JP4231422B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
Tz=To・exp(K1・θ) …式1
ただし、前記式1中のTo,K1は定数であり、これらの値に関しては後述する感覚適合制御部50の説明時に詳しく説明する。また、前記式1中の操舵角θは前記検出操舵角θの絶対値を表しているものとし、検出操舵角θが正であれば定数Toを負の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数Toを前記負の定数Toと同じ絶対値を有する正の値とする。ここで、前記式1の演算に代えて、操舵角θに対する反力トルクTzを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、反力トルクTzを計算することも可能である。このため、本明細書にて後に詳述する異常報知プログラムの説明においては、この変換テーブルを用いて説明する。
Td=To・exp(K1・θ) …式2
この場合も、前記式2中のTo,K1は、前記式1と同様な定数である。ただし、前記式2中の操舵角θは前記検出操舵角θの絶対値を表しているものであるが、検出操舵角θが正であれば定数Toを正の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数Toを前記正の定数Toと同じ絶対値を有する負の値とする。ここで、この場合も、前記式2の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTdを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。このため、本明細書にて、後に詳述する異常報知プログラムにおいては、この変換テーブルを用いて説明する。
Gd=0 (|Td|<To) …式3
Gd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式4
ただし、式4中のC,K2は定数である。また、前記式4中の操舵トルクTdは前記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式3,4の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み横加速度Gdを記憶した図4に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。
Gd=C(To・exp(K1・θ))K2=C・ToK2・exp(K1・K2・θ)=Go・exp(K1・K2・θ)…式5
前記式5において、Goは定数C・ToK2であり、式5は、運転者による操舵ハンドル11の操舵角θに対して見込み横加速度Gdが指数関数的に変化していることを示す。そして、この見込み横加速度Gdは、車内の所定部位への運転者の体の一部の接触によって運転者が知覚し得る物理量であり、前述したウェーバー・ヘフナーの法則に従ったものである。したがって、運転者が、この見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、操舵ハンドル11の回動操作と車両の操舵との関係を人間の知覚特性に対応させることができる。
Gd=Go・exp(K0・ω・t) …式6
ただし、K0は、K0=K1・K2の関係にある定数である。
ΔT=To・exp(K1・θ)・K1・Δθ=T・K1・Δθ …式7
この式7を変形するとともに、前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとすると、下記式8が成立する。
K1=ΔT/(T・Δθ)=Kt/Δθ …式8
Tmax=To・exp(K1・θmax) …式9
この式9を変形すれば、下記式10が成立する。
K1=log(Tmax/To)/θmax …式10
そして、前記式8および式10から下記式11が導かれる。
Δθ=Kt/K1=Kt・θmax/log(Tmax/To) …式11
この式11において、Ktは操舵トルクTのウェーバー比であり、θmaxは操舵角の最大値であり、Tmaxは操舵トルクの最大値であり、Toは前記したように人間が知覚し得る最小感知横加速度Goに対応するように計算されたものであり、これらの値Kt,θmax,Tmax,Toはいずれも実験およびシステムによって決定される定数であるので、前記微分値Δθを前記式11を用いて計算できる。そして、この微分値Δθをウェーバー比Ktを用いて、前記式8に基づいて所定値(係数)K1も計算できる。
ΔG=C・K2・TK2-1ΔT=G・K2・ΔT/T …式12
この式12を変形し、かつ前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとするとともに、横加速度に関するウェーバー比ΔF/FをKaとすると下記式13,14が成立する。
ΔG/G=K2・ΔT/T …式13
K2=Ka/Kt …式14
この式14において、Ktは操舵トルクに関するウェーバー比であるとともに、Kaは横加速度に関するウェーバー比であって、共に定数として与えられるものであるので、これらのウェーバー比Kt,Kaを用いて、前記式14に基づいて係数K2も計算できる。
C=Gmax/TmaxK2 …式15
そして、この式15においては、GmaxおよびTmaxは実験およびシステムによって決定される定数であり、かつK2は前記式14によって計算されるものであるので、定数(係数)Cも計算できる。
δd=L・(1+A・V2)・Gd/V2 …式16
ただし、前記式16中のLは車両のホイールベースを示す予め決められた所定値(例えば、2.67m)であり、Aは予め決められた所定値(例えば、0.00187)である。
δda=δd+K3・(Gd−G) …式17
ただし、係数K3は予め決められた正の定数であり、これにより実横加速度Gが見込み横加速度Gdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実横加速度Gが見込み横加速度Gdを超える場合には、補正目標転舵角δdaは小さくなる側に補正される。この補正により、見込み横加速度Gdに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdがより精度よく確保される。
上記第1実施形態においては、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2の転舵に関するフェイルを検出して運転者に報知する際に、操舵トルクTd(反力トルクTz)の大きさ(重さ)を大きく(重く)して、運転者の操舵フィーリングに違和感を与えることにより、フェイルが発生していることを報知するように実施した。これに代え、または加えて、発生したフェイルのレベルに応じて、運転者に対して段階的に報知し、発生した故障を予見させるように実施することも可能である。以下、この第2実施形態について、詳細に説明するが、操舵装置の構成および転舵動作に関しては、上記第1実施形態と同一であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
上記第1実施形態および第2実施形態における異常報知プログラムは、運動状態量としての横加速度を採用した操舵装置に適用して実施した。これらに代えて、運動状態量としてのヨーレートを採用した操舵装置に異常報知プログラムを適用して実施することも可能である。以下、この第1変形例について説明する。この第1変形例においては、操舵装置は、図1に破線で示すように、上記第1実施形態および第2実施形態における横加速度センサ34に代えて、運転者が知覚し得る運動状態量である実ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ38を備えている。他の構成については、上記第1実施形態および第2実施形態と同じであるが、転舵操作に関し、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1実施形態および第2実施形態の場合とは若干異なる。また、この第1変形例に係るヨーレートを運動状態量とする操舵装置に適用される異常報知プログラムは、上記第1実施形態および第2実施形態の異常報知プログラムと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
γd=0 (|Td|<To) …式18
γd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式19
ただし、式19中のC,K2は、上記第1実施形態および第2実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式19中の操舵トルクTdは上記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合、前記式18,19の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込みヨーレートγdを記憶した図11に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込みヨーレートγdを計算するようにしてもよい。
δd=L・(1+A・V2)・γd/V …式20
ただし、前記式20においても、Lはホイールベースを示す予め決められた所定値(例えば、2.67m)であり、Aは予め決められた所定値(例えば、0.00187)である。
δda=δd+K4・(γd−γ) …式21
ただし、係数K4は予め決められた正の定数であり、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込みヨーレートγdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
次に、上記第1実施形態および第2実施形態における異常報知プログラムは、運動状態量としての横加速度を採用した操舵装置に適用して実施した。また、上記第1変形例における異常報知プログラムは、運動状態量としてのヨーレートを採用した操舵装置に適用して実施した。これらに代えて、運動状態量としての旋回曲率を採用した操舵装置に適用して実施することも可能である。以下、この第2変形例について説明する。この第2変形例においても、操舵装置は、上記第1実施形態および第2実施形態と同様に図1に示すように構成されている。ただし、転舵動作に関し、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが上記第1実施形態および第2実施形態の場合とは若干異なる。また、この第2変形例に係る旋回曲率を運動状態量とする操舵装置に適用される異常報知プログラムは、上記第1実施形態および第2実施形態の異常報知プログラムと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
ρd=0 (|Td|<To) …式22
ρd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式23
ただし、式23中のC,K2は、上記第1実施形態および第2実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式23中の操舵トルクTdは上記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合、前記式22,23の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み旋回曲率ρdを記憶した図14に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み旋回曲率ρdを計算するようにしてもよい。
δd=L・(1+A・V2)・ρd …式24
ただし、前記式24においても、Lはホイールベースを表す予め決められた所定値(例えば、2.67m)であり、Aは予め決められた所定値(例えば、0.00187)である。
ρ=G/V2またはρ=γ/V …式25
δda=δd+K5・(ρd−ρ) …式26
ただし、係数K5は予め決められた正の定数であり、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み旋回曲率ρdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
Claims (6)
- 車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置は、
前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサと、
前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する変換手段と、
車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運転状態量を表していて、前記運動状態量に関する予め決められたウェーバー比を前記操作力に関する予め決められたウェーバー比で除算した値を指数とする前記操作力のべき乗関数として定義される車両の見込み運動状態量を、前記変換された操作力を用いて計算する運動状態量計算手段と、
前記計算された見込み運動状態量で車両が運動するために必要な前記転舵輪の転舵角を、前記計算された見込み運動状態量を用いて計算する転舵角計算手段と、
前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、
前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、
転舵輪の転舵に関する異常を検出する異常検出手段と、
前記操作力と前記車両の見込み運動状態量との前記べき乗関数を維持して、前記異常検出手段によって検出した異常を前記操舵ハンドルを介して運転者に報知する異常報知手段とを備えていることを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記変位量センサによって検出した操舵ハンドルの変位量と指数関係にある反力を前記操舵ハンドルの操作に対して付与する反力付与手段を設け、
前記異常報知手段は、
前記異常検出手段によって転舵輪の転舵に関する異常を検出すると、前記操舵ハンドルの変位量と前記反力付与手段によって前記操舵ハンドルに付与する前記反力との指数関係を変更するとともに、前記反力付与手段によって前記変更した指数関係にある反力を前記操舵ハンドルに付与することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項2に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記異常報知手段は、
前記操舵ハンドルの変位量と前記反力付与手段によって前記操舵ハンドルに付与する前記反力との指数関係を、前記反力付与手段が前記操舵ハンドルの操作に対して所定量大きな反力を付与するための指数関係に変更することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって転舵輪の転舵に関する異常を検出すると、前記操舵ハンドルの中立位置を変更することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項4に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記異常報知手段は、前記異常検出手段によって検出した転舵輪の転舵に関する異常の程度に応じて、段階的に前記操舵ハンドルの中立位置を変更することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
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