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JP4209285B2 - 温度検出方法及び温度検出器 - Google Patents

温度検出方法及び温度検出器 Download PDF

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JP4209285B2
JP4209285B2 JP2003288435A JP2003288435A JP4209285B2 JP 4209285 B2 JP4209285 B2 JP 4209285B2 JP 2003288435 A JP2003288435 A JP 2003288435A JP 2003288435 A JP2003288435 A JP 2003288435A JP 4209285 B2 JP4209285 B2 JP 4209285B2
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Description

本発明は、常時または頻繁に温度監視が必要である一方、サーミスタなどの経済的な温度センサを用いて温度を直接計測することが難しい可動被測定物に対して、その温度を経済的かつ正確に測定することができる実用的な温度検出器、温度検出方法及び温度検出プログラムを提供するものである。
可動物体のように温度センサを直接密着させることができない物体の温度を測る最も一般的で単純な方法は、図12に示すように、被測定物121の近傍に配置した温度センサ122を使って被測定物近傍の雰囲気温度を温度計123で測り、この温度を被測定物121の温度とみなす方法である。
温度センサ122として、サーミスタ、熱伝対、測温抵抗体などがよく用いられる。あらかじめ恒温槽などの安定した温度条件下で温度センサ122と被測定物121の温度との対応を校正しておけば、恒温槽内などの静的な環境下において、温度計123が示す温度は被測定物121の実際の温度と良く一致する。
しかし、一般的な環境である温度が常に変化する動的な環境下においては、被測定物121と温度センサ122の温度応答特性の違いにより、被測定物の温度127と温度センサが示す温度128との間に、被測定物121と温度センサ122の温度応答特性の違いに起因した過渡的な誤差129が生じてしまう。この誤差は、特に温度の時間変化が大きい場合に大きく現れる。
この誤差の発生を防ぐための従来の技術として、温度センサ122からの温度に演算処理を施して誤差が無いように被測定物121の温度を算出する方法が提案されている(下記、特許文献1参照)。
下記特許文献1において提案されている方法で用いられる温度の計算式を式(PT1)で示す。
Figure 0004209285
ここで、Δtは測定のサンプリング間隔を表し、Δt=t1−t0である。また、Gobjは被測定物体と周囲の温度差に関する時間的な温度勾配であり、式(PT2)で定義される。
Figure 0004209285
さらに、Xは適当な係数、fはΔtに関する二次多項式、DはGinに関する二次多項式である。なお、Tpreは前回のサンプリング測定時の被測定物の温度であり、Ginは近傍の温度の時間変化率である(特許請求の範囲を参照)。
この演算処理では二次多項式の各係数の値を調整することにより、温度センサで取得した温度を被測定物の温度に近づけることができる。
また、式(PT1)では、Δtが大きい場合、多項式関数が発散的に大きくなって実際の値からかけ離れてしまう場合がある。そこで、従来の温度算出方法では、これを回避するために、GobjとΔtの積がある閾値以上のときは、式(PT1)を用いずに、次の式(PT3)を用いている。
Figure 0004209285
特開2003−4543号公報
上述の温度算出方法では、温度センサ(ハードウェア)には手を加えずに、演算処理(ソフトウェア)を用いて、可動物体である被測定物の温度を算出できるので、設定・調整の自由度が高い。また、温度センサも、非接触温度計測機などの特殊で高価な測定機ではなく、サーミスタなどの安価なものを使えるので経済的である。
ところが、従来の算出方法は、式(PT1)で示したように、二次関数で温度応答を近似している。そのために精度が悪くなるおそれがあった。また、二次関数近似に起因する発散を防ぐために、条件分岐が多く、煩雑となるおそれがあった。さらに、計算精度を上げるための調整用の多項式が多用されており、それらの係数を決定するのに試行錯誤が必要であり、実用性が低くなるおそれもあった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、新しい計算方法を用いて、従来の方法より精度良く、計算も煩雑でなく、かつ、調整用係数の決定も容易な被測定物の温度算出方法及び温度検出プログラムを提供することを目的とする。また、本発明で提案した温度検出方法及びプログラムを用いて、温度変化が頻繁な過渡状況下においても、汎用温度センサを用いて、正確な温度を計測を可能とする温度検出器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の温度検出方法では、被測定物の温度を算出する方法において、従来の方法で用いられている計算式に比べて簡単で効果的な計算式を用いたことを特徴とする。
具体的には、二次関数で近似していた従来の計算方法に対して、より物理現象に即した形で熱応答現象を記述することができる指数関数を用いて、計算の精度を上げると共に、指数関数の効果により、計算値が発散しなくなったので、発散に対応した条件分岐を不要とする。さらに、計算式に含まれる、精度を上げるための調整係数も1つとし、この係数も式で決定できるようにしたので、係数の決定のための試行錯誤を不要とする。この結果、従来と比べて精度が高い、実用的な温度検出が可能となる。
上記課題を解決する第1の発明は、
被測定物の周辺温度を測定するための温度測定手段と、
温度を測定した時刻を測る時刻計測手段と、
今回測定された温度及び時刻の値と記憶していた前回測定された温度及び時刻の値を基 にして被測定物体の温度を算出する演算処理手段と
を備える温度検出器が温度を検出する方法において、
前記温度測定手段が、被測定物の周辺温度Taをサンプリング測定する手順と
前記時刻計測手段が、前記温度測定手段によって前記周辺温度T a が測定された時刻t を計測する手順と、
前記演算手段が、前記温度測定手段および前記時刻計測手段によって回測された温度Ta1及び時刻t1と、前回測された温度Ta0及び時刻t0と、前記演算手段によって前回算出された被測定物の温度Tpreとを使って、下記式(A)で表される演算により、現在の被測定物の温度Tobj算出す手順と
を備えることを特徴とする温度検出方法。
Figure 0004209285
ここで、τは被測定物の温度応答に関する時定数であり、下記式(E)で与えられ、
inは被測定物の周辺温度の時間変化率であり、下記式(B)で与えられ、
γは精度を上げるための調整係数であり、下記式(F)で与えられ、
Δtはサンプリング間隔であり、
τ 1 、τ 2 はそれぞれ温度センサおよび被測定物の温度応答に関する時定数である。
Figure 0004209285
Figure 0004209285
Figure 0004209285
なお、サンプリング測定とは、ある時間間隔Δtをおいて温度を計測することである。さらに、前回の被測定物の温度Tpreには、測定開始直後であって前回温度算出した結果がない場合は、その時の周辺温度などの適当な初期値を与え、それ以外の場合は、前回測定時に上記式(A)を用いて算出された被測定物の温度を与えることとする。
本発明は、可動体などの直接的に温度センサを接触させて温度を測定することが困難な被測定物の温度測定に適用して最適な温度検出方法である。
上記課題を解決する第2の発明は、第1の発明に係る温度検出方法において、前記演算 手段が、前回測定された被測定物の周辺温度Ta0、および、前回算出された被測定物の温度Tpre 、今回測定された被測定物の周辺温度Ta1 との温度差をサンプリング間隔Δt で割った値の絶対値が共に予め設定した基準値G th 以下の場合には、被測定物の温度Tob jを今回測定された周辺温度Ta1と同一とし、それ以外の場合は、前記式(A)で表される演算処理を行うことを特徴とする温度検出方法。
上記課題を解決する第3の発明は、第1又は第2の発明に係る温度検出方法において、被測定物が厚みlの板状物体である場合に、時定数τを下記式(D)で近似することを特徴とする温度検出方法である。
Figure 0004209285
ここで、ρは被測定物の密度、cは被測定物の比熱、hは熱伝達係数である。
上記課題を解決する第の発明は、
被測定物の周辺温度を測定するための温度測定手段と、
温度を測定した時刻を測る時刻計測手段と、
今回測定された温度及び時刻の値と記憶していた前回測定された温度及び時刻の値を基にして被測定物体の温度を算出する演算処理手段と
を備える温度検出器において、
前記温度測定手段が、被測定物の周辺温度T a をサンプリング測定し、
前記時刻計測手段が、前記温度測定手段によって前記周辺温度Taが測定された時刻t を計測し、
前記演算手段が、前記温度測定手段および前記時刻計測手段によって今回測定された温 度T a1 及び時刻t 1 と、前回測定された温度T a0 及び時刻t 0 と、前記演算手段によって前 回算出された被測定物の温度T pre とを使って、下記式(A)で表される演算により、現 在の被測定物の温度T obj を算出する
ことを特徴とする温度検出器。
Figure 0004209285
ここで、τは被測定物の温度応答に関する時定数であり、下記式(E)で与えられ、
in は被測定物の周辺温度の時間変化率であり、下記式(B)で与えられ、
γは精度を上げるための調整係数であり、下記式(F)で与えられ、
Δtはサンプリング間隔であり、
τ 1 、τ 2 はそれぞれ温度センサおよび被測定物の温度応答に関する時定数である。
Figure 0004209285
Figure 0004209285
Figure 0004209285
本発明では、特に激しい温度変化において、温度応答特性が異なるために被測定物と周辺温度の温度に差が生じるような状況においても、温度センサから得られる周辺温度に演算処理を加えることにより、被測定物の温度を正確に測定することができる。
さらに、本発明では、算出式に指数関数を用いたので、温度の測定時間間隔や、周辺温度変化の大小によらずに、算出値が発散することなく得られる。また、周辺温度の変化率、および、被測定物と周辺温度との差から、計算処理により被測定物の温度を求めるか、周辺温度を被測定物の温度とするかを判断するので、不必要な計算を抑えることができる。
また、被測定物が薄い板状の物体に限り、計算式に含まれる被測定物の温度応答に関する時定数を理論式から決定することができるので、実験的に時定数を求める必要がなくなる。
加えて、計算結果をより現実の結果に一致させるための調整用係数が一つなので、いろいろな被測定物や温度センサとの組み合せの際に、両者の温度が一致するように係数を最適化する作業が容易になる。しかも、調整係数の決定式があるので、温度センサと被測定物の時定数から誰でも容易に適当な調整係数を求めることができる。
また、温度検出器に用いる温度センサに対して、温度応答特性を一致させるなどの特別な工夫を施す必要がないため、サーミスタなどの安価な汎用温度センサを用いることができ、経済的な温度検出器を実現することができる。
以下に、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明する。
<実施形態1>
第1及び第6の発明に係る実施形態を、図1を用いて説明する。本実施形態において被測定物の温度Tobjを算出する温度検出方法及びプログラムは、下記式(1)(上記式(A),(A1)と同一)を用いて被測定物の温度を計算することを特徴とする。
Figure 0004209285
ここで、t1は現在の温度を計測する時刻、t0は前回の温度を計測した時刻、Ta1は現在の被測定物の周辺温度、Ta0は前回計測した被測定物の周辺温度、Tpreは前回算出した被測定物の温度である。また、τは被測定物の時間応答に対する時定数、γは調整用係数である。Ginは周辺温度の時間的な変化率であり、下記式(2)で表される。
Figure 0004209285
さらに、前回算出した被測定物の温度Tpreには、測定開始直後であって前回温度算出した結果がない場合は、その時の周辺温度などの適当な初期値を与え、それ以外の場合は、前回測定時に上記式(1)を用いて算出された被測定物の温度を与えることとする。
図1は上記式(1)の導出を示した図である。時間的に連続な温度変化も、微小な時間に分割することで、分割された区間内で時間に比例して変化する直線的な温度変化の集合として考えることができる。
したがって、例えば、時刻tk+5〜tk+6の、ある一つの区間に注目すれば、被測定物の温度の初期値をTpreと置いて、温度のランプ応答(時間に比例して変化する入力の応答)を求めれば、被測定物の温度が分かる。
一般的に物体の温度応答に関する伝達方程式H(s)は下記式(3)で与えられる。
Figure 0004209285
上記式(3)のランプ応答を求めれば、上記式(1)が得られる。ただし、ランプ応答として求められた式にはγは含まれていない(もしくはγ=1であると考えてもよい)。γは、上記式(3)のランプ応答として求めた式を、より現実に近づけられるようにするために、本実施形態で追加した調整用の係数である。
上記式(1)で求められた、ある区間の被測定物の温度Tobjを、次の区間の被測定物の初期温度Tpreに代入することで、サンプリング時間ごとの擬似連続的な被測定物の温度を、温度センサにより得られた被測定物の周辺温度から計算できるようになる。
図2にステップ応答に対する、本実施形態の応答結果、すなわち上記式(1)を用いた計算結果を、理論解と共に示す。同図に示すように、本実施形態の計算方法は、ステップ応答のような急激に変化する入力に対しても理論解と同じ結果となることから、計算精度が高いことがわかる。
<実施形態2>
第2及び第7の発明に係る実施形態を、図3を用いて説明する。本実施形態では、上記第1及び第6の発明に係る実施形態に加えて、被測定物の周辺温度の変化が僅かで、かつ、周辺温度と被測定物の温度との差も僅かな場合、被測定物の温度を周辺温度と同一と見なす処理を施す。
例えば、下記式(4)が成立するとき、すなわち、「被測定物の周辺温度」及び「周辺温度と被測定物の温度との差」の時間的な温度変化率値が、共に、予め設定した傾きの基準値Gthより低いとき、被測定物の温度を周辺温度と同一と見なす。
Figure 0004209285
この処理を加えることで、被測定物の温度が周辺温度と同一になることが明らかな、極僅かでゆっくりとした温度変化に対して、わざわざ上記式(1)を用いて被測定物の温度を計算することがなくなり、不必要な演算を避けることで演算処理器の負荷、および、温度算出処理の演算処理器に対する時間的な占有率を下げることができる。
<実施形態3>
第3及び第8の発明に係る実施形態を、図4を用いて説明する。本実施形態では、前提として図4に示すように、被測定物が板(丸い、四角いは問わない)のような平面形状をしており、かつ、厚みlが数mm以下(ミリオーダーの厚さ)と薄いこと、および、構成素材が単一、もしくは、薄膜を堆積した基板のような、ある一つの素材の全体積に占める割合が90%以上と圧倒的に大きな場合を想定している。
このような場合、被測定物の温度分布は時間的に一様と考えられる。そこで、本実施形態においては、上記式(1)中の時定数を、単一素材、均一温度分布の板材料と仮定した場合の時定数式である下記式(5)で与えることを特徴とする。
Figure 0004209285
ここで、ρは被測定物中の支配的材料の密度、cは被測定物中の支配的材料の比熱、hは熱伝達係数である。本実施形態では、ρ、c、hが既知ならば、時定数を上記式(5)で近似して理論的に決定することができるため、わざわざ時定数を計測する手間を省くことができる。
<実施形態4>
第4及び第9の発明に係る実施形態は、最適な調整係数γを用いる温度算出方法及びプログラムに関するものでる。本実施形態では、上記式(1)中の調整係数γを如何に決定するかという点に特徴を有する。すなわち、本実施形態は、以下に述べる手順により最適な調整係数γを決定し、当該調整係数γを用いて、第1及び第2、第6及び第7の発明を実施することを特徴とする。以下、図5〜7を用いて説明する。
(1)図5に示すように、温度制御炉51の中に被測定物52と温度センサ53を設置して、炉内温度をT0℃にしたまま定常状態にする。このとき、被測定物52と温度センサ53の配置は、実際に第1及び第2の発明を利用して、被測定物52の温度を温度センサ53で監視する時と同じ配置とする。また、被測定物52の温度を測るための、放射温度計などの非接触温度計54も設置する。測定した各温度を、タイマ55が示す測定時刻と共に、記憶できるように記憶手段を有するデータ処理機56も設けておく。
(2)時刻t=t0において、温度制御炉51の温度をΔT℃上げるように制御する。当然、温度制御炉51には大きな熱容量があるので、瞬時にはT0+ΔT℃にならずに、多少の遅れが生じるが、この遅れはγの決定に影響しない。
(3)温度制御の開始と同時に、時刻t=t0を起点として、被測定物52の周辺温度と被測定物52の温度とを数秒以下のサンプリング間隔Δtで測定する。サンプリング間隔は等間隔である必要はなく、図1のようにサンプリング間隔内で温度変化を時間に関する一次関数で近似できる間隔であればよい。
周辺温度(=炉内の温度)は温度センサ53で測定する。被測定物52の温度は、被測定物52を静止させた状態で非接触温度計54などを用いて測定する。例えば、放射温度計などを用いてもよいし、被測定物52が光フィルタのような透明物体であれば、その透過波長を光スペクトルアナライザによって測定し、透過波長の変化から被測定物の温度を求めることもできる。
なお、時定数を求めるための試験データの測定は、この1回のみなので、この計測のために高価な非接触温度計を用いても、安価な汎用温度センサを用いて被測定可動物体の温度を精度良く監視するという本発明の意義は失われない。
(4)温度制御炉51の温度がT0+ΔT℃で定常状態になったら測定を止める。測定結果の一例を図6に示す。この例は、被測定物52を光フィルタとし、周辺温度をT0=25℃からT0+ΔT=40℃まで変えた場合の、周辺温度と被測定物の温度を4〜5秒のサンプリング間隔で測定した結果である。
(5)測定結果の温度を温度変化量ΔT℃(図6の例では15℃)で規格化する。この規格化した結果を図7に示す。ここで規格化するのは、ΔTが異なる場合でも、統一的な手順でγを求められるようにするためである。ただし、時定数さえ分かればγは求められるので、規格化せずにγを求めても差し支えない。
(6)規格化した結果を元に、温度センサが示した周辺温度と被測定物の温度から、それぞれの時定数τ1とτ2を求める。具体的には、図7に示すように、規格化された温度が0.632(=1-exp(-1))に達するまでにかかった時間を時定数とする(図7参照)。
(7)時定数τ1およびτ2、および、サンプリング時間Δtから下記式(6)、(7)を用いて、上記式(1)中のτとγを求める。
Figure 0004209285
Figure 0004209285
図8に、上述の方法を用いて求めたτとγを上記式(1)に代入して被測定物の温度を算出した、本実施形態に関する温度算出方法(プログラム)の結果を、実測した被測定物の温度と共に示す。また、図9に、比較のためγ=1とした計算結果も示した。これらの図から、上述の手順でγを決定したことにより、精度良く周辺温度から被測定物の温度が算出できていることが分かる。
本実施形態では、γの導出の手順が上述のように定まっているので、従来のように試行錯誤して係数を決定することもない。このことは、係数の決定を誰にでも行えることを意味しており、試行錯誤を伴う従来の温度検出方法と比べて、本実施形態は、より実用的な温度算出方法(プログラム)であると言える。
<実施形態5>
図10は、第5ないし第10の発明に係る実施形態を説明する図であり、コンピュータを用いて被測定物の温度を算出する場合のアルゴリズムの流れ図である。
同図に示すアルゴリズムは、温度センサによって計測される現在の周辺温度Tnowとタイマを使って計測する現在の時刻tnow、それにメモリに蓄えられた、前回計測した周辺温度Tbef、前回計測した時の時刻tbef、前回算出された被測定物の温度Tpre、事前に測定した温度センサと被測定物の時定数τ1,τ2を使って、現在の被測定物温度Tobjを算出する。
最初に初期化を行い、後の計算に必要な各変数に初期値を代入する。すなわち、Tnowに温度計から取得した温度を代入し、tnowにタイマから取得した時刻を代入し、TobjにTnow(現在の温度)を初期値として代入し、τ1,τ2に事前に測定した値を代入する。
温度計算は時々刻々行う必要があるため、ループ構造になっている。割り込みなどが起こらなければ、適当な時間間隔Δtで温度計算を繰り返す。ループの開始時には、まず初めにステップ100において、Tnow、Tobj及びtnowの値をそれぞれ前回の測定結果を記憶する変数Tbef、Tpre及びtbefに代入する。
次に、ステップ101において、現在(今回)の温度と時刻を温度計とタイマにより測り、これを現在用の変数Tnowとtnowに代入する。
ステップ102においては、これらの変数を使って、温度計測の時間間隔Δt、周辺温度の時間変化率Gin、周辺温度と被測定物との温度差を時間間隔Δtで割った値Gobjを求める。
ステップ103においては、基準となる傾きGthを判定基準にして条件分岐を行う。ここでは、Gin、Gobjの絶対値が共にGth以下であれば、周辺温度の変化が僅かで、かつ、被測定物の温度応答が追従できるほどゆっくりとした温度変化であるとして、ステップ104において、現在の温度Tnowを物体の温度Tobjに代入する。それ以外の場合は、ステップ105において、始めに調整用係数γを算出し、その結果を用いて被測定物の温度Tobjを算出する。
このステップ104もしくはステップ105において算出された被測定物の温度Tobjが、算出目的の被測定物の温度である。被測定物の温度算出後は、ステップ106において、適当な観測時間間隔をあけた後、再度ステップ100へ戻る。以後、ステップ100からステップ106にわたる処理を、割り込みなどが起こらない限り繰り返す。
<実施形態6>
第5の発明に係る実施形態を、図11を用いて説明する。同図は、本実施形態に係る温度検出器の構成を示した図であり、温度検出器は、温度を感知する温度センサ112と、温度センサ112からの電気信号を温度値に変換する温度計113と、温度を計測した時刻を計るタイマ117と、および取得したデータを基に被測定物111の温度を算出する演算処理器118とからなる。
本実施形態に係る温度検出器は、温度センサ112から得られる、サンプリング測定された被測定物111の周辺温度と、タイマ117で測定された測定時刻とを、演算処理器118に送り、これらの値を基に、演算処理器118が、第1ないし第4の発明に係る演算処理に従って、被測定物111の温度を算出することを特徴とする。
本実施形態の効果としては、温度センサ112の温度応答特性を被測定物111の応答特性に一致させる必要がなくなることや、演算処理器118の処理方法(ソフトウェア)に含まれる時定数パラメータを調整することで、温度検出器の温度応答特性を被測定物111の温度応答特性に容易に合わせることができるという点が挙げられる。
実施形態1を説明する図であり、計算式を導出する際に用いた、連続的な温度変化を微小な時間のランプ温度入力の連続と見なす概念を説明した図である。 実施形態1を説明する図であり、ステップ応答に対する、本発明の計算結果を理論解と共に示した図である。 実施形態2を説明する図であり、周囲温度の変化と周辺温度と被測定物の温度差が決められた範囲内にある場合に、現在の周辺温度を被測定物の温度と見なす条件を説明した図である。 実施形態3を説明する図であり、時定数を式から導出することができる被測定物の条件を説明した図である。 実施形態4を説明する図であり、図6,7と共に、被測定物の温度を計算する式の中に含まれる、計算結果を現実に合わせるための調整係数を決定する手順を説明した図である。本図は、調整係数を決定するために行う試験の装置構成を示した図である。 本図は、試験で得られた周辺温度と被測定物温度の時間経過を説明した図である。 本図は、図6の温度を最大温度変化で規格化したグラフ、および、このグラフから図解的に求められる、周辺温度と被測定物温度の時定数を説明した図である。 実施形態4を説明する図であり、手順を踏んで得られた調整係数の効果を、調整係数を考慮していない場合と比較して示した図である。 γ=1とした計算結果を示す比較図である。 実施形態5を説明する図であり、コンピュータなどの演算処理器を用いて被測定物の温度を算出するアルゴリズムを説明した図である。 実施形態6を説明する図であり、温度検出器の構成を示す。 直接温度センサを密着できない被測定物の温度を検出する従来の温度検出器と、従来の温度検出器の問題を説明した図である。
符号の説明
51 温度制御炉
52,111,121 被測定物
53,112,122 温度センサ
54 非接触温度計
55,117 タイマ
56 データ処理機
113,123 温度計
118 演算処理器
127 被測定物の温度と時間との関係を示すグラフ
128 温度センサが示す温度と時間との関係を示すグラフ
129 温度誤差と時間との関係を示すグラフ

Claims (4)

  1. 被測定物の周辺温度を測定するための温度測定手段と、
    温度を測定した時刻を測る時刻計測手段と、
    今回測定された温度及び時刻の値と記憶していた前回測定された温度及び時刻の値を基 にして被測定物体の温度を算出する演算処理手段と
    を備える温度検出器が温度を検出する方法において、
    前記温度測定手段が、被測定物の周辺温度Taをサンプリング測定する手順と
    前記時刻計測手段が、前記温度測定手段によって前記周辺温度T a が測定された時刻t を計測する手順と、
    前記演算手段が、前記温度測定手段および前記時刻計測手段によって回測された温度Ta1及び時刻t1と、前回測された温度Ta0及び時刻t0と、前記演算手段によって前回算出された被測定物の温度Tpreとを使って、下記式(A)で表される演算により、現在の被測定物の温度Tobj算出す手順と
    を備えることを特徴とする温度検出方法。
    Figure 0004209285
    ここで、τは被測定物の温度応答に関する時定数であり、下記式(E)で与えられ、
    in は被測定物の周辺温度の時間変化率であり、下記式(B)で与えられ
    γは精度を上げるための調整係数であり、下記式(F)で与えられ
    Δtはサンプリング間隔であり、
    τ 1 、τ 2 はそれぞれ温度センサおよび被測定物の温度応答に関する時定数である。
    Figure 0004209285
    Figure 0004209285
    Figure 0004209285
  2. 請求項1に記載する温度検出方法において、
    前記演算手段が、
    前回測定された被測定物の周辺温度Ta0、および、前回算出された被測定物の温度Tpr e 、今回測定された被測定物の周辺温度Ta1 との温度差をサンプリング間隔Δtで割っ た値の絶対値が共に予め設定した基準値G th 以下の場合には、被測定物の温度Tobjを今回測定された周辺温度Ta1と同一とし、
    それ以外の場合は、前記式(A)で表される演算処理を行う
    ことを特徴とする温度検出方法。
  3. 請求項1又は2に記載する温度検出方法において、
    被測定物が厚みlの板状物体である場合に、時定数τを下記式(D)で近似する
    ことを特徴とする温度検出方法。
    Figure 0004209285
    ここで、ρは被測定物の密度、cは被測定物の比熱、hは熱伝達係数である。
  4. 被測定物の周辺温度を測定するための温度測定手段と、
    温度を測定した時刻を測る時刻計測手段と、
    今回測定された温度及び時刻の値と記憶していた前回測定された温度及び時刻の値を基にして被測定物体の温度を算出する演算処理手段と
    を備える温度検出器において、
    前記温度測定手段が、被測定物の周辺温度T a をサンプリング測定し、
    前記時刻計測手段が、前記温度測定手段によって前記周辺温度Taが測定された時刻t を計測し、
    前記演算手段が、前記温度測定手段および前記時刻計測手段によって今回測定された温 度T a1 及び時刻t 1 と、前回測定された温度T a0 及び時刻t 0 と、前記演算手段によって前 回算出された被測定物の温度T pre とを使って、下記式(A)で表される演算により、現 在の被測定物の温度T obj を算出する
    ことを特徴とする温度検出器。
    Figure 0004209285
    ここで、τは被測定物の温度応答に関する時定数であり、下記式(E)で与えられ、
    in は被測定物の周辺温度の時間変化率であり、下記式(B)で与えられ、
    γは精度を上げるための調整係数であり、下記式(F)で与えられ、
    Δtはサンプリング間隔であり、
    τ 1 、τ 2 はそれぞれ温度センサおよび被測定物の温度応答に関する時定数である。
    Figure 0004209285
    Figure 0004209285
    Figure 0004209285
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