JP4200470B2 - 水中のアルコ−ル類を高純度で回収する分離濃縮方法及びそのシステム - Google Patents
水中のアルコ−ル類を高純度で回収する分離濃縮方法及びそのシステム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中のアルコール類の分離濃縮に係り、特に水中のアルコール類を高濃度で回収する分離濃縮方法及びそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体等の洗浄に使用されてきたトリクロロエタン、フロン等の塩素系及びフロン系の溶剤は、オゾン層破壊の問題からモントリオール議定書締結により使用ができなくなった。フロンの代替えとして、水・油分との溶解性に優れたアルコール系洗浄剤も使用されるようになってきた。しかしながら、アルコール系洗浄剤は、水との分離が困難なことが問題となっている。
【0003】
洗浄剤をリサイクルして再利用するという技術は、従来日本ではコストダウン面での取り組みが主体となっていた。然し、大気中に有害物質を放出させないという、廃棄物ゼロミッションの国際的な環境管理システムの中で、このリサイクル・システムは一層社会的ニ−ズの高い問題となってきた。
【0004】
そのため、洗浄剤としてアルコール類を使用する場合、そのベーパーを大気中に放出させないようにするため、活性炭等の吸着剤で回収する溶剤回収工程が必要となる。然しアルコール類は、水と接触すれば無限に溶けるので、水とアルコール類の混合液が抽出されることになる。
【0005】
そこで、蒸留再生するための蒸留工程が必要となる。しかし、この蒸留工程上がりのアルコール類の純度は、せいぜい94%止まりであって、これ以上の高純度は期待することはむつかしい。然し洗浄剤としての新液の規格は、一般に99.6%程度以上の純度が要求されるので、このままではリサイクルして使用することはできない。
【0006】
従ってここで考えられる方式は、精密蒸留工程が一般的である。この精密蒸留の装置とは、約20m程度の高さの塔を、何段か付設して蒸留を繰り返す方式である。そこで先程の94%を、99.5%の純度にするための理論計算を試みると、何と約50段の精密蒸留塔で、8000万円近くの設備費が必要となり、従来これが大きな障害となっていた。
【0007】
水中の揮発性物質を分離濃縮する方法と設備に関する先行技術としては、特開平9−131582号公報がある。然し特開平9−131582号公報は、本発明が目的としている高純度回収の技術に関する開示は、全くなされていないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の事情に鑑み、本発明は精密蒸留塔に代わる安価な装置での新たな工程を組込み、水中のアルコール類を高純度で回収しうる分離濃縮方法とそのシステムの提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成するために、アルコール類を洗浄剤とする半導体の洗浄工程で使用する蒸気洗浄に使用されるアルコール類を回収する分離濃縮方法において、ラインから排出されるアルコール類の不凝縮ガスを、冷却水の熱交換器によってコンデンサで凝縮する凝縮工程(Aゾーン)と、前記コンデンサで凝縮できなかった不凝縮ガスを吸着剤吸着塔でアルコール類と水とを吸着するアルコール類回収工程(Bゾーン)と、前記吸着塔から吸着剤を脱着し、脱着されたガスを冷却しアルコール含有溶液を恒温曝気装置に送り、アルコール類成分と殆ど水からなる成分に分留する恒温曝気工程(Cゾーン)と、前記凝縮工程(Aゾーン)で回収されたアルコール類と前記恒温曝気工程(Cゾーン)で回収されたアルコール類を蒸留装置に送り、アルコール類と排水に分留する蒸留工程(Dゾーン)と、前記蒸留工程(Dゾーン)で凝縮されたアルコール類内の水分を脱水剤で脱水し、99.5%の無水アルコールにする脱水精製工程(Eゾーン)とからなるアルコール類を高純度で回収する分離濃縮方法を構成するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の水中のアルコール類を高濃度で回収する分離濃縮方法及びそのシステムを以下図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のフローの一実施例を示す全体の構成図である。なお本発明でいうアルコール類とは、蒸気洗浄に使用されているイソプロピルアルコールやアセトン等のことである。
【0012】
Aゾーンは、不凝縮ガスを液化させる凝縮コンデンサ装置からなる、凝縮工程である。ライン1から排出されるアルコール類の不凝縮ガスは、ドレ−ンタンク2に蓄積され、従来は圧力を掛けて、煙突パイプ3から大気中に局所排気していたものを回収してリサイクルする必要があるため、既設ドレンタンク2で回収しきれない不凝縮ガスを、冷却水6の熱交換器4によってコンデンサ5で液化凝縮するものである。
【0013】
Bゾーンは、活性炭からなる吸着剤によって溶剤を回収する溶剤回収装置からなる溶剤回収工程であり、吸着ブロア7を経て粒状活性炭を装備した吸着塔8a,8bにおいて、凝縮コンデンサ5で凝縮しきれない不凝縮ガス等を、この回収装置で回収するものである。この回収が、凝縮コンデンサ5の不凝縮ガス等としたのは、これ以外のガス回収も兼用するものだからであり、この点については後述する。なお吸着剤としては、活性炭が一般的であるが、これ以外にも活性アルミナやシリカゲルを使用することができる。
【0014】
またBゾーンの排水9へは、スチーム11の凝縮ドレンが流れ、排気ダクト13のドレンは排水タンク10に回収される。12はコンデンサである。排気ダクト13を流れるのは、吸着塔8a,8bにおいてアルコール類を吸着処理された清浄空気14と、吸着塔8a,8bを乾燥ブロア16で乾燥冷却するときに流れる屋外空気15である。17は計装エア−を示し、各吸着塔8a,8bに付設している弁を動かすためのもので、制御ユニット18はその制御する電磁ソレノイド弁からなる。
【0015】
Cゾーンは、アルコール類等を加温し蒸発させ蒸留して水とアルコール類を分離する恒温曝気装置からなる恒温曝気工程であり、第一恒温曝気槽19aと第二恒温曝気槽19bとからなっている。溶剤回収装置Bの初期脱着工程から出てくる液体は、アルコール類の高濃度溶液であるから、これを第一恒温曝気槽19aで高濃度アルコール類ガスとした後、コンデンサ12で液化凝縮させる。また殆どが水分である脱着液は、第二恒温曝気槽19bに切り替え入液され、希薄ガスは前述の回収装置Bで回収され、水は微量の有機排水となり、排水9の処理施設(図示せず)に送られる。
【0016】
Dゾーンは、蒸留再生する単蒸留装置からなる蒸留工程である。蒸留装置は蒸留缶20a,20bとコンデンサ21a,21bと蒸留液タンク22とからなり、凝縮コンデンサ装置Aで液化回収されたアルコール類は、数%の有機不純物を含むので、スチーム24を循環して蒸留缶20a,20bで蒸留し、チラ−水23で冷却して再生する。そして再生アルコールは、次工程に、また蒸留缶残液は既存の排水処理施設(図示せず)送るようにする。25はスチームドレンである。なお蒸留装置Dのガス抜きは、前述の回収装置Bで回収される。本工程上がりのアルコール類の濃度は、せいぜい94%止まりである。
【0017】
Eゾーンは、精密蒸留工程に代わる、本発明のアルコール類内の水分を脱水して高純度に回収する脱水精製装置からなる脱水精製工程である。即ち、精製塔26a,26bの中には、ゼオライトからなる脱水剤27a,27bを充填している。この際、精製塔のバージンガスは、前述の回収装置Bで回収される。単蒸留装置Dで精製されたアルコール類の中には、数%の水分を含んでいたが、本設備によって脱水精製すると、99.5%近くの高純度で回収することができるので、これは新液として再利用することができる。28は精製溶剤タンクで、29は精製回収された溶剤の出口を示している。
【0018】
ここで、窒素ガス30を再生循環ブロア−30によってオイルバス式のヒータ31を経て精製塔26a,26bに供給する。窒素はパージする出口33から排出される。34は常温パージ用の出口を示している。このように精製塔26a,26bの内部に充填している脱水剤27a,27bは、ランニングコストを軽減させるため、窒素ガスによつて自動再生処理をしている。脱水剤27a,27bとしては、シリカ/アルミナの比が100以上であるゼオライトも好ましい。然しゼオライト以外にも、コージライト、アルミナ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、セビオライト、ゼオライト−セビオライト混合物等の無機質担体が利用できる。但し、通し方のスピードを加減する必要があるが、耐熱性接着剤で繰り返しの再生に耐えうる脱水剤27a,27bを選択する必要がある。
【0019】
本発明の方法とシステムによると、曝気排水中のアルコール類濃度も、1%以下に保つことができた。本発明は、主としてアルコール類に適用されるものではあるが、アルコール類以外の例えば、塩化水素、アンモニア、有機塩素化合物、多くの有機溶剤等の各種揮発性物質に対する、分離濃縮にも適用することができる応用範囲の広い有用なものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明の方法とシステムによると、水の中に溶けているアルコール類を、分離濃縮して回収することができる。
【0021】
本発明の方法とシステムによって回収されるアルコール類は、新液として使用しうる高純度のものが得られる。
【0022】
本発明の方法によるシステムは安価であり、また脱水剤も再生して使用を繰り返すようにしたので、ランニングコストも安価なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロ−の一実施例を示す全体の構成図である。
【符号の説明】
1a 既設工場のライン
1b 既設工場のライン
2 ドレンタンク
3 煙突パイプ
4 熱交換器
5 コンデンサ
6 冷却水
7 吸着ブロア
8a 吸着塔
8b 吸着塔
9 排水
10 排水タンク
11 スチーム
12 コンデンサ
13 排気ダクト
14 清浄空気
15 野外空気
16 乾燥ブロア
17 計装エア
18 制御ユニット
19a 第一恒温曝気槽
19b 第二恒温曝気槽
20a 蒸留缶
20b 蒸留缶
21a コンデンサ
21b コンデンサ
22 蒸留液タンク
23 チラー水
24 スチーム
25 スチームドレン
26a 精製塔
26b 精製塔
27a ゼオライトからなる脱水剤
27b ゼオライトからなる脱水剤
28 精製溶剤タンク
29 精製回収溶剤
30 窒素ガス
31 ヒータ
32 再生循環ブロア
33 窒素パージ用出口
34 常温パージ用出口
A 凝縮コンデンサ装置からなる凝縮工程
B 溶剤回収装置からなる溶剤回収工程
C 恒温曝気装置からなる恒温曝気工程
D 単蒸留装置からなる単蒸留工程
E 脱水精製装置からなる脱水精製工程
Claims (1)
- アルコール類を洗浄剤とする半導体の洗浄工程で使用する蒸気洗浄に使用されるアルコール類を回収する分離濃縮方法において、ラインから排出されるアルコール類の不凝縮ガスを、冷却水の熱交換器によってコンデンサで凝縮する凝縮工程(Aゾーン)と、前記コンデンサで凝縮できなかった不凝縮ガスを吸着剤吸着塔でアルコール類と水とを吸着するアルコール類回収工程(Bゾーン)と、前記吸着塔から吸着剤を脱着し、脱着されたガスを冷却しアルコール含有溶液を恒温曝気装置に送り、アルコール類成分と殆ど水からなる成分に分留する恒温曝気工程(Cゾーン)と、前記凝縮工程(Aゾーン)で回収されたアルコール類と前記恒温曝気工程(Cゾーン)で回収されたアルコール類を蒸留装置に送り、アルコール類と排水に分留する蒸留工程(Dゾーン)と、前記蒸留工程(Dゾーン)で凝縮されたアルコール類内の水分を脱水剤で脱水し、99.5%の無水アルコールにする脱水精製工程(Eゾーン)とからなるアルコール類を高純度で回収する分離濃縮方法。
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JP16915998A JP4200470B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 水中のアルコ−ル類を高純度で回収する分離濃縮方法及びそのシステム |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11349502A JPH11349502A (ja) | 1999-12-21 |
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1998
- 1998-06-03 JP JP16915998A patent/JP4200470B2/ja not_active Expired - Fee Related
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