JP4345096B2 - Fuel injection device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、内燃機関を「エンジン」という。)の燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン、特にディーゼルエンジンの排気に含まれるNOxなどの低減、ならびに燃費および性能を向上するため、エンジンへの燃料の噴射状態を制御し最適な燃焼を確保する必要がある。エンジンへの燃料の噴射状態を制御可能なシステムとして、例えば燃料を蓄圧状態で蓄えるコモンレール、ならびにコモンレールに蓄えられた燃料を噴射する燃料噴射装置を備えるコモンレール式の燃料噴射システムが公知である。このコモンレール式の燃料噴射システムによると、燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射圧力、噴射量および噴射時期は電子的に制御される。コモンレール式の燃料噴射システムとしては、コモンレールに高圧の燃料を蓄えることで噴射圧力を一定に保持し、燃料の噴射量および噴射時期を制御する形式のものが広く利用されている。
一方、例えば特許第2526620号に開示されている技術のように、比較的低圧の燃料をコモンレールに蓄え、蓄えられている低圧の燃料を受圧面積の異なる二段ピストンを有する増圧手段により増圧し、高圧の燃料を噴射する形式がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ディーゼルエンジンの場合、エンジンの負荷状態にあわせて燃料の噴射特性すなわち燃料の噴射圧力、噴射量、噴射時期あるいは噴霧の形状を変更することが望ましい。また、エンジンの負荷状態だけでなく、一回の燃料の噴射においても噴射の初期と後期とでは噴射特性を変更することが望ましい。
上記のいずれの形式の技術の場合も、燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射率を可変する試みが提案されている。
【0004】
しかしながら、燃料の噴射特性を可変するためには、燃料噴射装置の構造が複雑化するという問題がある。そのため、技術的に解決すべき点が多く、従来の技術では必要とされる要求を十分に満たすことができない。
また、一回の燃料の噴射の途中において燃料の噴射圧力および噴射量など燃料の噴射特性を変更し、最適な噴射特性を確保することは極めて困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、構造が簡単であり、一回の燃料の噴射中に噴射特性が変更される燃料噴射装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、一回の燃料の噴射中に噴射特性および噴霧の形状が変更される燃料噴射装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の燃料噴射装置によると、増圧手段によりコモンレールから供給された燃料は増圧され、ノズル部へ供給される。これにより、ノズル部からは、コモンレールからの供給された圧力で噴射される燃料、または増圧手段で増圧された燃料が噴射される。そのため、制御手段によりノズル部および増圧手段を制御することにより、ノズル部からは一回の燃料の噴射でコモンレールに蓄圧された圧力の燃料と増圧された燃料とが噴射される。したがって、一回の燃料の噴射中に燃料の噴射特性を変更することができる。
【0007】
また、増圧手段およびノズル部はいずれも制御手段によって作動が制御される。そのため、増圧手段およびノズル部を制御するために個々に制御手段を必要としない。したがって、構造の簡略化ならびに体格の小型化を図ることができる。
【0008】
また、本発明の請求項1記載の燃料噴射装置によると、制御手段は、噴孔の開閉を制御するためにノズル部のノズル制御室へ供給される燃料、ならびに増圧手段の作動を制御するために増圧手段のピストン制御室へ供給される燃料が流れる流路、および二位置二方弁の弁部を有している。また、ノズル制御室およびピストン制御室は、弁部からノズル制御室、ピストン制御室の順に配置され、かつ、ノズル制御室が前記流路を経由して弁部に接続されている。制御手段の弁部は、ノズル部および増圧手段へ作動流体となる燃料を供給する前記流路と前記燃料を燃料噴射装置の外部へ逃がすアウトレットとの間を開または閉のいずれかに切替える。すなわち、制御手段は弁部によって流路を開閉することにより、ノズル部からの燃料の噴射、ならびに増圧手段による増圧の作動を制御することができる。そのため、単一の制御手段でノズル部および増圧手段を制御することができる。したがって、構造の簡略化ならびに体格の小型化を図ることができる。
【0009】
本発明の請求項2記載の燃料噴射装置によると、制御手段は、噴孔の開閉を制御するためにノズル部へ供給される燃料が流れる第一流路と、増圧手段の作動を制御するために増圧手段へ供給される燃料が流れる第二流路とを有している。また、制御手段は、三位置三方弁の弁部を1つのみ有している。制御手段の弁部は、一体として作動する1つの弁部材と当該弁部材が着座可能な第一弁座部および第二弁座部とを有し、第一流路と前記燃料を燃料噴射装置の外部へ逃がすアウトレットとの間、および第二流路と前記アウトレットとの間を、開と閉の組み合わせを異ならせて複数段に切替える。そのため、単一の制御手段でノズル部および増圧手段を個々に制御することができる。したがって、構造の簡略化ならびに体格の小型化を図ることができる。また、ノズル部および増圧手段を個々に制御することにより、ノズル部から噴射される燃料の噴射特性を容易に変更することができる。
【0010】
本発明の請求項3記載の燃料噴射装置によると、ノズル部は弁部材と弁ボディとからなり、弁部材は第一リフト量および第二リフト量の二段階にリフト可能である。弁ボディに形成されている第一噴孔および第二噴孔は弁部材のリフト量に応じて開口される。そのため、弁部材のリフト量に応じて燃料の噴射特性が変更される。したがって、一回の燃料の噴射中に燃料の噴射特性を変更することができる。
【0013】
本発明の請求項4記載の燃料噴射装置によると、弁部材のリフト量は増圧手段による燃料の増圧の有無によって変更される。そのため、燃料が増圧されているか否かによって開放される噴孔が変更され、噴孔から噴射される噴霧の形状を変更することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による燃料噴射装置としてのインジェクタを図1および図2に示す。
インジェクタ1は、図2に示すようにコモンレール式の燃料噴射システムに適用される。なお、図2は、第1実施例によるインジェクタ1を適用した油圧回路を示す模式図である。インジェクタ1は、図示しないディーゼルエンジンのシリンダヘッドに挿入して搭載され、ディーゼルエンジンの各気筒の内部へ燃料を直接噴射する。
【0015】
インジェクタ1は、図1に示すようにボディ10、ボディチップ30、パッキンチップ40、ノズル部本体50、リテーニングナット57および制御手段として電磁弁部60を備えている。
ボディ10は、概略筒形状に形成されており、内部に大径収容部11、小径収容部12、ピストン室13、ピストン制御室14、通路15、通路16および通路17が形成されている。大径収容部11にはピストン21が収容され、小径収容部12にはプランジャ22が収容されている。ピストン21およびプランジャ22は、ボディ10の内周面と油密を保持した状態で一体となって摺動する。大径収容部11に収容されているピストン21のノズル部本体側は、ピストン制御室14となっている。ピストン制御室14にはスプリング141が収容されており、スプリング141はピストン21を反ノズル部本体方向すなわち図2の上方へ付勢している。大径収容部11の反ノズル部本体側の端部はピストン室13となっている。
【0016】
ピストン室13および通路15は、図2に示すコモンレール2と接続されているインレット3に連通している。コモンレール2に蓄えられた高圧の燃料は、供給路およびインレット3を経由して通路15およびピストン室13へ供給される。ピストン室13の反ノズル部本体側には、絞り部18aを有する通路18が連通している。
【0017】
ボディチップ30は、ボディ10のノズル部本体側の端部に設置されている。ボディチップ30は、内部に第一逆止弁31、プランジャ室32、通路33、通路34および通路35が形成されている。第一逆止弁31は、弁体311およびスプリング312から構成されており、弁体311はボディ10とボディチップ30との接合部に形成されている弁座313に当接可能である。スプリング312は、弁体311を弁座方向すなわちボディ10方向へ付勢している。第一逆止弁31は、プランジャ室32および通路33からボディ10の通路15への燃料の逆流を防止する。プランジャ室32は、一端が第一逆止弁31に連通し、他端がボディ10の小径収容部12に連通している。通路33は、第一逆止弁31を経由してボディ10の通路15に連通している。通路34は、ボディ10の通路16を経由してピストン制御室14に連通している。通路35は、通路34およびボディ10の通路17に連通している。
【0018】
パッキンチップ40は、ボディチップ30のノズル部本体側の端部に設置されている。パッキンチップ40は、内部に第二逆止弁41、ノズル制御室42および通路43が形成されている。第二逆止弁41は、弁体411およびスプリング412から構成されており、弁体411はボディチップ30とパッキンチップ40との接合部に形成されている弁座413に当接可能である。スプリング412は、弁体411を弁座方向すなわちボディチップ方向へ付勢している。第二逆止弁41は、通路43からボディチップ30の通路33への燃料の逆流を防止する。ノズル制御室42は、ボディチップ30の通路34および通路35に連通している。ノズル制御室42の内部には、プレッシャピン44およびスプリング45が収容されている。スプリング45はプレッシャピン44をノズル部本体50方向へ付勢している。
【0019】
ノズル部本体50は、ノズルボディ51および弁部材としてのニードル52を有している。ノズルボディ51には、内部に通路53および収容孔54が形成されている。ノズルボディ51には、反ボディ側の端部に噴孔55が形成されている。噴孔55は、ノズルボディ51の内周側と外周側とを連通している。ノズルボディ51の噴孔入口側には弁座部51aが形成されている。
【0020】
ニードル52は、ノズルボディ51の内周面と油密を保持した状態で摺動する摺動部521を有している。通路53の噴孔55側のノズルボディ51とニードル52との間には、通路53から流入した燃料が流れる隙間56が形成されている。ニードル52には当接部52aが形成されており、当接部52aはノズルボディ51の弁座部51aに当接可能である。当接部52aが弁座部51aに着座することにより噴孔55からの燃料の噴射が遮断され、当接部52aが弁座部51aから離座することにより噴孔55からの燃料の噴射が開放される。
【0021】
ニードル52は反噴孔側の端部がプレッシャピン44と当接している。プレッシャピン44はスプリング45によりニードル52方向へ付勢されているため、ニードル52は噴孔55を閉塞する方向すなわち弁座部51aへ着座する方向へ付勢されている。
リテーニングナット57は、ボディ10、ボディチップ30、パッキンチップ40およびノズル部本体50を直列に一体的に固定している。
ボディ10、ボディチップ30、ピストン21、プランジャ22およびスプリング141により特許請求の範囲の増圧手段が構成されている。また、パッキンチップ40およびノズル部本体50から特許請求の範囲のノズル部が構成されている。
【0022】
電磁弁部60は、弁部としての弁部材61および弁ボディ62を備え、弁部としてのシート部材63とともにハウジング64によってボディ10に固定されている。弁部材61は、反ボディ側の端部にアーマチャ611を有している。弁ボディ62には、弁部材61を摺動可能に収容する摺動孔621、ならびにボディ10に形成されているアウトレット4に連通する通路622が形成されている。シート部材63は、絞り部631aを有する通路631と、通路632とが形成されている。通路631は、ボディ10の通路17および通路18と弁ボディ62の通路622とを接続する。通路631に形成されている絞り部631aは、ボディ10の通路18に形成されている絞り部18aよりも開口面積が大きい。シート部材63の通路631が開口している反ボディ側の端面は、弁部材61が着座可能な弁座部63aである。通路632は、弁ボディ62の通路622とボディ10に形成されているアウトレット4とを接続する。
【0023】
ハウジング64の内部には、収容部64aが形成されている。収容部64aにはストッパ641およびスプリング642が収容されている。ストッパ641は弁部材61のアーマチャ611と当接して弁部材61のリフト量を規定する。スプリング642は弁部材61を弁座部63a方向へ付勢する。ハウジング64の内部には、通電することにより磁界を発生するコイル65が設置されている。コイル65は、図示しないECUに接続されており、ECUから所定の電流値の電流が通電される。コイル65に通電されると、コイル65に発生する磁界によりハウジング64およびアーマチャ611に磁気回路が構成され、ハウジング64とアーマチャ611との間には磁気吸引力が発生する。これにより、弁部材61は図1の上方へリフトする。すなわち、第1実施例によるインジェクタ1の電磁弁部60は、弁部材61が閉位置または開位置のいずれかに位置する二位置二方弁である。
弁ボディ62に形成されている通路622、ならびにシート部材63に形成されている通路631および通路632から特許請求の範囲の流路が構成されている。
【0024】
次に、本実施例によるインジェクタ1の作動について説明する。
コイル65への通電が停止されているとき、図1に示すように弁部材61はスプリング642の付勢力により弁座部63aに着座している。そのため、コモンレール2から供給された燃料は、圧力が保持された状態でピストン室13、通路18、絞り部18a、通路17、通路35を経由してノズル制御室42へ供給される。そのため、ノズル制御室42の高圧の燃料によりノズル部本体50のニードル52はスプリング45のプレッシャピン44を介した付勢力ととも弁座部51a方向へ付勢され、当接部52aは弁座部51aに着座している。
【0025】
また、このとき通路34および通路16を経由して高圧の燃料がピストン制御室14へ供給され、通路15および第一逆止弁31を経由して高圧の燃料がプランジャ室32へ供給されている。すなわち、ピストン室13、プランジャ室32およびピストン制御室14の内部の燃料の圧力によりピストン21およびプランジャ22に作用する力はつり合っている。そのため、ピストン制御室14に収容されているスプリング141の付勢力によりピストン21は図1の上方へ移動する。ピストン21が移動するにともなって、プランジャ室32へは第一逆止弁31を経由して通路15から燃料が吸入される。
【0026】
所定の時期にコイル65への通電を開始すると、発生する磁気吸引力によりアーマチャ611はハウジング64へ吸引され、弁部材61は図1の上方へ移動し、ストッパ641と当接する。このとき、シート部材63の弁座部63aから弁部材61は離座し、シート部材63の通路631の端部は開放される。そのため、通路631に連通している通路17および通路18の燃料は絞り部631aを経由して弁ボディ62の通路622へ流出する。通路622へ流出した燃料は、通路632およびアウトレット4からインジェクタ1の外部へ流出する。
【0027】
絞り部631aは絞り部18aより開口面積が大きいため、シート部材63の通路631の内部における燃料の圧力は低下する。これにより、通路17および通路35の内部における燃料の圧力が低下する。その結果、通路17および通路35に連通するノズル制御室42の内部における燃料の圧力が低下し、ニードル52を噴孔閉塞方向へ付勢する力が弱まる。ニードル52は高圧の燃料により当接部52a近傍では噴孔開放方向への力を受けているため、ノズル制御室42の燃料の圧力が低下することにより、噴孔閉塞方向への力は弱まり、ニードル52は図1の上方へリフトを開始する。ニードル52がリフトすることにより、当接部52aは弁座部51aから離座し、噴孔55から燃料が噴射される。
【0028】
さらに、通路17および通路35の内部における燃料の圧力が低下することにより、それに連通する通路34および通路16の内部における燃料の圧力が低下される。そのため、通路34および通路16に連通するピストン制御室14の内部における燃料の圧力も低下する。このとき、ピストン室13およびプランジャ室32は、コモンレール2から供給された燃料により高圧に保持されている。ピストン21はプランジャ22よりも大径であるため、ピストン室13またはプランジャ室32の燃料の圧力を受ける面積はピストン21の方が大きくなる。そのため、ピストン室13の内部の燃料によりピストン21に加わる力は、プランジャ室32の内部の燃料によりプランジャ22に加わる力より大きくなる。その結果、ピストン制御室14の内部の燃料の圧力が低下することにより、ピストン21は図1の下方へ移動し、ピストン21と当接するプランジャ22もピストン21と一体に図1の下方に移動する。これにより、パスカルの原理に基づいてプランジャ室32の燃料の圧力は、ピストン室13の燃料の圧力すなわちコモンレール2から供給される燃料の圧力の面積比(ピストン受圧面積/プランジャ受圧面積)倍に増圧され、超高圧となる。
【0029】
超高圧となった燃料は、第一逆止弁31により通路15方向への逆流が防止され、通路33から第二逆止弁41を開弁し通路43および通路53を経由して噴孔55へ供給される。以上の作動により、燃料の噴射の途中にコモンレール2の圧力による燃料の噴射から超高圧の燃料の噴射へ移行する。
【0030】
噴孔55から所定の噴射量の燃料が噴射されると、所定の時期にコイル65への通電が停止される。コイル65への通電が停止されると、弁部材61が図1の下方へ移動し、弁座部63aに着座する。これにより、通路17および通路18から弁ボディ62の通路622への燃料が流出が遮断される。そのため、通路17、通路18、通路35、通路34および通路16の内部における燃料の圧力が上昇し、ノズル制御室42およびピストン制御室14の圧力も上昇する。その結果、ニードル52の当接部52aはノズルボディ51の弁座部51aへ着座し、燃料の噴射が終了する。そして、スプリング141の付勢力により再びピストン21およびプランジャ22が図2の上方へ移動し、プランジャ室32へ燃料が吸入される。コイル65への通電を再開することにより、上述の作動が繰り返される。
【0031】
以上、説明したように、本発明の第1実施例によるインジェクタ1によると、燃料の噴射量および噴射時期は、ノズル制御室42の内部の燃料の圧力を制御することにより設定される。また、一回の燃料の噴射期間中における燃料の噴射圧力および噴射率の変更は、ピストン制御室14の圧力を低下させるタイミングによって設定することができ、噴射圧力および噴射率など噴射特性を容易に変更することができる。
【0032】
第1実施例では、一つの電磁弁部60により噴孔55からの燃料の噴射の断続、ならびに燃料の増圧を制御している。そのため、構造を簡単にすることができ、インジェクタ1の小型化を図ることができる。
第1実施例のインジェクタ1では、コモンレール2からの燃料を増圧しているため、燃料の噴射最大圧力をコモンレール2に蓄えられている燃料の圧力よりも大きくすることができる。したがって、燃料の微粒化を促進することができ、ディーゼルエンジンからのNOxあるいは粒子状物質などの排出を低減することができる。
【0033】
(第2実施例)
本発明の第2実施例によるインジェクタを図3および図4に示す。
第2実施例によるインジェクタ5は、ボディ70、ボディチップ80、パッキンチップ40、ノズル部本体50、リテーニングナット57および制御手段として電磁弁部90を備えている。
【0034】
ボディ70は、概略筒形状に形成されており、内部に大径収容部71、小径収容部72、ピストン室73、ピストン制御室74、通路75、通路76および通路77が形成されている。大径収容部71にはピストン21が収容され、小径収容部72にはプランジャ22が収容されている。ピストン21およびプランジャ22は、ボディ70の内周面と油密を保持した状態で一体となって摺動する。大径収容部71に収容されているピストン21のノズル部本体側は、ピストン制御室74となっている。ピストン制御室74にはスプリング741が収容されており、スプリング741はピストン21を反ノズル部本体方向すなわち図3の上方へ付勢している。大径収容部71の反ノズル部本体側の端部はピストン室73となっている。
【0035】
ピストン室73および通路75は、図4に示すコモンレール2と接続されているインレット3に連通している。コモンレール2に蓄えられた高圧の燃料は、供給路およびインレット3を経由して通路75およびピストン室73へ供給される。また、ボディ10には、絞り部78aを有し通路75とピストン制御室74とを連通する通路78が形成されている。さらに、ボディ70には、ピストン制御室74に連通する通路76が形成されている。
【0036】
ボディチップ80は、ボディ70のノズル部本体側の端部に設置されている。ボディチップ80は、内部に第一逆止弁81、プランジャ室82、通路83、通路84および通路85が形成されている。第一逆止弁81は、第1実施例と同様であるので説明を省略する。プランジャ室82は、一端が第一逆止弁81に連通し、他端がボディ70の小径収容部72に連通している。通路83は、第一逆止弁81を経由してボディ70の通路75に連通している。通路84は、一端が絞り部84aを経由してプランジャ室82に連通し、他端が通路85に連通している。通路85は、通路84、ノズル制御室42およびボディ70の通路77に連通している。
【0037】
パッキンチップ40、ノズル部本体50およびリテーニングナット57の構成は第1実施例と同様であるので説明を省略する。また、第1実施例と同様に、ボディ70、ボディチップ80、ピストン21、プランジャ22およびスプリング741により特許請求の範囲の増圧手段が構成されている。
【0038】
電磁弁部90は、弁部としての弁部材91および弁ボディ92を備え、弁部としてのシート部材93とともにハウジング94によってボディ70に固定されている。弁部材91は、ボディ側の端部が平面状に形成されている球状部材911、球状部を保持する弁軸部912、ならびに弁軸部の反ボディ側の端部に接続されているアーマチャ913を有している。弁ボディ92には、弁部材91の弁軸部912を摺動可能に収容する摺動孔921、通路922、通路923および通路924が形成されている。摺動孔921は通路922よりも小径に形成されており、摺動孔921と通路922との接続部には段差が形成される。この段差が球状部材911の弁軸部側の端部と当接する第一弁座部92aとなる。
【0039】
シート部材93は、絞り部931aを有する通路931、絞り部932aを有する通路932、ならびにボディ70に形成されているアウトレット4に連通する通路933が形成されている。絞り部931aは、ボディ70に形成されている通路78の絞り部78aより開口面積が大きい。絞り部932aは、ボディチップ80に形成されている通路84の絞り部84aより開口面積が大きい。通路931は、弁ボディ92に形成されている通路923とボディ70に形成されている通路76とを連通する。通路932は、弁ボディ92に形成されている通路924とボディ70に形成されている通路77とを連通する。シート部材93の通路933が開口している反ボディ側の端面は、弁部材91の球状部材911が着座可能な第二弁座部93aである。
【0040】
ハウジング94の内部には、収容部94aが形成されている。収容部94aにはストッパ941および第一スプリング942および第二スプリング943が収容されている。ストッパ941は弁部材91のアーマチャ913と当接して弁部材91のリフト量を規定する。第一スプリング942は弁部材91を弁座方向へ付勢する。第二スプリング943は、ストッパ941を弁部材方向へ付勢する。収容部94aには内周側に突出する段差部94bが形成されており、ストッパ941の弁部材側は段差部94bと当接し、ストッパ941の移動が規制される。
【0041】
ハウジング94の内部には、通電することにより磁界を発生するコイル95が設置されている。コイル95に通電すると、コイル95に発生する磁界によりハウジング94およびアーマチャ913に磁気回路が構成され、ハウジング94とアーマチャ913との間には磁気吸引力が発生する。これにより、弁部材91は図3の上方へリフトする。このとき、コイル95へ通電する電流値を第一電流値と第一電流値よりも大きな第二電流値とに変更することにより、ハウジング94とアーマチャ913との間に発生する磁気吸引力は変更される。
【0042】
コイル95に通電される電流値が第一電流値のとき、ハウジング94とアーマチャ913との間に発生する磁気吸引力は比較的小さい。そのため、発生する磁気吸引力により弁部材91は第一スプリング942の付勢力に抗してハウジング方向へリフトする。ストッパ941は第二スプリング943により付勢されているため、弁部材91はアーマチャ913とストッパ941とが当接した位置で停止する。このとき、弁部材91は、第二弁座部93aから離座し、第一弁座部92aと第二弁座部93aとの中間位置で停止する。そのため、通路923および通路924と通路933とが通路922を経由して連通し、通路923および通路924の燃料は通路933へ流出する。この位置を弁部材91の第一リフト量とする。
【0043】
一方、コイル95に印加される電流値が第二電流値のとき、ハウジング94とアーマチャ913との間に発生する磁気吸引力は第一電流値のときと比較して大きくなる。そのため、発生する磁気吸引力により弁部材91は第一スプリング942および第二スプリング943の付勢力の和に抗してハウジング方向へリフトする。そして、弁部材91は球状部材911と第一弁座部92aとが当接する位置でリフトが制限されるため、弁部材91は停止する。このとき、弁部材91は、第二弁座部93aから離座し、第一弁座部92aに着座する。そのため、通路923と通路922との間は連通が遮断され、通路924のみが通路922を経由して通路933と連通する。その結果、通路924からの燃料のみが通路933へ流出する。この位置を弁部材91の第二リフト量とする。
【0044】
すなわち、第2実施例によるインジェクタ5の電磁弁部90は、弁部材91が第一弁座部92aに着座し第二弁座部93aから離座する位置、第一弁座部92aから離座し第二弁座部93aに着座する位置、または第一弁座部92aおよび第二弁座部93aの双方から離座し第一弁座部92aと第二弁座部93aとの中間の位置のいずれかに位置する三位置三方弁である。
【0045】
弁ボディ92に形成されている通路922および通路924、ならびにシート部材93に形成されている通路932および通路933から特許請求の範囲の第一流路が構成され、弁ボディ92に形成されている通路922および通路923、ならびにシート部材93に形成されている通路931および通路933から特許請求の範囲の第二流路が構成されている。
【0046】
次に、第2実施例によるインジェクタ5の作動について説明する。
第2実施例によるインジェクタ5は、第一作動モード、第二作動モードまたは第三作動モードのいずれかにより作動する。第一作動モードは、増圧手段を作動させることなくコモンレール2の内部と同一の圧力の燃料を噴射するモードである。第二作動モードは、噴射の開始時から増圧手段を作動させ超高圧の燃料を噴射するモードである。第三作動モードは、噴射の途中で増圧手段を作動させ燃料の噴射圧力を変更するモードである。
【0047】
以下、各作動モードについてそれぞれ説明する。
第一作動モードでは、増圧手段は作動しない。図3に示す場合、コイル95への通電は停止されている。そのため、電磁弁部90の弁部材91の球状部材911は第二弁座部93aに着座し通路933への燃料の流入を遮断している。そのため、通路923および通路924からアウトレット4へ燃料は流れない。
【0048】
一方、ノズル制御室42へは、通路75、第一逆止弁81、プランジャ室82、絞り部84aおよび通路84を経由してコモンレール2に蓄えられている高圧の燃料が供給される。ノズル制御室42に連通する通路85および通路77は、その先で電磁弁部90の弁部材91により通路933への連通が遮断されている。そのため、ノズル制御室42ではコモンレール2から供給された燃料の圧力が高圧に維持されている。その結果、ニードル52はノズル制御室42の燃料およびスプリング45により閉弁方向へ付勢されており、当接部52aは弁座部51aに着座している。
【0049】
ピストン制御室74には、通路75から通路78を経由してコモンレール2から供給された高圧の燃料が流入する。ピストン制御室74に連通する通路76は、その先で電磁弁部90の弁部材91により通路933への連通が遮断されている。そのため、ピストン制御室74の内部の燃料の圧力も、コモンレール2から供給された燃料の圧力に維持されている。このとき、第1実施例と同様にピストン室73の燃料の圧力とピストン制御室74の燃料の圧力とプランジャ室82の燃料の圧力とは等しくなるため、スプリング741の付勢力によりピストン21およびプランジャ22は図3の上方へ移動し、プランジャ室82へ燃料が吸入される。
【0050】
コイル95へ第二電流値の電流を通電すると、弁部材91は第二リフト量となる。すなわち、弁部材91は、第二弁座部93aから離座するともに、第一弁座部92aに着座する。これにより、通路924は通路922および通路933を経由してアウトレット4と連通されるものの、通路923とアウトレット4との連通は遮断されたままである。そのため、通路76および通路931を経由して通路923と連通するピストン制御室74の内部の圧力は高圧に維持される。これに対し、通路932の絞り部932aは通路84の絞り部84aより開口面積が大きいためノズル制御室42の内部の圧力は低下する。このため、ノズル制御室42の内部における燃料の圧力によりニードル52を噴孔閉塞方向へ付勢する力が弱まり、ノズル部本体50のニードル52は図3の上方へ移動する。その結果、当接部52aは弁座部51aから離座し、噴孔55から燃料が噴射される。上記の作動を繰り返すことにより、インジェクタ5からは、コモンレール2に蓄えられた燃料の圧力と等しい圧力の燃料が繰り返し噴射される。
【0051】
第二作動モードでは、噴射の開始時から増圧手段が作動する。図3に示すように電磁弁部90の弁部材91が第二弁座部93aに着座している状態は第一作動モードと同様であるので説明を省略する。弁部材91が第二弁座部93aに着座しているとき、第一作動モードと同様にピストン21およびプランジャ22は、図3の上方へ移動し、プランジャ室82へ燃料が吸入される。
【0052】
コイル95へ第一電流値の電流を通電すると、弁部材91は第一リフト量となる。すなわち、弁部材91は、第二弁座部93aと第一弁座部92aとの中間位置で停止する。これにより、通路923および通路924は、いずれも通路922および通路933を経由してアウトレット4と連通される。そのため、通路923および通路924の燃料はアウトレット4へ流出する。その結果、通路76および通路931を経由して通路923と連通するピストン制御室74の内部における燃料の圧力、ならびに通路77および通路932を経由して通路924と連通するノズル制御室42の内部の圧力は、いずれも低下する。その結果、ノズル部本体50のニードル52は図3の上方へリフトし、当接部52aは弁座部51aから離座するため、噴孔55から燃料が噴射される。
【0053】
一方、通路931の絞り部931aは通路78の絞り部78aより開口面積が大きいため、ピストン制御室74の内部における燃料の圧力は低下する。そのため、第1実施例と同様にピストン21とプランジャ22との受圧面積の差によりピストン21およびプランジャ22は図3の下方へ移動し、プランジャ室82の燃料は超高圧となる。超高圧となった燃料は、第一逆止弁81により通路75方向への逆流が防止され、通路83から第二逆止弁41を開弁し通路43および通路53を経由して噴孔55から噴射される。
【0054】
噴孔55から所定の噴射量の燃料が噴射されると、所定の時期にコイル95への通電が停止される。コイル95への通電が停止されると、弁部材91が図3の下方へ移動し、第二弁座部93aに着座する。これにより、通路923および通路924からアウトレット4への燃料の流出が遮断される。そのため、ノズル制御室42およびピストン制御室74の圧力も上昇する。その結果、ニードル52の当接部52aは弁座部51aへ着座し、燃料の噴射が終了する。このとき、ニードル52の当接部52aの近傍には増圧された超高圧の燃料が供給されている。しかし、プランジャ室82から通路84を経由してノズル制御室42へ増圧された超高圧の燃料が供給されるため、ニードル52は弁座部52aへ着座する。上記の作動を繰り返すことにより、インジェクタ5からは、増圧手段で増圧された超高圧の燃料が繰り返し噴射される。
【0055】
第三作動モードでは、第一作動モードで燃料の噴射を開始し、燃料の噴射の途中で第二作動モードでの燃料の噴射へ移行する。第三作動モードでは、まずコイル95へ第二電流値の電流を通電することにより、電磁弁部90の弁部材91のリフト量は第二リフト量となる。そのため、インジェクタ5は第一作動モードによる燃料の噴射を開始する。そして、第一作動モードによる燃料の噴射を実施しているとき、コイル95へ第一電流値の電流を通電することにより、電磁弁部90の弁部材91は図3の下方へ移動し第一リフト量となる。そのため、インジェクタ5は第二作動モードによる燃料の噴射へ移行する。
【0056】
第2実施例では、コイル95に加える電流値を第一電流値または第二電流値に変更することにより、インジェクタ5から噴射される燃料の圧力を変更することができる。そのため、コイル95に加える電流値を制御することにより、燃料の噴射特性を自由に変更することができる。
【0057】
また、第2実施例では、一回の噴射の途中でコイル95に加える電流値を複数回変更することにより、第一噴射モードと第二噴射モードとを自由かつ容易に何度も変更することができる。したがって、所望の噴射特性を容易に実現することができる。
【0058】
(第3実施例)
本発明の第3実施例によるインジェクタ6を図5および図6に示す。第3実施例は、第2実施例の変形であり、第2実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施例では、ボディ70の内部に通路75から分岐する通路79が形成されている点で第2実施例と異なる。ボディ70のその他の構成は第2実施例または第1実施例と同様である。
【0059】
ボディチップ100は、ボディ70のノズル部本体50側の端部に設置されている。ボディチップ100には、内部に第一逆止弁101、プランジャ室102、通路103、通路104および通路105が形成されている。プランジャ室102は、一端が第一逆止弁101に連通し、他端がボディ70の小径収容部72に連通している。通路103は、第一逆止弁101を経由してボディ70の通路75に連通している。通路104は、一端がプランジャ室102に連通し、他端が絞り部104aを経由して通路105に連通している。通路105は、通路104およびボディ70の通路77に連通している。
【0060】
ボディチップ100の内部には、収容室100aが形成されている。収容室100aには、ボディ70の通路75から分岐した通路79が連通している。収容室100aには、ノズル部本体50のニードル52のリフト量を規制するリフト制御ピストン106、ならびにリフト制御ピストン106をノズル部本体方向へ付勢するスプリング107が収容されている。リフト制御ピストン106は、収容室100aの内周面と油密に摺動可能である。リフト制御ピストン106は、収容室100aに供給された燃料の圧力およびスプリング107によりノズル部本体方向へ付勢されている。
【0061】
パッキンチップ110は、内部に第二逆止弁111、ノズル制御室112、通路113および通路114が形成されている。通路114は、ノズル制御室112とボディチップ100に形成されている通路104および通路105とを相互に連通する。ノズル制御室112には、プレッシャピン115およびスプリング116が収容されている。スプリング116はプレッシャピン115をノズル部本体方向へ付勢している。プレッシャピン115は、第1実施例および第2実施例と比較して軸方向の長さが延長されている。プレッシャピン115は、一方の端部がニードル52の端部と当接可能であり、他方の端部がリフト制御ピストン106と当接可能である。
【0062】
ニードル52の当接部52aの近傍における燃料の圧力によりニードル52を噴孔開放方向へ付勢する力がノズル制御室112における燃料の圧力とスプリング116の付勢力とによりニードル52を噴孔閉塞方向へ付勢する力よりも大きくなると、ニードル52は、閉弁状態すなわち当接部52aが弁座部51aに着座している状態から図5の上方へリフトする。そして、ニードル52と一体のプレッシャピン115とリフト制御ピストン106とが当接し、ニードル52は一旦停止する。このときのニードル52のリフト量が第一リフト量である。
【0063】
さらに、ニードル52を噴孔開放方向へ付勢する力がノズル制御室112における燃料の圧力ならびに収容室100aにおける燃料の圧力などにより噴孔閉塞方向へ付勢する力よりも大きくなると、ニードル52はプレッシャピン115およびリフト制御ピストン106とともに図5の上方へリフトする。そして、ニードル52の摺動部521の反噴孔側の端面521aとパッキンチップ110の噴孔側の端面とが当接すると、ニードル52は停止する。このときのニードル52のリフト量が第二リフト量である。
【0064】
ノズル部本体50のノズルボディ51には、第一噴孔551および第二噴孔552が形成されている。第一噴孔551は、ニードル52が第一リフト量のとき、ならびに第二リフト量のときいずれも開放され、燃料が噴射される。一方、第二噴孔552は、ニードル52が第一リフト量のときは開放されず、第二リフト量のときのみ開放される。
【0065】
次に、第三実施例によるインジェクタ6の作動について説明する。
第3実施例によるインジェクタ6は、第2実施例と同様に第一作動モード、第二作動モードまたは第三作動モードのいずれかで作動する。
第一作動モードのとき、ニードル52の当接部52aの近傍に供給される燃料はコモンレール2に蓄えられている燃料の圧力と等しい。ニードル52の当接部52aの近傍に供給される燃料の圧力を受けるニードル52の受圧面積は、収容室100aの燃料の圧力を受けるリフト制御ピストン106の受圧面積よりも小さい。そのため、リフト制御ピストン106は燃料の圧力により移動することはない。その結果、ニードル52は、図5の上方へ移動するとプレッシャピン115を介してリフト制御ピストン106と当接し、リフトを停止する。したがって、第一作動モードのとき、ニードル52のリフト量は第一リフト量となり、第一噴孔551からコモンレール2に蓄えられている燃料の圧力と等しい圧力の燃料が噴射される。
【0066】
第二作動モードのとき、ニードル52の当接部52aの近傍には増圧手段により増圧された超高圧の燃料が供給される。そのため、ニードル52の当接部52aの近傍における燃料の圧力によりニードル52が噴孔開放方向へ受ける力は、収容室100aの燃料の圧力によりリフト制御ピストン106が噴孔閉塞方向へ受ける力よりも大きくなる。その結果、ニードル52はプレッシャピン115を介してリフト制御ピストン106と当接した後、リフト制御ピストン106とともに図5の上方へ移動する。したがって、第二作動モードのとき、ニードル52のリフト量は第二リフト量となり、第一噴孔551に加え第二噴孔552から増圧された超高圧の燃料が噴射される。
【0067】
第三作動モードのとき、第一作動モードまたは第二作動モードを自由に切り換えることができるため、ニードル52のリフト量を第一リフト量または第二リフト量のいずれかに制御することができる。そのため、第一噴孔551からの噴射、または第一噴孔551および第二噴孔552からの噴射を切り換えることにより噴霧の形状を燃料の噴射の途中で切り換えることができ、かつコモンレール2における燃料の圧力と等しい圧力の燃料の噴射または増圧された燃料の噴射に燃料の噴射の途中に切り換えることができる。
【0068】
第3実施例では、電磁弁部90のコイル95に通電する電流値を制御することにより、燃料の噴射圧力だけでなく、燃料が噴射される噴孔が変更され、噴孔から噴射される噴霧の形状も自由に変更することができる。したがって、ディーゼルエンジンの特性、運転状態あるいは負荷状態などにあわせて所望の噴射特性を容易に実現することができる。
【0069】
以上、本発明の複数の実施例では、制御手段としてコイルにより発生する電磁力を用いた電磁弁を適用した例について説明した。しかし、本発明としては、電磁弁に限るものではなく、圧電素子など電気的な歪みを利用した制御手段を適用してもよい。
【0070】
また、第2実施例および第3実施例では、コモンレールから供給された燃料をプランジャ室からノズル制御室へ供給する例について説明したが、インレットに接続されている通路からノズル制御室へ燃料を直接供給してもよい。さらに、圧縮比が小さくシリンダ内の圧力が低いエンジンの場合、第二逆止弁を廃止することができる。
さらに、第3実施例で第2実施例から変更された構成および機能、すなわちノズルリフト制御に係る構成および機能を第1実施例に適用することも可能である。
【0071】
以上、本発明の複数の実施例では、ディーゼルエンジンに本発明のインジェクタを適用する例について説明したが、ガソリンエンジン、その他の燃料を用いるエンジンなどディーゼルエンジンに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるインジェクタを示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1実施例によるインジェクタを適用した燃料噴射システムの油圧回路を示す模式図である。
【図3】本発明の第2実施例によるインジェクタを示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の第2実施例によるインジェクタを適用した燃料噴射システムの油圧回路を示す模式図である。
【図5】本発明の第3実施例によるインジェクタを示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の第3実施例によるインジェクタを適用した燃料噴射システムの油圧回路を示す模式図である。
【符号の説明】
1、5、6 インジェクタ(燃料噴射装置)
2 コモンレール
10、70 ボディ(増圧手段)
622、631、632 通路(流路)
21 ピストン(増圧手段)
22 プランジャ(増圧手段)
30、80、100 ボディチップ(増圧手段)
40、110 パッキンチップ(ノズル部)
50 ノズル部本体(ノズル部)
51 ノズルボディ
52 ニードル(弁部材)
55 噴孔
60、90 電磁弁部(制御手段)
61、91 弁部材(弁部)
62、92 弁ボディ(弁部)
63、93 シート部材(弁部)
922、924、932、933 通路(第一流路)
922、923、931、933 通路(第二流路)
106 リフト制御ピストン
551 第一噴孔
552 第二噴孔[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a fuel injection device for an internal combustion engine (hereinafter, the internal combustion engine is referred to as an “engine”).
[0002]
[Prior art]
In order to reduce NOx contained in the exhaust of an engine, particularly a diesel engine, and to improve fuel efficiency and performance, it is necessary to control the fuel injection state to the engine to ensure optimal combustion. As a system capable of controlling the state of fuel injection into the engine, for example, a common rail type fuel injection system including a common rail that stores fuel in a pressure accumulation state and a fuel injection device that injects fuel stored in the common rail is known. According to this common rail type fuel injection system, the injection pressure, injection amount, and injection timing of fuel injected from the fuel injection device are electronically controlled. As a common rail type fuel injection system, a system in which high pressure fuel is stored in the common rail to maintain a constant injection pressure and control the fuel injection amount and the injection timing is widely used.
On the other hand, for example, as in the technique disclosed in Japanese Patent No. 2526620, a relatively low pressure fuel is stored in the common rail, and the stored low pressure fuel is increased by a pressure increasing means having two-stage pistons having different pressure receiving areas. There is a type that injects high-pressure fuel.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
In the case of a diesel engine, it is desirable to change the fuel injection characteristics, that is, the fuel injection pressure, the injection amount, the injection timing, or the spray shape in accordance with the load state of the engine. Further, it is desirable to change the injection characteristics not only in the engine load state but also in the initial and later stages of fuel injection in one fuel injection.
In any of the above types of technologies, attempts have been made to vary the injection rate of the fuel injected from the fuel injection device.
[0004]
However, in order to vary the fuel injection characteristics, there is a problem that the structure of the fuel injection device becomes complicated. Therefore, there are many points to be solved technically, and the requirements required by the conventional technology cannot be satisfied sufficiently.
In addition, it is extremely difficult to change the fuel injection characteristics such as the fuel injection pressure and the fuel injection amount in the course of a single fuel injection to ensure optimum injection characteristics.
[0005]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a fuel injection device having a simple structure and in which injection characteristics are changed during a single fuel injection.
Another object of the present invention is to provide a fuel injection device in which the injection characteristics and the spray shape are changed during a single fuel injection.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
According to the fuel injection device of the first aspect of the present invention, the fuel supplied from the common rail by the pressure increasing means is increased in pressure and supplied to the nozzle portion. Thereby, the fuel injected by the pressure supplied from the common rail or the fuel increased in pressure by the pressure increasing means is injected from the nozzle portion. Therefore, by controlling the nozzle unit and the pressure increasing unit by the control unit, the fuel of the pressure accumulated in the common rail and the increased fuel are injected from the nozzle unit by one injection of fuel. Therefore, the fuel injection characteristics can be changed during one fuel injection.
[0007]
The operation of both the pressure increasing means and the nozzle portion is controlled by the control means. Therefore, the control means is not required individually for controlling the pressure increasing means and the nozzle part. Therefore, the structure can be simplified and the size of the body can be reduced.
[0008]
Also, Claims of the
[0009]
Claims of the
[0010]
Claims of the
[0013]
Claims of the
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a plurality of examples showing embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
(First embodiment)
1 and 2 show an injector as a fuel injection device according to a first embodiment of the present invention.
The
[0015]
As shown in FIG. 1, the
The
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
The
[0021]
The end of the
The retaining
The
[0022]
The
[0023]
A
The passages defined in the claims are constituted by the
[0024]
Next, the operation of the
When the energization of the
[0025]
At this time, high-pressure fuel is supplied to the
[0026]
When energization of the
[0027]
Since the
[0028]
Further, the fuel pressure in the
[0029]
The ultrahigh pressure fuel is prevented from flowing back in the direction of the
[0030]
When a predetermined amount of fuel is injected from the
[0031]
As described above, according to the
[0032]
In the first embodiment, the intermittent injection of fuel from the
In the
[0033]
(Second embodiment)
An injector according to a second embodiment of the present invention is shown in FIGS.
The
[0034]
The
[0035]
The
[0036]
The
[0037]
Since the structure of the
[0038]
The
[0039]
The
[0040]
A
[0041]
A
[0042]
When the current value supplied to the
[0043]
On the other hand, when the current value applied to the
[0044]
That is, the
[0045]
A passage formed in the
[0046]
Next, the operation of the
The
[0047]
Hereinafter, each operation mode will be described.
In the first operation mode, the pressure increasing means does not operate. In the case shown in FIG. 3, the energization to the
[0048]
On the other hand, high-pressure fuel stored in the
[0049]
High pressure fuel supplied from the
[0050]
When a current having a second current value is supplied to the
[0051]
In the second operation mode, the pressure increasing means operates from the start of injection. As shown in FIG. 3, the state in which the
[0052]
When a current having a first current value is supplied to the
[0053]
On the other hand, the
[0054]
When a predetermined amount of fuel is injected from the
[0055]
In the third operation mode, fuel injection is started in the first operation mode, and the fuel injection in the second operation mode is shifted in the middle of the fuel injection. In the third operation mode, first, a current of a second current value is supplied to the
[0056]
In the second embodiment, the pressure of the fuel injected from the
[0057]
Further, in the second embodiment, the first injection mode and the second injection mode can be freely and easily changed many times by changing the current value applied to the coil 95 a plurality of times during one injection. Can do. Therefore, desired injection characteristics can be easily realized.
[0058]
(Third embodiment)
An
The third embodiment is different from the second embodiment in that a
[0059]
The
[0060]
A
[0061]
The
[0062]
The force that urges the
[0063]
Furthermore, when the force that urges the
[0064]
A
[0065]
Next, the operation of the
The
In the first operation mode, the fuel supplied to the vicinity of the
[0066]
In the second operation mode, the ultrahigh pressure fuel increased by the pressure increasing means is supplied in the vicinity of the
[0067]
In the third operation mode, since the first operation mode or the second operation mode can be freely switched, the lift amount of the
[0068]
In the third embodiment, not only the fuel injection pressure but also the injection hole through which the fuel is injected is changed by controlling the current value supplied to the
[0069]
As described above, in the embodiments of the present invention, the example in which the electromagnetic valve using the electromagnetic force generated by the coil is applied as the control means has been described. However, the present invention is not limited to a solenoid valve, and a control means using electrical distortion such as a piezoelectric element may be applied.
[0070]
In the second and third embodiments, the example in which the fuel supplied from the common rail is supplied from the plunger chamber to the nozzle control chamber has been described. However, the fuel is directly supplied from the passage connected to the inlet to the nozzle control chamber. You may supply. Further, in the case of an engine having a small compression ratio and a low pressure in the cylinder, the second check valve can be eliminated.
Furthermore, the configuration and function changed from the second embodiment in the third embodiment, that is, the configuration and function related to the nozzle lift control can be applied to the first embodiment.
[0071]
As described above, in the embodiments of the present invention, examples in which the injector of the present invention is applied to a diesel engine have been described. However, the present invention is not limited to a diesel engine such as a gasoline engine or an engine using other fuel.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view showing an injector according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a schematic diagram showing a hydraulic circuit of a fuel injection system to which an injector according to a first embodiment of the present invention is applied.
FIG. 3 is a schematic sectional view showing an injector according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a schematic diagram showing a hydraulic circuit of a fuel injection system to which an injector according to a second embodiment of the present invention is applied.
FIG. 5 is a schematic sectional view showing an injector according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a schematic diagram showing a hydraulic circuit of a fuel injection system to which an injector according to a third embodiment of the present invention is applied.
[Explanation of symbols]
1, 5, 6 Injector (fuel injection device)
2 Common rail
10, 70 body (pressure increasing means)
622, 631, 632 passage (flow path)
21 Piston (pressure increasing means)
22 Plunger (pressure increasing means)
30, 80, 100 Body chip (pressure increasing means)
40, 110 Packing tip (nozzle part)
50 Nozzle part body (nozzle part)
51 Nozzle body
52 Needle (Valve member)
55 injection hole
60, 90 Solenoid valve (control means)
61, 91 Valve member (valve part)
62, 92 Valve body (valve part)
63, 93 Seat member (valve part)
922, 924, 932, 933 passage (first flow path)
922, 923, 931, 933 passage (second flow path)
106 Lift control piston
551 First nozzle hole
552 Second nozzle hole
Claims (4)
前記コモンレールから供給された燃料を増圧する増圧手段と、
燃料が噴射される噴孔を有し、前記コモンレールから供給された燃料、または前記増圧手段で増圧された燃料が噴射されるノズル部と、
前記コモンレールから供給される燃料の流れを開閉する二位置二方弁の弁部を有し、前記弁部の開閉により前記噴孔の開閉の制御とともに前記増圧手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記噴孔の開閉を制御するために前記ノズル部のノズル制御室へ供給される燃料、ならびに前記増圧手段の作動を制御するために前記増圧手段のピストン制御室へ供給される燃料が流れる流路を有し、
前記ノズル制御室および前記ピストン制御室は、前記弁部から前記ノズル制御室、前記ピストン制御室の順に配置され、かつ、前記ノズル制御室が前記流路を経由して前記弁部に接続されており、
前記弁部は、前記流路と前記燃料を前記燃料噴射装置の外部へ逃がすアウトレットとの間を開または閉のいずれかに切替えることを特徴とする燃料噴射装置。A fuel injection device for injecting fuel stored in a pressure accumulation state on a common rail,
A pressure increasing means for increasing the pressure of the fuel supplied from the common rail;
A nozzle part having an injection hole through which fuel is injected, fuel supplied from the common rail, or fuel injected by the pressure increasing means;
A control unit that has a valve portion of a two-position two-way valve that opens and closes a flow of fuel supplied from the common rail, and controls the opening and closing of the nozzle hole and the operation of the pressure increasing means by opening and closing the valve portion; , equipped with a,
The control means supplies the fuel supplied to the nozzle control chamber of the nozzle portion to control the opening and closing of the nozzle hole, and supplies the piston control chamber of the pressure increasing means to control the operation of the pressure increasing means. Having a flow path through which fuel flows.
The nozzle control chamber and the piston control chamber are arranged in order of the valve unit, the nozzle control chamber, and the piston control chamber, and the nozzle control chamber is connected to the valve unit via the flow path. And
The valve portion, the flow path and a fuel injection apparatus characterized opens or to switch between the one of the closing between the outlet for releasing the fuel to the outside of the fuel injector.
前記コモンレールから供給された燃料を増圧する増圧手段と、
燃料が噴射される噴孔を有し、前記コモンレールから供給された燃料、または前記増圧手段で増圧された燃料が噴射されるノズル部と、
前記コモンレールから供給される燃料の流れを開閉する三位置三方弁の弁部を1つのみ有し、前記弁部の開閉により前記噴孔の開閉の制御とともに前記増圧手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記噴孔の開閉を制御するために前記ノズル部へ供給される燃料が流れる第一流路と、前記増圧手段の作動を制御するために前記増圧手段へ供給される燃料が流れる第二流路とを有し、
前記弁部は、一体として作動する1つの弁部材と前記弁部材が着座可能な第一弁座部および第二弁座部とを有し、前記第一流路と前記燃料を前記燃料噴射装置の外部へ逃がすアウトレットとの間、および前記第二流路と前記アウトレットとの間を、開と閉の組み合わせを異ならせて複数段に切替えることを特徴とする燃料噴射装置。A fuel injection device for injecting fuel stored in a pressure accumulation state on a common rail,
A pressure increasing means for increasing the pressure of the fuel supplied from the common rail;
A nozzle part having an injection hole through which fuel is injected, fuel supplied from the common rail, or fuel injected by the pressure increasing means;
Control having only one three-position three-way valve that opens and closes the flow of fuel supplied from the common rail, and controls opening and closing of the nozzle hole and operation of the pressure increasing means by opening and closing the valve and means, the,
The control means includes a first flow path through which fuel supplied to the nozzle portion for controlling opening and closing of the nozzle hole, and fuel supplied to the pressure increasing means for controlling the operation of the pressure increasing means. A second flow path through which
The valve portion includes one valve member that operates as a unit, a first valve seat portion and a second valve seat portion on which the valve member can be seated, and the first flow path and the fuel are supplied to the fuel injection device. between the outlet to escape to the outside, and the between the second flow path and the outlet, with different combinations of open and closed fuel injection device according to claim to switch between a plurality of stages.
前記弁部材は前記ノズルボディとの間の距離が異なる第一リフト量または第二リフト量の二段階にリフト量が制御され、
前記ノズルボディは、前記弁部材が前記第一リフト量のとき開放される第一噴孔と、前記弁部材が前記第二リフト量のとき前記第一噴孔に加えて開放される第二噴孔とを有することを特徴とする請求項1または2記載の燃料噴射装置。The nozzle portion includes a nozzle body in which the nozzle hole is formed, and a valve member that opens and closes the nozzle hole.
The lift amount of the valve member is controlled in two stages of a first lift amount or a second lift amount with different distances from the nozzle body,
The nozzle body includes a first injection hole that is opened when the valve member is at the first lift amount, and a second injection hole that is opened in addition to the first injection hole when the valve member is at the second lift amount. fuel injection device according to claim 1 or 2, wherein the having the hole.
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