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JP4342975B2 - サイアロン質工具、切削インサート、及び切削工具 - Google Patents

サイアロン質工具、切削インサート、及び切削工具 Download PDF

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Description

本発明は、サイアロン焼結体、サイアロン質工具、切削インサート、及び切削工具に関するものであり、例えば、ダクタイル鋳鉄、耐熱合金等の難削材を加工する際に、工具刃先の摩耗量が小さく、かつ欠損率が低い良好な工具寿命が得られる、サイアロン焼結体、サイアロン質工具、切削インサート、及び切削工具に関する。
サイアロンは、窒化珪素と比較して、高硬度、室温から高温までの強度低下小、かつ化学的安定性が高いことが特徴である。そのため、耐熱性及び耐化学反応性が要求される熱鋼の圧延用ガイドロールやダイスやアルミニウム・ダイキャスト機械のスリーブなどの構造材料として使われている。また、サイアロンは、耐摩耗性が良好であることから、切削インサート(スローアウェイチップ)や軸受けにも利用されている。
このうち、サイアロン質工具である切削インサートは、従来より、難削性である耐熱合金の粗切削加工用工具として用いられることが多く、粗加工であるがゆえに、工具刃先の耐摩耗性については、あまり重要視されなかった。
これとは別に、近年では、自動車の燃費向上を目的として、FC材を主とする自動車部材の軽量化が望まれている。このことを背景として、FC材と比較して薄肉化、軽量化を図れるダクタイル鋳鉄(FCD)材の需要が増加している。
このダクタイル鋳鉄の加工には、従来より、被覆超硬製工具(例えば被覆超硬製切削インサート)が、切削速度の低い条件、例えば500m/min以下にて使用されてきたが、切削能率向上を目的に、例えば1000m/min程度の高速条件で使用した場合には、基材が切削時に発生した熱により、塑性変形損傷してしまうという問題があった。
また、同条件にて、耐熱性に優れる窒化珪素製工具を用いた場合には、窒化珪素基材と被削材が溶着損傷を引き起こすことにより、短時間で寿命に至るというも問題もあった。
a)こうした、被削材と窒化珪素基材の溶着損傷を低減するために、窒化珪素基材に鉄や炭素との反応性が低いチタン化合物やアルミ化合物からなる硬質層を被覆する方法が知られている。
例えば、下記特許文献1や特許文献2などには、窒化珪素基材に窒化チタンやアルミナを被覆し、普通鋳鉄及びダクタイル鋳鉄を切削加工する事例が開示されている。
b)さらに、被削材と窒化珪素基材の化学反応を抑制するために、窒化珪素に窒化チタンやアルミナを添加し基材自体の化学反応性を向上させる方法が知られている。
この窒化チタンは、分散粒子として組織中に存在し、窒化珪素基材の耐化学反応性を改善する。また、アルミナは、窒化珪素粒子中に固溶しサイアロン粒子となり、窒化珪素粒子自体の耐化学反応性を改善する。こうした方法については、下記特許文献3や特許文献4などに開示されている。
特開2002−284589号公報 (第2頁、図3) 特開2002−192404号公報 (第2頁、図8) 特表平6−510965号公報 (第2頁、図1) 特開平10−36174号公報 (第2頁、図1)
ところが、前記a)に記載の技術では、被覆層の効果で被削材と工具の溶着損傷は抑制されるが、被覆時に窒化珪素基材と窒化チタンやアルミナの熱膨張係数の相違により、被覆層に引っ張り残留応力が生じ、被覆層を破壊の起点として、工具刃先が欠損し工具寿命に至ることがある。
また、前記b)に記載の技術では、窒化チタンの添加により、窒化チタンと窒化珪素粒子の熱膨張係数の相違による高温強度の低下、あるいはアルミナの添加によるサイアロン化により、粒子自体の強度が低下してしまい、とりわけ高速切削時の工具寿命を低下させてしまうことがある。
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであり、例えば工具の基材の強度を低下させることなく、被削材と工具刃先の化学反応による溶着損傷を低減し、工具寿命を改善することを目的としている。
・本発明者は、これら溶着損傷から刃先損傷する機構を鋭意研究したところ、例えばダクタイル鋳鉄等からなる被削材と工具材質の化学反応による溶着を適切なレベルまで抑制し、かつ基材の強度低下を引き起こさないようにすることが工具寿命を延長させるために重要であることが判明した.
ダクタイル鋳鉄等からなる被削材との溶着反応については、窒化珪素が被削材と高い温度、高い切削圧力で接触する際に、珪素と窒素に分解しやすいことに起因して生じる。この窒化珪素の分解反応を抑制することが、窒化珪素工具の溶着損傷による刃先摩耗を小さくし、工具寿命を延長させるために重要であるが、下記の2つの方法が窒化珪素と被削材の反応を抑制するために考えられる。
・1つは、窒化珪素にアルミナを固溶させ、サイアロン化させることである。
アルミナは化学的に安定で、被削材に含まれる主成分である鉄や炭素とも反応しにくい成分である。しかし、アルミナのみからなる工具で上記被削材を切削加工すると、低強度であるがゆえに、工具刃先の欠損により充分な工具寿命が得られない。
それに対して、サイアロンであれば、窒化珪素同様の針状粒子が絡み合った微細組織で、かつ、粒子自体の強度もアルミナと比較して充分高いため、工具刃先の欠損は生じにくく長寿命となる。ただし、アルミナの固溶量が多すぎると、サイアロン粒子の強度が低下してゆき工具刃先が欠損してしまう。
従って、アルミナ量を、被削材との反応性を抑えながら、強度低下する弊害が生じない程度に調整する必要がある。また、アルミナは、窒化珪素内に固溶しサイアロン化しなくても、粒界相に存在することで被削材との反応抑制に寄与する。
よって、アルミナの添加量については、具体的には、13〜26モル%に限定される。これは、アルミナの添加量が、酸化物換算で、13モル%以下であると、被削材との溶着反応が発生しやすく充分な効果が得られず、26モル%より多く添加すると、サイアロン化による強度低下が顕著となり工具刃先が欠損してからである。
また、アルミナを添加した際に、その殆どは窒化珪素中に固溶してサイアロン化するが、一部はアルミナかアルミを含むガラス相として粒界相に残存する。製造条件によっては、窒化珪素中へのアルミナの固溶を抑制し粒界へ残存させることもできるが、前述の通り固溶量を適正化しないと充分な効果が得られない。
従って、具体的には、Z値が0.5〜1.0の範囲に限定される。これは、Z値が、0.5未満であると、被削材との溶着反応が発生しやすく充分な効果が得られず、1.0より大きい値となると、サイアロン化による強度低下が顕著となり、工具刃先が欠損し易くなるからである。
このZ値の測定方法としては、X線回折測定により測定されるサイアロン焼結体中のβ-Sialonのa軸格子定数と、β-窒化ケイ素のa軸格子定数(7.60442Å)の差から算出する。(算出方法は、例えばWO 02/44104公報、第28頁参照)
・2つめは、第2相としてチタン化合物を添加する方法である(尚、第1相はサイアロンである)。
チタン化合物もアルミナと同様に、窒化珪素と比較すると、被削材の主成分である鉄や炭素との反応性が低い為、窒化珪素中に添加することで被削材との反応を抑制することができる。ただし、チタン化合物については、窒化珪素中に固溶し難いため、粒界相中に結晶相か、チタンを含むガラス相として存在することになる。
チタン化合物については、添加量を増やすにつれて、被削材との反応は抑制されるが、添加量を増やしすぎると、チタン化合物は窒化珪素と比較し熱膨張係数が大きい成分であり、切削加工時に発生する熱の影響を受け発生する熱クラックにより工具刃先が欠損することになる。
従って、チタン化合物の添加量を調整する必要がある。具体的には、チタン化合物の添加量は、6〜30モル%に限定される。これは、添加量を6モル%未満とすると、被削材との溶着損傷が発生しやすく充分な効果が得られず、30モル%を超える量とすると、工具刃先が熱クラックの発生により欠損し易くなるからである。
以下、各請求項の発明について説明する。
(1)請求項1の発明は、β-Sialon(サイアロン)及びα-SialonからなるSialon相又はβ-SialonからなるSialon相を主相とし、焼結助剤を添加したサイアロン焼結体からなり、ダクタイル鋳鉄加工において500m/minを超える切削速度にて用いられるダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具であって、Tiの炭化物窒化物、酸化物、炭窒化物、酸窒化物より選ばれる1種以上を6〜30モル%と、Alを酸化物換算で13〜26モル%と、を含有するとともに、前記β-Sialonが表される組成式Si6-ZAlZZ8-ZにおけるZ値が0.5〜1.0で、前記Sialon相中のα-Sialon割合を表すα率が30%以下であり、且つ、前記サイアロン焼結体の切断面において、サイアロン焼結体全体を100面積%とした場合に、サイアロン焼結体の粒界ガラス相及び粒界結晶相が、10〜25面積%であり、更に、前記サイアロン焼結体の切断面において、サイアロン焼結体中におけるβ-Sialon及びα-Sialon粒子の平均長軸長が1.2〜2.2μm、前記β-Sialon及びα-Sialon粒子の平均短軸径が0.2〜1.0μmであることを特徴とするダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具を要旨とする。
本発明では、上述した様に、Tiの炭化物窒化物、酸化物、炭窒化物、酸窒化物より選ばれる1種以上を6〜30モル%含有するので、被削材との溶着損傷が発生しにくく、且つ、工具刃先が熱クラックの発生により欠損することを抑制できる。しかも、Alを酸化物換算で13〜26モル%を含有するとともに、Z値が0.5〜1.0であるので、被削材との溶着反応が発生しにくく、サイアロン化による強度低下が少なく、工具刃先が欠損しにくくなる。
つまり、本発明によれば、被削材との溶着を抑制できるので、耐摩耗性が高く、しかも、耐欠損性にも優れているという顕著な効果を奏する。
また、サイアロンには、組成式Si6-ZAlZZ8-Z(0<Z≦4.2)で示されるβ-Sialonと、組成式Mx(Si,Al)12(O,N)16(0<X≦2、MはMg,Ca,Sc,Y,Dy,Er,Yb,Lu等の侵入型で固溶する元素を示す)で示されるα-Sialonがある。β-Sialonは窒化珪素同様に針状粒子が複雑に絡み合った組織となるため、高靭性があり、α-Sialonは等軸状の粒子形状であるため、低靭性ではあるが、β-Sialonと比較して硬度が高い特徴を有する。
本発明者の研究によれば、サイアロン粒子はβ-Sialonである方が高靭性であることにより、良好な切削性能が得られたが、一部がα-Sialonであっても、X線回折図におけるβ-Sialonの(101)面ピーク強度をβ1、(210)面ピーク強度をβ2、α-Sialonの(102)面ピーク強度をα1、(210)面ピーク強度をα2とした時に、(α1+α2)/(β1+β2+α1+α2)で算出される、“α率”が30%までは、切削性能の低下は認められなかったので、α率を30%以下の数値に規定した。
つまり、本発明では、上述した様に、α率が30%以下であるので、十分な切削性能(耐摩耗性及び耐欠損性)を有しており好適である。
更に、粒界相は、焼結助剤が焼結時に液相化して、サイアロン粒子の生成、サイアロン粒子の再配列、粒成長に寄与した後、冷却時に固化して、焼結助剤、窒化珪素及び窒化珪素に不純物として含まれるシリカ成分からなる、ガラスあるいは結晶相として生成するものである。この粒界相は、サイアロン粒子と比較すると、低融点かつ低靭性であるため、サイアロン基材自体の耐熱性、靭性を改善するためには、適切な量に制御する必要がある。
ただし、粒界ガラス相量及び粒界結晶相量は、例えば焼結助剤量の低減により、減少させることができるが、減少させすぎると焼結時の液相量が不足し、焼結性の低下および粒界相部分に微小な空孔を生じさせ、サイアロン基材の強度を低下させる原因となる。逆に粒界相量を増加させすぎると、前述のように、粒界ガラス相及び粒界結晶相はサイアロン粒子と比較して、融点及び靭性が劣る成分であるため、サイアロン基材自体の耐熱性、靭性が低下してしまうこととなる。
従って、本発明では、粒界相ガラス相及び粒界結晶相量を、焼結体の切断面において、
全体を100面積%とした場合に、10〜25面積%に限定した。つまり、本発明の範囲であれば、サイアロン基材の強度、耐熱性、靭性を高く維持することができる。
しかも、本発明は、サイアロン焼結体の切断面において、サイアロン焼結体中におけるβ-Sialon及びα-Sialon粒子の平均長軸長が1.2〜2.2μm、β-Sialon及びα-Sialon粒子の平均短軸径が0.2〜1.0μmである。
セラミック材料に関して、粒子径は、一般に微細・均一である方が、組織中に発生する強度低下の原因となりうる欠陥寸法も小とすることができ、強度を向上させる結果となる。しかし、組織を微細にしすぎると、基材に発生したクラックの進展を湾曲させる、いわゆるディフレクション効果が得られず、破壊靭性値が低下し、短寿命となる。
従って、全体の平均粒径は小さくしながらも、窒化珪素粒子の平均長軸長、平均短軸径を適当な値に制御することが、強度および破壊靭性値を維持するために重要である。
それゆえ、サイアロン焼結体中におけるβ-Sialon及びα-Sialon粒子の長軸長および短軸径を、焼結助剤種類・量等を調整して、制御することが重要である。具体的には、平均長軸長が、焼結体の切断面において1.2〜2.2μm、平均短軸径が0.2〜1.0μmであると、靭性及び強度に優れたサイアロン基材を得ることができるため、この値に限定する。
なお、本発明において平均長軸長および平均短軸径の測定方法は以下の通りである。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM)により、チップ(例えば実施例の切削インサート)のすくい面の刃先部分の組織写真を撮影する。次に、この写真を画像解析して、図1に示す様に、一つの粒子(1)の中で最も幅が大きい部分をその粒子の長軸長(X)とし、500〜1000ヶの粒子の長軸長の平均を平均長軸長とする。一方、長軸に対して垂直方向で最も幅が小さい部分を、その粒子の短軸径(Y)とし、短軸径の平均を平均短軸径とする。
(2)請求項2の発明は、前記焼結助剤として、Sc、Ce、Dy、Er、Luより選ばれる1種類以上を、酸化物換算で3〜8モル%添加したことを特徴とする前記請求項1に記載のサイアロン質工具を要旨とする。
本発明は、焼結助剤及びその含有量を規定したものであり、この焼結助剤を用いることにより、好適な焼結を行うことができる
)請求項の発明は、前記請求項1又は2に記載のダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具は、切削インサートであることを特徴とする切削インサートを要旨とする。
本発明は、前記サイアロン焼結体からなるダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具である切削インサートを例示している。
この切削インサートは、耐摩耗性及び耐欠損性に優れているので、長寿命を有しており、この切削インサートを用いて切削加工を行うことにより、好適な加工を実施することができる。例えば同じ切削インサートを用いて、長期間にわたり、高い精度で切削加工を行うことができる。
尚、サイアロン焼結体の表面に、(サイアロン焼結体を基材として)硬質の被覆層を形成してもよい。
)請求項の発明は、前記請求項に記載の切削インサートをホルダに備えたことを特徴とする切削工具を要旨とする。
本発明の切削工具は、ホルダに前記切削インサートを備えているので、この切削工具を用いて切削加工を行うことにより、好適な加工を実施することができる。例えば同じ切削インサートを用いて、長期間にわたり、高い精度で切削加工を行うことができる。
以上に記述したように、本発明のサイアロン焼結体においては、Alの添加量の調整によるZ値の最適化、Ti成分および添加量の最適化により、主として、工具刃先等の摩耗量を低減することができる。また、α率を規定することにより、十分な切削性能が得られる。更に、粒界相量および粒子径を最適化することにより、強度・靭性が改善された結果、工具刃先等が欠損により寿命に至ることを抑制できる。
その結果、難削性のダクタイル鋳鉄を高速加工することが可能となり、加工費用の低減、加工効率の向上に貢献することができる。
次に、本発明のサイアロン質工具、切削インサート、及び切削工具の最良の形態の例(実施例)について説明する。
a)まず、本実施例のサイアロン焼結体からなるダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具、即ち切削インサートの製造方法について説明する。
平均粒径1.0μm以下のα−Si34粉末及び焼結助剤として、平均粒径1.0μm以下のCeO2粉末、Dy23粉末、Er23粉末、Lu23粉末、Sc23粉末、Al23粉末、AlN粉末、TiC粉末、TiN粉末、TiCN粉末、TiO2粉末を、下記表1に示す配合割合で秤量した。
次に、この秤量した原料を、Si34製内壁ポット、Si34製ボールを用いて、エタノール溶媒にて96時間混合してスラリーとした。
このスラリーを325メッシュのふるいに通し、エタノールを溶解したマイクロワックス系の有機バインダを5.0重量%添加しスプレードライした。
そして、得られた造粒粉末を、ISO規格でSNGN120412の形状にプレス成形した後に、加熱装置内において1気圧の窒素雰囲気中で600℃にて60分、脱脂を行った。
次に、脱脂を行った成形体の焼結を行った。具体的には、1気圧の窒素雰囲気下、窒化珪素製サヤ内にセットし、6気圧の加圧雰囲気下にて、1850℃まで昇温し120分保持を行った。
焼結を行った後、焼結体内部に残留ポアの存在する試料に関しては、熱間静水圧成形(HIP)により2次焼結を行った。2次焼結は1000気圧の窒素雰囲気下において、1700℃で120分加熱した。
こうして得たサイアロン焼結体を、ISO規格でSPGN120412形状に研摩加工して、本発明の範囲内の実施例No.A〜Xの切削インサート2(図2参照)を得た。尚、同様の方法にて製造した本発明の範囲外(比較例)の切削インサートについては、同表1に*印にて示す。
b)次に、前記切削インサート2の特性等の測定方法について説明する。
上述した製造方法によって得られた実施例および比較例の切削インサート2を、周知のX線回折の手法により分析して、β-Sialon及びα-SialonからなるSialon相を主相するサイアロン焼結体であることを確認した。
また、前記切削インサート2の上面を鏡面研磨加工し、刃先となる部分のサイアロン粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、5000倍の観察倍率で観察・写真撮影した後、その写真を画像解析することで、サイアロン粒子の平均長軸長および平均短軸径を得た。その結果を、前記表1に示す。
更に、同時に得られた写真の粒界相部分の面積を、画像処理ソフトにより測定し、その断面全体に対する粒界相部分の面積の割合(%)を求めた。その結果も、前記表1に示す。
その上、実施例と比較例の切削インサート2の刃先に、図3に示す様に、面取り幅を0.3mm、面取り角が25°となる面取り刃先加工を行って、面取部3を形成し、この切削インサート2を、図4及び図5に示す様に、ホルダ付き切削工具(フライスカッター)4にセットした。
ここで、切削インサート2を装着したフライスカッター4について説明する。
前記図4及び図5に示す様に、フライスカッター4は、略円柱状のカッターボディ本体(ホルダ)5を有し、その先端側(加工面側:図4の手前側)の外周に沿って、6箇所に凹状の切削部6が設けられたものである。
つまり、ホルダ5の先端側の外周に沿って、6箇所に凹状の取付部7が設けられ、この取付部7内に、前記切削インサート2、切削インサート2を取り付けるための合金鋼製のカートリッジ8、同じ合金鋼製のクサビ9等の部材が配置されて、切削部6が構成されている。尚、図4及び図5では、構造を明瞭にするために、一部切削インサート2等の部材を省略してある。
そして、前記フライスカッター4の1箇所の取付部7に1枚の切削インサート2を装着し、下記に示す加工条件にて切削加工を行って、工具刃先の摩耗量(VB)が0.3mmとなるまでに加工可能であった被削材枚数にて評価した。具体的には、下記寸法の被削材の主面の表面を、横方向に1パス切削した場合を、1枚としてカウントした。尚、横方向にフライスするので、1枚加工すると700mm加工することになる。
また、VBが0.3mmとなる前に工具刃先が欠損した場合にも同様に工具寿命と判定した。
それらの結果を、前記表1に示す。尚、表1の可能被削材枚数の欄の欠損では、欠損時の枚数も記載した。

<加工条件>
被削材:JIS FCD450(ダクタイル鋳鉄)
寸法(縦130mm×横700mm×厚み30mm)
切削速度:1000m/min
送り速度:0.15mm/刃
切り込み深さ:2.0mm
切削油:乾式
使用カッター:φ100、1枚刃にて加工
Figure 0004342975
表1に示す様に、本発明の実施例A〜Xの切削インサート2は、工具刃先の摩耗量(VB)が0.3mmとなるまでの被削材加工可能枚数が多く、かつ工具刃先の欠損も認められず、好適であった。尚、本願の各請求項の発明は、この表1の実験結果により裏付けられている。
それに対して、比較例のものは、被削材加工可能枚数が少なく、しかも工具刃先の欠損が発生し易く、好ましくない。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
結晶粒の長軸長および短軸径の求め方を示す説明図である。 実施例の切削インサートを示す斜視図である。 実施例の切削インサートの側面図である。 実施例の切削インサートを装着したフライスカッターを示す正面図である。 実施例の切削インサートを装着したフライスカッターを示す平面図である。
符号の説明
1…結晶物
2…切削インサート
4…フライスカッター
X…結晶粒の長軸長
Y…結晶粒の短軸径

Claims (4)

  1. β-Sialon及びα-SialonからなるSialon相又はβ-SialonからなるSialon相を主相とし、焼結助剤を添加したサイアロン焼結体からなり、ダクタイル鋳鉄加工において500m/minを超える切削速度にて用いられるダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具であって、
    Tiの炭化物窒化物、酸化物、炭窒化物、酸窒化物より選ばれる1種以上を6〜30モル%と、Alを酸化物換算で13〜26モル%と、を含有するとともに、
    前記β-Sialonが表される組成式Si6-ZAlZZ8-ZにおけるZ値が0.5〜1.0で、前記Sialon相中のα-Sialon割合を表すα率が30%以下であり、
    且つ、前記サイアロン焼結体の切断面において、サイアロン焼結体全体を100面積%とした場合に、サイアロン焼結体の粒界ガラス相及び粒界結晶相が、10〜25面積%であり、
    更に、前記サイアロン焼結体の切断面において、サイアロン焼結体中におけるβ-Sialon及びα-Sialon粒子の平均長軸長が1.2〜2.2μm、前記β-Sialon及びα-Sialon粒子の平均短軸径が0.2〜1.0μmであることを特徴とするダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具。
  2. 前記焼結助剤として、Sc、Ce、Dy、Er、Luより選ばれる1種類以上を、酸化物換算で3〜8モル%添加したことを特徴とする前記請求項1に記載のダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具。
  3. 前記請求項1又は2に記載のダクタイル鋳鉄加工用のサイアロン質工具は、切削インサートであることを特徴とする切削インサート。
  4. 前記請求項に記載の切削インサートをホルダに備えたことを特徴とする切削工具。
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