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JP4214646B2 - 発泡フッ素系エラストマーの製造法 - Google Patents

発泡フッ素系エラストマーの製造法 Download PDF

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JP4214646B2 JP2000016923A JP2000016923A JP4214646B2 JP 4214646 B2 JP4214646 B2 JP 4214646B2 JP 2000016923 A JP2000016923 A JP 2000016923A JP 2000016923 A JP2000016923 A JP 2000016923A JP 4214646 B2 JP4214646 B2 JP 4214646B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡フッ素系エラストマーの製造法に関する。更に詳しくは、寸法制御が可能でありしかも賦形性や離型性の点で満足される発泡フッ素系エラストマーの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素系ゴム材料は、それの卓越した耐熱性、耐薬品性等の故に、従来から様々な用途展開がなされている。その反面、比重が重い、コスト高であるなどの欠点もあり、こうした欠点が用途を狭める結果ともなっている。
【0003】
これに対し、フッ素系ゴムの発泡体という材料も検討されており、かかる材料は比重や体積当りのコストを低減することができ、また柔軟性も付与できることから、ユニークな用途展開が期待できる。しかるに、未だ課題も多く、特に発泡に伴う寸法変化から寸法制御が困難であったり、発泡むらがあったりして、安定に発泡させることが困難な場合がしばしばみられる。
【0004】
こうした問題を解決するために、例えば半架橋高発泡ゴムを成形した後、これを型内で架橋する方法などがあるが(特開昭57-25938号公報)、この方法では半架橋状態の制御が困難であり、賦形時の生地の流動性に劣るという欠点がみられる。また、最終架橋温度より低温で予備発泡および予備架橋した後型から取り出し、最終発泡および最終架橋する方法なども知られているが(特開平7-82403号公報)、この方法ではフッ素系ゴムの予備架橋成形品の段階での離型性が十分ではないことが多く、また型から取り出した後最終発泡させるとそこでの寸法変化が大きく、寸法の制御が容易ではない。更に、フッ素系ゴム製品にあっては、一般にあまり多量の充填剤が配合されないため、離型性がしばしば問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、寸法制御が容易でありしかも賦形性や離型性にすぐれ、またコストパーフォマンス性の点でもすぐれた発泡フッ素系エラストマーの製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、フッ素系熱可塑性エラストマーを、それのハード相の軟化温度と同じかそれよりも高くかつ架橋温度よりも低い発泡温度で、発泡剤による発泡および一次賦形を行ない、好ましくは更にこの一次賦形された発泡体を架橋させると共に賦形を完了させて発泡フッ素系エラストマーを製造することによって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるフッ素系熱可塑性エラストマーは、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素単量体の少くとも一種を含むブロック共重合体であり、共重合体中にはエチレン、プロピレン、その他の重合性単量体を含むこともできる。
【0008】
かかるブロック共重合体は、ソフト相およびハード相からなる含フッ素系多元セグメント化重合体であって、ソフト相は一般のフッ素ゴムと同様に前記単量体の中からエラストマーを形成する組合せで用いられ、一方ハード相は樹脂を形成するような組合せで用いられ、ハード相の凝集サイズは下記特許公開公報記載の製造法にみられるように、乳化重合ラテックスの粒子サイズ、一般には約数10〜数100nmオーダーである。
【0009】
これらのフッ素系熱可塑性エラストマーは、一般に分子末端にヨウ素基および/または臭素基を含み、有機過酸化物架橋を可能とするようなものが用いられる。例えば分子末端にヨウ素基を有する含フッ素系多元セグメント化重合体については、特開昭53-3495号公報に記載されており、実際には市販品であるダイキン製品ダイエルサーモプラスチックシリーズのもの等をそのまま用いることができる。
【0010】
フッ素系熱可塑性エラストマーの発泡は、分解温度がフッ素系熱可塑性エラストマーのハード相の軟化温度±30℃、好ましくは±25℃でありかつ架橋温度と同じかそれよりも低い温度の発泡剤を用いて行われる。このような分解温度を有する発泡剤が用いられるのは、ハード相を軟化させて賦形させる際に発泡を起こす必要があり、また架橋する場合にあっては、架橋する前に必ず発泡が起こる必要があるという理由に基いている。発泡剤に加えて、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を添加して、それの発泡温度を調整することもできる。
【0011】
かかる分解温度を有する発泡剤としては、例えば炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等の無機発泡剤またはN,N′-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、N,N′-ジメチル- N,N′-ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン、p-トルエンスルホニルセミカルバジド等の有機発泡剤、好ましくは有機発泡剤が用いられ、これらはマイクロカプセルタイプとして用いることもできる。これらの発泡剤は、その少くとも一種がフッ素系熱可塑性エラストマー100重量部当り約1〜30重量部、好ましくは約3〜20重量部の割合で用いられる。これ以下の使用割合では、発泡が十分に行われず、一方これ以上の割合で用いられると、得られる発泡体の表面平滑性や物性等の製品機能が損われるようになる。
【0012】
このような発泡剤を用いての発泡は、ハード相の軟化温度と同じかそれよりも高くかつ架橋温度よりも低い発泡温度で行われる。なお、ここでいう発泡温度というのは、発泡剤の単純な発泡開始温度ということではなく、発泡剤や発泡助剤が配合されて加熱されるときに、所定時間内に実質的に望むべき発泡が起るための温度である。ハード相の軟化温度以上でなければ熱可塑性エラストマーの軟化はみられず、従って発泡は行われず、また架橋温度よりも低い発泡温度を用いることによって、未架橋の一次賦形が行われる。
【0013】
未架橋で一次賦形された発泡体は、それを更に架橋温度に加熱することにより架橋せしめることができる。架橋は、フッ素系熱可塑性エラストマーの分子末端に結合されているヨウ素基および/または臭素基を利用して、一般的に用いられている有機過酸化物を用いて行われる。この過酸化物架橋の場合には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等の多官能性不飽和化合物が併用されることが好ましい。
【0014】
なお、以上の各成分に加えて、カーボンブラック、シリカ等の補強性充填剤、グラファイト、けいそう土、クレー、タルク、炭酸マグネシウム等の充填剤、更には老化防止剤、受酸剤、滑剤等の各種添加剤が必要に応じて添加された組成物としてフッ素系熱可塑性エラストマーが用いられることは、他のフッ素ゴムの場合と同様である。
【0015】
【作用】
および
【発明の効果】
本発明で発泡体を形成せしめるのに用いられる、ソフト相とハード相との連続構造よりなるフッ素系熱可塑性エラストマーは、それ自体が架橋ゴムと同様の擬似架橋構造を形成しているため、それの賦形時に発泡させれば、未架橋状態でも発泡保持性、形状保持性および離型性が共に良好であり、一次賦形させた発泡体をそのまま製品として利用することができる。更に、一次賦形発泡体を架橋させると、発泡保存性、形状保持性および離型性が一段と良好になるばかりではなく、圧縮永久歪も塑性変形から一定の値を示すようになる。
【0016】
また、本発明で得られる発泡フッ素系エラストマーは、発泡部分の分散性が良好であって発泡むらを生じ難く、その殆んどが独立気泡となる。このように実質的に独立気泡となる原因は明確ではないが、発泡体を得るのに用いられるフッ素系熱可塑性エラストマーでは、ソフト相マトリックス中に平均粒径がサブミクロンオーダーのハード凝集相が分散しているような形態をとっているために、このハード相の分散状態が発泡剤の良好な分散に影響しているものと考えられる。
【0017】
更に、従来技術のように、半架橋状態を利用して発泡→賦形しようとすると、半架橋状態の制御が困難であったり、成形体表面に架橋むらができ易くなったり、あるいは半架橋状態での成形体の取出しが粘着性のあるフッ素ゴムでは困難であったりするが、本発明では熱可塑性フッ素系エラストマーを用いているので、一次発泡体(未架橋状態)を架橋ゴムと同様に取り扱うことができ、そのため未架橋であるにも拘わらず粘着性あまりなく、賦形性および離型性も良好である。
【0018】
このように、この発泡フッ素系エラストマーは、発泡空隙の分散性や制御が容易となるばかりではなく、製品の表面状態や寸法安定性、賦形性、離型性も向上し、しかも熱可塑性エラストマーの特徴として、発泡・一次賦形時に出るバリ部分を再利用できるという利点もみられる。再利用する場合には、新たに発泡剤を追加配合したり、新しい原料にバリ部分等をブレンドして用いることができる。また、発泡体であるので、比重や製品コストを低減することもできる。
【0019】
このような種々の特徴を有する本発明の発泡フッ素系エラストマーは、各種シール製品やホース等に有効に利用される。
【0020】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0021】
実施例1
フッ素系熱可塑性エラストマー 100重量部
(ダイキン製品ダイエルサーモプラスチックT-630;
ハード相の軟化温度約160℃)
MTカーボンブラック 20 〃
アゾジカルボンアミド系発泡剤 6 〃
(永和化成製品FE-788;発泡助剤含有タイプ、
分解温度約140℃)
酸化亜鉛 6 〃
トリアリルイソシアヌレート 6.7 〃
(日本化成製品タイクM-60;60%液状フッ素ゴム
マスターバッチ品)
有機過酸化物 0.5 〃
(日本油脂製品パークミルD)
以上の各配合成分を50℃の10インチオープンロールで混練し、混練物を100×100×2mmの成形型を用い、170℃で2分間プレス成形して発泡シート状に成形した。このようなプレス条件下では、得られたシートは実質的に架橋していないことが生地の流動性によって確認された。
【0022】
実施例2
実施例1において、プレス架橋条件を180℃、5分間に変更すると、得られたシートは実質的に架橋していることが確認された。
【0023】
実施例3
実施例1の方法において出てきたバリ部分を回収し、実施例1の配合物100重量部当り10重量部の割合で混ぜ、これを実施例1で示した条件下で発泡、成形した。得られた発泡シートは、回収物を混ぜても実質的に品質は変っておらず、バリ部分の再利用が可能であることが実証された。
【0024】
実施例4
実施例1において、有機発泡剤として4,4′-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)系発泡剤(永和化成製品S-250、分解温度156℃)4重量部が用いられた。170℃、2分間というプレス条件では、配合物は実質的に(化学)架橋していない。
【0025】
実施例5
実施例1で得られた発泡シートに対し、180℃で5分間の熱処理を施し、化学的な架橋を完結させた。
【0026】
実施例6
実施例1において、トリアリルイソシアヌレートおよび有機過酸化物が配合されなかった。
【0027】
比較例1
実施例1において、有機発泡剤が配合されなかった。
【0028】
比較例2
実施例1において、フッ素系熱可塑性エラストマーの代りに、パーオキサイド架橋系含フッ素エラストマー(日本メクトロン製品RE640)が用いられた。170℃、2分間のプレス成形では、(化学)架橋は殆んど進行しておらず、粘着性のため金型からの離型が困難であった。
【0029】
比較例3
比較例2において、プレス架橋条件を180℃で5分間とし、架橋を完結させると、成形体の表面に肌荒れがみられ、表面状態が良好ではなかった。
【0030】
比較例4
比較例2において、成形条件を175℃、2分間のプレス成形に変更すると、半架橋状態となったが、型への生地粘着が激しく、離型が困難であった。
【0031】
以上の各実施例および比較例1、3で得られた発泡シートについて、平均気泡サイズ(電子顕微鏡で測定)、気泡の分散状態、発泡シートの表面状態、見掛け比重(東洋精機製水中浸漬型自動比重計D-5型)、硬さおよび圧縮永久歪(150℃、70時間、25%)を測定または観察し、次の表に示されるような結果を得た。
Figure 0004214646

Claims (7)

  1. フッ素系熱可塑性エラストマーを、それのハード相の軟化温度と同じかそれよりも高くかつ架橋温度よりも低い発泡温度で、発泡剤による発泡および一次賦形を行なうことを特徴とする発泡フッ素系エラストマーの製造法。
  2. フッ素系熱可塑性エラストマーが分子末端にヨウ素基および/または臭素基を有するフッ素系熱可塑性エラストマーである請求項1記載の発泡フッ素系エラストマーの製造法。
  3. 分解温度がフッ素系熱可塑性エラストマーのハード相の軟化温度±30℃でありかつ架橋温度と同じかそれよりも低い温度の発泡剤が用いられる請求項1記載の発泡フッ素系エラストマーの製造法。
  4. 請求項1記載の一次賦形された発泡体を架橋温度で架橋させると共に賦形を完了させることを特徴とする発泡フッ素系エラストマーの製造法。
  5. 有機過酸化物が架橋剤として用いられる請求項4記載の発泡フッ素系エラストマーの製造法。
  6. 請求項1または4記載の方法で製造されたフッ素系エラストマー発泡体。
  7. 実質的に独立気泡を有する請求項6記載のフッ素系エラストマー発泡体。
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