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JP4341020B2 - アルミニウム合金鋳物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金の溶湯を金型内に鋳込みこれを凝固させてから取り出し、その後必要な処理を施して製品を得るアルミニウム合金鋳物を製造する方法に関する。
従来、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、アルミホイール、さらにはバルブボディといったアルミニウム合金鋳物の鋳物製品は所要の疲労強度を得るために熱処理が必要であり、このため鋳造後にJIS規格にて定義されるT5、T6といった熱処理が施されている。また、アルミニウム合金鋳物を製造するプロセスにおいて中子が必要とされる場合には、一般的にはシェルモールド法又はコールドボックス法で作られた砂中子を使用している。この砂中子を使用したアルミニウム鋳物の鋳造プロセスにおいては、鋳造品を500℃程度で金型から離型して一旦常温付近まで冷却した後、湯口や押し湯を切断し、中子砂を打撃等による振動を加えて鋳物から除去した後に熱処理炉に投入して再度加熱する溶体化処理を行っている。
かかるプロセスにおいては、鋳造後にその鋳造品を一旦冷却する工程が必要であるため、鋳造品の保有熱が無駄になると共に冷却のための処理設備や時間がかかるという問題がある。
このため、鋳物製品の砂落しを行うための冷却工程を廃止して、熱処理工程におけるエネルギー及び時間の節約を図ることを目的とする「鋳物製品の製造方法」(特開平6−210437号)や、鋳造品をその温度が350℃以下まで降下しない内に金型から取り出し、直ちに保持炉内で所定時間保温することで熱処理段階における工程数を削減した省エネルギーの「アルミニウム合金鋳物の製造方法」(特開平1−298139号)といった発明が提案されている。
特開平6−210437号公報 特開平1−298139号公報
しかし、特開平6−210437号公報に記載された発明では、鋳造終了後の砂落し前に行われていた冷却工程は不要とできるが、砂中子を払い落とすために熱処理炉の内部で音波により振動を加えて行うため、熱処理炉に音波機能を持たせる必要があり設備効率が悪い。また、砂中子は有機バインダーと骨材で構成されているため鋳造時に燃焼ガスが発生し、これが鋳造欠陥を招くという問題もある。
更に、砂中子は砂落しされた後にその一部は回収されて再生処理後、中子造型に活用されているが、リサイクルされる量は少なく再生処理のために専用の設備と時間が必要であるという欠点もある。
一方、特開平1−298139号公報に記載されている鋳造方法は、溶湯が凝固した後、鋳物温度が350℃以下に降下しないうちに金型から鋳造品を取り出し、取り出し後直ちに保持炉に置いて一定時間溶体化処理温度で保持し、その後水に浸漬することで熱処理段階における工程数を削減した省エネルギーの製造工程を可能とすると共に、従来のT6処理を施した鋳造品に比べ強度的に劣ることのない鋳造品を得ることができるという効果を有している。
この方法においては水溶性中子を用いているため中子砂を払い落とすための振動機構等は必要とされないが、溶体化処理のための加熱処理用炉は従来と同様の空気(ガス)加熱方式のものを用いているため加熱効率が悪い。また、水溶性中子は造型の度にその大部分が除去・廃棄されるため常に消費された分の原料を新たに補って造型する必要がある。
更に、これらの文献に用いられている中子は強度的な問題から高圧鋳造であるダイキャストには用いることができなかった。
上記の目的を達成するため、本発明におけるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、後述するアルミニウム合金鋳物を金型から取り出す温度に同じまたは近い融点を有する塩中子を配した金型内にアルミニウム合金の溶湯を充填して凝固させてアルミニウム合金鋳物とする工程と、前記アルミニウム合金鋳物を金型から取り出し、該アルミニウム合金鋳物の温度が350〜500℃の範囲にある間に前記塩中子と同一成分の塩の溶融塩を熱媒体とする、該塩中子の融点以上の温度に保たれた塩浴内に投入して該アルミニウム合金鋳物を該アルミニウム合金鋳物の溶体化処理温度で溶体化処理しながら前記塩中子を前記溶融塩に溶出させる工程と、前記塩中子を除去した前記アルミニウム合金鋳物を液体で洗浄することによって残留塩分を除去すると共に焼入れを行う工程と、その後該アルミニウム合金鋳物を焼戻しする工程と、前記塩中子が溶出して前記塩浴内に増加した分の溶融塩と、前記アルミニウム合金鋳物を洗浄して残留塩分を含んだ前記液体を濃縮して得られた溶融塩とを新たな塩中子の造型に用いる工程と、を具備することを特徴とする。 これにより、塩中子をほとんど消耗させることなく鋳造を続けることができる。また、溶融塩を熱媒体とする塩浴内で溶体化処理を行うため、加熱効率が良く短時間で溶体化処理を施すことができる。
本発明におけるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、前記アルミニウム合金鋳物を溶体化処理しながら前記塩中子を該塩浴内に溶出させる時間が10〜30分であることを特徴とする。これにより、短時間で鋳物の溶体化処理が可能となる。
また、本発明におけるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、金型から取り出した前記アルミニウム合金鋳物における余剰部分を除去した後に該アルミニウム合金鋳物を塩浴内に投入することを特徴とする。これにより鋳物を嵩張らない大きさにして塩浴内に投入できるため処理が行い易い。
また、本発明におけるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、前記アルミニウム合金鋳物を洗浄する液体が水又は温水であることを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法ことを特徴とする。これにより、残留塩分の除去を簡易に行うことが
できる。
さらに、本発明におけるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、融点が190〜220℃である塩中子を配した金型内にアルミニウム合金の溶湯をプレッシャーダイキャスト法によって充填して凝固させてアルミニウム合金鋳物とする工程と、前記アルミニウム合金鋳物を金型から取り出し、前記塩中子と同一成分の塩の溶融塩を溶媒とする、温度が220〜250℃に保たれた塩浴内に投入して該塩中子を該溶融塩に溶出させる工程と、前記塩中子を除去した前記アルミニウム合金鋳物を液体で洗浄することによって残留塩分を除去する工程と、前記塩中子が溶出して増加した分の溶融塩と、前記アルミニウム合金鋳物を洗浄して残留塩分を含んだ前記液体を濃縮して得られた溶融塩とを新たな塩中子の造型に用いる工程と、を具備することを特徴とする。これにより、従来プレッシャーダイキャスト法では鋳造できなかった形状の鋳物を生産することが可能となる。また、鋳物製品にふくらみや破れを生じさせずに塩中子を溶融塩中に溶出させることができる。
また、本発明におけるプレッシャーダイキャスト法によるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、前記塩中子の融点が190〜220℃の範囲にあると共に前記塩浴内の溶融塩の温度が220〜250℃に保たれていることを特徴とする。これによって、鋳物製品にふくらみや破れを生じさせずに塩中子を溶融塩中に溶出させることができる。
また、本発明におけるプレッシャーダイキャスト法によるアルミニウム合金鋳物の製造方法は、金型から取り出した前記アルミニウム合金鋳物における余剰部分を除去した後に該アルミニウム合金鋳物を前記塩浴中に投入することを特徴とする。
上記の説明から明らかなように本発明は、塩中子を用いたアルミニウム合金鋳物の製造方法において、その塩中子と同一成分の塩を用いた溶融塩を熱媒体として溶体化処理するため塩中子をほとんど消費させないでリサイクルできるアルミニウム合金鋳物の製造工程を実現できる。また、従来の空気(ガス)による加熱方式に比べて短時間で溶体化処理が可能であり、塩中子を用いているため鋳造欠陥の原因となるガスが燃焼時に発生することはない。更に、中子が使用できることにより従来ダイキャスト法では作ることが出来なかった形状の製品を作ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。本発明は第一に、アルミニウム合金の溶湯を金型内に充填して凝固させアルミニウム合金鋳物とし(S1)、このアルミニウム合金鋳物に溶体化処理をしながら塩中子を溶出させ(S2)、洗浄することで焼入れと残留塩分の除去を同時に行い(S3)、その後焼戻し(人工時効処理)を施す(S4)アルミニウム合金鋳物の製造する方法である(図1)。更に、本発明は第二に、アルミニウム合金の溶湯を金型内にプレッシャーダイキャスト法(以下「PDC」)にて充填して凝固させ(S10)、形成されたアルミニウム合金鋳物を溶融塩内で塩中子を溶出させ(S11)、その後洗浄することで残留塩分を除去する(S12)アルミニウム合金鋳物の製造する方法である(図2)。
第一の発明は、アルミニウム合金鋳物の溶体化処理温度(500℃)と塩中子の融点及び該鋳物を金型から取り出す時の温度がそれぞれ近いことを利用して成されたものである。すなわち、金型から取り出したアルミニウム合金鋳物が350〜500℃の温度を保っている間に500℃に保たれた熱媒体である溶融塩の塩浴中に投入することで鋳物の保有熱を無駄にせず効率的に溶体化処理を施すと共に、塩中子の融点以上の温度に保たれた溶融塩中に該塩中子を溶解させて中子落しを行うのである。また、塩浴内の溶融塩は塩中子の塩と同一成分であるため溶融塩中に溶け出すことで、塩浴中に増加した分の溶融塩を抜き出して新たな塩中子の製造に活用するのである。そして、液体によって洗浄して除去された残留塩分は濃縮されて溶融塩として新たな塩中子の製造に活用されるため、塩中子は固体から液体(溶融塩)に姿を変え再び固体化されて塩中子となるため、中子がほとんど無駄に消費されることなくリサイクルされる。尚、塩中子の融点はアルミニウム合金鋳物の取り出し温度と同じか、又はより高温であることが望ましいが、取り出し温度より若干低くても鋳造することは可能である。但し、塩中子の融点が鋳物の取り出し温度よりも低い場合には巾木の溶解を防ぐために塩中子への塗型を施す必要がある。
本願における第二の発明は、アルミニウム合金鋳物をPDCにて金型内に充填する場合、従来の中子では強度が足りず鋳込み(充填)圧力に耐えれないため使用できなかったが、塩中子は抗折強度が従来中子に比べて高いことからPDCにも適用可能である点に着目してなされたものである。PDCによる鋳物製品は一定以上の高温にさらすと、内部に残っている気泡が膨張して製品表面にふくらみや破れを生じさせる所謂ブリスタという現象が発生してしまうため鋳造品に対して溶体化等の熱処理を施すことはできない。従って、PDCによってアルミニウム合金鋳物を製造する第二の発明においては第一の発明におけるように中子落しの際に溶体化処理を同時に施したり、焼入れと共に残留塩分を除去するというような工程の効率化はできないが、塩中子と同一成分の塩の溶融塩中に該塩中子を溶出させて中子落しを行うことによる増加した溶融塩と、残留塩分を洗浄した液体を濃縮して得られた溶融塩とを新たな中子の造型に用いるため、第一の発明と同様に塩中子をほとんど消費させない鋳造工程を実現できる。
ここで、本発明における「アルミニウム合金鋳物」とは、アルミニウムの他に銅(Cu)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)等を微量元素として含む合金鋳物を意味する。また、「塩中子」とは、高温でもアルミニウムと反応することのない安定した塩から作られた中子を意味し、具体的には硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウムの混合塩である硝酸塩が好適であるが、これに限定されるわけではない。また、本発明において「溶融塩」とは、本発明に用いる塩中子と同一成分の塩の溶融塩を意味する。さらに、本発明における「アルミニウム合金鋳物における余剰部分」とは、湯口や押し湯、堰等の鋳造のために必要であるが鋳造後の後処理段階で除去されて製品とはならない部分を意味する。鋳物表面の小さな鋳ばりは、ここでいう余剰部分から除かれる。
以下に本発明の1実施例を図面に基づいて説明する。図3は、アルミニウム合金鋳物の一連の製造工程を示したフロー図である。
アルミニウム、銅、ケイ素等から成るアルミニウム合金は、地金塊が溶解炉に投入されて700℃程度に昇温されることで溶湯となり、該溶湯は適宜その溶解炉から保持炉に移される。保持炉に移された溶湯は、重力鋳造装置又は低圧鋳造装置の近傍まで保持炉を移動させることによって搬送される。そして、鋳造装置に付属の手許炉(保温炉)へ所望の量の溶湯を配湯し、この手許炉から鋳造装置の金型内に溶湯が鋳込まれることになる。この金型内の所定の位置には中子造型機によって作られた所定形状の塩中子が配置されており、該塩中子は硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウムの混合塩から形成されている。
その後、金型内に鋳込まれた溶湯は冷却されて凝固しアルミニウム合金鋳物が形成される。続いて塩中子を内部に有した状態のアルミニウム合金鋳物を金型から取り出し、その温度が350〜500℃の範囲にある間に熱媒体としての溶融塩を満たした塩浴(塩浴)内に投入する。塩浴内の溶融塩はアルミニウム合金鋳物の溶体化処理温度である500℃に保たれているため投入されたアルミニウム合金鋳物に溶体化処理が施されると共に該アルミニウム合金鋳物内部の塩中子が溶融塩中に溶け出して、溶体化処理と中子落しが1工程で行われることとなる。このとき、溶融塩の温度は500℃と塩中子の融点より高いため塩中子は短時間で溶解させられて溶融塩の一部として吸収される。
溶融塩中に塩中子が溶け出すことによって該溶融塩の量は増加することとなるが、この増加分の溶融塩は適宜塩浴内から抜き取られ、中子造型機に戻すことで新たな塩中子の造型に活用されることとなる。また、溶体化処理に必要な時間は従来の空気を熱媒体とした加熱炉方式においては1〜2時間必要であったが、溶融塩を熱媒体とする塩浴中で処理を行うことにより、溶体化処理時間を10〜30分と大幅に短縮することができる。これは、加熱炉方式の熱媒体である空気(ガス)は熱伝達率が小さいため加熱対象であるアルミニウム合金鋳物の内部、特に中心部分にまで熱を伝えにくいが、溶融塩は熱伝達率が大きいため熱を伝え易く短時間でも鋳物の温度を均一に高めることができるためである。
なお、金型から取り出したアルミニウム合金鋳物を前記塩浴内に投入する前に予め該鋳物の湯口、堰、押し湯等の余剰部分を除去しておく方が、鋳物が嵩張らない大きさになって後の処理が行い易いため好ましい。この場合、鋳物の凝固が進行していない高温の状態で湯口等の除去を行うため鋳物の変形を招き易く、この変形し易さとの関係で溶易に余剰部分を除去できないときには焼戻し後の製品仕上げの段階において除去することとなる。
前記塩浴内で溶体化処理と中子落しがされたアルミニウム合金鋳物は、塩浴から取り出され水又は温水によって急冷することで焼入れされると共に、該鋳物に少量残存する塩中子の残渣が除去される。水又は温水による焼入れ及び中子落しは、シャワー方式により該鋳物に水又は温水を浴びせるか、又は水又は温水が循環する浴槽内に鋳物を投入することによって行われる。
この場合、水は15〜25℃の温度範囲にあるものが適用できる。また、温水は60〜70℃の温度範囲にあるものを適用できる。水は、アルミニウム合金鋳物に歪を生じさせる必要がある場合に用いられ、温水は鋳物に歪を生じさせない場合に用いられることで両者の使い分けがなされる。
残留塩分を除去するための水や温水以外の液体としては、例えばエタノールやアセトン等の塩中子における塩の成分を溶解できるものが適用可能である。
除去された塩中子の残渣を含む水又は温水は濃縮器によって塩の濃度が90〜95重量%にまで濃縮されて濃縮塩水となり、この濃縮塩水の水分を蒸発させるための溶器に移される。そこで、濃縮塩水における残留水分を蒸発させて溶融塩のみとし、中子造型機に戻すことによって新たな塩中子の造型に用いられることとなる。
焼入れされ残留塩中子も完全に除去されたアルミニウム合金鋳物は、焼戻しのために炉内に投入されて、200℃の雰囲気温度にて数時間程度の焼戻し(人工時効処理)が施される。焼戻しが完了したアルミニウム合金鋳物は、炉から取り出され素材仕上げとして鋳ばりが除去された後、切削、ネジ孔加工等が施されて最終製品となる。除去された余剰部分や鋳ばりは回収されて再溶解し易い塊に圧縮造粒されて再利用に供される。この際、回収された余剰部分や鋳ばりに塩中子片等の非金属の異物が混入している可能性があり、かかる異物を除去して再溶解する必要がある。このために、例えば渦電流等の電磁力を利用した分離装置にてアルミニウム合金と塩を含めた非金属の異物とを分離した後、アルミニウム合金のみを圧縮造粒するという方式を採用することができる。
なお、近年のダイキャスト技術の進歩により熱処理が可能なアルミニウム合金鋳物の特殊ダイキャスト法(例えば、無孔性ダイキャスト法や真空ダイキャスト法等)が実用化されている。従って、本願発明においてもアルミニウム合金鋳物の金型への充填を重力鋳造法や低圧鋳造法に替えてこのような特殊ダイキャスト法にて行うことも可能であり、この場合には後述のPDCと同様に従来分けて製造していたものを、中子を用いることで一体化できるため製品の製造コストを下げることが可能となるという効果を発揮できる。
続いて本発明の他の実施例を図面に基づいて説明する。図4は、PDCによるアルミニウム合金鋳物の一連の製造工程を示したフロー図である。
アルミニウム合金が溶湯として鋳造装置近傍に搬送されるまでは先の実施例と同様な手順によって行われる。手許炉に搬送された溶湯はダイカストマシンである鋳造装置の注湯口に流し込まれ、射出シリンダーにて金型内に高圧で充填されることとなる。第一の発明と同様に、金型内の所定の位置には中子造型機によって作られた所定形状の塩中子が配置されており、該塩中子は硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウムの混合塩から形成されている。
その後、金型内に鋳込まれた溶湯は冷却されて凝固することでアルミニウム合金鋳物が形成される。続いて、塩中子を内部に有するアルミニウム合金鋳物を金型から取り出して溶融塩を満たした塩浴(塩浴)内に投入する。塩浴内の溶融塩はその温度が前記塩中子の融点(190〜220℃)より高温(220〜250℃)に保たれているため、投入されたアルミニウム合金鋳物内部の塩中子が溶融塩中に溶解することで中子落しが行われることとなる。
なお、融点が高く220〜250℃の温度では溶出しない塩中子を用いる場合には、鋳物製品のブリスタを防ぐため水又は温水によって中子落しを行う必要がある。塩中子は水溶性であるためこのような処理ができるのである。この場合の水とは15〜25℃の温度範囲にあるものを意味し、温水とは50〜70℃の温度範囲にあるものを意味する。特に両者の使い分けはされないが、水より温水の方が中子落しの効率は高い。水又は温水で中子落しを行う場合には、水又は温水が循環する浴槽内に鋳物を投入することによって行い、そのまま処理を続けて残留塩分も取り除くこととなる。また、中子落しを行うための水や温水以外の液体としては、例えばエタノールやアセトン等の塩中子における塩の成分を溶解できるものも適用可能である。
前記塩浴内の溶融塩中に塩中子が溶け出すことによって該溶融塩の量は増加することとなるが、この増加分の溶融塩は適宜塩浴内から抜き取られ、中子造型機に戻すことで新たな塩中子の造型に活用されることとなる。また、金型から取り出したアルミニウム合金鋳物を前記塩浴内に投入する前に予め該鋳物の湯口、堰等の余剰部分を除去しておく方が、鋳物が嵩張らない大きさになり後の処理が行い易いため好ましい。この場合、鋳物の凝固が進行していない高温の状態で湯口等の除去を行うため鋳物の変形を招き易く、この変形し易さとの関係で溶易に余剰部分を除去できないときには後工程の製品仕上げの段階において除去することとなる。
前記塩浴内における溶融塩で中子落しがされたアルミニウム合金鋳物は、塩浴から取り出され水又は温水で洗浄することによって該鋳物に少量残存する塩中子の残渣が除去される。水又は温水による残留塩分の除去は、シャワー方式により該鋳物に水又は温水を浴びせるか、又は水又は温水が循環する浴槽内に鋳物を投入することによって行われる。この場合の水とは15〜25℃の温度範囲にあるものを意味し、温水とは50〜70℃の温度範囲にあるものを意味する。そして、特に両者の使い分けはされないが水より温水の方が残留塩の除去効率は高い。
除去された塩中子の残渣を含む水又は温水は濃縮器によって塩の濃度が90〜95重量%にまで濃縮されて濃縮塩水となり、この濃縮塩水の水分を蒸発させるための溶器に移される。そこで、濃縮塩水における残留水分を蒸発させて溶融塩のみとし、中子造型機に戻すことによって新たな塩中子の造型に用いられることとなる。
塩中子が完全に除去されたアルミニウム合金鋳物は、素材仕上げとして鋳ばりが除去された後、切削、ネジ孔加工等が施されて最終製品となる。除去された余剰部分や鋳ばりは回収され、再溶解し易い塊に圧縮造粒されて再利用に供される。
この際、回収された余剰部分や鋳ばりに塩中子片等の非金属の異物が混入している可能性があり、かかる異物を除去して再溶解する必要がある。このために、例えば渦電流等の電磁力を利用した分離装置にてアルミニウム合金と塩を含めた非金属の異物とを分離した後、アルミニウム合金のみを圧縮造粒するという方式を採用することができる点は本発明の先の実施例と同様である。
本発明は、塩中子を使用したアルミニウム合金鋳物を前記塩中子と同一成分の塩の溶融塩を熱媒体とする塩浴内に投入して、溶体化処理しながら前記塩中子を該塩浴内の前記溶融塩に溶出させるアルミニウム合金鋳物の製造方法であるため、短い時間で溶体化処理が可能であると共に使用された塩中子をほとんどリサイクルすることができることができるため産業上の利用可能性は大きい。
本発明の第一の実施形態を示す工程図である。 本発明の第二の実施形態を示す工程図である。 本発明の1実施例を示す工程図である。 本発明の別の実施例を示す工程図である。
符号の説明
S1 鋳造工程
S2 溶体化処理及び塩中子溶出工程
S3 残留塩分除去及び焼入れ工程
S4 焼戻し工程
S10 ダイキャスト工程
S11 塩中子溶出工程
S12 残留塩分除去工程

Claims (6)

  1. 後述するアルミニウム合金鋳物を金型から取り出す温度に同じまたは近い融点を有する塩中子を配した金型内にアルミニウム合金の溶湯を充填して凝固させてアルミニウム合金鋳物とする工程と、前記アルミニウム合金鋳物を金型から取り出し、該アルミニウム合金鋳物の温度が350〜500℃の範囲にある間に前記塩中子と同一成分の塩の溶融塩を熱媒体とする、該塩中子の融点以上の温度に保たれた塩浴内に投入して該アルミニウム合金鋳物を該アルミニウム合金鋳物の溶体化処理温度で溶体化処理しながら前記塩中子を前記溶融塩に溶出させる工程と、 前記塩中子を除去した前記アルミニウム合金鋳物を液体で洗浄することによって残留塩分を除去すると共に焼入れを行う工程と、その後該アルミニウム合金鋳物を焼戻しする工程と、前記塩中子が溶出して前記塩浴内に増加した分の溶融塩と、前記アルミニウム合金鋳物を洗浄して残留塩分を含んだ前記液体を濃縮して得られた溶融塩とを新たな塩中子の造型に用いる工程と、を具備することを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  2. 請求項1に記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法であって、 前記アルミニウム合金鋳物を溶体化処理しながら前記塩中子を該塩浴内に溶出させる時間が10〜30分であることを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法であって、金型から取り出した前記アルミニウム合金鋳物における余剰部分を除去した後に該アルミニウム合金鋳物を塩浴内に投入することを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法であって、 前記アルミニウム合金鋳物を洗浄する液体が水又は温水であることを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  5. 融点が190〜220℃である塩中子を配した金型内にアルミニウム合金の溶湯をプレッシャーダイキャスト法によって充填して凝固させてアルミニウム合金鋳物とする工程と、前記アルミニウム合金鋳物を金型から取り出し、前記塩中子と同一成分の塩の溶融塩を溶媒とする、温度が220〜250℃に保たれた塩浴内に投入して該塩中子を該溶融塩に溶出させる工程と、前記塩中子を除去した前記アルミニウム合金鋳物を液体で洗浄することによって残留塩分を除去する工程と、前記塩中子が溶出して増加した分の溶融塩と、前記アルミニウム合金鋳物を洗浄して残留塩分を含んだ前記液体を濃縮して得られた溶融塩とを新たな塩中子の造型に用いる工程と、を具備することを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  6. 請求項5に記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法であって、 金型から取り出した前記アルミニウム合金鋳物における余剰部分を除去した後に該アルミニウム合金鋳物を前記塩浴内に投入することを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
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