JP3937305B2 - 光記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を走査、変調することで光記録を行なうレーザビームプリンタなどの光記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例として、特開平4−101112号公報、特開平8−15625号公報、特開平9−109458号公報がある。
【0003】
特開平4−101112号公報に記載のマルチビーム走査光学系では、副走査方向に列状に複数個配列された半導体レーザからなるマルチビーム光源と、この光源からマルチビームを偏向して感光ドラム上を走査させるための回転多面鏡との間の光路中に、前群と後群との2つのレンズ群からなる調整部材を設け、当該前群と後群との2つのレンズ群の間隔を相対的に変化させて当該レンズ群の焦点距離を変化することにより、結像倍率を変え、感光ドラム上副走査方向の光ビームの間隔調整を行っている。
【0004】
また、特開平8−15625号公報では、複数のビームを発生する光源と、前記光源から出射した複数の光ビームをコリメートした後、該光ビームを偏向して感光体上を主走査する主走査手段との間に、各々副走査方向にのみレンズパワーを有する第1と第2のレンズ系を配置し、光軸方向に移動調整することで、入射した複数のビームを主走査手段に結像させるとともに、前記感光体上の光ビームの間隔および光ビーム径が目標光ビーム径となるようにしている。
【0005】
また、特開平9−109458号公報では、独立に光強度変調が可能な多ビーム発生手段と、この発生手段から出射した複数の光ビームを一括して偏向走査する回転多面鏡と、走査面上で各ビームを所定のスポット径に収束させる走査レンズ等からなる光記録装置において、記録画像の解像度が変化した際に、解像度に応じた結像スポット、走査線間隔にするために前記光記録装置の光学系内に新たなレンズユニットを付加する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平4−101112号公報および特開平8−15625号公報に記載された構成の場合には、いずれも光学系内に配置されたレンズを変位させることでレンズの焦点距離を変え、走査線間隔を微調させるものであるため、解像度変換のように、走査線間隔が大きく変化する場合には対応できないという欠点がある。
【0007】
また、特開平9−109458号公報に記載の構成では、付加される新たなレンズユニットにより光学系全体の倍率が主走査方向、副走査方向とも等しく変化するため、各ビームの主光線が回転多面鏡の入射面内で主走査方向に広がってしまい、回転多面鏡の反射面のエッジでビームのケラレが生じ、広い走査域を確保できなくなるという問題があった。また、付加される新たなレンズユニットに配置誤差、特にあおり角度の誤差がある場合、走査の開始と終了位置において走査線間隔のアンバランスが生じやいという問題があった。また、記録画像の解像度毎に独立した走査線間隔の調整ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来例の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、複数のビームを感光ドラム上に結像、走査し光記録を行う光記録装置において、有効走査幅を損ねることなく、異なった解像度を持つ画像を記録可能にし、しかも、記録画像の解像度毎に独立した平易で裕度の高い調整機構により感光ドラム上の結像スポット、走査線間隔の調整手段を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の光記録装置は、光学系内に新たに球面レンズ1枚、および副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ2枚により構成される解像度変換レンズ系を着脱制御し、解像度の異なった記録画像を実現可能とする。なお、この際、前記球面レンズは下記(A)式および(B)式を満足するaの位置に配置する。
a2+(HHS3+δ)・a−(HHS3+δ)・fS3=0・・・(A)
δ=(t1+t2)−(n1・t2+n2・t1)/(n1・n2)・・・(B)
(但し、aは光学系中のビームエキスパンダを構成するレンズのうち、後方のレンズの前側焦点位置から球面レンズの入射側主面位置までの距離、fS3は球面レンズの焦点距離、HHS3は球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、n1は第1のシリンダレンズの屈折率、n2は第2のシリンダレンズの屈折率、t1は第1のシリンダレンズの中心厚み、t2は第2のシリンダレンズの中心厚みである。)また、上記光記録装置において、記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、光学系内に着脱される解像度変換レンズ系は、下記(C)式および(D)式の条件を満足するように、前記光学系の全体倍率を変換せしめ、且つ前記解像度変換レンズ系を光軸回りに回転調整するための回転機構を設けることにより感光ドラム上の走査線間隔を調整可能とし、前記解像度変換レンズ系の配置位置は、前記解像度変換レンズ系の光軸回りの回転角度と走査線間隔の変化率が下記(E)式を満足させる。
mmain<mmain’≦(α/β)mmain・・・(C)
msub’=(α/β)msub・・・(D)
0≦|ΔPrate/Δγ|<1/2・・・(E)
(但し、mmainおよびmsubは解像度がα(dpi)のときの主走査方向および副走査方向の光学系全体倍率、mmain’およびmsub’は解像度がβ(dpi)のときの主走査方向および副走査方向の光学系全体倍率、ΔPrateは解像度変換レンズ系の光軸回り回転による走査線間隔の変化率、Δγは解像度変換レンズ系の光軸回り回転角度(deg)である。)
なお、上記光記録装置は、記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、コントローラからの指令に基づき前記光学系内への解像度変換レンズ系を挿入、離脱を行い、また、前記光学系の構成部品の1つである回転多面鏡の回転速度、および感光ドラム上を走査する結像スポットの変調速度を(β/α)倍に変更して、記録画像の解像度変換を行う。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例の光記録装置の光学系全体図である。複数ビームを出射する複数ビーム光源1は、印刷データ信号16にしたがって、それぞれ独立に変調された個々のビーム2〜4を出射する(本実施例においては3本ビームの構成として例示している)。複数ビーム光源1から出射した光はレンズ5によりコリメートされた後、レンズ6に入射し、レンズ6とレンズ7とで構成されるビームエキスパンダによりビーム幅が拡大された平行光に変換される。
【0012】
その後、副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ8を透過後、回転多面鏡9、走査レンズ10により感光ドラム11上にスポット列として結像され、個々に変調されたスポットが走査することにより感光ドラム11上に光記録が行われる。この際、感光ドラム11上に結像される複数の結像スポット12〜14は、それぞれの結像スポットが形成する走査線が互いに密接するように斜め角度を持たせている。
【0013】
この斜め角度は、複数ビーム光源1を光軸回りに回転調整することにより設定される。回転多面鏡9の前に配置されたシリンダレンズ8は、回転多面鏡9の回転時の揺動による走査線の副走査方向のずれをなくすためのもので、それぞれのビームを回転多面鏡9の面上に副走査方向に絞り込んでいる。
【0014】
図2と図3が図1に示した光学系の部品配置位置の詳細を示す図で、図2は回転多面鏡9の回転面内の光学系、すなわち感光ドラム11上で主走査方向の光学系である。図3は、それとは垂直方向からみた光学系、すなわち副走査方向の光学系である。
【0015】
図2、図3において、レンズ5、レンズ6、レンズ7、レンズ8の焦点距離をそれぞれfcol、fL1、fL2、fcylとするとき、複数ビーム光源1とレンズ5の間隔がfcol、レンズ5とレンズ6の間隔がfcol+fL1、レンズ6とレンズ7の間隔がfL1+fL2、レンズ7と回転多面鏡9の間隔が概略fL2の距離に配置されている。
【0016】
このように配置することによって、図2において、複数ビーム光源1から平行に発した各レーザ光の主光線はレンズ6出射後に再び平行となり、レンズ7を照射する。その後、レンズ7を出射した各ビームの主光線は回転多面鏡9上で概略一致させることができるので、複数のビームを用いた場合でも回転多面鏡9の大きさを大きくする必要はなく、従来のものを用いることができる。
【0017】
つぎに、図2において、複数ビーム光源1から発した各々のレーザ光について説明する。
【0018】
複数ビーム光源1の発光スポット径をδ(μm)、ビーム間隔をdmain(mm)とすると、レンズ7出射後のビーム径Dは次式で表される。
D=4・λ・fcol・fL2/(fL1・π・δ) (mm) …(1)
なお、(1)式においてλは光の波長である。
【0019】
一方、図3の副走査方向の光学系においては、レンズ7を出射し、ビーム径D=4・λ・fcol・fL2/(fL1・π・δ)の平行光になるところまでは図2の光学系と同じであるが、レンズ7を出射した光はシリンダレンズ8により回転多面鏡9上に絞りこまれる。このときの回転多面鏡9上に絞り込まれたスポットの副走査方向の大きさ(縦径)をδ´(μm)とすると、δ´は次式で表される。
δ´=((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))δ (μm)… (2)
また、回転多面鏡9上に絞り込まれたスポットの副走査方向の間隔をPとすると、次式の関係が成り立つ。
P∝((fL1・fcyl)/(fcol・fL2)) …(3)
従って、回転多面鏡9の反射面には、図4のように横幅D(mm)、縦幅δ´(μm)、間隔Pの光スポットが形成される。
【0020】
回転多面鏡9で反射した光は走査レンズ10により感光ドラム11上に結像する。このとき、走査レンズ10の焦点距離をfFθとすると、感光ドラム上での結像スポット径は次式で表される。
ωx=((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))δ (μm)… (4)
ωy=mδ´=m((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))δ (μm)… (5)
ここで、ωxは走査方向の結像スポット径、ωyは副走査方向の結像スポット径、mは走査レンズ10の副走査方向の倍率である。つまり、この光学系の全体倍率は、主走査方向をmmainおよび副走査方向をmsubとすると次式で表される。
mmain=ωx/δ=((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))… (6)
msub=ωy/δ=m((fL1・fcyl)/(fcol・fL2))… (7)
後述するように感光ドラム11上に配列される結像スポット列の走査線に対する角度は小さいので、個々の結像スポット間の間隔をd´とすると、d´は(5)式を用いて次式で近似される。
dmain´≒mmain・dmain=dmain・((fL1・fFθ)/(fcol・fL2)) (mm)… (8)
光走査方向に対する多ビームの結像スポットの傾きをΨとすると走査線間隔p´は次式で与えられる。
p´=dmain´・sinΨ=dmain・((fL1・fFθ)/(fcol・fL2))・sinΨ(mm)… (9)
以上、説明した光学系において、記録画像の解像度を現行のα(dpi)からβ(dpi)に変更する場合を考えてみる。
【0021】
解像度変換の必要条件は、(5)式および(9)式で表される副走査方向の結像スポット径と走査線間隔を(α/β)倍に変換することである。走査方向には、結像スポットの変調時間を電気的に設定することができるので、(9)式で表される主走査方向の結像スポット径を光学的に副走査方向と同じように変化させることは必ずしも必要ではなく、現行の大きさωxの1倍以上、(α/β)倍以下であればよい。
【0022】
(5)式および(9)式より、副走査方向の結像スポット径と走査線間隔を同時に(α/β)倍に変換するためには、fL1、fFθの何れかを(α/β)倍に変換するか、fcol、fL2、sinΨのいずれかを(β/α)倍に変換することが必要であることがわかる。
【0023】
図1に示した光学系では、解像度変換する際に、レンズ7の前側にレンズ21、レンズ22、レンズ23からなる解像度変換レンズ24を新たに光路に挿入することで、焦点距離fL2を有するレンズ7の副走査方向の焦点距離を、レンズ7とレンズ24の合成焦点距離(β/α)fL2に変換している。
【0024】
なお、図1に示すように解像度変換に際しては、解像度変換レンズ系24の光路中への出し入れは、コントローラ18からの信号に基づき、レンズ駆動機構20を介して行う。また、解像度変換に際して、光記録装置のプロセス速度が一定のままで解像度を行う場合には、回転多面鏡19の回転速度も、コントローラ18からのデータ信号に基づき、回転多面鏡駆動回路19により、(β/α)倍に変換される。
【0025】
さて、上述した光学系の各変数に具体的な数値を代入して600(dot/inch)の解像度をもつ光記録装置を480(dot/inch)の解像度に変更する場合を考えてみる。
【0026】
まずは600(dot/inch)の光記録装置の場合である。
【0027】
複数ビーム光源1の発光スポット径を5(μm)、ビーム間隔を0.15(mm)、レンズ5の焦点距離をfcol=20(mm)、レンズ6の焦点距離をfL1=200(mm)、レンズ7の焦点距離をfL2=400(mm)、レンズ8の焦点距離をfcyl=200(mm)、レンズ10の焦点距離をfFθ=400(mm)、レンズ10の倍率をm=2(倍)とすると、感光ドラム11での結像スポットの間隔は、
dmain´=1.5(mm) …(10)
となる。
【0028】
また、主走査方向、副走査方向の光学系の全体倍率をそれぞれmmainおよびmsub 、主走査方向、副走査方向の結像スポット径をそれぞれωx、ωyとすると、
mmain=10(倍) …(11)
msub=10(倍) …(12)
ωx=50(μm) …(13)
ωy=50(μm) …(14)
となる。
【0029】
また、感光ドラム11上結像スポット列の走査線に対する角度Ψは、Ψ=1.617(deg)に設定すれば、(9)式より、
p´=0.15・((200・400)/(20・400))・sin 1.617=42.3(μm) …(15)
となり、解像度600(dot/inch)の走査線間隔になる。
【0030】
つぎに、上述した光学系において、記録画像の解像度が600(dpi)から480(dpi)に変更された場合について検討する。
【0031】
この場合、必要条件として、走査線間隔を(600/480)倍にする必要がある。このためには、(9)式より、fL1、fFθのどちらかを(600/480)倍に、あるいはfcol、fL2のどちらかを(480/600)倍にすることによって実現できる。
【0032】
本発明における設計例の1つを図5に示す。図5に示した光学系では、ビームエキスパンダを校正しているレンズ6とレンズ7において、レンズ7の前方に、焦点距離fs3=4000(mm)の平凸レンズ23、焦点距離fs1=200(mm)のシリンダレンズ21、焦点距離fs2=−300(mm)のシリンダレンズ22の計3枚組からなる解像度変換レンズ系24を新たに追加することによって、レンズ7、解像度変換レンズ系24の合成焦点距離を、主走査方向(図5のx方向)で0.973倍に、副走査方向(図5のy方向)で0.8倍に変換している。ただし、この設計例では、使用波長におけるレンズ21、レンズ22、レンズ23の屈折率を1.5、レンズ厚みを3(mm)として計算した。これにより、感光ドラム上の走査線間隔は、(15)式の(600/480)倍、つまり、p´=52.9(μm)になる。一方、この時の主走査方向、副走査方向の光学系全体倍率をそれぞれmmain´、msub´、主走査方向、副走査方向の結像スポット径をそれぞれωx´、ωy´とすると、(4)〜(7)式より、
mmain´=10.3(倍) …(16)
msub´=12.5(倍) …(17)
ωx´=51.3(μm) …(18)
ωy´=62.5(μm) …(19)
となり、記録画像の解像度が600(dpi)から480(dpi)に変更されることがわかる。
【0033】
さて、上述した設計例において、レンズ7の前方に配置するレンズが、シリンダレンズ21、シリンダレンズ22のみである場合には、シリンダレンズ21、シリンダレンズ22のレンズ厚みによってレンズ6とレンズ7の配置関係で光学的距離がfS1+fS2でなくなるため、レンズ7出射光を主走査方向で平行光にすることはできない。解像度変換レンズ系24の平凸レンズ23、これを補正するための役割をもつ。この平凸レンズ23の配置位置は、下記(A)式によって定められる。
a2+(HHS3+δ)・a−(HHS3+δ)・fS3=0 …(A)
ここで、aは光学系中のビームエキスパンダを構成するレンズのうち、後方のレンズの前側焦点位置から球面レンズの入射側主面位置までの距離、fS3は球面レンズの焦点距離、HHS3は球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、n1は第1のシリンダレンズの屈折率、n2は第2のシリンダレンズの屈折率、t1は第1のシリンダレンズの中心厚み、t2は第2のシリンダレンズの中心厚みである。
【0034】
また、δは下記(B)式で表される。
δ=(t1+t2)−(n1・t2+n2・t1)/(n1・n2) …(B)
上記(A)式中のδがシリンダレンズ21、シリンダレンズ22のレンズ厚みによる光路長補正量であり、δの算出式である(B)式に、屈折率n1=n2=1.5、レンズ厚みt1=t2=3(mm)としてδを計算すると、δ=2(mm)を得る。また、平凸レンズ23の入射側主面と出射側主面との間隔であるHHS3は、平凸レンズ23の屈折率とレンズ厚みをそれぞれ、1.5(mm)、3(mm)とすると、HHS3=1(mm)となる。これらの数値とfS3=4000(mm)を(A)式に代入すると、
a2+3a−12000=0 …(A´)
となり、(A´)式を解いて、a=108.05(mm)、a=−111.05(mm)を得る。このうち、図5に示すように、実用解としてレンズ7の前側焦点位置から平凸レンズ23の入射側主面位置までの距離としてa=108.05(mm)の配置を採用している。
【0035】
なお、ここで算出したレンズ7の前側焦点位置から平凸レンズ23の入射側主面位置までの距離であるaの値はあくまで設計値であり、実際に光学部品を組立てるに場合に、aの値を設計値に完全に一致させることは不可能である。しかし、上述した系においては、aのトレランスは緩慢であり、実用上のaの範囲としては±10%程度あっても問題はない。つまり、a=108.05(mm)の設計値に対し、a=97.2(mm)からa=118.9(mm)程度の範囲内であっても、感光ドラム上の結像スポットにもそれほど影響を及ぼすことはないので実用上は許容できるレベルとなる。
【0036】
上述の設計例からわかるように記録画像の解像度が変更されたとき、副走査方向の光学系倍率は、元の光学系倍率の(600/480)倍=1.25倍になる。つまり、msubを解像度がα(dpi)のときの副走査方向の光学系全体倍率、msub’を解像度がβ(dpi)のときの副走査方向の光学系全体倍率とすると、msub’=(α/β)msubになっている。一方、主走査方向の光学系倍率は、元の光学系倍率の(600/480)倍以下ならばよいので、一般的には、mmainを解像度がα(dpi)のときの主走査方向の光学系全体倍率、mmain’を解像度がβ(dpi)のときの主走査方向の光学系全体倍率とすると、mmain’<(α/β)mmainを満足させ、一方、下限については元の主走査方向結像スポットよりも小さくならないための制限としてmmain≦mmain’を満足する範囲内で設計すればよい。
【0037】
つまり、mmain<mmain´≦(α/β)mmainを満足させればよく、(14)式はこれを満足している。このとき、(14)式のように、主走査方向の光学系倍率の変化率を小さめに設定し、mmain´をmmain近傍に近づければレンズ7と解像度変換レンズ24による合成焦点距離はレンズ7単体の場合と殆ど変化しないことになるので、多ビームの主光線が回転多面鏡の入射面内で主走査方向に広がってしまうのを防ぐことができる。これにより、回転多面鏡の反射面のエッジでビームのケラレが生じ、広い走査域を確保できなくなるという問題は解消され、広い走査域が達成できる。
【0038】
なお、図6は光学系を構成する各部品の光軸回りの回転角Δγに対する走査線間隔の変化率ΔPrateを示している。図6より、解像度変換レンズ系24の光軸回り回転による走査線間隔の変化率は、他の光学部品の回転に対するそれよりも感度が低く、−0.155(1/deg)、つまり1(deg)回転させても、走査線間隔はp´=52.9(μm)から、−0.155×52.9=−8.2(μm)だけ変化し、52.9−8.2=44.7(μm)にしかならない。解像度変換レンズ系24の光軸回りの回転は、感光ドラム上の像面には影響しないので、光軸回りの回転により、480(dpi)時に独立し、しかも他の部品による走査線間隔調整よりも感度の低い、つまり平易で裕度の高い調整手段が実現できることになる。
【0039】
この解像度変換レンズの特性を一般化すると、本発明の光記録装置では、解像度変換レンズ系24の配置位置を、解像度変換レンズ系24の光軸回りの回転角度と走査線間隔の変化率が下記(C)式を満足させる位置とすれば、解像度変換レンズの回転調整により、平易で裕度の高い、かつ解像度変換後の光学系において独立した走査線間隔調整が実現できる。
0≦|ΔPrate/Δγ|<1/2 …(C)
但し、ΔPrateは解像度変換レンズ系の光軸回り回転による走査線間隔の変化率、Δγは解像度変換レンズ系の光軸回り回転角度(deg)である。
【0040】
これにより、記録画像の解像度毎に独立した走査線間隔の調整方法を提供することができる。
【0041】
以上、上記実施例では光記録装置で用いるビーム本数を3本としたが、ビーム本数はこれに限るものではなく3本以上であってもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数のビームを感光ドラム上に結像、走査し光記録を行う光記録装置において、異なった解像度を持つ画像を記録可能にし、しかも、平易で裕度の高い調整手段により感光ドラム上の結像スポット、走査線間隔の解像度毎に独立に調整可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録装置の全体の概略構成図。
【図2】本発明の光記録装置の主走査方向の回転多面鏡前光学系。
【図3】本発明の光記録装置の副走査方向の回転多面鏡前光学系。
【図4】回転多面鏡面上のビームを示す図。
【図5】解像度変換レンズ系の一例を示す図。
【図6】光学系を構成する部品の光軸回り配置誤差感度を示す図。
【符号の説明】
1は複数ビーム光源、5,6,7,23はレンズ、8,21,22はシリンダレンズ、9は回転多面鏡、10は走査レンズ、11は感光ドラム、17はレーザ変調回路、18はコントローラ、19は回転多面鏡駆動回路、20は解像度レンズ系駆動回路、24は解像度変換レンズ系である。
Claims (3)
- 多ビームからなるレーザ光を光学系を介して感光ドラムに結像スポット列として結像し、該結像スポット列を前記感光ドラム上で斜めに配列して走査することにより光記録を行う光記録装置において、前記光学系には少なくとも1つのビームエキスパンダを具備し、前記光学系内に新たに球面レンズ1枚、および副走査方向にのみレンズパワーを有するシリンダレンズ2枚により構成される解像度変換レンズ系を着脱制御し、前記球面レンズは下記(A)式および(B)式を満足するaの位置に配置することにより、解像度の異なった記録画像を実現可能としたことを特徴とする光記録装置。
a2+(HHS3+δ)・a−(HHS3+δ)・fS3=0・・・(A)
δ=(t1+t2)−(n1・t2+n2・t1)/(n1・n2)・・・(B)
(但し、aは光学系中のビームエキスパンダを構成するレンズのうち、後方のレンズの前側焦点位置から球面レンズの入射側主面位置までの距離、fS3は球面レンズの焦点距離、HHS3は球面レンズの入射側主面と出射側主面との間隔、n1は第1のシリンダレンズの屈折率、n2は第2のシリンダレンズの屈折率、t1は第1のシリンダレンズの中心厚み、t2は第2のシリンダレンズの中心厚みである。) - 請求項1記載の光記録装置において、記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、前記マルチビーム走査装置の光学系内に着脱される解像度変換レンズ系は、下記(C)式および(D)式の条件を満足するように、前記光学系の全体倍率を変換せしめ、且つ前記解像度変換レンズ系を光軸回りに回転調整するための回転機構を設けることにより感光ドラム上の走査線間隔を調整可能とし、さらに前記解像度変換レンズ系の配置位置は、前記解像度変換レンズ系の光軸回りの回転角度と走査線間隔の変化率が下記(E)式を満足させる位置であることを特徴とする光記録装置。
mmain<mmain’≦(α/β)mmain・・・(C)
msub’=(α/β)msub・・・(D)
0≦|ΔPrate/Δγ|<1/2・・・(E)
(但し、mmainおよびmsubは解像度がα(dpi)のときの主走査方向および副走査方向の光学系全体倍率、mmain’およびmsub’は解像度がβ(dpi)のときの主走査方向および副走査方向の光学系全体倍率、ΔPrateは解像度変換レンズ系の光軸回り回転による走査線間隔の変化率、Δγは解像度変換レンズ系の光軸回り回転角度(deg)である。) - 請求項1記載の光記録装置において、記録画像の解像度がα(dpi)からβ(dpi)に変更されたとき、コントローラからの指令に基づき前記光学系内への解像度変換レンズ系を挿入、離脱を行い、また、前記光学系の構成部品の1つである回転多面鏡の回転速度、および感光ドラム上を走査する結像スポットの変調速度を(β/α)倍に変更して記録画像の解像度変換を行うことを特徴とする光記録装置。
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