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JP4298663B2 - マーセル化パルプの製造方法およびこれを含有した嵩高紙 - Google Patents

マーセル化パルプの製造方法およびこれを含有した嵩高紙 Download PDF

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Description

本発明はマーセル化パルプの製造方法と嵩高紙に関するものであり、具体的には、平滑度が高いことが要求される紙の原料パルプに適した嵩高なマーセル化パルプの製造方法と、該パルプを含有した、嵩高であり、かつ平滑性に優れた紙に関するものである。
環境保護気運の高まりに伴い、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する上でも紙の軽量化は避けられない問題であり、紙への品質要求として軽量化は大きな流れとなってきている。ここで、紙の軽量化とは、紙の厚さは維持した上での軽量化、すなわち低密度(嵩高)な紙のことである。
まず、紙の低密度化(嵩高化)の方法として、紙の主原料である製紙用パルプの検討が上げられる。一般的に製紙用パルプには木材パルプが使用されている。低密度化のためのパルプとしては、化学薬品により繊維中の補強材料であるリグニンを抽出した化学パルプより、薬品は使用せずグラインダーで木材を磨り潰す砕木パルプやリファイナーで木材を解繊して得られるサーモメカニカルパルプのような機械パルプの方が剛直な繊維が得られ、低密度化には効果的であり、特に砕木パルプは低密度化への寄与が大きい。しかしながら、砕木パルプは機械パルプであり、上質紙への配合は規格上問題があり、また、配合したことによって紙質、例えば、経時による退色などの品質上でも問題があり、配合することは出来ない。同様にサーモメカニカルパルプの上質紙への配合も問題である。
上質紙の場合、パルプ面では化学パルプのみの配合となるが、原料樹種により紙の密度は大きく影響を受ける。すなわち、木材繊維自体が粗大な方が低密度化は可能である。上質紙には主に広葉樹材パルプが配合されているが、広葉樹材で比較的低密度化が可能な樹種としてはガムウッド、メープル、バーチなどが上げられる。しかしながら、現在の環境保護気運が高まる中では、これら樹種のみを特定して集荷し、パルプ化することは困難である。
一方、中質紙あるいは下級紙においては機械パルプを配合するため。通常、上質紙より低密度な紙となる。しかし、このような剛直な繊維の配合により、機械パルプに多く含まれる結束繊維が印刷時にとられる、いわゆる紙ムケや、強度低下をもたらすことになる。さらに漂白化学パルプより通常白色度の低い機械パルプの増配は紙の白色度を低下させるので、その配合量は制限される。また、近年の環境保護気運の高まりや、資源保護の必要性から古紙パルプの配合増が求められている。古紙パルプは上質紙、新聞紙、雑誌、チラシ、塗工紙等品種に応じて明確に分類してパルプ化される場合は少なく、混合されたままパルプ化されるため、パルプの性質としてバージンの機械パルプより密度は高くなる傾向がある。この理由として古紙パルプの繊維分は化学パルプ、機械パルプの混合物であることが挙げられる。また、紙中に含まれる填料分あるいは塗工紙の塗工層の顔料分として一般的に使用されるタルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウムはパルプに比較して密度が高いので、その配合により密度が高くなる傾向がある。従って、古紙パルプの配合率の増加は用紙密度を高くする傾向がある。以上のようにパルプ面のみから十分な用紙の低密度化を達成することは、木材資源の状況、用紙の品質設計を考えた場合非常に困難である。
また、通常、製紙用パルプは叩解処理によって繊維を柔軟にし、フィブリル化するが、叩解処理によって嵩は低下する傾向であるので、出来るだけ行なわないことが嵩高化のためには望ましい。しかしながら、叩解処理が不十分であると強度が低下してしまう。
紙抄造時における低密度化の方法としては、抄造時にプレス工程で出来るだけプレス圧を低くすること、また、紙の表面に平滑性を付与するために行われるカレンダー処理は行なわないことが挙げられる。さらに、印刷時の紙の表面強度を付与する目的で行われる澱粉等の水溶性高分子の表面塗工は出来る限り低塗布量にすることが望ましい。
このような原料パルプ、抄造時の工夫の他に、紙に対してパルプに次いで多く配合される填料の検討も行われている。例えば、填料分として中空の合成有機物のカプセルを配合することにより低密度化を達成する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、抄造機のドライヤー部の熱にて膨張することにより、嵩高化を達成する合成有機発泡性填料(例えば商品名:EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)も提案されている。しかしながら、これらの合成有機発泡性填料を用いる方法では抄紙時の乾燥条件設定が難しい上、表面強度が弱く、印刷光沢度も低下するなどの問題がある。また、シラスバルーンを用いる方法(特許文献2参照)が提案されているが、製紙用パルプとの混合性が悪く、また、その配合された用紙も印刷ムラが発生するなどの問題がある。
さらに、これらの方法では紙厚が増加するが、紙厚が増加するに従い、紙のこわさは指数的に上昇するため紙の柔軟性は改善されないので、風合い、手触り、めくりやすさは不十分であった。
最近、紙の嵩高剤として、高級アルコールのエチレン及び/またはプロピレンオキサイド付加物(特許文献3参照)、多価アルコール型非イオン界面活性化剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物(特許文献4参照)、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物(特許文献5参照)、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、あるいは脂肪酸ポリアミドアミンなどが報告されている。しかしながら、これらの嵩高剤は嵩高効果に限界があり、紙力の低下が著しい。
本発明に近い従来技術として、通常のマーセル化パルプやこれを配合した紙に関して、多くの文献が開示されている。マーセル化パルプとは、クラフトパルプやサルファイトパルプを強アルカリ溶液に浸漬処理した後、残留アルカリを除去するために十分に水洗して得られるパルプである。このようなマーセル化パルプは、パルプセルロース中のヘミセルロース等が溶出し、短繊維強度が増加することや極めて剛直になることが知られており、また、セルロース中の水酸基のほとんどがアルカリ処理によりアルカリ金属で置換されるためパルプ繊維間の水素結合がしにくくなる結果、マーセルパルプを使用した紙は嵩高な低密度の紙となる。
従来の製造方法で得られるマーセル化パルプは、クラフトパルプやサルファイトパルプなどの原料パルプをそのまま強アルカリ溶液で処理して得られるものであるため、パルプ繊維の形状が大きい。このマーセル化パルプを紙の原料パルプとして使用する従来技術は、未叩解の状態で使用する方法と、リファイナーなどの叩解機を用いて叩解した後、使用する方法に大別できる。未叩解の状態で使用する技術としては、採便用便受けシート(特許文献6参照)、自販機用コーヒー濾紙(特許文献7参照)、電気掃除機集塵袋用濾紙(特許文献8参照)、清掃用シート(特許文献9参照)などが挙げられるが、いずれも紙表面の平滑性が要求されない特殊な紙の用途である。叩解処理後のマーセル化パルプを使用する技術には、2通りがあり、マーセル化パルプを単独叩解する方法と、マーセル化パルプと他の種類のパルプとを混合叩解する方法である。単独叩解したマーセル化パルプを使用する技術としては、例えば、インクジュット記録用紙(特許文献10参照)が挙げられるが、完全マーセル化パルプは叩解抵抗が極めて高いため、短時間で所定の濾水度まで叩解することが困難であり、また多大なエネルギーを必要とする問題がある。混合叩解したマーセル化パルプを使用する技術としては、例えば、インクジエット記録用紙(特許文献11参照)が挙げられるが、叩解抵抗が大きいマーセル化パルプの叩解が進まず、叩解抵抗が低い他のパルプの叩解が進行する結果、高平滑度の紙が得られないという問題がある。
特開平5-339898号公報 特公昭52-39924号公報 WO98/03730号公報 特開平11-200284号公報 特開平11-350380号公報 特開2004-150911号公報 特開平6-277148号公報 特開平5-7714号公報 特開平4-194095号公報 特開2001-232931号公報 特開2002-67485公報
本発明が解決しようとする課題は、第1には、製紙用原料として使用した場合、紙の平滑性を損なうことなく嵩高性を付与できるマーセル化パルプの製造方法の提供にあり、第2には、該マーセル化パルプを含有する嵩高(低密度)であり、かつ平滑性に優れる嵩高紙の提供にある。
第1の課題は、広葉樹の化学パルプを、濃度9重量%以上50重量%以下のアルカリ性の水溶液中で、混練機を用いて機械的に撹拌処理することによって、マーセル化し、かつ、平均繊維長を0.5mm以下とすることにより解決できる。第2の課題は、該マーセル化パルプを全パルプに対して10重量%以上50重量%以下の範囲で配合した紙料を抄紙することにより解決できる。なお、本発明は、広葉樹の化学パルプに濃度9重量%以上50重量%以下のアルカリ性の水溶液を加えた後、混練機に装填する態様と、広葉樹の化学パルプを混練機に装填した後、当該混練機に当該アルカリ性の水溶液を加える態様を含む。
本発明のマーセル化パルプの製造方法により、紙の平滑性を損なうことが少ないマーセル化パルプを容易に製造できる。また、本発明の嵩高紙により、平滑性が高く、かつ嵩高の紙を提供できる。
本発明のマーセル化パルプの製造方法について説明する。マーセル化パルプの原料パルプの材種は広葉樹であり、針葉樹では平滑性が悪化してしまう。広葉樹パルプとしては、亜硫酸塩パルプ化法(サルファイト法、SP法)または硫酸塩パルプ化法(クラフト法、KP法)で製造される化学パルプ、あるいはSPやKPを更に化学的精製を行い、α−セルロース含有量を高めた溶解パルプ(DP)を使用することが好ましい。
マーセル化反応時の広葉樹パルプの濃度は5〜25固形分重量%の範囲である。
広葉樹パルプのマーセル化処理は、広葉樹パルプをアルカリ水溶液に浸漬して行うことができる他、噴霧等によりアルカリ水溶液を含浸させることによって行うこともできる。アルカリ水溶液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物あるいは炭酸塩等のアルカリ水溶液を使用することが好ましい。マーセル化を進めるとパルプセルロースは著しく膨潤し、セルロースの結晶構造もセルロースIからアルカリセルロースI、そして更により安定的な結晶形であるアルカリセルロースIIへと変化する。このアルカリセルロースI及びIIは、洗浄・乾燥されることによってセルロースIIに変化する。また、セルロースIIは吸着性が増し、種々の試薬に対して反応しやすくなると言われている。本発明においては、十分な嵩高性を付与する上で、原料パルプ中のセルロースIIの含有量が50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%となるように、一連の処理を行うことが好ましい。マーセル化処理は公知の方法によって行えば良く、通常は、パルプをアルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分〜24時間程度処理すれば良い。
セルロースIIの含有量は次式により算出される。
セルロースII含有量(%)=(I−II)/(III−II)×100
上記式中、IIは原料パルプ(セルロースI含有量100重量%)の2θ=19.8゜におけるバックグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度、IIIは完全にマーセル化処理した試料(セルロースII含有量100%)の2θ=19.8゜におけるバックグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である。また、Iは測定しようとする試料の2θ=19.8゜における結晶性干渉強度である(北海道大学工学部研究報告No.75、p125)。水酸化ナトリウムを例に取ると、嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量を50〜100重量%とするために必要なアルカリ水溶液の濃度は9重量%以上50重量%以下であり、好ましくは12〜25重量%である。なお、マーセル化処理がアルカリ水溶液の濃度が9重量%以上25重量%以下の場合には10〜40℃で行うことが好ましい。
混練機内で広葉樹パルプとアルカリ溶液を混練し、マーセル化および短繊維化の処理を行う時間は30分間〜5時間の範囲である。
パルプを処理した後のアルカリ水溶液は、必要に応じて濾過や遠心分離などによってパルプから分離し、再使用することができる。本発明においては、アルカリ水溶液によるマーセル化処理によって多量のアルカリ分が残存するので、水や酸水溶液による洗浄によってアルカリ分を除くことが好ましい。酸水溶液は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸の鉱酸又はこれらの酸性塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩を水に溶解して調製される。
また、マーセル化処理の際に、アルカリ水溶液を繊維に十分に浸透させること、および繊維長を短くする目的で、混練機を用いて機械的な撹拌処理を行う。この処理により、紙の原料パルプとして使用した場合、嵩高効果が高く且つ平滑性に優れた、マーセル化パルプが得られる。このマーセル化パルプの画像解析法による平均繊維長は0.5mm以下であり、それよりも長いと十分な平滑性が得られなくなる。
本発明のマーセル化パルプの製造方法で用いる混練機は、マーセル化反応時のパルプ懸濁アルカリ液を十分に撹拌・混合でき、更にパルプ繊維長を短くできるものであれば良く、公知の装置から選定して用いることができる。具体的には、ブレード型混練機(高粘度用混練機、横軸混練機、縦軸混練機、横軸高速混練機、縦軸高速混練機)やロール型混練機が好ましく用いられる。この中でも、各種のニーダ型混練機が更に好ましく用いられる。
本発明のマーセル化パルプの製造方法は、パルプのマーセル化と短繊維化を同時に行うことに特徴があり、パルプをマーセル化した後、叩解機を用いてマーセル化パルプを叩解するという従来技術に比較して、処理工程を短略化できると同時に、短繊維化を容易に行うことができる。
本発明の嵩高紙について説明する。本発明の嵩高紙において前記のマーセル化パルプの配合量は全パルプ成分に対して10固形分重量%以上50固形分重量%以下であり、好ましくは20固形分重量%以上30固形分重量%以下である。配合量が10固形分重量%未満であると嵩高化の効果が不十分であり、50固形分重量%を越えると強度の低下が大きくなってしまう。
本発明のマーセル化パルプの製造方法により製造されるマーセル化パルプを含む紙料を抄造して得られる紙は、十分な嵩高性を有するものの、マーセル化パルプ繊維の表面が疎水化され、パルプ繊維間結合が形成しにくく、紙力が低下する傾向がある。よって、本発明の嵩高紙においては、紙力を向上させるために、紙力増強剤を含有させることが望ましい。紙力増強剤としては、澱粉、加工澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、尿素・ホルマリン系樹脂、メラミン・ホルマリン系樹脂、ポリエチレンイミンなどが例示される。紙力増強剤の含有量としては、パルプ絶乾重量当たり0.1重量%以上2重量%以下が好ましい。
本発明の嵩高紙は、前記のマーセル化パルプの製造方法で製造される短繊維化したマーセル化パルプ以外に、原料パルプとして、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP)等化学パルプ、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ、脱墨パルプ(DIP)を単独または2種以上のパルプを任意の割合で混合して使用する。
抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。
また、本発明の嵩高紙は填料を含有してもよい。填料としては、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を単独で、または2種以上を使用することができる。
さらに、本発明の嵩高紙は、必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、着色剤、染料、消泡剤等を含有してもよい。
本発明の嵩高紙は、表面強度やサイズ性の向上の目的で、水溶性高分子を主成分とする表面処理剤を塗工することが望ましい。水溶性高分子としては、澱粉、酸化澱粉、加工澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の表面処理剤として通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、表面処理剤の中には、水溶性高分子の他に耐水化、表面強度向上を目的とした紙力増強剤やサイズ性付与を目的とした外添サイズ剤を添加することができる。
表面処理剤は、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター等の塗工機によって塗布することができるが、ゲートロールコーターのような被膜転写方式の塗工機を使用することが表面処理剤が紙表面に留まり、紙の密度増加が少なくなるので好ましい。表面処理剤の塗布量としては、片面当たり0.1g/m2以上3.0g/m2以下が好ましい。
以上のように、本発明のマーセル化パルプの製造方法で製造される短繊維化したマーセル化パルプを配合することにより、嵩高軽量でかつ平滑性に優れる嵩高紙が得られる。本発明の嵩高紙の用途は特に限定はないが、例えば、印刷用紙、記録用紙、塗工用原紙として使用することができる。
以下に、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。パルプの平均繊維長と手抄き紙紙質の測定方法は以下の通りである。
・パルプの平均繊維長:画像解析法(測定機器:ファイバーラボ、メッツオートメーション社製)で測定した重量の積算分布の50%に対する繊維長である。
・坪量:JIS P 8124に従い測定した。
・紙厚、密度:JIS P 8118に従い測定した。
・裂断長:JIS P 8113に従い測定した。
・PPSラフネス:ISO 8791に従い測定した。
[実施例1]
広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと記述する)の未叩解品に、濃度15%の水酸化ナトリウム水溶液をパルプ濃度が5固形分重量%となるように加え、回転数を100rpmに調節した二軸ニーダ(佐竹化学機械工業株式会社製)で混練しながらマーセル化処理した。処理時間は60分間であった。次に、75%メタノールで30分間2回洗浄し、硫酸でpH7に調整した後、乾燥してマーセル化パルプ1を得た。得られたマーセル化パルプ1の平均繊維長は0.22mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。結果を表1に示した。
[実施例2]
二軸ニーダーの回転数を50rpmに調節して混練しながらマーセル化処理した以外は実施例1と同様にしてマーセル化パルプ2を得た。得られたマーセル化パルプ2の平均繊維長は0.47mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。結果を表1に示した。
[比較例1]
二軸ニーダ−で混練せずにマーセル化処理した以外は実施例1と同様にしてマーセル化パルプ3を得た。得られたマーセル化パルプ3の平均繊維長は0.92mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。結果を表1に示した。
[比較例2]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の未叩解品を原料にした以外は実施例1と同様にしてマーセル化パルプ4を得た。得られたマーセル化パルプ4の平均繊維長は1.11mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。結果を表1に示した。
[比較例3]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の未叩解品を原料とし、二軸ニーダ−で混練せずにマーセル化処理した以外は実施例1と同様にして、マーセル化パルプ5を得た。得られたマーセル化パルプ5の平均繊維長は2.45mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。結果を表1に示した。
[比較例4]
比較例1で製造した平均繊維長0.92mmのマーセル化パルプ3を叩解機(PFIミル、熊谷理機株式会社製)に入れ、10時間叩解処理したが、平均繊維長は0.5mmには達しなかった。結果を表1に示した。
Figure 0004298663
二軸ニーダを用いてLBKPと水酸化ナトリウム水溶液とを混練しながらマーセル化した実施例1、2では、セルロースIIの含有率が100重量%でありLBKPが完全にマーセル化され、かつ平均繊維長がそれぞれ0.22mm、0.47mmである。これに対して、二軸ニーダで混練処理しない比較例1ではマーセル化は完全ではあるが、平均繊維長が0.92mmであり短繊維化が進んでいないことが解る。また、二軸ニーダを用いてNBKPと水酸化ナトリウム水溶液とを混練しながらマーセル化した比較例2では、マーセル化は完全ではあり、比較例3の平均繊維長2.45mmよりは、短繊維化され1.11mmになっているが、0.55mm以下とはなっていない。また、LBKPを完全マーセル化した後、叩解処理した比較例4では、叩解抵抗が極めて高く、実施例1並みの平均繊維長0.22mmにすることが困難であり、実用的ではないことが解る。
[実施例3]
実施例1で製造したマーセル化パルプ1が10固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が90固形分重量%からなるパルプを使用し、サイズ剤としてアルキケテンダイマー(商品名:AS263、日本PMC株式会社製)をパルプ固形分重量当たり0.2重量%、紙力増強剤として内添用両性澱粉(商品名:CATO315、日本エヌエスシー株式会社製)をパルプ固形分重量当たり1.0重量%となるように調製した紙料を、JIS P 8222に従い、Tappi標準角型手抄き器を用いて、坪量64g/m2を目標に抄紙し、手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[実施例4]
実施例1で製造したマーセル化パルプ1が20固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が80固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[実施例5]
実施例1で製造したマーセル化パルプ1が50固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が50固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成し、紙質測定結果を表2に示した。
[実施例6]
実施例2で製造したマーセル化パルプ2が10固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が90固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[実施例7]
実施例2で製造したマーセル化パルプ2が20固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が80固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[実施例8]
実施例2で製造したマーセル化パルプ2が50固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が50固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例5]
比較例1で製造したマーセル化パルプ3が10固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が90固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例6]
比較例1で製造したマーセル化パルプ3が20固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が80固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例7]
比較例1で製造したマーセル化パルプ3が50固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が50固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例8]
比較例2で製造したマーセル化パルプ4が10固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が90固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例9]
比較例2で製造したマーセル化パルプ4が20固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が80固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例10]
比較例2で製造したマーセル化パルプ4が50固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が50固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例11]
比較例3で製造したマーセル化パルプ5が10固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が90固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例12]
比較例3で製造したマーセル化パルプ4が20固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が80固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例13]
比較例3で製造したマーセル化パルプ4が50固形分重量%、LBKP(CSF 410ml)が50固形分重量%からなるパルプを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
[比較例14]
LBKP(CSF 410ml)のみを使用した以外は、実施例3と同様にして手抄き紙を作成した。紙質測定結果を表2に示した。
Figure 0004298663
本発明のマーセル化パルプの製造方法で製造された実施例1、2のパルプを抄紙して得られた実施例3〜8の紙と比較例14の紙との比較から、実施例3〜8の紙は密度が顕著に低下し、かつ平滑性の低下が少ないことが解る。平均繊維長が0.5mmを超えるパルプを抄紙した比較例5〜13に紙は、実施例3〜8と同様に低密度となるが、平滑性が悪化することが解る。

Claims (2)

  1. 広葉樹の化学パルプを、固形分重量濃度9%以上50%以下のアルカリ水溶液中で、混練機を用いて機械的に撹拌処理することによって、平均繊維長を0.5mm以下とすることとマーセル化を同時に行うことを特徴とするマーセル化パルプの製造方法。
  2. マーセル化パルプを含有する嵩高紙であって、広葉樹の化学パルプを、固形分重量濃度9%以上50%以下のアルカリ水溶液中で混練機を用いて機械的に撹拌処理することによって、平均繊維長を0.5mm以下とすると同時にマーセル化したパルプを全パルプに対して10固形分重量%以上50固形分重量%以下で含有することを特徴とする嵩高紙。
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