この発明はディジタルカメラ(スチルカメラ,ビデオカメラを含む)等の撮像装置で撮影することにより得られる画像データを,プリント,その他の画像処理のために端末装置に伝送する画像伝送システムおよび方法,ならびにこの画像伝送システムで好適に用いられるディジタルカメラ等の撮像装置,メモリカード等の記録媒体,端末装置およびサーバ(仲介装置)に関する。
ディジタルカメラを含む撮像装置で撮影(撮像)することにより得られる画像データは,一般的には,撮像装置に着脱自在の記録媒体(メモリカードなど)に記録される。この記録媒体内の画像データを利用して,店舗に設置された店頭プリンタまたは家庭に置かれたプリンタにより,プリント画を作成することができる。プリンタまたはプリンタを備えた端末装置において記録媒体に格納されている画像データを利用するためには,記録媒体をプリンタまたは端末装置に装着ないしは挿入しなければならない。
近年,大きさやコネクタの形状の異なる数多くの種類の記録媒体が開発され,市場に出廻っている。これらの異なる種類の記録媒体のいくつかを利用可能とするためには,プリンタまたは端末装置に各記録媒体に適合する開口(挿入口または装着口)を設けなければならず,プリンタまたは端末装置が大型化したり,高価となったりするなどの問題点がある。
特許文献1には,観光地に設置した画像供給端末と,店舗または家庭内のプリント端末とを通信ネットワークにより接続するシステムが開示されている。画像供給端末には,観光地で事前に撮影された写真の画像データと,その写真の縮小画像データとを対応付けて記憶させておく。画像供給端末からディジタルカメラに縮小画像データを転送し,ディジタルカメラのメモリカードに記憶させる。ディジタルカメラからメモリカードを取り外しプリント端末に差し込むと,プリント端末が,メモリカードに記憶された縮小画像データを読み出し,それに対応する画像データを画像供給端末からダウンロードし,ダウンロードした画像データを用いて写真を印刷する。
特開2002−311516号公報
上記の従来技術においてもメモリカードをプリント端末に差し込まなければならず,上述の問題点は解決されない。
メモリカード等の記録媒体の利点はその持ち運びが容易であるという点である。端末装置においてプリント画(写真)を印刷することの制約は,プリントした写真を受取らなければならないということである。したがって,記録媒体をプリント端末装置が設置されている場所に持っていき,その場でプリントを行い,プリント画を受取るという形態が好ましいということになる。プリント端末装置が店舗に設置されている場合でも,プリンタが家庭にある場合でもこのことは同じである。
この発明は,記録媒体を端末装置のところに持っていって,その場で,端末装置における画像の処理(代表的にはプリント処理,表示処理など)を行なえるようにするものであり,その場合に,さまざまな異なる形態の記録媒体であっても,それらにそれぞれ適合した開口を端末装置に設けなくてすむようにするものである。
この発明は,上記の目的を達成する画像伝送システムおよび方法を提供する。
この発明はまた,上記の画像伝送システムの構築または上記方法の実施に適した撮像装置,記録媒体,端末装置およびサーバ(仲介装置)を提供する。
この発明による画像伝送システムは,記録媒体が着脱自在の撮像装置と,画像のプリント,表示等の画像処理の機能を持つまたは画像処理の制御を行なう端末装置と,撮像装置と端末装置との間の画像データのやりとりを仲介する仲介装置(好ましくはサーバ)とから構成される。
以下に,これらの各装置の構成を独立に説明する。
撮像装置は,記録媒体が着脱自在で,装着されたときに記録媒体を電気的に接続する結合手段,被媒体を撮影し,撮影により得られた画像データを出力する撮像手段,上記撮像手段から出力される各画像を表わす画像データについて画像IDを発生する画像ID発生手段,上記撮像手段から出力される画像データとこれに対応して上記画像ID発生手段から発生する画像IDとを関連づけて記憶手段に記憶させる画像データ記憶制御手段,少なくとも上記画像ID発生手段から発生する画像IDを記録媒体に書込む記憶媒体制御手段,および上記記憶手段に相互に関連づけて記憶された画像データと画像IDをユーザIDとともに外部装置に出力する出力手段を備えているものである。
撮像装置は,典型的には,ディジタルスチルカメラ,ディジタルムービカメラ等を含む。記録媒体は,典型的には,メモリカード,メモリカートリッジ等を含む。外部装置は上記仲介装置(サーバ)に相当する。上記結合手段は接触型のコネクタを含む。
上記記憶手段は撮像装置内のメモリであっても,上記記録媒体(上記記録媒体内の後述する不揮発性メモリ)であってもよい。上記記憶手段が上記記録媒体の場合には,上記画像データ記憶制御手段は上記記録媒体制御手段に含まれる。すなわち,上記記録媒体制御手段は,上記撮像手段から出力される画像データとこれに対応して上記画像ID発生手段から発生する画像IDとを関連づけて上記記録媒体に書込む。
画像IDは,撮影した一駒ごとの(一画像ごとの)画像データを特定するもので,駒番号を含んでもよいし,画像IDとは別に駒番号を画像データに付与して記憶してもよい。
ユーザIDはユーザを特定するもので,上記記録媒体に記憶させておくか,撮像装置に記憶させておく。好ましくは,ユーザのパーソナルコンピュータから上記仲介装置にアクセスしてユーザIDを上記仲介装置に登録し(ユーザIDは好ましくは仲介装置が発生する),かつパーソナルコンピュータによって上記記録媒体の不揮発性メモリに書込んでおく。撮像装置は記録媒体からユーザIDを取得する。記録媒体にはパーソナルコンピュータによって,後述する仲介装置のアドレス情報(URLなど)も記録しておく。
上記出力手段は一般的には送信手段であり,有線,無線を問わず,画像データと画像IDとユーザIDとを外部装置(仲介装置)に送信する。撮像装置に送信ボタンを設けておき(表示画面に送信ボタンを表示する態様を含む),送信ボタンの押下(タッチ)に応答して上記各種データの送信を開始してもよいし,上記外部装置からの送信指令に応答して撮像装置における送信動作を開始するようにしてもよい。画像データの出力は,一画像分ずつ行なってもよいし,数画像分をまとめて行なってもよい。
一実施態様では,上記出力手段により出力された画像データについて出力済であることを示す出力済データを付与する出力済明示手段が撮像装置にさらに設けられる。これにより,出力済の画像データかどうか分るので,次に説明する画像データの消去が正しく行なえるようになる。
すなわち,撮像装置には,さらに他の実施態様では,上記出力済明示手段によって出力済データが付与された画像データを消去する画像データ消去手段がさらに設けられる。出力済の画像データが消去されるので,撮像装置の記憶手段または記録媒体の不揮発性メモリの容量を有効に活用できる。
画像データの消去は,記憶手段または記録媒体に記憶可能な画像数が少なくなったとき(記憶可能な容量が所定値以下となったとき)に行なうことが好ましく,この場合に,自動的に消去しても,記憶容量が少なくなったことまたは消去可能な画像の駒番号または画像IDを表示してユーザによる消去確認ボタン(表示画面上の消去確認ボタンを含む)が押されたことに応答して消去してもよい。記憶可能な容量が少なくない場合でも消去確認ボタンの押下に応答して,確認された画像の画像データを消去するようにしてもよい。出力済の画像データであるか否かにかかわりなく,ユーザによる画像の特定と消去の確認に応答して対応する画像データを消去してもよい。
上記記録媒体は,少なくとも外部装置にアクセスするためのアドレス情報と,ユーザIDと,画像IDとを記憶するための不揮発性メモリ,撮像装置に装着されたときに,撮像装置から送出される少なくとも画像IDの上記不揮発メモリへの書込みと,上記不揮発性メモリから上記アドレス情報,ユーザIDおよび画像IDの読出しとを制御するメモリ制御手段,ならびに外部機器と非接触にデータ通信可能で,外部機器に上記不揮発性メモリから読出されるアドレス情報,ユーザIDおよび画像IDを出力する非接触型インターフェイス手段を備えている。外部装置は上記の通り仲介装置に相当し,外部機器は上記端末装置に相当する。
アドレス情報は上記の通り,外部装置(仲介装置)をアクセスするためのものであり,外部装置がインターネット上のサーバの場合にはURLである。ユーザIDは,上記の通り,好ましくはあらかじめパーソナルコンピュータにより記録媒体に記憶しておく。またユーザIDは外部装置にあらかじめ登録しておく。
この発明における記録媒体の機能からいえば,記録媒体の不揮発性メモリには,画像IDが記憶されていれば充分であり,画像データを記憶する必要は必ずしもないが,好ましくは,上記メモリ制御手段は,撮像装置から送出される各画像を表わす画像データをその画像IDと関連づけて不揮発性メモリに記憶するように制御する。
非接触型インターフェイス手段は,一般にコイル等のアンテナを含み,後述する端末装置(外部機器)の非接触型インターフェイス手段と近接した状態で電磁誘導により結合して上記の各種データを送出するものであり,好ましくは端末装置(外部機器)からの電磁誘導により電力の供給を受けて,不揮発性メモリからアドレス情報,ユーザIDおよび画像IDを読出して,電磁誘導により送出するものである。
上記端末装置は,上記記録媒体と非接触にデータ通信可能で,記録媒体が保持する,外部装置にアクセスするためのアドレス情報と,ユーザIDと,画像IDとを読取る非接触型インターフェイス手段,上記非接触型インターフェイス手段により読取った上記アドレス情報によりアクセスされる外部装置に,上記ユーザIDおよび画像IDを伴う画像要求を送信する画像要求送信手段,ならびに上記画像要求に応答して,上記外部装置から送信される,上記ユーザIDおよび画像IDに対応する画像データを受信する画像データ受信手段を備えているものである。上記外部装置は上記仲介装置(サーバ)に相当する。
上記端末装置は外部装置(仲介装置)と,有線,無線を問わず(インターネット等のネットワークを含む)通信可能であればよい。また,端末装置は,プリンタであってもよいし,画像プリンタ機能や画像表示機能をもつものでもよいし,別途に設けられたプリンタや表示装置に画像データを送出してこれを制御するものでもよい。
非接触型インターフェイス手段は,上記の通り,記録媒体の非接触型インターフェイス手段と近接した状態で電磁誘導により結合し,データの授受を行なうものであり,好ましくは電磁誘導により記録媒体の非接触型インターフェイス手段にその動作のための電力を供給する。
仲介装置(外部装置)(サーバ)は,撮像装置が保持する,相互に関連づけられた画像データと画像IDをユーザIDとともに受信する受信手段,上記受信手段によって受信した画像データと画像IDとユーザIDとを関連づけて記憶する記憶手段,ならびにユーザIDと画像IDを伴う端末装置から送信される画像要求に応答して,上記ユーザIDおよび画像IDと関連づけられた画像データを上記記憶手段から読出して上記端末装置に送信する送信手段を備えているものである。
仲介装置の受信手段は,撮像装置から,直接的に,または間接的に画像データ,画像ID,ユーザIDを受信するものであればよい。たとえば撮像装置から画像データ等をパーソナルコンピュータに送信し,仲介装置がこのパーソナルコンピュータから画像データ等を受信してもよい。この場合,パーソナルコンピュータにおいて仲介装置に送信する画像データを選択することができる。このパーソナルコンピュータを仲介装置に含めてもよい。一実施態様では,仲介装置はインターネット上のサーバである。仲介装置は家庭内のサーバでもよい。仲介装置と撮像装置との間の通信は有線でも,無線でもよい(インターネット,家庭内ネットワーク,公衆回線等のネットワークを通したものでもよい)。
一実施態様では,上記端末装置は,上記ユーザIDおよび画像IDを伴うサムネイル画像要求を送信するサムネイル画像要求送信手段,上記サムネイル画像要求に応答して,上記仲介装置から送信されるサムネイル画像データを受信するサムネイル画像データ受信手段,ならびに上記サムネイル画像データ受信手段によって受信したサムネイル画像データによって表わされるサムネイル画像を表示し,ユーザによる選択を受付ける表示選択手段をさらに備え,上記画像要求送信手段は上記表示選択手段が受付けた選択されたサムネイル画像に対応する画像データについての画像要求を送信するものである。
この場合に,上記仲介装置は,ユーザIDと画像IDを伴う端末装置から送信されるサムネイル画像要求に応答して,上記ユーザIDおよび画像IDと関連づけられた画像データに対応するサムネイル画像データを上記端末装置に送信するサムネイル画像データ送信手段をさらに備えているものとなる。
サムネイル画像データは仲介装置が画像データから作成してもよいし,もし撮像装置からサムネイル画像データが伝送されていれば,撮像装置から伝送されたものを用いてもよい。サムネイル画像とは撮像装置から得られる画像を縮小したものであり,画像データ量が一画像の画像データよりも少ないものである。サムネイル画像データと区別するために,撮像装置から得られる上記の画像,画像データ(それを加工したものを含む)を主画像,主画像データということもある。
上記端末装置はさらに好ましい実施態様では,上記画像データ受信手段によって受信した画像データに基づいて画像をプリントするプリント手段を備える。
この発明による画像伝送システム全体の動作をその一形態にしたがって簡潔に説明すると,上記撮像装置において,撮影により得られた画像データについて画像IDを発生し,一方では,発生した画像IDと画像データとを関連づけて上記記録媒体に書込み(画像データは記録媒体に書込まなくてもよい),他方では,画像データと画像IDをユーザIDとともに仲介装置に出力する。
上記記録媒体においては,上記撮像装置に装着されたときに,上記撮像装置から送出される画像データおよび画像IDを不揮発性メモリ上に書込み,上記端末装置に接近したときに,上記不揮発性メモリからアドレス情報,ユーザIDおよび画像IDを読出して上記端末装置に非接触で送出する。
上記端末装置においては,上記記録媒体が保持する上記アドレス情報,ユーザIDおよび画像IDを非接触で読取り,読取った上記アドレス情報により上記仲介装置をアクセスし,上記ユーザIDおよび画像IDを伴う画像要求を送信する。
上記仲介装置においては,上記撮像装置が保持する,相互に関連づけられた画像データと画像IDをユーザIDとともに受信し,受信した画像データと画像IDとユーザIDとを関連づけて記憶し,ユーザIDと画像IDを伴う上記端末装置から送信される画像要求に応答して,上記ユーザIDおよび画像IDと関連づけられた画像データを上記端末装置に送信する。
そして,上記端末装置において,上記画像要求に応答して上記仲介装置から送信される上記ユーザIDおよび画像IDに対応する画像データを受信する。これにより,上記端末装置において,受信した画像データを用いてプリント画の作成を行なうことができる。
以上のようにして,この発明によると,ユーザは記録媒体を端末装置の場所に持っていき,そこで所望の画像データを取寄せて,プリント等を行なうことができる。しかも,端末装置には種々の形式の記録媒体に適合する挿入口(装着口)を設ける必要がない。記録媒体および端末装置に非接触型インターフェイス手段を設ければ足り,低コスト化と,操作性の簡便化を実現できる。画像データは記録媒体を媒体として転送されるのではなく,撮像装置から仲介装置を通して端末装置に転送されるから,大容量の静止画や動画の画像データにも対応できる。
この発明はさらに,撮像装置と記録媒体とからなるシステム,撮像装置と仲介装置(パーソナルコンピュータが介在する場合を含む)とからなるシステム,記録媒体と端末装置からなるシステム,端末装置と仲介装置とからなるシステム,撮像装置と端末装置とからなるシステム,撮像装置と記録媒体と端末装置とからなるシステム,撮像装置と記録媒体と仲介装置とからなるシステム,記録媒体と仲介装置と端末装置とからなるシステム,撮像装置と仲介装置と端末装置とからなるシステムという組合せも提供するものである。
図1は画像伝送システムの一実施例の全体構成を示すものである。
ディジタルカメラ10が撮像して得られる各主画像(各駒)ごとの主画像データは,各主画像ごとにカメラ10内で発生する画像IDと関連づけてメモリカード50に記録される。カメラ10は無線通信機能をもっており,主画像データとそれに対応する画像IDとユーザIDがカメラ10から無線アクセスポイント41を経てサーバ装置40に送信される。
一方,ユーザはカメラから抜取ったメモリカード50を持って店舗に設置された端末装置30の場所に行き,メモリカード50を端末装置30に近づける。後述する非接触型インターフェイスにより,端末装置30はメモリカード50から,サーバ装置40のURL(アドレス情報)とユーザIDと画像ID(複数の場合を含む)を読取る。
端末装置30は読取ったURLを利用してネットワーク(インターネット)を介してサーバ装置40にアクセスし,ユーザIDと画像IDとを伴うサムネイル画像要求(信号)を送信する。これに応答してサーバ装置40は,ユーザIDと画像IDとによって特定されるサムネイル画像データを端末装置30に送信する。
端末装置30では受信したサムネイル画像データに基づいてサムネイル画像をその表示装置に表示する。ユーザは所望のサムネイル画像を選択する。すると,端末装置30は,選択されたサムネイル画像に対応する画像IDとユーザIDとを伴った主画像要求をサーバ装置40に送信するので,サーバ装置40はこれに応答して画像IDとユーザIDとによって指定される主画像データを端末装置30に送信する。端末装置30は主画像データを受信し,これによりプリント画の作成を行うことができる。
図2はディジタルカメラ10の構成を示している。CCD等の固体撮像素子12から出力される撮像した主画像を表わす映像信号は画像処理装置13に与えられ,バッファメモリ14を利用してA/D変換,ホワイトバランス調整,ガンマ補正,画像データ圧縮等の各種画像データ処理が加えられる。また主画像データのデータ量を縮小することによりサムネイル画像データが作成される。上記映像信号または画像データに基づいて撮影された画像が表示装置17に表示される。主画像の撮影ごとにCPU11において駒番号および画像IDが生成される。駒番号は通し番号である。画像IDは,主画像ごとにユニークな符号で,たとえば乱数,日時(分,秒を含む)などが用いられる。主画像の圧縮画像データ,サムネイル画像データ,駒番号および画像IDはカードインターフェイス16を経てメモリカード50に記憶される。カードインターフェイス16はコネクタを含む。
また,主画像の圧縮画像データは(必要ならばそのサムネイル画像データも),画像ID,ユーザIDとともに,無線インターフェイス15により無線アクセスポイント41を経てサーバ装置40に送信される。主画像データ等の送信は撮影ごとに行ってもよいし,操作部18の送信ボタンが押下されたときに行なってもよい。無線インターフェイス15はサーバ装置40への自動ダイヤリング機能を有している。または,サーバ装置40が,カメラ10が無線通信圏内に入ったときにカメラ10の電源をオンしてカメラ10から主画像データ等を読取る構成でもよい。無線インターフェイス15に代えて,USBケーブルを通してサーバ装置40に画像データ等を送信する有線インターフェイスを設けてもよい。ユーザIDはCPU11がメモリカード50に記憶されているものを取得する。
ディジタルカメラ10が撮像装置である。カードインターフェイス16が結合手段に相当する。CPU11が画像ID発生手段に当る。カードインターフェイス16(および場合により,CPU11を含めて)が画像データ記憶制御手段および記録媒体制御手段に相当する。画像データ記憶制御手段はCPU11により実現される場合もある。無線インターフェイス15が出力手段に相当する。
CPU11とカードインターフェイス16はまた,出力済明示手段の機能を持ち,サーバ装置40に送信した画像データについて出力済のデータ(フラグなど)を付加する。CPU11とカードインターフェイス16と操作部18は(必要に応じて,表示装置17も),画像データ消去手段を構成し,出力済の主画像データを操作部18からの消去指令に応答してメモリカード50から消去する。
図3はメモリカード50の構成を示している。メモリカード50内には不揮発性メモリ51が設けられ,この不揮発性メモリ51への主画像データ,サムネイル画像データ,画像ID等の書込み,読出しはメモリ制御回路52により制御される。コネクタ53を経てディジタルカメラ10から主画像データ,サムネイル画像データ,画像IDが送出されると,これらのデータがメモリ制御回路52により不揮発性メモリ51に書込まれる。メモリ制御回路52はメモリ制御手段に相当する。
非接触型インターフェイス手段は,非接触インターフェイス制御回路54とコイル状の電磁誘導アンテナ55とを含む。後述するように端末装置30の非接触インターフェイス32(図6参照)にメモリカード50が接近したときに,端末装置30から電磁誘導により供給される電力により非接触型インターフェイス制御回路54およびメモリ制御回路52が動作し,メモリ制御回路52により不揮発性メモリ51から画像ID,ユーザIDおよびサーバ装置40のURLを読出し,電磁誘導によりアンテナ55から端末装置30にこれらのデータを送出する。
図4は不揮発性メモリ51内のデータ構造を示している。不揮発性メモリ51内には,主画像データ,画像ID,サムネイル画像データが相互に関連づけた形で(たとえば,#1,#2などの駒番号により)格納されている。サムネイル画像データはなくてもよい。また,不揮発性メモリ51内にはユーザIDが格納されている。ユーザIDは,メモリカード50をパーソナルコンピュータによりサーバ装置40に登録するときに書込まれるものであり,サーバ装置40にも同じユーザIDが記憶されている。このとき,サーバ装置50のURL(アドレス情報)をユーザIDに含ませる,または付加することもできる。サーバ装置40のURLもこのときユーザIDとともに不揮発性メモリ51に記録してもよい。カメラ10内にユーザIDとサーバ装置40のURLを登録しておいてもよい。すなわち,カメラ10をサーバ装置40に登録することになる。
不揮発性メモリ51内のすべてのデータ(Aで示す範囲)はカメラ10のカードインターフェイス16がアクセス可能な範囲である。非接触インターフェイス制御回路54がアクセスできる領域はBで示すように,ユーザID(およびURL),画像IDおよびサムネイル画像データである。
図5はユーザIDと画像IDの例を示すものである。図5の上段がユーザIDの例を示している。図5の下段が画像IDの例であり,乱数である945187という番号と,サーバ装置40のURLであるStorage Service XX.co.jpとから構成されている。このようにサーバ装置40のURLを画像ID内に入れておいてもよい。これに代えて,ユーザIDの一部としてサーバのURL(アドレス情報)を含ませてもよいし,ユーザIDにサーバのURLを付加してもよい。
図6は端末装置30の構成例を示している。端末装置30は,全体の動作を統括するシステム制御装置31と,非接触インターフェイス32と,有線通信インターフェイス33と,メモリ34と,再生処理装置35と,印刷装置(プリンタ)36と,表示装置37と,操作部38とを含んでいる。
非接触インターフェイス32はコイルアンテナを含み,メモリカード50が接近したときに電磁誘導によりメモリカード50に動作電力を供給するとともに,メモリカード50からユーザIDおよび画像ID(URLを含む)を読取るものであり,読取ったこれらのデータはメモリ34に記憶される。非接触インターフェイス32が非接触型インターフェイス手段に相当する。
有線通信インターフェイス33はサーバ装置40とネットワークを介して通信するものであり,サムネイル画像要求,主画像要求を送信し,サムネイル画像データや主画像データを受信する。したがって,有線通信インターフェイス33がシステム制御装置31とともに,画像要求送信手段,画像データ受信手段,サムネイル画像要求送信手段,サムネイル画像データ受信手段として働く。受信した主画像データやサムネイル画像データはメモリ34に記憶される。
再生処理装置35は受信しメモリ34に記憶されている圧縮された主画像データ等を伸張し,表示に適した画像データに変換して表示装置37に与えたり,プリント(印画)に適した画像データに変換して印刷装置(プリンタ)36に供給する。
表示装置37はサムネイル画像や主画像を表示するものである。表示されたサムネイル画像の中から所望のものを操作部38によりユーザが選択する。したがって,表示装置37と操作部38が表示選択手段を構成する。
印刷装置36は主画像データによって表わされる画像を印刷するものであり,プリント手段に相当する。
サーバ装置40はコンピュータシステムであり,記憶装置や通信装置を備えている。これらが,記憶手段,受信手段,送信手段,サムネイル画像データ送信手段を実現する。
図7は,ディジタルカメラ10,サーバ装置40および端末装置30の動作を示すものである。
ユーザはディジタルカメラ10の操作部18から電源をオンにし(S11),ディジタルカメラ10で被写体を撮影する(S12)。撮影により主画像データが得られる。得られた主画像データに基づいてサムネイル画像が生成される。このとき,CPU11は得られた主画像データについて固有の画像IDを生成する。主画像データ,サムネイル画像データおよび画像IDが相互に関連づけられて,メモリカード50に書込まれる(S13)。ディジタルカメラ10のCPU11は,メモリカード50からユーザIDとサーバ装置40のURLを取得する。生成された主画像データ,サムネイル画像データおよび画像IDは相互に関連づけてバッファメモリ14にも記憶される。
ユーザはディジタルカメラ10の操作部18により無線通信モードに設定する(S14)。ユーザが操作部18の送信ボタンを押すと,ディジタルカメラ10のバッファメモリ14に記憶されている主画像データとサムネイル画像データと画像IDがユーザIDとともに無線インターフェイス15により無線アクセスポイント41を経てサーバ装置40に送信される(S15)。主画像データ,サムネイル画像データ,画像ID,ユーザIDをメモリカード50から読出してサーバ装置40に送信してもよい。
被写体の撮影(主画像データの生成)と主画像データ等のサーバ装置40への送信はユーザの操作に依存する。ユーザは,所望枚数の主画像を撮影したのち,得られた主画像データ等をサーバ装置40に送信してもよいし,1駒の画像データを撮影により得るごとにサーバ装置40に送信してもよい。もっとも,カメラ10が撮影ごとに自動的に主画像データ等をサーバ装置40に送信してもよいし,カメラ10が通信可能圏内に入ったときに,サーバ装置40がカメラ10に送信指令を与えるようにすることもできる。
サーバ装置40はディジタルカメラ10から送信される1駒分または複数駒分の主画像データ,サムネイル画像データ,画像ID,ユーザIDを無線アクセスポイント41を経て受信し(S41),ユーザIDに対応して主画像データとサムネイル画像データと画像IDとを相互に関連付けてその記憶装置(またはデータベース装置)に保存する(S42)。
ディジタルカメラ10において,サーバ装置40に主画像データ等が送信されると,バッファメモリ14またはメモリカード50に記憶されている送信された主画像データの属性が消去可に設定される(たとえば,その主画像データについて消去可フラグが立てられる)(ST16)。バッファメモリ14またはメモリカード50に記憶されている画像データの容量が,あらかじめ定められた所定データ量を超えると(S17でYES),消去可の主画像データがバッファメモリ14またはメモリカード50から消去される(S18)。これにより,バッファメモリ14またはメモリカード50が常に主画像データが記憶できる状態に保たれる。ST16〜ST18の処理はバッファメモリ14の主画像データについて行なっても,メモリカード50の主画像データについて行なってもどちらでもよい。
属性が消去可となっている主画像データのサムネイル画像または駒番号を表示装置17に表示し,ユーザによる確認の入力を待ってその主画像データの消去を行なってもよい。属性が消去可でない主画像データについても,ユーザによる消去確認の入力に応答して消去してもよいのはいうまでもない。
ユーザは,最後に,カメラ10の電源をオフにして(ST19),メモリカード50をカメラ10から抜き取る。
ユーザは,その後(後日を含む),カメラ10から抜き取ったメモリカード50を現像サービス,プリントサービス等を行う店に持参し,そのメモリカード50を店頭に設置されている端末装置30の非接触インターフェイス32に近接させる(S31)。端末装置30の非接触インターフェイス32は上述のように,メモリカード50からユーザID,画像IDを読取り,メモリ34に記憶する(S32)。端末装置30はメモリカード50から読取ったユーザIDと画像IDとを用いてサムネイル要求メッセージを作成し,有線通信インターフェイス33よりネットワークを経て,サーバ装置40にサムネイル要求を送信する(S33)。
サーバ装置40は,端末装置30からネットワークを経て送信されるサムネイル要求を受信すると(S43),そのサムネイル要求に含まれているユーザIDと画像IDによって指定されるサムネイル画像データを,記憶装置(またはデータベース装置)から読出して端末装置30にネットワークを経て送信する(S44)。サーバ装置40がサムネイル画像データを保持していない場合には,主画像データからサムネイル画像データを作成する。端末装置30は,サーバ装置40から送信されるサムネイル画像データを有線通信インターフェイス33により受信し,メモリ34に記憶し,表示装置37に表示する(S34)。ユーザは端末装置30の表示装置37に表示されたサムネイル画像の中からプリントしたい画像を選択する(S35)。端末装置30は選択されたサムネイル画像に対応する画像データを特定するユーザIDおよび画像IDを含む主画像データ要求のメッセージを作成し,これを有線通信インターフェイス33よりネットワークを経てサーバ装置40に送信する(S36)。
サーバ装置40は,端末装置30からの主画像データ要求を受信すると(S45),主画像データ要求に含まれるユーザIDと画像IDによって指定される主画像データをネットワークを経て端末装置30に送信する(S46)。
端末装置30ではサーバ装置40から送信された主画像データを受信し(S37),印刷装置36で印刷処理を行ってプリント画像を出力する(S38,S39)。これにより,ユーザは所望の主画像プリント画を得ることができる。
図8は画像伝送システムの他の実施例の全体構成を示すものである。パーソナルコンピュータ42がディジタルカメラ10とサーバ装置40との間の主画像データ等の伝送のために設けられている。パーソナルコンピュータ42は一般にはユーザの自宅に置かれたものでもよいし,店舗に設置されたものでもよい。
図9は図8に示すシステムの動作を示すものであり,図7に示すものと同じ処理には同一の符号を付し,重複説明を避ける。また,図7に示す端末装置の処理については図示が省略されている。
ディジタルカメラ10はパーソナルコンピュータ42と交信し(カメラ10はパーソナルコンピュータ42のアドレス情報を持っているか,またはメモリカード50から取得する),主画像データ,サムネイル画像データを画像ID,ユーザIDとともにパーソナルコンピュータ42に送信する(S15)。
パーソナルコンピュータ42はディジタルカメラ10から送信された主画像データ,サムネイル画像データ,画像ID,ユーザIDを受信し,そのメモリに保存する(S47,S48)。ユーザはパーソナルコンピュータ42において,受信した主画像データまたはサムネイル画像データに基づいてその画像を表示装置に表示させ,その中から印画するに適した,または印画したい画像を選択することができる。
ユーザが所望の画像を選択し,送信指令が与えられると,パーソナルコンピュータ42は,選択された主画像データ,サムネイル画像データ,画像IDおよびユーザIDをサーバ装置40に送信する(S49)。ユーザが画像を選択しない場合には,ディジタルカメラ10から送信されたすべての主画像データ等がパーソナルコンピュータ42からサーバ装置40に送信される(S49)。
ユーザがパーソナルコンピュータ42において所望の画像を選択した場合には,端末装置30においてサムネイル画像を表示してユーザが所望の画像を選択する処理および操作,ならびにサーバ装置40がサムネイル画像データを送信する動作(図7のS33,〜S35,S43,S44)は不要となろう。
図10は画像伝送システムのさらに他の実施例の全体構成を示すものである。この実施例は,ホームプリンタシステムの例である。
図1に示すシステムとの対比でいうと,端末装置30がプリンタ装置30Aと,サーバ装置40がホームサーバ装置40Aと,インターネットネットワークが家庭内ネットワーク(LAN等)と置きかえられている。プリンタ装置30A,ホームサーバ装置40Aの動作は基本的には端末装置30,サーバ装置40の動作と同じである。このように,この発明による画像伝送システムは家庭内においても,または学校,企業等においても構築することが可能である。
画像伝送システムの一実施例の全体構成を示すものである。
ディジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
メモリカードの電気的構成を示すブロック図である。
メモリカードの不揮発性メモリ内のデータ構造を示す。
ユーザIDと画像IDの例を示す。
端末装置の電気的構成を示すブロック図である。
一実施例におけるディジタルカメラ,サーバ装置および端末装置の動作を示すフローチャートである。
画像伝送システムの他の実施例の全体構成を示すものである。
他の実施例におけるディジタルカメラ,パーソナルコンピュータ42およびサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
画像伝送システムのさらに他の実施例の全体構成を示すものである。
符号の説明
10 ディジタルカメラ
11 CPU
14 バッファメモリ
15 無線インターフェイス
16 カードインターフェイス
30 端末装置
30A プリンタ装置
31 システム制御装置
32 非接触インターフェイス
33 有線通信インターフェイス
34 メモリ
36 印刷装置
37 表示装置
38 操作部
40,40A サーバ装置
42 パーソナルコンピュータ
50 メモリカード
51 不揮発性メモリ
52 メモリ制御回路
54 非接触インターフェイス制御回路
55 電磁誘導アンテナ