JP4354679B2 - 衛生洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、瞬間式加熱装置を備えた衛生洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置においては、人体に不快感を与えないようにするため洗浄に用いる洗浄水を適切な温度に調整する加熱装置が備えられている。このような加熱装置には、主に貯湯式加熱装置または瞬間式加熱装置がある。
【0003】
貯湯式加熱装置は、予め所定量の洗浄水を貯えるとともに内蔵した加熱ヒータにより洗浄水を所定の温度に加熱する温水タンクを備え、人体の局部を洗浄する際に、予め温水タンク内で所定の温度に加熱した洗浄水を水道圧を利用するかもしくはポンプ等により圧送してノズルより噴出させる方法を採用している。
【0004】
この貯湯式加熱装置においては、人体の局部を洗浄する際まで、予め温水タンク内の洗浄水を所定の温度に維持し続けなければならない。そのため、加熱ヒータに常時電力を供給する必要があることから消費電力が大きくなる。また、複数の人が連続して局部を洗浄し、予め温水タンク内で所定の温度に加熱した洗浄水の量以上を使用した際、温水タンク内の洗浄水の温度が所定の温度以下に低下して人体に不快感を与えてしまう。
【0005】
一方、瞬間式加熱装置は、人体の局部を洗浄する際に、洗浄水を昇温速度に優れたセラミックヒータ等の加熱ヒータにより所定の温度に加熱し、水道圧を利用するかもしくはポンプ等により圧送してノズルより噴出させる方法を採用している。
【0006】
そのため、瞬間式加熱装置においては、予め洗浄水を所定の温度に維持し続ける必要がなく、使用時のみ加熱ヒータに電力を供給すればよいので消費電力を抑制することができる(例えば、特許文献1参照)。また、長時間の洗浄や、トイレの連続使用等により多量の洗浄水を人体の局部の洗浄に用いた際でも、洗浄水の温度が所定の温度以下に低下して人体に不快感を与えることを防止することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−90155号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、瞬間式加熱装置を用いた衛生洗浄装置では、冬季等の周囲の温度が低い場合、洗浄水を加熱する際に加熱ヒータ等の昇温速度が追いつかず、使用開始時に未加熱の冷たい洗浄水が噴出され、人体に不快感を与えることがあった。
【0009】
本発明の目的は、洗浄動作の開始時に冷水が人体に噴出されることが防止された衛生洗浄装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る衛生洗浄装置は、給水源から供給される洗浄水を人体の被洗浄部に噴出する衛生洗浄装置であって、給水源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する瞬間式加熱手段と、瞬間式加熱手段から供給される洗浄水を第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給する水路切替手段と、第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水を噴出する噴出手段と、噴出手段から被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作の前に、瞬間式加熱手段により洗浄水を加熱する予備加熱動作および加熱された洗浄水を第1および第2の水路に供給する洗浄前供給動作を行うように瞬間式加熱手段および水流路切替手段を制御する制御手段とを備え、噴出手段は、第1および第2の給水口を有するとともに洗浄水を収容するシリンダ部と、シリンダ部内に移動可能に挿入されたピストン部とを有する第1のノズル装置を含み、第1水路は、ピストン部に設けられた第1の流路、および水路切替手段と第1の給水口との間に接続された第1の供給路を含み、第2水路は、ピストン部に設けられた第2の流路、および水路切替手段と第2の給水口との間に接続された第2の供給路を含み、第1の給水口からシリンダ部内に供給された洗浄水の圧力によりピストン部が所定の洗浄位置までシリンダ部から突出し、制御手段は、予備加熱動作時に第2の水路に洗浄水を供給するように水路切替手段を制御するものである。
【0011】
本発明に係る衛生洗浄装置においては、給水源から供給される洗浄水が瞬間式加熱手段により流動されつつ加熱され、水路切替手段により第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給される。第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水は噴出手段により噴出される。
【0012】
被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作前に、予備加熱動作および洗浄前供給動作が行われる。予備加熱動作では、瞬間式加熱手段により洗浄水が加熱され、洗浄前供給動作では、加熱された洗浄水が第1および第2の水路に供給される。それにより、第1および第2の水路が加熱された洗浄水で満たされ、洗浄動作の開始時に適度に加熱された洗浄水が噴出手段から被洗浄部に噴出され、噴出手段から冷水が噴出されることが防止される。その結果、洗浄開始時に人体に不快感を与えることが防止される。
【0014】
この場合、水路切替手段により第1の供給路に供給された洗浄水はシリンダ部の第1の給水口を通してピストン部の第1の流路に供給され、第1の流路を通して洗浄水がピストン部から噴出される。また、水路切替手段により第2の供給路に供給された洗浄水はシリンダ部の第2の給水口を通してピストン部の第2の流路に供給され、第2の流路を通して洗浄水がピストン部から噴出される。このとき、第1の給水口からシリンダ部内に供給された洗浄水の圧力によりピストン部が所定の洗浄位置まで突出する。それにより、衛生洗浄装置を大型化することなく非洗浄時に汚物がピストン部に付着することが防止される。また、洗浄水の圧力によりシリンダ部内からピストン部が突出するため、モータ等の他の駆動装置を必要とせず、構造が簡素化する。したがって、衛生洗浄装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
【0016】
また、予備加熱動作時に第2の水路に洗浄水が供給されるので、ピストン部がシリンダ部から突出しない。それにより、予備加熱動作時に、十分に加熱されていない洗浄水が人体に噴出されることが防止される。
【0017】
第2の発明に係る衛生洗浄装置は、給水源から供給される洗浄水を人体の被洗浄部に噴出する衛生洗浄装置であって、給水源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する瞬間式加熱手段と、瞬間式加熱手段から供給される洗浄水を第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給する水路切替手段と、第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水を噴出する噴出手段と、噴出手段から被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作の前に、瞬間式加熱手段により洗浄水を加熱する予備加熱動作および加熱された洗浄水を第1および第2の水路に供給する洗浄前供給動作を行うように瞬間式加熱手段および水流路切替手段を制御する制御手段とを備え、噴出手段は、第1および第2の給水口を有するとともに洗浄水を収容するシリンダ部と、シリンダ部内に移動可能に挿入されたピストン部とを有する第1のノズル装置を含み、第1水路は、ピストン部に設けられた第1の流路、および水路切替手段と第1の給水口との間に接続された第1の供給路を含み、第2水路は、ピストン部に設けられた第2の流路、および水路切替手段と第2の給水口との間に接続された第2の供給路を含み、第1の給水口からシリンダ部内に供給された洗浄水の圧力によりピストン部が所定の洗浄位置までシリンダ部から突出し、制御手段は、洗浄前供給動作時に瞬間式加熱手段により加熱された洗浄水を第2の水路に供給した後、第1の水路に供給するように水路切替手段を制御するものである。
【0018】
本発明に係る衛生洗浄装置においては、給水源から供給される洗浄水が瞬間式加熱手段により流動されつつ加熱され、水路切替手段により第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給される。第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水は噴出手段により噴出される。
被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作前に、予備加熱動作および洗浄前供給動作が行われる。予備加熱動作では、瞬間式加熱手段により洗浄水が加熱され、洗浄前供給動作では、加熱された洗浄水が第1および第2の水路に供給される。それにより、第1および第2の水路が加熱された洗浄水で満たされ、洗浄動作の開始時に適度に加熱された洗浄水が噴出手段から被洗浄部に噴出され、噴出手段から冷水が噴出されることが防止される。その結果、洗浄開始時に人体に不快感を与えることが防止される。
この場合、水路切替手段により第1の供給路に供給された洗浄水はシリンダ部の第1の給水口を通してピストン部の第1の流路に供給され、第1の流路を通して洗浄水がピストン部から噴出される。また、水路切替手段により第2の供給路に供給された洗浄水はシリンダ部の第2の給水口を通してピストン部の第2の流路に供給され、第2の流路を通して洗浄水がピストン部から噴出される。このとき、第1の給水口からシリンダ部内に供給された洗浄水の圧力によりピストン部が所定の洗浄位置まで突出する。それにより、衛生洗浄装置を大型化することなく非洗浄時に汚物がピストン部に付着することが防止される。また、洗浄水の圧力によりシリンダ部内からピストン部が突出するため、モータ等の他の駆動装置を必要とせず、構造が簡素化する。したがって、衛生洗浄装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
また、洗浄前供給動作時に、まず、瞬間式加熱手段により加熱された洗浄水が第2の水路に供給される。それにより、ピストン部がシリンダ部から突出しない状態で第2の水路が加熱された洗浄水で満たされる。その後、第1の水路に加熱された洗浄水が供給されることによりピストン部がシリンダ部から突出する。したがって、第2の水路が加熱された洗浄水で満たされる前にピストン部がシリンダ部から突出することが防止される。その結果、ピストン部が所定の洗浄位置までシリンダ部から突出したときに第1の水路および第2の水路が十分に加熱された洗浄水で満たされることになり、洗浄動作開始時に第1または第2の流路を通して十分に加熱されていない洗浄水が人体に噴出されることが確実に防止される。
【0019】
ピストン部が突出した状態で第1の水路に第1の温度緩衝部が形成されるとともに第2の水路に第2の温度緩衝部が形成されてもよい。
【0020】
この場合、瞬間式加熱手段の異常により洗浄水が高温に加熱された場合でも、第1および第2の水路に供給される洗浄水の温度が第1および第2の温度緩衝部によりそれぞれ緩衝される。それにより、ピストン部の第1および第2の流路を通して高温の洗浄水が人体に噴出されることが防止される。
【0021】
シリンダ部の内周面とピストン部の外周面との間に環状空間が形成され、洗浄位置までピストン部が突出した状態でシリンダ部内に収容部が形成されかつ環状空間が密閉状態となるとともに収容部から分離され、収容部が第1の温度緩衝部となり、環状空間が第2の温度緩衝部となってもよい。
【0022】
この場合、ピストン部がシリンダ部から突出した状態で、環状空間が密閉状態となり、収容部より分離される。第2の供給口より供給される洗浄水は、密閉された環状空間を通して第2の流路に導かれる。このように、第1の流路と第2の流路とが互いに独立に形成されるため、第1の流路および第2の流路を流れる洗浄水の流量をそれぞれ独立に変化させることができる。その結果、第1流路および第2の流路の流量比を容易にかつ任意に制御することができる。
【0023】
また、収容部が第1の温度緩衝部となり、環状空間が第2の温度緩衝部となるので、第1のノズル装置を大型化することなく瞬間式加熱手段の異常時に高温に加熱された洗浄水が人体に噴出されることが防止される。
【0024】
制御手段は、第1の水路への洗浄水の供給時に第2の水路への洗浄水の供給時に比べて大きな熱量を洗浄水に与えるように瞬間式加熱手段を制御してもよい。
【0025】
この場合、第1の水路は、第1の供給路およびシリンダ部内の収容部およびピストン部内の第1の流路を含むので、第2の水路に比べて熱容量が大きい。したがって、第1の水路への洗浄水の供給時に第2の水路への洗浄水の供給時に比べて大きな熱量を洗浄水に与えることにより、第1の水路内の洗浄水を第2の水路内の洗浄水と同等の温度に加熱することが可能となる。
【0026】
噴出手段は、第1の流路の洗浄水に回転力を作用させる回転力付与手段を含んでもよい。
【0027】
この場合、第1の流路の洗浄水に回転力が作用することにより第1の流路に供給された洗浄水が旋回流として噴出される。一方、第2の流路に供給された洗浄水は直線流として噴出される。したがって、第1の流路に流れる洗浄水の流量および第2の流路に流れる洗浄水の流量を制御することにより、種々の噴出形態で洗浄水を噴出させることができる。したがって、使用者の嗜好または体調に応じて種々の洗浄感をおよび洗浄力を得ることが可能となる。
【0028】
噴出手段は、第1および第2の流路に連通する噴出孔を有してもよい。この場合、第1の流路に供給された洗浄水と第2の流路に供給された洗浄水とが合流して噴出孔から噴出される。それにより、二次的に拡散した分散旋回流が噴出孔から噴出され、被洗浄部の広い面積が洗浄される。第1の流路に流れる洗浄水の流量および第2の流路に流れる洗浄水の流量を制御することにより、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度を変化させることができ、洗浄面積および洗浄感を変化させることが可能となる。したがって、使用者の嗜好または体調に応じて種々の洗浄感および洗浄力を得ることが可能となる。
【0029】
第1の流路および第2の流路に供給される洗浄水の流量比を制御する流量比制御手段をさらに備えてもよい。
【0030】
この場合、流量比制御手段により第1の流路および第2の流路に供給される洗浄水の流量比を制御することができる。それにより、第1の流路を通して噴出孔から噴出される分散旋回流と第2の流路を通して噴出孔から噴出される直線流との混合割合を任意にかつ連続的に変化させることができ、噴出孔から噴出される洗浄水の広がり角度および洗浄面積を連続的に変化させることができる。また、使用者の嗜好または体調に応じて洗浄水の噴出形態および流量を任意に調整することが可能となる。
【0031】
水路切替手段は、流量比制御手段を含んでもよい。この場合、流量比制御手段が水路切替手段に含まれるので、流量比制御手段を別途設ける必要がなく、衛生洗浄装置の小型化および簡素化が図られる。
【0032】
水路切替手段は、第1の水路に連通する第1の洗浄水出口および第2の水路に連通する第2の洗浄水出口を有する第1の部材と、第1の部材に相対的に回動可能に設けられ、洗浄水を受け入れる洗浄水入口ならびに第1および第2の洗浄水出口のいずれかに対向可能な孔部を有する第2の部材と、制御手段の制御に従って第2の部材を第1の部材に相対的に回動させる回転駆動手段とを含んでもよい。
【0033】
この場合、回転駆動手段により第2の部材が第1の部材に相対的に回動される。それにより、第2の部材の孔部が第1の部材の第1および第2の洗浄水出口のいずれかに対向する。第2の部材の孔部が第1の部材の第1の洗浄水出口に対向した場合には、第2の部材の洗浄水入口に供給された洗浄水が孔部を通して第1の部材の第1の洗浄水出口から第1の水路に供給される。また、第2の部材の孔部が第1の部材の第2の洗浄水出口に対向した場合には、第2の部材の洗浄水入口に供給された洗浄水が孔部を通して第1の部材の第2の洗浄水出口から第2の水路に供給される。
【0034】
この場合、回転駆動手段により第1の部材に対する第2の部材の回転量を調整することにより第1の水路および第2の水路に供給される洗浄水の流量比を容易に変化させることができる。
【0035】
制御手段は、予備加熱動作時に孔部が第1および第2の洗浄水出口に対向しない待機位置から孔部が第2の洗浄水出口に対向するように回転駆動手段により第2の部材を第1の部材に相対的に回動させてもよい。
【0036】
この場合、予備加熱動作時に、第2の部材の孔部が第1の部材の第2の洗浄水出口に対向する。それにより、第2の部材の洗浄水入口から供給された洗浄水が孔部を通して第1の部材の第2の洗浄水出口から第2の水路に供給される。
【0037】
この場合、予備加熱動作時に第2の水路に洗浄水が供給されるので、ピストン部がシリンダ部から突出しない。それにより、予備加熱動作時に、十分に加熱されていない洗浄水が人体に噴出されることが防止される。
【0038】
制御手段は、洗浄前供給動作時に孔部が第1および第2の洗浄水出口に対向しない待機位置から孔部が第2の洗浄水出口に対向した後、孔部が第1の洗浄水出口に対向するように回転駆動手段により第2の部材を第1の部材に相対的に回動させてもよい。
【0039】
この場合、洗浄前供給動作時に、第2の部材の孔部が第2の洗浄水出口に対向した後、第2の部材の孔部が第1の部材の第1の洗浄水出口に対向する。それにより、第2の部材の洗浄水入口から供給された洗浄水が孔部を通して第1の部材の第2の洗浄水出口から第2の水路に供給される。それにより、ピストン部がシリンダ部から突出しない状態で第2の水路が加熱された洗浄水で満たされる。その後、第2の部材の洗浄水入口に供給された洗浄水が孔部を通して第1の部材の第1の洗浄水出口から第1の水路に供給される。それにより、ピストン部がシリンダ部から突出するとともに、第1の水路が加熱された洗浄水で満たされる。したがって、第2の水路が加熱された洗浄水で満たされる前にピストン部がシリンダ部から突出することが防止される。その結果、ピストン部が所定の洗浄位置までシリンダ部から突出したときに第1の水路および第2の水路が十分に加熱された洗浄水で満たされることになり、洗浄動作開始時に第1または第2の流路を通して十分に加熱されていない洗浄水が人体に噴出されることが確実に防止される。
【0040】
孔部が第1および第2の洗浄水出口に対向しない状態で洗浄水入口から供給された洗浄水の一部が第1の洗浄水出口に導かれ、洗浄水入口から供給された洗浄水の他の一部が第2の洗浄水出口に導かれるように、第1の部材と第2の部材との間に隙間が形成されてもよい。
【0041】
この場合、水路切替手段の第2の部材の孔部が第1の部材の第1および第2の洗浄水出口に対向しない状態でも、洗浄水入口から供給された洗浄水の一部が隙間を通して第1の洗浄水出口に導かれ、洗浄水入口から供給された洗浄水の他の一部が隙間を通して第2の洗浄水出口に導かれる。それにより、第1および第2の水路に加熱された洗浄水が供給される。その結果、第1のノズル装置が常に保温される。
【0042】
噴出手段は、第3の水路を通して供給される洗浄水を噴出する第2のノズル装置をさらに含み、水路切替手段は、瞬間式加熱手段から供給される洗浄水を第1および第2の水路の一方もしくは両方または第3の水路に選択的に供給し、制御手段は、洗浄前供給動作時に加熱された洗浄水を第1、第2および第3の水路に供給してもよい。
【0043】
この場合、洗浄前供給動作時に、瞬間式加熱手段により加熱された洗浄水が第3の水路を通して第2のノズル装置に供給される。それにより、第2のノズル装置による洗浄動作の開始時に冷水が人体に噴出されることが防止される。
【0044】
使用開始を検出する検出手段と、洗浄動作の開始を指示する洗浄指示手段とをさらに備え、制御手段は、検出手段による使用開始の検出に応答して予備加熱動作を開始し、洗浄指示手段からの指示に応答して洗浄前供給動作を開始してもよい。
【0045】
この場合、検出手段による使用開始の検出に応答して予備加熱動作が自動的に開始され、洗浄指示手段からの指示に応答して洗浄前供給動作が自動的に開始される。それにより、洗浄動作の開始時に噴出手段から冷水が噴出されることが自動的に防止される。
【0046】
瞬間式加熱手段からの洗浄水を加圧して噴出手段に供給する加圧手段をさらに備えてもよい。
【0047】
この場合、瞬間式加熱手段からの洗浄水が加圧手段により加圧されて噴出手段に供給される。それにより、噴出手段から噴出される洗浄水の流量を増加させることが可能となる。その結果、洗浄感および洗浄力が向上する。
【0048】
加圧手段は、瞬間式加熱手段から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ加圧してもよい。
【0049】
この場合、加圧手段により洗浄水を周期的に変動する圧力で吐出させることができる。したがって、噴出手段から噴出される洗浄水の噴出速度が周期的に増加する。噴出孔から噴出された洗浄水は、空気抵抗により広がりを持った粒状に変化するので、少ない流量の洗浄水でも人体に高い洗浄感および洗浄力を与えることができる。また、洗浄水の圧力変動を制御することにより使用者の嗜好および体調に応じた洗浄が可能となる。
【0050】
加圧手段は、往復運動を行う加圧部材を有する往復動ポンプであってもよい。この場合、往復動ポンプにより洗浄水を周期的に変動する圧力で噴出手段から噴出させることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る衛生洗浄装置について説明する。
【0052】
図1は本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図である。
【0053】
図1に示すように、便器600上に衛生洗浄装置100が装着される。タンク700は、水道配管に接続されており、便器600内に洗浄水を供給する。
【0054】
衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
【0055】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられている。さらに、本体部200には、ノズル部30を含む洗浄水供給機構と着座センサ15とが設けられるとともに、制御部が内蔵されている。本体部200の制御部は、後述するように遠隔操作装置300により送信される信号に基いて、洗浄水供給機構を制御する。さらに、本体部200の制御部は、便座部400の下面に取り付けられた便座スイッチ15からの信号を受け、便座部400に内蔵されたヒータ、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御を行う。
【0056】
図2は図1の遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
図2に示すように、遠隔操作装置300は、複数のLED(発光ダイオード)301、複数の調整スイッチ302、おしりスイッチ303、マッサージスイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307、脱臭スイッチ308およびパワースイッチ309を備える。
【0057】
使用者により調整スイッチ302、おしりスイッチ303、マッサージスイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307、脱臭スイッチ308およびパワースイッチ309が押下操作される。それにより、遠隔操作装置300は、後述する衛生洗浄装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、洗浄水供給機構等を制御する。
【0058】
例えば、使用者が、おしりスイッチ303またはビデスイッチ306を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30が移動して洗浄水が噴出する。マッサージスイッチ304を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30から人体の局部に刺激を与える洗浄水が噴出される。停止スイッチ305を押下操作することによりノズル部30からの洗浄水の噴出が停止する。
【0059】
また、乾燥スイッチ307を押下操作することにより人体の局部に対して衛生洗浄装置100の温風供給装置(図示せず)より温風が噴出される。脱臭スイッチ308を押下操作することにより衛生洗浄装置100の脱臭装置(図示せず)により周辺の脱臭が行われる。
【0060】
調整スイッチ302は、水勢調整スイッチ302a,302b、温度調整スイッチ302c,302dおよび噴出形態調整スイッチ302e,302fを含む。
【0061】
使用者が、水勢調整スイッチ302a,302bを押下操作することにより、図1の衛生洗浄装置100の本体部200のノズル部30より噴出される洗浄水の水勢(圧力)が変化し、温度調整スイッチ302c,302dを押下操作することにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の温度が変化する。また、噴出形態調整スイッチ302e,302fを押下操作することによりノズル部30より噴出される洗浄水の噴出形態と広がり角度とが変化し、被洗浄面の洗浄面積が変化する。調整スイッチ302の押下に伴って複数のLED(発光ダイオード)301が点灯する。
【0062】
以下、本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200について説明を行う。図3は本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置100の本体部200の構成を示す模式図である。
【0063】
図3に示す本体部200は、制御部4、分岐水栓5、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10、熱交換器11、温度センサ12a,12b、室温センサ12c、通水センサ12d、ポンプ13、切替弁14、着座検知センサ15およびノズル部30を含む。また、ノズル部30は、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3を含む。
【0064】
図3に示すように、水道配管201に分岐水栓5が介挿される。また、分岐水栓5と熱交換器11との間に接続される配管202に、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10および温度センサ12aが順に介挿されている。さらに、熱交換器11と切替弁14との間に接続される配管203に、温度センサ12b、通水センサ12dおよびポンプ13が介挿されている。また、室温センサ12cは、衛生洗浄装置100の本体部200の周囲の温度が測定可能な位置に設けられる。
【0065】
まず、水道配管201を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓5によりストレーナ6に供給される。ストレーナ6により洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。次に、逆止弁7により配管202内における洗浄水の逆流が防止される。そして、定流量弁8により配管202内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。
【0066】
また、ポンプ13と切替弁14との間にはリリーフ配管204が接続され、止水電磁弁9と流量センサ10との間には、分岐点Aにおいて逃がし水配管205が接続されている。リリーフ配管204には、リリーフ弁206が介挿されている。リリーフ弁206は、配管203の特にポンプ13の下流側の圧力が所定値を超えると開成し、水圧異常時の機器の破損、ホースの外れ等の不具合を防止する。一方、定流量弁8によって流量が調節され供給される洗浄水のうちポンプ13で吸引されない洗浄水を逃がし水配管205から放出する。これにより、水道供給圧に左右されることなくポンプ13には所定の背圧が作用することになる。
【0067】
次いで、流量センサ10は、配管202内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部4に流量測定値を与える。また、温度センサ12aは、配管202内を流れる洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
【0068】
続いて、熱交換器11は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、配管202を通して供給された洗浄水を所定の温度に加熱する。温度センサ12bは、熱交換器11により所定の温度に加熱された洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。通水センサ12dは、配管203内に洗浄水が通水していることを示す通水信号を制御部4に与える。
【0069】
ポンプ13は、熱交換器11により加熱された洗浄水を制御部4により与えられる制御信号に基いて、切替弁14に圧送する。切替弁14には、供給路701,702を介しておしりノズル1が接続され、供給路703を介してビデノズル2が接続され、供給路704を介してノズル洗浄ノズル3が接続されている。切替弁14は、制御部4により与えられる制御信号に基いて、ノズル部30のおしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれか1つに洗浄水を供給する。それにより、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれか1つより洗浄水が噴出される。
【0070】
制御部4は、図1の遠隔操作装置300から無線送信される信号、着座検知センサ15からの信号、流量センサ10から与えられる流量測定値、温度センサ12a,12bおよび室温センサ12cから与えられる温度測定値、通水センサ12dから与えられる通水信号に基き止水電磁弁9、熱交換器11、ポンプ13および切替弁14に対して制御信号を与える。
【0071】
図4は熱交換器11の構造の一例を示す一部切り欠き断面図である。
図4に示すように、樹脂ケース504内に曲折された蛇行配管510が埋設されている。蛇行配管510に接触するように平板状のセラミックヒータ505が設けられている。矢印Yで示すように、洗浄水が、給水口511から蛇行配管510内に供給され、蛇行配管510中を流れる間に、セラミックヒータ505により効率よく加熱され、排出口512から排出される。
【0072】
図3の制御部4は、温度センサ12aおよび12bより与えられる温度測定値に基いて、熱交換器11のセラミックヒータ505の温度をフィードバック制御する。
【0073】
本実施の形態においては、制御部4がフィードバック制御により熱交換器11のセラミックヒータ505の温度を制御することとしたが、これに限定されず、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505の温度を制御してもよく、あるいは、温度上昇時には、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505を制御し、定常時には、フィードバック制御によりセラミックヒータ505を制御する複合的な制御を行ってもよい。
【0074】
図5はポンプ13の構造の一例を示す断面図である。図5のポンプは複動型レシプロポンプである。
【0075】
図5において、本体部138内には、円柱状空間139が形成されている。円柱状空間139内には圧送ピストン136が設けられている。圧送ピストン136の外周部には、X字パッキン136aが装着されている。圧送ピストン136により円柱状空間139がポンプ室139aとポンプ室139bとに分割される。
【0076】
本体部138の一側部には洗浄水入口PIが設けられ、他側部には洗浄水出口POが設けられている。洗浄水入口PIには図3の配管203を介して熱交換器11が接続され、洗浄水出口POには配管203を介して切替弁14が接続される。
【0077】
洗浄水入口PIは、内部流路P1、小室S1および小室S3を介してポンプ室139aに連通するとともに、内部流路P2、小室S2および小室S4を介してポンプ室139bに連通している。
【0078】
ポンプ室139aは、小室S5、小室S7および内部流路P3を介して洗浄水出口POに連通している。ポンプ室139bは、小室S6、小室S8および内部流路P4を介して洗浄水出口POに連通している。
【0079】
小室S3、小室S4、小室S7および小室S8には、それぞれアンブレラパッキン137が設けられている。
【0080】
モータ130の回転軸にギア131が取り付けられ、ギア131にギア132が噛合っている。また、ギア132には、クランクシャフト133の一端が一点支持で回動可能に取り付けられ、クランクシャフト133の他端には、ピストン保持部134およびピストン保持棒135を介して圧送ピストン136が取り付けられている。
【0081】
図3の制御部4により与えられる制御信号に基いて、モータ130の回転軸が回転すると、モータ130の回転軸に取り付けられたギア131が矢印R1の方向に回転し、ギア132が矢印R2の方向に回転する。これにより、圧送ピストン136が図中の矢印Zの方向に上下運動する。
【0082】
図6はアンブレラパッキン137の動作を説明するための模式図である。例えば、図5の圧送ピストン136が、下方向に移動し、ポンプ室139aの容積を増加させた場合、小室S1の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が低くなるため、小室S3に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(b)に示すように変形する。その結果、洗浄水入口PIから供給された洗浄水が、内部流路P1、小室S1および小室S3を介してポンプ室139aに流入する。この場合、小室S7の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が低くなるため、小室S7に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。そのため、洗浄水がポンプ室139a内へ流入したり、逆に洗浄水出口POより吐出されることもない。
【0083】
一方、図5の圧送ピストン136が、上方向に移動し、ポンプ室139aの容積を減少させた場合、小室S1の圧力よりもポンプ室139a内の圧力が高くなるため、小室S3に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(a)に示す状態のまま変形しない。その結果、小室S1内の洗浄水が、ポンプ室139aに流入しない。この場合、小室S7に設けられたアンブレラパッキン137は、図6(b)に示すように変形する。そのため、ポンプ室139a内の洗浄水が、小室S5、小室S7および内部流路P3を介して洗浄水出口POから吐出される。
【0084】
なお、小室S4内に設けられたアンブレラパッキン137は、圧送ピストン136が上方向に移動した場合に、図6(b)に示すように変形し、圧送ピストン136が下方向に移動した場合に、図6(a)に示す状態のまま変形しない。一方、小室S8に設けられたアンブレラパッキン137は、圧送ピストン136が上方向に移動した場合に、図6(a)に示す状態のまま変形せず、圧送ピストン136が下方向に移動した場合に、図6(b)に示すように変形する。それにより、ポンプ室139a内の洗浄水が洗浄水出口POから吐出されるときに、ポンプ室139b内に洗浄水入口PIからの洗浄水が流入し、ポンプ室139a内に洗浄水入口PIからの洗浄水が流入するときに、ポンプ室139b内の洗浄水が洗浄水出口POから吐出される。
【0085】
図7は図5のポンプ13の各部の圧力変化を示す図である。図7の縦軸は圧力を示し、横軸は時間を示す。
【0086】
図7に示すように、ポンプ13の洗浄水入口PIに圧力Piの洗浄水が供給される。この場合、図6の圧送ピストン136が上下方向に運動することにより、ポンプ室139a内の洗浄水の圧力Paは、点線のように変化する。一方、ポンプ室139b内の洗浄水の圧力Pbは、破線のように変化する。ポンプ13の洗浄水出口POより吐出される洗浄水の圧力Poutは、太い実線で示すように、圧力Pcを中心として上下に周期的に変化する。
【0087】
このように、ポンプ13においては、圧送ピストン136が上下運動を行うことにより、ポンプ室139aまたはポンプ室139b内の洗浄水に対して交互に圧力が加えられ、洗浄水入口PIの洗浄水が昇圧されて洗浄水出口POから吐出される。
【0088】
図8(a)は切替弁14の縦断面図であり、図8(b)は図8(a)の切替弁14のA−A線断面図であり、図8(c)は図8(a)の切替弁14のB−B線断面図であり、図8(d)は図8(a)の切替弁14のC−C線断面図である。
【0089】
図8に示す切替弁14は、モータ141、内筒142および外筒143により構成される。
【0090】
外筒143内に内筒142が挿入され、モータ141の回転軸が内筒142に取り付けられている。モータ141は、制御部4により与えられる制御信号に基いて回転動作を行う。モータ141が回転することにより内筒142が回転する。
【0091】
図8(a),(b),(c),(d)に示すように、外筒143の一端には、洗浄水入口143aが設けられ、側部の対向する位置に洗浄水出口143b,143cが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143cと異なる位置に洗浄水出口143dが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143c,143dと異なる位置に洗浄水出口143eが設けられている。内筒142の互いに異なる位置に孔142e,142f,142gが設けられている。孔142e,142fの周辺には、図8(b),(c)に示すように、曲線および直線で構成される面取り部(凹部)が形成され、孔142gの周辺には、図8(d)に示すように、直線で構成される面取り部(凹部)が形成されている。
【0092】
内筒142の回転により、孔142eが外筒143の洗浄水出口143bまたは143cと対向可能になっており、孔142fが外筒143の洗浄水出口143dと対向可能になっており、孔142gが外筒143の洗浄水出口143eと対向可能になっている。
【0093】
洗浄水入口143aには、図3の配管203が接続され、洗浄水出口143bは、供給路703を介してビデノズル2の後述する第3の流路に連通し、洗浄水出口143cは、供給路702を介しておしりノズル1の後述する第2の流路に連通し、洗浄水出口143dは、供給路701を介しておしりノズルの後述する第1の流路に連通し、洗浄水出口143eは、供給路704を介してノズル洗浄用ノズル3に連通している。
【0094】
図9は図8の切替弁14の動作を示す断面図である。
図9(a)〜(f)は切替弁14のモータ141がそれぞれ0度、90度、135度、180度、225度および270度回転した状態を示す。
【0095】
まず、図9(a)に示すように、モータ141を回転させない(0度)場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部(凹部)が外筒143の洗浄水出口143bに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W1で示すように洗浄水出口143bから流出する。
【0096】
次に、図9(b)に示すように、モータ141が内筒142を90度回転させた場合には、内筒142の孔142gの周囲の面取り部(凹部)が外筒143の洗浄水出口143eに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2で示すように洗浄水出口143eから流出する。
【0097】
次いで、図9(c)に示すように、モータ141が内筒142を135度回転させた場合には、内筒142の孔142gの周囲の面取り部(凹部)の一部が外筒143の洗浄水出口143eに対向するとともに、内筒142の孔142eの周囲の面取り部(凹部)の一部が外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、少量の洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2および矢印W3で示すように洗浄水出口143c,143eから流出する。
【0098】
次に、図9(d)に示すように、モータ141が内筒142を180度回転させた場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部(凹部)が外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W3で示すように洗浄水出口143cから流出する。
【0099】
次に、図9(e)に示すように、モータ141が内筒142を225度回転させた場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部(凹部)の一部が外筒143の洗浄水出口143cに対向するとともに、内筒142の孔142fの周囲の面取り部(凹部)の一部が外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、少量の洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W3および矢印W4で示すように洗浄水出口143c,143dから流出する。
【0100】
また、図9(f)に示すように、モータ141が内筒142を270度回転させた場合には、内筒142の孔142fの周囲の面取り部(凹部)が外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W4で示すように洗浄水出口143dから流出する。
【0101】
以上のように、制御部4からの制御信号に基いてモータ141が回転することにより内筒142の孔142e,142f,142gのいずれかが外筒143の洗浄水出口143b〜143eに対向し、洗浄水入口143aから流入した洗浄水が洗浄水出口143b〜143eのいずれかから流出する。
【0102】
なお、内筒142と外筒143の間には、少なくとも内筒142が回転するために必要な微小隙間が設けられている。それにより、143aから供給された洗浄水は、内筒142の孔142e,142f,142gのいずれかと対向する洗浄水出口から流出するとともに、他の洗浄水出口からもわずかに流出する。また、洗浄水入口143aから供給された洗浄水は、洗浄水出口143b〜143eのいずれもが内筒142の孔142e,142f,142gと対向しない場合にも、洗浄水出口143b〜143eからわずかに流出する。したがって、後述する全ての水路が常に保温され、人体に冷水が噴出されることが防止される。
【0103】
図10は図8の切替弁14の洗浄水出口143c,143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量および洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量を示す図である。図10の横軸はモータ141の回転角度を示し、縦軸は洗浄水出口143b〜143eから流出する洗浄水の流量を示す。また、実線Q1が洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量の変化を示し、一点鎖線Q2が洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量の変化を示し、二点鎖線Q3が洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量の変化を示し、破線Q4が洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量の変化を示す。
【0104】
例えば、図10に示すように、モータ141が回転しない場合(0度)、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度が大きくなるとともに洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3が減少し、洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4が増加する。
【0105】
次いで、モータ141が90度回転した場合、洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4が減少し、洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q1が増加する。
【0106】
続いて、モータ141が180度回転した場合、洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q1は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q1が減少し、洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q2が増加する。
【0107】
続いて、モータ141が270度回転した場合、洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q2は最大値を示す。そして、モータ141の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量Q2が減少し、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3が増加する。
【0108】
以上のように、制御部4が切替弁14のモータ141の回転角度を制御することにより洗浄水出口143b〜143eから流出する洗浄水の流量を制御することができる。さらに、切替弁14のモータ141の回転角度がいかなる場合でも、洗浄水出口142e,142f,142gのいずれかまたはそれらの周囲の面取り部(凹部)が洗浄水出口143b〜143eのいずれかに対向するので、洗浄水の流路が閉塞されず、洗浄水入口143aから供給された洗浄水は、洗浄水出口143b〜143eのいずれかから流出される。また、洗浄水は内筒142と外筒143の間の微小隙間を経由して、内筒の孔142e,142f,142gのいずれとも対向しない外筒143の洗浄水出口からわずかに流出する。
【0109】
次に、図3のノズル部30について説明する。図11は図3のノズル部30および切替弁14の模式的断面図である。
【0110】
図11に示すように、切替弁14の洗浄水出口143c,143dは、供給路701,702を介しておしりノズル1に接続され、切替弁14の洗浄水出口143bは供給路703を介してビデノズル2に接続され、切替弁14の洗浄水出口143eは供給路704を介してノズル洗浄ノズル3に接続される。
【0111】
まず、おしりノズル1の構成について説明し、次いで、ビデノズル2の構成について説明し、最後にノズル洗浄ノズル3の構成について説明する。
【0112】
おしりノズル1は、円筒状のピストン部20、円筒状のシリンダ部21、シールパッキン22a,22bおよびスプリング23により構成される。
【0113】
ピストン部20の先端近傍には、洗浄水を噴出するための噴出孔25が形成されている。ピストン部20の後端には、フランジ形状のストッパ部26a,26bが設けられている。また、ストッパ部26a,26bには、それぞれシールパッキン22a,22bが装着されている。ピストン部20の内部には、後端面から噴出孔25に連通する第1の流路27aが形成され、ストッパ部26aとストッパ部26bとの間におけるピストン部20の周面から噴出孔25に連通する第2の流路27bが形成されている。また、噴出孔25の周囲には、円筒状渦室29が形成されており、第1の流路27aと円筒状渦室29との間には、縮流部31が介挿されている。
【0114】
一方、シリンダ部21は、先端側の径小部分と中間の径を有する中間部分と後端側の径大部分とからなる。それにより、径小部分と中間部分との間に、ピストン部20のストッパ部26aがシールパッキン22aを介して当接可能なストッパ面21cが形成され、中間部分と径大部分との間に、ピストン部20のストッパ部26bがシールパッキン22bを介して当接可能なストッパ面21bが形成されている。シリンダ部21の後端面には、洗浄水入口24aが設けられ、シリンダ部21の中間部分の周面には、洗浄水入口24bが設けられ、シリンダ部21の先端面には、開口部21aが設けられている。シリンダ部21の内部空間が温度変動緩衝部28となる。洗浄水入口24aは、シリンダ部21の中心軸とは異なる位置に偏心して設けられている。洗浄水入口24aは、供給路701を介して切替弁14の洗浄水出口143dに接続され、洗浄水入口24bは、供給路702を介して切替弁14の洗浄水出口143cに接続されている。ピストン部20がシリンダ部21より最も突出した場合に、洗浄水入口24bは、第2の流路27bと連通する。この洗浄水入口24bが第2の流路27bと接続する詳細については後述する。
【0115】
ピストン部20は、ストッパ部26bが温度変動緩衝部28内に位置し、先端部が開口部21aから突出するように、シリンダ部21内に移動可能に挿入されている。
【0116】
さらに、スプリング23は、ピストン部20のストッパ部26aとシリンダ部21の開口部21aの周縁との間に配設されており、ピストン部20をシリンダ部21の後端側に付勢する。
【0117】
ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間に微小隙間が形成され、ピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間に微小隙間が形成されている。
【0118】
次に、ビデノズル2は、円筒状のピストン部20e、円筒状のシリンダ部21e、シールパッキン22eおよびスプリング23eにより構成される。
【0119】
ピストン部20eの先端近傍には、洗浄水を噴出するための噴出孔25eが形成されている。ピストン部20eの後端には、フランジ形状のストッパ部26eが設けられている。また、ストッパ部26eには、シールパッキン22eが装着されている。ピストン部20eの内部には、後端面から噴出孔25に連通する流路27e,27fが形成されている。
【0120】
一方、シリンダ部21eは、先端側の径小部分と後端側の径大部分とからなる。それにより、径小部分と径大部分との間に、ピストン部20eのストッパ部26eがシールパッキン22eを介して当接可能なストッパ面21fが形成されている。シリンダ部21eの後端面には、洗浄水入口24eが設けられ、シリンダ部21eの先端面には、開口部21gが設けられている。シリンダ部21eの内部空間が温度変動緩衝部28eとなる。洗浄水入口24eは、シリンダ部21eの中心軸とは異なる位置に偏心して設けられている。洗浄水入口24eは、供給路703を介して切替弁14の洗浄水出口143bに接続されている。
【0121】
ピストン部20eは、ストッパ部26eが温度変動緩衝部28e内に位置し、先端部が開口部21gから突出するように、シリンダ部21e内に移動可能に挿入されている。
【0122】
さらに、スプリング23eは、ピストン部20eのストッパ部26eとシリンダ部21eの開口部21gの周縁との間に配設されており、ピストン部20eをシリンダ部21eの後端側に付勢する。
【0123】
ピストン部20eのストッパ部26eの外周面とシリンダ部21eの内周面との間に微小隙間が形成され、ピストン部20eの外周面とシリンダ部21eの開口部21gの内周面との間に微小隙間が形成されている。
【0124】
次に、ノズル洗浄ノズル3は、円筒状の噴出部20kにより構成される。噴出部20kの先端近傍には、おしりノズル1側に洗浄水を噴出するための噴出孔25kとビデノズル2側に洗浄水を噴出するための噴出孔25mとが形成される。噴出部20kの後端には洗浄水入口24kが設けられる。噴出部20kの後端に設けられた洗浄水入口24kから噴出孔25kおよび噴出孔25mに連通する流路27kが形成される。洗浄水入口24kは、供給路704を介して切替弁14の洗浄水出口143eに接続されている。
【0125】
それにより、切替弁14の洗浄水出口143eより供給された洗浄水が、ノズル洗浄ノズル3の噴出部20kの洗浄水入口24kを介して流路27kを通して、噴出孔25kおよび噴出孔25mより噴出される。噴出孔25kおよび噴出孔25mより噴出された洗浄水により、おしりノズル1およびビデノズル2の洗浄が行われる。
【0126】
次いで、図11のおしりノズル1およびビデノズル2の動作について説明する。まず、おしりノズル1の動作について説明し、次に、ビデノズル2の動作について説明する。図12は図11のおしりノズル1の動作を説明するための断面図である。
【0127】
切替弁14の洗浄水出口143dから供給路701、おしりノズル1の洗浄水入口24a、シリンダ21内の空間、第1の流路27aを介して噴出孔25に至る水路を第1の水路と呼び、切替弁14の洗浄水出口143cから供給路702、おしりノズル1の洗浄水入口24b、ピストン部20の外周面とシリンダ部21の内周面との間の空間、第2の流路27bを介して噴出孔に至る水路を第2の水路と呼ぶ。
【0128】
図12(a)に示すように、シリンダ部21の洗浄水入口24a,24bより洗浄水が供給されない場合、ピストン部20が、スプリング23の弾性力により矢印Xの方向と逆方向に後退し、シリンダ部21内に収容されている。その結果、ピストン部20は、シリンダ部21の開口部21aより最も突出していない状態となる。このとき、シリンダ部21内には、温度変動緩衝部28が形成されない。
【0129】
図12(a)の状態で洗浄水入口24bより洗浄水が供給された場合、洗浄水はピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間から流れ出るとともに、ピストン部20の第2の流路27bを通して円筒状渦室29に供給され、噴出孔25からわずかに噴出される。
【0130】
それにより、シリンダ部21の内周面とピストン部20の外周面との間の空間、第2の流路27bおよび円筒状渦室29に残留した洗浄水を排出し、それらを加熱した洗浄水で満たすことが可能である。円筒状渦室29については後述する。
【0131】
次いで、図12(b)に示すように、シリンダ部21の洗浄水入口24aより洗浄水の供給が開始された場合、洗浄水の圧力によりピストン部20がスプリング23の弾性力に抗して矢印Xの方向に徐々に前進する。それにより、シリンダ部21内に温度変動緩衝部28が形成されるとともに温度変動緩衝部28に洗浄水が流入する。
【0132】
洗浄水入口24aがシリンダ部21の中心軸に対して偏心した位置に設けられているので、温度変動緩衝部28に流入した洗浄水は、矢印Vで示すように渦巻状に還流する。温度変動緩衝部28の洗浄水の一部は、ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間を通して、ピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間から流れ出るとともに、ピストン部20の第1の流路27aを通して円筒状渦室29に供給され、噴出孔25からわずかに噴出される。
【0133】
それにより、第1の水路および円筒状渦室29に残留した洗浄水を排出し、加熱された洗浄水で満たすことが可能である。
【0134】
ピストン部20がさらに前進すると、図12(c)に示すように、ストッパ部26a,26bがシールパッキン22a,22bを介してシリンダ部21のストッパ面21c,21bに水密に接触する。それにより、ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間からピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間に至る流路が遮断される。それにより、シリンダ部21内に温度変動緩衝部28aが形成される。温度変動緩衝部28aは、ピストン部20のストッパ部26aとシールパッキン22bとの間の外周面と、シリンダ部21の内周面とで形成され、環状の形状を有する。
【0135】
洗浄水入口24bよりおしりノズル1に流入した洗浄水は、一温度変動緩衝部28aに一旦貯留された後、第2の流路27bに供給される。第2の流路27bに供給された洗浄水は、円筒状渦室29に供給され、第1の流路27aを通して円筒状渦室29に供給された洗浄水と混合され、噴出孔25から噴出される。
【0136】
このように、切替弁14の洗浄水出口143d,143cより供給された洗浄水が、シリンダ部21の洗浄水入口24a,24bを介してピストン部20内の第1の流路27aおよび第2の流路27bを通して円筒状渦室29に導かれ、噴出孔25から噴出される。
【0137】
本実施の形態では、洗浄水の圧力によりピストン部20が所定の洗浄位置まで突出する。それにより、衛生洗浄装置を大型化することなく非洗浄時にピストン部20に汚物が付着することが防止される。また、第1の水路に温度変動緩衝部28が形成され、第2の水路に温度変動緩衝部28aが形成される。それにより、洗浄水の温度変動が緩衝される。さらに、洗浄水の圧力によりシリンダ部21内からピストン部20が突出するため、モータ等の他の駆動装置を必要とせず、構造が簡素化する。したがって、衛生洗浄装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
【0138】
次いで、図11のビデノズル2の動作について説明する。図13は図11のビデノズル2の動作を説明するための断面図である。
【0139】
まず、図13(a)に示すように、シリンダ部21eの洗浄水入口24eより洗浄水が供給されない場合、ピストン部20eが、スプリング23eの弾性力により矢印Xの方向と逆方向に後退し、シリンダ部21e内に収容されている。その結果、ピストン部20eは、シリンダ部21eの開口部21gより最も突出していない状態となる。このとき、シリンダ部21e内には、温度変動緩衝部28eが形成されない。
【0140】
なお、切替弁14の143bから供給路703、ビデノズル2の洗浄水入口24e、シリンダ部21e内の空間、第3の流路27e,27fを介して噴出孔25eに至る水路を第3の水路と呼ぶ。
【0141】
次いで、図13(b)に示すように、シリンダ部21eの洗浄水入口24eより洗浄水の供給が開始された場合、洗浄水の圧力によりピストン部20eがスプリング23eの弾性力に抗して矢印Xの方向に徐々に前進する。それにより、シリンダ部21e内に温度変動緩衝部28eが形成されるとともに温度変動緩衝部28eに洗浄水が流入する。
【0142】
洗浄水入口24eがシリンダ部21eの中心軸に対して偏心した位置に設けられているので、温度変動緩衝部28eに流入した洗浄水は、矢印Vで示すように渦巻状に還流する。温度変動緩衝部28eの洗浄水の一部は、ピストン部20eのストッパ部26eの外周面とシリンダ部21eの内周面との間の微小隙間を通して、ピストン部20eの外周面とシリンダ部21eの開口部21gの内周面との間の微小隙間から流れ出るとともに、ピストン部20eの第1の流路27eおよび第2の流路27fを通して円筒状渦室29eに供給され、噴出孔25eからわずかに噴出される。それにより、第3の水路および円筒状渦室29eに残留した洗浄水を排出し、加熱された洗浄水で満たすことが可能である。
【0143】
ピストン部20eがさらに前進すると、図13(c)に示すように、ストッパ部26eがシールパッキン22eを介してシリンダ部21eのストッパ面21fに水密に接触する。それにより、ピストン部20eのストッパ部26eの外周面とシリンダ部21eの内周面との間の微小隙間からピストン部20eの外周面とシリンダ部21eの開口部21gの内周面との間の微小隙間に至る流路が遮断される。それにより、ピストン部20eの第1の流路27eおよび第2の流路27fを通して噴出孔25eから噴出される。
【0144】
図14は図11のおしりノズル1のピストン部20の先端部の模式図である。図14(a)はピストン部20の先端部を上面から見た場合を示し、図14(b)はピストン部20の先端部を側面から見た場合を示す。
【0145】
まず、図14(b)に示すように、第1の流路27aは、円筒状の円筒状渦室29の周面に接続され、第2の流路27bは円筒状渦室29の底面に接続されている。切替弁14の洗浄水出口143c,143dからの洗浄水が第1の流路27aおよび第2の流路27bに供給される。
【0146】
図14(a)に示すように、第1の流路27aより円筒状渦室29に供給された洗浄水は、円筒状渦室29の内周面の曲面形状により矢印Zに示す渦巻状態で流動する。一方、第2の流路27bより円筒状渦室29に供給された洗浄水は、垂直上方向に直線状態で流動する。
【0147】
このように、円筒状渦室29において第1の流路27aの渦巻状態の洗浄水と第2の流路27bの直線状の洗浄水とが混合され、噴出孔25より洗浄水が噴出される。
【0148】
例えば、第1の流路27aより供給される洗浄水の流量が第2の流路27bより供給される洗浄の流量よりも多い場合、円筒状渦室29において混合される洗浄水は、円筒状の円筒状渦室29の曲面形状による渦巻状態を強く維持するため、図14(b)に示す矢印Hの広い角度で分散旋回流として噴出される。一方、第2の流路27bより供給される洗浄水の流量が第1の流路27aより供給される洗浄水の流量よりも多い場合、円筒状渦室29において混合される洗浄水は、直線状態を強く維持するため、図14(b)に示す矢印Sの狭い角度で直線流として噴出される。
【0149】
図12(c)のようにおりノズル1のピストン部20が完全に突出した場合、第1の水路と第2の水路は互いに分離している。したがって、制御部4が切替弁14のモータ141を制御して洗浄水出口143c,143dより流出する洗浄水の流量を独立して変化させることにより、噴出孔25より噴出される洗浄水の噴出形態が変化する。
【0150】
図15および図16は洗浄中に熱交換器11から排出される洗浄水およびおしりノズル1から噴出される洗浄水の温度変化を示す図である。
【0151】
縦軸が洗浄水の温度を示し、横軸が時間を示す。また、図15および図16においては、破線が熱交換器11の排出口512から排出される洗浄水の温度T1を示し、実線がおしりノズル1の噴出孔25より噴出される洗浄水の温度T2を示す。
【0152】
洗浄開始時に、図15に示すように、熱交換器11の排出口512から排出された洗浄水の温度T1は、設定温度Tqを超過して、大きくオーバーシュートを起こす。そして、一定時間Tc2経過後、ほぼ設定温度Tqで安定する。一方、温度変動緩衝部28,28aにより温度変動が緩衝されることにより、おしりノズル1の噴出孔25より噴出される洗浄水の温度T2は、時間Tc2よりも短い時間Tc1においてほぼ設定温度Tqで安定する。
【0153】
熱交換器11の温度が瞬間的に大きく変動すると、図16に示すように、熱交換器11の排出口512から排出された洗浄水の温度T1が瞬間的に大きく変動する。この場合、熱交換器11の排出口512から排出される洗浄水の温度は、制御部4の制御による応答遅れ時間T経過後、ほぼ設定温度Tqで安定する。
【0154】
一方、温度変動緩衝部28,28aで温度変動が緩衝されることにより、おしりノズル1の噴出孔25より噴出される洗浄水の温度T2は、ほとんど変化せず、ほぼ設定温度Tqで安定している。
【0155】
以上のことにより、本実施の形態に係る衛生洗浄装置100においては、おしりノズル1に温度変動緩衝部28,28aが設けられているので、バッファタンクを設けることなく、熱交換器11の温度変動による洗浄水の瞬間的な温度変動を抑制することができる。また、不使用時には、おしりノズル1のピストン部20がシリンダ部21内に収納されるので、おしりノズル1自体が小型化される。同様に、ビデノズル2自体も小型化される。したがって、衛生洗浄装置100全体を小型化することができ、省スペース化を図ることができる。
【0156】
また、衛生洗浄装置100の不使用時には、熱交換器11に電力を供給する必要がないので消費電力が低減される。さらに、熱交換器11の蛇行配管510に洗浄水を流しつつ加熱するので、洗浄水の使用量が多い場合でも洗浄水の温度の低下が生じない。
【0157】
また、洗浄水を貯留した状態で長時間保温する必要がないので、衛生洗浄装置100の使用時に、常に新鮮な洗浄水を噴出することができる。したがって、衛生上好ましい。
【0158】
図17は本実施の形態に係る制御部4の予備加熱動作の一例を示すフローチャートである。
【0159】
制御部4は、着座検知センサ15からの着座検知信号を受信したか否かを判定する(ステップS11)。この着座検知信号は、使用者が便座部400に腰掛けた際に着座検知センサ15より制御部4に送信される。制御部4は、着座検知センサ15より着座検知信号を受信したと判定した場合、予備加熱動作を開始する。
【0160】
まず、予備加熱動作において、制御部4は、止水電磁弁9に洗浄水を流通させるように指示する(ステップS12)。
【0161】
次いで、制御部4は、熱交換器11の出口側(下流側)に設けられた通水センサ12dより通水信号を受信したか否かを判定する(ステップS13)。この通水センサ12dは、配管203内が洗浄水で満たされている場合にのみ通水信号を制御部4に送信する。それにより、制御部4は、通水センサ12dから通水信号を受信すると、配管203に接続された熱交換器11の蛇行配管510内が洗浄水で満たされていると判定する。
【0162】
制御部4は、通水センサ12dからの通水信号を受信すると熱交換器11をオンする(ステップS14)。それにより、熱交換器11は、蛇行配管510を流通する洗浄水を加熱する。
【0163】
次いで、制御部4は、モータ141を回転させ、切替弁14をおしりノズル1の第2の水路側に切替える(ステップS15)。それにより、内筒142の孔142eが外筒143の洗浄水出口143cと対向し、おしりノズル1の第2の水路に洗浄水が供給される。
【0164】
この場合、第2の水路に供給された洗浄水は、図11のおしりノズル1のピストン部20の外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間を介しておしりノズル1の外部に排出され、第2の流路27bを通して噴出孔25からわずかに噴出される。
【0165】
また、洗浄水の一部は切替弁14の内筒142と外筒143の間の微小隙間を介して洗浄水出口143c以外の洗浄水出口から流出する。
【0166】
次いで、制御部4は、洗浄水が所定の温度に到達したか否かを判定する(ステップS16)。所定の温度に到達していないと判定した場合、制御部4は、所定の温度になるまで洗浄水を加熱する。一方、制御部4は、洗浄水が所定の温度に到達したと判定した場合、熱交換器11をオフする(ステップS17)。
【0167】
制御部4は、一定時間経過後、止水電磁弁9における洗浄水の流通を停止するように指示する(ステップS18)。
【0168】
さらに、制御部4は、モータ141を回転させ、切替弁14をおしりノズル1の第2の水路とノズル洗浄ノズル2の水路との間で停止するよう指示する(ステップS19)。このようにして、制御部4は、予備加熱動作を終了する。
【0169】
以上のように、予備加熱動作において、止水電磁弁9より洗浄水を流通させ、所定の温度になるまで熱交換器11により洗浄水を予備加熱し、おしりノズル1の第2の水路および微小隙間より洗浄水を排出させることにより、衛生洗浄装置100の止水電磁弁9から第2の水路を通して噴出孔25までの水路において残留していた低温の洗浄水がおしりノズル1より排出される。また、冬季等の周囲温度が低下した場合でも、熱交換器11により予備加熱された洗浄水がおしりノズル1より排出されるので、熱交換器11自体、配管203、切替弁14およびおしりノズル1を確実に温めることができる。
【0170】
さらに、第1の水路、ノズル洗浄ノズル2およびビデノズル3にも加熱された洗浄水が供給され、第1の水路、ノズル洗浄ノズル2およビデノズルに残留した低温の洗浄水が排出される。
【0171】
したがって、洗浄開始時に使用者に対して未加熱の洗浄水が噴出されることが防止される。
【0172】
さらに、通水センサ12dからの通水信号に基づいて熱交換器11内に洗浄水が供給されている場合にのみ洗浄水が加熱されるので、熱交換器11の空焚きを防止することができる。したがって、空焚きされた熱交換器11内を通過することにより高温の洗浄水が発生することがないため、洗浄開始時に使用者に対して高温の洗浄水が噴出されることが防止される。
【0173】
図18は本実施の形態に係る制御部4の洗浄前供給動作の一例を示すフローチャートである。
【0174】
使用者により図2の遠隔操作装置300のおしりスイッチ303が押下操作された際、遠隔操作装置300より制御部4におしりスイッチ押下信号が送信される。
【0175】
図18に示すように、制御部4は、遠隔操作装置300よりおしりスイッチ押下信号を受信したか否かを判定する(ステップS21)。制御部4は、おしりスイッチ303の押下信号を受信した場合、洗浄前供給動作を開始する。
【0176】
まず、洗浄前供給動作において、制御部4は、止水電磁弁9に洗浄水を流通させるように指示する(ステップS22)。
【0177】
次に、制御部4は、熱交換器11の出口側(下流側)に設けられた通水センサ12dより通水信号を受信したか否かを判定する(ステップS23)。この通水センサ12dは、配管203内が洗浄水で満たされている場合にのみ通水信号を制御部4に送信する。それにより、制御部4は、通水センサ12dから通水信号を受信すると、配管203に接続された熱交換器11の蛇行配管510内が洗浄水で満たされていると判定する。
【0178】
次いで、制御部4は、熱交換器11をオンする(ステップS24)。それにより、熱交換器11は、蛇行配管510を流れる洗浄水を加熱する。
【0179】
制御部4は、温度センサ12bより洗浄水の温度測定値を受信する(ステップS25)。制御部4は、温度センサ12bより受信した洗浄水の温度測定値が所定の温度に到達したか否かを判定する(ステップS26)。
【0180】
次いで、制御部4は、切替弁14をノズル洗浄ノズル2側に切替える(ステップS27)。それにより、切替弁14のモータ141が回転し、内筒142の孔142gが外筒143の洗浄水出口143eと対向し、ノズル洗浄ノズル2の洗浄水供給口24kに洗浄水が供給され、おしりノズル1およびビデノズル3の洗浄が行われる。
【0181】
制御部4は、一定時間経過後(ステップS28)、切替弁14を第2の水路側および第1の水路側に順に連続的に切り替える(ステップS38)。まず、切替弁14のモータ141が回転し、内筒142の孔142eが外筒143の洗浄水出口143cと対向し、おしりノズル1の洗浄水供給口24bに洗浄水が供給される。続いて、切替弁14のモータ141がさらに回転し、内筒142の孔142fが外筒143dと対向し、おしりノズル1の洗浄水供給口24aに洗浄水が供給される。
【0182】
この場合、第2の水路に残留した洗浄水を確実に排出して加熱した洗浄水で満たすことができるように、制御部4は切替弁14のモータ141が回転する速度を遅くする。
【0183】
切替弁14が第1の水路側に切り替わると、配管202,203を流通する洗浄水の流量がおしりノズル1のシリンダ部21とピストン部20の間の微小隙間により単位時間当りに排出できる洗浄水の流量を超過するため、おしりノズル1のピストン部20が図12(b)に示す状態からスプリング23の弾性力に抗して矢印Xの方向に徐々に前進する。この場合、ピストン部20が前進しつつ第1の水路に残留した洗浄水は確実に排出される。
【0184】
そして、ピストン部20がさらに前進し、図12(c)に示すように、ストッパ部26a,26bがシールパッキン22a,22bを介してシリンダ部21のストッパ面21c,21bに水密に接触する。それにより、ピストン部20のストッパ部26a,26bの外周面とシリンダ部21の内周面との間の微小隙間からピストン部20の外周面とシリンダ部21の開口部21aの内周面との間の微小隙間に至る流路が遮断される。したがって、洗浄水はピストン部20内の第1の流路を通して円筒状渦室29に導かれ、噴出孔25から分散旋回流として噴出される。
【0185】
第1の水路は、洗浄水の供給路、シリンダ部21内の収容部およびピストン部20内の第1の流路を含むため、第2の水路に比べて熱容量が大きい。しかしながら、図12(a)の状態から図12(c)の状態になるまでの間、第1の水路に供給される加熱された洗浄水は第1の水路を温めながらシリンダ部21とピストン部20との間の微小隙間より排出される。また、温度緩衝部28が形成されるため、加熱された洗浄水が温度緩衝部28に多量に供給される。したがって、第1の水路に大きな熱量が供給されることになり、第1の水路を十分に温めることができる。
【0186】
なお、ステップS27からS30の間、洗浄水の一部は切替弁14の内筒142と外筒143の間の微小隙間を介して、内筒142の孔と対向しない洗浄水出口から流出する。それにより、全ての水路に加熱された洗浄水が供給され、洗浄水の温度の低下を防ぐことができる。したがって、人体に不快感を与えない温度の洗浄水で人体の洗浄をすることが可能となる。
【0187】
さらに、通水センサ12dからの通水信号に基づいて熱交換器11内に洗浄水が通水している場合にのみ洗浄水が加熱されるので、熱交換器11の空焚きを防止することができる。したがって、洗浄開始時に使用者に対して高温の洗浄水が噴出されることが防止されるとともに機器の損傷や火災が防止される。
【0188】
本実施の形態に係る衛生洗浄装置100においては、水道配管201が給水源に相当し、ノズル部30が噴出手段に相当し、おしりノズル1が第1のノズル装置に相当し、ビデノズル2が第2のノズル装置に相当し、温度変動緩衝部28が第1の温度緩衝部に相当し、温度変動緩衝部28aが第2の温度緩衝部に相当し、検出手段が着座検知センサ15に相当し、ポンプ13が加圧手段に相当し、円筒状渦室29が回転力付与手段に相当し、切替弁14が流量比制御手段および水路切替手段に相当し、切替弁14の外筒143が第1の部材に相当し、切替弁14の内筒142が第2の部材に相当し、切替弁14のモータ141が回転駆動手段に相当し、制御部4が制御手段および洗浄指示手段に相当し、セラミックヒータ505が瞬間式加熱手段に相当する。
【0189】
【発明の効果】
本発明に係る衛生洗浄装置においては、給水源から供給される洗浄水が瞬間式加熱手段により流動されつつ加熱され、水路切替手段により第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給される。第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水は噴出手段により噴出される。
【0190】
被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作前に、予備加熱動作および洗浄前供給動作が行われる。予備加熱動作では、瞬間式加熱手段により洗浄水が加熱され、洗浄前供給動作では、加熱された洗浄水が第1および第2の水路に供給される。それにより、第1および第2の水路が加熱された洗浄水で満たされ、洗浄動作の開始時に適度に加熱された洗浄水が噴出手段から被洗浄部に噴出され、噴出手段から冷水が噴出されることが防止される。その結果、洗浄開始時に人体に不快感を与えることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図
【図2】図1の遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置の構成を示す模式図
【図4】熱交換器の構造の一例を示す一部切り欠き断面図
【図5】本実施の形態に係るポンプの構成を示す模式的断面図
【図6】アンブレラパッキンの動作を説明するための模式図
【図7】図5のポンプの圧力変化を示す図
【図8】(a)は切替弁の縦断面図であり、(b)は(a)の切替弁のA−A線断面図であり、(c)は(a)の切替弁のB−B線断面図であり、(d)は(a)の切替弁のC−C線断面図
【図9】図9の切替弁の動作を示す断面図
【図10】図10の切替弁の洗浄水出口からおしりノズルに流出する洗浄水の流量、洗浄水出口からビデノズルに流出する洗浄水の流量および洗浄水出口からノズル洗浄ノズルに流出する洗浄水の流量を示す図
【図11】図3のノズル部および切替弁の模式的断面図
【図12】図12のおしりノズルの動作を説明するための断面図
【図13】図12のビデノズルの動作を説明するための断面図
【図14】図12のおしりノズルのピストン部の先端部の模式図
【図15】洗浄開始時において熱交換器から排出される洗浄水およびおしりノズルから噴出される洗浄水の温度変化を示す図
【図16】熱交換器において瞬間的な温度変動が発生した場合に熱交換器から排出される洗浄水およびおしりノズルから噴出される洗浄水の温度変化を示す図
【図17】本実施の形態に係る制御部の予備加熱動作の一例を示すフローチャート
【図18】本実施の形態に係る制御部の洗浄前供給動作の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
1 おしりノズル
2 ビデノズル
3 ノズル洗浄ノズル
4 制御部
9 止水電磁弁
11 熱交換器
12d 通水センサ
13 ポンプ
14 切替弁
15 着座検知センサ
20,20e ピストン部
21,21e シリンダ部
24a,24b,24e,24k 洗浄水入口
25,25e 噴出孔
27a 第1の流路
27b 第2の流路
27e,27f 第3の流路
28,28a 温度変動緩衝部
30 ノズル部
141 モータ
142 内筒
143 外筒
143b,143c,143d,143e 洗浄水出口
200 本体部
201 水道配管
300 遠隔操作装置
701,702,703,704 供給路
Claims (18)
- 給水源から供給される洗浄水を人体の被洗浄部に噴出する衛生洗浄装置であって、
前記給水源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する瞬間式加熱手段と、
前記瞬間式加熱手段から供給される洗浄水を第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給する水路切替手段と、
前記第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水を噴出する噴出手段と、
前記噴出手段から被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作の前に、前記瞬間式加熱手段により洗浄水を加熱する予備加熱動作および加熱された洗浄水を前記第1および第2の水路に供給する洗浄前供給動作を行うように前記瞬間式加熱手段および前記水流路切替手段を制御する制御手段とを備え、
前記噴出手段は、第1および第2の給水口を有するとともに洗浄水を収容するシリンダ部と、前記シリンダ部内に移動可能に挿入されたピストン部とを有する第1のノズル装置を含み、
前記第1水路は、前記ピストン部に設けられた第1の流路、および前記水路切替手段と前記第1の給水口との間に接続された第1の供給路を含み、
前記第2水路は、前記ピストン部に設けられた第2の流路、および前記水路切替手段と前記第2の給水口との間に接続された第2の供給路を含み、
前記第1の給水口から前記シリンダ部内に供給された洗浄水の圧力により前記ピストン部が所定の洗浄位置まで前記シリンダ部から突出し、
前記制御手段は、前記予備加熱動作時に前記第2の水路に洗浄水を供給するように前記水路切替手段を制御することを特徴とする衛生洗浄装置。 - 給水源から供給される洗浄水を人体の被洗浄部に噴出する衛生洗浄装置であって、
前記給水源から供給される洗浄水を流動させつつ加熱する瞬間式加熱手段と、
前記瞬間式加熱手段から供給される洗浄水を第1および第2の水路の一方または両方に選択的に供給する水路切替手段と、
前記第1および第2の水路の一方または両方を通して供給される洗浄水を噴出する噴出手段と、
前記噴出手段から被洗浄部に洗浄水を噴出する洗浄動作の前に、前記瞬間式加熱手段により洗浄水を加熱する予備加熱動作および加熱された洗浄水を前記第1および第2の水路に供給する洗浄前供給動作を行うように前記瞬間式加熱手段および前記水流路切替手段を制御する制御手段とを備え、
前記噴出手段は、第1および第2の給水口を有するとともに洗浄水を収容するシリンダ部と、前記シリンダ部内に移動可能に挿入されたピストン部とを有する第1のノズル装置を含み、
前記第1水路は、前記ピストン部に設けられた第1の流路、および前記水路切替手段と前記第1の給水口との間に接続された第1の供給路を含み、
前記第2水路は、前記ピストン部に設けられた第2の流路、および前記水路切替手段と前記第2の給水口との間に接続された第2の供給路を含み、
前記第1の給水口から前記シリンダ部内に供給された洗浄水の圧力により前記ピストン部が所定の洗浄位置まで前記シリンダ部から突出し、
前記制御手段は、前記洗浄前供給動作時に前記瞬間式加熱手段により加熱された洗浄水を前記第2の水路に供給した後、前記第1の水路に供給するように前記水路切替手段を制御することを特徴とする衛生洗浄装置。 - 前記ピストン部が突出した状態で前記第1の水路に第1の温度緩衝部が形成されるとともに前記第2の水路に第2の温度緩衝部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
- 前記シリンダ部の内周面と前記ピストン部の外周面との間に環状空間が形成され、前記洗浄位置まで前記ピストン部が突出した状態で前記シリンダ部内に収容部が形成されかつ前記環状空間が密閉状態となるとともに前記収容部から分離され、
前記収容部が前記第1の温度緩衝部となり、前記環状空間が前記第2の温度緩衝部となることを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置。 - 前記制御手段は、前記第1の水路への洗浄水の供給時に前記第2の水路への洗浄水の供給時に比べて大きな熱量を洗浄水に与えるように前記瞬間式加熱手段を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記噴出手段は、前記第1の流路の洗浄水に回転力を作用させる回転力付与手段を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記噴出手段は、前記第1および第2の流路に連通する噴出孔を有することを特徴とする請求項6記載の衛生洗浄装置。
- 前記第1の流路および前記第2の流路に供給される洗浄水の流量比を制御する流量比制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の衛生洗浄装置。
- 前記水路切替手段は、前記流量比制御手段を含むことを特徴とする請求項8記載の衛生洗浄装置。
- 前記水路切替手段は、前記第1の水路に連通する第1の洗浄水出口および前記第2の水路に連通する第2の洗浄水出口を有する第1の部材と、
前記第1の部材に相対的に回動可能に設けられ、洗浄水を受け入れる洗浄水入口ならびに前記第1および第2の洗浄水出口のいずれかに対向可能な孔部を有する第2の部材と、
前記制御手段の制御に従って前記第2の部材を前記第1の部材に相対的に回動させる回転駆動手段とを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の衛生洗浄装置。 - 前記制御手段は、前記予備加熱動作時に前記孔部が前記第1および第2の洗浄水出口に対向しない待機位置から前記孔部が前記第2の洗浄水出口に対向するように前記回転駆動手段により前記第2の部材を前記第1の部材に相対的に回動させることを特徴とする請求項10記載の衛生洗浄装置。
- 前記制御手段は、前記洗浄前供給動作時に前記孔部が前記第1および第2の洗浄水出口に対向しない待機位置から前記孔部が前記第2の洗浄水出口に対向した後、前記孔部が前記第1の洗浄水出口に対向するように前記回転駆動手段により前記第2の部材を前記第1の部材に相対的に回動させることを特徴とする請求項10または11に記載の衛生洗浄装置。
- 前記孔部が前記第1および第2の洗浄水出口に対向しない状態で前記洗浄水入口から供給された洗浄水の一部が前記第1の洗浄水出口に導かれ、前記洗浄水入口から供給された洗浄水の他の一部が前記第2の洗浄水出口に導かれるように、前記第1の部材と前記第2の部材との間に隙間が形成されたことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記噴出手段は、第3の水路を通して供給される洗浄水を噴出する第2のノズル装置をさらに含み、
前記水路切替手段は、前記瞬間式加熱手段から供給される洗浄水を前記第1および第2の水路の一方もしくは両方または前記第3の水路に選択的に供給し、
前記制御手段は、前記洗浄前供給動作時に加熱された洗浄水を前記第1、第2および第3の水路に供給することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の衛生洗浄装置。 - 使用開始を検出する検出手段と、
洗浄動作の開始を指示する洗浄指示手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段による使用開始の検出に応答して前記予備加熱動作を開始し、前記洗浄指示手段からの指示に応答して前記洗浄前供給動作を開始することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の衛生洗浄装置。 - 前記瞬間式加熱手段からの洗浄水を加圧して前記噴出手段に供給する加圧手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
- 前記加圧手段は、前記瞬間式加熱手段から供給される洗浄水に周期的な圧力変動を与えつつ加圧することを特徴とする請求項16記載の衛生洗浄装置。
- 前記加圧手段は、往復運動を行う加圧部材を有する往復動ポンプを含むことを特徴とする請求項17記載の衛生洗浄装置。
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