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JP4367145B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、排気の一部を吸気系に還流する排気還流装置を備えた内燃機関の制御装置に関する。
例えば車両用の内燃機関において、NOxの低減のために排気の一部を吸気系に還流する排気還流装置が従来から知られているが、近年では、NOx低減のみならず、内燃機関のポンピングロス低減を目的として、より広い運転条件の下で多量の排気還流を行うことが、燃費向上技術の一つとして知られている。
特許文献1には、このような排気還流装置を備えた内燃機関の制御装置として、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ内燃機関の加速時に、排気還流量を減量補正するように構成されたものが開示されている。このように加速時に排気還流量を減量することで、燃焼室に導入される吸気中の新気の割合が増え、加速応答性が高くなる。
特開2000−205004号公報
しかしながら、加速時に、そのときの運転条件に拘わらず常に排気還流量を減量してしまうと、排気還流による燃費向上の効果が大きく減少する。つまり、燃費向上の上では、加速時であっても、できるだけ排気還流を行うことが望ましい。
一方、加速時に定常時と同様の排気還流を行うものとすると、特に、比較的高負荷域からの加速の際には、加速応答性のみならず燃費向上の観点からも好ましくない。すなわち、運転者が加速を要求してアクセルペダルを踏み込んだときに、大量の排気還流が行われると、トルクの立ち上がりが遅くなることから、運転者が無意識のうちにさらにアクセルペダルを踏み増す、という現象が生じ、内燃機関の運転条件が、燃費が極端に悪化する高負荷側の燃費悪化領域に入ってしまう。
この発明は、排気の一部を吸気系に還流する排気還流装置を備え、かつ内燃機関の運転条件に応じて所定の排気還流率となるように上記排気還流装置を制御する内燃機関の制御装置において、運転者の加速要求を検出する手段と、この加速要求が検出されたときの内燃機関の運転条件から高負荷側の所定の燃費悪化領域までの余裕の大小を判別する手段と、加速要求に対する運転条件変化が目標排気還流率の増加方向となるか否かを判別する手段と、を備え、上記の余裕が小さく、かつ目標排気還流率の増加方向に運転条件が変化する場合に、排気還流率をそのまま固定保持し、そうでない場合には運転条件に応じて所定の排気還流率となるように上記排気還流装置を制御することを特徴としている。
すなわち、運転者による加速要求があったときに、内燃機関の運転条件が比較的低負荷側にあって燃費悪化領域までの余裕が大きい場合には、定常時と同じく、運転条件に応じた目標排気還流率に沿って排気還流がなされる。
これに対し、燃費悪化領域までの余裕が小さく、かつ加速に伴って目標排気還流率が増加する方向に変化するときには、排気還流率の増加が禁止され、そのときの排気還流率にそのまま固定保持される。そのため、トルクの立ち上がりが早くなり、運転者による不必要なアクセル開度の増加つまりアクセルペダルの踏み増しが回避され、燃費悪化領域での運転が抑制される。また、燃費悪化領域までの余裕が小さくても、加速に伴って目標排気還流率が減少方向に変化するときには、運転条件に応じた目標排気還流率に沿って排気還流がなされ、徐々に排気還流率が減少していくことになる。
上記燃費悪化領域は、燃費が大きく悪化する高負荷側の領域を意味し、必要に応じて適宜に設定することができるが、例えば、低中負荷域では内燃機関の目標空燃比を理論空燃比とし、高負荷域では目標空燃比を理論空燃比以下のリッチな空燃比とする空燃比制御の下では、一般に、目標空燃比が理論空燃比以下となる運転領域つまり燃料増量域において燃料消費率が急激に増大するので、この燃料増量域を上記の燃費悪化領域とみなすことができる。なお、燃料消費率はさらに点火時期等によっても左右されるので、これらの要因を考慮した実際の燃料消費率の特性に基づいて、燃費悪化領域を定めるようにしてもよい。
上記の余裕の大小は、例えば、加速要求が検出されたときの内燃機関のトルクもしくはトルクの代替となるパラメータ、例えば、吸入空気量、燃料噴射量、スロットル開度、吸気コレクタ内の吸気圧、等に基づいて判別することができる。
また、上記のように排気還流率を固定保持するディレー時間は、上記の余裕の大きさに応じて可変的に設定することが望ましい。つまり、燃費悪化領域までの余裕がより小さいときには、ディレー時間を長くして排気還流率の増加を長く遅らせることで、アクセルペダルの踏み増しがより確実に回避される。
この発明によれば、排気還流率の増加を伴う加速時においても燃費悪化領域までの余裕が大きい場合には排気還流率の増加が許容されるので、排気還流による燃費向上がより大きく得られる。また、燃費悪化領域までの余裕が小さい条件からの加速時には、排気還流率の増加が禁止され、そのままの排気還流率でもって排気還流が継続されるので、運転者による不必要なアクセル開度の増加が回避され、燃費悪化領域の多用による燃費悪化を防止することができるとともに、排気還流による燃費向上効果が得られる。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明に係る制御装置のシステム構成を示す構成説明図であって、火花点火式ガソリン機関である内燃機関1は、燃焼室中心に点火プラグ2を備えるとともに、吸気弁3および排気弁4を備えており、かつ、クランクシャフトの回転を検出するクランク角センサ5が設けられている。
排気通路6は、触媒コンバータ7ならびに消音器8を備えており、上記触媒コンバータ7の上流位置に、排気空燃比を検出する空燃比センサ9が設けられている。そして、排気還流装置10として、上記排気通路6から吸気通路11に至る排気還流通路12が設けられているとともに、排気還流量を可変制御する例えばステップモータ型の排気還流制御弁13が該排気還流通路12に介装されている。
上記吸気通路11の下流側部分となる各気筒の吸気ポート入口部には、各吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁15がそれぞれ配置されている。そして、各気筒の吸気通路11は、吸気コレクタ16に集合しており、この吸気コレクタ16の入口側の吸気通路11に、電子制御型のスロットル弁17が設けられている。この電子制御型スロットル弁17は、電気モータからなるアクチュエータを備え、エンジンコントロールモジュール(ECM)19から与えられる制御信号によって、その開度が制御される。なお、スロットル弁17の実際の開度を検出する図示せぬセンサを一体に備えており、その検出信号に基づいて、スロットル弁開度が目標開度にクローズドループ制御される。また上記スロットル弁17の上流側に、空気流量を検出するエアフロメータ18が設けられている。
さらに、運転者により操作されるアクセルペダルの踏込量(アクセルペダル開度APO)を検出するアクセル開度センサ20を備えており、その検出信号は、上記のクランク角センサ5や空燃比センサ9、エアフロメータ18等の検出信号とともに、エンジンコントロールモジュール19に入力されている。エンジンコントロールモジュール19では、これらの検出信号に基づいて、燃料噴射弁15の噴射量や噴射時期、点火プラグ2による点火時期、スロットル弁17の開度、などを制御する。
また、上記の内燃機関1は、図示せぬベルト式無段変速機(いわゆるCVT)を介して車両の駆動輪を駆動している。この無段変速機の変速比は、車両の運転状態、主にアクセルペダル開度APOおよび車速に基づいて、連続的に制御される。
次に、上記実施例の構成における排気還流の制御について説明する。
初めに、基本的な排気還流制御、空燃比制御および燃費の特性について説明する。図2は、エンジントルクとエンジン回転数(機関回転速度)とをパラメータとして内燃機関1の運転条件を示した特性図であって、よく知られているように、「WOT」として示す最上部の線が、スロットル弁17を全開としたときの全開特性である。ここで、上記内燃機関1の空燃比制御としては、高負荷側の領域、具体的には、「理論空燃比限界」として示す線よりも高負荷側の領域(燃料増量域)では、理論空燃比よりもリッチな空燃比でもって運転され、「理論空燃比限界」の線よりも下側の低中負荷領域(理論空燃比領域)では、理論空燃比を目標空燃比として運転が行われる。つまり、上記の低中負荷領域では、燃料噴射弁15の燃料噴射量が、空燃比センサ9によるフィードバック制御によって補正され、理論空燃比に精度よく維持される。これに対し、高負荷側の燃料増量域では、燃料噴射量のフィードバック制御が停止され、理論空燃比よりもリッチ側の所定の目標空燃比が得られるように、燃料噴射量が増量される。
図2には、等燃費曲線を等高線状に記入してあり、等高線状の中心部が最も燃費が良好な運転条件となる。つまり、中速中負荷の点で最も良好な燃費が得られ、この点から、高負荷側もしくは低負荷側へ向かうと徐々に燃費は悪化し、同様に、低速側もしくは高速側へ向かうと徐々に燃費は悪化する。特に、上述した高負荷側の燃料増量域では、空燃比がリッチとなることから、燃費が大幅に悪化する。従って、この実施例では、上記の燃料増量域を燃費悪化領域と定義する。なお、燃費は、点火時期等によっても左右されるので、等燃費曲線と「理論空燃比限界」の線とは、僅かに異なった特性となっている。
また図2には、さらに、排気還流制御における目標とする排気還流率の特性を「EGR1」〜「EGR3」の3本の線でもって等高線状に図示してある。図では「EGR1」の線で囲まれた等高線状の中心部が最も高い排気還流率となる。また、最外周の「EGR3」の線の外側では、排気還流率は0、つまり排気還流は行われない。この図に示すように、本実施例では、運転条件の広い範囲で比較的多量の排気還流が行われる。なお、従来一般に行われている排気還流制御では、「EGR11」〜「EGR13」の3本の等高線状の線で示す低速低負荷側の狭い領域でのみ排気還流が行われ、その排気還流率の値そのものも、本実施例の排気還流率よりも低いものとなっている。つまり、本実施例では、ポンピングロス低減による燃費向上のために、理論空燃比領域の大部分の領域で、できるだけ多くの排気還流を行うようになっている。従って、排気還流が行われている状態で運転者により加速が要求されることが、頻繁に発生する。
次に、図3に基づいて、無段変速機の変速比との関係を説明する。図3の特性図には、図2と同様の等燃費曲線を示してあるが、これと併せて、平坦路走行時の走行抵抗に対するエンジントルクとエンジン回転数の特性つまりロード・ロード(R/L)曲線を図示してある。この図に明らかなように、本実施例では、燃費向上を図るために、R/L曲線が等高線状の等燃費曲線の燃費最良点を通るように、無段変速機の変速比が制御される。従来一般の変速比制御では、R/L曲線が、図に「従来」として示すように、燃費最良点よりも低負荷側となる。また、有段の自動変速機では、図に「ATのR/L線」として示すように、さらに低負荷側にR/L曲線が位置する。従って、本実施例では、燃費向上のために、比較的高い負荷でもって内燃機関1が運転されることになる。そのため、例えば平坦路走行中に加速した場合に、燃料増量域までの余裕トルクが比較的小さく、燃費の悪い燃料増量域での運転の頻度が高くなり易い。実際の燃費向上のためには、不必要な燃料増量域での運転を回避することが重要である。
特に、排気還流が行われている領域から加速したときに、燃料増量域までの余裕トルクが小さいと、燃料増量域が使用され易い。これを図4を用いて説明する。例えば、燃料増量域までの余裕トルクが少なくかつ排気還流領域内であるd点で内燃機関1が運転されている状態で、運転者がアクセルペダルを踏み込んで加速しようとしたときに、大量の排気還流が行われると、燃焼室に流入する新気の量が少なくなってしまうことから、スロットル弁17が開いてもトルクの立ち上がりが緩慢となる。そのため、加速(特に急加速)しようとしている運転者は、無意識のうちにアクセルペダルを踏み増す傾向があり、その結果、内燃機関1の運転条件は、図4の矢印Aで示すように変化し、不必要に燃料増量域が使用されてしまうことがある。特に、加速に伴って目標の排気還流率が増加する場合には、トルクの立ち上がりが一層遅くなることから、運転者によるアクセルペダルの踏み増しが行われやすく、燃料増量域に到達しやすい。
これに対し、本実施例では、燃料増量域までの余裕トルクが少ない場合には、急加速とみなしうる加速要求があったとき、特に加速に伴い目標排気還流率が増加するような加速要求があったときに、排気還流率の増加を禁止し、そのときの排気還流率を維持する。このように排気還流率の増加を禁止することで、燃焼室内に流入する新気の量が増え、スロットル弁17の開度増加に伴ってトルクが速やかに上昇するので、運転者による不要なアクセルペダルの踏み増しが回避される。そのため、内燃機関1の運転条件は、d点から矢印Bで示すように変化し、燃料増量域での運転が回避される。
また、本実施例では、加速に伴って目標排気還流率が減少方向に変化する場合、あるいは加速であっても緩加速の場合、さらには加速要求があった時点での余裕トルクが大きい場合には、排気還流率は通常通りに制御され、図2のような排気還流率の特性の制御マップ(目標EGRマップ)に従って、排気還流が行われる。そのため、ポンピングロス低減による燃費向上効果が最大限に得られる。
図5は、上記実施例における排気還流制御の要部を示すフローチャートであって、ステップ1およびステップ2によって、所定の急加速の要求があったか判定する。具体的には、ステップ1で、アクセルペダル開度APOの変化速度VAPOが所定値VAPOaよりも大きいか否か判定する。ステップ2では、アクセルペダル開度APOの値そのものが所定値APOaよりも大きいか否か判定する。つまり、アクセルペダルを、急激に、かつ大きく踏み込んだときに、急加速要求と判定する。ステップ1もしくはステップ2でNOであれば、ステップ8へ進み、目標EGRマップを参照して、通常の排気還流を行う。なお、目標排気還流率が0の領域では、実際には排気還流は行われない。
急加速要求と判定した場合には、ステップ3で、そのときの機関運転条件に基づき、燃料増量域までの余裕トルクの大小を判定する。この判定の具体的な方法については後述する。ここで、余裕トルクが大であると判定した場合には、上述のステップ8へ進み、目標EGRマップを参照して、通常の排気還流を行う。
これに対し、余裕トルクが小であると判定した場合には、ステップ4〜6において、加速要求に対する運転条件変化が目標排気還流率の増加方向となるか否かを判別する。すなわち、目標EGRマップを参照し(ステップ4)、加速後の予想される運転条件に対応する目標排気還流率と現在の排気還流率との差つまり排気還流率変化量ΔEGRを求め(ステップ5)、この排気還流率変化量ΔEGRが正であるか否かを判定する(ステップ6)。ステップ6でNOであれば、目標排気還流率は減少もしくは変化しないことになるので、やはり上述のステップ8へ進み、目標EGRマップを参照して、通常の排気還流を行う。そして、ステップ6でYESであれば、加速に伴って目標排気還流率が増加することになるので、ステップ7へ進み、所定のディレー時間の間、排気還流率をそのままの値に固定する。つまり、加速要求があったときの排気還流率のまま排気還流が継続される。なお、図2のd点から矢印に沿った加速のような場合に、目標排気還流率が増加する。
図6は、上記実施例の急加速時における作用を示すタイムチャートであって、上段から順に、アクセルペダル開度APO、アクセルペダル開度変化速度VAPO、要求駆動力P、スロットル弁開度TVO、吸気コレクタ16における吸気負圧boost、排気還流率EGR、エンジントルクTe、実際に発生した駆動力、をそれぞれ示している。この例では、図示するように、アクセルペダル開度APOが所定値APOaを越え、かつアクセルペダル開度変化速度VAPOが所定値APOaよりも大きいことで、急加速要求と判定される。要求駆動力Pは、運転者の加速要求に対し必要な駆動力(トルクと回転速度との積となる)であって、ここでは、アクセルペダル開度APOの変化と基本的に等しいものとみなしている。そして、この要求駆動力Pに従ってスロットル弁開度TVOが制御される。吸気負圧boostは、このスロットル弁開度TVOの変化に伴って変化する。
排気還流率EGRについては、この例では、加速に伴って目標排気還流率が増加するものとしており、従って、図示するように、所定のディレー時間ΔTの間、加速要求時点の排気還流率EGR1がそのまま維持され、ディレー時間ΔTの経過後、排気還流率EGR2へと変化する。
エンジントルクTe、および、実際に発生した駆動力、については、従来の特性を破線で示し、上記実施例の特性を実線で示している。すなわち、従来のものでは、排気還流率EGRが加速による運転条件変化に伴って増加するため、エンジントルクTeの立ち上がりが遅くなり、実際の駆動力の立ち上がりが要求駆動力Pよりも遅くなる。この結果、前述したアクセルペダルの踏み増しが生じやすい。これに対し、本実施例では、排気還流率EGRが増加しないため、実線で示すように、エンジントルクTeの立ち上がりが早くなり、実際の駆動力が要求駆動力Pに沿った形で得られる。なお、図6の例では、急加速の後、再び減速しているので、排気還流率EGRは実際にはより複雑に変化するが、図6では、理解を容易にするために、EGR1からEGR2へ単純に変化するように簡略化して示している。
次に、上述したステップ3の余裕トルクの大小の判定の具体的な方法について説明する。
図7は、その第1の実施例を示したもので、各々のエンジン回転数について、理論空燃比限界のトルク値を100%としたときに、ある一定の割合(図のA%)だけ低いトルク値を大小判定の閾値Taとし、急加速要求があったときのトルクが閾値Taよりも低負荷側の領域にあれば余裕トルクが大と判定し、閾値Taよりも高負荷側の領域にあれば余裕トルクが小であると判定する。
図8は、第2の実施例を示したもので、各々のエンジン回転数について、理論空燃比限界のトルク値から、ある一定のトルク(図のB[Nm])だけ低いトルク値を大小判定の閾値Tbとし、急加速要求があったときのトルクが閾値Tbよりも低負荷側の領域にあれば余裕トルクが大と判定し、閾値Tbよりも高負荷側の領域にあれば余裕トルクが小であると判定する。
図9は、第3の実施例を示したもので、エンジン回転数に拘わらずに、ある一定のトルク値(図のC[Nm])を大小判定の閾値Tcとし、急加速要求があったときのトルクが閾値Tcよりも低負荷側の領域にあれば余裕トルクが大と判定し、閾値Tcよりも高負荷側の領域にあれば余裕トルクが小であると判定する。特に、上記閾値Tcとなるトルク値Cの値は、エンジン回転数によって異なる理論空燃比限界の最小のトルク値に一致している。
なお、燃費悪化領域となる理論空燃比限界までの余裕の大小の判定に際し、エンジントルクの代替として、内燃機関1の吸入空気量、燃料噴射パルス幅、スロットル弁開度TVO、吸気負圧boost、等のトルクに相当する他のパラメータを用いることもできる。
また、上記のディレー時間ΔTは、常に一定時間であってもよいが、条件によって異なる値を与えるようにしてもよい。図10は、その一例を示すもので、余裕トルクが小と判定される領域(例えば図7の閾値Taもしくは図8の閾値Tbよりも高負荷側の領域)を、さらに余裕トルクの大きさによって2つの領域、つまり第1の領域Dと第2の領域Eとに区分し、加速要求時点に余裕トルクが相対的に大きな第1の領域Dにあれば第1のディレー時間ΔT1とし、余裕トルクが相対的に小さな第2の領域Eにあれば第2のディレー時間ΔT2とする。ここで、「ΔT1<ΔT2」であり、余裕トルクが小さいほど長いディレー時間ΔTとなる。従って、加速が完了するまでの間、排気還流率EGRの増加が確実に回避され、アクセルペダルの踏み増しによる燃料増量域への到達をより確実に抑制できる。
なお、このほか、急加速の程度(アクセルペダル開度APOやアクセルペダル開度変化速度VAPOの大きさ)あるいはエンジン回転数などに応じてディレー時間ΔTを設定するようにしてもよい。
この発明の一実施例を示すシステム構成図。 内燃機関の運転条件に対する、燃費、燃料増量域および排気還流率の特性を示す特性図。 内燃機関の運転条件に対する変速比の特性を示す特性図。 余裕トルクが小さいときの急加速による運転条件の変化を示した特性図。 本発明による排気還流制御を示すフローチャート。 急加速要求時の種々のパラメータの変化を示したタイムチャート。 余裕トルクの大小判定の第1の実施例を示す特性図。 余裕トルクの大小判定の第2の実施例を示す特性図。 余裕トルクの大小判定の第3の実施例を示す特性図。 ディレー時間ΔTの設定を説明するための特性図。
符号の説明
1…内燃機関
10…排気還流装置
19…エンジンコントロールモジュール
20…アクセル開度センサ

Claims (8)

  1. 排気の一部を吸気系に還流する排気還流装置を備え、かつ内燃機関の運転条件に応じて所定の排気還流率となるように上記排気還流装置を制御する内燃機関の制御装置において、運転者の加速要求を検出する手段と、この加速要求が検出されたときの内燃機関の運転条件から高負荷側の所定の燃費悪化領域までの余裕の大小を判別する手段と、加速要求に対する運転条件変化が目標排気還流率の増加方向となるか否かを判別する手段と、を備え、上記の余裕が小さく、かつ目標排気還流率の増加方向に運転条件が変化する場合に、排気還流率をそのまま固定保持し、そうでない場合には運転条件に応じて所定の排気還流率となるように上記排気還流装置を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 上記燃費悪化領域は、内燃機関の目標空燃比が理論空燃比以下となる燃料増量域であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 加速要求が検出されたときの内燃機関のトルクもしくはトルクの代替となるパラメータに基づいて上記の余裕の大小を判別することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 加速要求が検出されたときの内燃機関のトルクと同一回転速度での上記燃費悪化領域の境界におけるトルクとの差が所定値より小さいときに、上記の余裕が小であると判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 加速要求が検出されたときの内燃機関のトルクが、同一回転速度での上記燃費悪化領域の境界におけるトルクに占める割合が、所定値以上のときに、上記の余裕が小であると判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 加速要求が検出されたときの内燃機関のトルクが、上記燃費悪化領域の境界におけるトルクの最小値よりも大きいときに、上記の余裕が小であると判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 排気還流率を固定保持するディレー時間が、上記の余裕の大きさに応じて設定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  8. 上記内燃機関が、車両の運転状態に応じて変速比が可変制御される無段変速機と組み合わされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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