JP4219251B2 - 成分濃度測定用電極および濃度測定装置 - Google Patents
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Description
このようなグルコース濃度測定装置として、センサ電極にGODを固定化した反応膜を装着し、このセンサ電極により反応槽内のグルコース濃度を測定するものがある。そして、センサ電極に反応膜を装着する際には、密着性の向上と、装着の際に気泡の混入を防ぐため、緩衝液を反応膜と電極の間に点着している。あるいは、センサ電極への緩衝液などの送液温度を、電極環境温度にあわせて温度調整し、溶存空気の液中空気量を飽和させ、気泡の発生を防いでいる。
また、グルコース濃度の測定装置において、測定精度の安定化や、グルコースオキシダーゼ固定化膜の耐久性を、向上すべく様々な試みがなされている。
例えば、特許文献1に示す技術である。これは、GOD固定化膜の被包膜表面に、ある種の親水性モノマーをグラフト重合させ、反応膜であるGOD固定化膜および被包膜の洗浄性向上を目的としたものである。
電極が設置される環境温度(反応槽の温度)より反応膜を装着する環境温度が低い場合には、液中の溶存空気量の差により、反応槽内において気泡が発生しやすい状態となる。
そして、反応膜に送液される緩衝液の液中溶存空気量が、電極設置環境温度における飽和空気量を超える場合には、気泡が発生し易くなる。
さらに、反応膜に送液される緩衝液の温度を温度高くした場合には、水分の蒸発により緩衝液の濃度が上昇し、測定に影響を与える可能性がある。
また、反応膜は、複数枚の膜を張り合わせて構成されており、この反応膜内に気泡が発生した場合には、膜同士が泡により分離され、反応膜が破壊される可能性がある。
次に該課題を解決するための手段を説明する。
電極反応部における反応が安定し、測定精度の安定化が図れる。さらに、膜体に気泡が接触しにくく、膜体の耐久性を向上でき、濃度測定装置のメンテナンス性を向上できる。
グルコースの濃度測定などの、酵素を利用した濃度測定において、安定した測定を行うことが可能であり、気泡の発生による弊害を抑制できる。
濃度測定装置において、メンテナンス後に測定装置が安定するまでにかかる時間を短くできる。また、測定精度の安定化が図れる。さらに、膜体に気泡が接触しにくく、膜体の耐久性を向上でき、濃度測定装置のメンテナンス性を向上できる。
本発明は、電極に反応膜体を装着し、目的物の濃度測定を行うものであれば良い。本発明の具体的な実施例として、グルコース濃度測定装置を用いて説明する。
図1は、血液検査装置の全体図、図2は血液検査装置の構成を示す模式図である。
本発明の検体吸引管を利用する装置の一例として、血液検査装置を用いて説明する。この血液検査装置は、本体部10と、サンプル供給部11と、ボトルユニット12により構成されており、本体部10には、分析された測定値を出力するプリント部14と、測定値をパネル表示する表示パネル13等が設けられている。
サンプル供給部11には、密封容器である真空採血管40が連続的にセットされている。真空採血管40の内部には検体である血液が入っており、この血液を試料として検体吸引管により採取する。そして、サンプル供給部11において連続的に供給されてくる血液の入った真空採血管40から、真空採血管40の栓体41を貫通して、ノズル駆動部19によりサンプリングを行うものである。
ボトルユニット12の部分には、STD液用ボトル18と洗浄液ボトル15と緩衝液ボトル16と排液ボトル17が配置されている。
そして、精密に一定量を採取された検体が反応槽24に供給され、開閉電磁弁9・26・132の開放により、混合された検体が排出される。
そして、反応槽24において、検体成分の測定が行われる。測定結果は、プリント部14より出力されたり、表示部13に表示されたりするものである。
ポンプシャーシ部20においては、往復動ピストン式のポンプが4基配置されており、緩衝液ポンプ27は、緩衝液ボトル16内の緩衝液を吸引・供給するポンプであり、洗浄液ポンプ28は、洗浄液ボトル15内の洗浄液を、吸引ノズル3に供給するポンプである。また、STD液ポンプ29は、STD液用ボトル18内のSTD液を洗浄槽25の部分に供給するポンプである。廃液ポンプ30は、排液ボトル17内へ、分析終了後の排液を排出するポンプである。
図3はグルコースセンサの反応槽への装着構成を示す図、図4はグルコースセンサの測定原理を示す図である。
グルコースセンサ41は電極42およびグルコースオキシダーゼ固定化酵素膜(以下GOD膜)43により構成されており、反応槽44内のグルコースの測定を行うものである。グルコースセンサ41は、電極42に反応膜体であるGOD膜43を装着した状態で、反応槽44内に挿入される。
反応槽44内に緩衝液を導入し、緩衝液中で試料中の目的物濃度を、電極42の先端の露出部に膜体であるGOD膜43を装着したグルコースセンサ41により濃度測定を行うものである。
電極42は図4に示すごとく、過酸化水素電極である。GOD膜43において、グルコースがグルコン酸に分解される過程で生成される過酸化水を、電極42により測定する。
これにより、反応槽44におけるグルコースの濃度を測定するものである。
電極42に達した過酸化水素に外部電圧をかけると酸化還元反応を起こして、電極42の陽極と陰極の間に電流が流れる。この電流を測定することにより、グルコース濃度を求める構成となっている。
このポリカーボネート膜を通ったグルコースは、GODの働きにより、グルコン酸と過酸化水素とに分解される。
生成した過酸化水素は、セルロースアセテート膜を通って電極に達する。セルロースアセテート膜には5〜6Åの孔があいており、過酸化水素を通し、還元物質による妨害反応の影響を受けることなく、電極に達するものである。
電極に達した過酸化水素に外部電圧をかけると、酸化還元反応を起こして陽極と陰極との間に電流が流れる。そして、陽極での過酸化水素の分解でできた電子の量を測定し、エンド・ポイント法を用いてグルコース濃度を求めるものである。
図5は電極の一部側面断面図である。
電極42はホルダ52に保持された状態で、反応槽44に装着される。電極42は筒体56に挿嵌固定された状態で、ホルダ52内に挿入されている。そして、電極42の後端には、プラグ54・54が導線により接続されている。
電極42の後端とホルダ52の後部内側との間には、スプリング53が配設されており、電極42がホルダ52内において一定量摺動可能に構成されている。GOD膜43のホルダが電極42の先端部に当接した場合には、電極42に後方に摺動するとともに、スプリング53によりGOD膜43側に付勢される。これにより、電極42の先端部をGOD膜43のホルダに当接させた状態で保持し、電極42とGOD膜43との間隔が一定に保たれる。
反応槽44のホルダ52装着部には位置決めピン51用の挿入部が構成されており、この挿入部に位置決めピン51を挿入して、電極42の反応槽42に対する位置決めを行うものである。
なお、電極42には、キャップ55が装着され、輸送および保存されるものである。
図6は電極先端部の構成を示す図、図6(a)は電極の側面図、図6(b)は電極先端部の側面一部断面図、図6(c)は電極先端部の正面図である。
電極42は、図6(a)に示すごとく、後部および中央部の径が先端部Aの径より大きく構成されている。先端部Aの中心には、正面視円形の陽極61が配設されている。陽極61の側周部は絶縁層62により被装されており、絶縁層62の外側は陰極63により被装されるものである。そして陽極61と陰極63とは、絶縁層62により、電極42において絶縁されるものである。
陰極63の外側は硬質樹脂層64により被装されている。電極42は全体がこの硬質樹脂層64により覆われており、先端部Aにおいて陽極61および陰極63が露出した構成となっている。
電極42の先端部は、陽極61および陰極63が露出した部分となっている。そして、電極42の露出面において、陽極61および陰極63により測定が行われる。
溝65は先端部Aの正面において、硬質樹脂層64から陰極63および絶縁層62にかけて設けられている。溝65は正面視楕円形状に構成されており、硬質樹脂層64より陽極61に向けて設けられている。
溝65は電極42の外側において幅を広く、深さを大きくしている。
溝65の形状は、外側より陽極61に向けて見た場合に、底面形状が円弧状に構成されており、溝側部において浅く、溝中央部において深く構成されている。さらに、溝65の延出方向に沿った断面においては、底面は直線的に構成されている。電極42の外側部において溝65は深く、中央部付近において浅く構成されている。
溝65の幅は陽極61の幅と略同一もしくは若干小さく構成されている。
なお、陽極61および陰極63は、絶縁層62より若干前方に突出した構成となっている。
電極42においては、前述のごとく、陽極での反応により酸素が発生する。このため、空気の溶存量の少ない緩衝液を電極部に供給することにより、電極での気泡の発生を抑制することができる。
予め脱気を行い、溶存空気量を少なくした緩衝液を反応槽24に供給することにより、安定した測定を行うことが可能となるものである。
図7は緩衝液の脱気構成を示す模式図、図7(a)は脱気経路の模式図、図7(b)は脱気モジュールの模式図である。
緩衝液の脱気を行う構成は、主に加温部23、脱気モジュール72、エアポンプ73により構成されている。
緩衝液ボトル16内の緩衝液は、加温部23に導入され、緩衝液の温度を37℃にして脱気モジュール72に供給される。脱気モジュール72にはエアポンプ73が接続されており、脱気モジュール72を通る緩衝液に溶存している酸素等が脱気されるものである。
脱気モジュール72を通った緩衝液は、三方弁を解して緩衝液ポンプ27に導入され、さらに緩衝液ポンプ27によりインキュベータを介して反応槽へと供給される。
上述の緩衝液の脱気構成を濃度測定用の反応槽直前に設けるので、溶存空気の少ない緩衝液を反応槽に供給できる。これにより、安定した濃度測定を行うことができる。
脱気モジュール72は、真空チャンバー82およびガス透過性チューブ81により構成されている。ガス透過性チューブ81は、真空チャンバー82内に配設され、ガス透過性チューブ81内に緩衝液が通る構成となっている。
真空チャンバー82には前述のポンプ73が接続され、真空チャンバー82内の減圧を行うものである。これにより、ガス透過性チューブ81内を通る緩衝液が減圧脱気される。
真空チャンバー82に圧力センサ83を接続し、圧力センサ83の値によりポンプ73を制御することも可能である。圧力センサ83により真空チャンバー82内の圧力を認識し、圧力センサ83とポンプ73をコントローラ84に接続する。そして、コントローラ84によりポンプ73の駆動を制御し、真空チャンバー82内の圧力を調節できる。
このため、プレインキュベータ70において、緩衝液を37℃に加熱し、脱気モジュール72に導入する。そして、37℃において脱気を行うことにより、測定条件における酸素の溶存量を減少でき、効率的な脱気を行うことができる。
このように、30℃の飽和空気量以下もしくは酸素量換算で7.5mg/L以下に脱気することにより、安定した測定を行うことが出来るものである。
30℃の飽和空気量以下に脱気した緩衝液を用いることにより、脱気モジュール72にかかる負荷を軽減することができる。そして、緩衝液の供給速度を向上でき、処理時間を短縮することが可能となる。
また、脱気された緩衝液を空気との接触を防ぐ容器に封入し、緩衝液の供給源とすることも可能である。例えば、フレキシブルな容器に、脱気した緩衝液を封入し、この容器より緩衝を取り出すと、緩衝液の減少に伴い容器の容積が減少し、容器内の緩衝液が空気と接触しない。これにより、容器内の緩衝液に酸素等が溶け込むことを防ぎ、酸素の溶存量の少ない緩衝液を安定して供給することができる。
このような緩衝液を濃度測定および洗浄に用いることにより、濃度測定を行う部分において、気泡が発生しにくく、安定した測定を行うことができ、測定精度が安定する。
図8はGOD膜を電極に取り付ける際の手順を示す図である。
GOD膜を電極に取り付ける際には、まず、図8(a)に示すごとく、GOD膜43の表面に脱気した緩衝液を滴下する。そして、図8(b)に示すごとく、電極42の先端部を上方に向けて、先端正面に陽極および陰極が露出した面に、脱気した緩衝液を滴下する。
そして、図8(c)に示すごとく、脱気した緩衝液でぬれたGOD膜43を先端部に脱気した緩衝液が付着した電極42に組み付けるものである。これにより、GOD膜43内および、GOD膜43と電極42間の緩衝液における溶存酸素量を少なくでき、安定した測定を行うことができるものである。
42 電極
43 GOD膜
61 陽極
62 絶縁層
63 陰極
64 硬質樹脂層
65 溝
Claims (3)
- 反応槽内に緩衝液を導入し、緩衝液中で試料中の目的成分濃度を測定するための電極であって、
脱気された緩衝液を電極反応部に点着して、反応膜を電極反応部に装着することを特徴とする成分濃度測定用電極。 - 点着する緩衝液が、30℃の飽和空気量以下に脱気された緩衝液であることを特徴とする請求項1に記載の成分濃度測定用電極。
- 反応槽内に緩衝液を導入し、緩衝液中で試料中の目的成分濃度を請求項1に記載の成分濃度測定用電極で測定する濃度測定装置において、
30℃の飽和空気量以下に脱気された緩衝液を空気との接触を防ぐ容器内に収納し、該容器内の緩衝液を前記反応槽に導入することを特徴とする濃度測定装置。
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