジン回転速度Ne、吸気管圧力PM、エンジン冷却水温Twを読み込み、次のステップ702で、始動が完了しているか否かを例えばエンジン回転速度Neが始動判定値以上であるか否かにより判定する。もし、始動完了前であれば、ステップ703に進み、予め設定された固定点火時期(例えばBTDC5℃A)を所定のアドレスに格納して、本ルーチンを終了する。
【0102】
一方、始動完了後であれば、ステップ704に進み、スロットル開度センサ15の出力に基づいてスロットル全閉か否かによりアイドルか否かを判定する。アイドル時であれば、ステップ705に進み、エンジン回転速度Neに応じて基本点火時期θBSEを算出する。また、非アイドル時であれば、ステップ706に進み、ROM45に予め記憶されているマップを用い、エンジン回転速度Neと吸気管圧力PMとに応じて基本点火時期θBSEを算出する。これらのステップ705,706では、概ね高回転ほど基本点火時期θBSEが進角側に設定される。尚、エンジン始動当初には、通常、基本点火時期θBSEは例えばBTDC10℃A付近に設定される。
【0103】
その後、ステップ707に進み、触媒暖機制御実行フラグXCATが触媒暖機制御実行条件成立を意味する「1」であるか否かを判定し、XCAT=0であれば、そのまま本ルーチンを終了する。
【0104】
一方、XCAT=1の場合には、以降のステップ708〜710で、触媒暖機制御のための点火時期制御を実行する。具体的には、ステップ708で、図24に示すマップを用いて、エンジン冷却水温Twに応じた遅角補正値θREを算出する。図24のマップ特性は、エンジン冷却水温Twが例えば0〜20℃の範囲では冷却水温Twが高いほど遅角補正値θREが大きくなり、冷却水温Twが20〜40℃の範囲では遅角補正値θREがほぼ一定値となり、冷却水温Twが40〜60℃の範囲では冷却水温Twが高いほど遅角補正値θREが小さくなるように設定されている。
【0105】
この後、点火時期θigを、基本点火時期θBSEから遅角補正値θREを減算して求めて(θig=θBSE−θRE)、所定のアドレスに格納する。この後、ステップ710に進み、1回の燃焼行程につき複数回の点火動作を行う多重点火の点火間隔と点火回数とを各種パラメータ(エンジン回転速度、点火時期等)に応じて設定し、触媒暖機制御中のトルク変動を多重点火によって抑制する。
【0106】
[燃料噴射制御]
図22と図23に示す燃料噴射制御ルーチンは、所定時間毎(例えば10ms毎)に実行され、まず、ステップ801で、エンジン回転速度Ne、吸気管圧力PM、エンジン冷却水温Tw、吸気温Taを読み込み、次のステップ802で、始動が完了しているか否かを判定する。始動完了前であれば、ステップ803に進み、エンジン冷却水温Twに応じて始動時噴射量TAUSTAを算出する。この始動時噴射量TAUSTAは、一般に、エンジン冷却水温Twが低いほど大きい値となる。この後、ステップ804に進み、始動時噴射量TAUSTAを吸気温Ta、エンジン回転速度Ne等で補正し、本ルーチンを終了する。
【0107】
その後、始動が完了してステップ802で「Yes」と判定されると、図22のステップ802から図23のステップ805に進み、触媒暖機制御実行フラグXCATが触媒暖機制御実行条件成立を意味する「1」であるか否かを判定する。もし、XCAT=0であれば、ステップ806〜809で通常の燃料噴射制御を実行し、XCAT=1であれば、ステップ810〜815で触媒暖機制御のための燃料噴射量制御を実行する。
【0108】
XCAT=0のときには、まず、ステップ806で、通常の基本噴射量マップを用い、エンジン回転速度Neと吸気管圧力PMとに応じて基本噴射量Tpを算出し、次のステップ807で、空燃比フィードバック条件(F/B条件)が成立しているか否かを判定する。このF/B条件は、エンジン冷却水温Twが所定温度以上であること、高回転・高負荷状態でないこと、空燃比センサ32が活性状態にあること等である。
【0109】
F/B条件不成立の場合は、ステップ808に進み、フィードバック補正係数FAFを「1.0」に設定する。一方、フィードバック条件成立の場合は、ステップ809に進み、実空燃比AFr (空燃比センサ32の検出値)と目標空燃比AFtgとの偏差に応じてフィードバック補正係数FAFを算出する。
【0110】
フィードバック補正係数FAFの算出後、ステップ816に進み、エンジン冷却水温Twに応じて始動後増量係数FASE及び暖機増量係数FWLを算出する。始動後増量係数FASEでは、エンジン始動後の数十秒間だけ燃料増量が行われるのに対し、暖機増量係数FWLでは、エンジン冷却水温Twが所定温度に達するまで燃料増量が行われる。この後、ステップ817に進み、エアコン等の電気負荷増量など、他の補正係数βを算出し、次のステップ818で、基本噴射量Tpに対して各種補正を施して、通常の燃料噴射制御時(XCAT=0の時)の燃料噴射量TAUを次式により算出する。
TAU=Tp×(FAF+FASE+FWL)×β
【0111】
一方、上記ステップ805でXCAT=1(触媒暖機制御実行条件成立)と判定された場合は、点火遅角制御が実施されるため、燃焼を安定させるために、ステップ810に進み、図25に示すマップを用いて、点火時期の遅角補正量θREに応じて点火遅角制御中の目標空燃比AFtgを算出する。図25のマップでは、目標空燃比AFtgは斜線域で示され、遅角補正値θREが大きいほど目標空燃比AFtgが理論空燃比(ストイキ)に近付くように設定されている。
【0112】
目標空燃比AFtgの算出後、ステップ811に進み、ROM45に予め記憶された目標空燃比AFtg毎のマップを用い、その時のエンジン回転速度Neと吸気管圧力PMとに応じて基本噴射量Tpを算出する。
【0113】
この後、ステップ812に進み、空燃比センサ32が活性状態にあるか否かを例えば空燃比センサ32の素子温、又は素子抵抗が活性状態に相当する判定値に達しいるか否かによって判定し、次のステップ813で、目標空燃比AFtgと実空燃比AFr との偏差の絶対値が所定値以上であるか否かを判定する。
【0114】
これらのステップ812,813で共に「Yes」と判定された場合は、ステップ815に進み、図26に示すマップを用いて、補正値FDに対する更新幅ΔFDを空燃比のずれ(AFtg−AFr )に応じて算出し、この更新幅ΔFD分だけ前回の補正値FDを修正して(FD=FD+ΔFD)、バックアップRAM47内の補正値FDの記憶値を更新する。この補正値FDは、エンジン始動当初のオープンループ制御による空燃比のずれを早期に解消するためのものである。
【0115】
これに対し、ステップ812,813のいずれか一方で「No」と判定された場合、つまり空燃比センサ32が未活性で、実空燃比AFr を正確に検出できない場合、又は空燃比のずれ(AFtg−AFr )が所定値未満で、補正値FDの更新の必要がない場合には、ステップ814に進み、バックアップRAM47から読み込んだ補正値FDをそのまま使用する。
【0116】
このようにして、ステップ814又は815で、補正値FDを決定した後、ステップ116〜118の処理を実行し、始動後増量係数FASE、暖機増量係数FWL、他の補正係数βを算出した後、基本噴射量Tpに対して各種補正を施して、触媒暖機制御時(XCAT=1の時)の燃料噴射量TAUを次式により算出する。
TAU=Tp×(1+FD+FASE+FWL)×β
【0117】
以上説明した実施形態(6)の触媒暖機制御は、例えば、図27に示すタイムチャートのように実施される。図27の例では、時刻t1 でスタータがオンされてクランキングが開始された後、時刻t2 で始動完了して触媒暖機制御実行フラグXCATが「1」にセットされると、点火時期θigが基本点火時期θBSEに対して遅角補正値θREだけ遅角側に制御されて排ガス温度が昇温される。そして、この遅角補正値θREに応じて排ガスの目標空燃比AFtgが設定され、燃料噴射量が補正される。
【0118】
また、時刻t2 以降は、ISC弁52が所定開度に調整されて、エンジン回転速度Neが暖機後のアイドル回転速度(例えば700rpm)よりも高い始動時回転速度(例えば1200rpm)に制御される。そして、時刻t3 で、空燃比センサ32が活性化すると、補正値FDが空燃比のずれ(AFtg−AFr )に応じた更新幅ΔFDで更新される。
【0119】
その後、時刻t2 から所定時間(例えば15秒)が経過して時刻t4 に達すると、触媒暖機制御実行フラグXCATが「0」にリセットされる。これにより、触媒暖機制御が終了し、点火時期が徐々に進角側に戻されると共に、目標空燃比AFtgが理論空燃比(ストイキ)付近に戻される。
【0120】
以上説明した実施形態(6)では、触媒暖機制御中は、点火時期の遅角補正値θREに応じて排ガスの目標空燃比AFtgを設定するようにしたので、その時の遅角補正値θREに応じて燃料噴射量を適正に制御することができ、燃焼状態を安定化を図りつつ、排ガス温度を昇温させることができる。
【0121】
また、本実施形態(6)では、エンジン回転速度Neが暖機後のアイドル回転速度(例えば700rpm)よりも高い始動時回転速度(例えば1200rpm)に制御されているときに触媒暖機制御(点火遅角制御)を実施するようにしたので、始動時の回転速度制御による排ガス温度上昇と相俟って、排ガス温度の昇温効果を更に高めることができる。
【0122】
更に、本実施形態(6)では、エンジン11の始動完了後、所定時間(例えば15秒)が経過するまでの期間、触媒暖機制御の実施を許可するようにしたので、触媒暖機制御が必要以上に長引くことを防止して、所定時間経過後は、通常の制御により速やかに燃焼状態の安定化を図ることができる。
【0123】
また、本実施形態(6)では、触媒暖機制御中に多重点火を実施するようにしたので、触媒暖機制御中のトルク変動を多重点火によって抑制することができ、触媒暖機制御によるドライバビリティの低下を防止できる。尚、多重点火に代えて、複数箇所で点火するようにしても良く、この場合でも、トルク変動抑制効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】エンジン排気ポート端面からの距離と排ガス温度と二次空気導入位置の範囲との関係を説明する図
【図3】実施形態(1)の燃料噴射制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図4】実施形態(1)の点火時期制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図5】実施形態(1)のVVT制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図6】実施形態(1)の二次空気導入制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図7】実施形態(1)の二次空気導入判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(1)の二次空気導入制御の実行例を示すタイムチャート
【図9】本発明の実施形態(2)の二次空気導入制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図10】実施形態(2)の二次空気導入制御の実行例を示すタイムチャート
【図11】本発明の実施形態(3)を示すエンジン排気側の主要部の概略構成図
【図12】実施形態(3)の二次空気導入制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図13】実施形態(3)の二次空気導入制御の実行例を示すタイムチャート
【図14】実施形態(3)の変形例(第1例)を示すエンジン排気側の主要部の概略構成図
【図15】実施形態(3)の変形例(第2例)を示すエンジン排気側の主要部の概略構成図
【図16】本発明の実施形態(4)の二次空気導入制御の実行例を示すタイムチャート(その1)
【図17】実施形態(4)の二次空気導入制御の実行例を示すタイムチャート(その2)
【図18】本発明の実施形態(5)の二次空気導入制御の実行例を示すタイムチャート
【図19】本発明の実施形態(6)を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図20】実施形態(6)の触媒暖機制御実行条件判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図21】実施形態(6)の点火時期制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図22】実施形態(6)の燃料噴射制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図23】実施形態(6)の燃料噴射制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【図24】エンジン冷却水温に応じた遅角補正値のマップの一例を示す図
【図25】遅角補正値に応じた目標空燃比のマップの一例を示す図
【図26】空燃比偏差に応じた更新幅ΔFDのマップの一例を示す図
【図27】実施形態(6)の実行例を示すタイムチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、17…燃料噴射弁、18…点火プラグ、19…吸気弁、20…排気弁、23,24…可変バルブタイミング機構、30…排気管(排ガス通路)、31…触媒、32…空燃比センサ、34…二次空気導入装置、35…二次空気導入管(二次空気導入通路)、37…エアポンプ、38…コンビネーションバルブ、39…開閉弁、40…逆止弁、41…吸気圧導入管、42…切換弁、43…ECU(排ガス昇温制御手段,二次空気導入制御手段)、48…二次空気導入管(二次空気導入通路)、48a〜48c…導入部、49…導入位置切換弁、50…開閉弁。

Claims (22)

  1. 内燃機関の排ガス通路に、排ガスを浄化する触媒を設置した内燃機関の制御装置において、
    排ガス中のリッチ成分が前記触媒上流側の排ガス通路内で後燃え可能な排ガス温度となるように内燃機関の燃焼を制御する排ガス昇温制御手段と、
    前記後燃えを発生させるための二次空気を前記触媒上流側の排ガス通路内に導入する二次空気導入装置と、
    前記二次空気導入装置を制御する二次空気導入制御手段と、
    排ガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力に基づいて排ガスの空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段とを備え、
    前記空燃比フィードバック制御手段は、二次空気を導入する際に、前記触媒の暖機要求時は、二次空気導入位置よりも上流側の排ガスの空燃比を前記触媒の浄化ウインドである理論空燃比付近に制御する手段と、二次空気を導入する際に、車両走行時は、二次空気導入位置よりも上流側の排ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチに制御する手段とを有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記二次空気導入制御手段は、前記触媒の暖機要求が発生したときに二次空気を導入することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記二次空気導入制御手段は、前記触媒に流入する炭化水素の低減要求が発生したとき又は前記触媒から流出する窒素酸化物の低減要求が発生したときに二次空気を導入することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記二次空気導入制御手段は、後燃え可能な排ガス温度のときに二次空気を導入することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記二次空気導入制御手段は、始動時に気筒内で最初の爆発が発生した後に二次空気を導入することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記二次空気導入制御手段は、始動から所定期間が経過するまで二次空気の導入を禁止することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記二次空気導入制御手段は、排ガス温度の低下要求が発生したときに二次空気の導入を禁止することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記二次空気導入制御手段は、始動からの経過時間又は前記触媒の暖機要求時からの経過時間又は排ガス温度の低下時からの経過時間に応じて二次空気の導入流量を制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記空燃比センサは、二次空気導入位置よりも下流側に設置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記二次空気導入装置は、前記排ガス通路に接続された二次空気導入通路に二次空気を圧送するエアポンプと、前記二次空気導入通路を開閉する開閉弁と逆止弁とを一体化したコンビネーションバルブと、前記開閉弁の駆動圧力を切り換える切換弁とから構成され、
    前記二次空気導入制御手段は、前記切換弁を制御して前記開閉弁の駆動圧力を切り換えて該開閉弁を開閉することで二次空気の導入/導入停止を制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記二次空気導入装置は、前記触媒上流側の排ガス通路の複数箇所に二次空気を導入することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  12. 前記二次空気導入装置は、前記触媒上流側の排ガス通路のうちの排ガス温度が後燃え可能な温度範囲となる位置に二次空気を導入することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  13. 前記排ガス昇温制御手段は、機関冷間時に内燃機関の点火時期を暖機後よりも遅角側に制御することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  14. 前記排ガス昇温制御手段は、筒内混合気の空燃比を理論空燃比付近又は弱リッチに制御することを特徴とする請求項13に記載の内燃機関の制御装置。
  15. 前記排ガス昇温制御手段は、点火遅角制御中の点火時期遅角量に基づいて排ガスの目標空燃比を設定することを特徴とする請求項13又は14に記載の内燃機関の制御装置。
  16. 前記排ガス昇温制御手段は、点火遅角制御中の点火時期遅角量が大きいほど排ガスの目標空燃比を理論空燃比に近づけて設定することを特徴とする請求項15に記載の内燃機関の制御装置。
  17. 内燃機関の吸気弁と排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構を備え、
    前記排ガス昇温制御手段は、前記吸気弁と排気弁のバルブオーバーラップ量を制御することで排ガス温度を後燃え可能な温度範囲に制御することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  18. 内燃機関の吸気弁と排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構を備え、
    前記排ガス昇温制御手段は、前記排気弁の開弁タイミングを進角側に制御することで排ガス温度を後燃え可能な温度範囲に制御することを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  19. 前記排ガス昇温制御手段は、機関運転状態に基づいて排ガス昇温制御を実施するか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  20. 前記排ガス昇温制御手段は、冷間始動時に機関回転速度が暖機後のアイドル回転速度よりも高い始動時回転速度に制御されているときに排ガス昇温制御を実施することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  21. 前記排ガス昇温制御手段は、始動から所定時間経過後は排ガス昇温制御を禁止することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  22. 前記排ガス昇温制御手段は、排ガス昇温制御中にトルク変動を抑制するトルク変動抑制制御を実施することを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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