JP4285085B2 - 光記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を走査、変調することで光記録を行うレーザビームプリンタなどの光記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のマルチビーム走査光学系では、副走査方向に列状に複数個配列された半導体レーザからなるマルチビーム光源と、この光源からマルチビームを偏向して感光ドラム上を走査させるための回転多面鏡との間の光路中に、前群と後群との2つのレンズ群からなる調整部材を設け、当該前群と後群との2つのレンズ群の間隔を相対的に変化させて当該レンズ群の焦点距離を変化することにより、結像倍率を変え、感光ドラム上副走査方向の光ビームの間隔調整を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、複数のビームを発生する光源と、前記光源から出射した複数の光ビームをコリメートした後、該光ビームを偏向して感光体上を主走査する主走査手段との間に、各々副走査方向にのみレンズパワーを有する第1と第2のレンズ系を配置し、光軸方向に移動調整することで、入射した複数のビームを主走査手段に結像させるとともに、前記感光体上の光ビームの間隔および光ビーム径が目標光ビーム径となるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、独立に光強度変調が可能な多ビーム発生手段と、この発生手段から出射した複数の光ビームを一括して偏向走査する回転多面鏡と、走査面上で各ビームを所定のスポット径に収束させる走査レンズ等からなる光記録装置において、記録画像の解像度が変化した際に、解像度に応じた結像スポット、走査線間隔にするために前記光記録装置の光学系内に新たなレンズユニットを付加する(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】
特開平4−101112号公報
【特許文献2】
特開平8−15625号公報
【特許文献3】
特開平09−109458号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1、2は、いずれも光学系内に配置されたレンズを変位させることでレンズの焦点距離を変え、走査線間隔を微調させるものであるため、解像度変換のように、走査線間隔が大きく変化する場合には対応できないという欠点がある。そして、特許文献3は、記録画像の解像度毎に独立した走査線間隔の調整ができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記従来例の問題点に鑑みなされたもので、複数のビームを感光ドラム上に結像、走査し光記録を行うマルチビーム走査光学系において、異なった解像度を持つ画像を記録可能にし、しかも、記録画像の解像度毎に独立した平易で裕度の高い調整機構により感光ドラム上の結像スポット、走査線間隔の調整手段を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の光記録装置は、光学系内に球面レンズ2枚、および前記球面レンズ間に配置された主走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ1枚により構成される解像度変換レンズ系を着脱制御し、この際、前記球面レンズは下記(A)式、(B)式を満足する。
【0008】
fL5=((a+b+HHL5+HHL6)・(b・n+t))/(HHL5・n+HHL6・n−t−a・n・(γ−1))…(A)
fL6=−(a・(b・n+t)・γ)/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)−b・n・(γ−1)−t・γ)…(B)
ここで、fL5:第一の球面レンズの焦点距離、HHL5:第一の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、fL6:第二の球面レンズの焦点距離、HHL:第二の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、a:第二の球面レンズの出射側主面位置から回転多面鏡までの距離、b:第一の球面レンズの出射側主面位置から第二の球面レンズの入射側主面位置までの距離、c:回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズの出射側主面位置から第一の球面レンズの入射側主面位置までの距離、n:第一、第二の球面レンズ間に配置されたシリンダレンズの屈折率、t:第一、第二の球面レンズ間に配置されたシリンダレンズの中心厚み、γ:解像度変換倍率である。
【0009】
また、前記マルチビーム走査装置において、記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、光学系内に着脱される解像度変換レンズ系は、下記(C)式、及び(D)式の条件を満足するように、光学系の全体倍率を変換せしめる。さらに、該前記解像度変換レンズ系を光軸回りに回転調整するための回転機構を設ける。
【0010】
mmain<mmain’≦(α/β)mmain …(C)
msub’=(α/β)msub …(D)
但し、mmain、msub:解像度がα(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率、mmain’、msub’:解像度がβ(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率である。
【0011】
あるいは、光学系内に球面レンズ2枚、および前記球面レンズの後方に配置された主走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ1枚により構成される解像度変換レンズ系を着脱制御し、この際、球面レンズは下記(E)式、(F)式を満足する。
【0012】
fL5=(b・n・(a+b+HHL5+HHL6+t))/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)+t・γ)…(E)
fL6=−(b・(a・n+t)・γ)/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)−b・n・(γ−1)−t・γ)…(F)
ここで、fL5:第一の球面レンズの焦点距離、HHL5:第一の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、fL6:第二の球面レンズの焦点距離、HHL6:第二の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、a:第二の球面レンズの出射側主面位置から回転多面鏡までの距離、b:第一の球面レンズの出射側主面位置から第ニの球面レンズの入射側主面位置までの距離、c:回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズの出射側主面位置から第一の球面レンズの入射側主面位置までの距離、n:第一、第二の球面レンズの後方に配置されたシリンダレンズの屈折率、t:第一、第二の球面レンズの後方に配置されたシリンダレンズの中心厚み、γ:解像度変換倍率である。
【0013】
また、前記マルチビーム走査装置において、記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、光学系内に着脱される解像度変換レンズ系は、下記(G)式、及び(H)式の条件を満足するように、光学系の全体倍率を変換せしめる。さらに、該前記解像度変換レンズ系を光軸回りに回転調整するための回転機構を設ける。
【0014】
mmain<mmain’≦(α/β)mmain …(G)
msub’=(α/β)msub …(H)
但し、mmain、msub:解像度がα(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率、mmain’、msub’:解像度がβ(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1〜図6に本発明の第1の実施例を示す。図1は本発明の光記録装置の光学系全体図である。複数ビームを出射する複数ビーム光源1は、印刷データ信号16にしたがって、それぞれ独立に変調された個々のビーム2〜4を出射する(図1では便宜上3ビームとしている)。複数ビーム光源1から出射した光はレンズ5によりコリメートされた後、レンズ6に入射し、レンズ6とレンズ7とで構成されるビームエキスパンダによりビーム幅が拡大された平行光に変換される。その後、副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ8を透過後、回転多面鏡9、走査レンズ10により、感光ドラム11上にスポット列として結像され、個々に変調されたスポットが走査することにより感光ドラム11上に光記録が行われる。この際、感光ドラム11上に結像される複数の結像スポット12〜14は、それぞれの結像スポットが形成する走査線が互いに密接するように斜め角度を持たせている。この斜め角度は、複数ビーム光源1を光軸回りに回転調整することにより設定される。回転多面鏡9の前に配置されたシリンダレンズ8は、回転多面鏡9の回転時の揺動による走査線の副走査方向のずれをなくすためのもので、それぞれのビームを回転多面鏡9の面上に副走査方向に絞り込んでいる。
【0017】
図2と図3が図1に示した光学系の部品配置位置の詳細を示す図で、図2は回転多面鏡9の回転面内の光学系、すなわち感光ドラム11上で主走査方向の光学系である。図3は、それとは垂直方向からみた光学系、すなわち副走査方向の光学系である。
【0018】
図2、図3において、レンズ5、レンズ6、レンズ7、レンズ8の焦点距離をそれぞれfcol、fL1、fL2、fcylとするとき、複数ビーム光源1とレンズ5の間隔がfcol、レンズ5とレンズ6の間隔がfcol+fL1、レンズ6とレンズ7の間隔がfL1+fL2、レンズ7と回転多面鏡9の間隔が概略fL2の距離に配置されている。このように配置することによって、図2において、複数ビーム光源1から平行に発した各レーザ光の主光線はレンズ6出射後に再び平行となり、レンズ7を照射する。その後、レンズ7を出射した各ビームの主光線は回転多面鏡9上で概略一致させることができるので、複数のビームを用いた場合でも回転多面鏡9の大きさを大きくする必要はなく、従来のものを用いることができる。
【0019】
つぎに、図2において、複数ビーム光源1から発した各々のレーザ光について説明する。
【0020】
複数ビーム光源1の発光スポット径をδ(μm)、ビーム間隔をdmain(mm)とすると、レンズ7出射後のビーム径Dは、次式で表される。
【0021】
D=4・λ・fcol・fL2/(fL1・π・δ)(mm)…(1)
ここで、λは光の波長である。
【0022】
一方、図3の副走査方向の光学系においては、レンズ7を出射し、ビーム径D=4・λ・fcol・fL2/(fL1・π・δ)(mm)の平行光になるところまでは図2の光学系と同じであるが、レンズ7を出射した光はシリンダレンズ8により回転多面鏡9上に絞りこまれる。このときの回転多面鏡9上に絞り込まれたスポットの副走査方向の大きさ(縦径)をδ’(μm)とすると、δ’は次式で表される。
【0023】
δ’=((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))δ(μm)…(2)
また、回転多面鏡9上に絞り込まれたスポットの副走査方向の間隔をPとすると、次式の関係が成り立つ。
【0024】
P∝((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))…(3)
従って、回転多面鏡9の反射面には、図4のように横幅D(mm)、縦幅δ’(μm)、間隔Pの光スポットが形成される。
【0025】
回転多面鏡9で反射した光は走査レンズ10により感光ドラム11上に結像する。このとき、走査レンズ10の焦点距離をfFθとすると、感光ドラム上での結像スポット径は次式で表される。
【0026】
ωx=((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))δ(μm)…(4)
ωy=mδ’=m((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))δ(μm)…(5)
ここで、ωxは走査方向の結像スポット径、ωyは副走査方向の結像スポット径、またmは走査レンズ10の副走査方向の倍率である。
つまり、この光学系の全体倍率は、主走査方向をmmain、副走査方向をmsubとすると次式で表される。
【0027】
mmain=ωx/δ=((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))…(6)
msub=ωy/δ=m((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))…(7)
後述するように感光ドラム11上に配列される結像スポット列の走査線に対する角度は小さいので、個々の結像スポット間の間隔をd’とすると、d’は(5)式を用いて次式で近似される。
【0028】
dmain’≒mmain・dmain=dmain・((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))(mm)…(8)
光走査方向に対する多ビームの結像スポットの傾きをΨとすると走査線間隔p’は、次式で与えられる。
【0029】
p’=dmain’・sinΨ=dmain・((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))・sinΨ(mm)…(9)
以上、説明した光学系において、記録画像の解像度を現行のα(dpi)からβ(dpi)に変更する場合を考えてみる。
【0030】
解像度を変換するためには少なくとも、(5)式、(9)式で表される副走査方向の結像スポット径と走査線間隔を(α/β)倍に変換しなければならない。主走査方向には、結像スポットの変調時間を電気的に設定することができるので、(9)式で表される主走査方向の結像スポット径を光学的に副走査方向と同じように変化させることは必ずしも必要ではなく、現行の大きさωxの1倍以上、(α/β)倍以下であれば良い。
【0031】
(5)式、(9)式より、副走査方向の結像スポット径と走査線間隔を同時に(α/β)倍に変換するためには、fL1、fFθの何れかを(α/β)倍に変換するか、fcol、fL2、sinΨのいずれかを(β/α)倍に変換することが必要であることがわかる。
【0032】
図1に示した光学系では、解像度変換する際に、レンズ8と回転多面鏡9の間にレンズ21、レンズ22、レンズ23からなる解像度変換レンズ系24を新たに光路に挿入することで、焦点距離fL2を有するレンズ7の主走査方向の焦点距離を、レンズ7と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離で1〜(β/α)倍の間で任意の倍率に、つまり、fL2〜(β/α) fL2間で任意の距離に変換し、同時に、焦点距離fcylを有するレンズ8の副走査方向の焦点距離を、レンズ8と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離で、(α/β)倍に、つまり、(α/β)fcylに変換する。
【0033】
なお、図1に示すように解像度変換に際しては、解像度変換レンズ系24の光路中への出し入れは、コントローラ18からの信号に基づき、レンズ駆動機構20を介して行う。また、解像度変換に際して、光記録装置のプロセス速度が一定のままで解像度を行う場合には、回転多面鏡19の回転速度も、コントローラ18からのデータ信号に基づき、回転多面鏡駆動回路19により、(β/α)倍に変換される。
【0034】
さて、上述した光学系の各変数に具体的な数値を代入して600(dot/inch)の解像度をもつ光記録装置を480(dot/inch)の解像度に変更する場合を考えてみる。
【0035】
まずは600(dot/inch)の光記録装置の場合である。
【0036】
複数ビーム光源1の発光スポット径を5(μm)、ビーム間隔を0.15(mm)、レンズ5の焦点距離をfcol=20(mm)、レンズ6の焦点距離をfL1=200(mm)、レンズ7の焦点距離をfL2=400(mm)、レンズ8の焦点距離をfcyl=200(mm)、レンズ10の焦点距離をfFθ=400(mm)、レンズ10の倍率をm=2(倍)、とすると、感光ドラム11での結像スポットの間隔は、
dmain’=1.5(mm)…(10)
となる。
【0037】
また、主走査方向、副走査方向の光学系の全体倍率をそれぞれmmain、msub、主走査方向、副走査方向の結像スポット径をそれぞれωx、ωyとすると、
mmain=10(倍)…(11)
msub=10(倍)…(12)
ωx=50(μm)…(13)
ωy=50(μm)…(14)
となる。
【0038】
また、感光ドラム11上結像スポット列の走査線に対する角度Ψは、Ψ=1.617(deg)に設定すれば、(9)式より、
p’=0.15・((200・400)/(20・400))・sin1.617=42.3(μm)…(15)
となり、解像度600(dot/inch)の走査線間隔になる。
【0039】
つぎに、上述した光学系において、記録画像の解像度が600(dpi)から480(dpi)に変更された場合について検討する。
【0040】
この場合、必要条件として、走査線間隔を(600/480)倍にする必要がある。このためには、(9)式より、fL1、fFθのどちらかを(600/480)倍に、あるいはfcol、fL2のどちらかを(480/600)倍にすることによって実現できる。
【0041】
本発明における設計例の1つを図5、図6に示す。図5、図6に示した光学系では、レンズ8と回転多面鏡9の間に、焦点距離が各々次式で表されるレンズ23、レンズ22、およびレンズ21からなる解像度変換レンズ系24を配置する。レンズ21は、レンズ23、レンズ22間に配置される。
【0042】
fL5=((a+b+HHL5+HHL6)・(b・n+t))/(HHL5・n+HHL6・n−t−a・n・(γ−1))…(A)
fL6=−(a・(b・n+t)・γ)/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)−b・n・(γ−1)−t・γ)…(B)
ここで、
fL5 :レンズ23の焦点距離
HHL5:レンズ23の入射側主面と出射側主面との間隔
fL6 :レンズ22の焦点距離
HHL6:レンズ22の入射側主面と出射側主面との間隔
a :レンズ22の出射側主面位置から回転多面鏡までの距離
b :レンズ23の出射側主面位置からレンズ22の入射側主面位置までの距離
c :レンズ8の出射側主面位置からレンズ23の入射側主面位置までの距離
n :レンズ23、レンズ22間に配置されたシリンダレンズ21の屈折率
t :レンズ23、レンズ22間に配置されたシリンダレンズ21の中心厚み
γ :解像度変換倍率
である。
【0043】
例えば、(A)式、(B)式にHHL5=0.5(mm)、HHL6=0.5(mm)、a=77(mm)、b=85(mm)、n=1.5、t=3(mm)、γ=480/600=0.8(倍)を代入すると、レンズ23、レンズ22の焦点距離fL5、fL6は、各々、fL5=830(mm)、fL6=−154(mm)、また、レンズ8の出射側主面位置からレンズ23の入射側主面位置までの距離cは、c=34(mm)となる。レンズ23、レンズ22により、レンズ8と解像度変換レンズ系24の副走査方向の合成焦点距離が、600/480=1.25(倍)に、つまり、fcyl=200(mm)からfcyl’=200×(600/480)=250(mm)に変換され、これにより、副走査方向のスポット径、及び走査線間隔も、600/480=1.25(倍)に変換される。
【0044】
一方、主走査方向に関しては、解像度変換レンズ系24出射ビーム、すなわち、回転多面鏡22の照射ビームが平行光になり、かつ、焦点距離fL2を有するレンズ7の主走査方向の焦点距離を、レンズ7と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離で1〜(480/600)倍の間で任意の倍率に、つまり、このケースでは、400〜320(mm)間で任意の距離に変換するような、シリンダレンズ21を選定し、しかるべき位置に配置すればよい。図5では、焦点距離fL6=231.560(mm)のシリンダレンズ21を、レンズ23出射側主面からレンズ21出射側主面位置までの距離を63.145(mm)の位置に配して、レンズ7と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離を(480/600)倍に、つまり、fL2=400(mm)からfL2’=400×(480/600)=320(mm)に変換し、これにより、主走査方向のスポット径が、600/480=1.25(倍)に変換している。
【0045】
なお、この際、解像度変換レンズ系24に光軸回りの回転機構を設ける。これは、解像度変換レンズ系24にはシリンダレンズ21が含まれるので、シリンダレンズの母線調整が主目的であるが、この回転は走査線間隔にも影響する。この特性を利用すれば、母線調整後に、結像特性が大きく劣化しない範囲で光軸回りに回転することで走査線間隔の微調整が可能になる。
【0046】
以上、上記実施例では光記録装置で用いるビーム本数は3本としたが、ビーム本数はこれに限るものではなく3本以上であってもよい。
【0047】
本発明における第二の実施例の光学系の設計例の1つを図7に、設計例の1つを図8、図9に示す。
【0048】
図7に示した光学系において、解像度変換レンズ系24以外は実施例1で説明したものと同じである。本光学系では、レンズ8と回転多面鏡9の間に、焦点距離が各々次式で表されるレンズ23、レンズ22、およびレンズ21からなる解像度変換レンズ系24を配置しており、レンズ21は、レンズ22の後方に配置される。
【0049】
fL5=(b・n・(a+b+HHL5+HHL6+t))/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)+t・γ)…(E)
fL6=−(b・(a・n+t)・γ)/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)−b・n・(γ−1)−t・γ)…(F)
ここで、
fL5 :第一の球面レンズの焦点距離
HHL5:第一の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔
fL6 :第二の球面レンズの焦点距離
HHL6:第二の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔
a :第二の球面レンズの出射側主面位置から回転多面鏡までの距離
b :第一の球面レンズの出射側主面位置から第ニの球面レンズの入射側主面位置までの距離
c :回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査向にのみレンズパワー有するシリンダレンズの出射側主面位置から第一の球面レンズの入射側主面位置までの距離
n :第一、第二の球面レンズの後方に配置されたシリンダレンズの屈折率
t :第一、第二の球面レンズの後方に配置されたシリンダレンズの中心厚み
γ :解像度変換倍率
である。
【0050】
例えば、(E)式、(F)式にHHL5=0.5(mm)、HHL6=0.5(mm)、a=77(mm)、b=85(mm)、n=1.5、t=3(mm)、γ=480/600=0.8(倍)を代入すると、レンズ23、レンズ22の焦点距離fL5、fL6は、各々、fL5=805.523(mm)、fL6=−151.111(mm)、また、レンズ8の出射側主面位置からレンズ23の入射側主面位置までの距離cは、c=34(mm)となる。レンズ23、レンズ22により、レンズ8と解像度変換レンズ系24の副走査方向の合成焦点距離が、600/480=1.25(倍)に、つまり、fcyl=200(mm)からfcyl’=200*(600/480)=250(mm)に変換され、これにより、副走査方向のスポット径、及び走査線間隔も、600/480=1.25(倍)に変換される。
【0051】
一方、主走査方向に関しては、解像度変換レンズ系24出射ビーム、すなわち、回転多面鏡22の照射ビームが平行光になり、かつ、焦点距離fL2を有するレンズ7の主走査方向の焦点距離を、レンズ7と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離で1〜(480/600)倍の間で任意の倍率に、つまり、このケースでは、400〜320(mm)間で任意の距離に変換するような、シリンダレンズ21を選定し、しかるべき位置に配置すればよい。図7では、焦点距離fL6=213.770(mm)の主走査方向シリンダレンズ21を、レンズ22出射側主面からレンズ21出射側主面位置までの距離を22.557(mm)の位置に配して、レンズ7と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離を1倍に、つまり、fL2=400(mm)からfL2’=400×1=400(mm)に変換し、これにより、主走査方向のスポット径を、1(倍)のままに変換している。
【0052】
レンズ7と解像度変換レンズ系24の合成焦点距離を不変にすると、600(dpi)において回転多面鏡9上で概略一致するようにした複数ビームの主光線の交差する位置が480(dpi)にした場合でも殆ど変化しないようにできる。これにより、回転多面鏡9の面倒れにより走査線間隔が不均一になる現象を抑制できるメリットがある。
【0053】
また、この際、解像度変換レンズ系24に光軸回りの回転機構を設ける。これは、解像度変換レンズ系24にはシリンダレンズ21が含まれるので、シリンダレンズの母線調整が主目的であるが、この回転は走査線間隔にも影響する。この特性を利用すれば、母線調整後に、結像特性が大きく劣化しない範囲で光軸回りに回転することで走査線間隔の微調整が可能になる。
【0054】
以上、上記実施例では光記録装置で用いるビーム本数は3本としたが、ビーム本数はこれに限るものではなく3本以上であってもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数のビームを感光ドラム上に結像、走査し光記録を行うマルチビーム走査光学系において、異なった解像度を持つ画像を記録可能にし、しかも、平易で裕度の高い調整手段により感光ドラム上の結像スポット、走査線間隔の解像度毎に独立に調整可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例の光学系全体概略構成図。
【図2】本発明の第一実施例における主走査方向の回転多面鏡前光学系。
【図3】本発明の第一実施例における副走査方向の回転多面鏡前光学系。
【図4】本発明の第一実施例における回転多面鏡面上のビームを示す図。
【図5】本発明の第一実施例における解像度変換レンズ系の一例を示す図。
【図6】本発明の第一実施例における解像度変換レンズ系の一例を示す図。
【図7】本発明の第二実施例における光学系全体概略構成図。
【図8】本発明の第二実施例における解像度変換レンズ系の一例を示す図。
【図9】本発明の第二実施例における解像度変換レンズ系の一例を示す図。
【符号の説明】
1…複数ビーム光源、2…光源、3…光源、4…光源、5…レンズ、6…レンズ、7…レンズ、8…シリンダレンズ、9…回転多面鏡、10…走査レンズ、11…感光ドラム、12…結像スポット、13…結像スポット、14…結像スポット、15…走査線、16…データ信号、17…レーザ変調回路、18…コントローラ、19…回転多面鏡駆動回路、20…解像度レンズ系駆動回路、21…シリンダレンズ、22…球面レンズ、23…球面レンズ、24…解像度変換レンズ系。
Claims (6)
- 多ビームからなるレーザ光を光学系、および回転多面鏡を介して感光ドラムに結像スポット列として結像し、該結像スポット列を前記感光ドラム上で斜めに配列して走査することにより光記録を行うマルチビーム走査装置において、前記光学系は回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズを具備し、前記光学系内に新たに球面レンズ2枚、および前記球面レンズ間に配置された主走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ1枚により構成される解像度変換レンズ系を着脱制御し、この際、前記球面レンズは下記(A)式、(B)式を満足することにより、1台の装置で解像度の異なった記録画像を実現可能としたことを特徴とする光記録装置。
fL5=((a+b+HHL5+HHL6)・(b・n+t))/(HHL5・n+HHL6・n−t−a・n・(γ−1))…(A)
fL6=−(a・(b・n+t)・γ)/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)−b・n・(γ−1)−t・γ) … (B)
(fL5:第一の球面レンズの焦点距離、HHL5:第一の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、fL6:第二の球面レンズの焦点距離、HHL6:第二の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、a:第二の球面レンズの出射側主面位置から回転多面鏡までの距離、b:第一の球面レンズの出射側主面位置から第ニの球面レンズの入射側主面位置までの距離、c:回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズの出射側主面位置から第一の球面レンズの入射側主面位置までの距離、n:第一、第二の球面レンズ間に配置されたシリンダレンズの屈折率、t:第一、第二の球面レンズ間に配置されたシリンダレンズの中心厚み、γ:解像度変換倍率である。) - 記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、前記マルチビーム走査装置の光学系内に着脱される解像度変換レンズ系は、下記(C)式、及び(D)式の条件を満足するように、前記光学系の全体倍率を変換せしめ、なおかつ、前記解像度変換レンズ系には、該前記解像度変換レンズ系を光軸回りに回転調整するための回転機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の光記録装置。
mmain<mmain’≦(α/β)mmain … (C)
msub’=(α/β)msub … (D)
(但し、mmain、msub:解像度がα(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率、mmain’、msub’:解像度がβ(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率である。) - 記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、コントローラからの指令に基づき前記光学系内への解像度変換レンズ系を挿入、離脱を行い、また、前記光学系の構成部品の1つである回転多面鏡の回転速度、および感光ドラム上を走査する結像スポットの変調速度を(β/α)倍に変更して、記録画像の解像度変換を行うことを特徴とする請求項1記載の光記録装置。
- 多ビームからなるレーザ光を光学系、および回転多面鏡を介して感光ドラムに結像スポット列として結像し、該結像スポット列を前記感光ドラム上で斜めに配列して走査することにより光記録を行なうマルチビーム走査装置において、前記光学系は回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズを具備し、前記光学系内に新たに球面レンズ2枚、および前記球面レンズの後方に配置された主走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ1枚により構成される解像度変換レンズ系を着脱制御し、この際、前記球面レンズは下記(E)式、(F)式を満足することにより、1台の装置で解像度の異なった記録画像を実現可能としたことを特徴とする光記録装置。
fL5=(b・n・(a+b+HHL5+HHL6+t))/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)+t・γ)…(E)
fL6=−(b・(a・n+t)・γ)/(HHL5・n+HHL6・n+n・t−a・n・(γ−1)−b・n・(γ−1)−t・γ)…(F)
(fL5:第一の球面レンズの焦点距離、HHL5:第一の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、fL6:第二の球面レンズの焦点距離、HHL6:第二の球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、a:第二の球面レンズの出射側主面位置から回転多面鏡までの距離、b:第一の球面レンズの出射側主面位置から第ニの球面レンズの入射側主面位置までの距離、c:回転多面鏡上でビームを副走査方向に絞り込むための副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズの出射側主面位置から第一の球面レンズの入射側主面位置までの距離、n:第一、第二の球面レンズの後方に配置されたシリンダレンズの屈折率、t:第一、第二の球面レンズの後方に配置されたシリンダレンズの中心厚み、γ:解像度変換倍率である。) - 記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、前記マルチビーム走査装置の光学系内に着脱される解像度変換レンズ系は、下記(G)式、及び(H)式の条件を満足するように、前記光学系の全体倍率を変換せしめ、なおかつ、前記解像度変換レンズ系には、該前記解像度変換レンズ系を光軸回りに回転調整するための回転機構を設けたことを特徴とする請求項4記載の光記録装置。
mmain<mmain’≦(α/β)mmain … (G)
msub’=(α/β)msub … (H)
(但し、mmain、msub:解像度がα(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率、mmain’、msub’:解像度がβ(dpi)のときの主走査方向、及び副走査方向の光学系全体倍率である。) - 記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、コントローラからの指令に基づき前記光学系内への解像度変換レンズ系を挿入、離脱を行い、また、前記光学系の構成部品の1つである回転多面鏡の回転速度、および感光ドラム上を走査する結像スポットの変調速度を(β/α)倍に変更して、記録画像の解像度変換を行うことを特徴とする請求項4記載の光記録装置。
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