本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式内燃機関において、高回転高負荷条件での運転を可能とする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の内燃機関は、予混合圧縮自着火運転が可能な2サイクル式内燃機関であって、
シリンダとピストンとで構成される燃焼室と、
前記シリンダのシリンダヘッド部に設けられ、少なくとも3つの排気口の開閉を行う少なくとも3つの排気弁と、
前記シリンダの周壁に接続され、前記ピストンの上下動によって前記シリンダに面する開口部が開閉する少なくとも1つの掃気ポートと、
を備え、
前記排気弁は、前記シリンダの中心軸の周囲に、互いの間隔が均等になるように配置されている、ことを特徴とする。
この内燃機関は、少なくとも3個の排気弁を備えており、排気弁面積を過大とすることなく弁のカーテン面積(弁開口時の弁周囲の開口面積)を大きくとることができる。さらに、排気弁のそれぞれがシリンダの中心軸の周囲に均等間隔に配置されているため、シリンダ径に対して最大のカーテン面積をとることができる。従って、自着火燃焼による高い筒内圧時の排気弁駆動動力を抑制しつつ燃焼ガスを効率よく排出することができ、高回転高負荷領域まで自着火運転領域を拡大することが可能である。また、掃気ポートの開口部(掃気口)と排気口との距離が比較的離れているため、掃気行程における新気や噴射燃料の吹き抜けを抑制することができ、過給損失による燃費悪化を防止すると共に、シリンダ内の混合気が十分リーンとならずに過早着火を引き起こすことを防止することができる。
上記内燃機関において、前記掃気ポートの少なくとも1つは、前記シリンダ内にスワールを生成するように形成されているとしてもよい。
この構成によれば、スワールによって、燃焼室内の燃焼ガスをシリンダヘッド近くにまんべんなく導くことができ、シリンダの中心軸の周囲に均等間隔に配置されている排気弁からより効率よく排気を行うことができる。また、掃気ポートから排気弁に直接向かう気流を伴わないため、新気や噴射燃料の吹き抜けを抑制することができる。
上記内燃機関において、さらに、前記掃気ポートの少なくとも1つの開口部近傍に、前記掃気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えることとしてもよい。
この構成によれば、掃気ポート内に噴射された燃料が、燃焼室内に運ばれる間に吸入空気との混合が進むので、燃料と吸入空気とが均一に分散した混合気を燃焼室内に形成することができ、良好な自着火運転を行うことができる。また、安価で信頼性の高い低圧燃料噴射弁を用いることができる。
上記内燃機関において、さらに、前記少なくとも3つの排気弁を同時に駆動する少なくとも1つの駆動アームを備え、前記少なくとも3つの排気弁は、その中心軸が互いに平行となるように設置されていることとしてもよい。
この構成によれば、1つの駆動アームで3つ以上の排気弁を駆動させることができ、コストダウン、搭載性の向上および運動部品の軽量化を図ることができる。特に2サイクル式エンジンは、4サイクル式エンジンに比べて動弁系の動作頻度が2倍であり、弁のサージング限界により最大回転数が抑えられがちであるが、運動部品の軽量化により、サージング限界回転数を高くすることができる。
上記内燃機関において、ストローク・ボア比の値が1.2以上のロングストロークであるとしてもよい。
高圧縮比で高筒内圧となる予混合圧縮自着火運転を行う内燃機関において、ストローク・ボア比の値を1.2以上に設定してロングストロークとすれば、ピストン頂部面積が減少し、ピストン頂面に作用する圧力が軽減され、部品の軽量化や信頼性の向上を図ることができる。また燃焼室の表面積と容積の比(S/V比)が小さくなり、冷却損失を抑制して燃費を向上させることができる。さらに、高圧縮比運転を行うために燃焼室容積が小さい予混合圧縮自着火燃焼方式内燃機関において、ピストンとシリンダヘッドとのクリアランスを十分に確保でき、気流の妨げやS/V比の悪化につながるバルブリセスの設置を不要とすることができる。
上記内燃機関において、さらに、前記掃気ポートを少なくとも2つ備え、前記掃気ポートの少なくとも1つは、前記掃気ポートを開閉することができる開閉機構を備えており、前記内燃機関は、さらに、前記内燃機関の回転数および負荷に応じて前記開閉機構の開閉制御を行う制御部を備えることとしてもよい。
この構成によれば、掃気ポートの有効開口面積を可変とすることができ、内燃機関の回転数および負荷に応じて適切な開口面積に設定するような制御を行うことができる。
また、前記制御部は、低回転低負荷運転時には前記開閉機構を閉じる制御を行い、高回転高負荷運転時には前記開閉機構を開ける制御を行うこととしてもよい。
このようにすれば、低回転低負荷運転時には、掃気ポートの有効開口面積を小さくして新気の流入速度を大きくし、残留ガスと混合気とのミキシングを促進し、安定した予混合圧縮自着火燃焼を得ることができる。一方、高回転高負荷運転時には、掃気ポートの有効開口面積を大きくし、速やかに残留ガスを排出することによって、過早着火を起こすことなく予混合圧縮自着火燃焼を行うことができる。
また、前記少なくとも2つの掃気ポートは、前記開閉機構を備えていないとともに前記シリンダ内にスワールを生成するように形成された第1の掃気ポートと、前記開閉機構を備えるとともに前記シリンダ内に上昇気流を生成するように斜め方向に形成された第2の掃気ポートと、を含むこととしてもよい。
このようにすれば、低回転低負荷運転時には、第1の掃気ポートからの掃気流がスワールを生成するため、混合気のミキシングを促進することができる。また、比較的温度の低い新気が燃焼室外周部に、比較的高温の残留ガスが燃焼室中央部にそれぞれ導かれるため、新気は燃焼室壁面から熱をもらって残留ガスの温度低下を抑制し、安定した予混合圧縮自着火燃焼を得ることができる。一方、高回転高負荷運転時には、第2の掃気ポートからの掃気流が加わり、燃焼室中央部をシリンダヘッド方向に向かって上昇する気流を生成するため、燃焼室中央下部に残りやすい残留ガスを効率よく排出することができ、過早着火を起こすことなく予混合圧縮自着火燃焼を行うことができる。
また、前記第1の掃気ポートは、前記シリンダの中心軸からずれた方向に向かって前記シリンダに接続されている接線ポートであり、前記第2の掃気ポートは、前記シリンダの中心軸に向かう方向に設けられているストレートポートであるとしてもよい。
この構成によれば、シリンダ内にスワールおよび上昇気流を容易に生成することができる。
上記内燃機関において、前記シリンダを挟んで対向する少なくとも1組の前記ストレートポートを備えるとしてもよい。
この構成によれば、対向するストレートポートからの掃気流がシリンダ中心軸付近において衝突するため、より強い上昇気流をシリンダ内に生成することができる。
あるいは、前記ストレートポートは、前記シリンダに近い部分ほど前記シリンダのシリンダヘッド部からの距離が遠くなるような勾配をつけて形成されているとしてもよい。
この構成によっても、シリンダ内に入った新気がピストン頂面に衝突して上昇気流となるため、より強い上昇気流をシリンダ内に生成することができる。
上記内燃機関において、さらに、少なくとも1つの前記接線ポート内に燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と、少なくとも1つの前記ストレートポート内に燃料を噴射する第2の燃料噴射弁と、を備えることとしてもよい。
この構成によれば、低回転低負荷運転時には、接線ポートに設けられた第1の燃料噴射弁を使用し、高回転高負荷運転時には、ストレートポートに設けられた第2の燃料噴射弁または第1および第2の両燃料噴射弁を使用することで、運転条件に応じた予混合気を容易に形成することができる。特に高回転高負荷運転時において、両方の燃料噴射弁を使用することにより、混合気のミキシングを促進することができる。
また、前記第1の燃料噴射弁は、比較的噴射率が小さく噴霧貫徹力が小さい型式の燃料噴射弁であり、前記第2の燃料噴射弁は、比較的噴射率が大きく噴霧貫徹力が大きい型式の燃料噴射弁であるとしてもよい。
このようにすれば、低回転低負荷運転時には、接線ポート内に設けられた比較的噴射率が小さく噴霧貫徹力が小さい型式の第1の燃料噴射弁を使用することで、燃料噴霧を容易にスワールに乗せることができ、ミキシングを促進することができる。また、高回転高負荷運転時には、ストレートポート内に設けられた比較的噴射率が大きく噴霧貫徹力が大きい型式の第2の燃料噴射弁を使用することで、短時間で必要な燃料量を噴射できると共に、燃料噴霧が上昇気流に乗って吹き抜けることを抑制することができる。
上記内燃機関において、さらに、前記排気弁の下流側に、前記少なくとも3つの排気口を接続するように形成された排気チャンバを備えていてもよい。
この構成によれば、背圧を低減すると共に他気筒の排気脈動の影響を抑制することができるので、燃焼ガスを効率よく排出し、予混合圧縮自着火燃焼できる運転領域を高負荷側に拡大することができる。また、高温の燃焼ガスの流速を下げて壁面への熱伝達率を小さくし、排気ガス温度の低下を抑制することで、ターボ効率を高めると共に触媒暖機性を向上させることができる。
また、前記排気チャンバの壁面は断熱構造を有するとしてもよい。
この構成によれば、排気ガス温度の低下をより抑制することができる。
また、前記シリンダのシリンダヘッド部は、前記排気チャンバを上下方向に2分割する平面に沿って、分割される構造を有するとしてもよい。
この構成によれば、排気チャンバの壁面に断熱加工をするための、断熱材の成形および収納と空気層の確保とを容易に行うことができる。
また、前記排気チャンバは、前記シリンダのシリンダヘッド部側から見た形状がC字形状に形成されていてもよい。
この構成によれば、シリンダヘッド部分にスペースが確保され、燃料噴射弁や点火プラグの取り付け自由度を高めることができる。
上記内燃機関において、さらに、前記シリンダ内に燃料を直接噴射するために前記シリンダのシリンダヘッド部のほぼ中央に設けられた燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁を冷却するためのウォータージャケットと、前記ウォータージャケットの冷却水の供給と排出とを行う冷却水路と、を備え、前記冷却水路は、前記排気チャンバのC字形状の切れ目部分を通るように配置されていることとしてもよい。
この構成によれば、排気チャンバに干渉することなく燃料噴射弁の冷却経路を確保することができ、燃料噴射弁噴孔部へのデポジット(燃えかす)堆積を抑制できる。
上記内燃機関において、さらに、前記シリンダのシリンダヘッド部に設けられた点火プラグと、始動時および暖機時においてのみ前記点火プラグを用いた予混合火花点火運転を行わせるように前記内燃機関の制御を行い、その他の運転領域においては予混合圧縮自着火運転を行わせるように前記内燃機関の制御を行う制御部と、を備えることとしてもよい。
始動および暖機を行う運転領域においてのみ火花点火運転を行うこととすれば、点火プラグを小さくすることができ、配置自由度も高くできる。従って、排気弁の大きさおよび配置の自由度を高めることができる。また、暖機後の通常運転中における燃焼方式の切り替えが無いため、ドライバビリティが良好になると共に、燃焼切り替え時のトルク調整制御が不要となり、燃費悪化を抑制することができる。さらに、点火プラグの低コスト化を図ることができると共に、点火プラグの冷却を不要とすることもできる。
また、上記内燃機関において、さらに、前記シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、冷却水温を計測するための水温センサと、を備え、前記制御部は、始動時において、前記水温センサにより計測された冷却水温とその変動率との組み合わせが所定の条件を満たす場合には、前記排気弁の閉弁時期を遅角させて実圧縮比を下げ、前記ピストンの上死点近傍で前記燃料噴射弁により燃料噴射を行い、前記点火プラグを用いた火花点火により燃焼を行うように、前記内燃機関の制御を行うこととしてもよい。
このようにすれば、高温再始動時において、予定しない自着火燃焼を確実に防止することができ、始動時の逆転や始動不良を防止することができる。
また、上記内燃機関において、さらに、前記シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備え、前記制御部は、暖機時において、前記排気弁の閉弁時期を進角させて掃気期間を短くし、前記排気弁の閉弁時期近傍で前記燃料噴射弁により燃料噴射を行い、前記点火プラグを用いた火花点火により燃焼を行うように、前記内燃機関の制御を行うこととしてもよい。
このようにすれば、暖機時に、シリンダ内に多量の燃焼ガスが残留するため、噴射燃料の気化を促進することができる。また、混合気の圧縮端温度を高めることもでき、排気温度の上昇による触媒の早期活性化を図ることができる。さらに、予混合圧縮自着火燃焼への燃焼切り替えがスムーズにかつ速やかに行うことができ、暖機過程での燃費改善や大気汚染物質の低減を図ることができる。
上記内燃機関において、前記掃気ポートは、前記シリンダ内にスワールを生成するように形成された第1の掃気ポートと、前記シリンダ内に上昇気流を生成するように形成された第2の掃気ポートと、を含み、前記第1の掃気ポートの前記シリンダに面する開口部の上縁は、前記第2の掃気ポートの前記シリンダに面する開口部の上縁より、上方に位置するように構成されていてもよい。
この構成によれば、先に開口する第1の掃気ポートからの新気がスワールを生成して混合気のミキシングを促進し、その後に開口する第2の掃気ポートからの新気が上昇気流を形成して掃気を行うので、掃気効率が高まり、必要な掃気圧を抑制できるので、過給損失を低減し燃費を改善することができる。
上記内燃機関において、さらに、複数の前記シリンダと、前記掃気ポートに新気を供給する給気サージタンクと、を備え、前記給気サージタンクは、前記シリンダのシリンダブロック部に一体となって形成されているとしてもよい。
この構成によれば、給気サージタンクとシリンダとを結ぶ掃気ポートの管長を短くすることができ、吸気慣性効果により給気効率を高めることができる。また、多気筒エンジンの小型化を図ることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、内燃機関やその運転方法等の態様で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式内燃機関の概要:
B.第1実施例:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.第4実施例:
F.変形例:
A.予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式内燃機関の概要:
理解の便宜から、まず始めに予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式内燃機関の概要について説明し、その後に、この内燃機関の各種実施例について説明する。図1は、予混合圧縮自着火燃焼方式を適用した2サイクル式内燃機関の動作の概要を、一例を取って説明する説明図である。図1では、シリンダAの上部に排気弁Cを備え、シリンダAの周壁下部に掃気ポートDが接続された、いわゆるユニフロー式2サイクル式内燃機関の例を示している。この内燃機関は、シリンダA内でピストンBを上下させ、排気弁Cと掃気ポートDを開閉させながら、燃料と空気との混合気を燃焼させることによって動力を取り出している。
説明の都合上、燃焼室内の混合気が燃焼した状態から説明する。混合気を燃焼させると、シリンダA内には高圧の燃焼ガスが発生してピストンBを押し下げようとする。図1(a)に示すように膨張行程では、ピストンBを降下させながら、シリンダA内で発生した圧力をトルクに変換して動力として出力する。
ピストンBがある程度まで降下したら、適切なタイミングで排気弁Cを開いてやる。シリンダA内には、燃焼ガスが未だ高い圧力のまま閉じこめられているから、ピストンBの降下中でも、排気弁を開くことにより燃焼ガスを排出させることができる。図1(b)は、ピストンBの降下中に排気弁を開いて、排気ガスを排出している様子を概念的に示している。
ピストンBがさらに降下すると、ピストンBにより閉じられていた掃気ポートDのシリンダAに面する開口部(掃気口)が開かれる。掃気ポートD内は過給器によって加圧されているので、掃気ポートDの掃気口が開かれると、掃気ポートDからシリンダA内に加圧された空気が流入し、シリンダA内に残っている燃焼ガスを押し出すようにして排気バルブCから排出させる。図1(c)は、このように加圧された空気によってシリンダA内の燃焼ガスが排出される様子を概念的に表している。図中でハッチングが付されている部分は、燃焼ガスが残存している領域を表している。このように、吸入空気で押し出すようにしてシリンダA内から燃焼ガスを排出させる動作は「掃気」と呼ばれる。
2サイクルエンジンでは、掃気ポートD内が加圧されているので、ピストンBが下死点を過ぎて上昇に転じても、なおシリンダA内の燃焼ガスを掃気することができる。図1(d)は、掃気の後半にピストンBを上昇させながら、シリンダA内を掃気している様子を概念的に示している。また、このとき、掃気ポートDに設けられている燃料噴射弁Eから燃料噴霧を噴射してやる。図1(d)では、燃焼ガスが残存している領域を粗いハッチングを付して表示しているのに対し、噴射された燃料噴霧を細かいハッチングを付して表示している。噴射された燃料噴霧は、吸入空気とともにシリンダA内で攪拌され、シリンダA内にほぼ均一な密度で分散して混合気を形成する。
掃気によってシリンダA内から燃焼ガスがほぼ排出されたタイミングを見計らって、図1(e)に示すように、排気弁Cを閉じてやる。その結果、シリンダA内の圧力が掃気ポートD内の圧力に達するまで、掃気ポートDから吸入空気が流入する。
ピストンBがさらに上昇すると、ピストンBにより、掃気ポートDの掃気口が閉じられる。ピストンBの上昇に伴いシリンダA内の混合気が圧縮される。図1(f)は、ピストンBを上昇させてシリンダA内の混合気を圧縮している様子を概念的に示している。このとき混合気は断熱圧縮されるので、ピストンBの上昇とともに急激に温度が上昇していく。そして、ほぼピストンBが上がりきった時点で混合気は発火温度に達し、燃焼室内の混合気がほぼ同時に燃え始めて、速やかに燃焼が完了する(図1(a))。燃焼室内の圧力は、混合気の燃焼によってさらに高くなり、その結果、ピストンBを強い力で押し下げようとする。このピストンBが受ける力を動力に変換して外部に出力する。
このように、予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式内燃機関では、シリンダ内に燃料と空気との混合気を形成し、これを圧縮自着火させて動力を発生させる。予混合圧縮自着火燃焼方式では、火花点火燃焼方式や拡散燃焼方式と比較して、燃焼による大気汚染物質の排出量および燃料消費量を、ともに大きく減少させることができる。予混合圧縮自着火燃焼方式がこのような優れた特性を示すのは、等容度の向上、空気過剰率の増加、比熱の低下の3つの要因によるものと考えられる。
4サイクル式の内燃機関では、他の行程とは独立して排気行程が設けられているので、燃焼室内で混合気が燃焼して膨張した後、次に吸入空気が流入するまでに、燃焼した混合気はシリンダ内からほぼすべて排出される。これに対して、2サイクル式の内燃機関では、掃気行程と呼ばれる独特な行程を有しており、排気行程が他の行程と独立していない。従って、2サイクル式内燃機関は、4サイクル式内燃機関に比較して、燃焼ガスがシリンダ内に残留しやすい。シリンダ内に残留した燃焼ガス(残留ガス)は、新たに吸入された吸入空気とともに混合気を形成する。この残留ガスは高温であることに加え、活性な中間生成物も含まれているため、残留ガスが多量に含まれた混合気は、より自着火燃焼しやすくなる。従って、2サイクル式内燃機関では、より広い運転領域において、自着火運転が可能となる。すなわち、よりリーンな条件で運転する領域が広いということである。よりリーンな条件で運転を行うことは、燃費が向上し、また、排気ガス中の汚染物質の低下につながる。従って、2サイクル式内燃機関では、予混合圧縮自着火燃焼方式のメリットをより大きく得ることができる。
しかし、2サイクル式内燃機関は、高回転高負荷運転時に掃気不十分となりやすく、不必要な量の残留ガスがシリンダ内に残留しやすい。高回転高負荷運転時に掃気不十分になると、不必要な量の残留ガスの存在により、シリンダ内の混合気が過早着火を起こしてしまう。過早着火は、大きな燃焼音を発生させる恐れがあるため、過早着火を起こすような運転領域では、圧縮自着火運転を行うことはできない。従って、高回転高負荷運転時においても、圧縮自着火運転を行うためには、掃気の効率を高めて、不必要な残留ガスを確実にシリンダから排出し、過早着火を抑制することが必要である。
B.第1実施例:
図2は、本発明の第1実施例としてのガソリンエンジン100の構成を概念的に示した説明図である。図2には、ガソリンエンジン100のシリンダの中心で断面を取ったときのシリンダの構造が示されている。
このガソリンエンジン100の燃焼室は、シリンダブロック140内に設けられた中空円筒形のシリンダ142と、シリンダ142内を上下に摺動するピストン152と、シリンダブロック140の上部に設けられたシリンダヘッド130によって形成されている。本実施例では、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とが一体となったモノブロック構造の例を示している。なお、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とで構成される筒状体を、広義の「シリンダ」と呼ぶ。また、本明細書においては、シリンダ142の中心軸に沿って、ピストン152がシリンダヘッド130に近づく方向を上方向と、ピストン152がシリンダヘッド130から離れる方向を下方向として説明する。
シリンダヘッド130には、燃焼室からの排気ガスが流出する排気ポート135のシリンダ142に面する開口部(排気口)を開閉する排気弁132と、点火プラグ136とが設けられている。排気弁132は、駆動アーム162を介して、電磁アクチュエータ164で駆動されている。電磁アクチュエータ164は、任意のタイミングで排気弁132を開閉することが可能である。なお、電磁アクチュエータの代わりに、油圧アクチュエータやカム機構などの他の種類の可変動弁機構によって排気弁132を駆動しても良い。
シリンダブロック140には、シリンダ142内に新気を流入する2種類の掃気ポート146,148(詳細な形状は後述)が設けられている。掃気ポート146,148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)は、ピストン152の上下動によって開閉され、ピストン152の下死点近傍において全開の状態となるように構成されている。掃気ポート146,148は、シリンダ142とは反対側の端部において、シリンダブロック140に設けられた給気サージタンク144に接続されている。
このように、ガソリンエンジン100は、シリンダ142の下部に掃気ポート146,148が接続され、シリンダヘッド130に排気弁132が設けられた、いわゆるユニフロー式の2サイクル式エンジンである。2サイクル式エンジンは、掃気口と排気口とが共に開状態となる掃気行程が存在するため、掃気口からシリンダ内に供給された新気がそのまま排気口から流出する、いわゆる「吹き抜け」が問題となりやすい。新気の吹き抜けが発生すると、掃気ポート内の圧力を必要以上に高めなければならず、過給損失による燃費悪化を招いてしまう。また、シリンダ内の混合気が十分リーンとならず、過早着火を引き起こしやすい。ユニフロー式の2サイクル式エンジンは、掃気口と排気口との距離が離れているため、頭上弁式やシュニーレ式といった他の方式の2サイクル式エンジンと比較して新気の吹き抜けが抑制され、好ましい。
掃気ポート146,148には、新気を導く吸気通路12が、給気サージタンク144を介して接続され、排気ポート135には、排気ガスが通過する排気通路16が接続されている。排気通路16の下流には、大気汚染物質を浄化するための触媒26と、過給器50のタービン52とが設けられている。排気通路16内を通過する排気ガスはタービン52を回転させた後、大気に放出される。また、吸気通路12には、過給器50のコンプレッサ54が設けられている。コンプレッサ54は、シャフト56を介してタービン52に接続されており、排気ガスによってタービン52が回転するとコンプレッサ54も回転する。その結果、コンプレッサ54はエアクリーナ20から吸い込んだ空気を加圧した後、掃気ポート146,148に向かって圧送する。
コンプレッサ54で加圧すると空気温度が上昇するので、吸入空気を冷却するために、コンプレッサ54の下流側にはインタークーラ62が設けられている。また、吸気通路12内にはサージタンク60や、スロットル弁22も設けられている。サージタンク60は、燃焼室が空気を吸い込んだときに生じる圧力波を緩和させる作用を有しており、またスロットル弁22は電動アクチュエータ24によって適切な開度に設定されて、吸入空気量を調整する機能を有している。
ピストン152は、コネクティングロッド154を介してクランクシャフト156に接続されており、クランクシャフト156には、クランク角度を検出するクランク角センサ32が取り付けられている。
このガソリンエンジン100の動作は、エンジン制御用ユニット(以下、ECU)30によって制御されている。ECU30は、エンジン回転速度Neやアクセル開度θacを検出し、これらに基づいてスロットル弁22の開度の制御や、点火プラグ136の点火タイミング制御、電磁アクチュエータ164の制御を実行する。エンジン回転速度Neはクランク角センサ32によって検出され、アクセル開度θacはアクセルペダルに内蔵されたアクセル開度センサ34によって検出される。
図3は、第1実施例におけるシリンダの断面を拡大して示す説明図である。また図4は、シリンダ内からシリンダヘッドを見上げたときの状態を示す説明図である。第1実施例では、シリンダヘッド130のほぼ中央に点火プラグ136が設けられており、点火プラグ136の周囲に3つの排気弁132が設けられている(図3、図4参照)。排気弁132のバルブヘッド部132aは、すべて同径であり、シリンダ142の中心軸の周囲に、互いの間隔が等間隔となるように配置されている。また、3つの排気弁132は、その中心軸が、互いに平行となるように、かつ、シリンダ142の中心軸にほぼ平行となるように、シリンダヘッド130に設置されている(図3参照)。
本実施例では、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とが一体となったモノブロック構造を採用している。モノブロック構造の採用は、排気弁132の中心軸がシリンダ142の中心軸と平行であり、シリンダヘッド130における排気弁132用の穴あけ加工を、シリンダブロック140の下部側から行うことができるため、可能となったものである。モノブロック構造の採用により、シリンダ内高圧時のガスシール性の向上を図ることができる。また、ボア歪が抑制され、ブローバイガス量を低減することができる。また、デッドボリュームを削減でき、HC排出量を低減できる。さらに、部品点数の削減による低コスト化、軽量化、信頼性向上や、点火プラグおよび燃料噴射弁の配置自由度の向上を図ることができる。
図5は、排気弁を駆動する機構の構成を示す説明図である。図5(a)は、排気弁132の弁軸を押すための駆動アーム162を上部から見た形状を示しており、図5(b)は、シリンダヘッド130を中心にシリンダの断面を拡大して示している。シリンダヘッド130の上方に駆動アーム162が設けられている。駆動アーム162は、上面視略三角形状であり、3つの頂点部分のそれぞれには、排気弁132の上端部が接続されている。駆動アーム162の上方には電磁アクチュエータ164が設置され、駆動アーム162の上面視略三角形の重心位置(図5(a)の一点鎖線の交点)に、電磁アクチュエータ164が作用するように配置されている。
電磁アクチュエータ164は、ECU30からの開弁命令を受けると、駆動アーム162の重心位置に力を加え、駆動アーム162を下方に平行移動させる。駆動アーム162は、3つの排気弁132の上端部に接続されており、また、3つの排気弁の中心軸は、互いに平行となっているので、駆動アーム162が下方に移動すると、3つの排気弁132は同時に、排気弁132の軸方向に沿って下方に移動する。排気弁132が下方に移動すると、排気口が開きシリンダ142内の排気ガスが排気ポート135に向かって排出される。排気弁132が下方に移動したときの、元の位置から移動した位置までの排気弁132の軸方向の移動量をリフト量と呼ぶ。リフト量と排気弁132のバルブヘッド部132aの周長との積をカーテン面積といい、カーテン面積が大きいほどシリンダ142内の排気ガスが効率よく排出される。
予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式エンジンにおいて、高回転高負荷時にも過早着火を起こさせることなく圧縮自着火運転を行うためには、燃焼ガスを効率よく排出することが必要である。燃焼ガスを効率よく排出するためには、前述の通り、カーテン面積を大きく設定すればよい。しかし、カーテン面積を大きく取ろうとして、排気弁のバルブヘッド部の面積(弁面積)を大きくすると、排気弁を駆動するための動力が増大してしまい、特に、筒内圧力が非常に高くなる予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式エンジンでは、好ましくない。従って、排気弁の弁面積を大きくすることなく、排気弁のカーテン面積を大きくとることが望ましい。
図6は、排気弁の弁数と弁面積およびカーテン面積との関係を示す説明図である。図は、排気弁の弁数が1つのときを基準として、弁数を増加させていったときに、配置された排気弁のトータル弁面積とトータルカーテン面積とが、基準に対してどのような増加率となるかを示している。一般に、排気弁をシリンダヘッドに配置する際には、排気弁とシリンダとの間および隣接する排気弁同士の間に所定のクリアランスを確保する必要がある。本実施例では、各弁数に応じた排気弁132をシリンダヘッド130に配置するための条件として、シリンダ142の直径Dbは81ミリメートル、シリンダ142と排気弁132との必要クリアランスLsは5ミリメートル、隣接する排気弁132間の必要クリアランスLvは5ミリメートルとしている。そして排気弁132のバルブヘッド部132aの径Dvは、この条件を前提として、取りうる最大の値に設定する。なお、このような条件に従い排気弁132を配置すると、排気弁132は、シリンダ142の中心軸の周囲に均等間隔に配置される。排気弁132のバルブヘッド部の径Dvが設定されれば、弁面積およびカーテン面積を算定することができる。
図6を見ると、トータル弁面積は、排気弁132の弁数が2のときに極小となるが、弁数が3以上では、弁数が増加するほど弁面積は緩やかに減少している。一方、トータルカーテン面積は、排気弁132の弁数が2のときに極小となり、弁数が3以上では、弁数が増加するほどカーテン面積は大きく増加している。従って、排気弁132の弁数を3以上とすれば、弁面積を過大とすることなく、大きなカーテン面積を確保することができ、高回転高負荷運転時においても、効率よく燃焼ガスの排出を行うことができ、安定した圧縮自着火運転を行うことができる。
なお、排気弁数を3以上としても、本実施例のように、1つの駆動アーム162と1つの電磁アクチュエータ164とで3つ以上の排気弁132を駆動させることができ、コストダウン、搭載性の向上および運動部品の軽量化を図ることができる。特に2サイクル式エンジンは、4サイクル式エンジンに比べて動弁系の動作頻度が2倍であり、弁のサージング限界により最大回転数が抑えられがちであるが、運動部品の軽量化により、サージング限界回転数を高くすることができる。
シリンダヘッド130には、3つの排気口を接続するような排気チャンバ134が設けられている(図3参照)。燃焼室から各排気口を通過して流出する排気ガスは、排気チャンバ134を経由して、排気ポート135に排出される。排気チャンバ134を設けることによって、高温の排気ガスの流速を下げることができ、排気ポート135壁面への熱伝達率を小さくして排気ガス温度の低下を抑制することができる。これにより、ターボ効率と触媒暖機性とを向上させることができる。また、背圧が低減されるため、排気ガスの抜けを良好にすると共に、他気筒の排気脈動の影響を抑制し、予混合圧縮自着火燃焼による運転が可能な領域を高回転高負荷領域まで拡大することができる。
図7は、図3の7−7断面を示す説明図である。掃気ポート146は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面にほぼ平行となるように形成されており(図3参照)、また、シリンダ142の中心軸からずれた方向に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されている(図7参照)。そのため、掃気ポート146からシリンダ142に流入した新気は、シリンダ142の内周に沿って移動し、シリンダ142内に、シリンダ142の中心軸に垂直な平面内での渦(スワール)を生成する。本明細書において、このような掃気ポート146を「接線ポート」と呼ぶ。本実施例では、2つの掃気ポート(接線ポート)146が、シリンダ142内に同じ方向のスワールを生成するような向きに設けられている。
また、掃気ポート(接線ポート)146のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近には、リブ(突起)145が設けられており(図7)、リブ145により掃気ポート146の掃気口は左右に2分割されている。掃気口が左右2分割されていることで、ピストン152の上下動に伴うピストンリング153(図3)の引っかかりが防止される。さらに、2つの掃気ポート146の内の1つの掃気口近傍には、ポート内に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁15が設けられている(図7)。燃料噴射弁15を掃気ポート146内に設けることにより、燃料噴霧を掃気流に乗せて混合気のミキシング促進を図ることができ、また、低圧噴射弁を採用できるため、燃料噴射弁や燃料ポンプのコストダウンが可能である。燃料噴射弁15の燃料噴射制御は、ECU30(図2)により行われる。なお、掃気ポート146の開口部(掃気口)近傍とは、掃気ポート146内であって、掃気ポート146の長さ方向の中間点よりシリンダ142に近い側であることが好ましい。
一方、掃気ポート148は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面に対し、新気が斜め下向きにシリンダ142内に流入するような勾配を設けて形成されている(図3参照)。また、掃気ポート148は、シリンダ142の中心軸に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されている(図7参照)。本明細書において、このような掃気ポート148を「ストレートポート」と呼ぶ。本実施例では、2つの掃気ポート(ストレートポート)148が、シリンダ142を挟んで対向するように設けられている。そのため、掃気ポート148からシリンダ142に流入した新気は、ピストン152の頂面に衝突して、向きを斜め上向きに転ずると共に(図3参照)、対向する2つの掃気ポート148からの新気同士がシリンダ142の中心軸付近で衝突するため(図7参照)、シリンダ142内に、シリンダ142の中心軸付近を上昇する上昇気流を生成する。
また、掃気ポート(ストレートポート)148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近には、リブ(突起)147が設けられており(図7)、リブ147により掃気ポート148の掃気口は左右に2分割されている。掃気口が左右2分割されていることで、ピストン152の上下動に伴うピストンリング153の引っかかりが防止される。さらに、2つの掃気ポート148の内の1つの掃気口近傍には、ポート内に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁14が設けられている(図7)。燃料噴射弁14を掃気ポート148内に設けることにより、低圧噴射弁を採用できるため、燃料噴射弁や燃料ポンプのコストダウンが可能である。燃料噴射弁14の燃料噴射制御は、ECU30(図2)により行われる。なお、掃気ポート148の開口部(掃気口)近傍とは、掃気ポート148内であって、掃気ポート148の長さ方向の中間点よりシリンダ142に近い側であることが好ましい。
なお、掃気ポート148が、斜め下向きの勾配を設けて形成されていることは、燃料噴射弁14によって噴射された燃料噴霧の吹き抜け防止の点からも好ましい。また、掃気ポート148がシリンダ142を挟んで対向するように設けられていることは、燃料噴射弁14によって噴射された燃料噴霧がシリンダ142の内壁面に付着し、HC(未燃燃料)やスモークの排出量が増加してしまうことを防止する点からも好ましい。
また、2つの掃気ポート(ストレートポート)148には、それぞれ開閉機構としての給気制御弁149(図3、図7)が設けられており、給気制御弁149の軸を中心とした回転によって、掃気ポート148の開閉を行うことができる。給気制御弁149の開閉制御は、ECU30(図2)により行われる。
低回転低負荷運転時には、ECU30は、掃気ポート(ストレートポート)148に設けられた給気制御弁149を閉じるような制御を行う。すなわち、低回転低負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146のみにより、シリンダ142内に新気が供給される。このとき、新気の流入速度は大きくなり、シリンダ142内の残留ガスと混合気とのミキシングが促進されるため、低回転低負荷運転時においても安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
また、掃気ポート(接線ポート)146は、前述の通り、シリンダ142内にスワールを生成するように形成されているため、シリンダ142内に流入した比較的低温の新気は、シリンダ142の内壁面に沿って移動し、高温の残留ガスは、シリンダ142の中央付近に分布する。従って、新気がシリンダ142内壁面から熱を奪うことによって、残留ガスの温度低下が抑制され、低回転低負荷運転時においても安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
さらに、掃気ポート146から排気口へと直接向かう気流を伴わないため、新気や噴射燃料の吹き抜けを抑制することができ、過給損失による燃費の悪化を防止することができる。
なお、低回転低負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146内に設けられた燃料噴射弁15により燃料噴射を行う。燃料噴射弁としては、ホロコーン型や、多孔衝突噴霧型、ファンスプレー型、中実コーン型、スリット型などが知られているが、燃料噴射弁15は、比較的噴射率が小さく噴霧貫徹力の小さいホロコーン型や多孔衝突噴霧型を採用することが好ましい。こうすれば、燃料噴霧を掃気ポート146が生成するスワールに容易に乗せることができ、混合気のミキシングを促進することができる。
一方、高回転高負荷運転時には、ECU30は、掃気ポート(ストレートポート)148に設けられた給気制御弁149を開けるような制御を行う。すなわち、高回転高負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146と掃気ポート(ストレートポート)148との両方から、シリンダ142内に新気が供給される。高回転高負荷運転時は、シリンダ内に供給される空気量および燃料量が多くミキシング時間が少ないが、両方の掃気ポートを使用することによって、掃気口の面積を増加させて速やかに掃気を行うことができ、安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
また、掃気ポート(ストレートポート)148は、シリンダ142内にシリンダ142の中心軸付近に沿った上昇気流を生成するように形成されているため、シリンダ142の中心軸付近に残りやすい残留ガスを確実に排出して、掃気率を高め、混合気の温度が必要以上に上昇することを抑制することができる。従って、高回転高負荷運転時においても、過早着火を起こすことなく圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
なお、高回転高負荷運転時には、掃気ポート(ストレートポート)148内に設けられた燃料噴射弁14により、あるいは、燃料噴射弁14と掃気ポート(接線ポート)146内に設けられた燃料噴射弁15とにより、燃料噴射を行う。燃料噴射弁14は、比較的噴射率が大きく噴霧貫徹力の大きいファンスプレー型や、中実コーン型、スリット型を採用することが好ましい。こうすれば、高回転高負荷運転時にも、短時間で必要な燃料量を噴射できると共に、燃料噴霧が掃気ポート148からの新気によって生成される上昇気流に乗って吹き抜けることを抑制することができる。
なお、掃気ポート(接線ポート)146により生成されるスワールと、掃気ポート(ストレートポート)148により生成される上昇気流とは、共にシリンダ142の中心軸に対して対称な気流である。すなわちシリンダ142の中心軸に垂直な断面内において、気流の偏りが少ない。従って、シリンダヘッド130に均等間隔に配置された排気弁132から、まんべんなく排気ガスを排出することができ、排気(掃気)の効率を高めることができる。
掃気ポート146,148は、シリンダ142とは反対側の端部において、シリンダブロック140に設けられた給気サージタンク144に接続されており(図3、図7参照)、新気は、吸気通路12から給気サージタンク144を介して、掃気ポート146,148に供給される(図2参照)。本実施例では、給気サージタンク144は、シリンダブロック140に一体となって形成されている(図3参照)。また、給気サージタンク144は、図示しない他のシリンダの掃気ポートにも接続され、他のシリンダに新気を供給している。
掃気行程において、掃気口が開口し、掃気ポート146,148から新気がシリンダ142内に流入し始めると、慣性により、掃気ポート146,148内に負の圧力波が発生する。この負の圧力波は、掃気ポート146,148内をさかのぼって行き、給気サージタンク144に面する開口部(開放端)に来ると、逆位相の正の圧力波となって掃気口に戻ってくる。この正の圧力波がまだ掃気口が開口しているときに戻ってくると、シリンダ内に新気を押し込む作用をして給気効率が向上する。本実施例では、給気サージタンク144をシリンダブロック140に一体として形成することによって、掃気ポート146,148の管長を短くすることができる。このようにして、圧力波の往復時間を短縮することができ、圧力波を利用して給気効率向上を図ることができる。また、併せて、多気筒エンジンの小型化を図ることができる。
ガソリンエンジン100は、上述の通り、低回転低負荷運転時から高回転高負荷運転時まで、安定して予混合圧縮自着火燃焼による運転を行うことができる。従って、負荷が極端に小さく圧縮自着火燃焼が困難な始動時および暖機時は、火花点火燃焼による運転を行い、それ以外の運転領域では、予混合圧縮自着火燃焼による運転を行うとすることもできる。図8は、第1実施例としてのガソリンエンジン100の運転モードを示すマップである。図8の横軸はエンジンの回転数、縦軸は負荷(トルク)である。
ガソリンエンジン100の運転モードは、回転数および負荷に応じて2つの運転領域R1およびR2に区分されている。第1の運転領域R1は、極低回転極低負荷の始動および暖機を行う運転領域である。この運転領域R1では、火花点火燃焼による運転を行う。一方、第2の運転領域R2は、運転領域R1以外の運転領域であり、回転数および負荷について広い範囲をカバーする運転領域である。この運転領域R2では、圧縮自着火燃焼による運転を行う。
このように、始動時および暖機時は、火花点火燃焼による運転を行い、それ以外の運転領域では、予混合圧縮自着火燃焼による運転を行うこととすれば、点火プラグ136(図3)は、始動時および暖機時の専用とすることができ、小型化することができる。点火プラグ136を小型化できれば、シリンダヘッド130に設置する排気弁132(図3、図4)の大きさや配置に関する自由度を高めることができると共に、点火プラグ136自身の配置の自由度も高められる。さらに、点火プラグ136の冷却装置を不要とすることができると共に、イグナイタの低コスト化を図ることができる。また、暖機後は、燃焼方式の切り替えを行う必要が無いため、ドライバビリティが向上すると共に、燃費悪化の要因となる燃焼方式切り替え時のトルクショック対策用トルク調整制御が不要となる。
ガソリンエンジン100は、ストローク・ボア比の値が1.2以上のロングストロークに設定されている。図9は、ストローク・ボア比とピストン頂部面積および燃焼室クリアランス高さとの関係を示す説明図である。本実施例では、1気筒あたりの排気量を500ccとし、圧縮比を15と設定している。図9に示すように、ピストン頂部面積は、ストローク・ボア比の値が1のエンジン(スクエアエンジン)を基準とすると、ストローク・ボア比の値が大きくなるほど、ピストン頂部面積は減少する。ガソリンエンジン100は、圧縮自着火燃焼を行うために高圧縮比に設定されており、また、圧縮自着火燃焼により混合気の燃焼がほぼ同時に行われるため、シリンダ142内の圧力は非常に高圧となる。このようなガソリンエンジン100において、ストローク・ボア比の値を1.2以上に設定してロングストロークとすれば、ピストン頂部面積はスクエアエンジンと比較して10%以上減少する。従って、ピストン152の頂面に作用する圧力も10%以上軽減され、部品の軽量化や信頼性の向上を図ることができる。また燃焼室の表面積と容積の比(S/V比)が小さくなり、冷却損失を抑制して燃費を向上させることができる。さらに、図9に示すように、ストローク・ボア比の値を大きくすると、燃焼室クリアランス高さを大きくとることができる。ガソリンエンジン100は、高圧縮比運転を行うために燃焼室容積が小さいが、ストローク・ボア比を1.2以上とすることにより、ピストン152とシリンダヘッド130とのクリアランスを十分に確保でき、気流の妨げやS/V比の悪化につながるバルブリセスの設置を不要とすることができる。
C.第2実施例:
図10は、第2実施例におけるシリンダヘッドの断面を拡大して示す説明図である。図3に示した第1実施例との違いは、シリンダヘッド130が、排気チャンバ134を上下方向に2分割するような平面に沿って、分割される構造を有していることである。それ以外の構成は、第1実施例と同じである。
シリンダヘッド130に設けられた排気チャンバ134は、断熱構造を有している。すなわち、排気チャンバ134の内壁面の内側に、熱伝達率の小さいステンレス断熱壁133が設けられ、排気チャンバ134内壁面とステンレス断熱壁133との間には空気層が設けられている。シリンダヘッド130は上下分割構造を有しているため、このような排気チャンバ134の断熱加工を容易に行うことができる。
排気チャンバ134を断熱構造を有するものとすることにより、排気ガス温度の低下をより一層抑制することができ、ターボ効率を高めると共に触媒暖機性を向上させることができる。
D.第3実施例:
図11は、第3実施例におけるシリンダヘッドの断面を拡大して示す説明図である。図12は、図11の12−12断面を示す説明図である。本実施例では、シリンダヘッド130に、排気弁132が6つ設けられている。シリンダヘッド130の上部には、2つの駆動アーム162が設けられ、それぞれ3つの排気弁132の上部に接続されている。図12には、排気弁132との位置関係を示すため、駆動アーム162の上部から見た位置を点線にて示している。排気弁132は、駆動アーム162を介して、電磁アクチュエータ164により駆動されている。
シリンダヘッド130には、6つの排気口を接続するような排気チャンバ134が設けられている。燃焼室から各排気口を通過して流出する排気ガスは、排気チャンバ134を経由して、排気ポート135に排出される。排気チャンバ134は、上部から見た形状がC字形状となるように形成されている。排気チャンバ134をC字形状とすることによって、シリンダヘッド130に燃料噴射弁や点火プラグを設置するスペースが確保され、燃料噴射弁や点火プラグの取り付け自由度が向上する。
シリンダヘッド130のほぼ中央には、燃焼室に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁17が設けられており、燃料噴射弁17の周囲を取り囲むように、燃料噴射弁17を冷却するためのウォータージャケット138が設けられている。ウォータージャケット138の冷却水の供給と排出とは、上下2段構成の冷却水路139により行われる。冷却水路139は、排気チャンバ134のC字形状の切れ目部分を通るように配置されており、ウォータージャケット138とシリンダブロック140の周壁部に設けられたウォータージャケット166とを接続している。ウォータージャケット166から供給される冷却水は、冷却水路139を通って、ウォータージャケット138に供給され、燃料噴射弁17を冷却し、その後、再び冷却水路139を通って排出される。このようにして、排気ガスの温度低下を抑制するための排気チャンバ134を設けても、燃料噴射弁17の冷却経路を確保することができる。燃料噴射弁17を冷却することによって、燃料噴射弁噴孔部へのデポジット(燃えかす)堆積を抑制できる。
本実施例においては、第1実施例と同様に、始動時は、火花点火燃焼による運転を行うこととしている。しかし、高温再始動時には、圧縮行程においてシリンダ内の混合気が自着火温度に達してしまい、予定しない圧縮自着火燃焼が起こることも考えられる。始動時における予定しない圧縮自着火燃焼は、ピストンの逆転や始動不良等を引き起こし、好ましくない。そこで、本実施例においては、ウォータージャケット166に取り付けられた水温センサ168により冷却水温を計測し、ECU30は、計測された冷却水温とその変動率との組み合わせから、高温再始動かどうかの判定を行う。判定方法は、例えば、冷却水温が所定の温度を超えていたら高温再始動と判定するとしてもよい。あるいは、冷却水温とその変動率とから所定時間経過後の予想冷却水温を計算し、予想冷却水温が所定の温度を超えていたら高温再始動と判定するとしてもよい。
図13は、第3実施例としてのガソリンエンジン100の始動時におけるバルブタイミングを示す説明図である。図13(a)は、通常の始動時のバルブタイミングを示しており、図13(b)は、高温再始動時のバルブタイミングを示している。図13において、TDCはピストン152の上死点を、BDCはピストン152の下死点を、EXOは排気弁132の開弁時期を、EXCは排気弁132の閉弁時期を、INOは掃気ポート146,148の開放時期を、INCは掃気ポート146,148の閉鎖時期を、それぞれ示している。また、ハッチングをした領域は燃料噴射弁17による燃料噴射時期を示している。
ECU30は、通常の始動と判定したときは、図13(a)に示すバルブタイミングに基づいてガソリンエンジン100の運転制御を行う。通常の始動時は、燃焼方法の違いの他は、図1で説明した圧縮自着火運転のバルブタイミングとほぼ同じである。すなわち、上死点(TDC)近傍で混合気が燃焼した後、ピストン152がある程度まで降下すると排気弁132が開かれる(EXO)。その後、ピストン152がさらに降下すると、掃気ポート146の掃気口が開放され(INO)、シリンダ142内に新気が流入する。そして、掃気期間であってピストン152が下死点(BDC)近傍にあるときに、燃料噴射弁17がシリンダ142内に燃料噴霧を噴射する。下死点の後、ピストン152が上昇に転ずると、まもなく排気弁132が閉じられ(EXC)、さらにピストン152の上昇に伴い、掃気口が閉鎖される(INC)。さらなるピストン152の上昇とともにシリンダ142内の混合気が圧縮され、混合気の温度が上昇していくが、始動時はシリンダの温度が比較的低温のため、混合気は自着火温度に達しない。ピストン152の上死点近傍で点火プラグ136による火花点火を行い、混合気を燃焼させる。
一方、ECU30は、高温再始動と判定したときは、図13(b)に示すバルブタイミングに基づいてガソリンエンジン100の運転制御を行う。図13(a)に示す通常の始動時との違いは、排気弁132の閉弁時期(EXC)および燃料噴射弁17による燃料噴射時期(ハッチングをして示す)である。その他のタイミングは、図13(a)に示す通常の始動時と同じである。まず、排気弁132の閉弁時期(EXC)については、通常の始動時より遅角させている。すなわち排気弁132の閉弁時期(EXC)を遅らせて、排気口の開放時間を長くしている。排気口が開いている間は、ピストン152が上昇してもシリンダ142内の混合気を圧縮することはできない。従って、排気弁132の閉弁時期(EXC)を遅角させることによって、混合気の実質的な圧縮比(「実圧縮比」と呼ぶ)を、小さくすることができる。実圧縮比を小さくすることによって、圧縮行程におけるシリンダ142内の温度上昇は抑制され、高温再始動時においてもシリンダ142内の温度が混合気の自着火温度まで達することがないようにすることができる。
また、燃料噴射弁17による燃料噴射時期については、下死点(BDC)近傍ではなく、上死点(TDC)近傍において燃料噴射を行っている。従って、上死点近傍までは、シリンダ142内で燃焼を起こさないようにすることができる。燃料噴射後は、通常の始動時と同様に、ピストン152の上死点近傍で点火プラグ136による火花点火を行い、混合気を燃焼させる。
このようにして、高温再始動時においても、シリンダ142内の混合気が圧縮自着火することを確実に防止することができる。従って、高温再始動時の圧縮自着火燃焼による逆転や始動不良を防止することができる。なお、燃料噴射弁17による燃料噴射時期としての上死点(TDC)近傍とは、例えば、上死点前60度から上死点までの範囲であることが好ましい。
また、本実施例においては、第1実施例と同様に、暖機時は、火花点火燃焼による運転を行うこととしている。図14は、第3実施例としてのガソリンエンジン100の暖機時におけるバルブタイミングを示す説明図である。図中に示す符号の意味は、図13における符号の意味と同じである。
図14に示す暖機時におけるバルブタイミングと、図13(a)に示す通常の始動時におけるバルブタイミングとの違いは、排気弁132の閉弁時期(EXC)および燃料噴射弁17による燃料噴射時期(ハッチングをして示す)である。暖機時においては、ECU30は、排気弁132の閉弁時期(EXC)を進角させるように排気弁132の駆動制御を行う。すなわち、排気弁132の閉弁時期(EXC)を早めて、排気口の開放時間を短くしている。排気口の開放時間を短くすると、シリンダ142内の燃焼ガスを排出する時間が短くなり、シリンダ142内には高温の燃焼ガスが大量に残留する。
また、ECU30は、暖機時において、排気弁132の閉弁時期(EXC)近傍において、シリンダ142内に燃料噴射を行うように、燃料噴射弁17の制御を行う。排気弁132の閉弁時期近傍において燃料噴射を行うことにより、燃料噴射から火花点火までの時間を比較的長く取ることができる。
このようにすることによって、噴射燃料の気化を促進することができ、暖機時において、安定した火花点火燃焼を行うことができる。また、混合気の圧縮端温度を高めることもでき、排気温度の上昇による触媒の早期活性化を図ることができる。さらに、予混合圧縮自着火燃焼への燃焼切り替えがスムーズにかつ速やかに行うことができ、暖機過程での燃費改善や大気汚染物質の低減を図ることができる。
E.第4実施例:
図15は、第4実施例におけるシリンダ周壁内部の形状を示す説明図である。図15は、シリンダ142の内側から、掃気ポート146,148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近を見たときの状況を表している。掃気ポート(接線ポート)146の掃気口の上縁は、掃気ポート(ストレートポート)148の掃気口の上縁より、上側に位置している。それ以外の構成は、第1実施例と同じである。
ピストン152が図の矢印方向に下降していくと、まず掃気ポート(接線ポート)146の掃気口が開口し、シリンダ142内にスワールが生成される。ピストン152がさらに下降して掃気ポート(ストレートポート)148の掃気口が開口すると、シリンダ142内に上昇気流が加わる。このように、シリンダ142内と掃気ポートとの差圧が大きいときにスワールを生成することによって混合気のミキシングを促進し、その後、上昇気流を生成することによって掃気効率を高めることができる。従って、必要掃気圧を抑制することができ、過給損失を低減して燃費を改善することができる。
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
F1.変形例1:
上記実施例では、2つの接線ポート146と2つのストレートポート148との合計4つの掃気ポートが、シリンダ142に接続されているエンジンについて説明したが、シリンダ142に接続される掃気ポートは1つの掃気ポート(接線ポート)146であるとしてもよい。あるいは、シリンダ142に接続される掃気ポートは、1つの掃気ポート(接線ポート)146と1つのストレートポート148との合計2つの掃気ポートであるとしてもよい。あるいは、シリンダ142に接続される掃気ポートは、1つまたは複数の任意形状の掃気ポートであるとしてもよい。
F2.変形例2:
上記実施例では、シリンダヘッド130に3つ以上の排気弁132が設けられているが、シリンダヘッド130に1つまたは2つの排気弁132が設けられているとしてもよい。
F3.変形例3:
上記実施例では、掃気ポート(接線ポート)146内の燃料噴射弁15と掃気ポート(ストレートポート)148内の燃料噴射弁14との2つの燃料噴射弁が設けられているが、掃気ポート146内の燃料噴射弁15のみが設けられているとしてもよい。
F4.変形例4:
上記実施例では、2つの掃気ポート(ストレートポート)148のそれぞれに開閉機構としての給気制御弁149が設けられているが、1つの掃気ポート148にのみ給気制御弁149が設けられているとしてもよい。あるいは、掃気ポート148に限らず、任意の掃気ポートの少なくとも1つに給気制御弁149が設けられているとしてもよい。
F5.変形例5:
上記実施例では、給気制御弁149の開閉制御において、すべての給気制御弁149を同時に開放または閉鎖する制御としているが、内燃機関の回転数および負荷に応じて、多段階的に1つまたは複数の給気制御弁149毎に開放または閉鎖を行うような制御としてもよい。
F6.変形例6:
上記実施例では、ガソリンエンジン100はシリンダヘッド130とシリンダブロック140とが一体となったモノブロック構造のエンジンであるとしているが、ガソリンエンジン100はシリンダヘッド130とシリンダブロック140が分割されているエンジンであるとしてもよい。
F7.変形例7:
上記実施例では、排気チャンバ134に設ける断熱構造の一例として、ステンレス断熱壁133と空気層とによる断熱構造の例を用いて説明したが、排気チャンバ134に設ける断熱構造はそれ以外の他の断熱構造であるとしてもよい。