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JP4228289B2 - 複合伸縮性不織布及びその製造方法 - Google Patents

複合伸縮性不織布及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は伸縮性に優れ、人が触れたときに柔軟かつ比較的ドライでボリューム感のある肌触りの不織布に関する。また、本発明の複合伸縮性不織布にブロック共重合ポリエステルよりなるフィルム層を貼り合せて透湿防水性を付与する事で、衣料用途やハウスラップ、屋根下葺き材、ルーフィング材、熱交換器などの一般工業用途、農業用シートなど透湿防水性を要求される全ての用途に用いることが可能である。この際、伸縮性があるため様々な形態の物体に密着して貼り合わせることが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリウレタン、イソプレン系エラストマ−などよりなる伸縮不織布は、手袋やゼッケンなどの衣料用途等に用いられてきた。しかしながらこれらの樹脂は、耐溶剤性や耐候性が良くないという問題があり使用用途が限られてきた。また、熱により捲縮を発現するポリエステル繊維などを用いた不織布もパップ材基布や傷テープなどの医療用途を中心に用いられてきた。これらについては、耐溶剤性や耐候性はすぐれるものの、残留ひずみ率が大きいために変形の大きい用途には使用しづらいという問題があった。また、オレフィン系エラストマ−はエンジニアリングプラスティックなどに使用されているが、高い粘度などの問題から細い繊維を製造するのが容易ではない。こうした問題点の少ないブロック共重合ポリエステルは、伸縮特性に優れる上に耐候性なども良好であり種々の用途に用いられてきた。
しかしながら、一般的に弾性を有する繊維は触ったときにべとつき感のような肌触りがあり、人体と直接接触する用途に用いづらかった。また、滑りにくい特性故に、他の物体と接触した際に引っ掛かりが多く毛羽立ちしやすいという問題があった。また、弾性を有する繊維よりなる不織布は一般的に厚みの薄いものしか存在せず、ボリューム感のある不織布を得る事が困難であった(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−126663号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、伸縮性や柔軟性に優れ、人が触れたときに比較的ドライな肌触りがあり、表面が磨耗などにより毛羽立ちにくい不織布を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる問題点を解決した伸縮性不織布を提供するために以下の手段をとる。
【0006】
1.伸縮性長繊維不織布と非伸縮性不織布が一体複合化されてなる破断伸度が50%以上であることを特徴とする複合伸縮性不織布。
2.伸縮性長繊維不織布が、ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステル長繊維を主体とする不織布であって、複合伸縮性不織布の破断伸度が100%以上かつ20%伸長回復率が80%以上であることを特徴とする上記第1記載の複合伸縮性不織布。
3.非伸縮性不織布が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルのいずれかの繊維を主体としてなることを特徴とする上記第1記載の伸縮不織布。
4.伸縮性長繊維不織布及び/又は非伸縮性不織布が、熱エンボス法による繊維接着点を有することを特徴とする上記第1記載の複合伸縮不織布。
5.伸縮性長繊維不織布と非伸縮性不織布をニードパンチ法もしくは水流交絡法により複合一体化することにより破断伸度が50%以上の複合不織布となすことを特徴とする複合伸縮性不織布の製造方法。
6.複合一体化した後に熱収縮処理することを特徴とする上記第5記載の複合伸縮性不織布の製造方法。
7.伸縮性長繊維不織布及び/又は非伸縮性不織布に熱エンボス加工を施すことを特徴とする上記第5記載の複合伸縮性不織布の製造方法。
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明においては、伸縮性を有する長繊維不織布の少なくとも片面から非伸縮性の不織布を一体化複合されてなることが必要である。伸縮性のある素材と非伸縮性の素材を組み合わせて一体化することにより、本発明の目的と伸縮性に優れ、人が触れたときに比較的ドライな肌触りがある不織布を得る事が可能となる。
【0008】
また、本発明の複合伸縮性不織布は、破断伸度が50%以上である事が好ましく、より好ましくは80%以上、特に好ましくは100%以上である。破断伸度が50%より低い不織布は、人が触ったときにソフトで柔軟な風合いを与える事が困難となりあまり好ましくない。
【0009】
本発明では、複数の不織布が一体化されていることが必要であるが、一体化の手段がニードパンチ法、水流交絡法のいずれかであることが好ましい。これらの機械的交絡法を用いると繊維の一本一本が交じり合って絡まり一体性の高い複合不織布を得る事が可能である。伸縮性繊維は一般的に繊維表面の摩擦係数が高い場合が多いので、一旦絡み合った繊維の絡合が緩み難い場合が多い。また、潜在捲縮繊維により得られた伸縮不織布を用いる場合には、非伸縮性の繊維と十分交じり合っていないとシート表面の平滑性を得る事が難しく、特に伸長時に変形度の斑を生じやすいのであまり好ましくない。また、これらの機械的交絡法により繊維がシートの厚み方向にループを生じさせる事が可能であり、柔らかい風合いを得るのに好適である。
【0010】
また、本発明の複合不織布を一体化されてのち熱収縮処理したものであることも好ましい形態の一つである。繊維を交絡後に熱収縮処理する事により潜在伸縮性繊維不織布の伸縮発現効果が大幅に高められる。また、エラストマーなど素材から伸縮性のある繊維も、熱処理により伸長回復性が高められる事が有り好ましい実施例のひとつである。また、芯鞘繊維などの熱接着性繊維を含んでいる場合は、繊維末端の固定効果を得る事ができるので好ましい。
【0011】
さらに、一体化された複合伸縮不織布を熱エンボス法により繊維接着点を設ける事が好ましい。これにより繊維が固定されるため、形態安定性や毛羽防止の観点から好ましい。前述の熱処理効果と同時に得る事が出来る場合もあり素材や形態により適切な条件を選択する事が推奨される。
【0012】
本発明に用いられる非伸縮性不織布の素材はポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルのいずれかであることが好ましい。これらの繊維は、伸縮性繊維に比べるとこれらの繊維は肌触り感がドライであり場合が多く好ましい。ポリプロピレンを用いた場合には、使い捨てオムツなどとの接着性がよくなり好ましい。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルは、耐熱性や機械特性を付与する観点から好適に利用される。芯鞘型繊維を用いる場合は鞘部が前述の素材である事が好ましい。非伸縮性不織布は短繊維不織布であっても長繊維不織布であっても良いが、加工性などの観点から長繊維不織布がより好ましい。
【0013】
本発明に用いられる伸縮性不織布の素材としては、ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルであることが好ましい。共重合ポリエステルのハードセグメント成分としては、芳香族ポリエステルあるいは脂肪族ポリエステルあるいはそれらの誘導体あるいはそれらの混合物などから選択され、ソフトセグメント成分としてはポリテトラメチレングリコールやポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコールなどから選択される事が好ましい。不織布にフィルムを張り合わせる場合には、それらの素材は全く同じでも良いし、ハードセグメントとソフトセグメントの比率や分子量が異なっていても問題ない。ブロック共重合ポリエステルは親水性が高い組成の樹脂である場合が多く、吸液性や吸湿性を要求される衣料用途、衛材関連用途などに適していると考えられる。また、サイドバイサイドや偏芯複合繊維などからなる潜在捲縮性繊維を用いた伸縮性不織布であることも好ましい形態の一つである。
特に加工性などの観点から該素材よりなる長繊維不織布を用いると複合伸縮性不織布の破断伸度が100%以上かつ20%伸長回復率が95%以上とすることが可能となり、衣料用や医療などで必要な伸縮性を満たす事が可能となる。
【0014】
本発明の複合伸縮性不織布は繊維径が1〜50ミクロン、目付けが25〜200g/m2のポリエステル系長繊維を主体とする不織布であることが好ましい。繊維径が1ミクロンより細いと不織布が磨耗などにより毛羽立ちやすく、エンボス加工などによる後加工を行ってもそれを改善することが難しくあまり好ましくない。繊維径が50ミクロンより太くなると、本発明が目的とする柔軟性やドライ感あるいはさらさら感を良くすることができず問題である。本発明者の検討の範囲では、繊維径が3〜15ミクロンの間にある事が特に好ましくかった。また、不織布の目付が25g/m2より小さいと不織布強度が低くなったり、ボリューム感が不足したりするという問題を生じやすい。目付けが200g/m2を超えると重量が重いために手の接圧が大きくなるためか、ソフト感やドライ感が失われるためあまり好ましくない。
【0015】
次に、本発明に用いられる伸縮不織布は不連続なエンボス押さえ部を有することが好まし。また、押さえ部の面積率が3〜70%になるようエンボス加工処理がなされていることが好ましい。より好ましくは、エンボス押さえ部面積率が8〜50%の間であり、特に好ましくは15〜40%である。エンボス押さえ面積率が小さいと不織布の形態安定性が悪くなりやすくあまり好ましくない。エンボス押さえ部の面積が小さいほどソフト感がでるため、エンボス押さえ部は不連続であることが好ましい。また、エンボス押さえ部のひとつひとつ島の間隔が1.5mmより間隔が広いと形態安定性が悪くなる傾向がありあまり好ましくない。このましくは、1.2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.8mm以下である。エンボスの形状は、円形、楕円形、ダイヤ柄などいずれでもよく、特に規定されるものではない。また、さらに柔軟性をさらに向上させるために水流交絡加工を行うなどの手段により繊維を不織布の厚み方向に配向させておくことも好ましい。
【0016】
本発明の複合伸縮不織布は、20%伸長後の伸長回復率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。人体や機械などの可動部に接触する素材は、接触する相手である肌などの表層材より高い変形性とその範囲内での高いひずみ回復性を有することが必要である。20%伸長伸長回復率が80%より小さいと繰り返し使用時に、変形に追従できなくなったり、不織布の残留ひずみが大きいために表面が波立ったりするなどの問題点を生じるため問題となる場合がある。
【0017】
本発明の複合伸縮性不織布の片面に融点150〜230℃の間にあるブロック共重合ポリエステルよりなる厚み5〜50ミクロンのフィルム(膜)が押し出しラミネートされていることも特に好ましい形態のひとつである。これにより本発明の複合伸縮性不織布を透湿防水性を有するより機能な不織布とすることが可能となる。ブロック共重合ポリエステルフィルムの融点は押し出しラミの加工性と透湿度に関係し、厚みは透湿度と耐水圧に関係するためこの範囲にあることが好ましい。ソフトセグメント成分が伸縮性の発現に寄与している。この共重合ポリエステルはソフトセグメント部に水分子を吸着させ、アモルファス樹脂層内部を水分子が浸透あるいは拡散していくことより透湿性が得られるものと推定される。例えばソフトセグメントとして、グリコール成分を共重合する量を増やしていくことで透湿度は向上していくが、樹脂自身の強度は低下していく。複合不織布にハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルよりなる厚み5〜50ミクロンのフィルムを押し出しラミネートすることにより、防水性を保ったうえで500〜10000g/m2・24時間の透湿度を無孔フィルム状態で達成することができる。衣料用途で用いる際には、透湿度が2000〜10000g/m2・24時間にあることが特に好ましい。フィルム厚みが50ミクロンより厚いと耐水圧を高くすることが可能であるが透湿性に劣るという問題点を生じやすい。一方、膜厚みが5ミクロンより薄いと、外力がかかって変形したり、水圧がかかったりした際に膜の破壊が生じるために耐水性が低下しやすいのであまり好ましくない。押し出しラミネート加工によりフィルム層を形成する場合に、ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルは、融点150〜230℃の間にあり、MFRが230℃で約30〜300g/10分の間にある樹脂であり、融点より20〜40℃高い温度で加工することが特に好ましかった。ポリエステルの融点および加工時の見掛けの溶融粘度はソフトセグメントの構造と構成比率により決定されるが、発明者の検討の範囲では、耐水圧や透湿度を所望の値に設定するためにはこの温度域にあることが特に好ましかった。加工温度が高いほどフィルムと不織布の接着強度を高くすることが可能となる。しかしながら、温度が高すぎるとフィルムの巾方向およびまたは長手方向での厚みの変動が大きくなり生産が困難となる。
また、MFRが230℃で30〜150g/10分の間にあることが好ましい。押し出しラミネート加工時の膜の厚みや幅方向およびまたは長手方向の変動を小さくするためにはこのMFRにあることが好ましい。MFRが300g/10分より高くなると端部の耳ゆれなどの影響により幅の変動が大きくなりあまり好ましくなく、MFRが小さくなりすぎると膜を本発明の目的とする薄さに成形することが困難であった。また、フィルムと不織布の接着性を良くするために40〜100℃くらいの温度域に不織布を予熱したうえでフィルムと接触させることが好ましかった。また、製膜性を改善するためにポリオレフィンなどを0.1〜5%程度添加して練りこんだポリマーを用いる事も特に好ましい。
【0018】
透湿防水フィルムと本発明の複合伸縮不織布の複合品の特性としては、透湿度が2000〜10000g/m2・24時間、耐水圧が500〜5000mmAqの間にあることが好ましい。透湿度が前記の間にあると、たとえばハウスラップ用途に用いた際に湿度が上がりすぎて結露を生じるという問題がなく,衣料用途など人体と接触する用途では着用時に蒸し暑いなどの問題がなく好ましい。透湿度が10000g/m2・24時間以上でもあまり問題はないが、一般にソフトセグメント成分比率が高くなり紫外線などに対する耐久性、耐候性などが低下しやすいのであまり好ましくない。また、耐水圧が500〜5000mmAqの間にあると雨などが表面に付着しても内部に水が浸入することがない。耐水圧が5000mmAqを超えることはあまり問題ないが、膜がもろくなったり、風合いが硬くなったりする場合が多くなると考えられる。ここで押し出しラミネートとは、Tダイより透湿性の樹脂を不織布とほぼ同じ幅で押し出してフィルム状の膜にして5〜30cmくらいのオフセットで不織布と接触させたのにローラで挟み込んで接着をさせると同時に膜を冷却する手法をいう。本発明で用いる共重合ポリエステルのフィルム層は粘着性が高いためにロールからの剥離性が悪くなり、その結果として工程通過性悪くなる場合がある。そのため、少なくとも膜と接触させるロールはPTFEなど離型性の良い樹脂でコーティングされていること、あるいはマット加工されていることが好ましい。本発明の柔軟は不織布を用いた複合体は、ハウスラップやマルチシートとして用いた場合に、風邪などにより不織布がたなびく際に音が発生するという問題を防止することが可能となる。
【0019】
また、本発明で用いるブロック共重合ポリエステルよりなる不織布およびまたは同樹脂よりなるフィルム層は、結晶構造を安定化させて伸長回復性を改善する目的で100〜180℃の間の温度で1〜120分程度熱処理を行うことも好ましい。これにより引っ張り変形などを受けた際の膜の伸長回復性や形態安定性を改善することが可能である
【0020】
次に本発明を具体的な実施例で説明する。
本発明で使用される測定法は以下のとおりである。
(破断伸度)不織布を5cmx10cmの矩形に切り出し、有効巾5cm、ゲージ長2.5cmで一定クロスヘッド速度10cm/分により破断伸度を測定した。
(残留ひずみ率)JIS L 1096 B2法に準じて、無荷重下での初期標線間距離L0に対して20%伸長後に1分間放置してのち除重して標線間距離L1を測定した。残留ひずみ率を以下の式により測定した。
残留ひずみ率(%)=(L1−L0)÷ L0 × 100
(透湿度)
JIS−L1099の[4.1.1(A−1法)塩化カルシウム使用、φ70mm]により測定した。
(耐水圧)
JIS−L1902の[5.1 B法(高水圧法)]により測定を行った。
(繊維径)
操作型電子顕微鏡により適当な倍率で写真撮影を行い、ランダムに繊維を20〜200程度選んで各繊維の側面間の距離を測定した。撮影倍率より換算して円断面を仮定して繊維径を測定した。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(190℃でのMFR10g/10分、融点180℃)を215℃でスパンボンド法により直径14ミクロン、目付30g/m2の不織布を作成した。作成した不織布を熱エンボス処理により面積率で15%になるように150℃の温度で部分的に接着した。該不織布を繊維径2.2dtex、目付20g/m2のポリプロピレン性スパンボンド不織布2枚の間に挟んで、ニードルパンチ法により、突き刺し密度100箇所/cm2、深さ10mmで一体化した。触感は非常にソフトで良好であった。複合不織布の破断伸度は180%以上であり、かつ20%伸長回復率が98%と良好であった。また、この不織布は超音波ウェルダー法により別のポリプロピレン製スパンボンド不織布に貼り合わせることが可能であった。
【0022】
(実施例2)
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP30B(230℃のMFR25、融点160℃)に無機粒子を0.3%添加した樹脂を215℃でTダイにより押し出し、15cmのオフセットをおいて実施例1の複合伸縮性不織布と接触させて平均20ミクロンの厚みになるようにして張り合わせた。得られた不織布の透湿度3800g/m2・24時間は耐水圧2100mmAqと優れた性能をしめした。積層品の残留ひずみ率は約11%であり特に問題がなかった。フィルム面側はべとつき感があるものの、不織布側は実施例1と同じ触感であり問題がなかった。破断伸度は150%であった。
【0023】
(比較例1)
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(190℃でのMFR10g/10分、融点180℃)を215℃でスパンボンド法により直径14ミクロン、目付30g/m2の不織布を作成した。作成した不織布を熱エンボス処理により面積率で15%になるように150℃の温度で部分的に接着した。複合不織布の破断伸度は290%以上であり、かつ20%伸長回復率が100%と良好であった。伸縮性は非常に良好であるがドライ感や柔軟性、ボリューム感などが不足しており、本発明の目的を達する事はできない。
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート樹脂よりなる直径14ミクロン、目付50g/m2のスパンボンド法不織布を熱エンボス処理により面積率で15%になるように220℃の温度で部分的に接着した。該不織布を繊維10μm、目付20g/m2のポリプロピレン性スパンボンド不織布2枚の間に挟んで、ニードルパンチ法により、突き刺し密度100箇所/cm2、深さ10mmで一体化した。複合不織布の破断伸度は39%であり、かつ20%伸長回復率が48%と伸縮性がなく本発明の目的を達することができず問題であった。
(従来例)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて280℃でスパンボンド法により直径14ミクロン、目付30g/m2の不織布を作成した。破断伸度は20〜30%程度で伸長回復性はなく、風合いも硬いために本発明の目的とする用途には適用できなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、伸縮性に優れ、人が触れたときに柔軟かつ比較的ドライでボリューム感のある肌触りがある不織布を提供することを可能となる。

Claims (5)

  1. ハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステル長繊維を主体とする伸縮性長繊維不織布と非伸縮性長繊維不織布がニードルパンチ法もしくは水流交絡法により一体複合化され、繊維が複合不織布の厚み方向にループを生じてなる破断伸度が50%以上であることを特徴とする複合伸縮性不織布。
  2. 複合伸縮性不織布の破断伸度が100%以上かつ20%伸長回復率が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の複合伸縮性不織布。
  3. 非伸縮性長繊維不織布が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルのいずれかの繊維を主体としてなることを特徴とする請求項1記載の複合伸縮性不織布。
  4. 伸縮性長繊維不織布及び/又は非伸縮性長繊維不織布が、熱エンボス法による繊維接着点を有することを特徴とする請求項1記載の複合伸縮性不織布。
  5. 複合一体化した後に熱収縮処理することを特徴とする請求項1記載の複合伸縮性不織布。
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