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JP4284275B2 - 通信方法及び通信装置並びに通信システム - Google Patents

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JP4284275B2 JP2004534055A JP2004534055A JP4284275B2 JP 4284275 B2 JP4284275 B2 JP 4284275B2 JP 2004534055 A JP2004534055 A JP 2004534055A JP 2004534055 A JP2004534055 A JP 2004534055A JP 4284275 B2 JP4284275 B2 JP 4284275B2
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Description

本発明は通信方法及び通信装置並びに通信システムに係り、特にスポット的に発生する大量のユーザデータの高速転送を、通常の通信に影響を及ぼすことなく実施可能にするシステムを提供し得る通信方法及び通信装置並びに通信システムに関する。
移動通信の分野において、携帯電話端末の普及等に伴って携帯端末に係るトラフィックは増大する傾向にある。特にオペレータ(事業者)によるサービス・コンテンツの拡充、特にウェブ・ベース・コンテンツの拡充等により、結果的にウェブ・サイトへのアクセス、コンテンツのダウンロード等によるトラフィックの増大が発生している。他方これに要される無線リソースは有限であるため、ある携帯端末が大量のユーザデータを送受信する処理を実施時には同じ基地局エリア内の他の携帯端末による通信に支障が来たされるという事態の発生が危惧される。
従来、このような移動通信システムでは、ある基地局がカバーする範囲内に存在する携帯電話端末に対しては、当該基地局及びそれに隣接する基地局を経由した通信によるデータ伝送が可能とされている。又、同一基地局がカバーする範囲内においては、通常の通話信号も、それ以外の上記ウェブコンテンツ等のユーザデータを送信する信号も共通の無線リソースを使用して伝送されている。従って、同一基地局のカバー範囲内に数多くの携帯電話端末が存在する場合、その中のある端末がウェブ・コンテンツのダウンロード等の高速データ転送処理を行なった場合、それが終了するまでは他の端末による通信が不可能となってしまうような状況が発生する可能性があった。
本発明は上記状況に鑑み、基地局エリア内の他の通信に影響を及ぼす事なく、同時に高速に大量のユーザデータの通信を実施できる環境を提供することを目的とする。即ち、現存する移動通信技術の枠組みを変更することなく、本来移動通信とは独立して実施されている高速通信機能をシームレスな形で移動IP通信網に融合させ、もって移動IP通信網におけるスポット的な高速通信を可能にすることを目的とする。
本発明は、基地局がカバーする範囲内に従来の移動通信網経路の通信と比較して遥かに高速な通信が可能である無線LAN等を適用出来るエリアを設け、その利用要求といった信号情報を従来の移動通信経路を利用し基地局制御装置に伝え、もって通常の通話信号の伝送に供される経路と、それ以外の高速転送ユーザデータ伝送に供される経路との分離を行い、通常の信号通信に影響を与えることなく、当該適用エリア内でのスポット的な大量のユーザデータの高速通信の実施を可能にする技術に関する。
即ち、本発明は移動端末による所定の移動通信網による通信と、当該所定の移動通信網とは異なる所定の無線通信網による通信とを可能にする通信方法であって、移動端末が上記所定の無線通信網による通信サービスを受けることが可能な状態になった場合に当該移動端末は当該通信サービス用の所定のアドレスを取得し、当該取得アドレスを前記所定の移動通信網による信号転送機能を利用して当該移動通信網による通信を制御する制御手段に通知し、当該アドレスの通知を契機として前記移動端末と制御手段との所定のデータのやりとりを前記所定の無線通信網を介して実現するためのセッションを確立する段階を有する。
このような構成を採用することにより、既存の移動通信網の機能をそのまま利用した比較的簡易な手法で、異なる所定の無線LAN等の無線通信網による通信サービスをスポット的に実施可能な環境を構築し得る。従って、比較的簡易な構成にて、既存の移動通信網サービスの運用の中で、通常の通話信号伝送、小容量のデータ通信等に影響を与えることなく同時に高速大容量転送無線通信サービスを随時実施可能となる。
更に、本発明では、上述の、既存の移動通信網サービス運用の中で高速大容量データ転送無線通信サービスを導入するシステムにおける新たな課題としての、当該異なる2種類の無線通信サービスを受けるための携帯移動端末装置におけるバッテリ消耗の問題に注目した。そして当該課題の解決のため、所定のデータ転送を行なうための通信手段としての上記既存の移動通信網による通信と、これとは別の所定の無線通信網による通信との切り替えを適宜行い、且つその間、当該携帯移動端末が備える上記所定の無線通信網による通信に係る部分を適宜非活性化する構成を備えた。
その結果、特に比較的電力消費率の大きいことが予測される、携帯移動端末装置内の高速大容量データ転送無線通信サービスに係る部分を適宜非活性化、即ち当該部分に対する電源供給を遮断することにより、当該携帯移動端末装置の消費電力を効果的に低減出来る。従って当該携帯移動端末装置の待ち受け時間を維持し且つスポット的に発生する高速大容量のデータ転送サービスを提供可能な構成が実現可能となる。
図1は本発明の各実施例に適用可能なシステム構成例を示す図(その1)である。
図2は、本発明の第1実施例による無線通信システムにおけるユーザデータ経路の確立及び、それがUTRAN経路から無線LAN経路に変わるまでのシーケンスを示す図である。
図3は、図2に示すシーケンスにおけるPDPコンテキスト処理手順の詳細を示し、その中で無線LAN希望パラメータがRNCへ届くまでの流れを示すシーケンス図である。
図4は、図2に示すシーケンスにおける、無線LANのエアステーションのDHCP機能によるMSへの無線LAN環境化でのみ使用可能なIPアドレスの付与に関する説明図である。
図5は、図2に示すシーケンスにおける、MSからRNCへの従来のUTRANの経路を使用した『無線LAN使用可能』通知に関する説明図である。
図6Aは、図2に示すシーケンスにおける、MSからRNCへの通信情報の流れを説明するための図である。
図6Bは、図6Aに示る通信動作によって得られる情報によってRNCが作成・保持する『移動端末情報対応表』の説明図である。
図7は、図2に示すシーケンスにおける、『移動端末情報対応表』参照によるパス単位での経路切り替えの説明図である。
図8は、図2に示すシーケンスにおける、無線LAN経路によるユーザデータ転送時のパケットフォーマットの説明図である。
図9は、本発明の各実施例に適用可能なシステム構成例を示す図(その2)である。
図10は、本発明の第2実施例による、ユーザデータ経路の確立及び、それがUTRAN経路から無線LAN経路に変わるまでのシーケンス図である。
図11は、本発明の各実施例に適用可能な移動端末の機能ブロック図である。
図12は、本発明の各実施例に適用可能な移動端末のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
図13は、本発明の第4実施例による、ユーザデータ経路の確立及び、その後の処理の流れを示すシーケンス図である。
図14は、本発明の第5実施例による、ユーザデータ経路の確立及び、その後の処理の流れを示すシーケンス図である。
以下、図面と共に本発明の実施例について詳述する。
本実施例は基本的には所謂第3世代移動通信システム「IMT2000」の仕様作成に携わるプロジェクトグループである3GPPによる移動通信システムであり、例えば図1に示す如くの構成を有する。
当該通信システムは大別して無線アクセスネットワーク(UTRAN)と、位置制御・呼制御・サービス制御を司るコアネットワーク装置(CN)40とよりなり、前記無線アクセスネットワークUTRANは基地局制御装置(RNC)30と無線基地局としてのノードB20とよりなる。
コアネットワーク装置40と基地局制御装置30とは所謂Iu(インターコネクション・ポイント)インタフェースによって接続され、基地局制御装置30は無線リソースの管理、各ノードB20の制御等を行う。各ノードB20は、一又は複数のセルをカバーし、図1の例では範囲R1の地域をカバーしている。
他方、基地局制御装置30は、イーサネット(登録商標)等の通信網によってルータ60経由で、所定の無線LANによるスポット的な通信サービスを提供するためのエアステーション50と接続されている。このエアステーション50はDHCP(ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル)サーバ70を備え、配下にある端末10に対してIPアドレスを自動的に付与するDHCP機能を有する。当該エアステーション50の報知電波によってカバーされる範囲は、図1の例では範囲R2の地域である。
ユーザが持つ各移動端末10は、例えば携帯電話機であり、ノードB20のカバーする範囲R1内に存在する場合にノードB20との間が所定の無線通信路によって繋がれ、他方無線LANのエアステーション50のカバーする範囲R2内に存在する場合に当該エアステーション50との間が同様に所定の無線通信路によって繋がれる。ここでノードB20との間の通信では、通常、一般の通話通信、伝送データ量の少ないパケット通信を行い、他方、無線LANのエアステーション50との間の通信では、比較的伝送データ量の大きい高速大容量パケット通信を行なう。
本構成において実行される通信制御動作の概略は以下の通りである。
即ち、移動端末10では、無線LAN側の電波を受けた場合IPアドレスを提供しているDHCPサーバ70に対してIPアドレスを要求し、端末10がこのようにして無線LAN側から得たIPアドレスをテンポラリIPアドレス・パラメータという新たな報告情報として『受信電波状況報告(Measurement Report)』信号に付加して無線基地局30へ送る。又、当該端末10のユーザは、通信起動時の端末の操作によって『無線LAN−希望パラメータ』をコンテキスト情報に折り込むことが可能である。
他方アクティブPDPコンテキスト・リクエスト信号情報を受信したコア側装置40は、その中に含まれる上記『無線LAN希望パラメータ』をRABアサイメント・リクエスト信号の新たな情報要素として該当する基地局制御装置30に通知する。基地局制御装置30は、所定の『移動端末情報対応表』上にて「端末識別子情報−テンポラリIPアドレス−通信パスのコンテキスト情報」を格納し、端末10からの『受信電波状況報告(Measurement Report)』受信をトリガーとして、同表中の対応の箇所を参照する。
基地局制御装置30がこの『移動端末情報対応表』の参照結果に基づき通信経路の変更の要否を判断し、当該経路を無線LAN経由に切り替える場合、ユーザデータをIPオーバーIPの形態とし、その外側のヘッダに無線LAN環境で得たIPアドレスを入れて送り出す。
又、基地局制御装置30は自身のIPアドレスをIPアドレス・パラメータという新たな情報として『測定停止命令(Measurement complete)』に含めて端末10に送る。
このような処理によって、端末10が無線LANの使用できる環境においてDHCPサーバ70より新たなIPアドレスを得、それを基地局制御装置30へ通知し、基地局制御装置30が本IPアドレスを宛先アドレスとして使い無線LAN経路という新たな通信経路を通した端末10との通信を実行する。
又、端末10が無線LAN環境で得たIPアドレスを『受信電波状況報告(Measurement Report)』信号の新たなパラメータ情報として付加することにより、本情報を既存の信号を利用して基地局制御装置30に送ることが可能となる。
又、通信起動時の端末操作により『無線LAN希望パラメータ』を指定することにより、端末利用者は無線LAN経路を使いたい意志を通信のコンテンツ毎に決定出来る。又そのパラメータを新たなコンテキスト情報として付加することにより、本情報を既存の信号(アクティブPDPコンテキスト・リクエスト)を通じて網側に伝達可能となる。
又、このアクティブPDPコンテキスト・リクエスト信号を受信したコア側装置40がそこに含まれる『無線LAN希望パラメータ』を既存の信号(RABアサイメント・リクエスト)の新たな情報要素として付加して基地局制御装置30へ送ることにより、端末10から入力された加入者の要求が、基地局制御装置30にてコンテキスト情報として保持される。
そして基地局制御装置30が『移動端末情報対応表』を持ち、端末10に対して張られているデータパスに関する全ての情報をそこで一括管理し、もって基地局制御装置30自体が経路の切り替えの要否を判断出来る。又、『受信電波状況報告(Measurement Report)』の受信を本対応表の参照の契機とすることにより、随時適切な経路にデータを振り分ける動作を起動することが可能となる。
又、端末10が無線LAN環境で得たIPアドレスをIPオーバーIP形態でカプセル化したパケットの外側のヘッダ情報として送信するため、これを利用して無線LANを通信経路とした基地局制御装置30と端末間10のセッションが確立出来る。
このようにして、端末10の使用できる無線LAN環境を移動IP通信網にある基地局制御装置30に知らせ、これによって所定のパスを通って供給されたユーザデータを無線LAN経路のデータ転送へと変更するための判断を行なうことが出来、結果的に、随時、基地局制御装置30と端末10間のユーザデータ通信経路を無線LAN経由に変更することが可能になる。従って無線LANという本来移動通信とは独立して実現されている高速通信機能をシームレスな形で移動体IP通信網に融合させ、移動通信網サービスの運用の枠内でスポット的な高速通信サービスを提供可能となる。
上記構成では、通常は移動体通信網本来のアクセス機能を利用し、無線LANを利用可能なエリアS2にユーザが移動した時に、自動的に無線LANによるデータ通信に切り替えることが可能である。この場合、無線LANによるデータ通信を希望するユーザは、無線LANのサービス提供エリアS2内にいるかエリア外にいるかに関わらず、常に移動端末10に搭載されている無線LAN装置を活性化しておくことが考えられる。
その際、当該無線LAN装置は、上記エリアS2に居る限り、自身宛であるか否かに関わらず、無線LANのエアステーションから送信される全ての無線フレームを受信し、その都度受信フレームの宛先MACアドレスを調べる処理を行う。従って、当該移動端末10における消費電力量が大きくなる。
又、ユーザが無線LANのサービス提供エリアS2内にいて、データの送受信を行う際に、データ量が比較的小さく、無線LANによる通信システムで予め用意されている回線容量では過剰であって本来の移動体通信網のアクセス手段の回線容量で十分な場合であっても、常に無線LANによる通信システムを経由したデータ送受信が行われることが考えられる。この場合、無線LAN装置の消費電力は本来の移動体通信網による通信動作の場合に比べて大きいため、必要以上に移動端末10の電力を消費することになる。
他方、通常移動通信網による通信で使用される移動端末10は搭載されているバッテリで稼動するため、消費電力量の増加により待ち受け時間が短くなると使い勝手が悪くなってしまう。そのため、上記3GPPでは、予め夫々の移動端末をいくつかの着信群に分けておき、PICH(Page Indication Channel:物理チャネルの一種)を使って、特定の着信群に対して着信ありとの通知を行なう。このPICHで着信ありとの通知を受けた移動端末(複数)では、S−CCPCH(Secondary Common Control Physical Channel:物理チャネルの一種)にマッピングされたPCH(Paging Channel:トランスポートチャネルの一種)を受信する。その際、待ち受け中の移動端末は自身が所属する着信群向けのPI(Paging Indicator)のみを受信し、着信ありとの通知を受けた場合にのみS−CCPCH/PCHを受信する。従って受信時の消費電流が効果的に低減され、結果的に移動端末における消費電力の削減を図っている。尚、当該システムの詳細については、例えば「W−CDMA移動通信方式」、立川敬二監修、丸善株式会社発行、第4版、222乃至223ページ、「(ii)間欠受信制御」等に開示されている。ここでは、上記PICHの1無線フレーム毎に10ms程度の間、電流が消費される。
他方、無線LANによる通信システムでは、あるアクセスポイントとその配下の送受信端末との間では、一種類のチャネルで全ての電波の送受信を行っている。そして、電波競合(フレームの衝突)を避けるための技術として、CSMA/CA+ACK(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance with Acknowledgement)やRTS/CTS(Request to Send/Clear to Send)等の手法が適用されている。このCSMA/CA+ACK方式では、何の予告もなしに、送信側が受信側へ電波を送信する場合がある。又、上記RTS/CTS方式では、送信側がRTS(送信予告)を行いCTS(受信了解)を受けた上で、データ送信を行うが、これらRTSやCTSは全ての端末が受信する。従って、いずれの手法でも、送受信端末は常に電波を受信できる状況にある必要があり、そのため、当該端末における電力消費量が増大することとなる。尚、上記電波競合の技術として、例えば「日経NETWORK 2000年9月号」の66乃至67ページに記載の「電波競合はどう避ける?」等にて開示されている。
このように移動通信網による通信システムでは端末の消費電力を低減する技術が適用されているが、他方無線LANによる通信システムでは未だこのような技術が確立されていない。このため、無線LANによる通信システムをそのまま既存の移動通信網による通信システムに組み入れて適用した場合、上記電力消費量のアンバランスに起因して結果的に個々の移動端末の消費電力量が増大して一回のバッテリ充電による移動端末の待ち受け時間が大幅に減少し、もってユーザにとっての使い勝手が悪化する恐れが生じる。
本発明の実施例では上記課題に鑑み、移動通信アクセス手段利用の形態から無線LAN利用の形態へのデータ通信の切り替えを選択的に行うことを可能とすることで消費電力を削減し、ユーザがバッテリ給電で移動端末を利用している時の稼動時間を長くして、ユーザの利便性を向上させる構成を適用している。
即ち、上述の如く、無線LANを利用した無線データ通信では、電波の届く範囲に存在する全ての移動端末に無線フレームが届き、電波を受信した移動端末は全ての無線フレームの宛先MACアドレスと、自身のMACアドレスとを比較し、その比較の結果自分宛で無かった場合はその無線フレームを破棄し、自分宛だった場合のみその無線フレームの取り込みを行う。このように自分宛ではない無線フレームに対しても常に受信・比較動作を行うため、無線LANサービス利用状態ではそれ以外の状態に比して移動端末における消費電力量が著しく増大してしまうことが考えられる。従ってデータ通信の有無に関わらず常に無線LAN装置を活性化するような方式を適用した場合、電力の消費量が増大してしまう。
上記課題の解決のため、本発明の実施例では、移動端末が無線LAN使用可能エリアへ移動した時に常に無線LANサービス利用可能状態に移行する方式を止め、移動通信アクセス手段によるサービスから無線LANによるサービスへのデータ通信の切り替えを選択的に行うことで各端末における消費電力の削減を図る。その結果、ユーザがバッテリ給電で移動端末を利用している時の稼動時間を延長しユーザの利便性を向上させることが可能となる。
即ち本発明の実施例では、移動端末10が無線LANサービス使用可能なエリアS2に居たとしても、実際にデータの送受信を行わない時は当該移動端末10に搭載されている無線LAN装置を非活性化のまま、即ち無給電状態にしておき、他方ユーザ、移動端末自体或いは当該移動通信網に、無線LANによるデータ送受信を行うか否かを判断する機能を設ける。
そして当該判断のための基準としては、データ送受信量、バッテリ残量、移動通信網・無線LANの無線リンクの帯域空き状況等、又はこれらの組み合わせを用いる。そしてユーザ、移動端末あるいは移動通信網によって無線LANによるデータ送受信を行うと判断され、実際にデータ送受信を行う時にのみ無線LAN装置を活性化し、即ち給電し、電波の送受信と受信したMACフレームの宛先確認処理を可能とする。そしてデータ送受信が終わった時点で手動または自動的に当該無線LAN装置を再び非活性化する。
このような構成とすることにより、必要な時だけ無線LAN装置を活性化し、不要になった時は非活性化するため、移動端末の電力消費を必要最小限に抑えることが出来る。もって移動端末のバッテリによる稼働時間を延ばすことが可能となり、無線LANシステムの組み込みによっても従来の移動通信方式における利便性を保つことが可能となる。
上記の如く、本発明の実施例による通信システムは移動端末10、基地局制御装置30、無線基地局20、無線LANサービスを提供するためのエアステーション50及びコアネットワーク装置40によって構成されている。以下に、本発明の第1実施例におけるこれら各装置の構成について述べる。尚、以下に示す第1実施例では、移動端末10にデータをダウンロードする際の通信データ量に基づいてUTRAN経由、即ち従来の移動通信網によるデータ転送と無線LANによるデータ転送とを切り替える。
まず、移動端末10の構成について述べる。移動端末10はUTRAN経路でのIP通信機能及び無線LAN経由でのIP通信機能を持つ。又、移動端末10にはエンド・ツー・エンドでの通信のためのIPアドレスが予め割り当てられている。このIPアドレスは、UTRAN経路、無線LAN経由の夫々におけるIP通信に使用される。
更に移動端末10はユーザが無線LANによるデータ通信を希望することを、PDPコンテキスト情報に付加して、基地局制御装置30に通知する機能を持つ。本通知に使用する情報を『無線LAN希望パラメータ』と呼ぶ。又移動端末10はUTRAN経由の通信状態から無線LANによる通信状態への切り替えの際の「閾値」を上記PDPコンテキスト情報に付加して、基地局制御装置30へ通知する機能を持つ。但し、上記閾値は、基地局制御装置30にて、その配下の全移動端末10共通の値として、固定的に設定することも可能であり、その場合、上記通知機能は不要となる。
又、移動端末10は基地局制御装置30からの指示(信号)により、自身が搭載する無線LAN装置の電源のオン・オフを切り替える機能を持つ。そして、移動端末10は、基地局制御装置30からの指示により、無線LAN装置の電源をオンにした際に、エアステーション50からの電波を受信する事で、無線LAN経由での通信が可能である事を判断する機能を持つ。
ここで移動端末10は、無線LANによる通信に先立ち、エアステーションに設けられているDHCPサーバ70のDHCP機能により無線LANのエアステーション経由でIPアドレスを取得する。このIPアドレスは上記エンド・ツー・エンド通信用に予め割り当てられているIPアドレスとは異り、基地局制御装置30と移動端末10との間にトランスポート層を設定するために使用され、このIPアドレスをテンポラリIPアドレスと呼ぶ。
移動端末は取得したテンポラリIPアドレスを無線基地局20(従来のUTRAN経路)経由で、UTRANで従来から使用されている受信電波状況報告(Measurement Report)信号を使って、基地局制御装置30へ通知する機能を持つ。また、移動端末10が無線LANのサービスエリアS2外へ移動した場合には、テンポラリIPアドレスを「空白」とした状態で受信電波状況報告(Measurement Report)信号を使い、当該状況を基地局制御装置へ通知する機能を持つ。更に、移動端末10に搭載されている無線LAN装置の電源がオフになった場合も、テンポラリIPアドレスを「空白」とした状態で受信電波状況報告(Measurement Report)信号を使って、当該状況を基地局制御装置30へ通知する機能を持つ。
次に基地局制御装置30の構成について述べる。基地局制御装置30はUTRAN経路でのIP通信能力を持つ。即ち、基地局制御装置30は移動端末10からの上記受信電波状況報告(Measurement Report)信号により移動端末10が送受信可能な無線環境を把握する機能を持つ。尚、これは従来の3GPPによる基地局制御装置が有する機能である。
基地局制御装置30には、無線LANによる通信のためのIPアドレスが割り当てられている。このIPアドレスは上記移動端末10側のテンポラリIPアドレスに対応するものである。又、基地局制御装置30は移動端末10からの受信電波状況報告(Measurement Report)信号に含まれるテンポラリIPアドレスを受信する機能を持つ。
更に基地局制御装置30は、CN40からのアクティブPDPコンテキスト・リクエスト信号に含まれる上記『無線LAN希望パラメータ』を受信する機能を持つ。そして基地局制御装置30は、無線LANによる通信に切り替えるための「閾値」を、上記受信電波状況報告(Measurement Report)信号の一部として移動端末10から受信した場合に、この値を保持する機能をもつ。尚、上記の如く、この閾値を移動端末から受信するのではなく、基地局制御装置30側で、予め固定的に設定されていても良い。又、この閾値が加入者データとして、予めコアネットワーク装置(CN)40内のデータベースに登録されていて、基地局制御装置30が当該データベースからダウンロードしても良い。
又基地局制御装置30は、所定の『移動端末識別子(MSのID)』、『テンポラリIPアドレス』、『割当無線伝送路(Radio Bearer)』、『GTP』、『コンテキスト(無線LAN希望)』、『閾値」間の対応表を作成し、管理する機能を持つ。本対応表は「移動端末情報対応表」と称される。
又基地局制御装置30は、制御部とユーザデータ転送部とを持つ。上記制御部は、上記移動端末情報対応表を参照し、以下に説明する処理を実行することによってユーザデータをUTRANと無線LANのどちらの経路に送り出すかを判断し、ユーザデータ転送部に対して経路切替を指示する機能を持つ。又、上記基地局制御装置30の制御部は、無線LANによる通信機能を持つ移動端末10宛のデータ量が予め設定されていた閾値を超えたことを検出した場合に、当該移動端末10に対して自身の無線LAN装置の電源をオンにするよう指示するための信号を送出する機能を持つ。又、逆に上記データ量が予め設定されていた閾値を下回ったことを検出した場合に、当該移動端末10に対して自身の無線LAN装置の電源をオフするよう指示するための信号を送出する機能を持つ。
更に基地局制御装置30の制御部は、上記無線LAN装置電源オンを指示した移動端末10からの受信電波状況報告(Measurement Report)によって無線LAN経由で通信が可能な旨の通知を受けた場合、その移動端末10へのユーザデータ送信が無線LAN経由で行われるように指示する通信経路切替指示をユーザデータ転送部に送る。他方移動端末10に対して無線LAN装置電源オンを指示した後一定時間経過しても受信電波状況報告(Measurement Report)信号にて無線LAN経由で通信が可能な状態となったことを示す通知を受信しなかった場合、当該移動端末10が無線LANのサービスエリアS2外にいるものと判断し、当該移動端末10に対して無線LAN装置の電源をオフするよう指示するための信号を送出する。尚、移動端末10からの受信電波状況報告(Measurement Report)信号にて無線LAN経由での通信が可能な旨の通知を受けるまでは、従来通り無線基地局20経由、即ちUTRAN経由でMS10に対してユーザデータを送信する。
又、上記基地局制御装置30のユーザデータ転送部は、CN40向けの通信路であるGTPと、MS10向けのUTRAN経由と無線LAN経由の通信路とを終端し、上記制御部の指示に基づいてCN40から受信したユーザデータをMS10へ転送する際、その転送経路をUTRAN経由と無線LAN経由との間で切り替える機能を持つ。又、基地局制御装置30は、上記ユーザデータの転送経路によらず、移動端末10との間の制御信号は従来の無線基地局20経由(UTRAN経由)で送受信するものとする。
次に、無線基地局20の構成について述べる。無線基地局20はUTRAN経由でのIP通信能力を持ち、これにより移動端末10からのユーザデータおよび制御信号を基地局制御装置30へ届け、又基地局制御装置30からのユーザデータ、制御信号を移動端末10に届ける機能を持つ。尚、これは従来の3GPPによるUTRANを構成する無線基地局が有する機能である。
次に無線LANのエアステーション50の構成について説明する。無線LANのエアステーション50は基地局制御装置30とのインタフェースを持っており、基地局制御装置30から送られてきたユーザデータを移動端末10に対して中継する事が出来る。即ち、上記エアステーション50の基地局制御装置30とのインタフェースはユーザデータ転送機能を持ち、移動端末10と基地局制御装置30間のユーザデータ転送の仲介を行う機能を持つ。即ち、有線インタフェース(イーサネット(登録商標)等)上のフレームフォーマットと無線通信(無線LAN)上のフレームフォーマットとの間の変換機能を有する。
又エアステーション50はDHCPサーバ70に接続しており、配下にある移動端末10に対しIPアドレス(上記テンポラリIPアドレスに相当する)を要求に応じて自動的に付与する機能を持つ。
次にコアネットワーク装置40の構成については、従来の3GPPによる移動通信方式におけるコアネットワーク装置の構成と同様でよく、従来の加入者管理・移動管理等の機能をそのまま活かした構成とする。
以下に、本実施例の通信シーケンスについて図2乃至図8と共に説明する。尚、図2のおいて実線は従来のUTRAN経由での信号伝送の流れを示し、破線は無線LAN経由での信号の流れを示す。又、上記3GPPで規定されている装置名称に従い、前述の移動端末10を『MS』、基地局制御装置30を『RNC』、無線基地局20を『ノードB』、基地局制御装置30に接続されるコアネットワーク側装置40の総称を『CN』と称する。
図2において、ステップS1にて、MS10でのデータ受信の際、RNC30とMS10との間で制御信号路確立の為のRRCコネクション設定手順が実行される。尚、これは従来のUMTS、即ち欧州電気通信標準化協会が定める第3世代移動通信システム「IMT2000」の欧州規格で定義されている処理であり、本手順は3GPP仕様書TS25.331で規定されている。
引き続き、ステップS2にて、ユーザデータ伝送路設定の為のPDPコンテキスト処理手順が実行される。本処理手順の詳細は図3に示すとおりであり、これも上記UMTSで定義された処理であり、本手順は3GPP仕様書TS23.060で規定されている。本実施例では、当該手順で規定されているコンテキスト情報として新たに上記『無線LAN希望パラメータ』を付加する(図3のステップS31)。このPDPコンテキスト処理手順が実行されることにより、ユーザデータを運ぶためにRNC30−CN40間にGTPと呼ばれるパイプが確立される。
尚、この処理手順の中でCN40からRNC30に送られるものとして規定されているRABアサイメント・リクエスト(ステップS32)の情報要素の1つとして『無線LAN希望パラメータ』を追加することで、本パラメータ情報がRNC30に届けられ、そこでコンテキスト情報要素の1つとして格納される(ステップS33)と共に、RNC30とMS10との間のユーザデータ伝送路として、割当無線伝送路(Radio Bearer)が確立される(ステップS34)。
次にステップS3にて、上記の如く確立されたGTPと割当無線伝送路(Radio Bearer)とを使用して従来のUTRAN経路(ノードBG20経由)でのユーザデータ伝送が行なわれる。この際、RNC30の上記ユーザデータ転送部が、CN40から受信したユーザデータを、UTRAN経路へ送出することで、MS10へのユーザデータ伝送が実現される。
ステップS4でRNC30はMS10が受信しているデータの量(トラヒック)の監視を行う。この処理は、従来の3GPP仕様に従った処理としての、データ量に応じて使用される伝送路の割当を共通チャネルと個別チャネルとの間で切り替えるためのRNC30によるトラヒック監視処理の結果を利用する。
次に、ステップS5では、RNC30は上記処理によって得られたデータ量(トラヒック)が、予め定められた所定の閾値を超えたか否かの判断を継続的に行なう。この閾値は、予めRNC30にて固定的に設定されているものとしてもよいし、或いはステップS2にてPDPコンテキスト処理手順の中で、MS10からCN経由でRNC30に通知される情報中に含めて伝送されるものとしてもよい。
次にステップS6にて、RNC30は、ステップS5にてデータ量(トラヒック)が閾値を超えたことを検出し場合、UTRAN経路(ノードB20経由)の制御信号ルートにて、MS10に対して自身の無線LAN装置の電源オンを指示する。具体的には、従来からある個別制御チャネル(Dedicated Control Channel、即ちDCCH)の仕様に、本信号を追加することによって可能である。
ステップS7にて、MS10は、ステップS6の指示を受信した場合、自身の無線LAN装置の電源をオンにし、エアステーション50からの電波を受信する。そしてステップS8にて、当該MS10は本エアステーション50のDHCPサーバ70に対してテンポラリIPアドレスを要求する(図4参照)。
ステップS9にて、無線LANのエアステーション50は、テンポラリIPアドレスをMS10に付与する。このテンポラリIPアドレスは、RNC30とMS10との間で無線LAN経由でユーザデータを通信する際に使用されるトランスポート層を実現するための、MS10側のIPアドレスとなるものであり、上述の如く、MS10がエンド・ツー・エンドの通信で使用IPアドレスとは異なるものである。
次にステップS10では、RNC30は上記受信電波状況要求(Measurement Request)信号をMS10に送る。尚、これは3GPPによるRNCに従来から備わっている機能であり、実際にはMS10に対して周期的に送信されるものである。
ステップS11にてMS10はステップS9にて得たテンポラリIPアドレスを、上記受信電波状況要求(Measurement Request)信号への応答である、受信電波状態報告(Measurement Report)信号に含めてRNC30へ送信する。この結果、RNC30は、本MS10が無線LAN使用可能な環境にいる事を認識する(図5参照)。
他方MS10が無線LANのサービスエリアR2外に居る場合、ステップS9にてテンポラリIPアドレスを得ることが出来ないため、RNC30に対して返送する受信電波状態報告(Measurement Report)信号においてテンポラリIPアドレスを付加して通知することが出来ない(ステップS11A)。
次にステップS12にて、RNC30はステップS6にてMS10に無線LANの電源オンを指示してから一定時間経過するまでMS10からの受信電波状態報告(Measurement Report)信号にテンポラリIPアドレスが含まれていなかった場合、MS10が無線LANのサービスエリアR2外に居るものと判断し、MS10に対して無線LANの電源オフを指示する。
次にステップS13にて、MS10はステップS12にてRNC30から無線LANの電源オフ指示を受信した場合、自身の無線LAN装置の電源をオフし、UTRAN経由でのデータ受信を続行する。
又、RNC30は上記移動端末情報対応表を作成し管理する(ステップS14)。この移動端末情報対応表は、例えば図6Bに示す構成を有し、『移動端末識別子(MSのID)』、『テンポラリIPアドレス』、『割当無線伝送路(Radio Bearer)』、『GTP』、『コンテキスト(無線LAN希望)』、及び『閾値』が含まれる。
ステップS15にてRNC30は上記ステップS14で作成された移動端末情報対応表に基づき、データ転送経路を無線LAN経路へ切り替える必要が有るか否かを判断する。具体的には移動端末情報対応表に、『無線LAN希望パラメータ』と『テンポラリIPアドレス』とが含まれている移動端末宛のデータ通信量が上記閾値を超えた場合に、当該移動端末10について上記RNC30の制御部が経路切り替え必要と判断し、RNC30のユーザデータ転送部に対して、無線LAN経路への切替を指示する。
この場合ステップS16にて、RNC30のユーザデータ転送部はユーザデータをテンポラリIPアドレス宛に送信することで、無線LAN経由でのユーザデータ送信が実現される。即ち、図7に示される如く、無線LANのエアステーション50によるデータ伝送路を使用した経路へとユーザデータ転送経路が切り替えられる。以上の手順により、図8に示す如く、ユーザデータは無線LAN経路で当該MS10へと転送される。
他方、従来の3GPP仕様では個別チャネルのデータ通信量が減少した場合に、当該移動端末の通信経路が自動的に共通チャネルに切り替えられる。本発明の実施例では本仕様に従って、上記の如くユーザデータの伝送路が無線LAN経由に切り替わった後も、ステップS3にて設定された割当無線伝送路(Radio Bearer)は保持される構成とする。尚、3GPP仕様そのままでは、無線LANへの通信経路切り替え後、割当無線伝送路(Radio Bearer)の個別チャネルから共通チャネルへの切り替えまで、ある程度の時間を要するため、ユーザデータについての無線LANへの通信経路切り替え直後に、強制的に割当無線伝送路(Radio Bearer)を個別チャネルから共通チャネルへ切り替えるように構成することが望ましい。
又、ステップS17にて、RNC30はステップS4にて開始したデータ量(トラヒック)の監視を継続しており、データ量(トラヒック)がステップS5に記載の閾値を下回ったか否かを判断する。そして、ステップS18にて、RNC30はでデータ量が閾値を下回ったことを検出した場合、ユーザデータ通信経路を、ステップS16で保持した割当無線伝送路(Radio Bearer)経由の経路に切り戻す。その場合、ステップS19にてRNC30は、ステップS18での経路切り替えが完了した時点で、UTRAN経路(ノードB経由)の制御信号ルートにて、MS10に対して自身の無線LAN装置の電源オフを指示する。そしてこの場合ステップS20でRNC30は、ステップS14にて作成した移動端末管理表を更新し、『テンポラリIPアドレス』欄の値を削除する。すると、ステップS21にて、MS10は、ステップS19による指示を受信した場合、自身の無線LAN装置の電源をオフする。
以上の動作により、従来のUTRAN経路(ノードB経由)のデータ転送経路ではデータ伝送速度が不十分な、大容量のデータを受信する場合にのみ、無線LAN経由のデータ転送経路に切り替えてユーザデータ通信を行える。更に、加えて、無線LANを使用する際にのみ、該当する移動端末10の無線LAN装置の電源をオンするため、当該端末の消費電力を効果的に削減することが出来る。
尚、本実施例では、RNC30からの制御信号を受信したMS10が自動的に自身の無線LAN装置の電源オン/オフを行う構成としたが、上記制御信号を受信したMS10が、その情報をディスプレイ等にて表示することによって当該MS10を使用しているユーザがこれを認識し、その結果として通信経路を切り替えるか否かを判断し、手動にて操作して無線LAN装置の電源をオン/オフする構成としてもよい。
尚、本実施例ではユーザデータの伝送路が無線LAN経由に切り替わった後も、ステップS3にて設定された割当無線伝送路(Radio Bearer)は保持される構成であったが、ユーザデータの伝送路が無線LAN経由に切り替わった際に、上記割当無線伝送路(Radio Bearer)を切断し、無線LAN経由での通信が完了した際に、再度割当無線伝送路(Radio Bearer)を設定しても良い。
又、本実施例ではエアステーション50に付属のDHCPサーバ70から移動端末に対してテンポラリIPアドレスを割り当てる構成であったが、この他にも、独立したDHCPサーバが、エアステーション50とルータ60との間のイーサネット(登録商標)等の網上に設けられる構成であっても良い。
更に、上記実施例では、システム構成として図1に示す如く、1つのエアステーション50で無線LANのサービスを提供する方式であったが、これ以外にも例えば図9に示す如く、複数のエアステーション51,52,53を用いて、1つのエリアR2にサービスを提供する構成とすることも可能である。
又、地理的に離れた地域に対しては、図1又は図9に示されるルータ60にてセグメントを分けて、各セグメント毎にIPアドレスのネットワーク番号を変えることで、これらの地域に対して無線LANによるサービスを提供することも可能である。
更に、本実施例における、具体的な移動端末10に搭載されている無線LAN装置の電源オンの方法の一例として、Windows 9x・ME等(何れも登録商標)に標準で実装されている「コントロールパネル」内の「ハードウェアの追加」機能を自動的に実行させることにより、無線LAN装置を検出してこれを起動する方法が考えられる。又、PCカードの「ハードウェアの取り外し」機能を実行することにより、当該無線LAN装置の電源をオフすることが可能である。
次に、本発明の第2実施例について説明する。第2実施例は第1実施例と同様の構成を有する。従って、第1実施例との相違点についてのみ詳細に説明するものとする。本実施例では、移動端末10を利用するユーザが、当該移動端末10に表示されるデータ量(トラフィック)に基づいて、手動操作にて必要に応じてデータ転送経路をUTRAN経由と無線LAN経由との間でを切り替える。即ち、移動端末10のユーザが、ダウンロードするデータの量を基に、UTRANと無線LANのどちらの経路での通信にて当該データのダウンロードを行うかを判断し、その結果によって適宜通信経路を切り替えるための操作を当該MS10に対して行うものとする。
本実施例では、移動端末10は無線LANによる通信に切り替える際の閾値を、PDPコンテキスト情報に付加して基地局制御装置30へ通知する機能は不要である。又、ユーザが、無線LAN経由でデータを受信する、またはその受信を終了すると判断し、移動端末10に対して必要な操作を行った場合、この操作に応じて自動的に当該移動端末10に搭載の無線LAN装置の電源がオン/オフされる構成とする。
又、移動端末10はこのようにユーザの操作によって無線LAN装置が電源がオンされた場合、エアステーション50からの電波を受信する事で無線LAN経由での通信が可能である事を判断する。他方エアステーション50からの電波を受信出来なかった場合には無線LANのサービスエリアR2外に居るものと判断し、その旨を当該ユーザに通知すると共に、自身の無線LAN装置の電源をオフする構成をも有する。
又、本実施例では、基地局制御装置30には、上記無線LANによる通信に切り替えるための閾値を受信電波状況報告(Measurement Report)信号に含めた形態で移動端末10から受信した場合にこの値を保持する機能は不要である。更に、ユーザデータをUTRANと無線LANのどちらの経路に送り出すかを判断する機能も不要である。
そして本実施例では、基地局制御装置30の制御部は、無線LANによる通信機能を持つ移動端末10宛のデータ量が予め設定されていた閾値を超えたことを検出した場合に当該移動端末10に対してその無線LAN装置の電源をオンするよう指示するための信号を送出する機能も不要である。更に、データ量が予め設定されていた閾値を下回ったことを検出した場合に移動端末に対して無線LAN装置の電源をオフするよう指示するための信号を送出する機能も不要である。
そして本実施例では、基地局制御装置30は、移動端末10からの受信電波状況報告(Measurement Report)信号に含める形態にて、無線LAN経由で通信が可能との通知を受けた場合、その移動端末10へのユーザデータ送信を、無線LAN経由で行うための通信経路切替を、そのユーザデータ転送部に指示する機能を有する。
次に、第2実施例における通信シーケンスについて図10と共に説明する。
まず、第1実施例同様、ステップS1にて、MS10でのデータ発着信の際、RNC30とMS10との間で制御信号路確立の為のRRCコネクション設定手順が実行される。引き続き、ステップS2にて、ユーザデータ伝送路設定のためのPDPコンテキスト処理手順が実行される。コンテキスト情報として新たに『無線LAN希望パラメータ』を追加し、PDPコンテキスト処理手順が実行されることにより、ユーザデータを運ぶために、RNC3−CN40間にGTPと呼ばれるパイプが確立される。この処理手順の中でCN40からRNC30に送られるRABアサイメント・リクエストの情報要素の1つとして『無線LAN希望パラメータ』を付加することで、本パラメータ情報がRNC30にコンテキスト情報要素の1つとして格納されるとともに、RNC30とMS10との間のユーザデータ伝送路として、割当無線伝送路(Radio Bearer)が確立される。
このように確立されたGTPと割当無線伝送路(Radio Bearer)とを使用して従来のUTRAN経路(ノードB経由)でのユーザデータ通信が行なわれる。この際、RNC30のユーザデータ転送部が、CN40から受信したユーザデータを、UTRAN経路へ送出することで、MS10へのユーザデータ伝送が実現される。
この時点で、当該移動端末10のユーザはFTPサーバーへのアクセス等が可能となるため、ステップS41にて、MS10は通常のウェブ・ブラウザ等の機能によって、ユーザがダウンロードを希望するデータの大きさを表示する。次にユーザは、ステップS42にて、このようにしてMS10上に表示されたダウンロードするデータ量に基き、そのためのデータ通信経路を無線LANに切り替えるのか否かを判断する。そして、通信経路を切り替えると判断した場合には、MS10上で、その切り替えるための操作を行う。
MS10では、このようなユーザの操作によって、ステップS43にて上記の如く無線LAN装置が電源がオンされ、もってエアステーション50からの電波を受信する。
次にステップS8にて、第1実施例同様にMS10は本エアステーション50のDHCPサーバ70に対してテンポラリIPアドレスを要求し、無線LANのエアステーション50は、これに応じてステップS9にてテンポラリIPアドレスを当該MS10に付与する。
次にMS10は上記ステップS8におけるテンポラリIPアドレス要求から一定時間経過してもテンポラリIPアドレス付与を受けられなかった場合、自身が無線LANのサービスエリアR2外に居るものと判断する。その結果、ステップS44にて当該MS10はユーザに対して無線LANのサービスエリア外にいることを通知して、自身の無線LAN装置の電源をオフし、ステップS3で設定されたUTRAN経路でのデータ受信を続行する。
又、第1実施例同様、ステップS10にてRNC30は定期的に受信電波状況要求(Measurement Request)信号をMS10に送り、MS10はステップS45にて、上記ステップで得たテンポラリIPアドレスを、上の受信電波状況要求信号への返信としての信号である伝播状況報告(Measurement Report)信号に含めてRNC30へ送信する。この結果、RNC30は本MS10が無線LAN使用可能な環境にいる事を認識する。
次に、ステップS14にて、第1実施例の場合同様、RNC30は移動端末情報対応表を作成し管理する。この移動端末情報対応表には、『移動端末識別子(MSのID)』、『テンポラリIPアドレス』、『割当無線伝送路(Radio Bearer)』、『GTP』、『コンテキスト(無線LAN希望)』、『閾値』の夫々の情報が含まれる。RNC30はステップS15にて、上の如く作成した『移動端末情報対応表』に『無線LAN希望パラメータ』と『テンポラリIPアドレス』とが含まれていた場合、該当する移動端末10へのデータ送信を、無線LAN経由に切り替える必要有りと判断する。具体的には、移動端末情報対応表に、『無線LAN希望パラメータ』が含まれている移動端末10から『テンポラリIPアドレス』を受信した場合に、RNC30の制御部が当該RNC30のユーザデータ転送部に対して、無線LAN経路への切替を指示する。
ステップS16にて、RNC30のユーザデータ転送部は、ユーザデータをテンポラリIPアドレス宛に送信することで、無線LAN経由でのユーザデータ送信を実現する。以上の手順によりユーザデータは無線LAN経路で当該MS10に対して転送される。
そしてユーザは、従来のFTPによるデータダウンロードの機能等によって、データのダウンロードが終了したことを知ることが出来る(ステップS46)。そしてユーザは、このようにしてダウンロード終了を認識した場合、無線LAN経由でのデータ受信終了を決定し、MS10の無線LAN装置の電源をオフするための操作を行う(ステップS47)。
MS10は、その無線LAN装置の電源オフを検出した場合、テンポラリIPアドレス欄を空白にした状態にて上記受信電波状況報告(Measurement Report)信号をRNC30へ送信することにより、無線LANでのデータ転送終了を通知する(ステップS48)。
RNC30は、この受信電波状況報告(Measurement Report)信号を受信した場合、上記移動端末情報対応表の中のテンポラリIPアドレス欄を空白にする(ステップS49)。このようにしてRNC30は本MS10が無線LAN使用可能な環境に居なくなったことを認識し、ステップS2にて設定された、従来のUTRAN経路(ノードB経由)でのユーザデータ通信に切り替える(ステップS50)。
以上の処理により、第1の実施例と同様の効果を得ることが出来る。尚、ステップS50の手順による従来のUTRAN経路(ノードB経由)でのユーザデータ通信への切り替えを検出した後で、ステップS47の手順による無線LAN装置の電源オフを行うよう構成してもよい。
又、本実施例ではユーザがユーザデータ量を認識して、無線LAN経路での通信への切り替え判断を行ったが、これとは別に、移動端末10にユーザデータ量監視部を設け、データ送受信量が予め設定された閾値を上回った、あるいは下回ったことを移動端末10自身が検出して、自動的に移動通信網経路と無線LAN経路との切り替えを行う構成とすることも可能である。
更に、第1実施例同様、図1の構成以外に、図9に示す如く、複数のエアステーションを用いて、1つのエリアにサービスを提供する構成とすることも可能である。又、地理的に離れた地域に対しては、図1又は図9のルータ60にてセグメントを分けて、各セグメントごとにIPアドレスのネットワーク番号を変えることで、無線LANによるサービスを提供する構成とすることが可能である。
上記第1実施例、第2実施例とも、移動端末10がデータを受信する場合について説明したが、逆に移動端末10からRNC30へデータを送信する場合も、同様の構成にて本発明を適用可能であることは言うまでもない。
また、これらの実施例とも、移動端末10に設けられた無線LAN装置全体の電源オン・オフによる消費電力削減の方法について述べたが、この無線LAN装置のうち電波送信機能部分やMACアドレスの解析機能部分など、一部の機能だけを活性化・非活性化、即ち給電、非給電とするよう構成しても、同様の効果を得ることができる。
以下に、上記各実施例における、移動端末装置10の構成について説明する。図11は移動端末10の機能ブロック図を示し、図12はハードウエア構成図を示す。図12に示す如く、移動端末10は、移動通信方式本来の無線送受信機能、即ちUTRAN経由の通信機能を有する無線送受信部10c、10dと、新たな無線LANによる無線送受信機能を有する無線送受信部10b、即ち無線LAN装置10bとを有し、更に、当該移動端末10のユーザによる入力操作を可能にするための押しボタン等よりなる入力部10k及びユーザに対する表示を行なうための液晶表示装置等の表示部101とを含む。又、各送受信部10c、10d、10b用に、アンテナ10a,10b3が設けられている。
更に、当該移動端末10は、上述の通信シーケンスにおける動作を含む様々な動作・制御全般を司るCPUとメモリとを含み、これらは以下に説明する図11に示す機能ブロック10e,10g,10i,10jの機能を実行する。又、当該端末10の動作電力を供給するためのバッテリ10h、このバッテリ10hによる無線LAN装置10bへの給電をオン・オフするための給電部10fを備える。
以下に、図11と共に、移動端末10の具体的機能の詳細について説明する。尚、上記第1実施例の場合、ユーザデータ通信経路の切り替えを基地局制御装置30が判断するため、この場合移動端末装置10は図11中、ユーザデータ量監視部10eとバッテリ残量監視部10gは不要となる。
当該移動端末10は通常、従来の移動通信網による通信経路、即ちUTRAN経由で通常の信号及びウェブ・コンテンツ等のユーザデータの通信を行っている。
そして、上記第1実施例の場合、基地局制御装置30は、移動端末10宛のデータ通信量が、予め設定されていた閾値を超えたことを検出した場合、移動端末10に対して無線LAN装置10bを活性化して、無線LAN経路で通信するよう信号にて指示する。移動端末10はこの信号を、従来の移動通信網によるデータ送受信部10c経由で基地局制御装置用送受信部10dにて受信する。このように基地局制御装置用送受信部10dによって上記信号を受信した場合、同部10dは無線LAN装置用給電部10fを駆動し、バッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電を行わせる。
又、基地局制御装置用送受信部10dは、上の動作と並行してテンポラリIPアドレス要求・受信部10jに対して無線LAN装置10bへの給電が行われたことを通知し、これを受けたテンポラリIPアドレス要求・受信部10jは、無線LAN装置10b経由で、エアステーション50に対して上記テンポラリIPアドレスの要求・受信を行う。又、テンポラリIPアドレス要求・受信部10jは、このようにしてエアステーション50から受信したテンポラリIPアドレスを基地局制御装置用送受信部10dに通知し、当該送受信部10dは、上記受信電波状況報告(Measurement Report)信号に含めて、このテンポラリIPアドレスを基地局制御装置30に送信する。その結果、移動端末装置10は無線LANによる通信が実施可能となる。
又、基地局制御装置30は、無線LAN経路で通信中の移動端末10宛のデータ通信量が予め設定されていた閾値を下回ったことを検出した場合、移動端末10に対して無線LAN装置10bを非活性化して、移動通信網経路(UTRAN経由)での通信に切り替えるよう信号にて指示する。移動端末10はこの指示信号を移動通信網によるデータ送受信部10c経由で基地局制御装置用送受信部10dにて受信する。そして、基地局制御装置用送受信部10dは、当該指示信号を受信した場合、無線LAN装置用給電部10fを駆動してバッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電を停止させる。
以上の構成の結果、移動端末装置10では基地局制御装置30からの指示によって無線LAN経路でのユーザデータ通信を行う時のみ、無線LAN装置10bに給電されるような動作を実現することが可能となり、移動端末10の消費電力を削減することが出来る。
以下に上記第2実施例に対応する移動端末10の動作について説明する。但しこの場合、ユーザデータ通信経路の切り替え動作は移動端末装置10のユーザによって行われるため、図11中、バッテリ残量監視部10gは不要である。
移動端末10が移動通信網経路(UTRAN経由)で信号およびユーザデータの通信を行っている状態にて、FTP等を使用してファイルをダウンロードする場合において、表示部101に表示されているウェブ・ブラウザの画面に当該ファイルのデータ量が表示されており、ユーザはこれを見ることによって当該データを無線LAN経路に切り替えてダウンロードすべきか否かを判断する。
その結果無線LAN経路に切り替えると判断した場合、ユーザは入力部10kを操作して無線LAN経路への切り替えを当該端末10に指示する。この入力操作により、無線LAN装置用給電部10fが駆動され、バッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電が開始され、第1実施例の場合同様の手順にて当該移動端末装置10は無線LANでの通信が可能な状態となる。
又、FTPによるファイルダウンロードの場合、データ受信が完了したことが表示部101に表示されてユーザに通知されるため、これを受けたユーザは入力部10kを操作して基地局制御装置用送受信部10d及び移動通信用送受信部10cを経由して、基地局制御装置30に対して移動通信網経路にて通信を行なうよう信号にて要求する。
又、同時に、上記ユーザの入力部10kの操作によって無線LAN装置用給電部10fを駆動してバッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電を停止させる。或いは、同時にユーザデータ量監視部10eが上記データ受信完了をデータ受信量の減少によって検知して無線LAN装置用給電部10fを駆動してバッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電を自動的に停止させる構成とすることも可能である。
以上の結果、移動端末装置10は無線LAN経路でのユーザデータ通信を行うときのみ、無線LAN装置10bへの給電を行うようにすることが可能となり、移動端末10の消費電力を効果的に削減することができる。
以下に、上記第2実施例の変形例としての第3実施例について説明する。本実施例では、第2実施例と異なり、移動端末10自体の機能によってユーザデータ量が監視され、その結果上記経路切り替えが移動端末10によって自動的に起動される構成を有する。この場合もバッテリ残量監視部10gは必ずしも必要ではない。
まず、移動端末10が移動通信網による通信経路で信号およびユーザデータの通信を行っている状態において、ユーザデータ量監視部10eは、移動通信網による通信経路でのデータ通信量が予め設定されていた閾値を超えたことを検出した場合、基地局制御装置用信号送受信部10d及び移動通信網用送受信部10cを経由して、基地局制御装置30に対して、無線LAN経路での通信に切り替えるよう信号にて指示する。
又、上記処理と並行してユーザデータ量監視部10eは無線LAN装置用給電部10fを駆動してバッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電を開始させると共に、上記第1実施例の場合同様の手順により、移動端末装置10は無線LANでの通信可能な状態とされる。
又、移動端末10のユーザデータ量監視部10eは、無線LAN経路でのデータ通信量が、予め設定されていた閾値を下回ったことを検出した場合、基地局制御装置用送受信部10dおよび移動通信網用送受信部10cを経由して、基地局制御装置30に対して、移動通信網通信経路での通信に切り戻すよう信号にて指示する。ユーザデータ量監視部10eはこれと並行して無線LAN装置用給電部10fを駆動してバッテリ10hから無線LAN装置10bへの給電を止めさせる。
以上の結果、他の実施例同様、移動端末装置は無線LAN経路でのユーザデータ通信を行う時のみ、無線LAN装置に給電することが可能となり、移動端末の消費電力を効果的に削減することが出来る。
以下に、本発明の第4実施例について説明する。この実施例では、無線LAN経路で通信中の移動端末装置10のバッテリ残量が閾値を下回った場合に、移動通信網通信経路の通信へと切り替える構成を有する。
この場合、移動通信網通信経路で制御信号の通信を実施し、無線LAN経路でユーザデータの通信を実施している状態において、移動端末10のバッテリ残量監視部10gは、バッテリ10hの残量が予め設定されていた閾値を下回ったことを検出した場合、基地局制御装置用送受信部10dおよび移動通信網用送受信部10cを経由して、基地局制御装置30に対して、ユーザデータの転送を、移動通信網通信経路での転送へ切り替えるよう信号にて指示する。基地局制御装置30は、移動端末10からこの移動通信網通信経路で転送するよう指示を受けた場合、当該通信経路の切り替えを行う。基地局制御装置30は、この経路切り替えが完了した場合当該移動端末10に対して無線LAN装置10bを非活性化して、移動通信網通信経路で通信するよう信号にて指示する。
移動端末10はこの信号を、移動体通信網用送受信部10c経由で、基地局制御装置用送受信部10dにて受信し、その結果、無線LAN装置用給電部10fを駆動してバッテリ10hから無線LAN装置40bへの給電を止めさせる。
以上の結果、移動端末装置はバッテリ残量が少ない時に、無線LAN経路での通信を止めることにより、ダウンロード等の通信処理中にバッテリ切れで同処理が中断するような事態の発生を予防可能である。
図13は、上記第4の実施例による通信シーケンスについて示す。この場合、ステップS1乃至S16の手順は、上述の第1実施例の場合と同様である。但し、本実施例では無線LAN経路での通信を行っている状況からの切替手順であるため、ステップS11A,S12,S13の処理は行われない。
ステップS16に引き続き、ステップS61にてMS10は自身のバッテリ残量が予め決められた閾値を下回ったことを検出した場合、ステップS62にてテンポラリIPアドレスを含まない形態にて無線電波状況報告(Measurement Report)信号をRNC30へ送信することにより、無線LANでの通信を継続できなくなったことを通知する。
RNC30はこの通知を受信した場合、ステップS63にて、ユーザデータ通信経路を、ステップS16にて保持した割当無線伝送路(Radio Bearer)によるものに切り替える。RNC30はこの経路切り替えが完了した時点で、ステップS64にて、UTRAN経路(ノードB経由)の制御信号ルートにて、MS10に対して無線LAN装置10bの電源オフを指示する。又RNC30はステップS14にて作成した移動端末管理表を更新し、『テンポラリIPアドレス』を削除する(ステップS65)。そしてMS10はステップS64による指示を受信した場合、無線LAN装置10bの電源をオフする(ステップS66)。
以上の手順により、バッテリ残量低下時に、無線LAN経路から移動通信網経路への切り替えが自動的に行われる。
以下、本発明の第5の実施例について説明する。この実施例では、無線LAN経路での通信が可能な移動端末装置10が、移動通信網経路でのユーザデータ転送を行っている状態(第1実施例のシーケンスにおけるステップS3の状態)において、自身のバッテリ残量が閾値を下回ったことを検出した場合、たとえ無線LAN装置10bの電源オンの指示をRNC30から受信しても(第1実施例のシーケンスにおけるステップS6)、無線LAN装置10bの電源オン処理を行わず、移動通信網経路でのユーザデータ転送を続行する構成を有する。
即ち、この場合、移動端末10は移動通信網通信経路で信号の通信を行い且つ移動通信網通信経路でユーザデータの通信をも行っている状態において、移動端末10のバッテリ残量監視部10gは、バッテリ10hの残量が予め設定されていた閾値を下回ったことを検出した場合、無線LAN装置用給電部10fに対し、基地局制御装置30からの「無線LAN装置電源オン指示」を受けても、給電を開始しないよう信号にて指示する。
以上の結果、移動端末装置10はバッテリ残量が少ない時に、移動通信網通信経路から無線LAN通信経路への切り替えを行わないことにより、無線LAN通信中にバッテリが上がって同通信が中断されることを防止する。
第5実施例における通信シーケンスについて図14と共に説明する。この場合、ステップS1乃至S5の手順は図2と共に説明した第1実施例のシーケンスにおける手順と同一である。ステップS5に引き続き、ステップS73においてMS10は自身のバッテリ残量が予め決められた閾値を下回ったことを検出した後にRNC30がステップS6にてデータ量(トラヒック)が閾値を超えたことを検出した場合、第1実施例の場合同様にUTRAN経路(ノードB経由)の制御信号ルートにてMS10に対して無線LAN装置10bの電源オンを指示する(ステップS74)が、この場合にはMS10は、自身の無線LAN装置10bの電源をオンしない(ステップS75)。その結果、エアステーション50からの電波を受信できない。従って、第1実施例のシーケンス中のステップS8、S9によるテンポラリIPアドレスの取得が出来ない。
引き続き第1実施例の場合同様ステップS76にてRNC30は受信電波状況要求(Measurement Request)信号をMS10に送る。その際、MS10は上記の如くテンポラリIPアドレスを得ることが出来なかったため、RNC30に対する受信電波状況報告(Measurement Report)信号にてテンポラリIPアドレスを通知することが出来ない(ステップS77)。その結果、RNC30はステップS77にてMS10に対して無線LAN装置10bの電源オンを指示した後一定時間経過してもなおMSから10の受信電波状況報告(Measurement Report)信号にテンポラリIPアドレスが含まれたものを受信出来ないこととなる。そのため、RNC30はMS10では無線LAN装置10bの電源がオンされないものと判断し、MS10に対して無線LAN装置10bの電源オフを指示する(ステップS78)。なお、ここで、このような場合第1実施例では、MS10がサービスエリアR2外にいるものと判断したが、移動通信網にとってはサービスエリアR2外にいるMSと、無線LAN装置電源がオフになっているMSとは同一と見做される。又、この場合MS10は元々無線LAN装置10bの電源がオフのままであるため、ステップS78によるRNC30からのオフ指示を無視する(ステップS79)。
以上の手順により移動通信網経路でのユーザデータの転送が続行されることとなる。
このように、本発明の本実施例によれば、ユーザが無線LANのサービスエリア内に移動しても、必ずしも無線LANを利用する必要は無くなり、データ送受信の有無あるいはデータ量、バッテリ残量、移動通信網・無線LANの無線リンクの帯域空き状況等、又はこれらの組み合わせに基づいて適宜移動通信網のUTRANによる通信経路と無線LANによる通信経路とのいずれかを選択することが可能となる。従って移動端末の無線LAN装置を実際に使用するときだけ、活性化するので、移動端末における消費電力量を効果的に軽減可能であり、移動端末のバッテリによる稼働時間が長くなり、もってユーザの利便性が向上させながら、適宜高速IP通信によるサービスを享受できる環境を提供可能である。
尚、本発明は上記各実施例の形態に限られず、発明の基本思想に従う限り他の様々な実施例/変形例が導出可能である。

Claims (29)

  1. 制御装置と移動端末との間の通信手段として、所定の移動通信網による通信と、当該所定の移動通信網とは異なる所定の無線通信網による通信とを可能にする通信方法であって、
    所定のパケット転送を行なう通信手段としての上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信と切り替える段階と、
    前記移動端末に含まれる上記所定の無線通信網による通信に係る部分を活性化又は非活性化する段階とを有し、
    前記切り替えによるユーザデータを転送するための通信手段が上記所定の移動通信網による通信か或いは所定の無線通信網による通信かによらず、前記制御装置と前記移動端末との間の制御信号の送受信は上記所定の移動通信網により行い、
    前記制御信号は前記移動端末が前記制御装置に対し上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示するために使用され、
    又前記制御信号は前記制御装置が前記移動端末に対し前記所定の無線通信網による通信に係る部分の活性化又は非活性化を指示するために使用される通信方法。
  2. 更に移動端末のデータ通信量を監視する段階と、
    前記監視の結果当該データ通信量が所定の閾値を上回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する段階とを有する請求項1に記載の通信方法。
  3. 更に移動端末のパケット通信量を監視する段階と、
    前記監視の結果当該パケット通信量が所定の閾値を上回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する段階とを有する請求項1に記載の通信方法。
  4. 更に前記所定の移動通信網又は前記所定の無線通信網に係る無線リンクの帯域利用状況を監視する段階と、
    前記監視の結果当該帯域利用状況が所定の条件に合致した場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する段階とを有する請求項1乃至3の内の何れかに記載の通信方法。
  5. 前記監視段階及び当該監視の結果によって通信経路の切り替えを行なう段階は、前記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段によって実行される構成の請求項2乃至4の内の何れかに記載の通信方法。
  6. 前記監視段階は移動端末によって実行され、
    当該移動端末は前記監視の結果によって通信経路の切り替えを判断して前記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段に対して当該切り替えの実行を指示する構成の請求項2乃至4の内の何れかに記載の通信方法。
  7. 更に移動端末のユーザが当該移動端末に対して前記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを操作する段階を有する請求項1乃至6の内の何れかに記載の通信方法。
  8. 更に移動端末のバッテリ残量を監視する段階と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する段階とを有する請求項1乃至7の内の何れかに記載の通信方法。
  9. 更に移動端末が自身のバッテリ残量を自動監視する段階と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合に、当該移動端末が上記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段に対し、上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えの実行を指示する段階とを有する請求項1乃至8の内の何れかに記載の通信方法。
  10. 更に移動端末のユーザが当該移動端末のバッテリ残量を監視する段階と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合に、当該ユーザの操作によって当該移動端末が上記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段に対し、上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えの実行を指示する段階とを有する請求項1乃至9の内の何れかに記載の通信方法。
  11. 当該移動端末が上記所定の無線通信網による通信を行なわないと判断される際には当該移動端末の上記所定の無線通信網による通信に係る部分を非活性化する構成の請求項1乃至10の内の何れかに記載の通信方法。
  12. 制御装置との間で所定の移動通信網による通信と、当該所定の移動通信網とは異なる所定の無線通信網による通信とを実施する移動端末としての通信装置であって、
    所定のパケット転送を行なうための通信手段としての上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えに応じ、上記所定の無線通信網による通信に係る部分を活性化又は非活性化する手段を有し、
    前記切り替えによるユーザデータを転送するための通信手段が上記所定の移動通信網による通信か或いは所定の無線通信網による通信かによらず、前記制御装置との間の制御信号の送受信は上記所定の移動通信網により行い、
    前記制御信号は当該移動端末が前記制御装置に対し上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示するために使用され、
    又前記制御信号は前記制御装置が当該移動端末に対し前記所定の無線通信網による通信に係る部分の活性化又は非活性化を指示するために使用される通信装置。
  13. 更に当該移動端末におけるデータ通信量を監視する手段と、
    記監視の結果当該データ通信量が所定の閾値を上回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示する信号を発信する手段とを有する請求項12に記載の通信装置。
  14. 更に移動端末のパケット通信量を監視する手段と、
    記監視の結果当該パケット通信量が所定の閾値を上回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示する信号を発信する手段とを有する請求項12に記載の通信装置。
  15. 更に前記所定の移動通信網又は前記所定の無線通信網に係る無線リンクの帯域利用状況を監視する手段と、
    記監視の結果当該帯域利用状況が所定の条件に合致した場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示する信号を発信する手段とを有する請求項12乃至14の内の何れかに記載の通信装置。
  16. 更にバッテリ残量を監視する手段と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示する信号を発信する手段とを有する請求項12乃至15の内の何れかに記載の通信装置。
  17. 前記活性化又は非活性化を行なう手段は、当該通信装置が上記所定の無線通信網による通信を行なわないと判断される際に上記所定の無線通信網による通信に係る部分を非活性化する構成の請求項12乃至16のうちの何れかに記載の通信装置。
  18. 制御装置と移動端末との間の通信手段として、所定の移動通信網による通信と、当該所定の移動通信網とは異なる所定の無線通信網による通信とを実施する通信システムであって、
    所定のパケット転送を行なう通信手段としての上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する手段と、
    前記移動端末に含まれる上記所定の無線通信網による通信に係る部分を活性化又は非活性化する手段とを有し、
    前記切り替えによるユーザデータを転送するための通信手段が所定の移動通信網による通信か或いは所定の無線通信網による通信かによらず、前記制御装置と前記移動端末との間の制御信号の送受信は前記所定の移動通信網により行い、
    前記制御信号は前記移動端末が前記制御装置に対し上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを指示するために使用され、
    又前記制御信号は前記制御装置が前記移動端末に対し前記所定の無線通信網による通信に係る部分の活性化又は非活性化を指示するために使用される通信システム。
  19. 移動端末のデータ通信量を監視する手段と、
    前記監視の結果当該データ通信量が所定の閾値を上回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する手段とを有する請求項18に記載の通信システム。
  20. 移動端末のパケット通信量を監視する手段と、
    前記監視の結果当該パケット通信量が所定の閾値を上回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する手段とを有する請求項18に記載の通信システム。
  21. 前記所定の移動通信網又は前記所定の無線通信網に係る無線リンクの帯域利用状況を監視する手段と、
    前記監視の結果当該帯域利用状況が所定の条件に合致した場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する手段とを有する請求項18乃至20の内の何れかに記載の通信システム。
  22. 前記監視の結果によって通信経路の切り替えを行なう手段は、前記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段が有する構成の請求項19乃至21の内の何れかに記載の通信システム。
  23. 前記監視手段は移動端末が有し、
    当該移動端末は前記監視の結果によって通信経路の切り替えを判断して前記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段に対して当該切り替えの実行を指示する構成の請求項19乃至21の内の何れかに記載の通信システム。
  24. 移動端末のユーザが当該移動端末に対して前記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを操作する構成の請求項18乃至23の内の何れかに記載の通信システム。
  25. 更に移動端末のバッテリ残量を監視する手段と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合には上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えを実施する手段とを有する請求項18乃至24の内の何れかに記載の通信システム。
  26. 更に移動端末が自身のバッテリ残量を自動監視する手段と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合に、当該移動端末が上記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段に対し、上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えの実行を指示する手段とを含む請求項18乃至25の内の何れかに記載の通信システム。
  27. 更に移動端末のユーザが当該移動端末のバッテリ残量を監視するための手段と、
    前記監視の結果当該バッテリ残量が所定の閾値を下回った場合に、当該ユーザの操作によって当該移動端末が上記所定の移動通信網の通信制御を司る制御手段に対し、上記所定の移動通信網による通信と所定の無線通信網による通信との切り替えの実行を指示する手段とを含む請求項18乃至26の内の何れかに記載の通信システム。
  28. 更に移動端末が上記所定の無線通信網による通信を行なわないと判断される際には当該移動端末の上記所定の無線通信網による通信に係る部分を非活性化する手段を有する請求項18乃至27の内の何れかに記載の通信システム。
  29. 移動端末の上記所定の無線通信網による通信に係る部分を活性化したか或いは活性化の指示を行なった後、所定の時間内に当該無線通信網による通信を実施するための所定の処理がなされなかったと判断される場合には当該部分を非活性化する又は非活性化する指示を行う構成の請求項1乃至28の内の何れかに記載の通信装置、通信方法又は通信システム。
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