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JP4343314B2 - 噴霧製品 - Google Patents

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JP4343314B2 JP08220899A JP8220899A JP4343314B2 JP 4343314 B2 JP4343314 B2 JP 4343314B2 JP 08220899 A JP08220899 A JP 08220899A JP 8220899 A JP8220899 A JP 8220899A JP 4343314 B2 JP4343314 B2 JP 4343314B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は噴霧製品、とくに微量な原液を弱い勢いで大気中に放散するのに適する噴霧製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬液などの原液を空気中に微粒子の形態で噴霧する装置として、エアゾール製品が知られている。このものはたとえば原液に液化ガスを溶解または分散させて容器に充填しておき、バルブを操作して噴孔から原液を液化ガスと共に噴射するものである。また、圧縮ガスの圧力により、原液を噴射するタイプのエアゾール製品も知られている。
【0003】
他方、医療器具として使用されるネブライザーは、ガスボンベなどに充填した圧縮空気や酸素ガス、あるいはガス発生器から発生された酸素ガスなどにより薬剤を拡散させ、加熱装置により発生させた水蒸気と共に、前記ガスの気流に乗せて薬剤を噴射するようにしている。その場合、薬剤や水を振動板で霧化することもある。このものは比較的微量な薬液を弱い勢いで放散することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記液化ガスを使用したエヤゾール製品では、使用温度により内圧が大きく変動するため、一定の噴射状態が得にくいという問題がある。たとえばブタンおよびプロパンの飽和圧力(単位MPa)は、表1に示すように、温度が上昇するにつれて高くなる。また原液は液化ガスと共に噴射されるので、噴射の勢いが強い。
【表1】
Figure 0004343314
【0005】
他方、圧縮ガスを使用した噴霧製品の場合は、使用ごとに圧力が大きく低下し、それにより噴射量も大きく減少する。またネブライザーは比較的弱い勢いで微量な薬剤を放散させることができるが、ガスを供給するための特殊な装置が必要である。
【0006】
本発明は簡単な装置により、長時間にわたって安定して、微量な原液をソフトに噴射できるようにすることを技術課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の噴霧製品(請求項1)は、霧状の液をガス流に乗せて配送・散布する噴霧製品であって、液を噴射する液噴孔を備えた液噴射機構と、前記液噴射機構から噴射された霧状の液を配送するためのガスを噴射する前記液噴孔とは別のガス噴孔を備えたガス噴射機構とからなり、前記ガス噴射機構が、ガスを充填したガス容器と、ガス噴孔とガス容器の間に介在されるガス用バルブとを備え、液噴射機構が、原液を充填した液容器と、液噴孔と液容器との間に介在される液用バルブとを備え、ガス用バルブと液用バルブのうち一方が操作されたときに同時に他方を操作するための連動機構を備え、前記ガス容器の中に液噴射機構が収容されており、前記ガス噴射機構のガスの圧力により液噴射機構の液を加圧し、その圧力で液を噴射することを特徴としている。
このような噴霧製品では、ガス噴射機構から噴射されるガス流速の初速が音速であるものが好ましい(請求項2)
【0008】
また、前記ガス用バルブおよび液用バルブを操作する押しボタンを備えており、その押しボタンに、ガスを噴射するガス噴孔が複数個設けられ、液を噴射する液噴孔がそれらのガス噴孔の間に設けられているものが好ましい(請求項3)
さらに、前記液容器が可塑性のある内袋であるものが好ましい(請求項4)
また、前記液容器に、その容積を可変とするピストンが設けられており、そのピストンがガス容器と液容器との間で圧力伝達が可能な隔壁とされているものが好ましい(請求項5)。
さらに、前記ガス用バルブは上方に付勢されたステムにより通常は閉じられ、下方に操作することにより開けられ、前記液用バルブは上方に付勢された弁体により通常は閉じられ、下方に操作されることにより開けられ、前記連動機構が、ステムを下方に操作することにより、そのステムの下端が液用バルブの弁体を下方に操作するものであるものが好ましい(請求項6)
また、液噴射機構の液通路の一部に、噴射量を抑制する機構を設けるのが好ましい(請求項7)
さらに、前記液噴口に原液用ノズルが設けられており、その原液用ノズルの先端中央に噴口が形成され、その噴口の内部側に液流れを案内する突起ないし溝が形成され、それら突起ないし溝が渦流れを生じさせるべく中心部がずれた放射状に配置されているものが好ましい(請求項8)。
また、前記ガス容器に充填されているガスが液化ガスであるものが好ましい(請求項9)。
【0009】
【作用および発明の効果】
本発明の噴霧製品では、ガス噴射機構からガスを噴射させながら液噴射機構から霧状の液を噴射させると、液はガス流に乗って配送・散布される。このように本発明の噴霧製品では、液の噴霧とその拡散とを別個に行っているので、ガス流自体は液を噴射させる必要がない。すなわち、ガス流は通常のエアゾール装置のように液や粉体などの抵抗を受けることがなく、スムーズに安定して噴射される。さらにガスの分子は液の微粒子に比してきわめて小さく、質量も小さいため、すぐに大気中へ拡散し、ガスの拡散に伴って、液の微粒子もただちに大気中に拡散する。他方、液の微粒子については、所望のサイズ、量、噴射速度に比較的自由に設定することができる。すなわち、霧状の液の噴射の勢いがある程度大きい場合でも、ガス流に乗ることにより減速され、全体として穏やかな噴霧の放散が実現される。このように本発明の噴霧製品は、ガスボンベや酸素供給設備などの大がかりな設備を用いなくても、従来のエアゾール装置とほぼ同等な簡易な装置により、安定して、微量な原液をソフトに噴射することができる。
また、前述のガス用バルブと液用バルブとを連動操作する連動機構を設けているので、1個のバルブを操作するだけで噴霧の放出ができ、操作が容易である。さらに、ガス容器の中に液噴射機構を収容しているので、通常のエアゾール装置と同様に扱え、取り扱いが容易である。また、ガス噴射機構のガスの圧力により液噴射機構の液を加圧し、その圧力で液を噴射させるようにしているので、液噴射機構の構成が簡単になる。
【0010】
前記ガス噴射機構から噴射されるガス流速の初速が音速の場合(請求項2)は、内圧の減少に関わらず、噴射量がほぼ一定である。
また、前記ガス用バルブおよび液用バルブを操作する押しボタンを備えており、その押しボタンに、ガス噴孔を複数個設け、液噴孔をそれらの間に設ける場合(請求項3)は、ガス噴孔から出てくるガスの流れで液噴孔から出てくる霧状の液を包み込むようにして空気中に放散する。そのため一層安定した放散作用を奏することができる。さらにガス噴孔と液噴孔の位置関係により、液の拡散状態を変えることができる。
【0011】
さらに、前記液容器が可塑性のある内袋である場合(請求項4)および前記液容器に、その容積を可変とするピストンが設けられており、そのピストンがガス容器と液容器との間で圧力伝達が可能な隔壁とされている場合(請求項5)は、ガスの圧力により液噴射機構の液を加圧し、その圧力で液を噴射させることができる。
また、前記ガス用バルブは上方に付勢されたステムにより通常は閉じられ、下方に操作することにより開けられ、前記液用バルブは上方に付勢された弁体により通常は閉じられ、下方に操作されることにより開けられ、前記連動機構が、ステムを下方に操作することにより、そのステムの下端が液用バルブの弁体を下方に操作するものである場合(請求項6)は、1個のバルブを操作するだけで噴霧の放出ができるので、操作が容易である。
さらに、液噴射機構の液通路に噴射量を抑制する機構を設けた場合(請求項7)には、使いすぎを防止することができる。そのため、とくに医薬品や医薬部外品などの使用量に上限が設けられている製品において好適に用いられる。
また、前記液噴口に原液用ノズルが設けられており、その原液用ノズルの先端中央に噴口が形成され、その噴口の内部側に液流れを案内する突起ないし溝が形成され、それら突起ないし溝が渦流れを生じさせるべく中心部がずれた放射状に配置されている場合(請求項8)は、原液を霧状に噴射しやすい。
さらに、前記ガス容器に充填されているガスが液化ガスである場合(請求項9)は、液と液化ガスとが別個の通路、噴孔を介して噴射されるので、ソフトに噴射できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明の噴霧製品の実施形態を説明する。図1は本発明の噴霧製品の一実施形態を示す正面断面図、図2はその要部拡大側面断面図、図3はその噴霧製品の使用状態を模式的に示す平面図、図4は図2のNの部分の拡大断面図、図5は図2の要部拡大断面図、図6aは本発明に関わる流量抑制部材を設けた液通路の実施形態を示す断面図、図6bはその流路抑制部材の拡大断面図、図7、図8aおよび図8bはそれぞれ本発明に関わる流路抑制部材の他の実施形態を示す斜視図、図9は本発明の噴霧製品の他の実施形態を示す正面断面図、図10は本発明の範囲外の噴霧装置を示す正面断面図、図11aおよび図11bは実施例の噴霧製品の噴霧状態を示す概略側面図、図11cは比較例の噴霧製品の噴霧状態を示す概略側面図である。
【0013】
図1に示す噴霧製品Aは、ガスを噴射するための外部エアゾール装置1と、その中に収容されている原液噴射用の内部エアゾール装置2とからなる二重構造にされている。外部エアゾール装置1は、容器本体4と、その上端開口部にバルブ5を取り付けて密閉するためのマウンティングカップ6とを備えている。バルブ5のステム7の上端には、押しボタン8が嵌着されている。
【0014】
内部エアゾール装置2は、内部容器10と、その上端開口部にバルブ11を取り付けて密閉するためのマウンティングカップ12と、内部容器10のビード部10aとマウンティングカップ12の間に吊り下げられている可撓性の内袋13とを備えている。内部エアゾール装置2は、たとえばそのマウンティングカップ12を、外部エアゾール装置1のハウジング取り付けた可撓性を有する吊り部材14に吊り下げることにより、容器本体4内に保持させることができる。
【0015】
容器本体4および内部容器10は通常はそれぞれ金属薄板製の缶などで構成しうる。しかし合成樹脂、ガラスなどの他の素材からも製造しうる。マウンティングカップ6、12も通常は金属薄板をプレス成形することにより製造しうる。しかし合成樹脂などであってもよい。内袋13は合成樹脂シート、金属箔、その他従来より二重エアゾール装置の内袋として用いられているものを使用することができる。
【0016】
上記の内部容器10の底部には、容器本体4の内部と内部容器10の内部とを連通する孔15が形成されている。容器本体4の内部にはたとえば空気、窒素、炭酸ガス、笑気ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス、ジメチルエーテル、各種フロン類などの液化ガスが充填されている。液化ガスを用いる場合には、ベーパーのみを噴射する構造を採用するのが好ましい。そして内袋13の内部には、本来噴射させるべき薬液、たとえば洗鼻薬、点耳薬、口腔用薬剤、消炎鎮痛剤、傷薬、制汗剤、殺菌消毒剤、化粧液、クレンジング液、保湿液などを充填している。容器内の圧力は、ゲージ圧で0.3〜1.0M Pa程度、さらに好ましくは0.4〜0.8M Pa程度とする。すなわち絶対圧で内圧をPとし、大気圧をP0 とするとき、本実施形態では、P0 /Pが臨界圧力比Pc /Pよりも常に小さくなるように設定して、ガス噴射おけるガス流速の初速が音速を維持するようにしている。なお常にP0 /P<Pc /Pとなる条件は、液を噴射できなくなった状態(使いきった状態)でも、Pが0.2M Pa 以上である。
【0017】
図2は外部エアゾール装置1および内部エアゾール装置2のそれぞれのバルブ5、11を示している。外部エアゾール装置1のバルブ5は、基本的には従来のバルブと同じであり、マウンティングカップ6の中央部に保持されるカップ状のハウジング16と、ハウジング16の上面凹部に収容され、ハウジングとマウンティングカップの間に介在される円環状のバルブラバー17と、ハウジング16内に上下に摺動自在に収容された前述のステム7と、ステム7を常時上向きに付勢するバネ19とを備えている。ハウジング16は、その底面にステム7の下部を摺動自在に通すための底孔16aを有することを除けば、従来のハウジングと実質的に同じである。なおガスは底孔16aとステム7の隙間からハウジング16内に入るが、ハウジング16の側面に孔16bや隙間を設けてもよい。
【0018】
ステム7の上端はバルブラバー17およびマウンティングカップ6を貫通して上方に延びている。他方、その下端はハウジング16の底孔16aを通って下方に延び、内部エアゾール装置2のバルブ11を操作するべく、弁体32に当接している。さらにステム7の上下方向の中央部に環状のフランジ部20が設けられ、前記バネ19はステムの下部を取り囲むようにして、そのフランジ部20の下面とハウジング16の内底面の間に介在されている。またフランジ部20はステム7が上方に抜けないようにするストッパの機能をも有する。
【0019】
本実施形態ではさらにステム7の上端から下端まで、その中心に沿って原液を通す液通路21が形成されており、ステム7の上端から中央部にかけて、ガスを通すためのガス通路22が形成されている。ガス通路22は本実施形態では液通路21を囲む断面円環状の形態を呈し、その下端近辺に形成された横孔23によってステム7の表面と連通している。なおガス通路22は、液通路21と平行に延びる1本の孔であってもよい。前記ステム7のフランジ部20の上部には、バルブラバー17と係合する環状溝24が形成され、前記横孔23はその環状溝24の底部で開口している。
【0020】
上記の外部エアゾール装置1のバルブ5は、ガス通路22とハウジング16の内部の間の連通を開閉し、それにより容器本体4の内部と外部とを開閉するものである。すなわちバネ19の付勢力でステム7が上昇しているときは、バルブラバー17の内面が横孔23をシールしているので、ガスは遮断されている。そしてステム7を下降させると、通常のエアゾール装置と同じく、バルブラバー17の内縁部が下向きに湾曲され、横孔23が開放されて、ガスの内外の通路が連通し、外部に流出する。
【0021】
ステム7の上端に嵌着されている押しボタン8の下部には、ステム7の液通路21と連通する1本の原液用の送出孔26が形成され、その他端側は、原液用ノズル27の噴孔と連通している。さらに前記送出孔26と平行に4本のガス送出孔28が形成されており、その下部側はステム7のガス通路22と連通し、他端側は図1に示すように、原液用ノズル27を囲むように配列されて外部に開口するガス用ノズル29となっている。
【0022】
他方、内部エアゾール装置2のバルブ11は、マウンティングカップ12の中央部に保持されるカップ状のハウジング30と、そのハウジング30の上面凹部に収容され、ハウジングとマウンティングカップの間に介在される円環状のバルブラバー31と、ハウジング30内に上下に摺動自在に収容された弁体32と、弁体32を常時上向きに付勢するバネ33とを備えている。ハウジング30の底面には原液を通すための孔30aが形成されている。なお弁体32はバルブのステムのフランジ部に相当するものであるが、外部エアゾール装置1のバルブ6の場合のように上部に突出する部分や環状溝がなく、上面は平坦である。すなわち通常のステムの上部に突出する部分の作用は、外部エアゾール装置1のバルブ5のステム7、とくにその液通路21により奏される。
【0023】
外部エアゾール装置1のステム7の下端は原液用のバルブ11の弁体32と当接しており、その下端付近には、液をステムの流通路21に導入するための横孔21aが設けられている。その横孔21aは、押しボタン8を押していない状態では、原液用バルブのバルブラバー31の内面と気密に嵌合し、シールされている。
【0024】
この内部エアゾール装置2のバルブ11は、ステム7の上下動に同調して弁体32が上下動する。そして弁体32が上昇しているときは、弁体32の上面がバルブラバー31の下面と密接するので、原液は外部に漏れない。ついでステム7が下方に押し込まれると、弁体32が下降し、弁体32とバルブラバー31の間に隙間ができ、その隙間によりハウジング30内とステム7の液通路21とが連通する。そのため内袋13を通してガスにより加圧されている原液がステム7の液通路21を通って原液用ノズル27より噴射する。
【0025】
したがって押しボタンを8を押し込むと、図3に示すように、周囲のガス用ノズルの噴孔29aからガスGが噴射されると同時に、原液用ノズルの噴孔27aから原液Lが霧状に噴射される。そして霧状の原液Lは、周囲のガスGの流れに包まれるようにして、そのガスの流れに乗って噴霧される。このようにガスの速度や流量と、原液の速度や流量は、別個の噴射機構により噴射するので、それぞれ適切な原液の流量を維持しながら、しかも比較的遅い速度で噴霧することも可能である。したがってたとえば傷口や喉などの粘膜に薬剤などを噴霧するとき、柔らかな感触を与えることができる。
【0026】
図4はガス用ノズル29の一実施形態を示すものである。このものはガス送出孔28の端部が円錐状に先細に縮径しており、さらにその先端の開口部(噴孔)29aの径が小さくされている。ガス送出孔28の径がたとえば0.8〜2.0mm程度のとき、噴孔29aの内径は0.05〜0.7mm程度、とくに0.1〜0.6mm程度が好ましい。また噴孔29aの長さは0.1〜2.0mm程度が好ましい。円錐状の部分34の頂角は60〜120゜程度が好ましい。このような円錐状の内面を有するガス用ノズル29は、矢印Pのようにガス流が拡がりながら噴射されるので、空気中に広く液を拡散させることができる。また、その円錐状の部分にスクリューを設けると、ガスが渦流となり、液を一層拡散させやすくなる作用効果がある。
【0027】
図5aおよび図5bは原液用ノズル27の好ましい実施形態を示している。この原液用ノズル27は、先端中央に形成した比較的細い噴孔27a と、その噴孔の内部側に形成した流れの案内をする突起ないし溝35からなる、いわゆるメカニカルブレークアップ機構を備えている。それらの突起ないし溝35は噴射流によって渦流れを生じさせるべく、図5bのように中心部がずれた放射状に配置されている。このようなメカニカルブレークアップ機構を備えた原液用ノズル27を用いると、原液だけ噴射する場合でも、霧状に噴射しやすい。そのため容器の内部のガス圧が低くなった場合でも、充分に霧状に噴射させることができる。
【0028】
図6aは図2における押しボタン8の原液を送出する送出孔26に流量抑制部材36を挿入した実施形態を示している。この流量抑制部材36は、図6bに示すように、巻き線同士が互いに密着したコイル(バネ)37と、その中心の空所に嵌入した円柱状のプランジャ38とからなる。コイル37の外径は送出孔26の内壁に密接する大きさとしている。このような流量抑制部材36を送出孔26に挿入すると、原液は螺旋状に連続するコイル37同士の隙間36aを通って上昇していく。そのため流路抵抗が大きく、原液の流量が大きく抑制される。そのため、液ノズル29の噴孔から噴出する原液は、微細な液粒子の集合体となり、ソフトな肌触りの噴霧となる。そしてそのようなソフトな噴霧がガスノズルから噴出するガス噴出流に乗って運ばれる。また流量が抑制されることにより、使いすぎを防止することができる。
【0029】
なお図6aでは、原液用ノズル27の後部と、縦方向の送出孔26のそれぞれに流量抑制部材36を挿入しているが、いずれか片方でもよい。さらにステム7の液通路21内や、内部エアゾール装置2のバルブ11のハウジング30の底部の孔30aに流量抑制部材36を挿入することもできる。
【0030】
図7は流量抑制部材の他の実施形態を示している。この流量抑制部材39は、細長い断面円状の心材40を複数本束ねたものであり、各心材40の隙間41が原液の流れる流路となる。心材40は少なくとも4本設けるのが好ましい。また心材40の束は、緩いピッチで捻るようにしてもよい。さらに心材40の束を合成樹脂などの外皮42で一体にすると、取り扱いが容易である。この流量抑制部材39についても、原液が細く長い隙間43を通ることにより流路抵抗を受けて、その流量が抑制される。そのため、図6aにおける押しボタン8の送出孔26や、ステム7の液通路21、ハウジング30の孔30aなどの液が流出する通路の途中に介在させると、図6a、図6bの場合と同じ作用効果を奏する。
【0031】
図8aに示す流量抑制部材44は、微細な内径の通路(マイクロキャピラリー)45を備えた棒状の部材であり、合成樹脂の押し出し成形などにより製造しうる。この流量抑制部材44は、図6aのように、原液が流出する通路のいずれかに介在させて用いる。また図8bに示す流量抑制部材46は表面に凹溝47を備えた棒状の部材である。このものも合成樹脂の押し出し成形などで製造しうる。この流量抑制部材46は、図6aに示す原液を通す通路のいずれかに嵌入すると、その内壁48と凹溝47とで囲まれる空間が原液が流れる流路となる。それらの流量抑制部材41、43の作用効果は図6a、図6bの流量抑制部材36と実質的に同じであり、原液をソフトに噴射させるのに役立つ。
【0032】
図9に示す噴霧製品Bは、内部容器10の中に、前述の内袋13に代えて、ピストン49が摺動自在に収容されている。このピストン49は従来の二重エアゾール装置に用いられるものと同じものでよい。このようにガスを原液の噴射のプロペラントとして利用する場合は、内袋やピストンに限ることなく、原液を収容する部分とガスを収容する部分との間に、原液収容部の容積を可変とする、圧力伝達が可能な隔壁を設けていればよい。
【0033】
さらにこの噴霧製品Bでは、原液用ノズル27の周囲に3個のガス用ノズル29が設けられている。このようにガス用ノズル29の個数は任意に選択することができ、場合により1個であってもよい。ただし通常は2〜10個程度、好ましくは3〜8個程度とする。なお図9の実施形態における符号14は、内部エアゾール装置のマウンティングカップを外部エアゾール装置のバルブに吊るための吊り部材である。
【0034】
前述の実施形態では原液用のエアゾール装置2をガス用のエアゾール装置1の内部に収容しているが、本発明の範囲外であるが、図10に示す噴霧製品Cのように、ガス用のエアゾール装置1の外部に並列的に設け、原液用のエアゾール装置2のステム50とガス用のエアゾール装置1のステム7とを共通の押しボタン51で操作するようにしてもよい。その場合も実質的に同じ作用効果を奏する。なお図10の噴霧製品Cでは、原液用のエアゾール装置2は通常の二重エアゾール装置と同じように、ガス用のエアゾール装置1とは別個のプロペラントを充填する圧縮ガス室52を備えている。
【0035】
【実施例】
[実施例1] 満注量50mlのアルミ製容器に満注量35mlのポリエチレン製の内袋とバルブを取り付けて液噴射機構を構成した。内袋には30gの精製水を充填した。このものを満注量200mlのアルミ製容器本体に収容し、その容器本体にステム横孔径0.3mmのバルブを取り付け、容器本体に0.45MPa(25℃、ゲージ圧)のLPGを充填して図1に示すような実施例1の噴霧製品を製造した。ガス噴孔の径は0.1mmで4個所、液噴孔の径は0.3mmとし、ガス噴孔を液噴孔を上下左右から囲む位置に設けた。
【0036】
[実施例2] ガス液噴孔の径を0.2mmとすると共に、液噴射機構に噴出量抑制機構を設けた以外は実施例1と同じにしたものを実施例2の噴霧製品とした。
【0037】
[比較例1] 満注量200mlのアルミ製容器に精製水120gを充填し、バルブをクリンプした後、窒素ガスを内圧が0.45MPa(ゲージ圧)となるように充填して比較例1の噴霧製品を製造した。なおバルブのステム孔は内径0.3mmとした。
【0038】
上記の実施例1〜2および比較例1の噴霧製品について、噴霧パターンなどを比較した結果を表2および図11に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0004343314
【0040】
表2および図11a、図11bから分かるように、実施例1および実施例2の噴霧製品では、噴孔から近い位置から広く拡がり、最大到達距離が短い。逆に図11cに示すように、比較例1の製品では、拡がり角度が小さく、遠くまで到達することが分かる。これは、実施例1〜2の製品ではガスと水を別々の噴孔から噴射しているため、ガスの拡散が速く、ガス流によって運ばれる精製水全体の噴霧状態は柔らかくなったためと考えられる。一方、比較例の製品では、水だけがガス圧により押し出された状態で噴射されるため、拡散が小さく、飛距離が長くなったためと考えられる。実際に使用者の体感テストでも、実施例1〜2の製品では、近くから噴射しても穏やかで柔らかな噴霧が体感され、比較例の製品に比して使用感が優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の噴霧製品の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】 その噴霧製品の要部拡大側面断面図である。
【図3】 図1の噴霧製品の使用状態を模式的に示す平面図である。
【図4】 図2のNの部分の拡大断面図である。
【図5】 図2の要部拡大断面図である。
【図6】 図6aは本発明に関わる流量抑制部材を設けた液通路の実施形態を示す断面図、図6bはその流路抑制部材の拡大断面図である。
【図7】 本発明に関わる流路抑制部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】 図8aおよび図8bはそれぞれ本発明に関わる流路抑制部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】 本発明の噴霧製品の他の実施形態を示す正面断面図である。
【図10】 本発明の範囲外の噴霧製品の例を示す正面断面図である。
【図11】 図11aおよび図11bは実施例の噴霧製品の噴霧状態を示す概略側面図であり、図11cは比較例の噴霧製品の噴霧状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
A 噴霧製品
1 外部エアゾール装置(ガス用エアゾール装置)
2 内部エアゾール装置(原液用エアゾール装置)
4 容器本体
5 バルブ
6 マウンティングカップ
7 ステム
8 押しボタン
10 内部容器
11 バルブ
12 マウンティングカップ
13 内袋
14 吊り部材
19 バネ
21 液通路
22 ガス通路
23 横孔
26 送出孔
27 原液用ノズル
27a 噴孔
28 ガス送出孔
29 ガス用ノズル
29a 噴孔
30 ハウジング
31 バルブラバー
32 弁体
33 バネ
34 円錐状の部分
36 流量抑制部材
36a 隙間
37 コイル
38 プランジャ
39 流量抑制部材
40 心材
41 隙間
42 外皮
43 隙間
44 流量抑制部材
45 通路
46 流量抑制部材
47 凹溝
48 内壁
B 噴霧製品
49 ピストン
C 噴霧製品
50 ステム
51 押しボタン
52 圧縮ガス室

Claims (9)

  1. 霧状の液をガス流に乗せて配送・散布する噴霧製品であって、
    を噴射する液噴孔を備えた液噴射機構と、前記液噴射機構から噴射された霧状の液を配送するためのガスを噴射する前記液噴孔とは別のガス噴孔を備えたガス噴射機構とからなり、
    前記ガス噴射機構が、ガスを充填したガス容器と、ガス噴孔とガス容器の間に介在されるガス用バルブとを備え、
    液噴射機構が、原液を充填した液容器と、液噴孔と液容器との間に介在される液用バルブとを備え、
    ガス用バルブと液用バルブのうち一方が操作されたときに同時に他方を操作するための連動機構を備え、
    前記ガス容器の中に液噴射機構が収容されており、
    前記ガス噴射機構のガスの圧力により液噴射機構の液を加圧し、その圧力で液を噴射する噴霧製品。
  2. 前記ガス噴射機構から噴射されるガス流速の初速が音速である請求項1記載の噴霧製品。
  3. 前記ガス用バルブおよび液用バルブを操作する押しボタンを備えており、
    その押しボタンに、ガスを噴射するガス噴孔が複数個設けられ、液を噴射する液噴孔がそれらのガス噴孔の間に設けられている請求項1記載の噴霧製品。
  4. 前記液容器が可塑性のある内袋である請求項1記載の噴霧製品。
  5. 前記液容器に、その容積を可変とするピストンが設けられており、そのピストンがガス容器と液容器との間で圧力伝達が可能な隔壁とされている請求項記載の噴霧製品。
  6. 前記ガス用バルブは上方に付勢されたステムにより通常は閉じられ、下方に操作することにより開けられ、
    前記液用バルブは上方に付勢された弁体により通常は閉じられ、下方に操作されることにより開けられ、
    前記連動機構が、ステムを下方に操作することにより、そのステムの下端が液用バルブの弁体を下方に操作するものである請求項記載の噴霧製品。
  7. 前記液噴射機構の液通路の一部に噴射量を抑制する機構を設けた請求項1記載の噴霧製品。
  8. 前記液噴口に原液用ノズルが設けられており、
    その原液用ノズルの先端中央に噴口が形成され、
    その噴口の内部側に液流れを案内する突起ないし溝が形成され、それら突起ないし溝が渦流れを生じさせるべく中心部がずれた放射状に配置されている請求項1記載の噴霧製品。
  9. 前記ガス容器に充填されているガスが液化ガスである、請求項1、2、3、4、5、6、7あるいは8のいずれかに記載の噴霧製品。
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